他人資本とは、返す必要がある資金の事を言います。いわゆる負債というやつですね。
企業は返済義務のない自己資本と、返済義務のある他人資本を組み合わせて資金を調達しています。(貸借対照表の貸方(右側)は資金の調達源泉を示していると言うことができます。)
■他人の資本は返す必要があります
他人のモノを借りたら返す必要がありますよね?逆に、自分のモノの場合は返す必要はありません。
これは資本も同じです。自分のお金は誰かに返す必要はありませんよね。でも、借りてきた資本、商売の元手は、借りた人に返す必要があります。そして、通常は利息も支払う必要があります。
このように、他の人から借りてきたお金を他人資本と呼び、元本の返済義務や利息を支払う必要が出てくるのです。
■貸借対照表の例を示します
貸借対照表は右側が資金の調達源泉、左側が資金の運用形態を示します。
そして、上の貸借対照表の右側にある負債の部が他人資本にあたります。負債と借りてきたお金って日本語的にはほとんど同じだから直感的に理解しやすいと思います。
では、負債の部にはどのような『借りてきたお金』が乗ってくるのでしょうか?
これは、いわゆる外部金融で調達してきた資金がこちらに記載されてきます。
具体的には銀行からの借り入れ(間接金融)や、社債の発行(直接金融)、買掛金(企業間信用)などが該当します。
■他人資本とはひとことで言うと
さて、色々な言葉が出てきましたが、要するに自分のお金でないものが他人資本となって、貸借対照表上は負債の部に記載されます。
■他人資本は悪いの?
さて、負債というと借金というネガティブな言葉と結びついてしまいます。ということは他人資本=借金なんですね。
しかし、他人資本を活用することは別に悪いことではありません。
例えば、8%の利益を上げられる事業を金利2%の他人資本で調達したお金で実施できれば6%分儲かりますよね?こういった考え方をレバレッジと言います。
また、お金の入金と支払いのスパンにずれが出ることがあります。例えば、1月に70万円の商品を100万円で打った際に、仕入れは1ヶ月後に支払い、1ヶ月在庫で眠らせた後に売上が発生し、売上は1ヶ月後に回収できるような場合です。
1月 | 2月 | 3月 | |
支払い | - | 70万円 | - |
入金 | - | - | 100万円 |
この場合2月に仕入れ分の70万円の支払いが必要ですが、売上は2月に上がっていますので、3月まで待たないと100万円入金されません。
他に現金がないと、資金ショートを起こして倒産してしまいますが、他人資本で運転資金を調達できれば無事に30万円儲かります。
このまんがでは、経営の調子がいい要因として他人資本を利用して経営しているからと言っています。
解説で出てきた用語・関連用語
間接金融社債
直接金融
企業間信用
貸借対照表
自己資本