
育児休業(育休)とは、原則として1歳未満の子を育てる労働者が取得できる制度です。雇用保険に加入しているパート・契約社員・正社員などが対象で、男女問わず取得可能です。
原則として子が1歳になるまで取得できますが、保育園に入れない等の事情があれば1歳6か月、最長で2歳まで延長することもできます。
さらに、2022年10月の法改正により、「出生時育児休業(パパ育休)」が創設されました。これは、子の出生後8週間以内に最大4週間まで分割取得できる制度で、男性育休の取得促進が図られています。
この制度は男女問わず利用することができます。だから、父親が育児休業を取得するといった事ももちろん可能ですし、夫婦そろって育児休業といった事も可能です。
<2025年8月に記述修正 参考:厚生労働省育児休業制度特設サイト>■当時のお話
ここまでの説明で、「あれ?うちの子が小さいときは育児休業の制度自体はあったけど、自分は対象外で取得することができなかった…」と思われた方もいるかもしれません。
それは、以前は家族に子供を養育できる人がいたら育児休業を認めない旨の労使協定を結んで、育児休業の申請を拒むことができたためだと思われます。(経営側に有利な、素敵な労使協定ですね。素朴な疑問ですが、労働者側から進んでこのような労使協定を結ぶインセンティブって、何があるのでしょう?)
なお、現在ではそのような協定を結ぶことはできなくなっています。
そして、男性の育休取得もある意味当たり前になりつつあります。社会全体で子どもを育てる大勢に少しずつ変わってきていますよね。
■育児休業の現状
現在では、育児休業の取得率も徐々に上がってきています。本稿を最初に書いた2012年当時は育児休業にはちょっと特別感がありましたが、厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」によると、
- 女性の育児休業取得率:84.1%
- 男性の育児休業取得率:30.1%
という結果が出ています。
(参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-r05.html)
この数字を見ると、女性の取得率は高い水準を維持していますが、男性の取得率は未だ3割程度です。ただし、「予定していたが取れなかった」などの回答も一定数あり、制度は整っていても実態は伴っていないという職場も少なくないことがうかがえます。
■育児休業と収入
もちろん、ただ休めますと言われても、収入の心配があればなかなか休めませんよね。そこで、育児休業基本給付金という制度を用意して、収入面の心配をなくするといった配慮もなされています。
この給付金は雇用保険から出る給付金になります。そのため、育児休業中は会社側にとっては賃金支払いの負担はありません。
そして、そのように捉えるのであれば、従業員が積極的に育児休業を取得できるように支援する事は、福利厚生の一環ではなく、会社の競争力の源泉へ投資していると考えることが可能かもしれませんね。
とあえて男性育休の例で2012年当時は書いていました。その時点より前では「意識の高い企業」や「従業員思いの制度」として語られていた育児休業ですが、2025年現在では「制度として整っていて当然」な基本的条件(衛生要因)に変化しつつあります。取得できない職場は、選ばれない時代に入ったのです。(参考:動機付け要因・衛生要因)
この給付金は雇用保険から出る給付金になります。そのため、育児休業中は会社側にとっては賃金支払いの負担はありません。
■まんがと育児休業について
このまんがのように、育児休業を取る事によって、従業員の視野が広がるという面もありますので、無負担で従業員の教育訓練をしていると捉えることもできるかもしれません。(少し強引ですが。)そして、そのように捉えるのであれば、従業員が積極的に育児休業を取得できるように支援する事は、福利厚生の一環ではなく、会社の競争力の源泉へ投資していると考えることが可能かもしれませんね。
とあえて男性育休の例で2012年当時は書いていました。その時点より前では「意識の高い企業」や「従業員思いの制度」として語られていた育児休業ですが、2025年現在では「制度として整っていて当然」な基本的条件(衛生要因)に変化しつつあります。取得できない職場は、選ばれない時代に入ったのです。(参考:動機付け要因・衛生要因)
育児休業の申し出に対応できないような労務管理体制では、今後従業員の確保はおぼつかなくなると考えられます。
■男性の育児休業(パパ育休)の義務化と動き
一番上で記載しましたが、2022年4月には改正育児・介護休業法が施行され、「出生時育児休業(いわゆるパパ育休)」が新設されました。
この制度では、子どもの出生後8週間以内に最大4週間まで分割して取得できる制度です。
企業にも制度の周知・相談体制の整備が義務化され、今後ますます育児休業は「当然の権利」として社会に定着していくと考えられます。
■企業が対応すべき3つの視点
このように育児休業はあたりまえに活用されていく制度となりつつありますし、国はソレを目指しています。そのような流れの中、育児休業を気持ちよく取れないというだけで従業員の定着が厳しくなると言ったことも実際に起こりつつあります。
そのような流れに対応するため、以下のような切り口で生産性を向上して育児休業を取る方が居る前提での強靭な組織構築を図っていくとよいでしょう。以下、3つの観点を挙げます。
■業務設計の見直しなど
ナレッジマネジメントなど企業内に蓄積られた知恵を暗黙知として属人化させずに企業全体の知恵に変えていく方向性があります。また、基本ですがECRSの原則に従って余計な業務の見直しを常に進めることも重要でしょう。
当然、業務マニュアルの整備なども合わせて進めていくとよいですね。
当然、業務マニュアルの整備なども合わせて進めていくとよいですね。
■DX化
これも文字にすると当たり前過ぎて陳腐ですが、上記業務設計の見直しにはDX化がとても有効です。
ただ、各自の思いつきでRPAなどを作らせると『野良システム(誰も管理していなく、担当者が異動するとブラックボックスになる)』が蔓延しますので、何らかのルール化(例えばRPAを使うなら〇〇というフォーマットに、目的と利用するデータ、集中力する結果、改訂履歴を明記する)をしておくことが大切です
そして何よりも組織文化として育児休業を取ることを尊重し、育樹休業する人が出ることを業務改善のチャンスだと捉えるような企業風土を育てていくことが大切だったりします。ただ、各自の思いつきでRPAなどを作らせると『野良システム(誰も管理していなく、担当者が異動するとブラックボックスになる)』が蔓延しますので、何らかのルール化(例えばRPAを使うなら〇〇というフォーマットに、目的と利用するデータ、集中力する結果、改訂履歴を明記する)をしておくことが大切です
■組織文化の醸成
関連用語
ハローワーク
初出:2012/11/11
更新:2025/08/02












