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繰延資産

財務・会計
2012年11月4日

繰延資産(その2)

繰延資産(その2)_001
繰延資産とは、既に支払い義務が発生している支出する費用のうちで、その費用の効果が将来にわたって発生するため、一旦資産に計上しておき、将来にわたって費用化していくような資産の事を言います。英語で表記するとdeferred chargesとなります。

このような繰延資産の考え方は収益とそれを得るために使われた費用は同じ期間に計上するという考え方(費用収益対応の原則)から来ています。

そして、この繰延資産がいわゆる通常の資産(流動資産固定資産ですね)と大きく異なる点は現金化できない資産だという事です。

現金にならない資産?費用化するための資産?何のことかよく分からないですね。

誰かに対する債権でもないし、形があるわけでもない。単に費用を将来に繰り延べるために存在する資産。なんというか、貸借対照表上、置き場所がないから便宜上、資産として計上しておくといったイメージです。

(この繰延資産は容認規定なので「計上しなければならない」のではなく、「計上できる」といった考え方になります。原則は一時費用化なのですね。)  

と、抽象的な話を続けても混乱するだけなので、具体的な例を示していきたいと思います。

この繰延資産に該当する資産は、「創立費」、「開業費」、「開発費」、「株式交付費」、「社債発行費」、「新株予約権発行費」などです。

資産なのに「○○費」とついていることからも、通常の資産と毛色が異なることが見て取れると思います。

以下、「創立費」を例に考えてみたいと思います。「創立費」は上で挙げたように、

1.既に費用は支払済みです。
例えば、「創立費」は会社を作るときに払っているはずの費用ですよね。

2.誰かに対する債権でもないし、形もないので換金できません。
例えば、「創立費」を換金すると言っても、どうやって換金するかわかりませんよね?

3.これらの費用の効果は将来にわたって発生する費用です。
「創立費」の効果はその企業が存続していれば効果を発揮し続けると考えられます。

という特徴を持っています。

そして、「創立費」は名前の通り、とても費用的な感じが強いと思います。というか、どう考えても費用ですよね?

でも、単純に発生した期の費用にしてしまうと問題が生じます。それは3.の『将来にわたって効果が発生する』という要件が「費用収益対応の原則」に抵触するのです。

そのため、便宜的に繰延資産という箱を用意しておいて、そこから将来にわたって(創立費は5年で)費用化していくというイメージになるのです。

なんだか、減価償却に近い考え方ですよね。

そして、この固定資産は貸借対照表上は次のような位置に表示されます。(流動性配列法の場合)
このように、一口で資産と言っても、流動資産、固定資産、繰延資産に分類されるのです
繰延資産
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繰延資産

繰延資産_001
繰延資産とは、既に支払ったけれども効果が将来にわたって現れるような費用を、経過的に資産として計上するものです。単に経過的に資産として計上されているだけですから、その繰延資産は基本的に換金することはできません。

繰延資産というのはこういったモノなのですが、それではどうしてこのような考え方をする必要があるのでしょうか?

既に払った費用だったら、交通費とか、人件費のように支払った期の費用にして良いと思いませんか?また、お金に換えられないのに資産って変ですよね?

これを説明するためには、企業会計の目的にまでさかのぼる必要があります。

  • 企業会計の目的
企業会計の目的の一つとして、期間の利益を正しく算定するという事があります。そして、この期間の利益を正しく算定するためには、費用と収益を対応させる事が必要であるとされています。

この考えから、売上という収益を上げたなら、その収益を上げるために使われた費用のみが対応する費用になるという、売上原価といった考え方が生まれています。(どれだけ仕入れても、売れた分しか企業会計上は費用にならないのです。)

この考え方からいくと、例えば企業を創業するために支払った費用はどうでしょうか?その費用は企業が続く限り効果が続きますよね?

そういった事から例えば企業を創業するために支払った「創立費」は繰延資産として計上することが認められています。

もっとも、この「創立費」は換金することができない資産なので、いつまでも資産にしておいては貸借対照表上、資産の額が過大になってしまいます。そのため、一定の期間で償却することが必要であるとされています。

このように企業会計のルールはいろいろなバランスを取って作られているんですね。

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