まんがで気軽に経済用語

スポンサードリンク

経営

マーケティング
2011年9月28日

カニバリゼーション

カニバリゼーション_001
カニバリゼーション(cannibalization)とは、新商品が自社の既存の商品の売り上げを下げてしまうような、共食い現象のことを言います。

例えば、会計システムを主力としているような企業が売り上げの拡大をもくろみ、ある程度機能を制限した廉価版を販売したところ、既存商品のユーザが廉価版の商品に流れ、かえって全体の売り上げが低下するようなケ
ースがあります。

投入した新商品が既存の商品と同じようなターゲット顧客に同じようなモノを販売しようとしている場合に強くこの影響が出ると言われています。

差がよくわからない二つの製品があった場合、安価な方を選んでしまいますよね。それと同じことが起こるということです。

このまんがでは、1コマ目で職員をターゲットとしたお弁当の売り上げがとても良いため、2コマ目で学生さんへもちょっと安くして量を増やした同じような商品を販売していきたいと言っています。

発売した結果、売上数量が増えたのでしょうか、3コマ目でとても忙しそうにしています。ただし、客単価はとても下がったと言っており、結果として売上高は増えたかどうか不明です。場合によっては、安いものばかり売れてしまい、全体の売上高は下がっているかもしれないです。

4コマ目のように新しいお弁当が、元々あったお弁当の売上を食べてしまった、共食いのイメージがカニバリゼーションのイメージとなります。 
店舗管理
2011年9月27日

島陳列

島陳列_001
島陳列とはお店の通路内に平台(平らな台です)を設置して、あたかも、通路に浮かぶ島のようにして商品を陳列する方法です。

島のようになっているためお客様は四方から手を伸ばすことが可能です。そのため、この陳列方法の長所として、手に取りやすく衝動買いを誘発する効果があります。

しかし、この陳列方法では通路幅をしっかり考慮しなければ狭くなってしまいますし、あまり高級なイメージの訴求も難しくなっています。

このまんがでは、1コマ目で先生が秋の味覚フェアを開催したいと言っています。

それを受けての準備作業を2コマ目、3コマ目で行っています。

2コマ目では台の置く場所が狭くなりすぎないようにとの注意が、3コマ目では商品を高く積み上げすぎないようにと注意がされています。
このまんがのように、島陳列を行う際にはお客様がうまく回遊できるように通路幅を確保する事、商品を取りやすくしておくことがポイントとなります。

また、島陳列ではいわゆる目玉商品や催事の商品を販売すると効果的です。最後のコマでも催事がうまくいって行列ができるほどお店が繁盛しています。
組織論
2011年9月26日

ホーソン実験 | 人間関係が生産性向上に重要である事が判明した重要な実験です

ホーソン実験_001

ホーソン実験とは、心理学者レスリスバーガーと精神科医メイヨーによって、アメリカのシカゴにあったホーソン工場で行われた実験のことです。

実験の結果、生産性には人間関係が影響するという事が判明し、生産性向上のための重要な知見が得られ、人間関係論といった考え方が生まれるきっかけとなった有名な実験なのです。

■作業環境が良ければ生産性が上がるはず

従来は、工場内の物理的な作業条件で生産性が増減すると考えられていました。非常に直感的に理解しやすい考え方で、作業しやすければ生産性が上がりますよね。といった発想です。

そのため、この実験は当初、物理的な作業条件と実際の作業能率の関係を調べる目的で行われました。

まず、「明るい方が作業がしやすいでしょう」と仮説があり、工場内の照明を明るくしたり暗くしたりして作業能率を測定したところ、照明を明るくしたら実際に能率が上がっただけでなく、その後照明を暗くしても能率が高くなってしまったのです。

とすると、明るい方が作業がしやすいといった仮説は成り立ちません。

また、様々な条件を変えながら(賃金、休憩、温度・湿度など)複数の人が共同して働く組み立て工程について実験をしたところ、だんだん作業能率が上がっていきました。

このことも、作業環境が生産性の向上に決定的な役割を果たすという仮説に合致しない結果です。

こういった実験を繰り返した結果、作業者の能率は客観的に把握することができる物理的な外部の環境ではなく、人間関係などに大きく影響を受けるのではないかとの仮説が導き出されたのです。

■生産性の向上と人間関係が関連付けられました

生産性の向上にあたっては、人間関係などの要素が重要であるとの仮説が導き出されて、『人間関係論』が提唱されました。

ホーソン実験とは人間関係論が提唱されるきっかけになった実験であると押さえておくと良いです。

そして、この人間関係論からその後の様々な経営理論が導き出されて行きました。従来の経営理論が科学的管理論を主流としていたのですが、人間関係も重要ですといった風に経営学の流れが変わったのです。

管理が生産性向上のための秘訣である
人間関係が生産性向上の秘訣である


今日では、仕事において人間関係が決定的に重要であるといった事は広く受け入れられていますが、その人間関係と生産性の関係性は1930年代にはすでに判明していたことなのですね。

そしてこの人間関係は先日解説したインフォーマル組織が影響するものと言われています。

onnanoko_bustup
生産性アップのために実験するよー

kitsune
まずは明るさを変えて、作業のやりやすさを見ますね。でも明るさを変えても戻しても生産性はだんだん上がっていきましたよ。

kitsune
次に、いろんな条件を変えてみんなで協力して作業してみます。これも、条件を変えても戻しても、時間がたつと生産性が上がっていきました。

kitsune
面談調査もしたら、なんか職場での人間関係でやる気が左右されるって言っていましたよ。

kitsune
みんなで働いてもらったら、なんか周りを見て生産性をセーブしてる人がいたけど、作業を見てる人との関係で生産性が変わってきました。後は、生産性の高さと個人の能力ってあんまり関係なさそうでした。

onnanoko_bustup
うーん、とすると人間関係が生産性に影響してそうね…

kitsune_odoroki
確かにそうですね!人間関係が重要なのかー気がつかなかったなー。

neko_akire
なんか、経営学の教科書に載ってるみたいな事をやってるなぁ。ホーソン実験のこと空気を読まずに教えたら、嫌な顔するだろうな…



■人間関係をよくできれば生産性が上がりますという古くて新しい視点

このことは、人間関係の大切さを維持する仕組みを作ることは生産性の向上をもたらすと言っています。

「職場の雰囲気が悪くて…」などといった悩みは、放置していい問題ではなく、企業の業績に直結する悩みなのです。

■ハラスメントを行えない企業にすることは生産性アップの秘訣です

この観点に立てば、ハラスメントをする従業員は熱心だなどと賞賛される対象ではなく、自らの感情もコントロールできず職場の雰囲気を悪化させるだけの人間であるとなります。

オーナー経営者がハラスメントをおこなうならば、業績悪化の責任は自ら負う事になるので経済的には自己責任です。(もちろん他の責任は免れませんが)

しかし、管理職などの一従業員がそのような振る舞いをすることを許すのは、その従業員よりも上級の管理職や経営者にとっては会社に損害を与えているため、株主に対しての背任行為です。

もちろんせっかく働くなら働きやすい職場の方がいいのは言うまでもありませんが、ハラスメントをして職場の雰囲気を悪くするような従業員がでないように啓発活動を行う、企業内部でのけん制機能を働かせるといった事は、この観点からも重要なことなのです。

■まんがの解説


このまんがでは、1コマ目で練習の効果をあげるために照明を明るくしています。ホーソン実験でも、工場の証明と作業能率との相関関係を調査しています。

2コマ目では、休憩の頻度を色々と変えています。ホーソン実験では、このほかに部屋の温度や湿度などの条件も変えて調査しました。

3コマ目では、色々な条件をもとに戻してみましたが、練習の効果はそのままでした。実際のホーソン実験でも作業環境をどのように変更しても実験の進行とともに能率は向上していきました。

最終コマでは、結局は人間関係(インフォーマル組織)がやる気の源泉だと言っています。

繰り返しになりますが、この実験以前はテイラーの科学的管理法を代表とする考え方が主流でしたが、この実験を契機に職場の職場の人間関係が作業能率に大きく影響するとの人間関係論が発展していったのです。

解説で出てきた用語・関連用語
インフォーマル組織
組織論
2011年9月25日

インフォーマル組織

インフォーマル組織_001
インフォーマル組織とは、組織内に人間関係などで発生する非公式な組織の事です。

公式な組織であるフォーマルな組織が様々な目的を達成するために、管理者が意図的に作り上げられた組織であり、組織図で表現できるものに対して、インフォーマル組織は自然発生的に生じた組織であると言うことができます。

言い換えればインフォーマル組織は組織内に発生した仲良しグループのイメージです。

このまんがでは、吹奏楽部の公式な組織を1コマ目に示されているような組織図として表現しています。

しかし、この正式な組織図にかかわらず2コマ目、3コマ目のように普段の行動はインフォーマルな組織で行っています。

そして、人間関係論という学問では、インフォーマルな組織が組織に所属する人々の士気に大きな影響を与えていると指摘しています。

例えば、組織内に発生しているインフォーマルな組織が一生懸命練習をすることをよしとするような文化を持っていれば、練習の効果が上がります。

逆に練習をまじめにやる人を排斥するような文化を持っていると、どんなに正式な組織を練習に適するように整えても効果には限界が出てしまいます。
店舗管理
2011年9月21日

ゴールデンゾーン

ゴールデンゾーン_001
ゴールデンゾーンとは、ターゲットとする顧客にとって最も目につきやすく商品を手に取りやすい高さのことです。このゴールデンラインは最も目につきやすく商品を手に取りやすい高さであるため、売れ行きの良い高さと言うことができます。

一般的に、床から80センチから140センチの間であると言われていますが明確な規定はなく、ターゲットとする顧客の肩の高さから腰の高さをもとにしています。例えば子供向けのお店だった場合、このゴールデンゾーンの高さは低くなりますし、体格のいいスポーツ選手向けのお店だった場合は、このゴールデンゾーンの高さはもっと高くなります。

ゴールデンゾーンはもっとも売れ行きの良い高さであるため、売りたい商品を陳列するといったことが考えられます。

このまんがでは、1コマ目では特にこのゴールデンゾーンを意識せずにお弁当を陳列していました。

しかし、2コマ目で補充のしやすい棚(肩の高さから腰の高さに位置する部分、つまりゴールデンゾーン)の売れ行きがよい事に気がついています。

その気づきを受けて3コマ目ではその高さに売りたいもの(新商品や利益率の高い商品)を集中して陳列することにしました。

すると、最終コマではクラブ始まって以来の売上と利益を上げられたといっています。

経営どうが「ゴールデンゾーン

ストーリーで解説経営用語
第1話 お客さんの目につきやすい高さにある商品は売れ行きが違います
マーケティング
2011年9月17日

販売志向

販売志向_001
販売志向とは
生産志向製品志向販売指向マーケティング志向社会志向といったマーケティング・コンセプトの一つで、「売る努力をすれば売れる!そのため、いかに売るかを考える!」という考え方です。販売力こそが価値の源泉となっています。

製品は売れたのではなく、売ったと考える考え方です。需要の水準に供給の水準が追いついた場合、せっかく作ったものが売れ残る可能性が出てきます。そのため、売れないのならば売ってくる!といった発想が生まれました。

しかし、この発想では顧客の満足にまで思い至っていないため、顧客の満足よりも目先の売上を求めてしまいがちです。焼畑農業的なイメージで市場が荒廃するような販売方法をとったりする可能性もあります。

たとえが適切かどうかはわかりませんが、一昔前の生命保険や自動車販売、投資用マンションの勧誘、百科事典の販売などの、購入する方の要望よりも販売者側の都合で売りつけられるイメージです。(現在は顧客の事を考えたりっぱな営業活動が行われてるはずです。念のためフォローしておきます。)

このまんがは1コマ目で販売強化月間を宣言し2コマ目3コマ目で積極的な販売促進活動を行っています。その結果売り上げは上がったようですが、やはり最終的には売上は伸び悩んできてしまっています。
マーケティング
2011年9月15日

製品志向

製品志向_001
製品志向とは生産志向製品志向販売指向マーケティング志向社会志向といったマーケティング・コンセプトの一つで、「いいものを作れば売れる!」という考え方です、。このコンセプトでは、品質こそが価値の源泉となっています。

需要の水準に供給が追いついてきた場合、前述した生産志向では支持を得ることが難しくなります。顧客は製品間の比較をしますので、このまんがの2コマ目のように製品を改良し品質を向上させることが競争力につながります。

生産志向より一歩進んだ考え方といえますが、「こんな良いものが売れないなんて、お客が分かっていないんだ!」などといった、ひとりよがりな考え方に陥る可能性があります。

例えば、業界で一番耐久性が高いといった点を協調しても、顧客は価格とのバランスが取れていないとその製品に魅力を感じないといった例が考えられます。それにもかかわらず、まだまだ耐久性が不足しているのが売上が伸びない原因であると誤った判断をし、さらに耐久性を追求するなどといった意思決定がなされる場合があります。

ただし、その品質の高さから確固たるブランドを確立した製品である場合などには、今なおこの製品志向コンセプトが有効となるケースがあります。

このまんがでは4コマ目にあるように、またいきづまってしまったようです。


マーケティング
2011年9月14日

生産志向

生産志向_001
生産志向とは
生産志向製品志向販売指向マーケティング志向社会志向といったマーケティング・コンセプトの一つで、「作れば売れる!」という考え方です。このコンセプトでは、生産力こそが価値の源泉となっています。

この生産志向という考え方は需要が供給を上回っている場合に有効です。例えば、食糧が欠乏しているような場合の食糧や、日本の高度成長時代のような場合には有効な考え方でした。

現代でも、生産コストが高いが市場拡大中の製品には当てはまるケースがあります。たとえば、太陽光発電パネルなどは当てはまるかもしれません。生産力を拡大し、安価に製品を提供できればそれは一つの価値となります。

このまんがでは、2コマ目でおなかのすいた学生さんたちが詰めかけています。それを受けて3コマ目で作れば作るほど売れると言っています。

しかし、このような考え方はひとたび需要が満たされれば
1コマ目、4コマ目のようにいきづまってしまいます。  
経営
2011年8月1日

リーダーの戦略定石 | リーダーの地位をも守り続けるための非常に巧妙な戦略です

リーダーの戦略定石_001
リーダーの戦略定石とは、先日解説した競争地位の4類型のうちリーダーのとるべき戦略定石の事です。以下具体的に解説しますが、基本は「需要拡大・最大の市場シェアを非価格競争で目指す」といったところになります。

以下まんがのコマに対応して解説します。

1.同質化戦略
競争相手が差別化戦略で挑んできた時に、リーダーも同質の戦略を採用して競争相手の差別化を無効化させます。同じ戦略で戦えば規模の大きいほうが強いという単純な理屈を利用しています。
メガネ君はチャレンジャーの地位にある人と同じポーズをとっています。チャレンジャーとあえてキャラをかぶせています。部活内で力のあるメガネ君とキャラがかぶるとチャレンジャーは厳しい戦いを強いられます。

2.最適市場シェア維持
市場シェアの拡大のみを狙うのではなく、最大の投資収益率が得られる市場シェアを確保・維持するということです。市場シェアのみを最大化する為には、例えば僻地にも販売員を配置する、マイナーな雑誌などにも広告を出すなど際限なく費用をかけていく必要があります。
メガネ君は大きくなりすぎずに効率重視といっています。

3.周辺需要拡大
リーダーは既存市場内での最大シェアを確保しているため最大の経営資源を保持していると考えられます。そのため、市場自体の規模が大きくなれば、売上は増加すると考えられます。
そしてこの市場自体の拡大は、①リーダーが独自に成し遂げる、②業界で協調して市場拡大を成し遂げるといった方法があります。
まんがではみんなが協力して影響力を増やそうとしています。

4.非価格競争戦略
リーダーは価格競争をしないということが重要です。リーダー自ら価格競争に打って出ると、市場全体が価格競争の嵐に巻き込まれてしまい、その市場では適正な利潤を得ることが困難になってしまいます。
まんがではメガネ君は時間の安売りはしないといって早く帰ろうとしています。


onnanoko_bustup
ふう、どうやっても地域一番店の地位を奪えないわ…

onnanoko_bustup_2
こちらが新しい取り組みをしても、すぐに同じような取り組みをしてくるし。

neko
でも、それじゃあ相手は模倣しているだけだから、オリジナルのウチの方が強いんじゃないんですか?

onnanoko_bustup
そうでもないのよね。向こうは使えるリソースが多いから、もっと精度が高くて品質がいい対応をしてくるのよ。

onnanoko_bustup_2
さらに、ウチよりも安く提供してくるし。品質とコストと納期は両立しないって勉強したんだけどなぁ。ずるいわよね。

neko_akire
両立はしないけど、経営資源の量が多ければより高い水準でバランスを取ることができるんですよね。



  • リーダーは1社だけ
リーダーは上で見てきたような戦略を取ると良いとされています

どれも非常に守りに強い戦略です。

なぜならばただ一社だけのリーダーの地位を守る。これこそがリーダーの戦略定石となるからです。

  • ウチはリーダーじゃないけど…と考える前に
さて本記事を読んでいる方の多くは、リーダーでない企業にお勤めであったり経営していたりすると思います。(リーダーは1社しかありませんから)

だったらリーダーの戦略定石など知らなくてもいいのかと言うとそうではありません。

これは相手の手の内を知ることにつながるからです。

つまりあなたの企業は市場シェアを奪うために様々な打ち手を使いリーダーの地位に挑んでいくこととなります。

その時リーダーはここに挙げたような戦略を用いて防衛を行うと考えられるのです。

なぜならばここに挙げている防衛策は非常に強力だからです。

そのためこれらのリーダーの戦略定石について、一般的な対応策を用意して行く必要は最低限あるのです。(相手がこう来たら、こう返すぐらいの想定シナリオは用意しておく必要があります。)

関連用語
QCD


経営
2011年7月29日

競争地位の4類型 | 漠然と頑張るのではなく自社がどのような位置にいるかを把握することが重要です

競争地位の類型_001
競争地位の4類型とはコトラー(kotler)が企業の役割の違いで競争ポジションを類型化したものです。

1.リーダー
当該市場で最大の市場シェアを保持している企業です。いわゆる業界再王手の企業を指します。リーダーは最大の市場シェアを保持していいるため、最も多くの経営資源を保有しているとされます。

2.チャレンジャー
当該市場のリーダーの地位を狙っている企業です。業界では2番手、3番手に位置しており、市場自体が成長しているときは一緒に成長することが可能ですが、市場が低成長期に差し掛かると、リーダーや下位企業から市場シェアを侵食されるとされています。

3.フォロワー
リーダーやチャレンジャーの市場戦略を模倣し、低コストの製品を供給する事によって市場内で存続することを目指す企業です。(模倣戦略

4.ニッチャー
市場内のニッチ(すきま)を探り出してその特殊市場内でリーダーになろうとする企業です。1.~3.のそれぞれの戦略に直接的には競合しません。

今回のまんがではパーカッションパートの人たちをそれぞれに例えています。4コマ目のギロが専門だといっている生徒は、その特殊市場内では圧倒的な地位を築いています。自分の得意な楽器に特化するとは、目の付け所がいいといえますね。

ちなみにギロは下のような楽器です。
中をくりぬいたヒョウタンの外側に刻みを入れ、棒でこすって音を出す打楽器
ウィキペディアより引用

次回以降、それぞれの地位にある企業の戦略定石を解説します。

neko
市場の中で一番大きなシェアを持っているのがリーダーなんだね。リーダーは経営資源も多いからある意味、横綱相撲をする事ができるんだよね。

neko
市場が成長すれば、リーダーの地位を維持していれば自動的に規模が大きくなれるので、地位の維持を考えた行動をして行くのです。

hiyoko
そうよ、それに挑戦するのがチャレンジャーなのよ。経営資源面では劣勢のことが多いけど、市場シェアをひっくり返すために色々やっていくのよ。

hiyoko
ひっくり返せないと、市場の成長が頭打ちになった時に厳しい状況に追い込まれてしまうのよ。


  • 自社がどこに位置しているかを把握する
さて、このような競争地位の類型が示されていますが、肝心なことは自社がそのどれに位置するかを把握し、ライバル企業の位置づけも把握することです。


競争地位によって、目指すべき方向が異なりますので、自社を知った上で何をするべきかを考えて行くように、自社を知ることがとても重要なのです。




経営
2011年7月28日

多角化戦略 | 多角化と言っても既存の経営資源を活かして対応するのが王道です

多角化戦略_001
多角化戦略とはアンゾフの成長ベクトルのうち自社の経営資源を新しい製品、新しい市場の組み合わせによる新しい分野へ投入することで、事業の拡張を目指す戦略の一つです。

ここで一口に新しい分野といっても、既存事業との技術やマーケティングの関係により次の4つに分類することができます。すなわち「水平型」「垂直型」「集中型」「集成型」の4つです。それでは以下その4つについてみていきたいと思います。

1.水平型多角化戦略
現在の顧客と大体同じタイプの顧客を対象として、新しい製品部門に進出する多角化です。既存の生産技術や流通経路を利用できるためリスクを比較的低く抑えることが可能です。このまんがでは、職員相手に健康食品を販売すると言っています。
しかし、ほぼ同一の顧客層を対象とするため、市場が停滞している場合には収益の改善が得にくくなるといった点を指摘する事ができます。


2.垂直型多角化戦略
現在の製品の川上や川下に向けて事業を展開する多角化です。このまんがの例では農業へ進出(川上へ進出)することで、原材料を安価かつ安定的に確保できるようにしようとしています。
しかし、生産・流通の過程で生じた問題がそのまま他の段階にも波及してしまうというリスクもあります。このまんがの例では、農業生産が不作だった場合材料の確保に問題が生じてしまいます。

3.集中型多角化戦略
既存製品と新製品との間で、技術とマーケティングのどちらかもしくは双方へ関連性を持たせるように行う多角化です。

4.集成型多角化戦略
コングロマリット型多角化ともいい、生産技術面、マーケティング面双方に関連性のない全く新しい事業に進出する多角化です。この多角化は成長力が高いとみなされる分野で収益性を高めることや、本業とは逆の動向となる分野に進出することで安定性を高めることを目的として行います。
このまんがの例では唐突に秩父山先生がPC販売と言い出しています。何の関連性もない異業種への進出のため、この場合のリスクは高くなることが想定されます。

多角化の狙いとしては次のものがあげられます。

1.範囲の経済の獲得を目指す
先日解説した、単一企業が複数事業を営むほうが総コストが低くなるという効果の獲得を目指します。

2.リスクの分散
全く別事業が同時にトラブルに陥る危険性は少なくなります。

3.余剰資源の活用
余剰人員や余剰生産能力を遊ばせておくのではなく、新規事業に活用することができます。

  • 多角化と言っても関連性を持たせる
さて上の方に多角化戦略の代表的な考え方をまとめています。

こちらを見てお気づきになったかもしれませんが、確かに標的とする市場や製品群はどちらも新規となります。

しかし水平型多角化戦略のように顧客のタイプが似た市場を狙ったり、垂直型多角化戦略のように、サプライチェーンで考えた時の川上川下に進出するなど、基本的には全く新しい分野に唐突に進出するということではありません。

ただコングロマリット型多角化という全く無関係の授業に進出することも方法論としては考えられますが、事業経営のノウハウであるとか投資のノウハウなど何らかの既存の経営資源を活用することには違いありません。

このように、経営資源に限界があるというのが現実ですので、ある程度事業分野は関連性を持たせた方が望ましいと考えられます。
  • 多角化が進展すると何の会社かが分かりにくくなります
このような多角化戦略ですが、仮にうまくいったとしてもデメリットはあります。

それは事業ドメインがあやふやになり何の会社なのかが分かりにくくなるということです。

誰に何をどのように価値を提供していくかという事業ドメインは、会社の中核的な価値観を養うために重要なものとなります。

また、事業の運営にあたって求められる経営資源や資質が変わってくるため、複数の事業を同時に走らせると言うことにつながります。

その結果経営者や経営管理者の負担が著しく増大しますので、ある程度の規模になると分社化するなり事業部化する形で権限委譲を適切に行っていくことは通常よりもより強く求められます。

同時に飲食店と不動産賃貸業と金属加工業を営むとなると、相当大変ですし、経営者の関与という経営資源の投入が難しくなってしまうと言うイメージです。
経営
2011年7月27日

アンゾフの成長ベクトル

アンゾフ成長ベクトル_001
アンゾフの成長ベクトルとはロシア生まれの経営学者、アンゾフ(Ansoff)が提唱した経営戦略上の意思決定の実用的枠組みです。今後の成長の方向性を分析・評価するために用います。

この成長ベクトルとは、製品と市場の二軸を取った表を作成し、成長戦略をそれぞれ①「市場浸透」②「市場開拓」③「製品開発」④「多角化」と分類して考えます。以下その4つの類型について簡単に説明していきます。

アンゾフ成長ベクトル

1.市場浸透戦略
現在の製品、現在の市場に対して他社との競争に勝利し売上増大や市場シェアの向上を目指す戦略です。一般顧客をロイヤルカスタマー化する事を目指す場合もあります。
用いる手段としては
 ・広告宣伝の強化
 ・価格の改定
 ・カスタマーリレーションシップ・マネジメント(CRM)の導入
等があります。

2.市場開拓戦略
現在の製品で新市場を開拓していく戦略です。新市場への投入の場合、しばしば新ブランドを立ち上げます。用いる手段としては
 ・国内市場から海外進出
 ・業務用から一般用への進出
等があります。
このまんがの例では、今まで販売していなかった付属中の職員へ同じ製品を売るということを言っています。

3.製品開発戦略
現在の市場に対して新製品を開発・販売する戦略です。用いる手段としては
 ・短いサイクルで新製品の投入
 ・製品のバージョンアップ
等があります。
このまんがの例では、同じターゲットに向けて海鮮サンドという新製品を開発すると言っています。

4.多角化戦略
新しい市場に新しい製品を提供していくという戦略です。例えば、IT企業がスポーツクラブを運営するようなケースです。用いる手段は様々なものが考えられます。

多角化戦略について詳しくは後日ご説明しますが、アンゾフは、多角化戦略の類型として以下のようなものがあると指摘しています。

すなわち、横に事業を広げるイメージの「水平型多角化戦略」、流通経路の川上や川下へ事業を広げる「垂直型多角化戦略」、技術、マーケティング分野について少なくとも既存の事業と片方が関係する方向へ進む、「集中型多角化戦略」、全く関係ない分野へ進む「集成型多角化戦略」です。

漠然と、成長を目指すと考えるよりも、このアンゾフの成長ベクトルといった考え方を用いると、考えが整理されますよね。

こちらもご参考に
経営戦略の実務的な構築方法
経営
2011年7月26日

競争戦略(フォーカス戦略) | 特定の部分へ狙いを定めて経営資源を投入するのです

競争戦略・フォーカス_001
フォーカス戦略とは市場を細分化し、自分の能力に適合する一部セグメントのみに焦点を合わせて、そこでコスト面、もしくは差別化面で優位に立とうとする戦略です。

例えば、軽自動車に経営資源を集中しているようなスズキ、ダイハツのような企業はフォーカス戦略を取っているということができます。

コストリーダーシップ戦略や差別化戦略は業界全体で優位に立とうすることを狙いとしていますが、フォーカス戦略は特定のセグメントに絞り込むことが特徴です。

このコストリーダーシップ戦略はポーター(Porter)教授が提唱する3つの基本戦略の一つです。ちなみに3つの基本戦略とは、前回までに解説した「コストリーダーシップ戦略」、差別化戦略」、今回解説した「フォーカス戦略」です。

さて、フォーカス戦略を採用する場合次のリスクがあるとされています。

1.戦略的に絞ったセグメントと市場全体が同質化してしまうケースがある
 例えば、自動車市場が小さく燃費のいい自動車を求めるようになると、軽自動車に集中していた自動車メーカの戦略の効果が少なくなってしまいます。

2.絞り込んだセグメント内のさらに小さな市場へフォーカスする企業が現れる
 例えば軽自動車の市場内でさらにお買いものに特化するような企業が生まれ、もともとの企業を出し抜く可能性があります。

今回のまんがでは秩父山先生は職員にターゲットを絞り健康を売りにしていくことに決めたようです。

  • フォーカス戦略は中小企業の定石です
経営資源が相対的に乏しいとされる中小企業において、特定の分野に経営資源を集中させるフォーカス戦略は一つの定石となります。

なぜならば中小企業であっても、特定の市場を独占することができる可能性があるためです。

ただし経営戦略も全てそうですが全ては競争相手あってのこととなります。

そのため、競争相手がよりニッチな部分にフォーカスを当ててきた時には、自社の戦略は安泰ではありませんので再度考え直す必要が出てきます。

経営
2011年7月25日

競争戦略(差別化戦略) | 違いを打ち出してお客様に訴求していくのです

競争戦略・差別化_001
差別化戦略とは競合他社には見られない特色を出すことによって独自性を打ち出す戦略です。

差別化戦略としては、品質、デザイン、独自機能、プロモーションでの社会的認知度やイメージを高める、アフターサービスや販売経路で差をつける、ブランドを構築する等が考えられます。

この差別化がうまくいかないと最終的にはコモディティ化(ありふれた商品になってしまう)してしまい、価格競争に巻き込まれてしまいます。

このコストリーダーシップ戦略はポーター(Porter)教授が提唱する3つの基本戦略の一つです。ちなみに3つの基本戦略とは、前回解説した「コストリーダーシップ戦略」、今回解説した「差別化戦略」、次回以降解説する「フォーカス戦略」です。

さて、差別化戦略を採用する場合次のリスクがあるとされています。

1.コストの差が広がりロイヤルティが維持できなくなる
 競合品とのコストの差があまりに広がりすぎて、差別化によるブランドロイヤルティが維持できなくなる可能性があります。優れた製品であっても、販売価格の差が2倍3倍と開いて来た場合に顧客が差別化品を選択するかどうかが分からなくなってきてしまいます。

2.差別化要因へのニーズが落ち込む
 このまんがでは生ものを押していく方法を考えていますが、例えば梅雨時に生ものを敬遠されてしまうなど、差別化要因へ対するニーズが落ち込む危険性があります。

このまんがの例では秩父山先生は前職の経験を生かして、刺身を中心に売っていくと決めているようです。この場合、漁師としての経験や、新鮮な魚を仕入れることができるという流通経路で差別化するようです。

  • 中小企業のセオリーです
さてこの差別化戦略は中小企業にとってまず最初に検討すべき戦略であるということができます。

なぜならば経営資源が相対的に乏しいと考えられるため、価格競争で真っ向勝負することは避けなければならないためです。

差別化戦略の採用にはリスクがありますが、何らかの形で競合他社と差別化をして自社が選ばれるようにしていく必要があるのです。

ただ、差別化戦略は顧客からの視点を持つことが重要です。

顧客から見て十分に自社が差別化されているかどうか、これをしっかりと意識していく必要があります。

・お客様がどう受け取るかが重要です

この視点を持たないと、この違いがわからないお客様がいけないんだなどと言う思考に陥ってしまいます。

そのためお客様からみて違いがわかるように打ち出していく必要があります。

例えば、一般消費者向けに販売してるにも関わらず、プロが見ないと微妙な差異を見抜けないような訴求してもそれは作り手の自己満足です。

また逆に、プロ用に販売しようとしているにもかかわらず、一般消費者向けの差異を訴求しても仕方ないのです。

プロに向けて売るのであればプロから見て良いものを作っていく必要があります。

  • 精神論もよくありません
また差別化戦略を取るためには自社の経営資源を冷静に考える必要があります。

経営資源とはヒトモノカネで表現されますが、自社の差別化ポイントは卓越した接客であると定義しているにもかかわらず、十分なの接客ができるだけの人がいなければそれは絵に描いた餅です。

また高い品質を差別化ポイントとしようとした場合、その品質を安定して提供できるだけの経営資源が必要となります。

それがないまま高い品質を努力で維持するというのも、また精神論になってしまいます。

上の漫画では新鮮なお刺身定食で勝負すると言っていますが、その新鮮さが求められているかどうかをよく検討する必要があるのです。

関連用語
フォーカス戦略
USP
経営
2011年7月24日

競争戦略(コストリーダーシップ) | コストを引き下げることと安売りすることはイコールではありません

競争戦略・コスト_001
コストリーダーシップとは競合他社より「低い原価」を達成することを目指す戦略です。このコストリーダーシップ戦略は「低価格」を目指すということとは違う事に注意が必要です。

一旦「低い原価」を達成したした場合、販売価格を引き下げ低価格で高い市場シェアを目指す、他社と同じ金額で販売し高い利益率を確保するといった展開が可能となります。

低価格販売を行う場合、高い市場シェアを生かしてさらなる低価格を実現しコスト面でのリーダーシップを取る事が可能となります。(先日解説した経験曲線規模の経済の効果でさらにコスト削減が可能となります。)

このコストリーダーシップ戦略はポーター(Porter)教授が提唱する3つの基本戦略の一つです。ちなみに3つの基本戦略とは、今回解説する「コストリーダーシップ戦略」、次回以降解説する「差別化戦略」「フォーカス戦略」です。
さて、コストリーダーシップ戦略を採用する場合次のリスクがあるとされています。

1.テクノロジーの発展
 技術の進歩が過去の投資や習熟を無駄にしてしまうケースがあります。例えば、そろばん製造でどれだけ優位性を誇っていたとしても、計算機やパソコンが誕生した段階で基本的には過去の投資は陳腐化してしまいます。

2.コストにだけ集中してしまう
 製品やマーケティング方法の変更の必要性に気づくことができなくなってしまうケースがあります。

このまんがの例では学食のおばちゃんは、どうやら政治力を駆使した参入障壁の構築には失敗しましたが、メニューを2割引きしても問題ない程度にコストの引き下げには成功していたようです。
  • コストリーダーシップは禁じ手か
コストリーダーシップは、競合よりも低コストを達成することを目指す戦略です。このことから、経営資源が相対的に乏しい中小企業にとっては禁じ手であるとされています。

というのは、このコストリーダーシップが結果としての安売りと結びついてしまうからです。

安売りを始めると、最終的には経営資源の豊富な自社よりも企業規模の大きな企業にはかないません。また、一度下げた価格は再度上げることは非常に困難である事から、安売りは禁じ手であるとされているのです。

しかし、本当の意味でのコストリーダーシップは原価を下げることを目指すだけであって、安売りをすることを目指すわけではありません。十分に原価を引き下げれば適正な利潤を確保しやすくなりますし、競合に対して低価格以外の戦略をとることが可能となります。

例えば、価格はそのままにしますが(価格を下げるのは簡単ですが、一度下げると再度価格を上げるのは困難を極めます)サービスを追加する事で競争力を確保するといった方法です。

また、コストリーダーシップ戦略が成功すれば、競合が参入してきにくくなりますし、原材料等の仕入れ価格の上昇も吸収することが可能です。
  • コストリーダーシップで自社よりも弱い企業を叩け
このような大きなメリットのある方法なのですが、やはり経営資源が豊富でないと難しい面があります。

コストを引き下げるためには、規模を大きくする規模の経済、様々な商材を取り扱うことで得られる範囲の経済、累計生産量を増加させることで得られる経験曲線効果などが必要ですが、どれも規模の大きな企業の方が有利になる考え方です。

しかし、規模の大きな企業と言っても絶対的な規模ではなく、相対的な規模で考えます。
例えば、あなたの会社が客観的にはそれほど大きな企業でないとしても、地元で1番の規模ならば、コストリーダーシップ戦略で2番手、3番手の市場シェアを奪うと言った方法は検討に値します。(こういった考え方がランチェスター戦略です。)
  • 定石は
と、コストリーダーシップについて書いてきましたが、やはり中小企業にとっての定石は差別化戦略であると言われています。

ただ、競争相手の出方を知っておく意味でもコストリーダーシップ戦略については知っておく必要があるでしょう。


説明で出てきた用語
範囲の経済
ランチェスター戦略

経営
2011年7月23日

コアコンピタンス | コアコンピタンスの見いだし方も一緒に考えてみましょう

コアコンピタンス_001
コアコンピタンスとは企業の中核的な能力(強み)を指し示すものです。各企業で長年にわたって蓄積された固有技術(ノウハウなど)のことを言います。

老舗の味噌メーカを例に技術や生産方式がコアコンピタンスとなったケースをいくつか考えていきたいと思います。(私は味噌屋さんではないため想定しているだけです。念のため)

1.コアコンピタンスは味噌を作ることと考えた場合
 味噌作りがコアコンピタンスであると考えた場合、味噌を用いた製品開発を行っていくことができます。たとえば、即席味噌汁市場に進出する、液体の味噌を開発する、無添加の味噌を開発する、だし入りの味噌を開発するといった方向を考えることができます。

2.
コアコンピタンスは大豆食品の製造と考えた場合
 大豆食品の製造がコアコンピタンスであると考えた場合、大豆を用いた食品の製造を行っていくことを考えられます。豆腐の製造、凍豆腐の製造、油揚げの製造などの製造を行っていくことが可能です。

3.
コアコンピタンスは発酵を管理する技術であると考えた場合
 発行を管理する技術がコアコンピタンスであると考えた場合、発酵食品の製造を行っていくことが考えられます。例えば、大豆製品ですと納豆の製造、醤油の製造、発酵食品だけで考えると、お酒やヨーグルトの製造まっで考えることが可能です。

この技術や生産方式以外でも、ブランドや物流、構成員の価値観など様々なものがコアコンピタンスになりえます。

ブランドがコアコンピタンスになる例は某電機メーカの製品だけスペックは大差ないけど少し高く販売できるようなケースが考えられます。

このまんがではメガネの先輩のコアコンピタンスはリズム感であると言われています。そして運動やほかのことはからっきしダメと言われています。もしこの人が、音楽以外の活動をする場合リズム感を生かした活動をすることがいいと思われます。

  • 中核的な強みはなにか
さて事業計画などを作る際に自社のコアコンピタンスを特定したいということがあります。

そのような場合において、どうやったら自社のコアコンピタンスを見出すことができるでしょうか。一般的にはなかなか難しいことです。

そのため以下のように自社の業務のプロセスごとに検討してみるというアプローチをとることができます。

例えば自社のバリューチェーン、価値を生み出すプロセスごとに考えてみたいと思います。

例えば原材料の調達の部分はどうでしょうか。

特別な原材料をなかなか取引は難しい事業者から仕入れてたりしませんか。そのような場合、調達力や調達部門に中核的な価値がある可能性があります。

また、製造の部分ではどうでしょうか。

よくコアコンピタンスと言われるのはこの製造部分の強みとなります。競合他社よりも良いものを作るというのはわかりやすいコアコンピタンスです。

また販売部門ではどうでしょうか。なかなか魅力を伝えることが難しいような玄人好みの商品をしっかりと販売するだけの販売力がある超えたものもコアコンピタンスとなりえます。

このように業務のプロセスごとに分けて考えていくことでコアコンピタンスを見出すことができるのです。

生産管理
2011年7月21日

ECRSの原則 | 業務改善のための非常に有効な方法論です

ECRS_001
ECRSの原則とは業務改善のためのフレームワークの一つです。ECRSとは試すべき改善策の頭文字をそれぞれ取ったもので、
E(Eliminate)排除、なくせないか?
C(Combine)結合:一緒にできないか?
R(Rearrange)交換:順序は変更できないか?
S:(Simplify)単純化:簡単にできないか?
という意味です。

そしてこのECRSはこの順序で試すと効果が高いといわれています。以下、具体例を示していきたいと思います。

1.E:なくせないか?
そもそも不必要な仕事をなくすことができれば大きな効果を発揮することができます。たとえば、魚を捌くたびに、包丁を研ぐようなことは止めて、その日の仕事前に一度だけ研ぐようにするなどの改善があげられます。(魚屋さんではないため正確にはわかりませんが、素人考えでは切れ味に問題がなければそれでよいように思います。)

2.C:一緒にできないか?
業務をまとめて一緒にできれば改善の効果を発揮することができます。伝票を届けに事務所に行くのであれば、一緒にそのほかの作業票も届けてしまえばよいと考えれれます。

3.R:順序は変更できないか?
作業の順番を変更することによって改善をすることも可能です。A作業→B作業→A´作業みたいな順番の場合、A作業→A´作業→B作業といった順番にすれば段取り替えの手間が削減できると考えられます。

4.S:簡単にできないか?
わざわざ複雑にやっているようなところはないでしょうか?簡単にできることは簡単にやりましょう。

ただし、このまんがのように、肝心なこと(
品質が落ちるような事や、それがないと用をなさなくなるような事)をなくしてしまったりしてはダメです。念のため。


キャプチャ

  • やめることが何よりも効果的

さてこのECRSですがやはりやめることが何と言っても効果的です。

なんといっても止めることは、すぐにできますし、コストもかかりません。

例えば始めた当初は意味があったことでも今となった意味がないといったことはありませんか。

前例踏襲で何となくやっているような業務、これはなくすればすごく大きな改善となります。

例えば朝礼の時に一人5分のスピーチをするということをやっていたとします。

そしてこの5分のスピーチのためにかなりの時間を費やして準備をしなければならないようなことが常態化していたとします。

もちろんスピーチをすることでプレゼン能力が鍛えられたりと意味はあるのですが、それを惰性で続けていたらどうでしょうか。

この業務をやらないことで非常に大きな時間が生み出されると考えられます。

組織論
2011年7月21日

X理論Y理論 | 無味乾燥な理論名ですが、言っていることは人間の本性に迫る深い洞察です

X理論Y理論_001
X理論Y理論とはアメリカの心理学者マクレガー(McGregor)が提唱した理論です。理論名だけでは何のことを言っているのかさっぱりわからないので、まずX理論とは何か、Y理論とは何かを見ていきます。

1.X理論
マクレガーは伝統的管理論が持つ人間観をX理論と名付けました。この人間観は「人間は本来怠け者であるため、仕事をさせるためには強制や命令が必要となる」という人間観です。東洋思想でいうところの荀子の性悪説に似ているかもしれませんね。
こういった管理を行うためには、できなかったら処罰するなどのいわゆる「アメとムチ」の経営を行う必要があります。

2.Y理論
X理論に対し、人間は自ら働きたがるものであるという人間観をY理論と名付けました。この人間観は「人間は本来働くことが好きであり、自己実現の為に自ら進んで行動する」という人間観です。こちらは孟子の性善説に似ているかもしれません。
こちらは魅力的な機会、目標を与え続けることで従業員のモチベーションを高めていく必要があります。

マクレガーは、先日解説したマズローの欲求段階説の、生存欲求や安全欲求が満たされているような現代では、X理論での管理は現実にそぐわず、Y理論に基づいた管理が望ましいと提唱しました。

このまんがにあるように、メガネの先輩がバットを持って後輩を監視しているようなパート(X理論に基づくアメとムチの管理)より、目標を示して自主的に練習をさせているパートのほうが練習の成果が上がるというわけです。 

kitsune
X理論は「働きたくないでござる」的な人を想定しているんだね。だから、ある程度の強制力を持って働いてもらわないといけないという発想なんだね。

hiyoko
そうよ。それに対してY理論は「働くことこそ自己実現」的な人を想定しているのよ。

hiyoko
だから、目標だけ与えておけば自己実現を目指して努力してくれるというわけね。

kitsune
現代では、どっちの人がおおいのかなぁ?

hiyoko
現代社会では、基本的な欲求はすでに満たされているのが前提なので、Y理論の方が望ましいと言われているのよね。



  • 気をつけること

とはいえ Y 理論がどのような状況においても望ましいというわけではありません。

この議論の前提は、
マズローの欲求五段階説の生理的欲求や安全欲求が既に満たされているという状況や、
ハーズバーグの動機づけ要因衛生要因の
衛生要因が既に満たされているということです。

つまり、
基本的な待遇が満たされていない状況において、
Y 理論に基づく魅力的な機会の提供などを行ったとしてもあまり効果が出ないということです。

関連用語
動機付け要因・衛生要因
組織論
2011年7月19日

動機づけ要因・衛生要因 | 人の心理を知っていればモチベーションを上げて業績アップに役立ちます

動機付け衛生要因_001
動機づけ要因・衛生要因とはハーズバーグ(Herzberg)が提唱した理論で、不満足にかかわる要因と、満足にかかわる要因は別のものであるとするものです。ハーズバーグの二要因理論などとも言われます。

それでは、それぞれの要因についてみていきたいと思います。

1.衛生要因
衛生要因とはそれが満たされないと不満足の原因となりますが、満たされたとしても、やる気の源にはならない要因のことを言います。一般的には、「組織の管理方法」「給与」「対人関係」などが衛生要因にあたるとされています。

たとえば、このまんがのように暑い場所での作業などは不満足の原因となります。しかし、いくら涼しく快適な場所で練習をしたとしても、積極的なやる気の源とはならないということです。

このことを端的に示して不満ではないという言い方をされます。つまり衛生要因が満たされていても満足するわけではなく不満で無くなると言うことです。


2.動機づけ要因
動機づけ要因とは、それが満たされた場合積極的なやる気の源となりますが、満たされなくとも不満の種にはならない要因を言います。一般的には「達成感」「承認されること」「責任感」などがあるとされています。

たとえば、このまんがのように「みんなうまくなったね」という言葉に代表されるように、達成感を得たり、リーダーに承認された事は動機づけの要因となります。

  • ビジネスにどうやって活かすか

さてこのハーズバーグの動機付け要因衛生要因理論ですがどのようにビジネスに活かせば良いでしょうか。

一つは働く人のモチベーションを高めるためにこの考え方を生かしていくというアプローチです。

この理論では衛生要因と動機付け要因という二つの要因があると言っています。

そのためまず衛生要因を満たすことを優先的に考えます。

なぜならば衛生要因が満たされていない場合不満につながってしまい、働く人のモチベーションが上がってこないからです。

またある程度衛生要因満たしたにもかかわらず、衛生要因の向上だけに固執するような考え方も危険です。

ひたすら職場環境良くすることだけを考えていたとしても、衛生要因が満たされ不満ではなくなるかもしれませんが満足にはなかなか繋がりません。

そのためある程度衛生要因が満たされたと判断された場合、動機付け要因である仕事内容や達成感についてしっかりと考えてデザインしていく必要があるのです。

経営
2011年7月11日

BCP(事業継続計画) | 最優先で復旧させる部門を決めると言うことは復旧を後回しにする部門を決める事です

bcp_001
BCP事業継続計画(Business continuity plan)とは危機的な出来事が発生しても事業が継続あるいは、目標時間内に復旧できるように予め立てておく計画の事を言います。

似た概念として先日解説したコンティンジェンシープランという考え方があります。簡単に違いを説明しますと、コンティンジェンシープランは危機的な出来事の発生時にどのように対処するかを中心に考えているのに対し、BCPは事業継続に重点を置いている点が異なるというところです。

とにかく最優先で復旧すべき事業内容を特定しておき、 ひとたび大災害が発生した際にはその復旧を最優先で行うというイメージですね。


BCPは、以下の手順に沿って策定されます。

1.業務が抱えるリスクと損害を洗い出します。
 例えば、有害な物質を原材料として使用している工場を考えます。有害物質が漏れ出す危険性と、それが漏れ出した場合の損害がどの程度になるかといった事を洗い出していきます。

2.優先的に復旧する業務を明らかにする。
 例えば、電力供給が断たれると1.の有害物質の漏出の原因になる事が明らかなのであれば、電力供給の復旧は優先的に対応する業務となります。

3.目標復旧時間や復旧手順を計画する。
 優先的に復旧する業務の目標復旧時間や復旧手順を計画しておきます。

このマンガでは調理場が使えなくなった場合に備え、予め近くの定食屋の調理場を使えるようにしておいたようです。

まあ難しく書いていますが、一言で言うならば「備えあれば憂いなし」という事ですね。

  • BCPには社長の関与が必須
上でBCPについて概論を述べましたが、自然災害が多くなっている昨今、BCPについて掘り下げて行きます。
 
掘り下げて行く中で 注意が必要なのは、会社の中核となる事業を何にするか、最優先で復旧するべき事業は何であるかを特定するのは、中小企業においては社長の他にないということです。
 
どのような組織であっても、組織で働いている人は自分の事業こそもっとも重要であると考えます。これは当然のことですし、そのような矜持を持って仕事に取り組むというのは非常に良いことです。
 
しかし組織全体で考えたときに、全ての事業を平等に復旧することはできません。
 
そのためBCPを定める際には、社長が関与して自社の中核の事業はこれで行くと優先順位を決めていく必要があります。 
 
このような事があるため、トップマネジメントがリーダーシップを持って決定せず、社内の様々な部署から関係者を集めて決めようとすると「全ての事業をできるだけ早く復旧する」という名ばかりBCPができてしまいます。
 
 
  • 信用にも繋がります 
BCP をあらかじめ定めておき、災害が発生した場合でもAという事業はなるべく速やかに復旧させるとしている企業があったとします。
 
他方、 BCP を定めておらず災害が起こった場合どのようにすればいいのか分からなく、とにかく全部の事業を復旧させるとしている企業があるとします。
 
あなたの会社はどちらと取引をしたいと考えるでしょうか。
 
もちろん取引関係や信頼関係がありますので基本的には従来の取引先と取引をしたいというのが通常の発想です。
 
しかし、 あまりに長期間にわたって操業停止が続くと、自社の経営に対する悪影響も大きくなってしまいます。
 
そのため、災害が起こった場合速やかに復旧させるという計画あらかじめ取っている企業の方が、 取引先としてより安定していると考えることができるでしょう。
 
このように、BCP を定めることによって、自社の速やかな復旧のみならずサプライチェーン全体としての責務を果たすことも出来るのです。 
 
この観点から、BCP を定めることができれば、競合他社に対して優位に立つことができると考えられます。
 
そして、最終的には様々な企業 BCP を策定し、災害に対して経済的に強靭な社会を作っていくことが重要ではないでしょうか。
 
  • あらかじめ作成しておく意味は?
ひとたび災害が発生すると、やらなければならないことがたくさん生じてしまい何からやればいいのかという優先順位をつけることすら大変になってしまいます。
 
そのため、あらかじめ何をすべきかを決めておくことが重要なのです。

経営
2011年7月10日

参入障壁 | 経済活動は原則自由ですが簡単に参入できない目には見えない壁があるのです

sannnyuu_001
参入障壁とはある業界への新規参入を防ぐ障壁の事をいいます。参入障壁が大きいほど新規参入が困難になり、既存の事業の競争が緩和されます。

この参入障壁の大きさは先日ご紹介したファイブフォース分析の新規参入の脅威の大きさを決める要素となります。

簡単に復習すると、参入障壁が大きな業界は、新規参入が起こりにくく競争が緩和されます。逆に参入障壁が小さい業界は新規参入が盛んになるため競争は激しくなる傾向があるという事です。

では、何がこの参入障壁の大きさを決めるのでしょうか。以下の要因が考えられます。

1.既存事業の優位性
 規模の経済がとても強く働くような事業、不動のブランドを確立されている事業、独自の技術がある事業、購入先を変えるコストが大きい事業などは既存事業が優位(参入障壁が大きい)とと考えられます。

2.法規制
 そのものズバリで、参入が規制されているような事業の参入障壁はとても強いです。

このマンガの食堂のおばちゃんは、既存顧客のロイヤリティーを高めるべく新メニューを続々と投入するだけでなく、政治力を駆使して参入を禁止させてしまう事を考えているようです。

  • 代表的な参入障壁
それでは、具体的な参入障壁を見ていきます。

上で既存事業の優位性が参入障壁に当たると書いていますが、それはなぜでしょうか?一つ一つ検討してみます。

・規模の経済
規模の経済が強く働くような事業においては、後から参入した事業者が十分な競争力を持つためには相当な規模を最初から確保する必要が出てきます。

例えば大規模な製造能力を確保した装置産業が主流となってるような境界が挙げられます。

このような業界で十分な競争力を保つためには競争相手よりも大きな設備を持つ必要が出てきますので、新規参入の意思決定は非常に難しくなります。

例えば競争相手が100億円の設備を持っているとして、自社がそれに対抗するためには100億円以上の投資が必要となれば容易には新規参入できませんよね。

・不動のブランド力とは
不動のブランド力がある企業と対抗するためには、十分な品質を備えるだけでなく十分に価格を競争力も必要となります。

品質と価格は一般的には両立し得ないものですので、このような先行している事業者がいるような業界にはなかなか参入できないのです。

・独自の技術

独自の技術が必要な業界については、その技術を持っていないと参入できません。

技術を手に入れるためにはコストをかけて自社で研究開発するか、知的財産権をどこかから入手してくる必要があります。

いずれにしてもコストに跳ね返ってくる為、参入は容易ではないのです。

・購入先を代えるコストが大きい業種
いわゆるスイッチングコストが大きな業種というものです。

例えば業務フローに完全に組み込まれた使い慣れたシステムを入れ替えるとします。この場合多少のコスト優位性では既存の契約をひっくり返すことはできません。

なぜならば既存の業務フローを全てを変える必要があるからです。

そして既存の業務フロー全てを変えるということは表面上は見えませんが莫大なコストがかかります。このような目に見えないコストが参入障壁となるのです。

5そのほかの参入障壁

この他にも独自の流通チャネルを獲得しなければならないであるとか、既に知的財産権で必要な技術を囲い込まれている。経験曲線効果が強く働き、先行している事業所に対してコスト面で追いつくことが到底できない。

などといったことが考えられます。

逆に言えば上に挙げたような参入障壁をいかに築いていくかが、競争優位を永続的に保つために我々が工夫すべきことなのです。



関連用語
移動障壁
スイッチングコスト
経営
2011年7月7日

範囲の経済 | 経営資源を共用することで生まれる効果なので、うまく使うことが成功のカギになります

hanni_001
範囲の経済とは、単一の事業ではなく複数の事業を持つことによって、低コストの運営が可能になることを言います。シナジーと非常に近い考え方ということもできるかもしれません。

範囲の経済性とも呼ばれ、企業規模が拡大することにより、様々な経営資源を共用することができるようになるために生じる効果であると言われています。

近い言葉で規模の経済がありますが、規模の経済は単一の製品やサービスの生産量が増加することで生じる効果です。

範囲の経済はこれとは異なり、様々な製品やサービスを一つの企業が提供する事で生まれる効果なのです。 簡単に比較すると以下のような関係性になります。

範囲の経済 規模の経済
発生する条件 一つの企業が多数の事業を行うこと 一つの事業の規模を拡大すること
生じる効果 総コストの削減 総コストの削減
効果が生じる理由 経営資源を共用することができ、単一の事業を実施する時に比べ固定費が薄まるため たくさん作ることで、固定費が薄まるため

  • 範囲の経済は経営資源が共用できることで生じる
これは、経営資源が共用できるためといわれています。経営資源が共用できると追加の費用をあまりかけずに(つまり単一事業をもつ同業他社と比較して低コストで)事業を運営する事が可能となります。

以下、具体的にどのような経営資源が共用できるかを見ていきます。

1.既存事業の販売チャネルやブランド

既存事業が持っている販売チャネルやブランドをそのまま用いることが可能です。イメージとしてはブランドを確立し店舗網を持っている薬屋さんが、関連商品として介護用品を取り扱う感じです。この場合、○○薬局の介護用品とのブランドや、店舗網がそのまま活用可能です。

2.既存事業の生産設備

既存事業が持っている工場や機械を使用できれば、追加の設備投資をせずに、新規事業に進出することが可能です。

3.固有の技術

食品事業を営んでいる企業が、その事業のなかで獲得した技術を用いて、健康食品事業に進出するケースなどがあります。


但し、何でもかんでも範囲の経済が生じるわけではありません。まんがで指摘しているように、全然合わない食品を製造・販売したり、本業のイメージを損なうようなものを製造・販売すると、範囲の経済はうまく働かないといわれています。
  • 範囲の経済を大きく働かせるためのコツ 
範囲の経済はこのような理屈で生じます。そして、範囲の経済を大きく働かせるためのコツもこの理屈から導き出せます。

それは、事業の重複範囲をなるべく大きくさせることです。

例えば、いくら範囲の経済が効いていると言っても、薬局が自社店舗の空きスペースでオーディオ機材を売るよりは、健康食品を販売する方が範囲の経済は大きく働きます。

これは、販売員といった経営資源がオーディオ機材を売る場合にはあまり重複しませんが、健康食品を売る場合には重複するためです。

また、調味料を作っている企業が、その発酵技術などを活かして健康食品を開発するなどと言ったことも範囲の経済が大きく働くと考えられます。
  • 単なる多角化とは違う
範囲の経済というと、多角化に走ろうとする相談を受けることがあります。

しかし、全く既存の事業と関係ない分野に進出してもあまり範囲の経済が効いてきません。

アンゾフのマトリックスの考え方で言うところの製品軸か、市場軸のどちらかを既存のものにすると言った考え方で企業を大きくしていけば、範囲の経済が働きつつ成長していくことができる可能性が高いでしょう。

解説で出てきた用語・関連用語
アンゾフの成長ベクトル
経験曲線
シナジー
規模の経済

経営
2011年6月29日

製品ライフサイクル | 製品にも生き物と同様ライフサイクルがあるとする理論です

life_001
製品ライフサイクルとは、生物が、誕生、成長、成熟、衰退へと至るプロセスをたどるのと同様に、製品にもこのプロセスがあるとする考え方です。

すなわち、

1.導入期は、製品が市場に導入された段階です。生物の誕生に対応する期間ですが、製品を市場に導入するため、比較的多額の費用を必要とします。産みの苦しみを味わう時期と言えますね。

2.成長期は、その製品が市場に受け入れられ、販売が伸びていく(成長する)時期です。高い成長率を誇り、生物の成長期に対応する期間です。

3.成熟期は販売の伸びは一段落して落ち着きますが、高い水準で維持される期間です。生物の成熟期に対応し、競争は激しくなりますが、高いパフォーマンスを発揮できる期間となっています。

4.衰退期は、販売が減少し、まさに衰退する期間です。

というように、需要と時間の流れを関連づけて考えます。

そして、製品ライフサイクルを図に表すと次のようになります。この図は縦軸に需要量、横軸に時間の流れをとり、需要量の線を描いています。
ライフステージ


この製品ライフサイクル理論と先日解説した、経験曲線を合わせてPPMという理論が導かれるのですが、こちらはまた後日解説いたします。

  • 製品ライフサイクル理論の活用方法

さて、ではこの製品ライフサイクル理論をどのように経営に活用していけばいいのでしょうか。


必ずしも製品はこのようなライフサイクルを辿るとは限りません。

しかし考え方に一つの指針を与えることは事実です。

そのため取り扱っている製品がライフサイクルのどこに当たるのかを想定しながらマーケティング戦略を考えていくというアプローチを取ることができます。

・導入期にあたると判断された場合は、まずは費用をかけてでも製品を認知してもらう必要があります。

知らなければ決して売れることはありませんのでとにかく知ってもらうことを重要視する必要があります。

その際どのような層に知ってもらうことが重要かと言うと、いわゆるイノベーターにあたる層です。

・次に成長期に当たると判断される場合は市場シェアを取りに行くことが重要です。製品がこの段階に到達すると、競争相手もどんどん参入してきます。

そのためマーケティングにかかる費用は相変わらず多く投入する必要が出てきます。

・成熟期に製品が当たると判断された場合は、マーケティング費用を徐々に抑えながら利益を最大化しつつ市場性を維持するという舵取りが求められます。

・そして衰退期に当たると判断された場合は、撤退を視野に入れるもしくは市場から利益を最大化するような価格戦略を取り収穫に入るという考え方もあり得ます。

なお経営資源に相対的に乏しい中小企業においては、あえて市場に留まり残存者利益を取りに行くという考え方もあり得ます。


関連用語
残存者利益 

組織論
2011年6月19日

プロジェクト組織 | 特定の目的のために集まってお仕事をする臨時的な組織です

project_001
組織が大きくなり合理的な組織を編成していくと、次第に組織が官僚的になり規則や手続きがそれ自体が目的となってしまい、かえって非効率な事が生じてきます。

この組織を活性化し、柔軟化させるためにいくつかの手段があります。今回はその中からプロジェクト組織についてお話します。

プロジェクト組織とは特定のプロジェクト(新製品や新事業開発の課題)に取り組むために一時的に編成された既存の各部門から知識や経験を持つ人を集めた比較的少人数の組織の事を言います。

このまんがでは、リズム感を養うべく、既存のパートという枠を超えて人を集めています。各パートから練習方法を考えるのがうまい人、リズム感に富んだ人や指導力の高い人を集める事が出来るため、柔軟かつ能率的なプロジェクトの運営が可能です。

ただ、プロジェクト組織の活動と普段のパートの活動がうまく両立できるか、プロジェクトに力を注ぎすぎて元の組織にすんなりと戻れるかどうかわからないといった問題があります。

まとめると、この組織の
短所は

1.出身母体となる組織とプロジェクト組織との間に軋轢が生ずる可能性がある。

2.プロジェクト参加者がプロジェクト終了後にすんなりと元の組織に適合できるかどうか分からない。

であり、

長所は

 1.必要な人を部署に関係なく集める事が可能であり、柔軟な人員構成が可能。

 2.それぞれの専門家を集める事が可能で、プロジェクト進行の能率がよくなる。

となります。 


neko_akire
ブツブツ…

onnanoko_bustup
どうしたの?浮かない顔しちゃって。

neko_akire
そうなんです。先日お店の陳列改善プロジェクトに抜擢されてキツネ君と一緒に仕事をしていたんですけど、プロジェクトが終わって元の部署にもどろうとしたら雰囲気がちょっと違うんです…

onnanoko_bustup_2
そうねぇ。君は自分の部署の利益を度外視してお店全体の事を考えてくれたから、お店としてはありがたかったけど、君の部署の子達からしたら微妙だったかも知れないわね。

neko_akire
そんなぁ。お店のために頑張ったんですけど。


  • 実際の運用の例
例えば企業の BCP プランを作成するために、社内の様々な部署から知見を持った人間を集めてプロジェクト組織を編成するということが考えられます。

この場合システム部だけではなくスタッフ部門である経理部や総務部また実際の営業部隊や製造部隊も集められるようなこととなります。

なぜかと言うと企業を存続させるために何が重要であるかについて関係各所が集まって考える必要があるからです。

またシステムの大規模な刷新に際し、社内から実際の業務の意見を集めるためにプロジェクト組織を構築するということもあり得ます。



ただこれらのプロジェクト組織はそのプロジェクトが終了した際に解散するという形となります。

BCP プランが出来上がったのに BCP プラン検討組織が存続し続けてもそのプロジェクトに参加している人達は仕事がありませんので解散して通常のお仕事に戻ってもらった方が合理的なのです。


このように企業の中で重要な業務について、通常の組織では解決できないようなものについてはプロジェクト組織を編成するというイメージです。
財務・会計
2011年2月27日

IFRS

Comic_IFRS_001
IFRSとは国際財務報告基準の事をです。なぜこんなものが必要かというと、今までは各国それぞれの会計基準で財務諸表をつくっていたため、単純に比較できないなど多くの不便がありました。

いわば、違う物差しや秤をつかって、同じものを測って報告書を書いているようなもので、読む側も作る側も不便ででした。

その不便を克服するため、会計のルールを統一して行こうという流れが生まれました。

例えば、馬という生き物の大きさを比べるときを考えてみます。

一人は○メートル○センチといい、もう一人は○尺○寸と言っています。しかも、一人は頭から尻尾の先までの大きさを測っていて、もう一人は頭からおしりまでの大きさを測っているような状況です。

さらに、報告書形式で報告されているので現物を見ることができない状態です。これでは大きさを比べる事は非常に困難です。

ここで、馬の大きさを測る際の単位の統一や計測方法の統一がIFRSに当たります。

このまんがでは男の生徒が円がドルになるのですかと言っています。ちょっと違いますが、通貨や会計基準などを統一して同じ形で表示するという文脈ではそれほど外れたことを言っているわけではありません。
スポンサードリンク
サイト紹介
まんがで気軽に経営用語を学んじゃおう。難しい・なじみのない経営用語でも、まんがなら簡単に親しめます。
まんがで気軽に経営用語について
協力者募集について
弊サイトキャラクターおよびイラスト募集について
TOP絵一覧
  • RSS
  • Twitter
索引
あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行
わ行
英字 A B C D E
F G H I J
K L M N O
P Q R S T
U V W X Y
Z
数字 1 2 3 4 5
6 7 8 9 0
ライブドアさんから
badge
リンクについて
本サイトはリンクフリーです。リンクいただきましても特にご連絡は不要です。
もしバナーが必要でしたらこちらをご利用いただければ幸いでございます。

header
電子書籍を出してみました
  • ライブドアブログ
project
◆経営マンガのポッドキャスト
ポッドキャストで気軽に経営用語 ◆経営マンガのツイッター小説
経営マンガのツイッター小説
Facebook