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経営管理

組織論
2015年1月12日

コンティンジェンシー理論 | どんな状況にもあてはまる最強のリーダーシップ・管理方法は存在しないのです

コンティンジェンシー理論
コンティンジェンシー理論とは、リーダーシップや管理方式の理論の一つで、どのような状況にも適合するような最良のリーダーシップ・管理方法は存在しないという理論のことを言います。英語ではContingency theoryと表記され、条件適合理論、状況好意性理論などとも呼ばれることがあります。

そして、最良のリーダーシップや管理方式の理論が無いので、組織の状況によってリーダーシップや管理の方式を柔軟に変更していこうというのがこのコンティンジェンシー理論の内容となります。

さて、何のことを言っているかよく分からないですよね?それでは、思い切って極端な例えを出して考えてみたいと思います。
  • 最強の理論を探せ!
リーダーシップや管理方法を研究する中で、様々な理論が提唱されてきましたが、その中で「じゃあどれが一番強いのか」という少年マンガ的なノリの疑問が生まれてきました。色んな強い奴が出てきたら、互いに戦わせるのが少年マンガの王道ですからね。

でも、実際に戦わせてみると、条件によって強い理論が異なっていることが判ったのです。

少年マンガ的に例えると、リーダーシップや管理方法の世界は、単純に腕力の強い奴が勝つ、伝統的なバトルマンガの世界ではなく、キャラクターは様々な能力を持っており、状況に合わせて一番クレバーに振る舞ったキャラクターが勝つマンガだったという事です。

(○リーザ様最強とか、魔●ブ●が最強といった話ではなく、広○康○君や吉○○影、ブチャ●ティが状況次第で最強というわけです。うーん年がばれますね。)

そのため、界○拳10倍やスー○ーサイ○人3といった風に馬力で押し切るのではなく、状況を探りながら、適切なス●ンドで敵を叩くといった事が必要というわけです。(あ、このくだりは半分冗談ですよ?)

さて、あまりふざけた事ばかり書いていると、読者に怒られてしまうかもしれませんので本題に戻ります。
  • 最強の理論はないから状況に合う理論を適用しよう
フィードラー(F.E.Fiedler)という学者さんが行った研究から、どのような状況にどのようなリーダーが望ましいかについての示唆が得られています。

このフィードラーさんは、リーダーのタイプと状況について次のように考えました。

(1)リーダーのタイプ
「リーダーにも人間関係の好き嫌いがあるはず。でも、それを素直に表して、嫌いな人に冷たく接する人だけではなく、嫌いだけど我慢して寛大に扱う人がいるハズ。それを指標化してタイプ分けしよう」と考え、リーダーの行動をLPC(Least Preferred Coworker: 一番嫌な同僚指数)という指標で捉えました。

この指標に従い、LPCが高いリーダーは、一番嫌な同僚とも上手くやっていくので、『人間関係志向』、LPCが低いリーダーは、一番嫌な同僚と上手くやることにこだわらないので、『職務志向』であるとしています。

(2)状況のタイプ
「状況と漠然と考えてもわからないから、次の3つの点が良いか悪いかで分けよう。」と考えて、次の3つの基準を設定しました。

すなわち、
①リーダーが支持されているか
②仕事は構造化されてイレギュラー対応が少ないか
③リーダーに大きな権限が与えられているか
の3つです。

そして、このリーダーのタイプと状況のタイプを組み合わせて、どの状況でどのようなリーダーシップが効果的かを調べたのです。
  • 結論は
さて、この調査の結果次のようなことが判りました。

(1)状況がリーダーに好意的な場合
(①リーダーが支持されており、②仕事は構造化されており、③リーダーに大きな権限がある場合)

LPCが低い、『職務志向』のリーダが高い業績を上げた。

(2)状況がリーダーにとって悪い場合
(①リーダーが支持されておらず、②仕事は構造化されておらず、③リーダーに大きな権限がない場合)

LPCが低い、『職務志向』のリーダが高い業績を上げた。

(3)状況がリーダーにとってはどちらともいえない場合((1)(2)の中間の状況)

LPCが高い、『人間関係志向』のリーダが高い業績を上げた。
  • いかがでしょうか?
直感に合致する結果でしたでしょうか?人間関係志向の成熟したリーダーの方がいずれの場合でも高い業績を上げると思いませんでしたか?

でも、この実験では、このように状況によって有効なリーダーシップや管理方法は異なるという結果が出ているのです。

このように、どのような状況にも適合するような最良のリーダーシップ・管理方法は存在せず、このことを指摘したのがコンティンジェンシー理論なのですね。
似た用語
組織論
2011年7月21日

X理論Y理論 | 無味乾燥な理論名ですが、言っていることは人間の本性に迫る深い洞察です

X理論Y理論_001
X理論Y理論とはアメリカの心理学者マクレガー(McGregor)が提唱した理論です。理論名だけでは何のことを言っているのかさっぱりわからないので、まずX理論とは何か、Y理論とは何かを見ていきます。

1.X理論
マクレガーは伝統的管理論が持つ人間観をX理論と名付けました。この人間観は「人間は本来怠け者であるため、仕事をさせるためには強制や命令が必要となる」という人間観です。東洋思想でいうところの荀子の性悪説に似ているかもしれませんね。
こういった管理を行うためには、できなかったら処罰するなどのいわゆる「アメとムチ」の経営を行う必要があります。

2.Y理論
X理論に対し、人間は自ら働きたがるものであるという人間観をY理論と名付けました。この人間観は「人間は本来働くことが好きであり、自己実現の為に自ら進んで行動する」という人間観です。こちらは孟子の性善説に似ているかもしれません。
こちらは魅力的な機会、目標を与え続けることで従業員のモチベーションを高めていく必要があります。

マクレガーは、先日解説したマズローの欲求段階説の、生存欲求や安全欲求が満たされているような現代では、X理論での管理は現実にそぐわず、Y理論に基づいた管理が望ましいと提唱しました。

このまんがにあるように、メガネの先輩がバットを持って後輩を監視しているようなパート(X理論に基づくアメとムチの管理)より、目標を示して自主的に練習をさせているパートのほうが練習の成果が上がるというわけです。 

kitsune
X理論は「働きたくないでござる」的な人を想定しているんだね。だから、ある程度の強制力を持って働いてもらわないといけないという発想なんだね。

hiyoko
そうよ。それに対してY理論は「働くことこそ自己実現」的な人を想定しているのよ。

hiyoko
だから、目標だけ与えておけば自己実現を目指して努力してくれるというわけね。

kitsune
現代では、どっちの人がおおいのかなぁ?

hiyoko
現代社会では、基本的な欲求はすでに満たされているのが前提なので、Y理論の方が望ましいと言われているのよね。



  • 気をつけること

とはいえ Y 理論がどのような状況においても望ましいというわけではありません。

この議論の前提は、
マズローの欲求五段階説の生理的欲求や安全欲求が既に満たされているという状況や、
ハーズバーグの動機づけ要因衛生要因の
衛生要因が既に満たされているということです。

つまり、
基本的な待遇が満たされていない状況において、
Y 理論に基づく魅力的な機会の提供などを行ったとしてもあまり効果が出ないということです。

関連用語
動機付け要因・衛生要因
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