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組織

経営
2026年2月21日

ピュアカンパニー | 単純に規模の拡大を志向すれば良いというものではありません

ピュアカンパニー化
ピュアカンパニー化とは、企業の組織が多角化し複雑化していく中で、その弊害が目立ってきた時に、特定の分野に集中的に経営資源を透過し、企業にとって最適な範囲での経営を実施することを指す言葉です。

■拡大路線のデメリットとピュアカンパニー

企業の規模が拡大して、多角化すると範囲の経済シナジーと呼ばれる相乗効果が生まれてくると言われています。いわば、こういった拡大方向は、企業戦略上のセオリーだったのですね。

しかし、ある範囲を超えて企業の活動領域が拡大した場合には意思決定が遅くなるであったり、組織内での意見調整が難しくなるなどといった弊害が見られてきます。

「このハンコはどうして必要なのかな?」とか「あの話なら○○課長に話を通して、そのあと、関係会社にも声をかけて…」などといった風に、明らかに必要以上の調整が必要になってくるといった現象を経験したことがある人もいるはずです。

このような調整などに時間をかけているという事は、その分時間がかかって、納期が遅くなったり、コストが余計に係ったりとお客様に対しては関係のない部分で自社の競争力を殺いでいる事につながっているのです。

こういった弊害をシナジーに対してアナジーと呼ばれるのですが、このようなアナジーが目立ってきた際に、初心に戻って競争力のある分野に特化する方向を探るといった考えをピュアカンパニー化と呼ぶのです。

会社(カンパニー)を複雑なものから純粋にする(ピュアにする)ことからピュアカンパニー化と呼ばれるのですね。

■ピュアカンパニー化の実例

有名なピュアカンパニー化の実例は、かの有名なGE(ゼネラル・エレクトリック)です。コングロマリットを志向し、多角化し巨大企業の代名詞だったのですが、シナジーを活かしきれずに不効率(アナジー)が表面化しつつありました。

そのような中、最終的には医療機器、航空などの中核事業に経営資源を集中する方向へかじを切りました。

GE、事業別に3社分割へ-コングロマリットの歴史に終止符

米ゼネラル・エレクトリック(GE)は、ヘルスケア、電力、航空の3事業別に分社化する。コングロマリットとしての同社の歴史に終止符が打たれる。

中略

カルプ氏はインタビューで「われわれが行っているのは、ヘルスケア、航空、エネルギーの各分野で3つの優れた投資適格企業を生み出すことだ」と説明。「GEは長い間、これらの市場を率いてきた。これからは次の世紀のリーダーシップに向けて踏み出す」と述べた。

中略

GEの分社化により、20世紀のコーポレート・アメリカを特徴付けていたコングロマリットの時代は終わりを迎えることになる。投資家は多面的に事業展開する企業よりも焦点を絞った企業を選好するようになり、他の大規模な多角的企業もこれまでに複数が分社化を選択してきた。

出典:ブルームバーグ (掲載日2021/11/9)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-11-09/R2B0GGT0G1KW01

GEといった巨大企業でさえ、本業に経営資源を集中投入すると言った方向に回帰しているのです。

また、ソニーなどもゲーム・エンタメ側に経営資源を集中しており、2025年現在、家電を作っているイメージは希薄になっているでしょう。

このように、事業ごとの収益性や将来性を冷静に評価し、採算の合わない分野から撤退する判断は、多くの中小企業にも参考になります。特に経営資源が限られている場合には、集中と選択こそが競争力の源泉となるのです。

■多角化は難しい?

多角化すると、範囲の経済を追求できるので良さそうに見えますが、経営の専門性が分散しますし、組織間の調整コストが増大します。

人間の限られた認知能力ではこれらの調整を完ぺきにこなすことが難しく、特定分野を専業で行ってる企業に遅れを取りがちとなり、結果的に全体のパフォーマンスが低下するといったことが発生するのです。

多分、組織人の皆さんは経験があると思う一つの例を出します。

自部門が組織全体を冷静に見た際に、組織を牽引するだけの成果を出していないとします。

その時、その自部門の代表として会議に臨んだとして、全体最適のために自部門へ投入される経営資源の削減を訴えたりしますか?また、そのような議題になったら、抵抗しませんか?

この問に、「私は組織全体のために動きます」と胸を張って答えられる方は、ぜひ社長になることを目指してください。(社長になるまでの何処かで、自部門を切り捨てるような言動をすると放逐されるリスクが大いにありますので、大望は社長に成るまで隠すといった処世術を身につけることをオススメしますが。)

■判断基準はどうするの?

たとえば会社を一つのお店として考えます。そのお店が元々は喫茶店だったとします。

しかし顧客ニーズに答えるという掛け声の元、ラーメンをメニューに追加し、ハンバーガーを置き、お店の端っこに店主の母親の趣味でブティックみたいに婦人服まで扱いだしたらどうでしょうか?

小規模事業者においてはそれもありですが(商売はこれ以上大きくなりにくくなりますが、家族が生活できるならばそれも有りです)、一般的には悪手です。

なぜならば、競争相手は喫茶店なら喫茶店専業ですし、ラーメン屋さんならラーメン屋さん専業です。また、ブティックに至っては業種が違うので全然違う商売を並行で動かすことになります。

社長がどんなにスーパーマンでも構造の違う2つの商売を一気に回すのはとても大変無ことです。

そこで、次のような判断基準で本業を再定義すると商売が見えてきます

■収益性(一番得意なものは何?)

大抵の場合は最初に始めた商売になりますけど、先程の例だと場合によってはラーメンの美味しさが評判だったりします。

その場合はラーメンに集中するのも一つの選択肢です。

■競争優位性(それをやめたら困るか)

もしその商品を扱うのをやめたらどうでしょうか?何となく惰性で続けているならやめてしまっても良いかもしれませんよ。

上の例でハンバーガーがほとんど売れていないなら、やめてしまうのも手なのです。

■組織負荷(手を広げすぎてない?)

何となく仕事を惰性でしていませんか?忙しいだけであんまり儲かっていない部門はありませんか?そういった部門はやめてしまうのも一つの手です。

上の例だとブティック部門はわざわざ洋服を食材の仕入れとは別に問屋街まで仕入れに行く必要がありますし、在庫管理の方法も違うため、相当負荷がかかっているはずです。

どうしてもライフワークとして洋服を売りたいと言うならば止めませんけど(商売としてはおすすめしませんが)、重りを付けて商売するような感覚になってしまいます。

このようにピュアカンパニー化は単に収縮するということではなく、本業に組織の力を集中させることです。

初出:2015/05/14
更新:2025/07/20
追記:2026/02/21
財務・会計
2014年9月22日

コストセンター | 費用のみを集計していく部門ですが全体最適を考えて管理する必要があります

コストセンター

コストセンターとは、費用のみが集計される部門(収益が集計されない部門)のことを言います。会計用語としては原価中心点などとも呼ばれます

■コストセンターとして位置づけられる部門

コストセンターとは直接売り上げが上がらないような部門でが位置づけられます。

そのため、一般的には売上を生み出さない、経理部門や人事部門、生産部門などが該当します。

いわゆるバックオフィスの部門や製造部門が該当します。会社内でコストセンターという言葉が使われるならば、大抵このようなバックオフィス部門か製造部門のことを指していると理解して間違いないと考えられます。

■コストセンターの業績評価は

このコストセンターは売上が派生しないため、費用のみしか管理対象となりません。そのため、コストセンターの責任の範囲としては自部門で発生する費用のみとなります。

例えば、会計上の指標で業績評価を行う場合、コストセンターに位置付けられる部門は、費用をどれだけ低減できたかといった視点で業績評価を行う事となります。

人事部門は採用コストをどれだけ削減したか。経理部門はどれだけ少ないコストで会計報告や管理会計上の指標を作り上げたか。生産部門はどれだけ少ない費用で製造を行ったか。といった感じです。

このように、コストセンターの業績評価は、コストダウンによって測られる事となります。

その結果、部門の目的はコスト削減となるのですね。言い換えれば、効率的な仕事を実施し人件費やその他の経費を低減するといった事が目標達成の手法となるのです。

まさに、同じ成果を最小の犠牲(コスト)でといった発想ですね。

■バックオフィスや製造部門がコストセンターでないケースもあります

人事部門や経理、生産部門を例に出しましたが、これらの部門が必ずしもコストセンターであると決まっているわけでない事に注意が必要です・

例えば、人事部門であってもシェアードサービス化してグループ会社内でお金を取っていくことが可能となります。

この場合、収益にも責任が生じるわけです。このように利益を生む部門をプロフィットセンターと呼びますが、営業や販売部隊以外でもプロフィットセンターになり得るのです。
また、経理部門も会計事務所などにとってはそれ自体が商品であるため、経理業務を受注すればプロフィットセンターですし、製造部門も他社の製品を外注などで製造していればプロフィットセンターです。

onnanoko_bustup
だめよー、清掃業務は確かに売上を上げないかも知れないけど、それで気持ちよくお客様がお買い物できて、売上が結果としてあがるなら決してコストセンターじゃないのよ。

kitsune_odoroki
でも、コストをかけて隅々まで掃除するなんて意思決定は、清掃部門の長にはできませんよね。コストセンターとしては業績が悪化するわけですから。

onnanoko_bustup
そうね、そういうのが部門毎にコストセンターとかプロフィットセンターとか言うことの弊害なのよね。

■収益を生んでいなくてもコストセンターではないケースもあります

会社の考え方次第ですが、従業員の能力に業績が左右されるような仕事もあります。例えば講師派遣業などは、どれだけ優れた人材を採用できるかで成否の大きな部分が決まります。

(凡庸な人材でも一定の成果を上げるようにするのが経営管理の重要な点ですが、そうはいっても、企業ごとに求める凡庸な人材の水準は異なります)

この意味で、直接収益を生んでいなく、定義上ではコストセンターである人事部がプロフィットセンターに位置づけられる余地はあります。

■別にコストセンターだからと言って悪い事ではありません

コストセンターとは費用しか発生しない部門といった意味合いです。

ともすると、コストセンターは費用だけしか発生しないといった事を捉えて、会社の中であまり必要がないといった風に考えられがちです。

このあまり必要ないといった雰囲気を一歩進めて「コストセンターを脱却してプロフィットセンターになるべき」といった風に言われる事すらあります。

しかし、別にコストセンターである事やプロフィットセンターである事に良し悪しがあるわけではありません。あくまで、費用のみが集計される部門であるといった意味合いの言葉です。

そのため、コストセンターであることが悪い事であるかのように言われる場合もありますが、そんな風に悪しざまに言われる筋合いは言葉本来の意味としては全くありません。

hiyoko
これからはうちはプロフィットセンターだわ。ちょと小銭を稼ぐのよ。

onnanoko_bustup
あらあら、コストセンターをプロフィットセンターにするってかけ声もいいけど、君たちが小銭を稼ぐ事は全体最適なのかしら?

neko_akire
オーナーさんはコストセンターから脱却とかそういった話しが好きじゃないんですね。

onnanoko_bustup
そうよ、コストセンターはプロフィットセンターに向かうのではなく、コストセンターのアウトプットに対する費用対効果で計測すべきと思うわ。

■全体最適の方が重要です

もっと言えば、コストセンターが無理に稼ごうとするよりも組織内で必要な役割を果たして、組織全体の生産性を向上する事の方が重要です。

サッカーでも何でも、守りを仕事とする選手がいます。その人に、持ち場を離れて点を取ってこいというのは全体最適にはなりえません。

この意味から、短期的な利潤獲得のために不得意なことをあえてやらせるような意思決定は慎む必要があります。

また、コストセンターに位置付けられるとコスト削減が部門の成果指標となってくるので、全社的に良くなるために自部門が積極的にコストをかけていくといった意思決定はなかなかなされなくなります。

製造部門で1億円かければ全体として2億円のコスト削減ができると言った場合でも、部門毎に厳格に業績評価をするならば製造部門はそのような意思決定はできなくなります。

この意味から、部門毎に過度に目標を追いかけさせるだけでなく、全体最適の視点も業績評価に取り入れる必要があります。

人の行動は設定された成果指標によって変わってきてしまうので評価の設計はとても重要なのですね。

関連用語
シェアードサービス
プロフィットセンター
インベストメントセンター
レベニューセンター
組織論
2014年9月19日

企業風土 | 企業にも固有の風土が育ってくるのです

企業風土
企業風土とは、企業を構成しているメンバーが共有する、その企業特有の考え方や価値観などの環境のことを言います。と、なんだか難しく書いてしまいましたが平たく言うといわゆる社風の事です。

企業に長く勤務していると「あれがウチの会社の社風だからね…」といった言葉を聞くことがあるかもしれません。

別に言葉で定義されているわけではないのですが、その企業の従業員がなんとなく同じような価値基準に基づいて行動をする。その場合の価値基準が企業風土であるといったイメージです。

この企業風土が存在していることによって同僚同士のコミュニケーションがとりやすくなるといった効果が期待できます。

「うちの会社の社員だったら、こう言う風に判断するよな…」といった暗黙の了解があれば、その為に必要なコミュニケーションにかかるコストが節約できますからね。

■企業風土の良い面と悪い面

企業風土の良い面としては、皆が同じような考え方を持つことでチームワークが良くなります。価値観が似てくるため判断も早くなりますし、協力もしやすくなってきます。(とはいえ、これは協力するという望ましい企業風土が根付いている場合に限りますが)

ただ、一般的に好ましくない企業風土だとしても、暗黙知が共有化されることで意思決定は早くなり、業務効率は高まります。

ただし、企業風土が強まってくると「いや、それはうちはこうやって居るんだよ」といったふうに新しい考え方を受け入れない雰囲気ができてくるケースもあります。

いわゆる硬直化してくるというやつです。世の中の外部環境はドンドン変わっていくのが普通ですから、外部環境の変化についていくことが難しくなって来てしまうのです。

また、新しく入ったメンバーが企業風土への同調を強いられるという面が出てきます。そのため、企業風土が一般的に好ましければまだいいですが、昭和のパワハラ上等とか、不合理な年長者は偉い的な暗黒のノリが残っていると人材採用にも大いに支障をきたしてしまいます。

このように、企業風土は大切ですが、時代に合わせて経営理念やビジョンに基づいて定期的に再評価して望ましい次代にあった企業風土の構築を促す制度設計を行うことが大切なのです。

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