行政書士試験の攻略法について書いていますが、攻略法の記事の第四回目として、商法・会社法の攻略法について考えていきたいと思います。
商法や会社法は法令等の分野になります。そして通例では、商法から1問、会社法から4問が出題され、20点の得点がある出題分野です。
ただし、300点満点の試験である行政書士試験の中で20点は6.6%程度のウエイトですし、その割に法律としては膨大な条文のある分野ですので苦手意識を持っている人は多いと思います。
今回は商法・会社法分野についての攻略法を一緒に考えていきたいと思います。
■商法や会社法はお好きですか?
改めて言いますが、行政書士試験の合格を目指している人の中には、商法・会社法の分野に苦手意識を持っている人が多いと思います。「独学で合格した筆者はどうだったのですか?」と疑問に思われるかもしれないので、あらかじめ回答しておきますが、筆者は特に苦労せずに一応2問から3問ほどはコンスタントに正解していました。
というのは、筆者は経営法務という科目がある中小企業診断士にすでに合格していたため、特に学習をしなくとも、それくらいは得点はできていたという状態でした。
この話を自慢話のようにとらえるのではなく、中小企業診断士の経営法務を学んだだけの知識で、商法や会社法という膨大な量の条文がある法律が出題分野なのに、半分はコンスタントに取れていたと捉えてください。
ここからは、その細かい内容について掘り下げてみます。
■中小企業診断士の経営法務は
説明のため、少し話を横道にそらします。行政書士試験を受験する方にメリットのあるお話をしますので、少しだけついてきてくださいね。まず、中小企業診断士試験の経営法務がどのような分野を対象としているかについてざっくりと分野分けしてみます。
- 民法分野として契約や相続等について
- 株式会社の機関設計や組織再編などについて(会社法)
- 金融消費取引法など資本市場について
- 特許や実用新案、意匠など知的財産権について
- 独占禁止法、PL法、景品表示法など
また、経営法務の試験では、これらの分野について60分の試験時間で問われる事となります。
■行政書士試験の商法・会社法とダブる部分は
さて、この中で会社法といっている部分ですが、- 株式会社の機関設計や組織再編などについて(会社法)
具体的には株主総会や取締役会などの企業統治の分野について中心的に押さえておけばある程度の得点は期待できるでしょう。
そのため、あまり苦手意識を持つ必要はない分野なのです。
■優先順位は高くありません
行政書士試験の学習に限って言えば、商法・会社法を学ぶ優先順位はあまり高くありません。上でも指摘した通り、学習する分野の量と比較して、割り振られている得点が少ないためです。また、学習する必要がある分野が多岐にわたっているので、なかなか得点が伸びにくい分野であるということもできると思います。
というか、この分野に深入りすると、時間がいくらあっても足りません。そのため一通り、テキストの内容を押さえて、過去問を解く位にしておいたほうが良いでしょう。
おそらくコンスタントに半分の正解数を出せるようになる学習量と、8割の正解数を出すために必要となる学習量は比較にならないくらい8割の正解数を出すための学習量のほうが多くなるはずです。
(こういった現象を収穫逓減といいます。)
■全く勉強しないのではなく、半分取れればいいと割り切ってください
メリハリを付けた戦略的な学習が資格試験の合格にあなたを近づけます。そのため、全く勉強をしない捨て科目を作るというのも一つの手だとは言われています。しかし、商法・会社法の分野はアレルギーさえ起こさなければ、数問の正解を拾うことは十分に可能な分野です。それも、必要以上に多くの時間を費やす必要はなく、テキストと過去問中心の対応で大丈夫だと思います。
行政書士の商法・会社法のテキストにはそれほど難しいことは書いていませんし、過去問を解くにしても、例年5問しか出題されないので10年さかのぼっても50題で済みます。
テキストを読んで、50題分の過去問を解いて、選択肢一つ一つをテキストに戻ってみていけば、しっかりと得点を拾うことができる分野になると考えられますよ。
この分野で、3問正解できれば、ほかの分野でも6割の正解率で大丈夫ですし、2問正解でも、ほかの分野で1問余計に正解すればよくなるだけになります。
そのため、最初から全く捨ててかかっているライバルと比較すれば、この分野に多少でも学習時間を投入すれば有利になります。
この分野は、全問正解は最初から無理だと考え、コンスタントに数問の正解を出すことが問われていると割り切って学習するとよい結果につながると考えられますよ。
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