最終仕入原価法とは棚卸資産などの払い出し価格を評価する方法の一つです。この最終仕入原価法は一番直近に仕入れた単価を使って棚卸資産の評価を行う方法です。
これは期中に仕入れた単価の記録をしていなくても、最後に仕入れた単価さえわかれば払い出し単価がわかるといった優れた特徴を有しています。
この方法を使えば「記録をする手間が省けてとてもいい」と考える方もいらっしゃると思いますが、美味しい話にはウラがあります。
例えば、最後に仕入れた単価だけすごく高かったらどうでしょう?(納期を急いでもらったり、通常より少なく発注したり、インフレが進行していたりしたらあり得る事です。)
通常は単価10円で仕入れていて、当期は1,000個仕入れたとします。但し、最後の1個だけ20円で仕入れてしまったとします。
期首に在庫はなく、期末には100個だけ在庫が残っていたとすると、
- 最終仕入原価法の場合
期末の棚卸資産は100個×最終仕入単価20円=2,000円となります。
この場合の売上原価は10,010円-2,000円=8,010円となります。(上の図の売上原価の部分です。)
- 先入先出法(先に仕入れたものから使う)の場合
期末の棚卸資産は1,010円(10円で仕入れた99個と、20円で仕入れた1個が残っている)になりますので
売上原価は10,010円-1,010円=9,000円です。
売上高はどのような在庫の評価方法を用いても変わらないので、売上原価の変化によって売上総利益が変わります。
この場合、最終仕入原価法の方が売上原価が低くなるので利益は多くなります。
なんか変ですよね?でも税務上は認められています。というか届け出をしないとこの方法になります。企業会計原則上は認められていませんが、税法で認められているので多くの企業が採用している方法です。
このまんがでは 、気持ちよく演奏していたようですが、最後のハーモニーが崩れてしまったようです。
最終仕入原価法はこの最後の印象(単価)で全体(利益額)を評価するような方法であるという事ができます。