まんがで気軽に経済用語

「知らないから動けない」をなくしたい。 中小企業診断士が、現場視点で経営用語をまんがでわかりやすく解説しています。 読むことで、生産性が上がり、心に余裕が生まれ、社会全体がちょっと良くなる。そんな循環を目指しています。

収益性

財務・会計
2025年6月12日

経営分析(財務分析)

経営分析_001
経営分析とは、主に企業の財務情報を用いて企業の現在の状態を分析・把握し、将来の予測に役立つ情報を作り出す技法の事を言います。一般に経営分析は財務分析と同義語で使われる事が多いと言われています。

経営分析は、ただ数字を読むだけではありません。立場によって同じ数字の意味はまったく異なり、それが現場の判断を大きく左右します。

この財務情報を加工して作り出した様々な指標を業界平均や競合他社と比較することで、自社の特徴や改善すべき点が見えてきます。

また、取引先の与信管理に役立てて貸し倒れによる損失を防いだり、投資家として投資すべき企業を選別する際に用いたりすることができます。

この経営分析は大きく分けて次のように分けられます。

1.収益性の分析
企業がどの程度の利益を上げているかを分析する手法です。ROI等が指標として用いられます。

2.安全性の分析
企業の財務内容は健全であるかを分析する手法です。自己資本比率等が指標として用いられます。

3.生産性の分析
経営資源のインプットと付加価値として得られるアウトプットの関係を分析する手法です。労働生産性等が指標として用いられます。

このまんがでは経営分析の説明を聞いた男子生徒は逃げ出してしまいましたが、計算自体はほぼ、四則演算のみで行うことができますので、アレルギーを起こさずに取り組んでみるとよいと思います。

関連用語
自己資本
他人資本

実務面からの加筆:
経営分析、財務分析をどのように扱うかは悩ましいテーマです。

極論を申し上げると中小企業の財務で全く問題がないというのは稀です。そのため、財務分析をすると結構辛い数字が出てきたりします。

その時、自分のスタンスによって取りうる方策は変わってきます。

■与信管理のスタンス

主に与信審査担当、取引先を審査する方のアプローチを見ていきます。

この場合は、貸倒を避けることが任務になりますから、かなり厳格に数字を見ていく必要があります。

会計の格言で「費用は大きく、収益は保守的に見積もる」といった物があり、会計は用心深く行うといったアプローチがあります。(保守主義の原則といいます)

この観点から、財務諸表については安全性や流動性の指標を見るだけでなく、場合によっては「粉飾があるかもしれない」といった観点で数期分の数字の推移や同業他社との比較も行っていきます。

特に、利益が出ているけど、在庫や売掛金が著しく増えているなど不自然な動きをしていたら要注意です。

このように、どちらかというと性悪説的に、最悪の場合に備えて厳しく見ていくことが求められます。

■営業担当者のスタンス

取引先と取引をしたいわけですから、なるべく前向きに見ていくことが求められます。

とはいえ、貸倒になったらせっかく頑張って販売してもマイナスにしかなりませんので、細かく見るところは見ていく必要があります。

どちらかというと成長の余地や前向きな点を探し、社内稟議に備えていく必要があります。

■支援者(コンサルタント)など私達と同業者

現状をまずはありのままに把握します。意見は事実をもとに構築すればいいので、まずは現状がどうであるかを見ていくことが重要です。

その結果、あまり良くない数字だったとしても、どのような動きをすれば改善できるかという可能性も追求していく必要があります。

その意味で、与信管理者の厳しいスタンスで現状をみつめ営業担当者の未来を一緒に作っていくスタンスで希望を見ていくことが重要です。


なお、支援者が厳しく査定し会社のだめな部分だけを指摘するような態度はあまり望ましくないと考えます。会社の状況が良くないのは会社の人が一番ご存知ですので、そこを強調しても仕方ないのです。

支援者にとっての経営分析は企業を裁くための道具ではなく、企業と一緒に可能性を見出す対話の第一歩といったスタンスが求められるのです。

初出:2011/10/31
更新:2025/06/12

経営
2014年8月4日

V字カーブ | 中途半端な規模が一番儲からないのです

V字カーブ
V字カーブとは事業の収益性と売上高(事業規模)の関係が、ちょうどVの字を書くようになるという経験則のことを指します。

と、ちょっとこれでは分かりにくいですね。そこで下のグラフを見てください。
V字カーブ【図】
このグラフでは、売上高の小さな企業の収益性は高く描かれており、また売上高の大きな企業の収益性も高くなっています。

しかし、売上高が中くらいの企業は収益性が低くなっており、ちょうどV字を書くようなグラフになっていますよね。このような経験則からV字カーブという言葉が発生したのです。
  • どうしてこんなことが起こるの?
さて「そういう経験則があるのは分かったけど、なぜそんなことが発生するの?」といった疑問を持たれる方もいるかもしれません。

そこで、規模が小さな事業と大きな事業の持つ有利な点を挙げてみたいと思います。(中規模の事業の場合どちらの利点も持ちにくくなるため収益性が劣るケースが多くなります。)
  • 小規模事業の場合
まず、小規模事業の場合、比較的大きな企業が参入できないような市場のニッチを狙う事が可能です。

例えば、『海運業界に就職したい、留年した学生さん』をターゲットとした就活セミナーなど、『就活対策』という大きな市場の中で『海運業界、留年した学生さん』というニッチを狙いに行く戦略です。

また、小規模事業の場合、従業員への教育訓練のコストも小さくなりますし、事業を管理するためのコストも小さくすることができます。

このような結果、小規模事業の場合は売上高の割にしっかりとした収益を得られるのです。
  • 規模の大きな事業の場合
さて、これに対して規模の大きな事業の場合はどうでしょうか?この場合、単純に規模の経済が効いてきます。また、多角化しているケースも多いでしょうから、範囲の経済も狙えます。さらに、累積生産数量が大きくなれば経験曲線効果も狙えます。

簡単に言うと、同じモノなら安く提供することが出来るようになるのですね。

また、十分に市場シェアの大きな企業ならば、リーダーとして振る舞う事も出来るのでこの面でも有利となります。
  • 中規模企業の場合
さて、中規模企業の場合どうなるでしょうか?市場のニッチを狙いに行くには企業規模が大きすぎて、かといって市場シェアを確保してリーダーとして振る舞うには企業規模が小さいといった状況に陥りそうですよね。

また、事業の管理コストも小規模企業と比較して多くかかりそうです。しかし物流センターを持つまでに至らない場合、物流のコストは大規模企業と比べて抑えることが難しいといった状況です。

このように、中規模企業の場合収益性を確保することが中々難しいという経験則をグラフにしたのが『V字カーブ』なのです。
財務・会計
2011年11月16日

売上高経常利益率

売上高経常利益率_001
売上高経常利益率とは収益性の分析の一種で、分析対象企業の本来の収益性を測る指標です。

この指標は高ければ高いほど、通常の企業活動の収益性が高いということが可能です。

これは経常利益が財務活動(借入金の利払いや受け取っている利息など)を含め、臨時的な特別損益を計上していない利益の概念であるため、通常の活動の収益性を示すということができるためです。

この売上高経常利益率は【売上高経常利益率=経常利益÷売上高×100%】という計算式で求めます。この式はその企業の売上高で経常利益額を除すという構造になっているため、売上高の大きさが異なっていても比較することができます。

ここで、この指標を使用する際に注意点があります。それは経常利益という利益概念は上で述べたとおり、財務活動の結果が含められているということです。

例えば、売り上げが100円で経常利益が10円の会社がA社、B社の2社あったとします。

ここでA社は有利子負債を相当量額抱えており、支払利息で5円負担したうえで経常利益が10円となったとします。

また、B社は本業ではほとんど利益を上げられていませんが、豊富に持っている債券の利息9円を受取った結果経常利益は10円となっています。

これらの企業は売上高経常利益率は同じ10%ですが内容は大きく異なっていることが直感的にも感じ取れると思います。

今回のまんがでは、収益性を分析した結果「学食」も、「経営クラブ」もROAがほぼ同じであったと言っています。しかし、売上の規模も違うし、持っている資産の規模も違うため、もっと詳細に分析してみたいと考えているみたいです。

最終コマで先生にもっと詳しい分析の方法を聞いてみると言っていますが、きっと先生は今回の売上高経常利益率や総資本回転率などの指標を教えてくれると思います。

それはこれらの指標は以下の式のように、ROAを売上高を使って分解した指標であるからです。

1.(総)資本利益率(ROA:Retuen On Asset)=経常利益÷総資本×100%
2.売上高経常利益率=経常利益÷売上高×100%
3.(総)資本回転率=売上高÷総資本 (回)
経営指標
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