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参入障壁

経営
2011年10月23日

撤退障壁 | 撤退障壁の意味と撤退戦略、やめ時を判断する実務視点

撤退障壁_001
撤退障壁とは参入障壁とは逆に企業がある事業から撤退したいと考えたとき、その事業から撤退する際に生ずる問題点の事です。

これは次のようなものがあげられます。

1.従業員
その事業に携わる従業員の処遇が難しくなり、また、雇用の確保、その事業に携わっていた従業員の労働意欲の低下といった問題があります。

2.取引先・地域社会
取引先や撤退される地域社会の反対や、反対を押し切って撤退した場合の信用が傷つくといった問題があります。

3.経営者の自尊心
経営者の感情的な撤退に対する抵抗や、自分の肝いりで開始した事業からの撤退の場合、自尊心の低下を嫌がるといった問題があります。

4.投資の回収
その事業のために投資した資金の回収やその資産の処分の可能性を考えなければならないといった問題があります。すでに投資したものはサンクコストとなるため、考えても仕方ないケースがあるのですが。

そして、撤退障壁が高い事業領域では、非採算事業であっても既存の企業が撤退しないため、一般的に競争は激しくなりがちです。

このまんがではどうやら既存の事業の収益性がよくないためその事業から撤退したいようです。しかし、2コマ目のように、そこで働いてくれている人の士気が気になったり、3コマ目のようにその事業がある地域に受け入れられている場合にも反対が予想されます。

それらの事があるため、決断が難しいようです。

■撤退障壁をどう考えるか

辞め時、やめ方を考えることもとても重要です。というか、トップマネジメントの最重要な意思決定となります。

もちろんやめ方にも、信用を失わないやめ方が重要です。例えば、部活を辞めるときに、急に来なくなると信用されなくなっちゃいますよね?同じやめ方でも、顧問の先生や部活の仲間たちにしっかりと話して正式にやめたほうがその後の信用が保たれやすくなります。

会社においても同様で、段階的に縮小したり、事業譲渡して(事業自体は自社ではやらないけど続ける)など複数の選択肢があります。

いきなり撤退するのはあまりに無責任ですし、そこで働いている従業員さんや取引先、お客様への影響がとても大きくなるため、従業員の配置転換、お客様へ代替供給先の案内、取引先への連絡などいわゆるソフトランディングを意識したプロセスが重要になります。

また、投資回収の観点からはいわゆる新規投資を行わない収穫戦略を取ったりすることも重要となります。

いずれにしても撤退障壁が高いほどしっかりと撤退戦略を立てて対応することが重要になってきます。

■実務的な撤退の客観的判断軸

撤退が重要な局面もあると説明しましたが、気持ちだけで決めると判断を誤る危険性があります。

例えば、毎月赤字で5000円の赤字のお店があった場合、「いつか良くなるはず」「今は我慢の時」とかんがえるのか、赤字なので早めに辞めてダメージを減らすのかはとても重要な判断になります。

そこである程度客観的な判断基準をおいてみますので参考にしてくださいね。

■撤退判断軸

  • 継続的に営業赤字になっている(赤字は一時的かどうか?)
営業利益が赤字ということは本業が利益を残せていないということです。これではせっかく社長が労力を提供しても商売として成り立っておらず、持ち出しでボランティアをしているのと同じ事になってしまいます。
  • 固定費が高止まりしている(将来も良くなりにくい)
固定費は何もしなくても出ていくお金です(家賃とかですね)。そのため、固定費が高止まりしていると利益を出すために必要な売上水準も高くなってしまいます。
  • 市場が縮小傾向である
市場が縮小規模の場合、市場の成長とともに売上拡大するというシナリオが期待できず、競合他社の顧客を奪わないと売上増大につながらないので、一般的には赤字事業を立て直すのは困難です。
  • 他のことに経営資源を使えば現状事業よりも企業がよくなる
他にもっと有望な案件があるならばそちらに注力するのも一つの手です。



このように重要なのは「将来の改善へ合理的根拠があるかどうか」です。

撤退とは敗北ではありません。どんなに強い武将でも100戦100勝ということはありえませんので、限られた資源を勝てる分野に配分していきましょう。

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移動障壁
経営
2011年7月10日

参入障壁 | 経済活動は原則自由ですが簡単に参入できない目には見えない壁があるのです

sannnyuu_001
参入障壁とはある業界への新規参入を防ぐ障壁の事をいいます。参入障壁が大きいほど新規参入が困難になり、既存の事業の競争が緩和されます。

この参入障壁の大きさは先日ご紹介したファイブフォース分析の新規参入の脅威の大きさを決める要素となります。

簡単に復習すると、参入障壁が大きな業界は、新規参入が起こりにくく競争が緩和されます。逆に参入障壁が小さい業界は新規参入が盛んになるため競争は激しくなる傾向があるという事です。

では、何がこの参入障壁の大きさを決めるのでしょうか。以下の要因が考えられます。

1.既存事業の優位性
 規模の経済がとても強く働くような事業、不動のブランドを確立されている事業、独自の技術がある事業、購入先を変えるコストが大きい事業などは既存事業が優位(参入障壁が大きい)とと考えられます。

2.法規制
 そのものズバリで、参入が規制されているような事業の参入障壁はとても強いです。

このマンガの食堂のおばちゃんは、既存顧客のロイヤリティーを高めるべく新メニューを続々と投入するだけでなく、政治力を駆使して参入を禁止させてしまう事を考えているようです。

  • 代表的な参入障壁
それでは、具体的な参入障壁を見ていきます。

上で既存事業の優位性が参入障壁に当たると書いていますが、それはなぜでしょうか?一つ一つ検討してみます。

・規模の経済
規模の経済が強く働くような事業においては、後から参入した事業者が十分な競争力を持つためには相当な規模を最初から確保する必要が出てきます。

例えば大規模な製造能力を確保した装置産業が主流となってるような境界が挙げられます。

このような業界で十分な競争力を保つためには競争相手よりも大きな設備を持つ必要が出てきますので、新規参入の意思決定は非常に難しくなります。

例えば競争相手が100億円の設備を持っているとして、自社がそれに対抗するためには100億円以上の投資が必要となれば容易には新規参入できませんよね。

・不動のブランド力とは
不動のブランド力がある企業と対抗するためには、十分な品質を備えるだけでなく十分に価格を競争力も必要となります。

品質と価格は一般的には両立し得ないものですので、このような先行している事業者がいるような業界にはなかなか参入できないのです。

・独自の技術

独自の技術が必要な業界については、その技術を持っていないと参入できません。

技術を手に入れるためにはコストをかけて自社で研究開発するか、知的財産権をどこかから入手してくる必要があります。

いずれにしてもコストに跳ね返ってくる為、参入は容易ではないのです。

・購入先を代えるコストが大きい業種
いわゆるスイッチングコストが大きな業種というものです。

例えば業務フローに完全に組み込まれた使い慣れたシステムを入れ替えるとします。この場合多少のコスト優位性では既存の契約をひっくり返すことはできません。

なぜならば既存の業務フローを全てを変える必要があるからです。

そして既存の業務フロー全てを変えるということは表面上は見えませんが莫大なコストがかかります。このような目に見えないコストが参入障壁となるのです。

5そのほかの参入障壁

この他にも独自の流通チャネルを獲得しなければならないであるとか、既に知的財産権で必要な技術を囲い込まれている。経験曲線効果が強く働き、先行している事業所に対してコスト面で追いつくことが到底できない。

などといったことが考えられます。

逆に言えば上に挙げたような参入障壁をいかに築いていくかが、競争優位を永続的に保つために我々が工夫すべきことなのです。



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移動障壁
スイッチングコスト
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