まんがで気軽に経済用語

「知らないから動けない」をなくしたい。 中小企業診断士が、現場視点で経営用語をまんがでわかりやすく解説しています。 読むことで、生産性が上がり、心に余裕が生まれ、社会全体がちょっと良くなる。そんな循環を目指しています。

マーケティング

マーケティング
2025年9月30日

カニバリゼーション

カニバリゼーション_001
カニバリゼーション(cannibalization)とは、新商品が自社の既存の商品の売り上げを下げてしまうような、共食い現象のことを言います。

例えば、会計システムを主力としているような企業が売り上げの拡大をもくろみ、ある程度機能を制限した廉価版を販売したところ、既存商品のユーザが廉価版の商品に流れ、かえって全体の売り上げが低下するようなケ
ースがあります。

投入した新商品が既存の商品と同じようなターゲット顧客に同じようなモノを販売しようとしている場合に強くこの影響が出ると言われています。

差がよくわからない二つの製品があった場合、安価な方を選んでしまいますよね。それと同じことが起こるということです。

このまんがでは、1コマ目で職員をターゲットとしたお弁当の売り上げがとても良いため、2コマ目で学生さんへもちょっと安くして量を増やした同じような商品を販売していきたいと言っています。

発売した結果、売上数量が増えたのでしょうか、3コマ目でとても忙しそうにしています。ただし、客単価はとても下がったと言っており、結果として売上高は増えたかどうか不明です。場合によっては、安いものばかり売れてしまい、全体の売上高は下がっているかもしれないです。

4コマ目のように新しいお弁当が、元々あったお弁当の売上を食べてしまった、共食いのイメージがカニバリゼーションのイメージとなります。

■カニバリゼーションを防ぐ方法は

このような共食いですから、基本的にはマイナスになります。そして、このカニバリゼーションを防ぐことは、ビジネスにとってとても大切な考え方になります。(だって、味方が同士討ちしていたら勝負になりませんからね)

基本的には「似ている」商品やサービスを市場に投入することでカニバリゼーションは発生してしまいます。固く言えば新商品を既存商品と同一市場セグメントに投入するといった整理になります。


この事を逆に考えれば、「選ぶ理由」とか「魅力」をちょっとずらす事がカニバリゼーションを防ぐヒントとなります。

例えば、「大盛りの牛丼」であれば、ちょっと小さめのサイズを提供することで「小腹を満たしたり」重要な仕事の前に「満腹は避けたいけどお腹になにか入れておきたい」と言ったニーズに答えることができるかも知れません。

これは同じ牛丼という商品ですが、サイズを変えることで違う魅力をもたらすということができるという例です。

また、売るターゲットをずらすのも効果的です。例えば、学生向けとビジネスパーソン向けの商品として正確を明確にして売り出せれば同じような商品でも違った魅力を打ち出し、カニバリゼーションを防ぐことができるのです。

このターゲットずらしは、結構行われていて高級ラインと廉価場なラインを分けるなどというのを見たことがあるかたも多いと思います。アパレルなどでは「〇〇レーベル」とか「〇〇『ブランド名』」などブランド名を想起させる文言入れつつちょっと変えるといった事が行われています。

■逆にあえてカニバリゼーションを起こすケース

この他に、商売というのは面白いものであえてカニバリゼーションを起こして自社で顧客を取り合うという作戦もありえます。

例えば、家電やスマホはあえて旧機種と新機種を競合させて競わせるといったことがあります。当然旧機種の売上は新機種に相当部分取られますし、新機種の側も旧機種でいいと考える顧客を取り逃がします。

しかし、会社全体では市場シェアを維持することができたりするのです。

また、製品ライフサイクルで考えれば成熟期に入った後には、衰退が待っていると予測されますので、新たな製品をカニバリゼーションを恐れずに投入していくことが行われます。

そして、新旧製品を合わせて市場を確保していく事が行われます。

また、カニバリゼーションを恐れない作戦の一つの極端な例としてはコンビニエンスストアなどがやるドミナント戦略もあげられます。これは、既存店と新店舗が競合しても面的に商圏をおさえられればいいという割り切った考え方となっています。

初出:2011/09/28
更新:2025/09/30
マーケティング
2025年6月19日

市場細分化戦略 | 誰に集中するかを選ぶ方法

市場細分化戦略_001
市場を分類する方法や細分化する変数の選び方は別記事で解説しています。本記事では分類した後、『誰に』集中するかについて考えてきます。



市場細分化戦略とはある基準によって細分化された、同質であるとみなされる集団に対してアプローチする戦略のことをいいます。

一言でいうと、みんなを相手にするのではなくある条件に合致するグループを相手にする戦略です。

これは単一市場に対して大量に単一製品を投入するようなマス・マーケティングでは消費者を満足させることが難しくなってきているためです。

例えば、日本全国老若男女すべての人に満足してもらうようなカップラーメンを作るとします。その場合、何か際立った特徴を打ち出すことはできるでしょうか?こってりし過ぎてもよくないし、あっさりし過ぎてもダメ。麺も太すぎず細すぎず、野菜の量も肉の量も万人受けする水準を目指す。

みんなが満足できるような製品を作ろうとすると、みんながなんとなく物足りない思いをしそうですよね。その結果魅力の乏しい製品になりがちだと思います。

その様な努力をするのではなく、市場細分化(セグメンテーション)を行い、細分化したある市場に経営資源を集中投入することが効率的であると考えられています。

そして、コトラーによればこの市場細分化の有効性は以下の要素によって決まってくると言われています。
  • 市場の測定可能性
その細分化した市場に対して行ったアプローチの効果を測定できるのか?という要素です。何をやっても反応を測定できないのであれば、その細分化が正しかったのかを判別することはできません。
  • 利益確保性
その細分化した市場で利益は確保できるのか?という要素です。例えばものすごくケチな人々みたいな市場を細分化して特定したとします。なんとなくこの市場では利益を生み出すのは難しそうですよね。
  • 市場への接近可能性
その細分化した市場にアプローチできるのか?という要素です。どんなに素晴らしい市場を細分化したとしても、そこにアプローチできないのであれば意味がありません。例えば、その市場は規制がかかっていて参入が不可能というのであればその分類は意味をなさないのです。
  • 差別化可能性
その細分化した市場にアプローチする際、差別化することができるのか?という要素です。せっかく市場を細分化したとしても、その市場に他社と同じものしか提供できないのであれば、その分類を行う有効性は低くなってしまいます。
  • 戦略の実行可能性
その細分化した市場にアプローチする戦略は実現可能か?という要素です。できない戦略を考えても仕方ありません。例えば革新的な製品を送り出すために接客時に細かく説明をして販売するとの戦略を立てたとします。しかし、経営資源が乏しく接客を行う人員を確保できないのであればこの戦略は絵に描いた餅になってしまいます。

このまんがではターゲットを絞り込んで新製品を開発したところ成功しています。

みんなに好かれるものはもちろん理想ですが、みんなに好かれるものを目指すとみんなが物足りないものになりがちです。そうではなく、少なくとも特定の層に好かれるものを提供していくことが大切なのです。

■誰に届けないか?も重要な観点です

このように絞り込む考え方をする際には、誰に届けるかに焦点が向きがちですが、誰に届けないかを割り切ることも重要です。

ここのいい意味の諦めができるかどうかが良い戦略とそうでない戦略を分けるカギとなります。

例えば、このマンガの「運動部の腹ペコ男子」にターゲットを絞るということは逆にいえば、そこまで沢山食べることができない少食の人に届けないという選択になりますから。

ただ、大手企業ならまだしも、経営資源に制約が大きい小規模なお店の場合は全員が満足するような戦略を取ることはできません。

ここで妥協して「なんとなく大盛り定食」等とすると、腹ペコ男子は満足しませんし、少食の人からすれば多すぎる微妙なお店担ってしまいます。

このように、思い切った絞り込みをすると『刺さる』戦略と成るのです。

■絞り込みが戦略の方向性を決めていきます

この「運動部の腹ペコ男子」市場に届けるとなると
・値段
・売り方、商品
・お客さんへの届け方(流通)
・お客さんへの伝え方(プロモーション)
といった大切なことも具体的に考えることができてきます。そのため、絞り込みは重要なのです。



合わせて読むと理解が深まる!『市場を分ける!それが成功の第一歩』そんな観点から
市場細分化(セグメンテーション)とは
市場細分化変数とは
市場細分化戦略<本記事>
といったシリーズもので書いてみました。合わせてご覧くださいませ。

初出:2012/03/16
更新:2025/06/19

マーケティング
2025年6月19日

市場細分化変数 | 市場細分化変数の4分類と最新トレンド(AI対応)

市場細分化変数_001
市場細分化変数とは市場細分化(セグメンテーション)を行う際に用いる変数の事です。分類すると言っても、何らかの基準がないと分類のしようがないですよね。この市場細分化変数はその分類のための基準となります。

この市場細分化変数には次のようなものがあります。
  • 地理的変数
国や地域などによる分類です。簡単に言うと関東と関西では好まれる味が異なるといった傾向を用いて分けてみようという事です。
  • 人口統計的変数(デモグラフィック変数)
性別、年齢、職業、所得などの個人に紐づく分類です。例えば、男性と女性では好まれるものはかなり明確に分かれると思います。また、2歳児と10歳の子どもではほしがるおもちゃは明確に分かれると思われます。
  • 心理的変数
ライフスタイルや価値観、購買動機に基づく分類です。例えば、海が好きでヨットに乗る人と、映画を見ることが好きな人の好みは明確に分かれそうですよね。
  • 行動変数
その製品の使用頻度や購買動機に基づく分類です。例えば、安かったから買った人とその製品を親子代々愛してきた人ではその製品に対する態度が異なってくると考えることができると思います。

このまんがでは明らかにされていませんが、何らかの市場細分化変数を用いて分類を行った結果運動部の腹ペコ男子をターゲットにするという結論に到達したようです。


実務面からの加筆:
幾つかの変数を挙げてみましたが、実務的にどう使っていくかを考えてみたいと思います。

■市場細分化変数(地理的変数)

これはなんといってもデータが取得しやすいというのが強みになります。最初に検討していくと示唆を与えてくれる内容になってきます。

ただ、これが決定的な内容に成ることはほとんどないため、考える際にはアイスブレイクで使うといった使い方になってきます。(幾つか思いつくままに挙げていくと、考えが加速していきますから。)

住んでいるところで好みが変わる。だから売るものの味付けを変える。といった観点は重要ではありますが、あんまり実務的ではないです。差別化の観点からはここの変数は逆張りするために使っても良いかもしれませんね。(例えば、関西に敢えて関東風の醤油が強力な物品を提供するなど)

■市場細分化変数(人口統計的変数)

個人を分類する変数ですから、客層を「見える」ようにする効果があります。所得層等を一定程度で分類すれば、生活に余裕がある層に向けるなど見え方が変わってきます。

ただ、これも多くの場合は決定的な差別化要因にはなりにくいです。また、分類した感がでるため、表面上の浅い検討に成る危険性もあります。

「フィットネスが好きなミドル世代の女性」などとターゲットを分類したくなりますが、本質的なニーズが「健康」であれば、心理的変数や行動変数で分類した方が本質的だったりします。

■市場細分化変数(心理的変数)

ライフスタイルや価値観を追いかけますので、より本質的な分類にはなります。

しかし、とても主観的でd測定することが難しいため、本当にそのような価値観を持っている人がどれだけいるのかといった市場規模の測定が難しいことが多いです。

■市場細分化変数(行動的変数)

購買履歴が残っていれば、その購買履歴を用いた分類もできます。ただ、お察しの通り新規顧客の獲得には極めて使いにくいと言った弱点があります。

■じゃあどうすればいいの?

全くの新規事業では仮説を積み上げるしかないのですが、既存の事業では最強の事例があります。

それは「お客様がどうしてうちの商品を使っているのか?」といった観点です。

この観点で見ていくと、行動変数にもとづいた無理のないターゲット像を作ることができたりします。

■市場細分化変数はあくまで市場を見るメガネ

今回の漫画では「運動部の腹ペコ男子」をターゲットにすると言っていますが、それは心理的変数と行動変数の組み合わせてなかなか妥当性があるように思われます。

しかし、市場細分化変数はあくまで市場をどのような目で見るかを分類するだけの切り口となりますので、マーケティングのSTPの

S:分類(事情細分化変数はここで使う)

T:ターゲッティング(分類した何処を狙う?)

P:ポジショニング

といったステップを踏んで考えていくことが重要です。その意味では、市場細分化に過剰にこだわらず先に進んで戦略上違和感があったら戻って考えるといったほうが実務的だったりします。

■AI時代の市場細分化変数の再定義

近年ではAIがデータ解析をうまくやってくれるため、従来の市場細分化変数の境界があやふやになりつつあります。

例えば、従来は考えられなかったような属性をSNS上の発言内容や購買履歴から特定することができる用になってきているのです。

年齢とか、性別、住んでいる場所、年収などの従来の市場細分化変数が荒く感じられるような潜在的なセグメントがあるかもしれないのです。

このようなAI活用と人間の洞察を組み合わせたセグメンテーション設計が今後のポイントとなって来ると考えられます。

ただし、事業計画を金融機関向けや補助金獲得のために作成した場合は、どういう根拠でセグメンテーションを分けたかを説明するという新たな仕事が生じます。(セグメンテーションαとβってだけを書いた事業計画だと、金融機関は稟議を通して融資するのが難しいでしょうからね。)


市場細分化(セグメンテーション)とは何か?」という基本的な内容については、以下の記事をご参照ください。


合わせて読むと理解が深まる!『市場を分ける!それが成功の第一歩』そんな観点から
市場細分化(セグメンテーション)とは
市場細分化変数とは<本記事>
市場細分化戦略とは
といったシリーズもので書いてみました。合わせてご覧くださいませ。


初出:2012/03/17
更新:2025/06/19


マーケティング
2025年6月7日

生産志向

生産志向_001
生産志向とは
生産志向製品志向販売指向マーケティング志向社会志向といったマーケティング・コンセプトの一つで、「作れば売れる!」という考え方です。このコンセプトでは、生産力こそが価値の源泉となっています。

この生産志向という考え方は需要が供給を上回っている場合に有効です。例えば、食糧が欠乏しているような場合の食糧や、日本の高度成長時代のような場合には有効な考え方でした。

現代でも、生産コストが高いが市場拡大中の製品には当てはまるケースがあります。たとえば、太陽光発電パネルなどは当てはまるかもしれません。生産力を拡大し、安価に製品を提供できればそれは一つの価値となります。

このまんがでは、2コマ目でおなかのすいた学生さんたちが詰めかけています。それを受けて3コマ目で作れば作るほど売れると言っています。

しかし、このような考え方はひとたび需要が満たされれば
1コマ目、4コマ目のようにいきづまってしまいます。  

この生産志向の発想としてはコストリーダーシップを取りに行くといった感覚になりますので、経営資源がとても多い、いわゆる大企業なら勝ち目がある路線だとも言えます。

もちろん、この考え方が悪いわけではないのですが、漫然と対応すると激しい競争に巻き込まれがちという面に注意が必要です。

簡単に整理すると、いわゆるマーケティング志向と対極にある考え方で、我が国における大きな流れは以下のように推移してきたということを覚えておくとよいですね。

生産志向

販売志向

マーケティング志向


実務面からの加筆:
生産志向が一概にだめとは言えない点に注意が必要です。極めて強力な個性を持つ製品やサービスはマーケティング志向からは生まれにくいという現実にも目を向けると良いでしょう。

そのため、革新的な製品やサービスは顕在化したニーズに基づかずに開発されることもあるという点は押さえておく必要があります。

しかし、それを言い訳にして「うちの製品は世界水準だから売れるはず」といった思い込みで窮境に陥る事業も後を絶たないのが現実です。

「製品の品質がいい」と「売れる」は相関関係はあるかもしれませんが、因果関係はありませんので、良いものを作れ売れるといった思い込みは危険ですね。

■生産志向がハマっているケース

伝統工芸品など技術面の障壁が極めて高く需要は大いにあるけれども供給が追いついていないような市場についてはこの生産志向がハマってきます。

例えば、極めて趣味性の高い商品を取り扱ったりすると、このような生産志向の考えが行きてくるような市場に当たるケースもあります。

あなたや知り合いの趣味で、ニッチな良いものを提供している企業を思い浮かべてください。その人達はこの生産志向がハマる世界に生きているのかもしれませんよ。


初出:2011/09/14
更新:2025/06/07

マーケティング
2015年1月17日

バンドワゴン効果

バンドワゴン効果
バンドワゴン効果とは、みんなが使っているから、欲しくなるといった現象のことを指す言葉です。英語ではBandwagon Effectsと表記されます。

「○○君も持っているから欲しい」とか「この製品は普及していて、安心感があるなぁ。だからこの製品にしよう」といった心理ですね。

このバンドワゴン効果を端的に言うと、長いものにまかれる的な消費行動です。定番品は定番になる理由があるはずで、だから良いものだといった考え方ですね。

このようなバンドワゴン効果は「多くの人が買っている」「みんなが選んでいる」といった他人の行動が意思決定に影響を与える心理的傾向ですが、似たような購買行動で「リーセンシー効果」という「最後に見た情報」に影響される心理効果もあります。

割と人間は不合理な生き物なのですね。

■バンドワゴン効果にも一理あります

さて、このバンドワゴン効果ですが、流行がさらなる流行を呼ぶといった現象の理由となりえます。すなわち、みんなが使っているから、更に普及が進むといった事です。

ワザと行列を作り出したり、品薄にすることによって需要が集中していることを顕在化させて(要は、任期があるという事をアピールして)さらなる需要を生み出すといった事にも使える効果ですね。

ただ、消費者としては、様々な製品でうまく流行った方がディファクトスタンダード(事実上の標準)になる事を経験的に知っているため、規格同士が争っている際には、より普及している方の製品を選ぶ方が合理的である場合があるのです。

また、普及すればするほどネットワークの価値が高まるというメトカーフの法則や、ある程度の普及率を超えたら一気に普及が進むという、クリティカルマス。普及が進むとそれによって普及に弾みがつくといったネットワーク外部性など、このバンドワゴン効果と同じ結果をもたらす経営用語は沢山あります。

関連用語

■バンドワゴン効果が生じる背景

このようなバンドワゴン効果が生じる背景には、私たち人間が「集団に属していたい」「間違いたくない」という心理を持っていることがあります。

群れに所属していれば生存率が上がるという原始の行動原理を未だに我々は盛っているのです。

そのため、誰かが選んだ商品や行動が『正しい』ように見えるため、「社会的証明」として自分も選んでしまうのです。

たとえば、レストランで「行列ができている=人気がある=美味しいに違いない」と考えて並んでしまうのも典型的な例です。

実際には行列ができているという事実の原因には、「店舗オペレーションが良くない」といったものが潜んでいるのかもしれませんし、「単にキャパシティ以上に集客キャンペーンを行ってしまった」だけかもしれません。

しかし、人は不思議なもので、そのようには考えず(上のように「行列≒人気店」と考えない人は割と変わった人です)人気があるお店は美味しいお店と考えがちなのです。

こうした現象は、口コミ・レビュー・フォロワー数などの指標を重視する消費行動にもつながっています。良いものだから皆が見るといった因果が、皆が見ているんだから良いものだと逆転することもよくあるのです。


マーケティング
2012年12月15日

マーケティング

マーケティング_001
マーケティングとは、価値のあるモノやサービスをお客様と交換する一連の活動の事を言います。(正確な定義としては、AMA(アメリカ・マーケティング協会)により「顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。」とされています。)

マーケティングという言葉は、よく広告やプロモーション活動の同義語のように捉えられがちですが、「一連の制度、プロセス」とあるように実際にはもっと広い概念になっています。

ただ、広い概念と言われても、よく分かりませんよね。そこで、敢えて平たく言えば、「モノやサービスを売るための仕組み全般」がマーケティングです。

「モノやサービスを売るための仕組み」と考えると、広告やプロモ―ションがマーケティングの一部を構成していると理解していただけると思います。

しかし、「モノやサービスを売るための仕組み」なのですから、広告やプロモーションだけでは不足していますよね?

例えば、「どのようなモノやサービスを作るか?」という視点。「価格はいくらにするか?」という視点、「どういった流通経路を用いて顧客にモノやサービスを届けるか?」といった視点も必要ですよね?

この4つの視点で考えましょうというのが有名な4P(マーケティング・ミックス)と呼ばれる考え方です。

また、マーケティングを展開する際にどのような考え方をするかも重要です。「いいものを作れば売れる」とか、「売る努力をすれば売れる」といったどこかで聞いた考え方もこのマーケティングを考えていく中に含まれています。(こういった考え方をマーケティング・コンセプトと総称します。)
マーケティング
2012年3月26日

準拠集団

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準拠集団とは人が何かについて判断する際に、その判断のよりどころとなる集団の事をいいます。この準拠集団には「第一次集団」、「第二次集団」、「願望集団」、「分離集団」があります。

例えば、家族の中で支配的な意見になんとなく合わせた行動をとるといった事があると思います。これはその集団に同調するような行動を求める、同調圧力がかかるためです。

また、逆に反面教師という感じで、彼らがやっていることは絶対にしないといった事もありえます。

この準拠集団として代表的なものは、家族や同僚などその集団に自分も参加しているような集団ですが、必ずしもそこに所属していなくても準拠集団となりえます。

例えば、あこがれの先輩達がいたとします。その先輩達の集団には自分は所属していません。しかし、自分の判断としてはあこがれの先輩達ならどうするかを考えるようなケースもあります。

このように、何か物事を判断する際に影響を受ける集団を準拠集団と言います。

このまんがでは、男子生徒にとって部活の仲間達が準拠集団に該当します。そして、自分はおなかが空いているため帰りたかったようですが、準拠集団に影響を受けて日が暮れるまで練習をしていたようです。
マーケティング
2012年3月20日

製品多様化マーケティング

製品多様化マーケティング_001
製品多様化マーケティングとは単一の市場に対して複数の製品を作り買い手に多様性をアピールするアプローチの事です。簡単に言うと、一つの大きな市場にたくさんの種類の製品を提供するといったイメージです。

この方法はターゲット・マーケティングのように市場をいくつかのセグメントに分けるようなことはせずに、単一の市場に対して沢山の種類の製品を提供することを目指しています。

イメージとしては、単一市場に単一製品を投入するマス・マーケティングと市場を細分化して(市場細分化)ある特定の市場に狙いを定めるターゲット・マーケティングの中間のようなイメージとなります。

このまんがでは、新発売のアイスクリームを仕入れています。新発売の同一製品ですが、サイズや味のバリエーションを一揃い仕入れており、多様性をアピールする狙いがあるようです。この例では特に市場を分けて考えていないというところがポイントとなります。

■製品多様化マーケティングはメリットだけではありません

一つの大きな市場に向けて沢山の製品を提供するという説明は少し考えると良さそうに思えませんか?例えば、アイスクリームを20種類ぐらい味を変えて投入するといったイメージです。

そうすれば、色々なお客様は自分の好きなアイスクリームを選んでくれるから結果として売上が上がりそうですよね?

でも、残念ながらそのようにはなかなかなりません。まず問題の一つは、沢山の製品ラインナップを揃えるためにおは大きな手間とコストが掛かることです。そして沢山の製品を出したところで売れ筋はどうしても限られてしまい、すべての製品が均等に売れるという事はありません。

その結果、売れ筋以外の製品はどうしても死に筋となって在庫過多を招きがちです。

さらに、小売店側の販売スペースにも制限があり、売れない商品のシリーズだとあんまり大きなスペースを確保してもらいにくくなります。

また、人は選択肢が増えすぎると物事を選びにくくなるという傾向が調査からわかっています(行動経済学の知見)例えば、3種類から一つ選ぶのと20種類から一つ選ぶのでは、後者の20種類のほうが沢山選ばれるように思われがちですが、結果としては選択を後回しにする(つまり買わない)と言った行動を招きがちなのです。

その上、ブランドのメッセージがたくさん作っていく中であやふやになると言ったデメリットも考えられます。メッセージがあやふやになってくると、万人に受ける商品を目指していたはずが、みんなにとって中途半端でだれからも「ちょっと微妙」と受け取られるリスクが有るのです。
マーケティング
2011年9月19日

社会志向

社会志向_001
社会志向とは生産志向製品志向販売指向マーケティング志向社会志向といったマーケティング・コンセプトの一つで「顧客のほしがるものを、社会に役立つ形で提供する!」という考え方です。

■社会思考は理想論?

本記事の初公開は2011年でしたので、「ちょっと理想論なんじゃないの?」と少し懐疑的な空気もありました。しかし2025年現在、社会志向は企業経営やブランディングにとても重要な柱を提供しています。

■敢えて商品を提供しない?

この社会志向は例え顧客が欲しがったとしても、顧客や社会の長期的な利益に合致しないような製品を作らない。企業は社会のなかで存在しているため、社会のためにならないような活動はしないという考え方を取る場合他あります。

例えば、現在の顧客がどんなに欲しがったとしても、燃費がとても悪く真っ黒な排気ガスをもくもくと吐き出すような乗り物は作らないといったことが考えられます。

燃費が悪くて燃料をばらまいて、爆音を立てて走っているような車であっても、かっこよければほしいですよね?でも、社会志向からすると、そのような車はあえて売らないといった考え方になります。

■マーケティング志向と社会志向の違い

このまんがでは、求められているものは肉やデザートでした。また、量の多さも重要だと調査からはわかっています。

マーケティング思考であれば、これらの顧客のニーズに答える商品を提供すればバッチリだったわけです。

しかし、社会志向の場合は、一歩進んで学生さんの健康を考えて野菜を付け合わせとして提供するといったことが考えられます。

つまり、社会志向とは消費者のニーズ、消費者の利益、企業の利益、社会の利益の4つを調和させるようなマーケティングコンセプトとなります。「私達が提供する価値が社会や未来にとっても有益か?」という視点を追加するのです。
たとえば、肉やデザートなど甘くて脂質たっぷりで量も多い料理は多くの顧客、とりわけ学生さんに求められるかもしれません。すごく売れるかもしれません。しかし、そのような商品を「企業としてそれだけを大量に売り続けることは果たしてよいのか?」といった道徳的観点が必要になってくるのです。

■様々なマーケティング・コンセプトの簡易まとめ


志向名 中心的な考え方 主体 顧客視点 社会性
生産志向 作れば売れる 企業側 無視される 無視される
製品志向 良いモノを作る 技術側 無視されがち なし
販売志向 売り切る! 営業側 欲望中心 なし
マーケティング志向 顧客満足重視 顧客側 高い 限定的
社会志向 顧客×社会の両立 顧客+社会 高い 高い(調和)


■社会志向が支持を集めるケースも多い

「そりゃそうだけど、ビジネスってのは綺麗事じゃないんだよ」などと、2011年当時は思ったかもしれませんが、2025年現在において、社会志向で「健康志向」や「環境配慮」といったキーワードが差別化要因になって業績を挙げている企業を読者の皆様も沢山ご存知なはずです。

つまり、世の中が成熟してきており、世のため人のためという感覚が経済的に報いられるようになってきたのです。

なお、小規模事業者さんはこの社会志向を強烈に打ち出すことで他社と協力に差別化するといった戦略で上手くいっているケースがたくさんあります。街を歩いてみれば、そのような社会志向のご商売を目にすると思いますので、ぜひ探して、ご自身のご商売に応用できないかを考えてみてください。

例えば、地元の飲食店が「無添加メニュー」「フードロス削減」などの取り組みを看板に掲げ、地元客から支持を集めている。そんな例も珍しくないですよね。
マーケティング
2011年9月18日

マーケティング志向

マーケティング志向_001
マーケティング志向とは生産志向製品志向販売指向マーケティング志向社会志向といったマーケティング・コンセプトの一つで「顧客のほしがるものを提供する!」という考え方です。

生産志向、製品志向、販売志向と決定的に異なる点は、こちらの売りたい製品を作って売るのではなく、顧客のほしがるものを発見してその需要を満たす事に集中するという点です。

市場や顧客の声をもとに製品を作っていくこの考え方をマーケットインといいます。

それに対し、生産志向、製品志向、販売志向のように作り手の都合で「売れるであろうものを作って売る!」といった考え方をプロダクトアウトといいます。

以前のようにいいものを作れば売れるといった考え方が通用しにくくなったためこのような考え方が生まれました。

このまんがの最終コマで「お客様が何をほしいと思うか?からスタートしてみよう」と言っていますが、この考え方は2コマ目の製品志向や、3コマ目の販売志向の際にはなかった考え方となっています。

■マーケティング志向が生まれた背景と現代の意味

作れば売れる時代。これは企業にとっては良い時代だったかもしれませんが、消費者にとってはあんまり望ましい時代ではありません。

色々な会社が同じような同じような商品を作れば、品質や機能性という重要な競争が起こりにくくなります。

そして、作れば売れる時代が続けば最終的には生産量が過剰となって、どの会社の売れ行きも良くない時代が訪れてしまいました。

先進諸国においては1950年代以降にはこのような状況に陥ってしまい、「良いものを作れば売れる」といった製品志向やとにかく売り込むのが重要だという販売志向という考え方ではうまく行きにくくなったのです。

そこで、「消費者が欲しがるものを作って売る」というマーケティング志向が確立されていきました。

この考え方は、現在でも通用しており(というか、基本的な考え方です)、最初に消費者調査を行って商品化をすると言った事が行われています。モノではなく、モノが生み出す価値を届けるという発想なのですね。

なお、マーケティング志向では徹底して追求しても消費者自身が気がついていない革新は生まれにくいとされています。

そのため、ある意味開発者主導の製品志向と組み合わせて考えていくことが行われています。

マーケティング
2011年9月17日

販売志向

販売志向_001
販売志向とは
生産志向製品志向販売指向マーケティング志向社会志向といったマーケティング・コンセプトの一つで、「売る努力をすれば売れる!そのため、いかに売るかを考える!」という考え方です。販売力こそが価値の源泉となっています。

製品は売れたのではなく、売ったと考える考え方です。需要の水準に供給の水準が追いついた場合、せっかく作ったものが売れ残る可能性が出てきます。そのため、売れないのならば売ってくる!といった発想が生まれました。

しかし、この発想では顧客の満足にまで思い至っていないため、顧客の満足よりも目先の売上を求めてしまいがちです。焼畑農業的なイメージで市場が荒廃するような販売方法をとったりする可能性もあります。

たとえが適切かどうかはわかりませんが、一昔前の生命保険や自動車販売、投資用マンションの勧誘、百科事典の販売などの、購入する方の要望よりも販売者側の都合で売りつけられるイメージです。(現在は顧客の事を考えたりっぱな営業活動が行われてるはずです。念のためフォローしておきます。)

このまんがは1コマ目で販売強化月間を宣言し2コマ目3コマ目で積極的な販売促進活動を行っています。その結果売り上げは上がったようですが、やはり最終的には売上は伸び悩んできてしまっています。

■販売指向の顧客満足のズレ

販売指向はとにかく販売することが重視されます。そのため、お客様が何を求めているか。とか長期的なお客様との関係構築はひとまず置いておき、とにかく短期的な売り上げが重視されます。

その意味で、長く継続的な取引関係を軽視する危険性があるのです。

例えば、本当は似合っていない洋服でも「お客様にぴったりですよ」とおすすめして売ってしまうようなイメージです。

確かにその時は売れるかもしれませんが、長期的な信頼感を毀損するあまりよくないやり方だったりします。

このように、販売指向の考え方は、とにかく売れればいいという短期的な発想になりますので、顧客の満足度を損なう結果に成りがちです。

そして、この顧客満足度を損なう行動が積みあがっていくと、長期的な売り上げが損なわれる危険性があるのですね。

マーケティング
2011年9月15日

製品志向

製品志向_001
製品志向とは生産志向製品志向販売指向マーケティング志向社会志向といったマーケティング・コンセプトの一つで、「いいものを作れば売れる!」という考え方です、。このコンセプトでは、品質こそが価値の源泉となっています。

需要の水準に供給が追いついてきた場合、前述した生産志向では支持を得ることが難しくなります。顧客は製品間の比較をしますので、このまんがの2コマ目のように製品を改良し品質を向上させることが競争力につながります。

生産志向より一歩進んだ考え方といえますが、「こんな良いものが売れないなんて、お客が分かっていないんだ!」などといった、ひとりよがりな考え方に陥る可能性があります。

例えば、業界で一番耐久性が高いといった点を協調しても、顧客は価格とのバランスが取れていないとその製品に魅力を感じないといった例が考えられます。それにもかかわらず、まだまだ耐久性が不足しているのが売上が伸びない原因であると誤った判断をし、さらに耐久性を追求するなどといった意思決定がなされる場合があります。

ただし、その品質の高さから確固たるブランドを確立した製品である場合などには、今なお、この製品志向コンセプトが有効となるケースがあります。

品質をひたすら追求した唯一無二の商品ならば、極めて強い魅力を放つことも可能なのです。

ただし、その製品の良さを訴求することは難しいため、このまんがでは4コマ目にあるように、またいきづまってしまったようです。

■製品志向の限界と次のステップ

良いものを作れば売れる。ある意味真理ではありますが、「良いもの」というのはコストと品質のバランスから生まれる相対的なものです。

例えば、素材や加工、デザインに徹底的にこだわって作った1億円のスプーンは相当な好事家しか買わない商品になってしまいます。(極めて魅力的な商品なのかも知れませんが、一般に売るのは難しいでしょう)

一般的な商売として考える際には、どうしても顧客のニーズに目を向けてお客様が欲しがるバランスの取れた商品を開発していく必要があります。

上の1億円のスプーンは製品の一つの究極の到達点としては魅力的かも知れませんが、売れるものを作るという観点からは、そのような製品志向から脱却する必要があります。

良いものを作れば売れるはずというナイーブな考え方で企業が存続できる時代もあったのかも知れませんが、社会に物資を供給するという企業の存在意義からすると少し本質からズレてしまっているのです。

そのため、企業が存在し続けるためには適正な利潤を確保する必要があるため、製品志向から脱却して行く必要があるのです。

その結果、ちゃんと売れるものを売れるだけ作るという発想になっていくのですね。

このように多くの企業は、市場の成熟に伴い、「販売志向」や「マーケティング志向」へと移行していくことになります。

販売志向は、販促活動を重視して売上拡大を諮る考え方ですし、マーケティング志向は自動的に売れる境地を目指す考え方となっています。
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