まんがで気軽に経済用語

「知らないから動けない」をなくしたい。 中小企業診断士が、現場視点で経営用語をまんがでわかりやすく解説しています。 読むことで、生産性が上がり、心に余裕が生まれ、社会全体がちょっと良くなる。そんな循環を目指しています。

マンガ

マーケティング
2025年9月30日

カニバリゼーション

カニバリゼーション_001
カニバリゼーション(cannibalization)とは、新商品が自社の既存の商品の売り上げを下げてしまうような、共食い現象のことを言います。

例えば、会計システムを主力としているような企業が売り上げの拡大をもくろみ、ある程度機能を制限した廉価版を販売したところ、既存商品のユーザが廉価版の商品に流れ、かえって全体の売り上げが低下するようなケ
ースがあります。

投入した新商品が既存の商品と同じようなターゲット顧客に同じようなモノを販売しようとしている場合に強くこの影響が出ると言われています。

差がよくわからない二つの製品があった場合、安価な方を選んでしまいますよね。それと同じことが起こるということです。

このまんがでは、1コマ目で職員をターゲットとしたお弁当の売り上げがとても良いため、2コマ目で学生さんへもちょっと安くして量を増やした同じような商品を販売していきたいと言っています。

発売した結果、売上数量が増えたのでしょうか、3コマ目でとても忙しそうにしています。ただし、客単価はとても下がったと言っており、結果として売上高は増えたかどうか不明です。場合によっては、安いものばかり売れてしまい、全体の売上高は下がっているかもしれないです。

4コマ目のように新しいお弁当が、元々あったお弁当の売上を食べてしまった、共食いのイメージがカニバリゼーションのイメージとなります。

■カニバリゼーションを防ぐ方法は

このような共食いですから、基本的にはマイナスになります。そして、このカニバリゼーションを防ぐことは、ビジネスにとってとても大切な考え方になります。(だって、味方が同士討ちしていたら勝負になりませんからね)

基本的には「似ている」商品やサービスを市場に投入することでカニバリゼーションは発生してしまいます。固く言えば新商品を既存商品と同一市場セグメントに投入するといった整理になります。


この事を逆に考えれば、「選ぶ理由」とか「魅力」をちょっとずらす事がカニバリゼーションを防ぐヒントとなります。

例えば、「大盛りの牛丼」であれば、ちょっと小さめのサイズを提供することで「小腹を満たしたり」重要な仕事の前に「満腹は避けたいけどお腹になにか入れておきたい」と言ったニーズに答えることができるかも知れません。

これは同じ牛丼という商品ですが、サイズを変えることで違う魅力をもたらすということができるという例です。

また、売るターゲットをずらすのも効果的です。例えば、学生向けとビジネスパーソン向けの商品として正確を明確にして売り出せれば同じような商品でも違った魅力を打ち出し、カニバリゼーションを防ぐことができるのです。

このターゲットずらしは、結構行われていて高級ラインと廉価場なラインを分けるなどというのを見たことがあるかたも多いと思います。アパレルなどでは「〇〇レーベル」とか「〇〇『ブランド名』」などブランド名を想起させる文言入れつつちょっと変えるといった事が行われています。

■逆にあえてカニバリゼーションを起こすケース

この他に、商売というのは面白いものであえてカニバリゼーションを起こして自社で顧客を取り合うという作戦もありえます。

例えば、家電やスマホはあえて旧機種と新機種を競合させて競わせるといったことがあります。当然旧機種の売上は新機種に相当部分取られますし、新機種の側も旧機種でいいと考える顧客を取り逃がします。

しかし、会社全体では市場シェアを維持することができたりするのです。

また、製品ライフサイクルで考えれば成熟期に入った後には、衰退が待っていると予測されますので、新たな製品をカニバリゼーションを恐れずに投入していくことが行われます。

そして、新旧製品を合わせて市場を確保していく事が行われます。

また、カニバリゼーションを恐れない作戦の一つの極端な例としてはコンビニエンスストアなどがやるドミナント戦略もあげられます。これは、既存店と新店舗が競合しても面的に商圏をおさえられればいいという割り切った考え方となっています。

初出:2011/09/28
更新:2025/09/30
経営
2025年7月9日

S字カーブ理論

S字カーブ_横軸に練習量、縦軸に成果をとったグラフを描くと、最初は緩やかな伸び → 急激な成長 → 再び緩やかな伸びとなり、全体としてS字型になります。
S字カーブ理論とは技術の進歩の過程を横軸に投入した資源(時間や費用)、縦軸に成果を取ったグラフを書いた場合にちょうどS字のようになることから名付けられた理論です。

■S字カーブの3段階

S字カーブ理論は以下の3つの状況を仮定して考えられています。

1.新しい技術の登場(導入期)
研究開発に資源を投入してもなかなか成果が出ない段階です。

2.発展期
資源を投入すればするほど、技術向上の幅が大きくなる段階です。

3.成熟期
技術が成熟し、資源を投入してもそれほど成果が得られなくなる段階です。資源の投入に対し、成果は逓減していきます。簡単に言うと限界期です。


このまんがではS字カーブ理論を練習の量と成果に置き換えて説明しています。楽器は最初はなかなかうまくなりませんが諦めずに頑張って練習をすればどこかでコツをつかみます。

コツをつかんだ段階で急激に練習の成果が上がり、練習すればするほどうまくなる段階がやってきます。

その後、ある程度うまくなると練習をしてもそれ以上なかなかうまくならなくなる段階がやってきます。

このように、頑張っても成果が出にくい時期があるという経験則を述べた理屈ですが、技術開発に当てはめると、関連用語で記載した技術開発の非連続性という理論につながっていきます。(詳しくは関連用語をご覧になっていただければですが、成熟期以後はなかなか伸びないので、新技術が生まれ、それに旧技術が駆逐されがちという理論です。)

関連用語
技術革新の非連続性

■S字カーブ理論的な進展になりがちなもの

一般に様々なものがこのS字カーブ理論に当てはまりますが、幾つか例をあげてみます。

・資格の勉強など:
 基礎が固まるまで成果が見えなくて焦ると思いますが、基礎が固まると一気に伸びたりします
・プログラミング学習など:
 最初はなんのことかわかりませんが、文法を理解すると一気に応用が効くようになります。
・ビジネスなど
 売上が伸びない時期が続きますが、あるポイントで成長が加速します。

これらのように、「頑張っても成果が出ないな・・・」と考えがちな時期こそ、S字カーブの導入期にいるのかもしれません。

この理屈を知っていれば、今は導入期だと考えて粘り強く取り組むことができるのです

■ビジネスにおけるS字カーブ理論について

と、励ますような綺麗事を書きましたが、ビジネスの場合は経営資源が尽きるとそこで試合終了になってしまいます。(学習はめげずに頑張れば、効率の悪いやり方をしていてもいつか芽が出ますが、ビジネスは資金が尽きたらおしまいです。)

ですので、見切り千両ともいうように、方法論に固執しないバランス感覚が重要です。

特に最初の構造でビジネスは勝算の有無がはっきりと別れます。

(飲食店などは売上の上限が『客席✕回転率✕客単価』で決まります。他方で、固定的にかかる費用もほとんど決まるので、商売を始めた後の調整の余地が小さいということができます。)

ですので、特に飲食店などを「美味しいコーヒーを淹れられるから」とか「私の作るそばは絶品」などと考えて開業計画を立てる場合には、必ず(必ずですよ!)商工会や商工会議所などの公的相談機関に勝ち筋があるかの相談をしてください。

よく、FCの主催者や、創業支援者(というなの不動産やさんとか什器やさん)などに話を聞く方がいますが、商人に「私、あなたの商品を買うべきですか?」と相談しているようなものです。

ドリームクラッシャーなどとネガティブなアドバイスをする人を呼ぶ事もありますが、利害関係のない公的支援機関が「やめたほうが良いですよ」と言う場合は、一度立ち止まることをオススメします。

本記事を忘れてもいいですが、「嫌なことを言ってくれる助言者」こそあなたの本当の味方なのですから。

初出:2011/10/24
更新:2025/07/09

店舗管理
2025年6月13日

商圏

商圏_001
商圏とはお店に来てくれる人が住んでいる範囲の事を言います。小売業側から見ると「お客様を集められる範囲」、消費者側から見ると「行く可能性があるお店の範囲」ということができます。

一口に商圏と言っても取り扱う商品によってその範囲は異なってきます。例えば一般的に最寄品を取り扱うようなスーパーやコンビニの商圏は小さく、買回品専門品を取り扱う百貨店や専門店の商圏は大きくなります。

食料品を買うためにわざわざ隣町まで出かけることは稀だと考えられますし、楽器などの専門品は大きな町に出て買い物に行く事もあると考えられます。

また、同じ最寄品であるコメとか水といった商品でもちょっとした買い物なら近くのコンビニでもいいですが、利用目的が大量買いだった場合は、郊外の大型店まで足を伸ばすことになります。


このまんがでは学食と売店の選択肢があったようですが、男の子は近くにある学食に行ってジュースを買ってきたようです。

今回のジュースのような最寄品は商圏が小さいため、基本的には近いお店に行くことになります。

■商圏って距離の概念なの?

距離と移動時間は非常に近いのですが、実際の消費者は直線距離よりも時間で考えることが多いです。

例えば、800メートル離れているお店とは考えずに、10分ぐらいかかるお店といった感覚です。

そのため、消費者が自転車に乗って入れば徒歩よりも同じ10分でも商圏の範囲は大きくなりますし(お店は駐輪場を用意するという配慮が必要です)、車で来店するなら10分でもそれなりの距離が商圏となります。(同様に駐車場の確保が必要です)

ここから、駐車場のない商店がなぜ不利になるのかということが見えてきます。昔ながらの商店で駐車場がないと、車での来店が見込みにくいため、商圏が狭くなるのです。

■だったら移動時間が短ければいいの?

プラスで、気持ちの問題もあります。例えば、ものすごい勢いで吠える怖い犬がいる道は子供の頃通るのが嫌じゃなかったですか?

とすると、その道は心理的に通りにくいため、移動時間以上に商圏の範囲は狭くなりがちです。

また、駐車場があっても停めにくい駐車場の場合、運転があまり得意でない人からするとやはり遠いお店≒行きにくいお店になりがちです。


実務面からの加筆:
商圏分析なんて大変だーって声が聞こえてきますが、今はとても便利な道具を国が用意してくれています。最初に本記事を書いた2011年から2025年になって世の中は本当に便利になっています。

jSTAT MAPというとても便利なサービスが無料で使えますので、ぜひ使ってみてください。これはスグレモノで、

・車で○分圏内に住んでいる人口や世帯数
・年齢層や世帯構成の分布
・自店舗からの同心円/等時間圏マップの作成

などがすぐに分かります。

↓リンクはこちらです
https://www.e-stat.go.jp/gis/gislp/

とても示唆に富んだ良いレポートを出すことができますので、ぜひ本記事をご覧になられてご商売をされている方は、自分のお店を分析してみてくださいませ。

レポートを眺めていると、誰に向けたご商売をするとよいかが見えてくるかもしれませんよ。

■オンライン販売と商圏

従来は商圏とは物理的な距離で定義されていました。お店に訪れるのが前提だったのである意味当然だとは思います。

しかし、現在ではEC(ネット販売)が普及しているので、距離概念があんまり役立たなくなりつつあります。

また、従来のお店でも様々なサービス(Uber Eats、出前館、楽天デリバリーなど)の宅配サービスがあるため、配送可能な範囲≒商圏となってきています。さらに、遠方からでもSNSやグーグルのビジネスプロフィールなどで来訪する事も、注文することもできるのです。

その意味から、来店できる商圏という従来の商圏に加えて、配送できる範囲などのオンライン商圏も意識しておくことが重要となってきます。

初出:2011/11/19
更新:2025/06/13
財務・会計
2025年6月12日

経営分析(財務分析)

経営分析_001
経営分析とは、主に企業の財務情報を用いて企業の現在の状態を分析・把握し、将来の予測に役立つ情報を作り出す技法の事を言います。一般に経営分析は財務分析と同義語で使われる事が多いと言われています。

経営分析は、ただ数字を読むだけではありません。立場によって同じ数字の意味はまったく異なり、それが現場の判断を大きく左右します。

この財務情報を加工して作り出した様々な指標を業界平均や競合他社と比較することで、自社の特徴や改善すべき点が見えてきます。

また、取引先の与信管理に役立てて貸し倒れによる損失を防いだり、投資家として投資すべき企業を選別する際に用いたりすることができます。

この経営分析は大きく分けて次のように分けられます。

1.収益性の分析
企業がどの程度の利益を上げているかを分析する手法です。ROI等が指標として用いられます。

2.安全性の分析
企業の財務内容は健全であるかを分析する手法です。自己資本比率等が指標として用いられます。

3.生産性の分析
経営資源のインプットと付加価値として得られるアウトプットの関係を分析する手法です。労働生産性等が指標として用いられます。

このまんがでは経営分析の説明を聞いた男子生徒は逃げ出してしまいましたが、計算自体はほぼ、四則演算のみで行うことができますので、アレルギーを起こさずに取り組んでみるとよいと思います。

関連用語
自己資本
他人資本

実務面からの加筆:
経営分析、財務分析をどのように扱うかは悩ましいテーマです。

極論を申し上げると中小企業の財務で全く問題がないというのは稀です。そのため、財務分析をすると結構辛い数字が出てきたりします。

その時、自分のスタンスによって取りうる方策は変わってきます。

■与信管理のスタンス

主に与信審査担当、取引先を審査する方のアプローチを見ていきます。

この場合は、貸倒を避けることが任務になりますから、かなり厳格に数字を見ていく必要があります。

会計の格言で「費用は大きく、収益は保守的に見積もる」といった物があり、会計は用心深く行うといったアプローチがあります。(保守主義の原則といいます)

この観点から、財務諸表については安全性や流動性の指標を見るだけでなく、場合によっては「粉飾があるかもしれない」といった観点で数期分の数字の推移や同業他社との比較も行っていきます。

特に、利益が出ているけど、在庫や売掛金が著しく増えているなど不自然な動きをしていたら要注意です。

このように、どちらかというと性悪説的に、最悪の場合に備えて厳しく見ていくことが求められます。

■営業担当者のスタンス

取引先と取引をしたいわけですから、なるべく前向きに見ていくことが求められます。

とはいえ、貸倒になったらせっかく頑張って販売してもマイナスにしかなりませんので、細かく見るところは見ていく必要があります。

どちらかというと成長の余地や前向きな点を探し、社内稟議に備えていく必要があります。

■支援者(コンサルタント)など私達と同業者

現状をまずはありのままに把握します。意見は事実をもとに構築すればいいので、まずは現状がどうであるかを見ていくことが重要です。

その結果、あまり良くない数字だったとしても、どのような動きをすれば改善できるかという可能性も追求していく必要があります。

その意味で、与信管理者の厳しいスタンスで現状をみつめ営業担当者の未来を一緒に作っていくスタンスで希望を見ていくことが重要です。


なお、支援者が厳しく査定し会社のだめな部分だけを指摘するような態度はあまり望ましくないと考えます。会社の状況が良くないのは会社の人が一番ご存知ですので、そこを強調しても仕方ないのです。

支援者にとっての経営分析は企業を裁くための道具ではなく、企業と一緒に可能性を見出す対話の第一歩といったスタンスが求められるのです。

■動的分析とキャッシュフローの視点

経営分析における動的分析とは、単年度の財務指標だけを見るのではなく、複数期にわたるトレンドを把握する手法になります。

損益計算書の分析だけでなくキャッシュフロー分析も重要となり、、実際の資金の流れも分析対象にすることができます。

このキャッシュフロー分析を行う中で、営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)が安定していれば、本業で現金を生み出せているため、それを成長の原資として投資することが可能になるため、企業は持続的に成長できます。

逆に、営業CFがマイナスの場合は、投資CFによっては資金繰りに課題が生じやすくなりがちなのです。

そして、複数期をまたいでこのトレンドを見ていくことで企業の状況が見えてくるのです。

このように、財務分析にキャッシュフローの視点も取り入れることで、利益と現金について見誤らずに済むのですね。

初出:2011/10/31
更新:2025/06/12

経営
2025年6月11日

持続的イノベーション

持続的イノベーション_001
持続的イノベーション(sustaining innovation)とは自社を支える主な顧客の持つニーズを満たすために、自社の製品やサービス、またそれらを生み出す業務プロセスについてより良いものを生み出すために行うイノベーションのことを言います。

持続的イノベーションの「持続的」という言葉から単なる改善を繰り返すだけのイメージを持たれる方がいるかもしれません。確かに、改善を繰り返すということも非常に重視されています。

しかし、イノベーションという言葉も使用されており、この持続的イノベーションは単なる改善の域にとどまらず自社を支える顧客のニーズに基づいた抜本的な技術革新をも含む事があります。

ただし、この持続的イノベーションはあくまで自社を支える顧客のニーズに基づいた改善や技術革新です。そのため、既存の技術ではなく全く新しい価値を生み出すような「破壊的イノベーション(Disruptive Innovation)」が生じた場合、新興企業に取って代わられてしまうといった現象が生じることがあります。このような現象をイノベーションのジレンマと呼んでいます。

このまんがでは製品を日々改良し、お客様の声に耳を傾け続け何度も抜本的な技術革新にも取り組んだと言っています。このような既存の顧客のニーズに基づいて行うようなイノベーションを持続的イノベーションといいます。

■持続的イノベーションの具体的なイメージ:日本車の改良とハイブリッド技術

例えば、改善活動を繰り返して現在の顧客ニーズを満たしていくイメージです。エンジンを使った車を究極に突き詰めていく日本の自動車などが挙げられます。

より良い燃費で、より良い乗り心地、より安全な車といった顧客の要望する大切なことをカイゼンで突き詰めていく日本の車作りがこのイメージに該当してきます。

また、この持続的イノベーションの文脈で、ハイブリット車という顧客の期待を遥かに超えてくる素晴らしい乗り物を作っていきました。ハイブリット車も既存の製品群の延長線上にあるイメージで、高度な技術の蓄積がそれを可能としています。

このような取り組みを通じて市場シェアを維持し、ブランドイメージの構築や規模の経済経験曲線効果での低コスト(販売価格が安いとは限りませんが)を享受することで競合が参入しにくくなる参入障壁を築くことができます。

■持続的イノベーションの対比として:EVが切り開く可能性

他方で、顧客が予期しないニーズがあるかもしれません。本当に顧客はエンジンで動く乗り物に乗りたいのでしょうか?

例えば、顧客は単に自動車という利便性がほしいだけだと考えれば、エンジンを使う乗り物といった切り口ではなく、モーターで動くEV車という切り口も考えられます。

この切り口は、既存のエンジンで動く車が蓄積してきた価値観や市場構造を根本的に変える可能性があります。精巧なエンジンを作る技術やエンジンから動力を得る前提で作られた車体設計などの先行者の蓄積に基づく参入障壁などをスキップできるかもしれないからです。

この切り口が真のイノベーションであれば、顧客の価値観や市場構造を根本的に引っくり返すことができるかもしれません。(2025年現在ではEV車の失速が目立ちますが。)

■相対的に変化するイノベーションの評価:2030年からの視点で振り返る

ひょっとしたら2030年には、移動手段の概念が根本的に変わっており、EV車自体も「あれは自動車という概念から生まれた持続的イノベーションだった」と振り返られるかもしれません。あくまで印象論ですが、EV車は自動車という体験の延長でしかないように思われます。

このように、持続的イノベーションと破壊的イノベーションは絶対的な分類ではなく、相対的な考えであるという点にも注意が必要です。

最初にこの記事を書いたときは2011年だったのですが、2025年現在、当時すごい革新的だった製品の幾つかはすでに旧製品の徒花的なものだったと理解できていますので。


みなさんは、今「破壊的イノベーション」だと思われている製品のうち、10年後に「持続的イノベーションだった」と評価されるものには何があると感じますか?

関連用語
インクリメンタルイノベーション 


初出:2011/11/04
更新:2025/06/11
マーケティング
2025年6月7日

生産志向

生産志向_001
生産志向とは
生産志向製品志向販売指向マーケティング志向社会志向といったマーケティング・コンセプトの一つで、「作れば売れる!」という考え方です。このコンセプトでは、生産力こそが価値の源泉となっています。

この生産志向という考え方は需要が供給を上回っている場合に有効です。例えば、食糧が欠乏しているような場合の食糧や、日本の高度成長時代のような場合には有効な考え方でした。

現代でも、生産コストが高いが市場拡大中の製品には当てはまるケースがあります。たとえば、太陽光発電パネルなどは当てはまるかもしれません。生産力を拡大し、安価に製品を提供できればそれは一つの価値となります。

このまんがでは、2コマ目でおなかのすいた学生さんたちが詰めかけています。それを受けて3コマ目で作れば作るほど売れると言っています。

しかし、このような考え方はひとたび需要が満たされれば
1コマ目、4コマ目のようにいきづまってしまいます。  

この生産志向の発想としてはコストリーダーシップを取りに行くといった感覚になりますので、経営資源がとても多い、いわゆる大企業なら勝ち目がある路線だとも言えます。

もちろん、この考え方が悪いわけではないのですが、漫然と対応すると激しい競争に巻き込まれがちという面に注意が必要です。

簡単に整理すると、いわゆるマーケティング志向と対極にある考え方で、我が国における大きな流れは以下のように推移してきたということを覚えておくとよいですね。

生産志向

販売志向

マーケティング志向


実務面からの加筆:
生産志向が一概にだめとは言えない点に注意が必要です。極めて強力な個性を持つ製品やサービスはマーケティング志向からは生まれにくいという現実にも目を向けると良いでしょう。

そのため、革新的な製品やサービスは顕在化したニーズに基づかずに開発されることもあるという点は押さえておく必要があります。

しかし、それを言い訳にして「うちの製品は世界水準だから売れるはず」といった思い込みで窮境に陥る事業も後を絶たないのが現実です。

「製品の品質がいい」と「売れる」は相関関係はあるかもしれませんが、因果関係はありませんので、良いものを作れ売れるといった思い込みは危険ですね。

■生産志向がハマっているケース

伝統工芸品など技術面の障壁が極めて高く需要は大いにあるけれども供給が追いついていないような市場についてはこの生産志向がハマってきます。

例えば、極めて趣味性の高い商品を取り扱ったりすると、このような生産志向の考えが行きてくるような市場に当たるケースもあります。

あなたや知り合いの趣味で、ニッチな良いものを提供している企業を思い浮かべてください。その人達はこの生産志向がハマる世界に生きているのかもしれませんよ。


初出:2011/09/14
更新:2025/06/07

経営
2025年6月5日

シナジー

シナジー_001
シナジーとは異なる経営資源を組み合わせることによって1+1が2以上になる効果の事を言います。

このような効果は経営資源間の相乗効果によりもたらされます。このシナジーの源泉には販売チャネルや生産設備の転用、技術や人材など組織に蓄積された知識・知恵の活用などが考えられます。

例えば、新製品を発売する場合を考えてみます。一から販売チャネルを構築する、生産設備を用意する場合には相当の投資を行う必要があります。

しかし、この時に既存事業の販売チャネルや生産設備を用いることができれば、費用を低減することができます。

そして、このことにより一から事業を立ち上げる場合に比べてより大きな利益を得ることができます。

具体的には、店舗網をすでに持っている薬局が関連事業として介護用品を取り扱うようなケースが考えられます。

この場合、店舗網をそのまま利用できること、既存事業の顧客が介護用品事業の顧客になってくれる可能性があること、薬局事業で培った信頼性などのブランドを活用できることなど有利な材料がたくさん出てきます。

このシナジー効果は上記のとおり範囲の経済に非常に近い考え方であるという事ができると思います。

このまんがでは一つのパートで練習するよりも複数のパートで一緒に練習する方が効果が上がると言っています。


実務面からの加筆:
シナジー、相乗効果とも言いますが、限られた経営資源を最大限に活かすためのキーワードであり、事業計画を考える際には重要視して書いていくことが大切です。

特に補助金獲得を目的とする場合、「補助金で導入する新たな設備が既存のシナジーを生む」(相乗効果の強調)が鉄板のストーリーとなります。

■シナジーが生まれるとは限らない

とはいえ、シナジーは生まれるとは限らないという身も蓋もない現実も覚えておいてほしいです。

例えば、組織が連携するときはシナジーが発生するとほとんどのケースで言いますが、組織文化が違うとシナジーは生まれず、単に経営資源が重複して非効率を生むだけだったりします。(アナジーとか負のシナジーといった言葉も作られているぐらい、ありふれた事象です)

単なる寄せ集めからはシナジーは発生しにくいといったことは、なんとなく感じると思います。

■シナジーが生まれるような設計が重要

経営資源に余裕がない中小企業などでは、シナジーが発生するように設計することがとても重要です。そのためには、

・コストが発生する経営資源の共有(設備や人など)をうまく共有する
・売上拡大へ顧客基盤や商品への信頼感をうまく共有する
・組織全体をうまく統合する(特にインセンティブの設計をうまく行う)

など、多岐にわたって意識的に設計することが重要です。

もちろん、具体的な状況が異なる中で万能な正解はありません。そのため、このような「うまくやる」としか一般論ではかけないです。

しかし、、「どの経営資源を、どう組み合わせればシナジーが出るか?」という視点を持つことがとても重要なのです。

初出:2011/12/28
更新:2025/06/05

財務・会計
2025年6月2日

減価償却

減価償却_001
減価償却とは取得した固定資産を毎期一定の費用を計上して各期に配分する事を言います。

建物や車などは永遠に使えるわけではなく、使い続けるうちに少しずつ劣化していきます。築30年の建物、10年乗っている車などは新築の建物や新車に比べてだいぶガタがきているイメージになると思います。

このことは使い続けると少しずつすり減っていくと言い換えてもいいと思います。そして、この少しずつすり減るイメージを帳簿の価格にも反映させましょうというのが減価償却の考え方となっています。たとえば100万円で買った新車が10年後いくらくらいになっているでしょうか?100万円のままとは直感的に言いにくいですよね。

それでは、帳簿価格を何年もかけて減らしていくという事はどのようなことになるかを考えてみたいと思います。

1.費用配分
会計の目的の一つとしてその期間の経営成績を算出する事があります。これは損益計算書(P/L)で表現されます。

それでは先ほど出てきた10年使える車にかかった費用はいつの期間の費用にした方がいいでしょうか?買った時に一気に計上する方がよいでしょうか?

10年間使えるという事は10年間の収益獲得に貢献するという事です。それならば、車の購入費用はある期の費用ではなく10年間に配分して費用化することが合理的ですよね。このように 収益に貢献している期間に費用を配分するという機能が減価償却にはあります。

2.資産評価
ある時点での企業の財政状況を表示する事も会計の目的です。これは貸借対照表(B/S)で表現されます。

先ほどの10年間使える車であっても、ある程度使った車を新車と同じ額では表現できないですよね。減価償却を毎期行うことによって毎期少しずつ固定資産の価値がすり減っていくことを表現することが可能となります。減価償却を行うことで例えば、5年後にはすり減った部分を控除した残りの部分が貸借対照表に記載される事となります。

3.資金回収
減価償却費という費用は現金が出ていく費用ではありません。(現金は車を買った時に出て行っています。)

でも、費用としては計上されています。すると、減価償却費の分は現金として回収されていることになります。減価償却にはこのような側面もあります。

このまんがでは学食の先生が設備投資するかどうかをずっと考えています。最終的には設備投資をすることを決めたようですが、今後は減価償却費がかかるからもっと稼がなきゃならないと言っています。

それに対して生徒さんはなぜ費用が増えるのかいまいち腑に落ちていないようです。

答えは、今回のテーマである減価償却費が毎期かかるからという事ですよね。


実務面からの加筆:
減価償却って、ルールで決まっているっぽいんですが、『あえて』損金になるよりもたくさん計上するケースや、全く計上しないで利益を増やすようなケースもあります。

なので、減価償却を止めてしまって表面上利益が出ているかのように見せている財務諸表もあるので注意が必要です。

(1期分の財務諸表だけ渡されてもわかりにくいですし、ずーとそのような処理をしている場合は、数期分渡されても読み取れないケースもあります。総勘定元帳でも入手できれば一目瞭然ですが、支援者側でも入手しにくいのに、与信判断などで入手することはほぼ不可能です。)

ただ、場数を踏むと、固定資産の額などで不自然さを感じるようになったりします。

・そんな財務諸表に出会ったらどうするの?

その場合は減価償却をルールに則って実施していた場合と仮定し、計算し直して現在の財務諸表を見ることも求められたりします。

財務情報は一見すると絶対の真実のように思われがちですが、あくまで相対的な真実でしかないというところに目を向けると、より深く事業を理解することができますよ。


初出:2011/12/25
更新:2025/06/02

店舗管理
2025年6月2日

ABC分析

ABC分析_001
ABC分析とは在庫管理や販売管理などで大量の管理対象の物品を管理するにあたり、何らかの観点でグループ化してそのグループ単位の中で重要なものを重点的に管理する手法です。

例えば、在庫品を売上高順に並べて累積売上高が80%くらいまでのものをAグループ、90%くらいまでのものをBグループ、これらのグループに入らないものをCグループとして管理する手法を変えることが考えられます。もっとも、このグループを何%でわけるかは扱う物品によって変えてよいと言われています。

このように分類してみると全体の80%程度の売り上げをしているAグループは品目的には少数でしかないことが多く、この少数の重要な品目を重点的に管理すると効率的であるとするパレートの法則に従った考え方です。

下の図のようにパレート図を作成してみると、わずかな品目で大きな割合の売上を上げているケースが多いということがわかります。(パレートの法則を応用しているんですね。)

パレート

このまんがでは、売れ行きの非常に良いおにぎりがAグループであると言えます。そして、このおにぎりを重点的に管理すると言っています。

関連用語
定量発注方式
定期発注方式
簡易発注方式
ダブルビン方式 
デシル分析

実務面からの加筆:
色んな本を読むとこのABC分析は重要視されているのですが、実際にはABC分析どころではなく、なんの記録も取っていない事業者の方も多くいらっしゃいます。

分析が難しければ、まずは記録を取るところから始めるとよいです。

記録を取らないと、本当は売れていなくても印象に残った商品を沢山売れていると誤認してしまうことがあります。

難しいことをしたくないなら、まずはコンビニでノートを買ってきて、今日売れた商品を正の字でいいので記録してみましょう。

その記録が儲かるあなたの商売への第一歩だとkeieimangaは考えます。

初出:2011/11/30
更新:2025/06/02

マーケティング
2019年11月5日

ライフタイムバリュー(lifetime value:LTV) | 顧客生涯価値を高めることが商売のコツです

ライフタイムバリュー_001
ライフタイムバリュー(lifetime value:LTV)とは顧客生涯価値と訳され、顧客がその取引を始めてから終わるまでの期間を通じてもたらす利益の事です。

自社の製品やサービスに対し、顧客が高いロイヤルティを感じれば、長期にわたって(時には文字通り生涯にわたって)リピート購入が期待できます。
 
何度もリピート購入して頂ければ、企業にとって非常に多額の収益をもたらすことにつながります。この意味でカスタマーインティマシーを高めることが重要だったりするのです。
 

■長く顧客であり続けてもらうと利益が向上します

 
さてどうしてこのLTVが大切なのでしょうか。単にリピート購入を目的としている方でしょうか。
 
それは新規顧客の獲得が難しいからです。 難しいだけではなく多額の費用がかかってしまいます。
 
例えば、新規の顧客と取引を開始するためには、広告宣伝に費用をかけたりといろいろな費用が発生しますよね。
 
しかし、既存のお客さんならばそういった費用は最小限に抑えることが可能となります。
 
そのことから新規顧客を獲得するよりも、既存顧客に反復して購入してもらう方が利益につながりやすいという考え方があります。

読者の皆さんも、好きなお店に通ったり、好きなブランドの商品をいつも買っていたりしませんか?
 
このように、一旦ファンになってくれたお客様は何度も何度も反復して購入してくれるという考え方がライフタイムバリュー(lifetime value:LTV)の考え方です。
 
一説によると1:5の法則と呼ばれるものがあり、新しいお客様を獲得するコストはお客様をつなぎとめておくコストの5倍かかるという法則があります。
 
このような法則を鑑みると、やみくもに新規顧客を追いかけるという方法は経済的にあまり合理的な行動ではありません。
 
そして、この考え方に沿うならば、個々の取引での収益を最大化するのではなく、顧客と長期的にみて良い関係を築くことが重視されます。まじめにコツコツと顧客との関係を築くというイメージですね。
 
このまんがではメガネ君が雨の日も風の日も、日差しの強い日も学食に通っています。このように、常連さんをしっかりと作っていくことが大切なのです。

■具体的にライフタイムバリューをどのように活用するか

さてこのLTVという考え方を具体的にどのように活用するのが良いのでしょうか?

まず考えられるのは、顧客獲得にかける費用の目安を得るために活用することです。

例えば、LTVが5000円と見込まれるのであれば、顧客獲得にかける費用は5000円以下でないと最終的には赤字になってしまいます。

一人の顧客からもたらされる利益が、5000円であると見込まれるならば、その顧客を獲得するための費用は5000円以下でなければならないという考え方です。

と、このように考えればそんなに特殊な考え方ではないと理解していただけると思います。

■ライフタイムバリュー(LTV)はどうやって計算するの?


このライフタイムバリューは顧客が取引を始めてから終わるまでの期間を通じてもたらす利益という定義です。

そこで、次のような計算式を考えることができます。

LTV=顧客からもたらされる収益×購買頻度(年何回買ってくれるか)×顧客の継続年数

ここで、顧客からもたらされる収益とはいろんな考え方がありますか、 単純に粗利益で考えていきます。

すると

LTV=(購入単価×粗利益)×購買頻度×顧客の継続年数

となります。

■具体例

では具体的に LTVを計算してみたいと思います。

粗利益率30%で平均購入単価が1000円の釣具屋さんのネットショップを考えて見ます。

このお店では、一度顧客になるとおおむね年4回リピート購入をしてくれる傾向があります。

また一人のお客様は、大体5年間お客様で続けてくれます。

このことからライフタイムバリューを計算すると

LTV=(1,000×30%)×4回×5年=6,000円

となります。

このようなケースで、一人の顧客獲得のために6000円以上の広報費をかけてしまえば赤字になるということが明確になります。

最も、このライフタイムバリューという考え方は長期にわたっての考え方になります。 そのためLTVがプラスだからといって短期的な費用をかけすぎてしまうと、資金繰りの面で問題が発生してしまいます。


onnanoko_bustup
ライフタイムバリューと広報費を比較してプラスになるなら強気でどんどん広報費を掛けられるね。

onnanoko_bustup
って、同業の人がマーケティングの本を読んで学んだらしいのよ。

neko_akire
たしかに、そんな風に思えますけど、本当ですか?

onnanoko_bustup
で、そのお店のお客様はLTVが5万円なので広報費に3万円掛けて頑張ってお客様を確保したのよね。

neko
だったら、たくさん儲かったんですか?あ、でも将来の100円と今日の100円は価値が違うって考え方もあるし…

onnanoko_bustup_2
ううん、そんな複雑なことを考えなくても結果良くなかったの。短期的に広報費を掛けすぎて資金ショートをしてしまったのよね。

このように、LTVは顧客生涯価値ですから、短期的な資金繰りは別の考え方として管理する必要もある点に注意が必要です。

■LTV(ライフタイムバリュー)を高めるための実践的施策

このLTVはお客様にまた来ようとか、また利用しようと思ってもらうお店・サービスづくりがポイントとなります。

伝統的な手法ではポイントカードなんかがありますが、ポイントカードは単にポイントを配るだけでなく顧客データベースとして購買履歴を管理しておき、適切なタイミングで再来店等を促すことに利用することが効果的だったりします。

気の利いた歯医者さんなんかでは、定期的に歯科検診の案内が来ますがああいった事をめんどくさがらずに実施していくことが重要なのです。

また、単純な方法ではお客様の名前や顔を覚えたり、「いつもの」で通じるような常連扱いするような方法もありえます。

このような特別でない小さな工夫を積み重ねて自社のお客様として信頼関係を築いていくことが重要だったりするのです。

小さなお店でコストをかけられない場合は、業務日誌をつけて、よく来る常連さんの情報だけでも纏めておくことはおすすめです。「久しぶりですね」なんて声をかけてもらえれば嬉しいものですから。

関連用語
ARPPU
アフターケア
アフターサービス
アフターマーケット
マーケティング
2019年2月25日

マス・マーケティング | もっとも効率の良いマーケティング手法ですが機能させるためには莫大な経営資源が必要です

マス・マーケティング_001
マス・マーケティングとは一つの製品を世間一般(一つの市場)に対して大量に作り、大量に流通させ、あらゆる買い手に対して画一的な方法で展開するマーケティングの事です。

■お客様は誰?誰かではない、みんなです

この場合お客様としてもし仮に想定するのであれば、その市場全体で一般的なお客様を想定する形になります。

現在のマーケティングにおいては、市場をセグメント分けして、その分けたセグメントの中の特定の市場をターゲットにして、ポジショニングを明確にして対応します。

しかしそのような面倒なことせずとも売れるのであれば、市場全体をターゲットとした方が潜在顧客が多いですしカスタマイズする手間もかかりません。

経済が成長している時代などはこのマスマーケティングが主流でした。現代においても大手清涼飲料水メーカーなどはこのマスマーケティングの手法で大きな成果をあげています。

■商品と価格、流通の考え方は?

マスマーケティングは単一製品を大量に流通(生産)させ、規模の経済の効果を享受し、最低のコストと価格を達成し、最大の市場シェアを獲得する方法論です。

全ての消費者を対象として商売を行い、市場を細かく分けるのではないので非常に大量の潜在顧客を抱えることになります。

そのため、うまく売れれば非常に多くの顧客に対して販売してこととなります。 そしてお客様が多いということですので、うまくやれれば非常に売上が多く上がります。

■プロモーションのやり方はどうするの?

マスマーケティングは単一製品を単一市場に対して投入するために、テレビやラジオなどのマス媒体を活用し、市場全体へ対するプロモーションを行ったりします。

とにかく、多くの人にリーチすることを目的としています。そして取り扱うアイテム数が少量になりますので、結果として少量のアイテムに対して多数の数の広告が届くことになりますので非常に効率がいいのです。

ただ効率の良さと効果の高さは別の考え方になりますので、マスマーケティングが有効でない市場においてますマーケティングを行っても効果は出ません。

neko
大量に広告を出して、大量に作って安くして、このサイクルが回るとすごく儲かるし、安く手に入るので消費者にとってもメリットがあるよね。

onnanoko_bustup
確かにそうだけどねー。私たちみたいなファンシーショップ業態はやっぱり個別に細かくみずを拾って行かないといけないのかもね。

neko
そうですね。全国展開した可愛い人形ってあるけれども、そんなに多くはないからね。

■マスマーケティングのメリット

もしマスマーケティングのメリットをあげるのならば、上で指摘したように 効率的に非常に多くの消費者顧客候補に対して売り込みをかけることができる。

また商品自体も絞り込まれたラインナップになるため、規模の経済が簡単に追求できる。その結果低コストで大量の売上を上げることができるといった点が挙げられます。

■マスマーケティングのデメリット

しかしマスマーケティングは現在において限られた企業しか利用していません。 なぜかと言うと市場が非常に細分化されており、単一の商品を市場全体に対して売り込むといった方法論自体が陳腐化しつつあるからです。

例えば、飲料水などはみんなが飲んでいてもいいでしょうか、みんなが同じ服を着ていたらどんなにかっこいい洋服でも、どんなに可愛い洋服でも、それは決して素敵なものではありません。

このように物が溢れている時代においてマスマーケティングという手法自体が、陳腐化しつつあるのです。 そのためマスマーケティングのデメリットとして、そもそも手法自体が陳腐化しつつあると言ったことが指摘されます。

■マスマーケティングの先に

とはいえ、マスマーケティングは完全陳腐化したわけではありません。

一部の製品は従来のマスマーケティングで効果を上げているといったケースもあります。 しかし一般的にはマスマーケティングでなくもっと細分化されたマーケティング手法を取るべきであるとされています。

特に経営資源が乏しい企業においては、市場全体で戦うのは難しい。けれども限定された自分の得意な分野であれば十分に戦えるといってことが起こり得ますので、もっと細分化されたマーケティング活動を行っていく形になります。

このまんがでは、新発売のアイスクリームが話題になっています。話題になるように相当量の広告宣伝が行われていることが暗示されています。

また、どこのお店に行っても山積みになっているという状態から大量に流通されていることもわかります。 このように、単一市場に対して大量に単一製品を投入することをマス・マーケティングと言います。

解説で出てきた用語・関連用語
規模の経済
市場シェア
経営
2019年1月13日

コモディティ化 | 原因と対策としてのブランド化が難しい理由

コモディティ化_001
コモディティ化とは製品が差別化できる要因(品質、機能、ブランド等)を失い一般的なものとなってしまい、消費者にとってはどこのメーカのものを購入しても大差がない状態になってしまうことを言います。

コモディティ化が進むと、消費者はどれを選んでも同じといった状態となるため、企業間の競争は価格競争が主なものとなります。その結果、低価格化が急速に進行します。

考えてみてください、ほとんど同じものが小売店に並んでいてワザワザ高い方を選びますか?消費者にどちらを選んでも同じようなものだと思われると、そういった状態となってしまいます。そしてこのような状態になるのがコモディティ化です。

そして、低価格化が進行すると、当然ですが利益が圧縮されてしまいます。論理的には超過利潤が得られなくなる水準まで価格が下がりますので、そんなにおいしくない市場、ついり儲からない市場となる訳です。
  • コモディティ化が進んでいる製品の例
コモディティ化が進行している製品カテゴリーの例として、家電やPCなどがあげられます。

たとえば、冷蔵庫では食品を冷やして保存するといった主要機能についてはどこのメーカのものでも同じと言えます。

またPCでは、どこのメーカのものであっても同じソフトウエアさえ導入すれば機能面の差異はほぼありません。

消費者にとってはどれを選んでも、最低限の機能は持っている。また、コモディティ化が進んで安く購入できるといったことはとても良いことです。しかし、企業経営の面では低価格化が進行するとおいしくないので良くないとされるのです。
  • どうしてコモディティ化がすすむのか?
コモディティ化の推進要因として、以下のような点があげられます。

1.モジュール化の進行
製品を構成する部品がすでに市場に存在・流通しているような場合、どのメーカも同じようなモジュールを組み込んで製品を構成するため性能の差がつけにくくなります。

PCでいうと、CPUやHDD、メモリー等をPCメーカはわざわざ自社開発せず、市場から調達して組立をおこないます。そのため、どこのメーカのものであっても、同じCPUを積んでいれば同等の処理速度を実現できるのです。

2.顧客の要求水準の頭打ち
製品の機能・品質の向上に伴い、どの製品でも顧客の求める機能・品質の水準を超えるようになるといった場合が考えられます。

冷蔵庫は食品を腐らずに保存できれば十分と考えている顧客に、デザインやドアの開閉のしやすさで訴求してもなかなか差別化は難しいと考えられます。

この流れによって近年はジェネリック家電と呼ばれる必要十分な機能を持った家電が提供されています


3.みんなが真似する(できる)から
良いモノはすぐに真似をする人が出てきます。これは製品やサービスでも同様です。

模倣を避けて差別化要因を維持するために、特許権等の知的財産権を確保するのですが、特許権は20年しか権利として認められていませんので、特許が切れた後は模倣を防ぐ術が少なくなります。

また、競合他社も必死ですので、他社の特許権に抵触しないように同様の機能を実現するための開発も行われます。

そのため、すぐに市場にその製品やサービスの類似品があふれてしまうのです。
  • 対策はあるのか
コモディティ化が良くない現象であると捉えるのならば、対策も考えられます。

1.ブランド化
よく言われる対策は、ブランド化です。製品やサービスに名声を確立し付加価値(多分に心理的な付加価値となります)を訴求できれば、競合品と区別することができるのでコモディティ化を避けることができます。

とはいえ、このブランド化は安易に言われていますが茨の道です。ブランド化が簡単にできれば誰も苦労しませんし、非常に大きなコストがかかります。

また、コモディティ化するような商品は世の中にすでにあふれているため、単なる差別化を通り越してブランド化するといった切り口を取ろうと考えると、必然的に客層を絞り込む必要があります。

例えば、コモディティ化を避けてブランド化するために、食塩を「35歳男性専用食塩」などと打ち出すことは考えられます。

35歳の男性が好むモノを調べ上げ、その嗜好に合った食塩で訴求するイメージです。(例えば、35年前に精製した食塩、35億年前の地層から掘り出した岩塩などのストーリーを付与して行く感じです。)

ただし、このようなアプローチを取る場合は、逆にいえば35歳男性以外のターゲットは追いかけないことを意味します。

そのため、既存の製品はそのままにして別の製品ラインとして打ち出す事となるでしょう。(既存の製品はコモディティ化したままですが、既存製品をブランド化するためには、小売店の売り場から排除される等の大きなリスクを負う必要があるため現実的ではないでしょう。)

2.顧客とコミュニケーションを密にする
最初からブランド化を考えるのではなく、顧客に製品やサービスの魅力を伝えるコミュニケーションを密に取るところから始めると追加のコストがあまりかかりません。

コモディティ化している製品やサービスであっても競合他社と違う何らかの特徴があるはずです。前述の食塩であっても、製法が違うとか、原材料を確保した場所が違うなどがあるはずです。

そして、その特徴を適切に伝える努力を行えば、多少は効果が出てくると考えられます。例えば、福井県出身の人なら、福井の海で作った塩といわれれば愛着がわくはずです。

このような些細なことでも良いのでしっかりと顧客とコミュニケーションを取っていく必要があるのです。


このまんがでは4コマ目で言われている通り同じパン屋さんから仕入れている焼きそばパンを、学食と購買で売っています。このように同じものであったり、品質に大差のないものは価格競争が主なものとなってしまっています。

そのため、 1コマ目で学食のおばさんが値下げを断行した際、3コマ目で購買を運営している販売クラブの面々も焼きそばパンの値下げで対抗しています。

関連用語
追随価格
レッドオーシャン

経営
2018年12月24日

規模の経済

kibo_001
規模の経済とは同じ製品や事業では、生産量や営業量の大きい方が、単位当たりのコストが低くなる事を言います。但し、一概に規模が大きければよいという物ではなく、規模が大きくなりすぎると規模の不経済が生じるとされています。

これに似た概念としてこちらの経験曲線という考え方があります。こちらは累積生産量と単位当たりのコストに着目しているのに対し、規模の経済は一定時点での生産規模と単位当たりのコストに着目しています。また、規模の不経済は経験曲線の考え方では生じないとされています。

さて、なぜ規模の経済という現象が生じるかといいますと、

1.製品単位当たりの固定費が薄まるため。
 機械等の減価償却は一つ作ってもたくさん作っても同じであるため、たくさん作った方が製品単位当たりで負担すべき固定費が少なくなります。

2.効率的な生産規模が存在するため。
 鉄鋼業の高炉など、ある設備を導入すれば単位当たりのコストを下げられるような設備が存在しますが、小さな規模の企業では導入が難しい設備があるケースがあります。
 身近な所では学校などに置いてある輪転機でプリントを印刷するととても効率的に印刷できるのですが、コピー機だと同じプリントでも時間がかかる(人件費というコストの発生)ようなケースです。

3.労働力の専門化
 規模拡大によって、投入される労働が専門化され能率が向上する。専門的な仕事をする方が効率は上がるというケースです。

というような要因が考えられます。

さて、まんがでも指摘しているように、カスタネットのように小学校に入学する新一年生がみんな買うような楽器と、クラベス(拍子木みたいな楽器です)では一般的にはカスタネットの方が安い(もちろん高級品も存在ますが)というような現象が生じます。 

関連用語
範囲の経済

経営どうが「規模の経済
  • 中小企業においての規模の経済とは
さて、中小企業において規模の経済をガンガン活かした戦略の策定は基本的には難しいとされています。

これは、経営資源が相対的に乏しい中小企業が大企業を相手にして規模の経済性を発揮できるかといったことを考えて見れば納得できると思います。

しかし、規模の経済とは、たくさん作ればその分固定費が薄まって効率が良くなるといったのが基本的なコンセプトですので中小企業でも、小規模事業者でもその考え方を活用することができます。

例えば、工場の稼働に余裕があるならば、多少安くとも受注してしまうという意思決定の背景にも規模の経済の考え方があります。

具体的には、貢献利益がマイナスにならない限り安くしても受注すべきと言うのが規模の経済を活用した考え方となります。そして、工場長や、会計担当者は数字としては多少安屈してでも受注した方がいいといった考えを述べることとなります。

一方、経営全体を見た際には、価格を引き下げてでも受注すべきかどうかは既存の顧客とからの値引き要請の危険性、工場の稼働率向上による将来のよりよい条件での取引受注可能性の放棄(100個しか作れない工場で90個作ってしまっている場合、追加の受注をすることができません)など、決断が必要な問題でもあります。

この規模の経済の追求を図で示したのがスケールカーブとなります。どのように規模の経済が効いてくるかを明示することが出来たりしますので、考える際に参考になります。
法務・支援施策
2015年2月9日

価格カルテル | 仕組みと例をまんがで解説 | 独占禁止法でわざわざ禁止する理由

価格カルテル
価格カルテルとは、複数の企業が価格を維持する事や引き上げる事を決めて、不当に利益を得ることを言います。

このような取り決めがないような状態では、(自由な競争が行われていた場合)価格はそれぞれの企業が競争した結果で決定していきます。その結果、競争が行われれば適正な価格になるのです。

端的に言えば、競争が行われれば安くなるのですね。

また、価格が下がれば一般にそのモノの需要が増えますので、売上額自体は一概に減るとは言えません。(売上=価格×販売数量ですからね。)

しかし、価格を維持した方が利益が多くなるといったケースも存在します。

このような場合においては、企業は利益を最大化するために当事者間で話し合いを行い、価格を維持したり引き上げたりすることを望む場合があります。「安売り競争に陥らないように」とか「せっかくだから値上げして儲けよう」といった話し合いを望むのですね。

しかしながら、このような話し合いがなされると、消費者の立場に立った場合には不当に高いものを購入させられるといった事につながってしまいます。

これでは良くないですよね?

しかも、消費者が損した分だけ、そのままモノやサービスの供給者側が得するのなら、それはまだマシなのです。良し悪しを別とすれば、経済全体ではプラスマイナスゼロですからね。

しかし、価格カルテルによって本来よりも値段が高まることによって、本来ならば消費者がモノやサービスを購入ることによって得られるはずだった利益を無駄にしてしまいます。

その結果、経済全体で見た時に損失が発生してしまうのです。こういうのをまんがで出てきた死荷重という言葉で示すのです。その為、このような価格カルテルは独占禁止法で禁止されているのですね。(違反するときついお仕置きがありますよ。)

但し、現在では、消費税の価格転嫁対策の一環として、消費税を価格転嫁する、表示を統一するといったカルテルについては独占禁止法の対象外にするといった制度が定められています。

■価格カルテルがなぜ発生するのか

悪いことだとはみんな知っています。しかしではどうして企業は価格カルテルをしてしまうのでしょうか?

この価格カルテルは市場の失敗の典型例で、死荷重という生産者も消費者もどちらも得をしない社会前提の損出が発生します。

しかし、価格カルテルが発生する事が強く予期されるならば、自分がそれに乗り遅れると損をしてしまうという考えが発生してしまいます。

みんなが価格を維持している時、自社だけ抜け駆けをすると確かに儲かるかもしれませんが、何らかの報復をされる危険性があったり、真剣な価格競争はそれだけ大変だったりします。

これに対して、価格カルテル状態に安住すれば、自社がすごく得をすることもない代わりに、競争で消耗することもなく、何となく業界全体で適正以上の利潤を得られる状況になってきます。

そのため、何となくの価格カルテルというものが発生してしまう危険性が常にあるのです。なので、公正取引委員会が厳しく監視をするといった市場を正常に保つために政府部門が一生懸命仕事をしているのですね。

関連用語
管理価格
経済学
2015年1月22日

ヴェブレン効果 | 高い方がモノの効用が高まるという考え方があります

ヴェブレン効果
ヴェブレン効果とは、高いモノであればあるほど、モノ自体の効用が高まるという効果のことを言います。英語ではVeblen Effectsと表記されます。

さて、ここで言う効用ですが、使用した際の『使用価値』ではなく、使用した人が感じる満足度の事を示します。

例えば、ペンを考えてみましょう。100円のペンも、5万円する高級ペンも、文字を書くという使用価値にはそれほど差がありません。(どちらも本質的には文字を書く道具であり、その機能は100円のペンでも十分に満たします。)

しかし、100円のペンを5万円のペンでは使用した人が感じる満足度には差がありそうですよね?

もちろん、すごく差を感じる人もいれば、ほとんど感じない人もいるかもしれません。しかし、いずれにしても満足度に多少の差は感じるはずです。

逆に言うと5万円のペンは、5万円であるという所に価値があり、逆にそれが1000円に値下げされてしまっては、価値が損なわれてしまうのです。

なんだか、誇示的消費といった内容に近い言葉ですね。また、こういった価格の付け方は心理的価格政策でいう所の威光価格と呼ばれるものです。(参考:価格のシグナル効果
  • 歴史について
さて、このような効果が提唱されたのはアメリカ、それもアメリカの景気が非常によく見せびらかすために消費を行うような人たちが多くいた時代の事です。

この時代、幸運にも富を得た人たちは、自らの経済力を誇示するためにあえて値段の高いものを買い求めました。

そして、このような消費行動を説明するためにアメリカの学者さんであったヴェブレン氏(Thorstein Veblen)が提唱した理論なのです。そうなのです、人の名前なんですね。

(日本人が仮にこのような効果について提唱していたら、山田効果とか、岡崎効果、伊集院効果といった風に呼ばれていたのかもしれませんね。)

関連用語
経営
2015年1月15日

アカウンタビリティ | 説明責任というもっとも基本的でとても大切な責任があります

アカウンタビリティ
アカウンタビリティとは、説明責任のことを指す言葉で、利害関係者(ステークホルダー)に対して自らの行動を説明させる責任のことを指す言葉です。そして、企業にとってのその説明は主に財務会計といった形を取って行われます。

このアカウンタビリティは、アカウンティング(会計)とレスポンシビリティ(責任)という2つの言葉かあら生まれた言葉となりますので、会計的に、利害関係者にたいして説明する責任といったニュアンスがありました。

■どうして説明しないといけないの

今日の株式会社は、活動範囲が広範にわたっており、またその額も多額になっています。そして、その結果、企業を取り巻く環境に対して与える影響は非常に大きくなっています。


そのため、「会社?会社は株主のモノだから株主にだけ説明しておけばいいんだよね?」といった風にはいえません。

なぜかというと、利害関係を持つ人は広範にわたるためそれらすべての人に対して責任責任(アカウンタビリティ)が生じるためです。

そのため、「お金を借りている債権者にだけはちゃんと説明しないとね…」、「税務署の人が来たら大変だから適正に申告をしよう」といった風に、株主以外の利害関係者にも説明責任を負っているのです。

この例のほかにも、取引先や、顧客、消費者、従業員、事業所の存在する地域の住民といった風に、考えていくと利害関係者は非常に広範囲に存在することになります。

■説明する責任があります

さて、そういった様々な利害関係者に対して、企業が誠実であるために、できることはなんでしょうか?

株主に還元すべく、余剰資金はすべて配当することでしょうか?でもそうすると、債権者は借金の回収が難しくなりそうですよね?

では、従業人に還元するために、ギリギリまで労働分配率を高めますか?でも、そうすると、株主へ対する利益の分配は減少しますし、会社にお金が無くなると、債権者の権利も害されますよね?

このように、金銭面の配分では、どこか特定の集団に対して為になる事をやったとしても、なかなかすべての利害関係者に報いることは難しいのです。

しかし、すべての利害関係者に対して同時に為になる事もあります。それは正確な情報を適宜開示し、対外的に経営陣が責任を果たしているかを知らせる事です。

その結果、利害関係者はその企業に対して判断材料を得ることができるのです。

■不透明だと…

さて、株主と経営陣の間には、経営陣の方が会社についての多くの情報を持っているといった、情報の非対称性が存在しています。株主にとっては経営陣が自らの信頼を裏切るかもしれないといった、エージェンシー問題が存在しているのです。

その対応策として、歴史的に株主は経営陣に情報開示、とくに財務情報の開示を求めてきたのです。(この辺の知恵が財務会計という領域に結実しているのですね。)

そして、今日では経営の透明性を高める必要性が叫ばれている関係もあり、株主のみではなく、様々な利害関係者(ステークホルダー)に対して情報開示を進んで行うようになっているのです。

そして、このような情報開示を行う責任をアカウンタビリティと表現するのです。

■アカウンタビリティは拡張されています

当初は、財務会計の情報開示の側面が強く出ていたこのアカウンタビリティという言葉ですが、近年ではステークホルダーに対して説明責任を負うと言った側面が強くなっています。

アカウンタビリティの対象が地域住民や顧客、従業員まで拡張されてくると「お宅の財務会計の情報はわかったけど、でこの問題について何をどうしてくれるの?」といった疑問が生じてきます。

言い換えれば、あなたの住んでいる地域に工場があり、騒音問題を引き起こしているときに、財務諸表を提供されても何の説明にもならないということです。

このことから、会計情報以外の情報の開示もアカウンタビリティに含まれています。

ただし、情報を開示しただけではアカウンタビリティを果たしたとみなされなくなっている点注意が必要です。

■責任の側面

どういうことかというと、アカウンタビリティは説明責任だけでなく、実行する責任まで問われ出しているためです。

例えば、上の例で工場の騒音問題で「これこれこういう理由で、騒音が出ています。」と説明すれば『説明責任』としてのアカウンタビリティは果たしています。

しかし、アカウンタビリティ自体は果たしていないと考えられます。どういうことかというと、実行(この場合は改善する)責任を怠っているからです。

そのため、アカウンタビリティを果たすためには、騒音が出ている理由を説明した上で、改善する責任まで果たす必要があるのです。

■結果に責任を持つことまでがアカウンタビリティだが

この意味で、今日のアカウンタビリティは結果責任まで内包した言葉になっています。

しかし、この方向に進みすぎると説明するためのコストばかりかかってしまい、製品やサービスを利用する人と提供者が受け取るべき経済的利益を圧迫してしまいます。

もちろんアカウンタビリティが重要である事は論を待ちません。しかし、バランスを逸脱した説明責任、実行責任を社会が求めるならば、その対価も社会が支払う必要が出てきてしまうのです。

■アカウンタビリティとコンプライアンスやガバナンスとの関係

企業倫理を支える言葉として、アカウンタビリティの他にコンプライアンスやガバナンスと言った言葉も一緒に語られることがあります。

アカウンタビリティは前述の通り「説明する事」であると理解していただければですが、コンプライアンスは「法令遵守や遵法」、ガバナンスは「統治や監督機能」と言った理解になります。

つまり、3本柱としては
・アカウンタビリティ(説明責任)
・コンプライアンス(法令遵守)
・ガバナンス(統治)
などと、言ったものとなります。どうでしょうか、割と隙のない構成になっていますよね。

不祥事を例に説明すると
・不祥事が発生した理由を説明するのがアカウンタビリティ
・不祥事が発生しないように正しく事業を運営するのがコンプライアンス
・不祥事が発生しないように取締役などが監督するのがガバナンスです

どれも似ていて、どれも大切ですが受け持ち範囲が少しずつ違うのですね。

関連用語
コーポレートガバナンス
組織論
2014年3月18日

CFO | 財務関係の責任者という非常に偉い肩書です

CFO_001
CFOとは(英語:chief financial officer)の頭文字をとった言葉で、そのまま訳すと最高財務責任者のことを言います。

イメージとしては、会社の財務関係の事柄を取り仕切る役職といった感じで、一般的に日本企業のの経理部長よりも職務は広範にわたり、責任も権限も強いものとなります。

単に部門の長というだけではなく、経営側の人間として企業の意思決定に直接かかわっていくといった役職です。

具体的には、企業外部の利害関係者(ステークホルダー)に財政状況と経営成績を知らせる財務会計のみならず、企業の管理会計として予算管理や原価管理、保険、また企業ファイナンス領域も一手に引き受けるといった感じです。

経営資源の四大要素である「人もの金情報」の金を司るというイメージです。まさに経営陣の一翼をになっている役職となります。


hiyoko
私はこのお店のお金を司ってる金庫。今度 CFO って名乗らせてもらおうかしら。

onnanoko_bustup
ふふふのふ、他にお金を司ってるだけではCFOは名乗れないわ。CFOを名乗るには私の右腕として企業価値を高めるための様々な方法を一緒に考えてもらうことになるのよ。

hiyoko
かぎられたお金という経営資源を使って、どうやって経営していくかを考えないといけないのよね。


■CFOは責任が大きいです

そしてこの業務の広範さや責任の重さからから、経営全般を取り仕切るCEOに次ぐ重責を担っていると一般的にされています。

最高財務責任者ですのでステークホルダーに対してのアカウンタビリティも司っています。

そして金という非常に重要な経営資源を司るため、単なる金庫番ではなく経営戦略の策定・実行なども任務となっています。

投資家が重視するROE などを向上させるような責任も負っておりますので、 限られた金という資源を利用してどうやって企業価値を向上させていくかという視点を持つ必要があるのです 。

その意味で単なる経理部長ではないのです。

■法的な地位ではありません 

さて、日本企業でもこのCFOという肩書を付ける場合がありますが、この役職は取締役のように法律で決まっている役職ではありません。

またこの CFOを務めるために、特別な資格などは必要ありません。CFOというと、なんとなく公認会計士やMBAホルダーのようなイメージがありますが別に公認会計士さんやMBAホルダーでなくても CFOの地位につくことは可能です。

解説で出てきた用語・関連用語
経済学
2014年1月4日

非自発的失業 | 高望みは決してしていないのだけれども、働きたくとも働けないという事もあり得ます

非自発的失業
非自発的失業とは、働きたいという意思があり、求めている待遇も労働市場の適正水準の賃金といった人が、働けないような状態を言います。

このような人々は、労働市場の適正水準の待遇を求めているにもかかわらず、労働力の需要が不足しているために失業状態に置かれていると考えることができます。

そして、そのような原因で失業しているため、「働く意思も、能力もあるこの人たちが働くことができないのは、働く場がないからであり、責任はこの人たちにはない」といった状況となります。

この種の人たちは、働く場があるにもかかわらず、自分の理想と合わないからと言って自発的に働かない自発的失業の人たちに対し、非自発的失業と呼ばれます。「働かない」と 「働けない」の違いですね。

そして、この種の失業が発生する原因の一つとして、賃金の下方硬直性があげられます。

■社会・経済全体への影響

非自発的失業状態は、働きたい人が働けないという状態です。これは個人にとって幸せでないと同時に、社会全体にとっても良いことではありません。

働きたい人たちが働けないことでお給料が入らないことから消費が減退し、その結果、企業の行政機が悪くなり、更に仕事が減るといった悪循環を招いてしまいます。

ニュースなどではGDP成長率を総需要の減少を通じて押し下げるといった感じで説明されます。

また、このような状況が続けば、新たなスキルを学ぶ機会を働く人が喪失することによるスキル水準の相対的低下による労働生産性低下まで招きかねません。

また、社会保障給付の増大も招きますし税収の減少ももたらしますのでマクロ経済としても良いことではありません。そのため、国は非自発的失業を減らすために様々な手を打って完全雇用を目指していくのです。

関連用語
摩擦的失業
財務・会計
2013年1月2日

デット・ファイナンス | 負債でお金を調達することの利点と注意点

デットファイナンス_001
デット・ファイナンスとは、いわゆる普通の借り入れのイメージです。英語表記ではDebt Financeとなります。

■負債としてお金を調達します

デット(Debt)とは負債の事ですので、負債で資金調達する→借金のイメージで捉えていただければと思います。

このデット・ファイナンスの具体例は、社債の発行や銀行からの借り入れなどになります。そして、このような資金調達の方法を行うと、下の図のように貸借対照表上の負債の部が増えるのです。

企業間信用でお金を調達するのも負債ですが、この場合はデットファイナンスとはあまり言いません。

デットファイナンスはあくまで、いわゆる金融(銀行借り入れ等の間接金融か、社債の発行等の直接金融)にかかる資金調達を指します。
デットファイナンス

■デットファイナンスの特徴とメリット

この、負債を利用した資金調達は企業において一般的な資金調達方法です。しかし、負債に頼りすぎると企業の安全性が脅かされる場合があります。(参照:安全性分析)

負債となりますので、返済義務が生じるためしっかりとした返済計画を立てておく必要が生じます。

以下デットファイナンスのメリットを上げていきます
1.一般的にコストの低いファイナンス手法となる
上手く負債を利用すれば、資本コスト(株主資本コスト)よりも安いコストで資金を調達できます。

返さなくて良いお金である事から、株主資本の方が良いと思う人も多いのですが、資本コストは負債のコストよりも一般的に高いと言われています。

2.レバレッジが効く
経営がしっかりできるのならば、レバレッジ効果も期待できるといった風にメリットも大きいのです。

3.経営権に影響しない
また、エクイティファイナンスと違って、株式の発行が不要ですので、この種の資金調達を行っても企業の支配権には関係ありません。普段は意識しないかも知れませんが、資金調達に伴って、株式の発行を行う場合、経営権に影響が出てきます。

本当に少数の株式発行なら問題は少ないのですが、資金調達で株式を発行する場合はある程度の経営権を要求されるのが一般的ですから、注意が必要です。

4.信用が生じる
金融機関は返済実績などを重視します。今までしっかりと返済を滞りなく行っている企業の方が、無借金経営で金融機関とお付き合いのない企業よりもいざというときに融資を受けられる可能性が高くなります。

これは、返済実績という信用が効いてくる例なのですね。

■デットファイナンスの注意点

デットファイナンスでお金を調達する場合、デメリットもあります。これは難しいことではなくいわゆる借金のデメリットを思い浮かべてもらえれば理解いただけると思います。
そのため、特にデメリットは上げませんが、デットファイナンスのデメリットを少なくするための方策はあります。

1.事業計画に返済計画を盛り込む
借り入れを起こす際に、しっかりとした返済計画を立てておくことが重要です。特に、担保などがたくさんある企業は、金融機関が比較的簡単に融資してくれるため、事前にしっかりとした計画を立てておくことが重要です。

金融機関がなかなか貸してくれないという事は、逆に考えるとしっかりとした事業計画を審査してくれると言うことにつながります。

そのため、財務的に余裕のある企業や担保のたくさんある企業は金融機関が取りっぱぐれを恐れないため、事業計画をシビアに見てくれないと言った面もあるのです。

2.銀行や信用金庫などの金融機関以外から借りない
実務的に、サラ金や高利のビジネスローンを借りている企業については、銀行や信用金庫と言った金融機関は融資を行わない傾向があります。

そのため、一般的な金融機関以外から借り入れを起こさないようにする必要があります。

本サイトでは、金利の高い資金調達の善し悪しは論じません。しかし、現実問題として、そのような資金調達をすると金融機関の貸し出し姿勢は極めて厳しくなります。

■デットファイナンスと財務指標、支援者としての実務的な視点

借金をするときに重要なのはちゃんと返せるかどうかになります。メリット・デメリットは上で述べてきたとおりですが、財務指標の悪化も見逃せないデメリットとなります。

財務指標は常識的な経営をしていれば多少悪化したり量化したりしてもそんなに決定的な要素ではないですが、自己資本比率やDSCR(元利返済カバー率)などが著しく悪化した場合(本当の原因はデットファイナンスではないのですが)貸出姿勢は厳しくなります。


なお、実務的な視点で言えば、デットファイナンスでお金を調達して一息ついたあとは注意が必要です。

経理部門に独立性があり経営陣に対してモノを言える体制になっていないような企業(つまりほとんどの小規模事業者と一定の規模を備えていない中小企業:言ってしまえば、ほとんどの会社)は不思議と『お金が溶けてなくなる』という減少が発生します。

お金が手元にあると強気になりがちで判断が甘くなりがちなんですよね。

なのでコロナ禍などでほとんど無金利でお金を貸してくれるような状況において、論理的にはお金を借りておくのが最適解みたいな状況でも、あんまりお金を借りてくることをアドバイスしないほうが望ましいのです。

財務・会計
2012年1月17日

ROE(Return On Equity)

ROE_001
ROE(Retuen On Equity)(株主資本利益率もしくは自己資本利益率)とは、企業が投下した株主資本に対してどれだけ効率的に利益を上げたかを示す指標です。

このROEは【ROE=当期純利益÷自己資本×100%】という計算式でもとめます。この式は、その事業の自己資本(株主資本)で利益を除すという構造になっているため、企業の大きさが異なっていても比較することが可能です。そして、このROEが高いほど効率的な経営を行っているということができます。

たとえば、500円の自己資本で100円の利益を得たA社と1000円の自己資本で150円の利益を得たB社があったとします。

この時A社のROEは100円÷500円×100%=20%、B社のROEは150円÷1,000円×100%=15%となります。自己資本の規模が違う2社ですがROEという比率を考えることによって、A社の方がより効率的な経営を行っていると判断することができます。

また、ROEは当期純利益を自己資本で除すという形式であって、総資本については考えていません。実際に負債を利用してROEを高めるという手法があり、ROEを比較する際にはそこに調査する必要があります。

BS2

この図のように、負債で資金を調達して商売をやればより多くの利益を上げることができると思いませんか?例えば貸借対照表Aの会社が10の利益を、貸借対照表Bの会社が50の利益を上げた場合、純資産は同額なのでROEは5倍になります。(自己資本比率が悪くなるのでやりすぎてはいけませんが…)
 
このまんがでは、経営クラブの先生は学食にライバル意識を持っています。そのためROEを学食より高めたいと思っているようです。

4コマ目で同僚の先生が借金取りに来ているように、どうやら負債を利用してROEを高めていたようですが、やりすぎてしまったみたいですね。

組織論
2012年1月15日

ネットワーク組織 | 上下関係ではない緩やかなつながりです

ネットワーク組織_001
ネットワーク組織とはライン組織のように階層型の組織ではなく、独立した構成要素同士が強みを持ちより、同一階層で双方向につながっている組織のことです。

各構成要素(構成員)の結びつきはかなり緩やかであり、参加や退出は原則として自由で、各構成員の自主性が重視されます。また原則的に上下関係はネットワークの中にはありません。あくまで各自ができることを持ち寄るといったイメージとなります。

この事を指して非階層的な組織であるといわれることもあります。このように、非階層的で参加や退出が自由であるという形なので必ずしも従来の伝統的な組織とは一致しません。

しかし、情報の共有が行われ取引関係も継続的に結ばれており一定の規範に基づいた関係のもとに連結されているため組織として考えられます。

ネットワーク
この図のように、上下関係は存在せず、緩やかにつながっているイメージです。

■ネットワーク組織の例

ネットワーク組織で新しいサービスを作ることを考えます。この場合誰かが、「こんな新しいサービスを作りたい」と旗を掲げます。

とするとその理念に賛同した人たちが集まってきて、それぞれの持つ強みを持ち寄って新しいサービスを開発するといったイメージです。

この時集まってきた人の中に上下関係は生まれません。しかし相互に依頼をし引き受けるといった形で、依頼主と受託者といった関係性は生まれてきます。

このように従来型の組織と違い指揮命令系統が存在しないため、指揮命令系統に依存した理不尽な命令等を行うことはできません。

onnanoko_bustup
商店街でイベントやることになったよ。

neko
広告とかチラシとか八百屋さんが作るみたいで、大きなのぼり旗については紙問屋が作るみたいだね。

hiyoko
うちは何をするのかしら。

onnanoko_bustup
うちは企画が得意だから企画をやろうかなと思ってるよ。



■ネットワーク組織の利点

ネットワーク組織を構築する狙いは、強みを持ち寄ることによって自分単独では生み出せない強みを築くことを狙いとしています。

同じ人と付き合っていれば同じような結果が安定的に得られますが、異質な人付き合うことによっていわゆるイノベーションが発生する可能性が増大します。

またネットワーク型組織の構成員が新しい能力の獲得につながる動きをする機会が増えるといった強みもあります。繋がりが多種多様になりますので従来の組織では考えられなかったようなところから学びを得る機会があるのです。

■ネットワーク組織の弱点

このネットワーク組織は上記のような利点もありますが、各構成員が垂直的な関係ではないめ、外部のパートナーとの関係性の維持に気を使わなければならないといった側面もあります。

せっかく構築した仕組みから自分が排除されたら困りますよね。ただし、自分がネットワークに対してなんら貢献していないとそのようなことになる可能性もあります。

また通常の組織のように指揮命令系統がありませんので、何か物事を非常に素早く処理をしなければならないと言った事は苦手とします。

また誰かが多大な貢献を強いられ短期的に犠牲にならなければならないような仕事の進め方も苦手としています。(それに報いるインセンティブを用意するとかが必要となります。)

このまんがでは、みんなが知恵を持ち寄って学食をよりよくしようとしています。たぶん、せっかくなら美味しくて安いものが食べたいと考え、自主的にアイディアを持ち寄っているのです。

しかし、ネットワーク組織は自主的な参加を前提とした緩やかな結びつきでしかないため、強制できないという弱点があります。最終コマでは 3年生がアイディアをくれなくなったと嘆いていますが、これは自主的に参加してもらっているため、アイディアを出すように強制ができないために生じたことと考えられます。


組織論
2012年1月14日

統制範囲の原則

統制範囲_001
統制範囲の原則は一人の管理者が管理できる人数には限界があるという組織管理上の原則です。

例えば、部下が5人から10人の間ならうまく管理できた上長がいるとします。しかしこの人が100人の部下を一人で管理しなければならなくなった場合、うまく管理できるでしょうか?

管理されるする人々がどのような作業を行うかにもよりますが、少なくとも効率的・効果的に管理することはできなくなると思われます。

100人もの部下を持っている上長では、日常業務の管理も困難となりますし、人事考課や人材育成のためのフィードバックのために時間をとることも難しくなってきます。

あなたが100人の部下を持っているとして、きめ細かい管理ができると思いますか?できると答えた方は1,000人の部下を持っていたらと考えてみてください。このように、どう考えても管理できる人間の数には限界があります。

このまんがでは3人の後輩をうまく指導できているメガネ君に、3コマ目でもっと多くの人数を指導してほしいと頼んでいます。

それをうけて指導に臨んだのでしょうが、4コマ目では管理できる人数の限界を超えてしまったようで全く手におえなくなってしまっています。 

このように 一人の管理者が管理できる人数には限界があるというのが統制範囲の原則です。
組織論
2012年1月11日

エンパワーメント

エンパワーメント_001
エンパワーメントとはある組織を構成している人に対してその能力を自主的に発揮するための力を与えたり支援を行ったりすることです。具体的には、裁量の幅を広げることにより、顧客の要望などに迅速に対応できるようにすることが考えられます。

現場の従業員の裁量の幅を拡大する事により、自主的な判断で行動することができれば現場の責任感とモチベーションが高まると考えられます。

言われたことをただただ毎日やっているよりも、いろいろな仕事を任され、自分でやることを決めて仕事ができればやる気が出てきますよね。

さらに、顧客の要望を現場が柔軟に迅速に対応することができれば顧客の満足を高められると考えられます。

あなたが困っている事をお店の人に相談した時に、「それは弊社のサービス外です。」と冷たくあしらわれる場合と、「何とか対応してみましょう。」と誠意のある対応をしてもらった場合を考えてみてください。誠意ある対応を行ってもらった場合の方がそのお店を好きになると思いませんか。

このまんがでは、1コマ目で先輩に今日の練習は任せると言われています。それを受けて男子生徒がすごく張り切っています。

このように現場に仕事を任せることによって現場のやる気を引き出すことが可能となります。

■エンパワーメントは任せるだけではダメ

エンパワーメントは権限を移譲するという言葉ですが、単に任せるだけでは機能しない点に注意が必要です。

例えば十分な権限を移譲し(そして責任も併せて権限責任一致の原則的に正当なエンパワーメントを行ったとします)

しかし組織の処遇に関する制度設計が極端な減点法であるとか(成功が称賛されないなら挑戦するのはリスクだけを増やす行為)、組織文化が失敗を極端に嫌がるものだった場合は、権限を移譲したところで、そんなものは「ありがた迷惑」の重荷にしかなりません。

イメージしていただきたいのですが、あなたがアルバイトでスーパーで働いているとして、現場のトラブルを解決する権限(多少の対応を自分で決める権限)が与えられたとします。

しかし、クレーム処理をうまく収めても全然褒められないけど、クレーム処理がうまくいかなかったら「対応する権限があるのになんで出来ないんだ」などと責められたり、もらえるはずだった特別手当が減ったりしたらどうでしょうか?

だったら、そんな権限なんか無い方がマシですよね?

このように、エンパワーメントを考えるときは、上長が失敗してもそれを責め立てずに学びに変えるような組織文化づくりや支援者として意思決定者に寄り添うような姿勢づくりが必要です。(心理的安全性が必要と言い換えられるかも知れません。)

このように、エンパワーメントは、自由にやっていいよと権限を渡すのではなく、権限を渡すための組織全体の設計から行うのが重要なのです。
財務・会計
2011年12月31日

アイドルコスト

アイドルコスト_001
アイドルコスト(idle cost)とは生産ラインが稼働していない際に発生する損失の事を言います。いわゆる設備が遊んでいる時間に生じる費用の事で、遊休費ともいいます。

生産ラインが動いていない時に生じる費用?なぜ何も作っていないのに、費用が発生するのでしょうか?モノを作っていないのだから費用など発生しないと考えたいですよね。

しかし、そんなに世の中は甘くありません。休んでいてもしっかりと費用は発生しています。

たとえば、工場の土地を借りていたら家賃が発生します。また、従業員の給与も払わなければなりません。ほかにも生産設備等の減価償却費も発生します。そのうえ、さらに設備が稼働していたら得られたであろう収益は機会損失となります。

休んでいていいことなど何もありませんね。ちなみに、生産ラインが休業や手待ち(手待ち時間の発生)などで正常に稼働していない時間をアイドルタイムと言います。

このまんがでは生徒たちがお店をお休みしたいと言っています。でも先生はお休みするとアイドルコストが発生するからお休みしないでほしいと言っています。

■アイドルコストを減らすためには

このアイドルコストは定義上、休んでいる(稼働していない)間にも発生するコストです。とすると、アイドルコストを減らすためには「休んでいる時間(稼働していない時間)を減らすこと」が重要となります。

例えば、和菓子屋さんでお客さんがこない時間があるならば、その時間にできることをやっておく(販促ツールを作ったり、アンコを仕込んでおくなど)工夫をするのです。

また、店舗の清掃や製造機械の点検なんかもできますよね。

さらに、明らかに暇になる時間がわかっているならば、その時間に稼働するスタッフの人数を調整した利することも可能です。

工場では、製造ラインが設備トラブルなどで停止したり、原材料が欠品すること、段取替え時間で仕事が止まることでアイドルコストが発生します。

そのため、事前メンテナンスの徹底(予防保全などの考え方)や外段取りにして設備を止めないで段取りを行うなどの工夫が考えられます。

さらに需要予測を精緻に行うことで柔軟な生産能力確保などもできたりします。このようにアイドルコストを減らすことは工夫次第で可能だったりするのですね。

経営
2011年12月31日

アナジー

アナジー_001
アナジーとはシナジーの反対語で経営上の相互のマイナスの効果の事を言います。アナジーと呼ばずに負のシナジー効果と呼ぶことも多いです。シナジーの実現は現実的には難しい場合があり、沢山の事業を一つの企業で行うことによってマイナスの効果が生じる場合(アナジーもしくは負のシナジー効果)があります。
 
例えば、ある企業が新製品を発売する場合を考えてみます。販売チャネルや、生産設備はすでに保持しているとします。

この時、販売チャネルを保持している部門と生産設備を保持している部門間の調整を行うために、意思決定のスピードが遅くなる場合があります。その場合、経営資源を保持していることが必ずしもプラスになるとは限りません。
 
また、新事業と既存事業の業績評価を同一基準で行うとすると不公平感が生まれて、組織の士気が下がってしまうなどの可能性もあります。

このように、複数の事業を単一企業が行ったとしても、必ずしもシナジー効果を生み出せるわけではないのです。 

このまんがでは同一の評価基準(よく走ったかどうか)で生徒を判断しています。すると、基礎練習の一環として普段から走っているパートの生徒(管楽器を演奏しているパートを想定しています)は褒められますが、普段から走っていないパートの生徒は逆に叱られてしまっています。

そして最終コマでは不公平感を感じているとぼやいています。このように複数のパートが集まって練習をしても、同一基準で評価を行うと士気が下がってしまうといった問題が生じます。
経営
2011年12月23日

ファブレス(fabless) | リスクもありますが、大きなメリットもある製造方法です

ファブレス_001
ファブレス(fabless)とは自社の工場などの生産設備を持たない製造業者(メーカー)の事です。または、そういったビジネスモデルのことを指します。簡単に言ってしまうと自社でモノを作らないモノづくりの会社という事です。

ここで一つの疑問がわいてきます。工場などの生産設備を持たない製造業など可能なのでしょうか?

工場のない製造業なんてあり得ないと考えた方も多いと思いますが、現在ではそのような製造業も可能なのです。

調べて見ればすぐに出てくると思いますが、誰もが知っている有名な企業もこのファブレスといった経営形態を取っています。

なお、ファブレスといいつつも工場を持っている場合も存在します。定義上おかしいのですが、工場といっても量産を行うような工場ではなく、試作品対応や修理工場、特殊な小ロット対応のみであるため、量産対応は行っていません。
  • モノはどうするの?
このファブレス経営を行っている企業は、自社でモノを量産する生産設備を持っていないので、誰かに作ってもらわなければなりません。

実際の製造はやはりどこかでやらないといけない訳なので、その意味では製造活動は行っています。

しかし、その製造を行うのが自社ではなく、外部の企業に生産を委託するのです。
  • ファブレス企業は何をするの?
ではこのファブレスは何をするのでしょうか?製造業なのに生産をしないなら仕事はなさそうですよね?

でもそんなことはありません。このファブレス経営を行っていく企業は、生産以外の事をやっていきます。

具体的には製品のマーケティングや製品の企画、設計を行って行くのです。SPA:製造小売と言われる業態でも工場はファブレスにするといったことも行われています。(ZARAなどが有名ですね)
  • ファブレス企業のメリットとは
さて、このように生産設備を持たないメリットは何かあるのでしょうか?

1.設備投資の回避
それは、生産設備を持たずに済むため、初期投資が抑えられる事がまず挙げられます。工場を所有しようと考えた場合には、工場の立地や機械装置の購入など莫大な投資が必要となります。

この莫大な設備投資を回避することができるのが大きなメリットです。

製品ライフサイクルが早いと考えられる製品については、設備投資から始めたのでは製品自体の寿命がつきる前に投資の回収ができません。そのため、ファブレスの方が有利であると言われています。

2.固定費の変動費化
また、生産設備を持つことによって発生する固定費を変動費化できるといった点も見逃せないメリットになります。

固定費を変動費化できるという事をもう少しご説明すると、

①生産設備を持つと、生産設備を調達するために投入した資金が固定資産となります。

②固定資産は毎年減価償却という形で費用化します。

③この減価償却費は生産設備を用いて製造しようがしまいが発生するコストとなるため、固定費となります。

④ファブレスの場合、この固定費が発生せず、製造した分だけコストが発生するため変動費として処理することが可能となります。

このような事から、需要変動が激しい製品を取り扱っている企業にとっては、作らなければコストが発生しないため、リスクを小さくすることができるのです。

また、製品ライフサイクルが早いと考えられる製品については、設備投資から始めたのでは製品自体の寿命がつきる前に投資の回収ができません。そのため、ファブレスの方が有利であると言われています。

3.経営資源の集中
また、限られた経営資源を研究開発などだけに集中することが可能となります。工場の運営は極めて高度なノウハウが必要な領域となるため、工場を保有する事は相当量の経営資源の投入を要求されます。

このような事ではなく、自社が付加価値を生み出す点を企画・開発であると割り切り、底に経営資源を投入すると言った考え方を取ることができるのです。

4.立地戦略も選べる
物流を考慮した際に、需要地によっては最適な立地が変わってきます。工場を持たないことによって、最適な立地での製造が可能となり、総コストの圧縮を実現することが可能となります。
  • ファブレス経営のデメリットとは
ファブレス経営の良さそうな事をたくさん書きましたが、当然デメリットも存在してます。

1.品質・納期管理・コストの最適化が難しい
自社工場でないため、品質管理や納期管理は相手側に委ねることになります。当然、契約で縛るのですが、これらの3つの要素は両立しないため、最適化することが難しくなります。

また、通常は経験曲線効果と言って累積製造量が増加すれば総コストが圧縮されますが、この効果を享受するためには、工場を持っている相手に対して、製造コストの引き下げ分を還元してもらうような契約を結ぶ必要が出てきます。

2.製造によるフィードバックを得にくく、技術も蓄積できない
製造していく中で、製品の改善点等が見つかる事があります。しかし、外部企業に委託しているため、そのようなフィードバックをどこまで受けられるかは契約次第になります。
また、製造に伴う技術も自社には蓄積されません。

3.情報漏洩リスク
これも契約次第ですが、情報漏洩リスクは常につきまといます。

4.いざというときに製造依頼を受けてくれないリスク
自社ではないため、いざというときに製造依頼を受けてくれないリスクが存在します。

急に受注が伸びた際に、増産依頼を行っても工場のキャパシティの関係で受けられませんと断られるリスクがあります。

5.一般に製造原価が割高になる
製造を委託するため自社工場を持つこと変動費となるため、リスクは小さくできますがその分製造原価は割高になります。

このまんがでは先生が1コマ目でPC販売をしたいと言っています。PCの生産設備などは、このクラブは持っていないのでどうするのかを心配しています。

3コマ目ではPCは知り合いの工場で組み立ててもらうと言っています。4コマ目で生徒さんが驚いているようにファブレスならば生産設備を持たなくても製造業に参入することは可能になります。 


解説で出てきた用語・関連用語
変動費型事業
ファブレス後日談_001
店舗管理
2011年12月20日

機会ロス | 売れたはずのものが売れないだけでなく、お客様を裏切ってしまっています

機会ロス_001
機会ロスとは商品が品切れ等をおこしていたために、もし在庫があったなら売れていたであろうという販売機会を逃したことを指します。

例えば、アイスクリームを買いに来たお客様がいたのにもかかわらず、売り切れていた場合があります。この場合お客さまはないものは買えませんので他のお店に行ってしまうと考えられます。

この時のアイスクリームの売り上げ分の金額が機会ロスになります。

■機会ロスは目に見えにくいので意識して防ぐすることが大切です

■1. 得られたはずの売り上げが得られなかった


この機会ロスは目に見えにくい損失ということができます。お客様が買えなくて帰ってしまったとしても別に追加の費用が発生するわけではありません。

そのため機会ロスには気づかない可能性があります。 1日終わった後の売り上げが10万円だった時にその10万円がお客様が望むものが全て売れた10万円なのか、途中で諦めたお客様がたくさんいての10万円なのかは区別がつきません。

その意味で機会ロスには気をつける必要があるのです。

また、本来得られたはずの売上が得られなかったといった意味で損失と考えることができるのです。

■2.お客様からの信頼を失うことによる長期的なロス


また本来得られるはずの売り上げが得られないだけでなくお客様からの信頼を損なってしまいます。例えばお客様は〇〇が欲しいと思って来店したのにその〇〇がなかったらがっかりしてしまいますよね。

このような損失は目には見えませんが顧客ロイヤリティの低下といった形で、将来的にボディブローのように効いてきます。

そのため機会ロスは本来得られた売り上げが得られないというだけでなくて、しっかりと防いでいく必要があるのです。

■機会ロスを減らす方法

機会ロスを小さくできればできるほど望ましいのは上で挙げたような損失を防ぐことができるからです。

neko
機会ロスを減らす、すごい方法見つけたよ。在庫をね、すごいたくさん確保するの。そうすれば誰が来ても欲しいものが必ず見つかるお店になれるの 。

hiyoko
でも在庫をそんなに置く場所はないし、そんなに資金繰りに余裕もないわよ。

neko
じゃあお客さんが欲しがるものを完璧に予測してその日に確実にあるようにすればいいよ 。

hiyoko
それができたら苦労しないわよ 。

onnanoko_bustup_3
ま、とにかく在庫管理を徹底的にやることね。


それでは。機会ロスを減らすための方法にはどのような方法があるのでしょうか。

■1.在庫量をたくさん持つ

機会ロスはお客様が訪れた時に欲しい商品がなかったことによって発生するものですので、 たくさんの在庫を持つことによって防ぐことができます。

ただ、在庫をたくさん持つということは在庫費用が発生することになりますので、際限なく在庫を持つことは不可能です。

また必要以上に在庫を持ちすぎると、今度は廃棄ロスが発生します。 

■2.仕入れの精度を上げること

お客様が本当に欲しがるものをしっかりと検討し、お客様が買いたい時に買いたいものが確実にあるような仕入行うことが重要です。

とはいえこれができれば誰も苦労しません。ただ難しいとはいえ、これを愚直にやっていくしかないのです。

■3.在庫管理を徹底する

仕入れの精度を上げることはなかなか難しいので、現実的には在庫管理を徹底することで対応していくことになります。

■機会費用との違い

この機会ロスの話をする時に似た考え方として、機会費用といった概念が出てきます。この機会費用という概念と機会ロスは似ていますが、 機会費用の場合はもっと広い意味で使われています。

機会費用とはある選択肢を選んだ時に他の選択肢から得られたはずの最大の利益を言います

例えばお客様が来た時にたまたま存在しないために1万円の商品が売れなかった場合、機会ロスとしては1万円です。

しかし機会費用としてはその1万円ぶんを使って何か他のことができその他のことが2万円ぶんの価値を持っていたのであれば機会費用は2万円になるのです。


このまんがでは1コマ目でおにぎりが売り切れるほど大繁盛だと言っています。売り切れになるほど売れたので喜んでいいはずですが、2コマ目では先生は険しい顔で補充が来るのか確認しています。

結局補充は来ないとのことで、最終コマでは先生が品切れだとせっかく来てくれたお客さんが買えないと諭しています。お客さんが来ても買えないというのは目には見えにくいですが損失が出てしまっているのです。

店舗管理
2011年12月18日

PI(Purchase Index)値

PI値_001
PI(Purchase Index)値とは、レジ通過客数1000人当たりの売上高や売り上げ点数という指標です。

これは他店との商品の売れ行きの比較を行う際に、店舗規模や来店客数が異なるためそのままでは比較できずに正確な判断に使えないといったことから生み出された指標です。

このPI値が分かれば自店でどれだけ売れるはずという基準が分かるので、その基準と現状との乖離を分析することで販促や、陳列など様々なことに役立てることが可能となります。

このPI値の計算式は次のようになっております。

買上点数÷レジ通過客数×1,000

例えばお客様が10人来店されて2点カレー粉が売れた場合を考えてみます。このPI値は買上点数÷レジ通過客数×1,000で算出しますので、2点÷10人×1,000=200となります。

この意味は1000人来店があった場合200点売れるということです。そして例えばその地域の一般的な競合店のPI値が400だったとした場合、何らかの問題があると判断することができるのです。

このまんがでは生徒が1コマ目でおにぎりがいくつくらい売れているのかを聞いています。それに学食の先生が200個と答えていますが生徒さんは納得していないようです。

彼はどうやら、学食の競合となっている購買との売り上げの差を気にしているようです。ただしお客さんが多ければ売上数量は大きくなるので単なる数量だけでは比較できないと感じているようです。

最終コマではお客さん1000人当たりの売上数量を比べようと言っていますが、このように指標化して考えればお客さんの数が異なっていても比較できると言っています。
組織論
2011年12月17日

職務記述書(job description)

職務記述書_001
職務記述書(job description)とは職務の内容について詳細に記述したものです。職務を分析して作成します。

企業の側では仕事の中身をはっきりさせておくことによって職務給を決めたり、採用活動や人事異動等に役立たせることを目的としています。

また職員や将来の職員の側では、仕事の内容が明確になっていれば、求職者の入社してからの雇用のミスマッチを防止することも可能となります。その上、職務が明確化されているので目標設定を行いやすくなります。

(漠然と営業リーダーのポストに就きたいと考えるより、営業リーダーの仕事は○○であって、△△といった権限があり、この職務は□□といった知識や技能を求められると定義されている方が目標にしやすいと思います。)

このように様々な利点がある職務記述書を有効にしておくために、定期的なメンテナンスを行う必要があり、また客観性を確保するために第三者に作成してもらうケースもあります。

この職務記述書に記載される代表的な内容は以下の通りです。

1.責任と権限について
その職務はどのような責任があってどのような権限を与えられるのかを記述します。

2.具体的な職務の内容と範囲
その職務の内容は何であり、その範囲はどこまでであるかを記述します。

3.担当者に求められる要件(知識・技術・技能・資格など)
その職務を担当するに当たりどのような知識や技術が必要であるのかを記述します。

4.期待される結果
その職務に求められる結果はどのようなものであるかを記述します。

このまんがでは学食のおばちゃんがバイトの学生を採用したようですが、具体的にどのような仕事をやってもらうか決めかねていたようです。

そこで最終コマで昔作っていた職務記述書を引っ張り出してきました。この職務記述書を使って何をやってもらうのかを決めるのでしょう。
組織論
2011年12月12日

職務充実(job enrichment)

職務充実_001
職務充実(job enrichment)とはハーズバーグが提唱した考えで、自らの仕事を垂直的に拡大することです。これは、現在やっている仕事よりさらに多くの事を管理できるようにしたり、さらに大きな裁量権を持たせるなど、より上位レベルでの職務を担当させることです。

この職務充実は従業員の仕事に対するマンネリ感をなくし仕事への意欲を高めたり、より能力を高める方法の一つとなっています。

スーパーマーケットの例に考えてみます。たとえば、いつもレジを打っている人が店長からその時間帯のリーダーとして一緒の時間に働いている人の管理や統制などの仕事を任せられるイメージです。このように、 職務を充実(垂直方向に)させて動機付けを行うとよいと主張したのがハーズバーグです。

このまんがでは、3コマ目でサブリーダーに任命された生徒が急にやる気を出しています。やはり、権限や責任を付与されてできることの幅が広がるとやる気が出るようですね。

■職務拡大と職務充実の違い

どちらも仕事の量を増やす工夫です。それぞれが従業員にとってもやる気が高まりますと言った理論的な背景は記事に書きましたが、こちらでは違いと言った線で整理してみたいです。

簡単な表を作ってみましたが、どちらもポイントはモチベーションの強化を狙っています。

仕事が充実していたら働く方も楽しいよねという素朴な発想をしっかりと理論化しているイメージです。

項目 職務拡大(job enlargement) 職務充実(job enrichment)
提唱者 アージリス ハーズバーグ
方向性 水平的に仕事を広げる
沢山のお仕事ができるようになる
垂直的に仕事を広げる
より裁量や権限を付与する
具体例 レジ係が品出しも担当する レジ係がシフトリーダーになる
効果 単調感の軽減、多能工育成 責任感・裁量拡大による動機づけ
留意点 業務過多による疲弊リスク 責任過多によるストレスリスク

これらの表から「随分都合の良いことを言っているな」と感じられる方もいるかも知れません。まさにそこが問題で、会社の都合を従業員の道ベーションを高めるという大義名分で仕事の量や質を増やすわけですから、ちゃんとした処遇や評価にも反映させることが求められます。

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