まんがで気軽に経済用語

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サンクコスト

経営
2012年2月16日

サンクコストの呪縛

サンクコストの呪縛_001
サンクコストの呪縛とはどのような意思決定をしても取り戻すことのできないサンクコスト(埋没原価)にとらわれて正しい意思決定を行えなくなることを言います。

簡単に言うとせっかく支払ったのだから元を取りたいという考え方の事です。

例えば、莫大な金額を投資して始めた新規事業があったとします。しかし、市場の環境が変わりどのような手を打っても利益を得る見込みがないとします。このような場合、どのような判断を行うのが合理的でしょうか?

おそらく、この事業からは撤退し経営資源を別の事業に振り分けるべきであると考えられます。

しかし、投資の元を取りたいとズルズルとその事業を続けるようなことがありそうですよね。

このまんがではコンサートのチケットを取って出かけたようですが、途中でその選択が失敗だったことに気が付いたようです。

この場合、コンサートに支払ったお金は取り戻すことができないサンクコストです。時間を有効活用する観点からは席を立ってしまうことが合理的です。

しかし、4コマ目で最後まで聞いていくという判断をしています。サンクコストにとらわれて非合理な意思決定をしてしまったわけです。そしてこのようなことをサンクコストの呪縛と言います。
経営
2011年10月23日

撤退障壁 | 撤退障壁の意味と撤退戦略、やめ時を判断する実務視点

撤退障壁_001
撤退障壁とは参入障壁とは逆に企業がある事業から撤退したいと考えたとき、その事業から撤退する際に生ずる問題点の事です。この部分にしっかりと向き合って撤退について考えないと長期的に大きな問題が生じてしまうので注意が必要です。

そして、撤退障壁の代表的なものには次のようなものがあげられます。

■代表的な撤退障壁

1.従業員
撤退を決断するとその事業に携わる従業員の処遇が難しくなってしまいます。例えば雇用の確保、その事業に携わっていた従業員の労働意欲の低下といった問題が生じてきてしまうのです。

従業員は組織の根幹ですから、安易な撤退の決断による、従業員からの信頼などの低下は企業の組織自体に大きな問題を長期的に残してしまう可能性があります。

2.取引先・地域社会
取引先や現在事業を行っている地域社会との関係性も重要です。

取引先も単に経営資源を提供しているというだけでなく、信用に基づいた関係性が構築できていることが財産です。そして、撤退をしてしまうとせっかく構築した関係性を捨て去ることにつながりかねません。

さらに、撤退されてしまう地域社会は、雇用が失われるなど地域全体に大きな問題を起こしてしまいます。そのため、地域社会からの反対の発生が予想されますし、反対を押し切って撤退した場合、企業自体の信用が傷つくといった問題があります。


3.経営者の自尊心
純粋な経済的な価値ではないのですが、経営者の自尊心というのも大きな要素です。

感情的には事業の縮小につながりかねない『撤退』という決断に対する抵抗がありますし、自分の肝いりで開始した事業だったらなおさら、その時の決断が誤っていたという自己評価につながりがちです。

そのため、経営者の自尊心の低下を嫌がるといった傾向が、撤退障壁と成り得ます。

4.投資の回収
その事業のために投資した資金の回収やその資産の処分の可能性も撤退障壁に成ります。

経営理論的には、すでに投資したものはサンクコストとなるため(サンクコストとは、どうやっても取り返せないから、考えても仕方ないというドライな考えです)、投資の回収を撤退にあたって考えても仕方ないのですが、「今撤退したら投資した◯億円が無駄になる」と誰かが発言したら、撤退の決断は遅れそうですよね。

■撤退障壁のある事業領域の競争について

この撤退障壁が高い事業領域では、非採算事業であっても既存の企業が撤退しないため、一般的に競争は激しくなりがちです。例えば、A高校の前にたこ焼き屋さんが3店舗ある場合を考えます。

客観的に見れば競争が激しすぎてあまり儲かりそうに無いですから何処かが撤退すると良さそうです。

しかし、その高校のOBやOGが退職金を注ぎ込んでお店を始めてまだ投資を回収し終わっていない場合(上の例で、地域社会と経営者の自尊心と投資の回収の問題の複合)、撤退の決断がとても困難になります。

その結果、A高校の前のたこ焼き市場は極めて厳しい競争が続くことになってしまうのです。


このまんがではどうやら既存の事業の収益性がよくないためその事業から撤退したいようです。しかし、2コマ目のように、そこで働いてくれている人の士気が気になったり、3コマ目のようにその事業がある地域に受け入れられている場合にも反対が予想されます。

それらの事があるため、決断が難しいようです。

■撤退障壁をどう考えるか

辞め時、やめ方を考えることもとても重要です。というか、トップマネジメントの最重要な意思決定となります。

もちろんやめ方にも、信用を失わないやめ方が重要です。例えば、部活を辞めるときに、急に来なくなると信用されなくなっちゃいますよね?同じやめ方でも、顧問の先生や部活の仲間たちにしっかりと話して正式にやめたほうがその後の信用が保たれやすくなります。

会社においても同様で、段階的に縮小したり、事業譲渡して(事業自体は自社ではやらないけど続ける)など複数の選択肢があります。

いきなり撤退するのはあまりに無責任ですし、そこで働いている従業員さんや取引先、お客様への影響がとても大きくなるため、従業員の配置転換、お客様へ代替供給先の案内、取引先への連絡などいわゆるソフトランディングを意識したプロセスが重要になります。

また、投資回収の観点からはいわゆる新規投資を行わない収穫戦略を取ったりすることも重要となります。

いずれにしても撤退障壁が高いほどしっかりと撤退戦略を立てて対応することが重要になってきます。

■実務的な撤退の客観的判断軸

撤退が重要な局面もあると説明しましたが、気持ちだけで決めると判断を誤る危険性があります。

例えば、毎月赤字で5000円の赤字のお店があった場合、「いつか良くなるはず」「今は我慢の時」とかんがえるのか、赤字なので早めに辞めてダメージを減らすのかはとても重要な判断になります。

そこである程度客観的な判断基準をおいてみますので参考にしてくださいね。

■撤退判断軸

  • 継続的に営業赤字になっている(赤字は一時的かどうか?)
営業利益が赤字ということは本業が利益を残せていないということです。これではせっかく社長が労力を提供しても商売として成り立っておらず、持ち出しでボランティアをしているのと同じ事になってしまいます。
  • 固定費が高止まりしている(将来も良くなりにくい)
固定費は何もしなくても出ていくお金です(家賃とかですね)。そのため、固定費が高止まりしていると利益を出すために必要な売上水準も高くなってしまいます。
  • 市場が縮小傾向である
市場が縮小規模の場合、市場の成長とともに売上拡大するというシナリオが期待できず、競合他社の顧客を奪わないと売上増大につながらないので、一般的には赤字事業を立て直すのは困難です。
  • 他のことに経営資源を使えば現状事業よりも企業がよくなる
他にもっと有望な案件があるならばそちらに注力するのも一つの手です。



このように重要なのは「将来の改善へ合理的根拠があるかどうか」です。

撤退とは敗北ではありません。どんなに強い武将でも100戦100勝ということはありえませんので、限られた資源を勝てる分野に配分していきましょう。

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