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イノベーションのジレンマ

経営
2025年6月11日

持続的イノベーション

持続的イノベーション_001
持続的イノベーション(sustaining innovation)とは自社を支える主な顧客の持つニーズを満たすために、自社の製品やサービス、またそれらを生み出す業務プロセスについてより良いものを生み出すために行うイノベーションのことを言います。

持続的イノベーションの「持続的」という言葉から単なる改善を繰り返すだけのイメージを持たれる方がいるかもしれません。確かに、改善を繰り返すということも非常に重視されています。

しかし、イノベーションという言葉も使用されており、この持続的イノベーションは単なる改善の域にとどまらず自社を支える顧客のニーズに基づいた抜本的な技術革新をも含む事があります。

ただし、この持続的イノベーションはあくまで自社を支える顧客のニーズに基づいた改善や技術革新です。そのため、既存の技術ではなく全く新しい価値を生み出すような「破壊的イノベーション(Disruptive Innovation)」が生じた場合、新興企業に取って代わられてしまうといった現象が生じることがあります。このような現象をイノベーションのジレンマと呼んでいます。

このまんがでは製品を日々改良し、お客様の声に耳を傾け続け何度も抜本的な技術革新にも取り組んだと言っています。このような既存の顧客のニーズに基づいて行うようなイノベーションを持続的イノベーションといいます。

■持続的イノベーションの具体的なイメージ:日本車の改良とハイブリッド技術

例えば、改善活動を繰り返して現在の顧客ニーズを満たしていくイメージです。エンジンを使った車を究極に突き詰めていく日本の自動車などが挙げられます。

より良い燃費で、より良い乗り心地、より安全な車といった顧客の要望する大切なことをカイゼンで突き詰めていく日本の車作りがこのイメージに該当してきます。

また、この持続的イノベーションの文脈で、ハイブリット車という顧客の期待を遥かに超えてくる素晴らしい乗り物を作っていきました。ハイブリット車も既存の製品群の延長線上にあるイメージで、高度な技術の蓄積がそれを可能としています。

このような取り組みを通じて市場シェアを維持し、ブランドイメージの構築や規模の経済経験曲線効果での低コスト(販売価格が安いとは限りませんが)を享受することで競合が参入しにくくなる参入障壁を築くことができます。

■持続的イノベーションの対比として:EVが切り開く可能性

他方で、顧客が予期しないニーズがあるかもしれません。本当に顧客はエンジンで動く乗り物に乗りたいのでしょうか?

例えば、顧客は単に自動車という利便性がほしいだけだと考えれば、エンジンを使う乗り物といった切り口ではなく、モーターで動くEV車という切り口も考えられます。

この切り口は、既存のエンジンで動く車が蓄積してきた価値観や市場構造を根本的に変える可能性があります。精巧なエンジンを作る技術やエンジンから動力を得る前提で作られた車体設計などの先行者の蓄積に基づく参入障壁などをスキップできるかもしれないからです。

この切り口が真のイノベーションであれば、顧客の価値観や市場構造を根本的に引っくり返すことができるかもしれません。(2025年現在ではEV車の失速が目立ちますが。)

■相対的に変化するイノベーションの評価:2030年からの視点で振り返る

ひょっとしたら2030年には、移動手段の概念が根本的に変わっており、EV車自体も「あれは自動車という概念から生まれた持続的イノベーションだった」と振り返られるかもしれません。あくまで印象論ですが、EV車は自動車という体験の延長でしかないように思われます。

このように、持続的イノベーションと破壊的イノベーションは絶対的な分類ではなく、相対的な考えであるという点にも注意が必要です。

最初にこの記事を書いたときは2011年だったのですが、2025年現在、当時すごい革新的だった製品の幾つかはすでに旧製品の徒花的なものだったと理解できていますので。


みなさんは、今「破壊的イノベーション」だと思われている製品のうち、10年後に「持続的イノベーションだった」と評価されるものには何があると感じますか?

関連用語
インクリメンタルイノベーション 


初出:2011/11/04
更新:2025/06/11
経営
2011年10月27日

イノベーションのジレンマ

イノベーションのジレンマ_001
イノベーションのジレンマとはクレイトン・クリステンセン
Clayton Christensen)が、市場のリーダーとして君臨していた企業が新しい技術を生み出した新興企業の前にあっけなくリーダーとしての地位を明け渡してしまう理由を説明した理論です。

既存の市場のリーダーは新興企業と比較して圧倒的な資源の量を持っています。そしてその資源を既存顧客の満足を高めるための技術改良に使っています。(持続的イノベーション)そのため、既存の技術の優位性を失わせるような革新的な技術が誕生しない限り市場リーダーの地位は安泰です。

しかし、既存の技術を陳腐化させる可能性がある革新的な新技術(破壊的イノベーション)が発生した場合に、市場リーダーの最重要な顧客グループが新技術の優位性を認めない・新技術を導入しても経済的に収益性が乏しいといった場合、市場のリーダーは新技術の導入をしないケースがあります。

この判断は顧客の声を聴いていますし、新技術の収益性も考慮していますので合理的な判断であると言えます。

しかし現実にはこの合理的な判断をしていた企業がその判断ゆえに新興企業に駆逐されてしまうといった現象が生じており、それがジレンマであるという事からイノベーションのジレンマと言われています。

また、理解を深めるため技術には技術革新の非連続性という特徴があり、既存の技術の延長線上に画期的な技術はないということも合わせて押さえておいてください。

また、このまんがではイノベーションのジレンマの事例としてチェンバロ職人の例を挙げています。(このチェンバロという楽器については技術革新の非連続性をご覧ください。)この職人さんは、改良にも力を注ぎ、現に顧客にも喜んでもらっていたと言っています。

しかし、現実にはチェンバロはピアノに取って代わられてしました。イノベーションのジレンマとは、このように、既存の技術の改良に全力を尽くしていたとしても、新技術への対応を誤ればたちまち市場での地位を失ってしまうことを示した理論です。
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