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「知らないから動けない」をなくしたい。 中小企業診断士が、現場視点で経営用語をまんがでわかりやすく解説しています。 読むことで、生産性が上がり、心に余裕が生まれ、社会全体がちょっと良くなる。そんな循環を目指しています。

経営
2013年2月26日

KJ法

KJ法_001
KJ法とは、問題解決の方法の一つで、様々なアイディアをまとめて、解決策を見出す手法の事を言います。会議やグループワークでアイディアがまとまらない時に使える強力な思考整理法です。

また、このKJとはこのKJ法の考案者である文化人類学者、川喜田二郎(東京工業大学名誉教授)氏のイニシャルからとられています。「KJ法とは英語でknoledge journeyの頭文字です」なんて適当なことを言って、知ったかぶりしたらダメですよ。

■どういった方法なの?

このKJ法とは主に定性的な情報(数字で表せない情報)をまとめる方法です。

具体的にどういった方法かというと、

1.出てきたアイディアを一つづ書き出す

2.書き出したアイディアをグルーピングする
似ているアイディアでグループ化するという事です。また、この時似たアイディアがないようなモノは無理にグループにしないようにします。

3.見出しを作成する
グループを端的に表現する見出しを作ります。

4.グループ同士をまとめる
見出しを見ながらさらにグループ化を行います。

5.作ったグループを並び替える
まとまったグループを並び替えて論理的な構造を作ります。例えばAグループとBグループがストーリー的につながっているかのように並び替えるのです。

6.グループ間の関係性を図示する
作ったグループ間の関係性を、図で表します。因果関係ありとか、反対のことを言っているとかを図示する感じです。

7.それを文章化する
グループ間の関係性を見て、それを文章で表してみます。

どうでしょうか?最後までやったら結構複雑ですよね。でも、ビジネスで使う際は、6.くらいまでで終わりにする事も多いのです。

■なぜKJ法が必要なの?

と、こんな複雑な手順をどうしてわざわざ考え出したのでしょうか?それは、皆で話し合いを行う現場では、たくさんの意見やアイデアが出たとしても、その後もまとめが大変だからです。

色々話し合いましたが、「結局どうするのか」をまとめることができず、空中分解してしまうことも割とあります。

KJ法は、そうしたアイデアの整理と意思決定を助ける手法なのです。そのため、特に議論が発散しがちな、以下のような場面で活用されています。

  • 新商品や新サービスの企画会議
  • 問題解決のための課題抽出と整理(問題と課題は違います。念の為)
  • 多様な視点を持つメンバーでのディスカッション
これらの場面の特徴は、正解が存在しておらず、また各人の背景によって様々な意見が出てくるということです。そのため、何らかのまとめ方の方針がなければ何も決まらなかったり、影響力が強い人(しばしば実際の職位と異なる)の鶴の一声で決まってしまったりします。

でも、ソレだとせっかく話し合った意味がないですよね。

■KJ法のメリット

KJ法のメリットをまとめると、上記のようなプロセスを取るため、感覚的な意見でも大事にできる(数値化されない定性情報を扱える)、全員の意見を「見える化」して活用できる、論点の漏れや重複を防げる、アイデアの背後にある「構造」や「因果関係」も見えてくると言った点が挙げられます。

なお、まとまりかけてきた段階で議論を発散させる無責任な提言をする人もいるかも知れませんが、このような構造化して議論を行っていけば、「後出しの良いアイディア」に議論をあまり引きずられないといった隠れたメリットもあります。

■KJ法を使うコツ

KJ法はカードの並び替えだけでなく、まとめていく流れを意識することが重要になってきます。いろいろな意見が出てきたときに、グループにしていくことを意識すると良いのです。

このときにもれなく、重複なく(MECEといいます)意見を出せているかを意識するとより良い活用につながります。

また、近年ではAIが自動的にグルーピングしてくれたりするツールも生まれています。入力したテキストから関係性を可視化するようなツールもあるので、ITツールを上手く利用するのも一つの手段ですね。

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経営
2012年4月30日

KSF(Key Success Factor) | 自社の強みのなかで、特に競合と差をつけている部分です

KSF_001
KSF(キー・サクセス・ファクター)とは成功要因の事です。事業が成功するためのカギとなる要因の事です。但し、これは企業の内部だけの話ではありません。KSFとなるためには、企業内部の強みが企業外部の環境にあっていないといけません。

簡単に言い換えると、事業の強みと、その市場で儲かる要因との組み合わせの事をKSFといいます。

■KSFの例:絶対的なものではなく相対的なものです

例えば、それなりの品質の品物を非常に安く提供できる能力を持っている企業があったとします。安く仕入れられるルートを持っているであったり、仕入れたものをあまりコストをかけずに販売する事に長けているといった能力を持っている企業です。

この企業は、安いものを喜んでくれる地域(普通の立地ではそうですよね。)に出店した場合、とてもうまくいくと思います。この場合、この「それなりの品質の品物を非常に安く提供できる能力」は立派なKSF(成功要因)です。

しかし、多少価格が高くとも良いものが好まれるといった地域に出店した場合、市場が求めているものを上手く提供することができていないため、この企業は苦戦すると考えられます。

この場合、「それなりの品質の品物を非常に安く提供できる能力」 はKSF(成功要因)とはなりえません。

このようにKSFは環境によって変化するものであると、言うことができます。

■まんがとKSFの例

このまんがでは女子生徒が一生懸命走る練習をしていたようですが、楽器の上達にはあまり関係ない事に気が付いたようです。この場合、強みである早く走れる能力は、楽器を上手く演奏する能力を求めている外部環境には合致していないため、KSFとはならないという事ができます。

早く走れる能力は陸上部ならば立派なKSFですけどね。

■KSF:勝つための鍵は突き詰めて考える必要がある

得意技を作ってそこで勝ちに行くのは、一つの必勝法です。また、このKSFは外部環境と掛け合わせて考えるため、絶対的な優位でなくても良いと言ったことに注意が必要です。

まずは「市場で勝ち残っている企業」を観察してその企業がどのような要因で成果を出しているかを考えてみましょう。

そのうえで、自社の強みを整理してみて「自社の強みは市場で通用するか?」を考えていきます。

あくまで「市場で通用するか」ですから、言い換えると、地域一番店になればKSFを持っていると言うことができるのです。

■様々な地域一番店という立ち位置(何で地域1番店になりますか?)

例えば、地域で一番の品揃えがあるといった場合、KSFは地域で一番の品揃えを実現するための経営資源に求められます。

この場合、仕入れ先との関係性や(サプライヤーとの関係というとちょっとコンサルっぽいですよね?)、求められる品揃えを実現するバイヤーの強さが挙げられます。

また、地域で一番満足度が高いといった場合のKSFは、顧客の満足度を高めるための業務プロセスに求められます。

この場合、接客応対の品質が高いことや、豊富な商品知識になりますが、もっと突き詰めれば従業員への教育訓練をする能力や、資質の高い人材を採用する採用力かもしれません。

ただ、いずれにしてもKSFを明確にすることで、経営資源の投入すべきところがわかりますので、将来を見据えて事業を実施していくことが可能となるのです。

■他の戦略理論との関係:VRIOやSWOTとの違いは?

KSFは、経営戦略における「競争優位の鍵」を考えましょうというお話ですから、他の理論とも関連しています。

例えば、VRIO分析では企業の経営資源が価値・希少性・模倣困難性・組織の4要素を満たすかで競争優位があるかを判断します。他方で、KSFはより「市場との適合性」や「環境との接点」に重点を置いています。(KSFのほうが後付で強い理由の説明がしやすいです。)

また、SWOT分析における「Strength(強み)」のうち、市場で勝つために特に重要なものがKSFとなります。

そのため、KSFを明確にすることで、強みに偏った戦略(とはいえSWOTをすると自分が強いと思っているだけのケースも多いので)ではなく、「本当に活かせる強み」にリソースを集中できるようになります。

あなたのビジネスの「強み」は、本当にKSFになっていますか?


この説明で出てきた用語
VRIO分析
SWOT分析
バイヤー
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