X理論Y理論とはアメリカの心理学者マクレガー(McGregor)が提唱した理論です。理論名だけでは何のことを言っているのかさっぱりわからないので、まずX理論とは何か、Y理論とは何かを見ていきます。
1.X理論
マクレガーは伝統的管理論が持つ人間観をX理論と名付けました。この人間観は「人間は本来怠け者であるため、仕事をさせるためには強制や命令が必要となる」という人間観です。東洋思想でいうところの荀子の性悪説に似ているかもしれませんね。
こういった管理を行うためには、できなかったら処罰するなどのいわゆる「アメとムチ」の経営を行う必要があります。
2.Y理論
X理論に対し、人間は自ら働きたがるものであるという人間観をY理論と名付けました。この人間観は「人間は本来働くことが好きであり、自己実現の為に自ら進んで行動する」という人間観です。こちらは孟子の性善説に似ているかもしれません。
こちらは魅力的な機会、目標を与え続けることで従業員のモチベーションを高めていく必要があります。
マクレガーは、先日解説したマズローの欲求段階説の、生存欲求や安全欲求が満たされているような現代では、X理論での管理は現実にそぐわず、Y理論に基づいた管理が望ましいと提唱しました。
このまんがにあるように、メガネの先輩がバットを持って後輩を監視しているようなパート(X理論に基づくアメとムチの管理)より、目標を示して自主的に練習をさせているパートのほうが練習の成果が上がるというわけです。
関連用語
動機付け要因・衛生要因
このまんがにあるように、メガネの先輩がバットを持って後輩を監視しているようなパート(X理論に基づくアメとムチの管理)より、目標を示して自主的に練習をさせているパートのほうが練習の成果が上がるというわけです。
X理論は「働きたくないでござる」的な人を想定しているんだね。だから、ある程度の強制力を持って働いてもらわないといけないという発想なんだね。
そうよ。それに対してY理論は「働くことこそ自己実現」的な人を想定しているのよ。
だから、目標だけ与えておけば自己実現を目指して努力してくれるというわけね。
現代では、どっちの人がおおいのかなぁ?
現代社会では、基本的な欲求はすでに満たされているのが前提なので、Y理論の方が望ましいと言われているのよね。
- 気をつけること
とはいえ Y 理論がどのような状況においても望ましいというわけではありません。
この議論の前提は、
マズローの欲求五段階説の生理的欲求や安全欲求が既に満たされているという状況や、
ハーズバーグの動機づけ要因衛生要因の
衛生要因が既に満たされているということです。
つまり、
基本的な待遇が満たされていない状況において、
Y 理論に基づく魅力的な機会の提供などを行ったとしてもあまり効果が出ないということです。
関連用語
動機付け要因・衛生要因