ルイスの転換点とは、イギリスの経済学者ルイスが提唱した考え方で、一国が経済発展をしていく中で、農業部門などが抱えていた余剰な労働力が無くなる点のことを言います。
さて、これだけの説明では「ふーんそうなんだ。でもそれって何の意味があるの?」と思われる方も多いと思います。そこで、簡単な例を考えてみたいと思います。
例えば、Aという国には農村と工業都市があるとします。そして、農村には10人の余剰人員がいるとします。
工業が発展するにしたがって工業都市の賃金水準が徐々に向上していくと、農村にいる余剰人員は「よし、それなら都会へ出て一稼ぎするか!最初は低賃金でも田舎でプラプラしているより良いからね。」といった風に、少しずつ工業都市へ出ていきます。
そうすると、工業都市側では低賃金の労働者を確保することができるので工業が発展していき、さらなる労働力が必要となってきます。
そして、このようなことが繰り返されていくと、農村に最初にいた10人の余剰人員がいなくなる段階がやってきます。このような段階をルイスの転換点と呼ぶのです。
- ルイスの転換点以後の世界
さて、ルイスの転換点以後では、A国の農村にはもはや余剰人員はいません。その場合、工業都市と農村は労働力を取り合う形となります。すると、希少な労働力を確保するためより多くの報酬を支払う必要が出てきますから、労働者に支払う賃金は高騰していきます。また、何よりも労働力そのものも不足していきます。
そして、高騰した賃金と不足しがちな労働力という状況に陥った結果、一国の経済成長は鈍化するという考え方です。
わが国でも、『金のたまご』などと言って農業部門が主力の地域から都会が労働力を確保していた時代がありましたよね。こういった状況はルイスの転換点が訪れる以前の状況なのです。
そして、ルイスの転換点以後、色々あって高度成長期は終了しました。(もちろんこれだけが原因ではありませんが、低廉な賃金で労働力を確保できたという事は我が国の高度経済成長の一つの要因にはなっていたはずです。)
そして、ルイスの転換点以後、色々あって高度成長期は終了しました。(もちろんこれだけが原因ではありませんが、低廉な賃金で労働力を確保できたという事は我が国の高度経済成長の一つの要因にはなっていたはずです。)
また、中国でも、2013年末の時点で、そろそろこのルイスの転換点を超えるのではないか、もうすでに超えたのではないかとの議論がなされています。
もちろん、低廉な労働力の確保だけが経済成長の要因ではありませんので、ルイスの転換点を超えたから直ちにどうなるというわけではありません。ただ、そうはいっても、一つのボーナス要因が無くなるという事ですので、 中国の指導者たちの経済運営の手腕が今後は更に問われるという事は言えると考えられます。
もちろん、低廉な労働力の確保だけが経済成長の要因ではありませんので、ルイスの転換点を超えたから直ちにどうなるというわけではありません。ただ、そうはいっても、一つのボーナス要因が無くなるという事ですので、 中国の指導者たちの経済運営の手腕が今後は更に問われるという事は言えると考えられます。