持ち株会とは、福利厚生制度の一環として従業員が自社の株式を持つことを奨励する制度のことを言います。(参考:従業員持ち株会)
会社が利息を付けるという社内預金の代わりに、購入価格の数%の援助を会社が行い、従業員に株式を持たせるといったイメージです。
- 会社のメリット
さて、このような制度ですが、会社にとってはとても大きなメリットがあります。
というのは、従業員さんは、「自社の株式を持っているため、一生懸命働いて業績をアップさせる→株価の上昇→自分の持っている財産が増える」といった事が期待できるため、従業員のモチベーションが上がるのです。
また、安定株主対策にもなります。というのは、従業員持ち株会が株式を持っていたとしても、経営に口を出してくるとは考えにくいです。さらに、企業買収を仕掛けられたような際にも、従業員持ち株会がある程度の株式を持っていれば、それだけ企業の買収は困難となります。
斜に構えた言い方をすれば、従業員持ち株会は、会社にとって都合の良い株主なのですね。
さらに、株価の維持にも役立ちます。というのは、常に一定の(通常は積立形式で運用されるため)株式に対する需要が発生します。つまり、買い圧力が常にかかるという事ですから、株価の上昇要因となりうるのです。
- 従業員のメリット
さて、このような会社にとって大きなメリットがある制度ですが、従業員にも、一定のメリットがあります。
というのは、購入金額の一部が会社から援助されるので、自分で自社株を購入するよりも、割の良い貯蓄先となりうるという事です。
また、ドルコスト平均法といった効果も発揮されるため、株価が高いときは少なく、株価が安いときには沢山の株式を購入することができます。このことから、長期的には、一株当たりの購入単価を割安に抑えることができるのです。
- ただし、従業員にとってはリスク大です。
とはいえ、「タマゴを一つの加護に盛るな」といった格言があるように、自分の生活の糧も、財産も、職場に集中して投下するという事は、リスクが大きいように考えられます。
例えば、自社の業績が悪くなってしまうと、せっかくためてきた自社株の価値は当然下がりますし、お給料も下がります。最悪の場合、自社株の価値もなくなり、自分の雇用も守られないといった事も発生します。
そのため、自社株会に参加するにしても、あまり入れ込み過ぎない様に気を付けたほうが良いと思われます。(いよいよ、会社の業績が怪しくなってきた時に、自社株会で株を手放すことができるかどうかも見逃せないリスクです。忠誠心を問われるような同調圧力を強くかけられた際に、客観的に判断できる自信がありますか?)
最終的には価値観の問題ですが、自社株を持ちたいなら、自社株会のような制度ではなく、一攫千金のストックオプションを提供しているような企業で働いた方がうま味があるかもしれません。