ホテリング効果とは、お互いに競合する製品・サービスを提供する企業が、あえて近くに(距離的にも、取り扱い商品・サービスラインナップ的にも)存在していく傾向の事を指します。ホテリングの法則などと呼ばれることもあります。
例えば、秋葉原のような電気街や神田神保町の古書街といった風に、一つの業種がある特定の街に集まることがあります。
また、家電製品であっても、競合同士が同じような機能、同じような価格の製品をあえて販売するといった事も発生します。
(冷蔵庫とか、電子レンジとかは、どのメーカの製品であっても同じような機能、同じようなデザイン、同じような価格帯ですよね?)
このような現象は、「競争相手に近づく(物理的にも・サービス的にも)事によって相手のお客を奪う事ができる」といった現象か説明できるのです。
- どういう事?
さて、イマイチ説明になっていないですよね?どうして競合と近づくことによって顧客が奪えるのでしょうか?
それを説明するため、海の家について考えてみます。
ある海水浴場に海の家が2店舗あったとします。別に特別に焼きそばが美味しいわけでもなければ、アイスクリームもラーメンも普通のモノが置いてある海の家です。
このような場合、顧客が海の家を選択する理由として何が一番大きいでしょうか?同じような商品を同じような売り方をしているわけですから、商品は選択基準にはなりえないですよね?
それでは価格でしょうか?確かに価格で差を付ければ安い方が顧客を集めそうです。しかし、みなさんもご存じのとおり海の家の商品価格はどこも同じような価格となっています。
(このようなお店は、基本的に仕入れてきて、売るだけですから原価はほぼ同じだと考えられます。とすると、取りたい粗利もほぼ一緒でしょうから値段もほぼ一緒になるんですね。)
こういった状況で一番モノを言う要素はズバリ距離になります。
同じようなモノをワザワザ遠くまで歩いて行って買わないですよね?近くで買えればそれでいいはずです。
- 距離が顧客獲得の大きな要素なら
さて、距離が顧客獲得の大きな要素ならどのようになるでしょうか?
例えば、海の家が二つしかない海岸であれば、より中央に寄った方が顧客を獲得することができます。
【もともとの位置】
==A店===|===B店==
【A店が中央に寄った場合】
====A店==|==B店==
上のような単純な図で考えてみると、A店はA店よりも左側の顧客を総取りでそのうえ、B店側の顧客を奪う事に成功しています。(何と言っても近いか遠いしか顧客にとっては重要ではないのですから。)
でも、B店もこのまま黙っている訳にはいきません。この後B店が採る戦術としては、B店も中央に寄るという事です。(商品の質を改良し差別化するという選択肢はココでは考えません。)
【B店も中央に寄った場合】
====A店=|=B店====
この結果、最初と同じ顧客数をお互いに分け合う事となります。(左側と右側の顧客にとってはお店が中央に集まったため不便な海水浴場となりました。)
このように、お互いに競合するお店があえて近くに存在していく傾向をホテリング効果と呼ぶのです。