まんがで気軽に経済用語

「知らないから動けない」をなくしたい。 中小企業診断士が、現場視点で経営用語をまんがでわかりやすく解説しています。 読むことで、生産性が上がり、心に余裕が生まれ、社会全体がちょっと良くなる。そんな循環を目指しています。

財務・会計
2025年11月4日

配当政策

配当政策_001
配当政策とは、得られた利益のうちどれだけを投資家に還元するかの方針のことです。そして、実際に配当に充てられた比率を配当性向と言います。

企業の獲得した利益は株主に帰属しますが、経営者はその獲得した利益を株主に配分するか、内部留保として取っておくかを選択する必要があります。

内部留保を多くすれば、安定した資金の調達源(内部金融)となります。逆に、株主に多く配当すれば、株主はインカムゲインを得ることができます。

もっとも、配当が多ければ多いほど株主のためになるとは限りません。例えば、配当を行わずに事業に再投資し、企業価値を高め株価の最大化を目指すといった方法もあります。この場合株主は株式を売却した際にキャピタルゲインを得ることが可能となります。

このように、配当政策をどのようにするのが最も適切かを一概に判断する事はできないのです。

このまんがでは利益を内部留保して設備投資を行うか、株主に配当で還元するかどちらにするか株主のおじさんと、男子生徒が話していますが、今回は内部留保を増やして設備投資を行う事に決まったようです。

■配当政策の考え方

配当政策にはいくつかの考え方があります。配当は一概にたくさん出せば出すほど株主にとって良いとは限らないのがポイントです。

■配当を出さないケース(配当しないという配当政策)

例えば、企業がこれから大きくなるという成長ステージにおいては、配当よりも内部留保を重視することが多くなります。

これは、これから大きな成長が期待される中では数%の配当でのリターンではなく、成長による数十%、場合によっては数倍のリターンになったほうが株主のためになるという判断に基づきます。

このことから、創業期のベンチャー企業などはほとんど配当を出さないといった配当政策を取りがちですので、配当が得られないと理解したうえで投資することが望ましいでしょう。アメリカの大企業では配当をずっと出さずに成長で株主に報いるとしていたマイクロソフトやアマゾンがありました。

これらの会社に投資していたら非常な利益が得られた事は私達は知っていますので、配当をせずに内部留保を優先するという考え方も十分に正当化されることを知っています。

■配当を出す場合いくら出すかが問題です

他方で、成熟期に入った企業では安定的な配当を重視する安定配当政策や、業績に連動して配当を考える利益連動型の配当政策を取ったりします。

前者の安定配当政策は、利益が増えても減っても基本的には配当を一定額出していくという考え方で、利益減少局面や赤字局面での目先の配当利回りの高さだけで投資判断をしないことが重要です。

後者の利益連動型の配当政策の場合は、配当の水準が不安定となるため株主としては不満が残るケースがあります。

株主が満足するとかしないとかにふれているということは、配当政策によって株価に影響を与えることができるということにつながります。

そのため、株主など利害関係者の利益を最大化するためにはどうしたら良いのかを考えるのも経営者の大事な仕事だったりします。特に、業界の標準からかけ離れた配当政策を行うと、良くも悪くも株価への影響が大きくなります。

■配当政策と内部留保のバランス

前段では配当の出し方の考え方について述べましたが、配当と内部留保のバランスについても見ていきます。

会社は獲得した利益を「貯める」「使う」「分ける」とバランス良く考えていくことが重要です。

このバランスは配当性向自己資本利益率(ROE)資本コストなどを踏まえて考えていく必要があります。

短期的に株主還元を配当で行うと、成長のための投資余力を失ってしまいます。逆に内部留保を優先しすぎると株主価値を毀損してしまいます。

これらのバランスの鍵は、自己資本利益率(ROE)で、自己資本利益率(ROE)が十分に高いならば配当で株主に利益を分配するよりも再投資したほうが株主価値が高くなります。

多くの日本企業では配当性向を35%前後を目安としつつ(獲得した利益の35%前後を配当する)、単年度の利益増減で配当の額を増減させずに安定的に配当すると言ったことを行っています。

大きく儲かった場合は自社株買いで株主還元すると言ったイメージですね。

初出:2012/04/15
更新:2025/11/04
マーケティング
2019年2月20日

バスケット分析 | 買い物カゴの中身を分析して一緒に買われやすいものを発見します

バスケット分析
バスケット分析とは、買い物かごの中に入っているモノ(つまり一緒に購入されるようなモノ)を分析するといったアプローチです。

文字通り、バスケット((買い物)カゴ)を分析すると言った意味合いの言葉なのですね。

■買い物かごを分析して何がわかるの?

さて、買い物かごを分析して何がわかるのでしょうか?「うちの買い物かごを分析されても特売品しか買っていないことぐらいしかわからないよ…」と言う人もいるかもしれませんが、たくさんの情報を集めて分析することによって思いもよらぬ事がわかったりするのです。(こういう特売品しか買わないような人をチェリーピッカーと呼びます。)

例えば、常連である田中さんは来店すると『麻素材のシャツ』と『うちわ』を購入するとします。しかし、決して『化繊が入ったシャツ』と『うちわ』は一緒に購入しないといった事がわかったとします。また、佐藤さんや斉藤さんをはじめとして多くの人にも同様の傾向があったとします。

この事がわかっていた場合、『麻素材フェアー』をする際にはさりげなく『うちわ』を近くに陳列しておいたら売れそうですよね?または、機会ロスを防ぐため、『うちわ』の在庫は『麻素材フェアー』中は多めに持っておく必要があるという意思決定ができそうですよね。

逆に『化学繊維フェア』(こんなイベントは考えにくいですが)をやる際には『うちわ』についてはあまりたくさん在庫を持っても仕方なさそうです。

こういった風に、顧客の買い物かごの中身を分析することによって売れる組み合わせを見つけるというのが基本的な考え方になります。

■データの鉱山を掘るのです


さて、このバスケット分析を実施することで、よく言われるような『紙おむつとビール』といった売れる組み合わせを発見することができます。

そして、現在では一昔前では考えられなかったくらい多くのデータを扱って分析することができるようになっています。

その結果、日々の売り上げデータをどんどん蓄積していき、コンピュータを利用して大量のデータの関連性を探るといった事を行う事が可能となってきています。(こういう考え方をデータマイニングと呼びます。)

kitsune
買い物かごを分析するっていうけど、有名な話があるよね 。

neko
紙おむつとビールね。確かに後付の理由としては休日に紙おむつを買いに来るお父さんが一緒にビールを買うっていうことだけど、なかなか気がつかないよね。

kitsune
ただ紙おむつとビールを一緒に買う傾向が強いと言われても、それが意思決定にうまく使えるかどうかは別の話だよね。売り場的に紙おむつの隣にビールがあったらなんか微妙だし。

onnanoko_bustup
そうよね、分かったことをどう生かすかが重要なのよね。

■どこまでやるか

さてこのようなバスケット分析ですが細ければ細かいほどいいということではありません。

上の例で麻素材と家はぐらいの大きさであれば、ある程度のサンプル数が取れますがこれを麻素材の S サイズの白、や麻素材 S サイズ3色セット、などとやってしまうと(この粒感をSKU単位といいます)細かすぎて有効な知見が得られないかもしれません。

ということかというとある程度の量が売れていないとその購買傾向が見れないからです。

例えば麻素材のシャツを100人が買ってそのうち50人がうちわを買ったとすれば、この二つの商品に非常に関連があると考えられます。

しかし一人しか買わない商品でたまたまその人が何かを買った場合。例えば麻素材のシャツを買った人が一人しかいなくてたまたまその人がゴム手袋を買った場合、この二つの商品に関連性があると考えるのはノイズがあると思います。

このようにバスケット分析についてはどの粒感であるかという視点も大事になります。一般的にある程度の販売数量が出る粒缶でやっていく必要があるのです。

■バスケット分析の活用事例

このバスケット分析は実店舗を構えている小売業だけでなく、ECサイトでも活用されています。この情報を下にレコメンドエンジンが「一緒に〇〇もいかがですか」と推薦して客単価向上を狙っているのです。

このように一緒に購入されるものをあらかじめ調べておくことでより便利なお買い物につながってきます。

ほしいおもちゃを買った時、帰宅してから電池が必要だったなんて経験があるかもしれませんが、そのような経験はお店は悪くないにも関わらずせっかくのお客様の購買体験を損なってしまいます。

しかし、多くのお客様が一緒に電池を買っていることがわかっていれば防ぐことができたりします。

また、金融業界やレストランでもこういった分析は有効です。例えば住宅ローン申請と同時に申し込まれる保険商品(団信保険以外)がわかっていれば、機会を逃さずにおすすめすることができます。

また、レストランでもハンバーガーを頼む人の殆どがポテトを頼んでいるとわかっていればおすすめすることができるのです。

このように、様々な人の行動を記録しておくことで、マーケティングの枠を超えて人々の行動パターンを知るための知識になりつつあり、AIや機械学習の前段階といえるアプローチであるといえるのです。


解説で出てきた用語・関連用語
SKU

店舗管理
2018年12月23日

バイヤー

バイヤー_001
バイヤーとは仕入れ担当者の事を言います。消費者のニーズを見極めて商品を仕入れることが求められている職種です。

このバイヤーというと、小売業の仕入れ担当者のイメージが強いと思いますが、卸売業の仕入れ担当者もバイヤーと称されます。
  • バイヤーの持つ権限と責任 
さて、このバイヤーはマーチャンダイザーが決定した方針に従って、仕入れ業務を行っていきます。

この際、売り場づくりについても、「仕入れた商品をどのような意図で仕入れを行い、どのように売ってほしいのか」といった情報を伝えることによって関与していきます。

バイヤーにとっては、惚れ込んだ商品であってもどうやって売ればいいかを売り場の人に伝えないと、せっかくの魅力が伝わりません。

例えば、○○でしかとれない原材料をふんだんに使って、100年前の創業時のレシピを復刻して作った商品を仕入れたとします。

もちろん商品を開発した側もその情報をパッケージなどに盛り込んだりしますが、一般的にはパッケージは商品の魅力・背景を伝えるにはスペースが小さすぎます。そのため、POPなどを適切に用いて、消費者に対して魅力を伝える努力が必要です。

しかし、このような情報はしっかりと売り場の人に伝えないと、よくある商品の一つとして埋もれてしまい、せっかくのストーリーが消費者に伝わりません。

そのため、自分が仕入れた商品の魅力を、しっかりと売り場の人に伝え、ひいてはお客様に伝える努力をしていかないといけないというわけですね。

そして、自分の責任と権限で仕入れを行うわけですから、販売や利益についても、責任を負っていきます。

権限があるところには責任がついて回りますので、バイヤーは大きな権限を持ちますが、同時に大きな責任も持つこととなるのです。
  • バイヤーとして求められることは
よくカリスマバイヤーなどと言うと、いった先を見る目がある人がこのバイヤーに向いていると言われます。

確かに超人的なセンスがあればそれに超したことはありませんが、そうでなくてもこのバイヤーという職種を立派にこなすことはできます。

そのためには、事実を事実としてしっかりと見る目を持つことが大切です。

お客様は何を見ているのでしょうか?そういった情報は自社の中にかなり蓄積されています。売上データやお客様の声など自社内に蓄積されている情報をしっかりと分析する必要があります。

また、企業の売上や利益についても責任を持つ必要があるので、仕入れようとしている商品が、どのくらい売れそうで、どのくらいの粗利益を得ることができるのかについても考える必要があります。

また、安全性や環境への取り組みなど最終消費者の代理人として消費者に代わって自社で取り扱う商品を選ぶと行った重要な観点もあります。

とはいえ、最後は売れるかどうかは実際に仕入れてみなければわかりません、その意味では最後は決断をするセンスと度胸が求められます。

冷静な分析力と、消費者の代わりに商品を目利きする職業人としての誇りと倫理観が必要な職種となります。

財務・会計
2018年12月22日

販管費 | 販売費及び一般管理費という言葉は聞く機会が多いと思います

han_001
販管費とは販売費及び一般管理費のことで、売上原価以外の本業の費用が該当します。

例えば、あんパンを仕入れて販売しているあんパン専門店を考えてみます。

この企業は

100円であんパンを売るために70円であんパンを仕入れてきたとします。また、今期は仕入れた数量すべてを販売しており、仕入れた70円が売上原価となっているとします。

この場合、100円の売上から70円の売上原価を差し引いた額が売上総利益(いわゆる粗利額)となります。

売上-売上原価=売上総利益

【関連用語】
売上原価

売上総利益(粗利益)

この粗利額がそのまま企業の本業の利益になるかというと、そうは問屋が卸しません。このあんパン屋さんが営業するためには、お店の家賃も必要ですし、従業員の給料も必要です。また、お店を営むための交際費や、水道光熱費などもかかります。

また、広告費も必要とおなるでしょうし、場合によっては販売手数料も必要とされるかもしれません。

このように、本業を営むために必要な費用のうち、売上原価以外の部分がこの販管費とされます。

そして、この販管費を売上総利益から差し引いた額を営業利益といい、企業が本業で稼ぐことができる利益とされています。

売上総利益-販管費=営業利益

なお、損益計算書はこの後に、企業が実施している金融活動で生じた収益と費用を調整して経常利益を計算します。

こちらは、企業の特別なことがない場合の、資金の調達・運用も含めた収益力を図る指標です。

また、経常利益から普段は生じない特別な損益を加減して当期純利益を計算していきます。
  • マンガでは
マンガでは粗利額で評価すると言われたといっています。これを逆手にとって、広告を打ちまくって(広報費は販管費になりますから)、赤字だけど好評価を得たというお話です。
経営
2017年11月10日

バックエンドピル | 買収価格を高くして、買収を割に合わなくさせる防衛策です



3_001
バックエンドピルとは敵対的買収に対抗するための方策の一つで、ある一定の条件を満たした際に、既存の株主に対して持ち株を現金や債券などに交換できるようにする権利を与えることを言います。その結果買収者にとっての買収コストを高めることができ、抑止効果を狙うことができるのです。Back-end pillと表記します。

■ポイズンピルとバックエンドピルの違い

いわゆるポイズンピルの一種ですが、ポイズンピルを用いることができない場合に、このバックエンドピルの活用が検討されます。

ポイズンピルは既存株主に時価より低い一定価格での新株予約権を与えるという、とても強力な買収な買収抑止効果を発揮しますが、その性質上、新株式を発行する余地がない場合には使うことができません。(参考:授権資本

ポイズンピルを使うことはできないが、敵対的買収から企業を防衛したいと考える場合に、このバックエンドピルの活用が検討されるのです。

<ポイズンピルとの違いの簡易まとめ>

比較項目 バックエンドピル ポイズンピル
発動条件 買収者が株式を取得したとき 買収者が株式を取得したとき
効果 買収コストを高める 持株比率の希薄化(経済的打撃)
制限 授権資本が枯渇していても使用可 授権資本の範囲内でないと不可
既存株主に与えるもの 金銭的リターン 新株予約権


■買収コストが上がる

敵対的な買収者は基本的には買収から何らかの形で利益を得ることを目的としています。その利益は、買収したのちに企業をバラバラに解体して売却することで実現することであるかもしれませんし、買収後に経営をテコ入れし、企業価値を高めることかもしれません。

その他にも、買収者の既存の事業とのシナジーを発揮して利益を上げる事かもしれません。

しかし、いずれの方策で利益を狙うにしても、買収価格以上の利益を上げることが必要となります。そして、買収価格が上がれば、得られる利益の額が同じでも買収案件の魅力は変わってきます。

例えば、1億円の利益を得られる企業買収を5千万円で実施する事ができるならば、その投資は前向きに検討されると考えられます。しかし同じ1億円の利益を得られる企業買収をしようとしたとき、相手側がバックエンドピルを活用して9千万円のコストがかかるようにしていたらどうでしょうか?

確かに利益は得られそうですが、買収に伴うリスクも存在する中で1千万円の利益を狙いに行くために買収をするかどうかは前者よりも慎重に検討することが必要となってきます。

このように、バックエンドピルは買収へ対しての抑止力を発揮する方策なのです。

■バックエンドピルの導入について

日本企業では一般的ではないものの、昨今の不安定な経営環境において導入検討例や類似の防衛策が議論される場面も増えています。


とくにアクティビストの動きが活発な上場企業では、株主還元と経営の安定の両立が求められる場面で選択肢となります。

■会社はだれのもの?

さて、このバックエンドピルは名目上株主の投資を保護するという大義名分があります。いっけんすると「株主保護」を大義名分にしていますが、実質的には経営者の保身策になりかねないリスクもはらんでいます。

例えば、敵対的な買収者が企業を買収した場合には経営が改善され企業価値が高まる見込みが高い場合はどうでしょうか?

その場合、株主にとってバックエンドピルでいくばくかのお金をもらい(抑止力ですから実際に発動されるケースは少ないでしょう)現状の相対的に経営能力が劣っている経営者に経営を任せ続ける事が正当化できるでしょうか?

言い換えれば、現経営陣の保身のためにこのような方策を用いることが株主の利益につながるでしょうか?明確な答えは出ませんが、買収防衛策には株主の本来的な利益と逆行する場合があると言った、疑問が投げかけられるのです。

■その他の買収防衛策

ホワイトナイト:有効的な第三者に買収を(多くの場合経営陣が)依頼
クラウンジュエル:重要事業の切り離し。(自爆型の防衛策)
パックマンディフェンス:逆に買収をかける方策

買収防衛策は株主の利益という大義名分と現経営陣の保身という本音がぶつかり合う領域です。中小企業や非上場企業でこのような施策を考えることはあまりありませんが、このようなことも考えられると知っておく価値はあるでしょう。



財務・会計
2015年10月26日

売価還元法 | 「この売上原価って怪しくない?」簿記を勉強すると必ず遭遇するモヤモヤ感です

売価還元法
売価還元法とは、取扱品目の非常に多い小売業等でよく使われれる棚卸資産(要するに在庫の事ですね)の評価方法の一つで、売値ベースで把握した在庫金額から原価ベースの期末の棚卸資産有高を求めるための方法です。

売上原価を計算しようと考えた場合、期中にどの商品がどれだけ売れたか、売れた商品はいくらの単価で仕入れたものであったかを、先入先出法や、後入先出法、移動平均法などの方法を用いて把握していく必要があります。

「今回売れた商品は、100円で仕入れた商品が3ケと同じ商品だけど101円で仕入れた商品が2ケだった…」などと記録をしていく必要があるのです。

しかし、ちょっと近所のスーパーを思い浮かべて欲しいのですが、小売業などでは非常にたくさんの商品を取り扱っていますよね?

これらの商品を一つ一つ上にあげたような方法で管理していたら非常に手間がかかり、大変なことになります。

そのため、期中に単価を考慮せずに済ますといった売価還元法といった方法が用いられています。

■棚卸をするだけ

(その棚卸がきわめて大変なのですが)定期的にて商品がどれだけ残っているかをチェックする棚卸を行い、その情報と商品毎の売価(値札がついていますからこちらは簡単に把握できます)を掛け合わせて一定のグループごとに売価ベースの商品有り高を算出します。(惣菜とか日配、グロサリー等のグループごとに把握します)

その後、グループごとに算出したその期の原価率を乗じて、原価ベースの在庫有高を求めます。

原価率=(前期末評価額(原価ベース)+当期仕入高)÷(投機売上高+期末在庫高(売価ベース))

まず、原価率を求めそのあと、求めた原価率を用いて期末評価額(原価ベース)を求めます。

期末在庫高(売価ベース)=棚卸数量×売価

期末評価額(原価ベース)=期末在庫高(売価ベース)×原価率

といった計算で算出することができます。

そして、この計算を実施すると、期末評価額が判るのでいわゆる『シイレクリショウクリショウシイレ』といったオマジナイを唱えて売上原価を計算するのです。

(借方)仕入(貸方)繰越商品
(借方)繰越商品(貸方)仕入
※この仕訳を決算整理仕訳として実施することによって仕入勘定に売上原価が計算できます。

計算式にするとこんな感じです。

売上原価=期首在庫+当期仕入高-期末在庫

■この考え方怪しくないですか?

さて、このような売価化還元法ですが、なんだかモヤモヤしませんか?そのようなモヤモヤ感を感じた方は正解です。というのは、この売価還元法は完全に正確ではありません。

だって、どう考えても完全に正しい値にはなりえませんよね?

でも、会計上はこれでよいとされています。企業会計原則真実性の原則で言われるところの真実は相対的真実といった考え方となります。

もっというと、先入先出法を採用していたからといて、先に仕入れたものから売れていくわけではないですし(陳列棚の後ろからワザワザ商品を取るような人、いますよね?)もっと乱暴な最終仕入原価法(最後に仕入れた仕入れ単価を採用する)などといった方式も認められています。

そのため。ここに深入りしても学者先生以外は得をしないので、スルーしておくことを推奨します。

財務・会計
2015年2月4日

配当性向 | 利益の中からどれだけ配当するかを示した言葉です

配当性向
配当性向とは、得られた利益のどれだけを配当に回すかの割合のこと言います。『性向』という言葉が、物事の傾向などを示す言葉なので、配当に対する傾向といった感じの意味合いになるのです。

そして、得られた利益のうちどれだけを配当に回すか?といった事がこの言葉の関心事ですので、以下のような計算式で求められるのです。


配当性向(%)=1株当たり配当額÷1株当たりの当期純利益×100

または(一株当たり配当額などが分からない場合は)

配当性向(%)=配当額÷当期純利益×100


配当性向などと言うとなんだか難しげな用語ですが、単に「稼いだうちのイクラを配当に回すの?」といった指標なのです。

例えば、一株当たり100円稼いでるような企業があるとします。その企業が、一株当たり50円配当していた場合の配当性向は

配当性向(%)=50円(一株当たりの配当額)÷100円(一株当たりの利益)×100

なので、50%となるのです。計算してみると普通ですよね?
  • 配当性向の高低は
さて、配当性向については単に利益の中のどの程度を配当に回しているかを示しているだけですので、良い、悪いの価値判断とは基本的に関係のない指標となります。

例えば、その企業が成長著しい分野で活動していて、自分の事業に再投資した方が結果として株主に報いられるとの判断をする場合もあります。(この場合、株主は売却した際にキャピタルゲインを得ることになります。)

このような場合、別に配当性向が低いからと言って責められるようなものではありません。

逆に、成熟した事業で安定的に利益を得られるような場合は、株主に報いるために配当を多めに出し、配当性向が結果として高まる場合もあります。

もちろん、このまんがのように、儲かっていない企業が配当を従来のまま出し続けた結果、単に指標としての配当性向が高まっているような場合もあり得ます。

いずれにしても、この指標単体では分かる事はそんなにないという事なのですね。

 
関連用語
配当割引モデル
理論株価 
マーケティング
2015年1月17日

バンドワゴン効果

バンドワゴン効果
バンドワゴン効果とは、みんなが使っているから、欲しくなるといった現象のことを指す言葉です。英語ではBandwagon Effectsと表記されます。

「○○君も持っているから欲しい」とか「この製品は普及していて、安心感があるなぁ。だからこの製品にしよう」といった心理ですね。

このバンドワゴン効果を端的に言うと、長いものにまかれる的な消費行動です。定番品は定番になる理由があるはずで、だから良いものだといった考え方ですね。

このようなバンドワゴン効果は「多くの人が買っている」「みんなが選んでいる」といった他人の行動が意思決定に影響を与える心理的傾向ですが、似たような購買行動で「リーセンシー効果」という「最後に見た情報」に影響される心理効果もあります。

割と人間は不合理な生き物なのですね。

■バンドワゴン効果にも一理あります

さて、このバンドワゴン効果ですが、流行がさらなる流行を呼ぶといった現象の理由となりえます。すなわち、みんなが使っているから、更に普及が進むといった事です。

ワザと行列を作り出したり、品薄にすることによって需要が集中していることを顕在化させて(要は、任期があるという事をアピールして)さらなる需要を生み出すといった事にも使える効果ですね。

ただ、消費者としては、様々な製品でうまく流行った方がディファクトスタンダード(事実上の標準)になる事を経験的に知っているため、規格同士が争っている際には、より普及している方の製品を選ぶ方が合理的である場合があるのです。

また、普及すればするほどネットワークの価値が高まるというメトカーフの法則や、ある程度の普及率を超えたら一気に普及が進むという、クリティカルマス。普及が進むとそれによって普及に弾みがつくといったネットワーク外部性など、このバンドワゴン効果と同じ結果をもたらす経営用語は沢山あります。

関連用語

■バンドワゴン効果が生じる背景

このようなバンドワゴン効果が生じる背景には、私たち人間が「集団に属していたい」「間違いたくない」という心理を持っていることがあります。

群れに所属していれば生存率が上がるという原始の行動原理を未だに我々は盛っているのです。

そのため、誰かが選んだ商品や行動が『正しい』ように見えるため、「社会的証明」として自分も選んでしまうのです。

たとえば、レストランで「行列ができている=人気がある=美味しいに違いない」と考えて並んでしまうのも典型的な例です。

実際には行列ができているという事実の原因には、「店舗オペレーションが良くない」といったものが潜んでいるのかもしれませんし、「単にキャパシティ以上に集客キャンペーンを行ってしまった」だけかもしれません。

しかし、人は不思議なもので、そのようには考えず(上のように「行列≒人気店」と考えない人は割と変わった人です)人気があるお店は美味しいお店と考えがちなのです。

こうした現象は、口コミ・レビュー・フォロワー数などの指標を重視する消費行動にもつながっています。良いものだから皆が見るといった因果が、皆が見ているんだから良いものだと逆転することもよくあるのです。


組織論
2014年8月26日

場の理論 | ミンナが空気を読むなら、組織の空気が業績に影響しますというお話です

場の理論
場の理論とは、レヴィンが提唱した考え方で、人の行動はその人が置かれた『場』によって影響を受けるといったモノです。

そして、このような考え方に従うならば、従業員個人個人の能力開発にリソースを割くだけではなく、従業員が働くための『場』を整備していく、つまり、有効な組織文化を醸成する事も非常に大切であるという事が導けます。

なんだか、「人は周りの環境に左右される!」みたいな事を言っているだけのような気もしますが、非常に大切な考え方です。

というのは、従業員の能力を座学研修などoffjtや実地での教育訓練であるOJTでどれだけ向上させても、その従業員が実際に働く『場』、周りを取り巻く環境がダメダメだったらその従業員は高い能力を発揮しえないという事を指摘しているからです。

例えば、あなたがある多店舗展開を行っている小売業で働いていたとします。そして、あなたはタマタマ接客の素養があり、職場環境にも恵まれていたため、非常に高いパフォーマンスを発揮していたとします。

その後、あなたは別の店舗に異動になったとします。

この店舗は、「最低限言われたことをやるだけでよい。例年通りのことを着実に行う事が大切なんだ」といった価値観を持っている人が大多数を占めているような文化だったとします。また、非常に同調圧力が強くかかるような文化も併せ持っていたとします。

このような状況に置かれた時、あなたは「前例はないけれども、お客様が望んでいるから○○をします!」という事ができるでしょうか?

ちょっと難しそうですよね。

このように、個人の能力も大切だけれども、周りの環境(場)も大切ですよ、というのが場の理論です。

学者の先生が提唱した理論らしく、もう少し詳しく見ていくと関数で表現されています。
 
行動:B
個人特性:P
周りの環境:E

として、行動は環境と個人の特性の関数fによって導き出せるというものです。

すなわち

B=f(P,E)

と表記されるのです。なんか文系の人には恐ろしげな感じですが、この関数は「個人の行動は個人の特性と周りの環境に左右されるんですよ」といった事を表しているだけなので必要以上に怖がらなくても大丈夫ですよ。

経営
2014年8月19日

花形 | 花形事業は意外と儲けが少ないというちょっと残念なお知らせです

花形
花形とは、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)における考え方の一つで、市場シェアが高く、市場自体の成長率も高い製品群のことを言います。英語ではStarsと表記されます。

成長市場で気を吐くエースといったイメージの言葉ですね。

と、こういう風に説明をすると「ふーん花形はエースなんだ。成長著しい分野で市場シェアも高いんだったらすごく儲かるんだよね…」と言う風に考える人もいるかもしれません。

でも、残念ながら花形は大きく儲かりますが、大きく費用がかかるという金食い虫の面もあるのです。

イメージとしては、派手な生活を繰り広げているスーパースターみたいな感じです。たくさん稼ぎますが、たくさん使うといった感じですね。

さて、「たくさん稼ぐのは分かるけど、どうしてたくさん使わないといけないの?」と言う風に思う方もいるかもしれません。

なんとなく不思議ですよね。でも、成長市場で自分の地位を維持したいと思った時にはやはり多額の投資をする必要があるのです。

例えば、薄型のテレビを開発した企業があったとします。この分野の先駆者であったため、大きな市場シェアの獲得に成功したとします。

しかし、この薄型テレビの市場が凄い勢いで伸びていたらどうでしょうか?

当初の大きな市場シェアを維持するために、工場の製造能力を増強したり、販売促進のために多額の費用を費やす必要がありそうですよね?

こんな性質がある為、上手く花形に位置付けられる製品を作り出すことに成功した場合、儲かった資金を再投資するという「自給自足的」な考え方が必要であると言われています。

そして、花形のまま、市場成長率が落ち着いて来れば『金のなる木』といういかにも儲かりそうな呼ばれ方をしている製品群になってくれるのです。

関連用語
問題児
負け犬
財務・会計
2013年11月17日

払込資本 | 株主が実際に払い込んだ部分を払込資本というのです

払込資本
払込資本とは、資本金のうち株主によって出資されて生じた自己資本の増加額の部分を言います。また、別の言い方では拠出資本金とも言います。

具体的に言うと、資本金の部分に資本剰余金(これは『資本準備金』と『その他資本剰余金』からなります)を加えた部分がこの払込資本とされます。

さて、簿記を学習した事のある方ならなんとなく、「ああ、そういう事ね」と分かってもらえるかもしれませんが、一般的にはどういう事かよく分かりませんよね?
  • そもそも資本金って
資本金とは、資金の調達源泉のうち、自前の資金(返さなくても良いお金)になります。この反対に、他人から調達して来て返済の必要があるようなモノを負債(他人資本)と言うのです。

そして、その自己資本は大きく分けて、『株主が払い込んだお金』と『稼いできたお金』に分けられます。

このうち、『株主が払い込んだお金』は「今度商売を始めるんだって?だったら100万円出資するよ」といった感じで、株主から払い込まれた商売の元手といったイメージとなり、『稼いできたお金』は「一年間頑張って、200万円の利益が出たよ」といった感じの稼いできた部分になります。

この会社の場合、元手が100万円で、稼いできたお金が200万円なので、300万円の自己資本を持っているというわけです。

そして、このうちの元手部分(株主が出資した部分の100万円)が払込資本の当たるのです。

と、いろいろ書いていますが、結局のところ「株主が払い込んだ資本金」なので『払い込み』資本なのですね。

関連用語
受贈資本
獲得資本
生産管理
2013年10月12日

パイロット生産 | 実際の生産活動の前に試験的に生産活動を行うのです

パイロット生産
パイロット生産とは、新製品などを実際に量産する前に、試験的に少数の生産を行う事を言います。

新製品の設計ができ、試作も終わり、ある程度の売り上げの見込みが立つのでれば、「よし、一刻も早くこの新製品を市場に投入しよう!」と考えたくなると思います。

しかし、たとえ売れるであろうものであっても、製造のノウハウが蓄積されていない段階でいきなり多量に製造を行うのは危険が伴います。

例えば、設計段階や試作段階では発見できなかった問題が、パイロット生産の段階で発見できるかもしれません。

こういった問題をクリアーしてから実際の生産に移った方が安全なような気がしますよね?

このように、比較的少量の生産を試験的に行い、ノウハウをある程度蓄積してから実際の生産に入るといった事が行われているのです。

そして、こういった試験的に少量の生産を行う事をパイロット生産というのです。
財務・会計
2013年9月12日

バランスシート調整 | バランスシートを改善するために新規投資を抑えるのです

バランスシート調整
バランスシート調整とは、資産価格の変動などによって資産が目減りしてしまった際に、負債を圧縮するためや利益率の改善を図るために投資などを抑制する事を言います。

イメージとしては、バブルが崩壊して土地などで莫大な含み損を抱えた際に、新規投資を押さえて負債の圧縮に励むといった感じです。

バランスシート(貸借対照表)上に出てくる問題(資産の目減り)→調整のために新規投資の抑制といった流れになります。

図で示すと次のような感じです。
スライド1
資産価格の変動などによって、資産が目減りしたとします。しかし、負債の額は従来通り変わらないので(「土地の値段が下がったから借金を減らしてください」なんて言っても通用しませんよね?)結果として純資産が少なくなります。

このようになってしまった場合、自己資本比率等も悪化しているので負債の圧縮を図る必要が出てきます。 

なんだか後ろ向きな感じの言葉ですね。

そして、この種の調整は社会全体でみると悪循環を引き起こす可能性があります。

例えば、「景気が悪くて、土地の値段が目減りしたよ」→「当面は成長よりも損失の穴埋めのために利益率の改善が必要だ」→「投資を抑制して今ある資産で事業を行おう」→「社会全体で一斉に投資の抑制を行う」→「さらに景気が悪くなって、土地の値段の目減りが加速」→「最初に戻る」

といった事が起こるのです。
組織論
2013年9月3日

ハローワーク | 仕事について困った事があったら相談してみるといいですね

ハローワーク
ハローワークとは職業安定法に基づいて運営されている行政機関で、職業の相談や求人情報の提供などを行っている機関です。正式名称は公共職業安定所です。

企業にとっては、ハローワークを通じて求人を行う事ができますし、ハローワークを通じての求人は様々な補助金を受けるための要件にもなっています。

また、一般人にとっては、文字通り求人情報を探すことができたり、雇用保険の失業保険の給付を受けられたりします。

また、「仕事を探せると言っても、自分はスキルが…」といった方には、ハローワークで職業訓練の相談をすることができます。

このように、仕事を探す人、仕事をお願い人双方が活用できる機関で、さらに人を雇う側にとっては様々な手助けを受けられるのです。

■助成金獲得の拠点としてのハローワーク

ハローワークは会社が助成金などを受けようとしたときに心強い味方となってくれる拠点です。雇用関係の助成金はハローワーク経由での求人を要件にしていたりします。

そして、行政機関あるあるですが、職員さんはとても詳しく親切に教えてくれますから、疑問点などがあったら素直に聞いてくとよいです。

このようにハローワークは単なる人材獲得チャネル、仕事を探している人と仕事をしてもらいたい人を探している会社を結びつけるだけでなく、両者にとって役立つ仕組みが揃っているのですね。
経営
2013年8月29日

発言と退出 | 採りうる2つの選択肢、文句を言うか黙って去るかそれが問題です

発言と退出
発言と退出とは、何らかの問題があったときに、投資家などの利害関係者(ステークホルダー)が採りうる選択肢の事を言います。英語ではVoice or Exitと表記されます。

投資家の行動

さて、投資家は企業価値が向上し、結果としてインカムゲインを継続的に得る事や、キャピタルゲインを得る事を目的としています。

そして、企業価値向上を目指すために、経営陣の経営方法に不満がある場合には積極的に提言を行っていくといった投資のスタイルが考えられます。(参照:アクティビスト
  • その他のステークホルダーの行動
その他のステークホルダーについても同様に、消費者からの苦情や、従業員の提案といった形で発言をすることができます。

そして、発言をしたにもかかわらず事態が改善しなかった場合には、退出する(消費者は「二度と買わない」、従業員は「退職する」)といった選択肢を検討することができるのです。

企業側にとっては、発言を無視した場合には、投資家が株式を売却することによる株価の下落や、顧客の離脱、授業員の退職といった不都合を甘受する必要が出てきます。

逆に言うと、退出するという選択肢で企業を脅す事が、自らの発言力の源泉となっているのです。

(もっとも、発言することなく退出する場合も非常に多いのですが。)
財務・会計
2013年8月20日

パッシブ運用 | 何も考えずに市場平均をひたすら狙うという投資方法があります

パッシブ運用_001
パッシブ運用とは、ファンドを運用する際の考え方の一つで、ファンドマネージャーなどの判断を考慮せず、市場の平均的なリターンになるように運用する方法です。

イメージとしては、市場の変動に対して受動的に(パッシブに)運用するといった感じになります。一言で言うと、平均点を目指す運用方法であるということができますね。

と、「平均なんて言われてもちょっとよく分からないよ」と思われる方もいるかもしれませんね。具体的には、このパッシブ運用は、日経平均やTOPIX、海外ではS&P500といった株価指数と同じ運用成果が得られるように運用するといった方法です。(インデックス運用とも呼ばれます)
  • 平均点で満足ですか?
さて、「平均点で満足ですか?」と少し挑戦的なみだしをつけましたが、平均点を狙っていくパッシブ運用といったやり方も、もちろんありです。

というのは、平均という成果がどういった水準なのかを考えてみるとご理解いただけると思います。

例えば、ある市場にはAさんとBさんとCさんが参加していたとします。

この市場の平均的な運用成果は、AさんとBさんとCさんの運用成果の平均となりますので、最下位になる事はないですよね?

また、この種のパッシブ運用は、個別の企業の業績がどうのこうのと調査する必要がなく、また、しょっちゅう取引をする必要もないため非常に低コストで運用することができます。

このような利点がある為、このパッシブ運用は広く行われている投資の方法となるのです。

関連用語
アクティブ運用
店舗管理
2013年7月2日

バックヤード | お店の裏庭では収益は生まれないのです

バックヤード_001
バックヤードとは、お店の売場以外のスペースのことを言います。バックヤードという言葉は裏庭という言葉で文字通り、お客様が入ってこないスペースのことを言います。英語ではbackyardと表記されます。

このバックヤードは文字通り裏庭です。裏庭なのでお客様は入ってきません。そのため、バックヤードは以下のように使われます。
  • 商品の検品、仕分け
  • 在庫の保管
  • スタッフの休憩室・事務所
  • 店舗用備品の保管場所

しかし、上記のような使い方をするので、このスペースが売り上げを基本的に上げることはありません。(売上は売り場で上がるのです。この意味で売り場は直接部門となります。)(用語説明→商品の陳列や販売など直接売上につながる部署:直接部門

そしてその文脈ではバックヤードは間接部門となります。(用語説明→在庫管理や総務・経理など売上を上げるための支援部署:間接部門

そのため、このバックヤードでの活動は効率的かつ効果的に行う必要があるのです。広くすれば便利だと言った発想でバックヤードを大きくしても売上には直接寄与しないので、どのお店もバックヤードは必要十分な大きさとなっています。

■バックヤードは整理整頓が重要です

例えば、「お客様が入ってこないんだから、適当に管理すればいいよ。」などと、乱雑にバックヤードをしていたらどうなるでしょうか?

「探していたものが見つからないよ。」とか「余計な在庫が倒れてきて事故が起こりそうだったよ…」といった問題が発生しそうですよね。

このような問題の発生を防ぐために、しっかりと整理整頓を心がけて生産性をアップしていく必要があります。(このような考え方を5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけの頭文字5つのSを取った言葉)といいます。)

■改装するならバックヤードは効率優先で

もし改装計画があるならば、まずは売り場改善に優先度を置くほうが売上につながります。

バックヤードの利便性向上を図るのはとても重要な観点ですが、売り場面積を圧迫してしまったら本末転倒となります。

そのため、バックヤードも改装するならば、5Sを徹底しやすくなるようなレイアウトにしたり(整理整頓しやすくなるレイアウトというものもあります)、作業動線を短縮することを考えます。

また、棚やボックスを適切に配置し、在庫の定位置を決めたり、滞留在庫や過剰在庫が目立つようなレイアウトにするとよいでしょう。

これらの改善により、お店の人の作業効率を上げることによって、売り場に店舗スタッフの力を注げるようにすることが重要なのです。

例えば、とある企業が従来よりも狭いバックヤードになったものの、棚を最適化して配置し、商品補充時間を短縮することに繋げ、売り場にスタッフが従来よりも長く出ることで接客の向上につなげるといった改善です。

この種の大幅な改善は店舗レイアウトの専門家と考えていくと良いでしょう。

■まとめ

バックヤードはお客様の目には触れませんが、売上の土台を支える空間になります。そのため、スペースを最大限効率的に利用することや5Sの徹底が重要なのです。

マーケティング
2013年6月14日

パネル調査 | 一つの集団を継続して調査すると、時系列データが得られます

パネル調査_001
パネル調査とは、調査対象を固定して何度も実施する調査の事を言います。調査対象を直接調査して、1次データを得る手法ですね。

調査対象を固定することによって時系列でどのように変化した(変化しなかった)といった情報を得ることができます。

さて、調査対象を固定して何度も実施する調査であり、時系列の変化を見たいという事ですから、調査する内容は(質問票)は同一内容のものを使い続けることになります。

(調査する内容が毎回変わっていたら、時系列の情報を見ることはできませんので、ワザワザ調査対象を固定する意味が薄れてしまいますよね?)

例えば、テレビの視聴率の調査といったモノは、同一の集団に対して、視聴した番組を調査するというわけですからパネル調査に当たります。

■パネル調査の課題と注意点

パネル調査はこのように同じ人に繰り返し繰り返し答えて貰う方法になります。そのため、調査対象者が同じ質問にうんざりして「また同じことを聞かれるのか。。。」となる可能性があります。

そうなると、回答の品質が低下が生じる可能性があります。(こういったのを摩耗といいます)何度も同じことを聞かれたら、だんだん回答が適当になる可能性がありますよね。

さらに、同じ人から回答をもらうわけですから、その人が調査に参加できなくなる可能性もあります。(引っ越しなどもありますよね)

その結果、だんだん調査の品質が下がっていくリスクがあります。そのため調査の設計の最初からある程度の予備サンプルを用意するなどしておく必要があるのです。

関連用語
店舗管理
2013年5月8日

ハード・ディスカウンター

ハード・ディスカウンター_001
ハード・ディスカウンターは、品目を極端に絞りPB中心・簡素陳列と物流圧縮で、徹底したローコストにより超低価格を実現する小売業態です。
本記事では、なぜ安く売れるかを、品揃え圧縮・PB・陳列や物流の工夫から解説。業態の強み弱み、既存スーパーとの違いまで一気に把握できます。


<簡単な説明>
ハード・ディスカウンターとは、小売業の業態の一つで、超低価格販売を志向しているお店です。

安売り業者を意味する。「ディスカウンター」にハードという言葉を付けているように、ハードに安売りするという業態です。

■どうしてそんなハード・ディスカウンターが可能なの?

さて、なぜそこまで安く販売することができるのでしょうか?そんな秘密があるなら、マネをしたいですよね?

これには、極端な商品の絞り込みと、プライベートブランド(PB)主体の商品構成という秘密があります。

極端な商品の絞り込みを行って、商品を管理する手間を削減し、プライベートブランド(PB)主体とすることによって、低価格での販売を目指しています。

さらに、陳列もカットケース陳列が多く、徹底したローコストオペレーションを志向しているのです。(参考:ボックスストア

なお、このようなお店はドイツの「アルディ」が有名です。

■ ハードと単なる「ディスカウントストア」の違い

「なんでも安い店」と「少ない種類をずっと安く売る店」は似ているようでちょっとちがいます。

ハード・ディスカウンターは、置く商品をぐっと絞り、箱ごと並べるなど陳列などの準備を簡単にします。安く売るための方法論を追求するイメージですね。

そのため、毎日安い値段(特売に頼らない安さ)を保っていく工夫をします。ちょっと硬く書くならば、取り扱いSKUを最小化して仕入れや在庫管理の効率を徹底的に上げ、EDLPを軸にPB比率を高め経費率(人件費・物流費)を圧縮して行く感じです。(特売って結構めんどくさくてコストがかかるので、やらないと割り切っているのですね。)

正直お店としての陳列や商品構成としては面白みにかけると感じるかもしれません。しかし、安さが正義という割り切ったコンセプトで運営しているのです。

一方、ふつうのディスカウントストアは種類が多めで、チラシの特売も使います。たくさん選べるけど、常に一番安いとは限りません。

一般的なディスカウントはナショナルブランドを多品種で取り扱うとともに、Hi-Lo (HighLow戦略とも言う特売サイクル)で顧客流入を稼いていく構造を持っています。お店としては、ちょっとおもしろい感じになります。

前者は運用の標準化と仕入れ集中が鍵、後者は販促最適化とカテゴリの広さが強みという整理です。

これをまとめると以下の通りになります。

項目 ハード・ディスカウンター 一般的なディスカウントストア
品揃え(SKU数) 極端に絞り込む(少品種) 多品種を揃える
価格戦略 EDLP(毎日低価格) Hi-Lo戦略(特売と通常価格を組み合わせ)
商品構成 プライベートブランド(PB)主体 ナショナルブランド(NB)主体+一部PB
陳列方法 カットケース陳列など簡素でローコスト 通常什器を使った見栄え重視の陳列
コスト構造 低粗利・低経費率(効率化重視) 中〜高粗利・販促費や陳列コストが高め
代表的事例 ALDI、Lidl(欧州) ドン・キホーテ、ビッグエー など

■どうやって利益を出すかの仕組みとコスト構造

ハード・ディスカウンターが値段を安くしてもつぶれない理由は「仕事を徹底的に減らす工夫」にあります。商品ごとの粗利率を低くしてでも安売りを狙う。その安売りの原資は販管費率を徹底して低く抑えることを志向するのですね。

商品構成は定番品を継続していきます。そしてその少数の定番品への需要予測を徹底して行い(予測資源を集中させる)ケース単位補充で作業生産性をドンドン向上させていきます。また、広い通路で品出しを早くするなどの工夫も行っていきます。

このような対応で人手を徹底して少なくして運営できるようにするのです。販管費でかかったお金が少ない分、安く売ってもお店にちょっとずつ利益が残ります。

また、とにかく在庫回転を加速させていく(100円の商品を販売し粗利が30円で1回在庫を回転させるより、粗利20円で2回転を目指すイメージです)感じです。

■ 日本で広がりにくい理由と導入時の注意点

と安くてなんか良さそうなお店ですが、あんまり見ないですよね?

それは、日本のお客さんは「いろいろ選びたい」気持ちが強く、メーカーの有名商品(ナショナルブランド)も好きです。

また、小売の商圏も広くなりにくく(とにかく競合店が多いですから)このような割り切ったコンセプトのお店はあんまりうまくいかないのです。

なお、中小企業がこのハードディスカウンター業態を考えるのは基本的にはおすすめしません。割り切って仕入れを絞り込んだとしても、大手企業のプライベートブランドのほうが結果として安くなったりしがちです。

似たような商品の業態で現金で窮境に陥った会社の商品を仕入れてきて、極端な安売りをするような業態はたまに見ます。しかしそのような商品は、仕入れが安定しにくく定番品を長く販売することが難しいので、ハードディスカウンターとはちょっと違う商売です。

なお、仮にハードディスカウンター業態の開発に中小企業が成功したとしても、おそらくですが大手企業が開発した商圏に競合となる店舗をぶつけてくると予想します。その結果後発優位を取られて苦労して業態開発した割には報われにくいと言ったことが予想されます。

経営資源に優位性がある企業は、上手く行った企業の戦略をとりあえず真似するという戦略定石がありますので。(参考:リーダーの戦略定石


関連用語
カテゴリーキラー
パワーセンター 
スーパーセンター
ホールセールクラブ
キャッシュ&キャリー
GMS
ハイパーマーケット 
ネイバーフッド・マーケット
アウトレットストア 
店舗管理
2013年5月6日

ハイパーマーケット

ハイパーマーケット_001
ハイパーマーケットとは、スーパーマーケット+様々な商品を取り扱っている業態です。主に欧州で発展した業態で、フランスの「カルフール」の主力店舗であるとされています。

食品だけでなく、日用品や衣料品、雑貨など、生活必需品がそこに行けば揃うという品ぞろえを目指しています。

このハイパーマーケットは、食品中心のスーパーマーケットに書籍や衣料品などをプラスしてハイパーになったというイメージで捉えていただければと思います。

どうでしょうか。スーパーセンターにそっくりな感じですよね?

「じゃあ、アメリカで生まれたのがスーパーセンターで欧州で生まれたのがハイパーマーケットなの?」といった声が聞こえてきそうですが、一部に違いがあります。

例えば、スーパーセンターもハイパーマーケットもいろんな種類の商品をそろえていますが、その中のアイテムはハイパーマーケットの方は絞り込んでいます。

(鉛筆って商品は両方そろえているけど、ハイパーマーケットはHBを中心に品ぞろえしており、スーパーセンターの方は5B~2H位までアイテムを多量に揃えているというイメージです。)

また、価格政策もスーパーセンターのEDLPに対し、ハイパーマーケットはHigh Low戦略を採っています。

■ハイパーマーケットの利用シーンと課題

ハイパーマーケットはとても大きなスーパーマケットの品揃えを拡張した感じのお店です。我が国で言えばベイシア的な(関東の人にしか伝わらないかも知れませんが)イメージとなっています。

食品スーパーが主力ですが一つのお店で洋服もアウトドア製品もスポーツ用品も本も売っているイメージです。

このようなお店は一度になんでも揃って便利ですよね。でも、逆に言えば何でもありすぎるからちょっとしたお買い物には、こじんまりとしたお店と比較すればあんまり便利ではないかも知れません。

また、安さに軸足を置いているので魅力的ではありますが、品揃えはその分だけ絞られています。なので特定のカテゴリーにおいて沢山の商品を見たかったり、専門的な商品を見たい場合はどうしても専門店のほうが優位性があったりします。

そのため立ち位置的にはとても便利なのですが、器用すぎるためどっちつかずになる危険性があります。どっちつかずにせず魅力的なお店を作る、会社の人の努力がすごいですね。

関連用語
カテゴリーキラー
パワーセンター 
スーパーセンター
ホールセールクラブ
キャッシュ&キャリー
GMS
ボックスストア
ネイバーフッド・マーケット
 
ハード・ディスカウンター
アウトレットストア 
法務・支援施策
2013年4月30日

パックマンディフェンス | 買収を仕掛けてきた相手に逆買収を仕掛けて飲み込もうとする買収防衛策です

パックマンディフェンス_001
パックマンディフェンスとは、買収防衛策の一つで、買収されそうになっている側が買収を行おうとしている側に逆に買収を仕掛けることを言います。

さて、唐突にパックマンディフェンスと言われても、「パックマン?なにそれ?」という人もいるかもしれませんね。

■キミはパックマンを知っているか?

昔、パックマンという非常に有名なゲームがありました。このゲームは『パックマン』というキャラクターが主人公なのですが、非常に脆弱で敵キャラに触れただけで死んでしまうというキャラクターでした。(まあ、昔のゲームによくある感じですよね。)

基本的には逃げ回るだけなのですが、それだけでは面白くないと考えたのか、一発逆転のアイテムが用意されていました。

しかし、ゲーム中であるアイテムを取る事によって、逆に敵キャラを飲み込むことができるようになるのです。

この事になぞらえて、買収されそうな側が逆に相手を飲み込んでしまうような買収防衛方法をパックマンディフェンスと呼ぶのです。

■パックマンディフェンスは簡単ではありません

さて、買収を仕掛けてきた側を逆に飲み込んでしまう。なんか痛快な感じがしますが、そう簡単なものではありません。

というのは、買収を仕掛けてきた側は何かの目的があって買収をしてきているわけです。(規模の経済の獲得とか範囲の経済を狙って、自社とのシナジーの獲得を目指すなどですね。)

でも、パックマンディフェンスを行う側にとっては、買収の防衛策という目的だけで、相手企業を買収しようとしているわけですから、いざ買収が上手くいっても得るものが少ない可能性があります。

つまり、大義名分があまりなく、既存経営者の保身と取られかねないのです。そのため、既存株主の協力を得ることが難しいケースがあります。(既存株主にとっては企業価値の向上が目的であって、既存経営者はその目的を果たすための代理人ですから。)

ただし、完全子会社にして少数株主をスクイーズアウト(締め出そうとしてる)しようとしているなどの事情がある場合は協力が得られるかも知れません。

また、相手が株式を公開している企業でなければこの手は使えないといった問題点もあります。

■日本においては相手方株式の25%の取得を目指す


諸外国においてのパックマンディフェンスは相手方を逆買収する事が目的です。小さい企業が買収先の資産を担保に資金を集めて、LBOなどを仕掛けてきたような場合に、逆に返り討ちにするようなイメージです。

しかし、日本においては相手を飲み込む必要はありません。会社法によって相手の株式の1/4以上を保有すれば(25%以上ですね)相互保有株式となって、相互に議決権を行使できなくなるためです。

そのため、返り討ちにするといった事はできませんが、パックマンディフェンスを利用した防衛はやりやすくなっているのです。(といっても全面戦争となりますし、株主にとっては経営者の保身のために企業の経営資源を浪費しているともとられかねないことから、非常に使いにくい方法です。)

解説で出てきた用語・関連用語
店舗管理
2013年4月24日

廃棄ロス | 商品を廃棄しなければならなくなったロスです

廃棄ロス_001
廃棄ロスとは、仕入れすぎた商品が廃棄されることによって発生する損失の事です。

せっかく仕入れたのに、何らかの原因で売り物にならなければ、仕入れ代金が無駄になってしまいますよね。

例えば、100円で仕入れた商品が売れ残って廃棄した場合、100円が無駄になってしまいます。このように、廃棄ロスが発生すると、余計な費用が発生して経営を圧迫してしまう原因となります。

■廃棄ロスは非常に大きい 

少し古い資料ですが平成10年商工業実態基本調査報告書(経済産業省)によると小売業全体の売上高対営業利益率は2.1%です 。また日本政策金融公庫の業種別経営指標によると黒字かつ自己資本プラスの企業平均の売上高営業利益率は2.3%です。

個別企業によって若干異なってくるでしょうが、概ね2%台前半であると考えられます。

このような状態の時に仮に1%以上の廃棄ロスが発生したとすれば、それはかなり経営を圧迫する要因となってしまいます。

onnanoko_bustup_2
うー商品が残ったー。

onnanoko_bustup_2
廃棄するのが一番やな瞬間だよ。

neko_akire
廃棄ロスってつらいですよね 。

onnanoko_bustup
機会ロスの発生を怖がりすぎて仕入れを多くしちゃうんだよね 。ちゃんと在庫管理を徹底しなきゃだめだね。


■廃棄ロスを削減するために 

では、廃棄ロスをどうやったら削減することができるのでしょうか?

■1.仕入数量絞り込む 


このような廃棄ロスを少なくするためには、ちゃんと売り切れる分だけを仕入れると言った風に仕入れる数量を絞り込むことが有効です。

一日十個お弁当が売れるお店ならば、十個だけ仕入れれば、廃棄ロスは発生しないといった発想ですね。

しかし、仕入れ数量を絞り込みすぎて、お客さんが「チキン南蛮弁当が欲しかったんだけど、売り切れていたよ…」といった風になると、今度は機会ロスが発生します。

その為、在庫数量は減らせばいいというものではなく、バランスが大切となってきます。

■2.売上予測する

売上を予測して発注の精度を上げていく必要があります 。理想論になりますが売れるものを売れるだけ仕入れる といった形の対応が必要となるのです。

また計画的な見切り販売も効果的です。売れ残りそうだと感じたら、また死に筋商品になりつつあるということであれば、商品に価値が残ってるうちに積極的に見切り販売を行い、廃棄ロスの圧縮を図る必要があります。

■3.在庫管理の徹底

結局は在庫管理を徹底することが一番重要となります。在庫管理を徹底していなければ売れ残りそうかどうかも分かりませんし、死に筋商品になってるかどうかはわかりません。



解説で出てきた用語・関連用語
先入れ先出し陳列
死に筋
営業利益

出典
経済産業省統計
情報
2013年4月19日

バイラルマーケティング

バイラルマーケティング_001
バイラルマーケティングとは、人づてに製品やサービスの口コミを広げていくといった手法の事を言います。

口コミがまるでウイルスが感染するように広がる、といったイメージからバイラルマーケティングと言っています。(バイラルという言葉には感染性といった意味があるのです。)

例えば、一人の人が身近な2人に伝えたとすると、バイバイゲームで情報を知っている人が増えていきますよね?そういったイメージを持っていただければと思います。

以前に比べ、インターネット等の発達によって口コミ情報がより多くの人に届くようになりました。そのため、「口コミを利用すれば、安くしかも信頼性のある情報発信が可能ではないか?」といった考え方が生まれてきたのですね。

但し、口コミを利用するので、コントロールできないといった怖さがあります。

というのは、「最初は好意的に書かれていたが、問題点が発覚したため批判的な口コミが広まってしまう」といったケースもあり得るからです。(炎上マーケティングといった手法もあるにはあるのですが…)

また、口コミをコントロールしようとして、ステルスマーケティングを行っているといった批判を受ける可能性もあります。

例えば芸能人に自社の製品をモニターとして使ってもらい、報酬を支払ってその感想を書いてもらうといった行為はステルスマーケティングとなってしまうので注意が必要ですね。
経営
2013年3月29日

ハインリッヒの法則

ハインリッヒの法則_001
ハインリッヒの法則とは、重大事故の背後には、いくつもの軽微な事故や、さらに多くの異常があるという経験則を言います。

この法則は具体的な数字で挙げられており、1つの重大事故の背後には、29の軽微な事故があり、300もの異常があるという風に言っています。

逆に言うと、「些細なミスだからいいよ」などと言ってミスを見逃したり、放置していると、軽微な事故が起こり、「軽微な事故だから、抜本的な対策はしなくていいよ」などと放置していると重大な事故が起こるという事です。

そのため、重大事故を防ぐためには、些細なミスを軽視せずに防止していくことが大切であるのです。

■ハインリッヒの法則と活用

ハインリッヒの法則はとても有名でいろいろな場面で使われます。1:29:300というある意味わかりやすい比率ですから。これは、小さなミスも見逃さない。小さなミスが大事故の危険性をはらんでいるという文脈で使われ、実際にミスを潰していくことが重要です。

しかし、1:29:300という比率は特に普遍的な比率では無いです。300回の異常が1回の重大事故を必ず招くと言った種類のものでは無いのです。

重要な考え方は、比率云々ではなく、未然に大事故を防止するためにはヒヤリハットの事例を収集し、どうやって防いでいくかを「仕組み」として構築していくことです。簡単に言い換えれば、小さなミスを、些細なことだからとほっておくのではなく、小さなミスが起こらないような仕組みを作ることが重要で安全につながっていくのです。

関連用語
オペレーショナルリスク
マーケティング
2012年12月30日

パッケージング

パッケージング_001
パッケージングとは商品を包装する事を言います。英語ではpackagingと表記します。一般的な消費財は何らかの包装がなされていますよね?そして、この包装を考えていこうというイメージです。

■パッケージングとはどうして必要なの?

さて、なぜそのような事を考えなければならないのでしょうか?

例えば、お菓子などを販売しているお店が、商品を陳列することを考えてみます。

商品の包装のサイズが、それぞれの商品ごとに全くバラバラであったら陳列できる商品の数が少なくなってしまいますよね?その場合、商品を運ぶコストも余計にかかりそうです。

また、パッケージには商品を保護するという機能もありますし、魅力的なデザインを用いることによって商品の需要を喚起するという機能もあります。

このように、店舗内での販売を促進する機能や、物流を効率化する機能、といった風な重要な機能を担っています。

■まんがで言及しているパッケージング

このまんがでは、パッケージを適当に考えた結果、様々な問題が生じたようです。 何やら丸いパッケージですが、丸は並べにくいですし、陳列幅のロスも大きいため、特にこだわりがないなら四角形のパッケージがいいと考えられます。

必要十分な大きさの素敵なパッケージを作ることで取引が促進されると考えられますね。

■パッケージングの主な機能と役割

パッケージングには、単に商品を包むだけではない多くの機能があります。主なものは以下の通りです。
  • 保護機能:輸送中や陳列中に商品が傷まないようにする
  • 識別・情報提供:商品名・原材料・賞味期限などの情報を記載
  • ブランディング:デザインや色により消費者に印象付ける
  • 物流効率化:サイズや形状を工夫することで積載率を高め、配送コストを削減
どれも当たり前かもしれませんが、アタリマエのことをちゃんとやるのはとても重要です。

たとえば、同じ内容量の化粧品であっても、容器や外箱のサイズ・形・材質が異なれば、輸送コストや販売数に大きな差が出るのです。

こだわりの詰まった奇抜な形にするのは悪くはないのですが、物流面でハンデを負うことを覚悟する必要があります。(商品が破損しないようにパッケージングするためには大きくなりがちですから)

■パッケージングの失敗事例と教訓

実際に、製品の品質には問題がなかったにもかかわらず、「パッケージが地味すぎて売れなかった」「サイズが大きすぎて陳列棚に置けなかった」といった理由で市場から退出してしまった商品も少なくありません。

特に特産品系の商品は作り手の論理で作りがちですので、地味なパッケージになったり、小売店での陳列をあまり考えていないイレギュラーサイズでのパッケージなどをやりがちです。

例えば、小売業の棚の一般的な高さに収まっていれば、そのまま棚に陳列すればよいのですが、奇をてらって妙に高さのあるパッケージを作ってしまうと、その商品を置くために棚板の高さを変える必要が出てくるなどが生じます。

その結果、「商品は悪くないけど陳列の手間を考えるとうちで取り扱わなくてもいいか」といった反応が出てしまいます。

このような事例からも、パッケージも製品の一部であるという意識が重要だといえるでしょう。

■まとめ:コストではなく投資として考える

パッケージングは「コストをかけない方がいい」と考えられがちですが、パッケージも商品価値の一部ですので、商品価値向上や売上拡大につながる「投資」と捉えるべきです。

マーケティングや物流、製品設計の観点からも、最適なパッケージを設計することは、長期的な競争優位につながります。

何より、パッケージ自体も含めて商品を購入するという体験なのですから。



マーケティング
2012年12月21日

排他的チャネル政策

排他的チャネル政策_001
排他的チャネル政策とは、専売的マーケティングチャネル・専属的マーケティングチャネルとも言われ、販売先を厳しく限定して製品を卸すというチャネル政策です。

このような方法は、販売先には自社の製品を独占的に販売させる権利を与える見返りとして競合他社の製品の取り扱いを禁止するといった方法です。

クルマ屋さんなどはこのようなチャネル政策になっているケースが多いと言われています。例えば、Hondaのクルマを売っているお店は日産やトヨタのクルマは売っていないですよね?また、ダイハツのお店もスズキやマツダのクルマを売っていないですよね?

このように、あるメーカーの製品だけを取り扱っているような場合が、排他的チャネル政策のイメージです。

この排他的チャネル政策を採ると、販売店は自社の製品を取り扱っているという事で、差別化ができ、固定客を作りやすくなると言われています。しかし、その反面、取り扱える製品の種類が限定されるため、消費者が満足できるような品ぞろえを行いにくいという欠点があります。

もっとも、取り扱おうと思っている製品に十分な魅力がないとこのような形態を採ることは難しくなります。上の例のようにクルマであれば、Hondaもダイハツもマツダもそれぞれに十分な魅力を持っているので成り立つのです。

しかし、本ブログ「まんがで気軽に経営用語」関連グッズの専売店にはなりたいとは思いませんよね?

■排他的チャネル政策と法規制

あるメーカーだけの商品を販売する仕組みは、独占禁止法の観点から注目されかねない方式となります。

この排他的チャネル政策は他社製品を扱わない契約とセットになるケースが多いため、販売店に対して優越的地位を濫用して自由な取引を妨げるとされる危険性があります。

とはいえ、上で上げたように自動車のディーラーは系列自動車の車しか売っていません。ただしこれは、消費者からすれば選択肢がたくさんあるので問題ないと判断されているのです。

このような問題点があるため、排他的チャネル政策を採用する場合は、法律上の問題に抵触しないように慎重に設計する必要があります。

関連用語
開放的チャネル政策
選択的チャネル政策
マーケティング・チャネル
マーケティング
2012年12月10日

バンドリング | 古典的な手法ですが売り手と買い手双方に利点のある販売方法です

バンドリング_001
バンドリングとは、関係製品や関係サービスをワンセットとして販売する方法です。英語ではbundlingと表記されます。

例えば、カメラを購入した時に、一緒に写真用のプリンターやメモリーカード、印刷用のインク、写真の台紙などをセットで販売するようなイメージです。

このようにセットで販売されていれば、「カメラを買ったけど写真のプリントをするためには何をそろえればいいのか分からないよ…」というような人にとっては、このセットを購入するだけで写真の撮影からプリントまでできるので便利です。

さらに、「価格バンドリング」といって、いわゆる組み合わせ価格として単品で買う時よりも安く販売するといった事もよく行われます。

買い手側としては、セットで買えばそれだけで用が済むという便利さがありますし、売り手側としては、複数のモノを販売できるので客単価が上がるといった効果があります。
  • 売上を上げるためには
売上は客数×客単価に分解できます。そのため、客単価を上げると言うことは、売上アップのための即効性のある処方箋となります。

そして、客単価は1品単価×購買点数に分解できます。このバンドリングは、購買点数を増加させることができるので、客単価に、ひいては売上に効いてくると言うわけです。
  • セット販売は買い手側にも利点があります
セット販売は売り当て側の都合のように思われますが、買い手側にとってもメリットがあります。

というのは、1つ売るのも2つ売るのも販売にかかる手間は変わりませんので、たくさん売れればコスト削減につながります。

売り手に還元の意思があれば、長い目で見れば商品の価格が抑えられる事につながります。上で挙げた価格バンドリングは何も闇雲にやっているわけではなく、コストが抑えられるといった背景があって実施しているのです。

また、消費者にとっては必要な商品を探し回る手間が削減できますので、探索コストといった面でも安く済みます。

考え方は単なるセット販売ですが、上手く使えば売り手にとっても消費者にとっても有効な手法なのです。


関連用語
アンバンドリング
抱き合わせ価格
店舗管理
2012年12月8日

パワーセンター

パワーセンター_001
パワーセンターとは、カテゴリーキラーと呼ばれるような大型で低価格販売を行うお店を集めたショッピングセンターのことを言います。

例えば、大型のおもちゃ専門店があり、その隣には、紳士服専門店、お酒専門店、家電専門店と広大な敷地にカテゴリーキラーをどんどん集めてくるようなショッピングセンターです。

カテゴリーキラーのお店が単体で存在していることに比べ、複数のカテゴリーキラーが集まっているので強力な顧客誘引力を持っていて、非常に広域からお客様を集めることができます。

言いかえると、このパワーセンターの商圏はとても広くなり、リージョナル・ショッピングセンターのように広域の住民をターゲットとしていると考えることができると思います。

■パワーセンターと立地

このパワーセンターは、こういったコンセプトのお店を出すためにはやはり広い土地が必要になります。多少広いというよりも、膨大な土地といった表現がしっくりいく程度の広さのイメージです。

そのため、郊外の主要道路沿いに大きな駐車場の設置をセットに出店していきます。

品揃え的には、カテゴリーキラーを集めていますので、日常使いには若干オーバースペックとなり買い物をしにくいお店となります。(広大なスーパーを歩いてカマボコと卵、牛乳を探し回るのは嫌ですよね)

しかし、大型ホームセンターなどが入っているイメージですから目的をもって訪れるなら、何でも揃うといった感じになります。

そのため、結果として広域商圏からの集客が可能となります。このような特色からリージョナル・ショッピングセンター(RSC)のような車での来店をある程度見越したスタイルを考えていく必要があります。

関連用語
スーパーセンター
ハイパーマーケット
ホールセールクラブ
キャッシュ&キャリー
GMS
ボックスストア
ネイバーフッド・マーケット
 
ハード・ディスカウンター
アウトレットストア 
マーケティング
2012年10月12日

パブリシティ

パブリシティ_001
パブリシティとは、マス媒体(テレビやラジオなど)に新製品の情報などを提供して、報道してもらうように働きかけることを言います。publicityと表記されます。

このパブリシティは、広告と似たような形で消費者に伝わりますが、広告とは別のものとなります。

広告は通常、企業側がお金を出して掲載してもらうため、情報をコントロールすることができます。言い換えると、自分に都合のいい情報のみを流すことが可能です。そして、その事から一般的には消費者の信頼性はそれほど高くないとされています。

しかし、パブリシティは、企業側はお金を出しません。そのため、最終的な情報のコントロールはできませんが、消費者の信頼性は高くなります。

明らかにお金をもらって、ある商品を宣伝している人の言う事(広告のイメージです)と、お金はもらっていないけど、ニュースとしてある商品について言っている人の言う事(パブリシティのイメージです)では、後者の方が信頼できそうですよね。

このようにパブリシティはお金もかからないし、消費者の信頼性も高いという事で、非常に有利な広報手段です。うまく取り上げてもらえればとてもうれしいですよね。

そして、マス媒体に取り上げてもらうためには、知ってもらう事が大切であるとして、ニュース的な価値がありそうな情報を、プレスリリースとして積極的にマス媒体に公開するといった事が行われています。

関連用語
プレスリリース
ペイドパブリシティ

経営
2012年8月25日

パーキンソンの法則

パーキンソンの法則_001
パーキンソンの法則とは、イギリスの歴史学者であるパーキンソンが提唱した法則で、仕事の量は与えられた時間全てを満たすまで膨張する等とする法則です。

この法則は、官僚制組織の問題点を指摘して、法則と皮肉の意味を込めて名付けているものです。

例えば、会社の業務システムを改善するプロジェクトがあったとします。通常は1か月で完了できる仕事量にもかかわらず。3か月の期間が与えられたらどうなるでしょうか?

仕事をしている人々は通常、誠実な人々なので、一か月で仕事を終わらせて、あとの2か月は遊んでいるといった事はしないですよね?

この場合、それほど重要ではないような要件を作り出して3か月いっぱいを使って業務システムを改善するというような事が行われます。

このような場合、最も望ましいと考えられるのは、1か月で仕事を終わらせてしまい、後の2か月はほかの仕事を行うといった事ですがこのようなことはあまり行われません。

それなので、結局3か月の期間が与えられたら、仕事の量の方が膨張して3か月すべてを使い切ってしまうのです。

このほかにも、「支出は収入の額まで膨張する」、「役人の数は仕事量と関係なく常に増え続ける」などとする、法則があります。

皮肉の意味を込めた法則ですが、官僚的な組織を想像してみるとどれも発生しそうな事柄ですよね。
サイト紹介
まんがで気軽に経営用語を学んじゃおう。難しい・なじみのない経営用語でも、まんがなら簡単に親しめます。
まんがで気軽に経営用語について
TOP絵一覧

📘 noteでも発信中

経営支援の現場から、
言葉のリアルをお届けしています。

▶ noteを見る
索引
あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行
わ行
英字 A B C D E
F G H I J
K L M N O
P Q R S T
U V W X Y
Z
数字 1 2 3 4 5
6 7 8 9 0
ライブドアさんから
badge
リンクについて

このブログはリンクフリーです。
以下のバナーもご自由にお使いください。

まんがで気軽に経営用語バナー
ランダム
  • ライブドアブログ