根保証とは、特定の債務だけではなく、継続的に発生する債務を限度額と期間を定めて保証するという約束になります。
(無期限で無制限に保証するといった包括根保証という制度は2004年に廃止されましたので、限定根保証の説明を書いています。これから根保証の説明をしていきますが、さすがに無期限、無制限に債務を保証するというのは酷すぎると皆さんも感じると思います。)
簡単に言い換えると、極度額○○円までは将来にわたって保証します。だから追加で融資されたとしても、極度額までは支払いますという事です。コワイデスネ…
- 通常の保証人・連帯保証人
さて、「絶対になってはいけないよ」と年長者から諭される保証人という約束ですが、これは、保証した債務が無くなれば一緒にその保証契約もなくなるものです。(これを難しい言葉で附従性と言います。)
具体的は、「100万円の債務を保証してください」と頼まれて保証人となったとしても、借りた人が100万円の債務を返し終わればそれで保証契約は終わりとなるわけです。
また、この場合、最悪でも100万円を返せば保証人としての義務は果たしたことになるので、通常の保証人の場合、保証する額が自分にとって致命傷にならない額ならば保証人になってもいいと考えられます。
(もっとも、どこまで保証することができるのかについての線引きは難しいですし、次から断りにくくなるといった事もあるので、先人の言うとおり、「保証人にはならない」とするのが賢明だとは思います。)
- 通常の保証人とは根本的に異なります(悪い方に)
さて、通常の保証人について見てきましたが根保証を受け入れてしまった場合、このような常識は通用しません。というか、理解に苦しむほど保証人にとって酷な条件が付きつけられてしまうのです。
まず、根保証をする場合、極度額と期間というものが決められます。これは、この範囲内ならば債務を保証しますという意味です。
「ん?」と思われた方は鋭いですね。そうです、『具体的な●●という債務を保証する』という一般の保証人とは根本的に異なる契約形態なのです。条件としてはもっと酷で『いつからいつまでは、極度額までの債務を保証する』という契約になるのです。
- 具体的には?
具体的に説明すると、上の例で「100万円の債務を保証します」という契約を結んだとしても、それが根保証の契約で、極度額が1,000万円だった場合、あなたが保証したのは100万円ではなく、1,000万円の枠になります。
そのため、保証を頼んだ人がいつの間にか1,000万円借りていて、その債務を払えなくなった場合、あなたに1,000万円の返済義務が生じるのです。
どうでしょう?厳しいですよね?「保証人でだまされたって言うけれども、いくら保証するかわかっているハズなんだから…」と思う方もいるかもしれません。
確かに、根保証でなければ、その通りなのですが、(よく読まなかった契約書に)根保証と書いてあったら思ってもみない額の債務を保証しなければならなくなるかもしれないのです。
確かに、根保証でなければ、その通りなのですが、(よく読まなかった契約書に)根保証と書いてあったら思ってもみない額の債務を保証しなければならなくなるかもしれないのです。
- 制度を運用する側(主に金融機関)の言い分は
さて、どう考えてもひどいやり口ですが、金融機関側にも一応言い分があります。それは、「毎回保証人契約をもらっていたら煩雑ですからね…」という事です。
通常の保証人の場合、債務を返済し終わったら保証契約は終わりになります。その為、再度お金を借りようと考えた場合、再び保証人に印鑑を押してもらう必要が出てくるのです。
そのような煩雑さを避けるため、『根保証』として、「極度額までは保証しますね」といった旨の契約をもらっておけばお互い楽ですよね?といった言い分なのです。
また、お金を借りる側にとっても、毎回ハンコを押してもらわなくて済むというのは非常に楽なのでそんなに悪くないと考えられます。
とすると、保証人だけが一人負けになる制度という事もできますね。
また、お金を借りる側にとっても、毎回ハンコを押してもらわなくて済むというのは非常に楽なのでそんなに悪くないと考えられます。
とすると、保証人だけが一人負けになる制度という事もできますね。
- 繰り返します
さて、本サイトは経営用語集なのですが、保証契約についてだけは客観的な立場ではなくみなさんに警鐘を鳴らす立場で書かせたいただきます。
というのは、当サイトは学生さんも良く読んでくれているので、この辺の致命傷になりかねない落とし穴については知っておいてほしいからなのです。残念ながら「知らなかった」では済まされないのが現実の世界ですからね。
(まんがで気軽に経営用語の中の人の、親しい人もこの根保証にやられてひどい目に遭いました。立派な銀行さんからの融資を保証したつもりだったのですが、根保証の契約だったのです。もちろんしっかりと契約書に目を通せば防げることだったとは思いますが、一体どれだけの人が契約書をしっかりと読んでいるでしょうか?)
金融機関も商売でお金を貸しています。そのため、基本的にはお金を貸したいんですね。そして、信用保証協会に債務の保証を頼んだり、不動産を担保にしたりと基本的に金融機関がリスクを負わないですむような仕組みは沢山あります。
また、国は経済を活性化させるために、無担保・無保証人でお金を貸すといった制度も色々用意しています。(マル経融資などですね)
しかし、これらの方策が使えない場合、保証人を探すようにお金を借りたいと思っていっる人に依頼するのです。
身も蓋もない言い方をすると、金融機関は、危なっかしくて貸せないような人や企業にお金を貸す場合に、人質として保証人を差し出すように要求しているのです。
あなたは、人質になるほどの恩義をその人に感じていますか?また、最悪の場合、自分の身代金がいくらになるか?(最大いくらの債務を保証するか)についてわかっていますか?
分かっていて保証人になるのならば、止めません。しかし、分かっていないなら一旦立ち止まって考えるべきです。そして、自分で判断することが難しければ(根保証と通常の保証の区別なんて普通はつきませんからね)専門家を頼ってみるべきだと思います。
普段はこのような事は書きませんが、本記事に限っては若い皆さんに読んでいただきたいと思っています。もし よろしければ共有していただけると嬉しいです。
商売をしていると保証人になって負った負債を返すのにいくら売り上げ増が必要かを姉妹サイトで解説してみました。
保証人にはなるなと良く言われますが、何がいけないのかを解説します
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