つなぎ資金とは資金繰りの都合上、入金は確定しているものの、その入金が必要な時期に間に合わないような場合において、一時的に借り入れてくる資金の事をさす言葉です。
文字通り、次の入金までのつなぎの資金なのですね。
■入金と出金にはタイムラグがある
例えば、建築業を営んでいる人がいるとします。この人が3か月で完成できる1,000万円の工事を受注したとします。
工事の着手金として200万円が、工事が完成した翌月に残額の800万円が支払われるとして、工事には1か月後に支払う材料費が200万円、毎月100万円ずつ人件費を支払い合計300万円の原価がかかるとします。
この時、工事自体では売上高1,000万円-工事原価500万円で500万円が儲かります。
しかし、この工事を請け負う場合、最初に現金を300万円以上持っていないと黒字倒産になってしまう危険性があります。
これは、入金と出金のタイミングで考えてみると理解できると思います。
入金と出金はそれぞれ
- 1か月目には
入金:200万円
出金:100万円(人件費)
- 2か月目には
入金:0円
出金:300万円(材料費の支払+人件費)
- 3か月目には
入金:0円
出金:100万円(人件費)
- 4か月目には
入金:800万円
出金:0円
となり、合計すると500万円の利益が出ます。(このように長期で見ると資金繰りと利益の概念は一致します)
しかし2か月目には現金が200万円のマイナスとなり、3か月目には300万円のマイナスが発生します。
(このマイナス分をいわゆる運転資金と呼ぶのです。)
このようなケースが生じるため、例えば当初、手元に200万円しか現金が無かったような場合、不足している100万円分の運転資金を調達する必要が出てきます。
■入金と出金の間を埋めるお金
さて、このような入金と出金の時間的な差を埋めるために導入する資金をつなぎ資金と呼びます。このような種類の資金はある意味返済できるのが前提の資金となります。そしてこの種の資金は比較的資金調達の難易度が低いものとなります。
そのため、主義として無借金経営を志向しているような企業以外は、この種のつなぎ資金を活用するといった選択肢はありだと思います。