まんがで気軽に経済用語

「知らないから動けない」をなくしたい。 中小企業診断士が、現場視点で経営用語をまんがでわかりやすく解説しています。 読むことで、生産性が上がり、心に余裕が生まれ、社会全体がちょっと良くなる。そんな循環を目指しています。

マーケティング
2025年11月25日

集中化マーケティング

集中化マーケティング_001
集中化マーケティングとは市場細分化したうえで、細分化した一つの市場を選び、そこに経営資源を集中させるアプローチです。一点突破型のマーケティング手法であるという事ができると思います。

不特定多数のお客さんを相手にした方が当然市場は広くなりますが、この集中化マーケティングのアプローチではあえて不特定多数のお客さんは無視します。そのうえで、ここと決めた市場に対して持っている経営資源を集中投下します。

これは、企業の保有する経営資源の量が不足して差別化マーケティングを採りえない場合や、新規にその市場に参入する場合に採る方法となります。

例えば、市場細分化を試みた結果、いくつかの市場に分かれる事を認識したとします。そのうえで、自社の経営資源を集中する一つの市場を特定して、そこに全力を投入するようなケースを考えることができます。この場合、そのほかの市場にはあえて経営資源を投入しません。 

このまんがではお弁当を販売していない学食が、生徒の要望を受けてお弁当販売に乗り出すと言っています。しかし、現在の経営資源では細分化した市場それぞれに合わせたお弁当を投入する余力はないと言っています。

そのため、今回は文化部の生徒という風に市場を絞ってマーケティング活動をすると決めたようです。

■集中化マーケティングが向いているケース

集中化マーケティングは、何処かの市場に経営資源を集中投下すると決めて、そこに力を投入sルウ方法になります。

一点突破と言ったイメージですね。例えば、50単位の経営資源を持つ小さな和菓子屋を考えてみます。

この和菓子屋さんがフルラインナップで競合と戦うのは難しいですが、贈り物市場を狙って50の経営資源を集中投下して一点突破するとかすると成功しやすくなります。

さらに、この贈り物市場も、例えば「商用の贈り物」「ご近所の贈り物」などなどといろいろ考えられますが、15づつとか分散せず、絞り込んで「商用」に50の経営資源を集中して行く作戦です。

これならば、100の経営資源を持つ競合が20の力を注いで商用の送り物を扱っていたとしても、自社の「商用の贈り物」には50の経営資源を投入しているので勝てる可能性があるという感じです。

■リスクが大きい?

勘の良い方はお気づきかもしれませんが、集中しすぎてしまうと、その市場の需要が減った(大きな企業が撤退して商用の贈り物需要が下がった)とか、競合が参入してきたなどの変化には脆弱になります。

そのため、その絞り込んだ市場は継続的に自分の強みをいかし続けることができるかをよく考える必要があるのです。

硬い言葉で言うならば、「市場の安定性」「顧客特性」「競争状況(5F:ファイブフォースモデルなんかを使うといいですね)」「自社の強みを活かせるか」などいくつかの条件を当てはめてみて考えるとよいでしょう。

一般論ですが、経営資源の制約が強かったり、隙間の市場がある場合、特定のお客さんのセグメントのニーズがはっきりしているような場合にはこの集中かマーケティングを採用する価値があったりします。

逆に、狙った市場規模が自社を存続させるだけの規模がない場合は利益が出ませんし、変化が激しい市場に集中するのはあまりにリスクが大きいです。また、ライバルが沢山参入しているセグメントで戦うのもおすすめできません。

うまくハマると極めて強力な戦略となりますが、リスクも大きな戦略となります。(とはいえ、小規模事業者の突破口になるケースが多いので、一度は検討してみると良いです。)

初出:2012/04/08
更新:2025/11/25

情報
2025年11月5日

死活監視 | 常に監視をして「返事がない、ただのしかばねのようだ」を見つける方法

死活監視_001
死活監視とは、ITシステムが稼働しているかどうかを監視する方法の一つで、外部から継続的にシステムは『生きているか』を監視するような方法です。英語ではalive monitoringと表記されます。

例えば、一定間隔で監視対象のシステムに対して(サーバ等に対してですね)信号を送信して、反応を見るといった方法を採ります。

システムが生きているのならば、反応を返すように設定しておけば、反応が返ってこない=システムが生きていないという事ができるのです。

一昔前のゲーム風に言うならば、話しかけたにもかかわらず返事がないといったイメージで、「返事がない、ただのしかばねのようだ」みたいな感じです。

■なぜ死活監視なのか

さて、どうして継続的に監視をしないといけないのでしょうか?その理由は、トラブルの発生がいつになるかが読めないためです。

あらかじめトラブル発生がわかっていれば、予防保全などを行い、トラブルなど発生させにくくすると言った対応が可能ですが、何処まで対応してもトラブル発生の確率をゼロにすることはできません。

その為、常に監視を行っておき、トラブルの発生を迅速に把握するというニーズがあるのですね。

■ 死活監視が使われる具体的な場面

さて、上記のような死活監視ですが、以下のような状況で活躍します
  • Webサーバやメールサーバなどの常時稼働が求められるシステム
  • 社内ネットワーク機器(ルーター、スイッチなど)
  • IoT機器やセンサーネットワークの健全性確認
  • クラウド上のマイクロサービス群
これらのサービスは基本的に止まってはいけない類のサービスとなります。

そのため、ECサイト運営企業は、24時間の死活監視を行い、「サイトが落ちた瞬間」に担当者へアラートが飛ぶようにしておくのです。その結果、復旧までの時間が短時間となり売上の機会損失を最小限に抑えることができるのです。

(担当者が気の毒だと思った「感性の鋭い」あなたは、動いているのが当たり前ではなく、当たり前を守っているITエンジニアをぜひ尊重してあげてくださいね。)

■ 死活監視のメリットと限界

死活監視には明確なメリットがあります。それは、シンプルで導入が容易(Pingなどで対応可能)ということです。

※pingは標準機能ですから、特にコストを掛けずに実装可能です。(ping(ピン)とは、「そっちにいる?」とパソコンに声をかけて、返事があるかを確かめるしくみです。)

その結果、異常検知の初期段階でアラートを出せますし、サービスレベル維持が比較的容易で合うrと言った利点があります。


ただし、次のような 限界点があるため注意が必要です。

■ゾンビなどに気をつけろ

死活監視では、表面上生きているように見えるが実際には処理不能というゾンビみたいなケースには弱いです。

例えば、アクセスが集中しているなどの理由で実際には使い物にならない程度に処理が遅延しているケースでも、「生きてるよ!」と返してきますので、検知が難しいです。

(この対応にはアプリケーションレベルでの監視が別途必要)

また、通信経路の問題で「誤検知」もありえます。「生きてるよ!」と返してきたけど、ネットワークが遅く、そのシグナルが届かないで落ちていると誤認してしまうケースもあるのです。

■死活監視とその他の監視手法との違い

  • 死活監視(alive monitoring) システムが生きているかを見る
  • ハートビート監視 クラスタ構成での相互監視。タイムアウトで障害検知
  • ポーリング監視 一定間隔で情報を取得して状態確認
  • エージェント監視 端末に監視ツールをインストールし、内部情報もチェック
ざっくりとまとめるとこんな感じになります。

■死活監視のアラートと対応プロセス

死活監視でシステムが反応しない時には、すぐにアラートを出すように作っていきます。

例えばネットショップが止まれば、担当者にメールなどで「サーバが応答していません」と通知が届いたりします。(担当者から刷ると最悪の瞬間ですよね)

この連絡を受けた担当者はすぐに原因究明を行い、再起動や復旧対応を行っていくのです。原因究明にはログの解析を行ったり、プロセスの再起動を実施し、復旧を図ります。

このように死活監視は、監視するだけではなく

監視→検知→通知→対応→再検証

という一連のサイクルの起点となるのです。

■AI時代の死活監視(アラートの意味づけ)

近年ではAIを活用して異常検知と死活監視が統合しつつあります。

単なるPing応答の有無だけでなく、CPU使用率やレスポンスタイムの変化などから予兆を検出すると言ったアプローチが取られつつあるのです。(予兆が出たら嫌ですね。予兆の段階で何か作業をして障害発生を食い止められればいいのですが・・・)

いずれにしても、反応があるけど正常じゃないという状況を検出しやすくなってきたのは良いことですし、利便性や安定性はそれだけで大きな価値がありますからね。

■まんがの解説

上記の漫画では、死活監視の本質を書いてみました。

「反応さえすれば監視を抜けられる」という仕組みは、まさに死活監視の弱点そのものです。

表面的な生存確認では、「ちゃんと働いているか」まではわからないという現場のジレンマを書いてみました。

初出:2013/07/13
更新:2025/11/05
マーケティング
2025年7月13日

ジャラパゴス | 独自の進化をすると言っても、世の中の流れも見ておかないと取り残されます

ジャラパゴス
ジャラパゴスとは、日本独自仕様で進化を遂げ、日本国内では競争力を持つが、世界的には競争力を持っていないような製品やサービスを指す言葉です。

この言葉は、日本(ジャパン)とガラパゴスの2語を組み合わせた造語で、世界の潮流を無視し、日本独自仕様で進化を遂げた製品やサービスが、その特殊な進化ゆえに世界的には需要が著しく少なくなってしまうとの現象を指した言葉です。

(ガラパゴス諸島の生物のように、外界から隔絶された環境で独自に進化を遂げたといったイメージです。)

例えば、スマートフォンが生まれる前の携帯電話などを思い浮かべていただければと思います。

この種の携帯電話は日本のユーザの求めるニーズを満たす、非常に高性能な製品でした。

しかし、世界的には日本独自に進化した方向性とは異なる仕様が求められており、日本の優れた携帯電話であったとしてもあまり世界的には競争力を持てずにいました。

そして、スマートフォンといった黒船がやってきた時、ジャラパゴス化していた国内の携帯電話は総崩れといった状況を迎えてしまったのです。

このように、顧客が求めるモノを作るという顧客志向とか、ニーズ志向などというキーワードで示される方向で頑張っていたけれども、独自仕様が強すぎてジャラパゴス化してしまったというのは皮肉ですね。

■ジャラパゴスあれこれ

幾つか挙げてみると、
・おサイフケータイのFelica
・地デジとかのテレビ
・家電のごちゃごちゃしたインターフェース
などなど

いや、技術は優れている場合も多いんですよ。むしろ世界標準のデファクトスタンダード(普及したから事実上の標準になったもの)とかデジュールスタンダード(ちゃんと標準を決めたもの)よりも優れているケースも多くあるのですが、どうしても普及率という意味で我が国市場に閉じ込められてしまったのです。

(皆が使うと技術的優位性云々とは異なった切り口のネットワーク外部性(皆が同じものを使うからこそ価値が生まれるという考えかた)という効果が働き始めるのです。)

■ジャラパゴスが許されるほど独自性と内需が分厚かったが・・・

我が国市場はとても大きく、内需だけで完結するだけの規模がありました。我が国で覇権をとれば、それだけで食べていけるわけです。また、英語圏と言語が断絶しているので我が国独自の市場が温存されたといった構造もあります。

このように、我が国独自で進化してもいいじゃないかと考えることもできなくはないのですが(そういったマーケティング戦略上のポジショニングは十分に正当化されます)、世界に打って出る事が難しくなりますし、調達コストも高止まりします。

また、海外からいわゆる黒船(上の例でスマホですね)がやってきた際に、一気に駆逐される危険性も存在するのです。

■今もジャラパゴスは発生しうるの?

筆者は、システムで決裁するとハンコ画像を押してくれるといった機能を見たことがあります。また、2025年現在FAXが現役だったりする姿も見たことがあります。

でも、我が国独自のニーズに対応する仕組みって刺さるんですよね。だから、腹をくくってジャラパゴスを狙うのも中小企業の戦略としては十分にあり得るのです。

初出:2013/09/27
更新:2025/07/13


経営
2025年7月9日

社会的比較論

社会的比較論_001
社会的比較論とは、フェスティンガーによって提唱された理論で、人は自分自身を正しく評価したいという動機を持っていますが、自分自身を評価するための基準として、自分に似通っている他者との比較を用いるとする理論です。

簡単に言い換えると、人は自分に似た他人と比較して自分自身の評価を行うという理論です。そして、比較した結果、安心したり、自分の所属している集団に合わせたりするわけです。逆に比較することができないとなんとなく不安になってしまうという事もいえますね。

例えば、あなたが会社員だとします。その時に、数多くの同僚と一緒に働いていれば、なんとなく日々、自分が同僚たちと比較してどのような位置にいるのかと考えることができますよね。

■社会的比較論の上方比較と下方比較

この社会的比較論の上方比較と下方比較とは、同僚たちに比べて自分のパフォーマンスが低ければ、向上する努力をしますし、自分のパフォーマンスが高ければ安心するといった心理です。

自分よりも優れている人と比較すると、「負けるものか」と向上心が生まれるという前向きな効果があります。ただ、必ずしも前向きな効果だけが生まれるわけではなく、嫉妬心や劣等感が生まれることもあり、

他方で、自分よりも劣っている人と比較すると「自分はいい感じだね」と安心感や自身を得ることに繋がります。ただ、こちらも慢心を生んで努力を怠ると行ったマイナス効果もあり得るから怖いのです。

いずれにしても、人は無意識に他人と比較してそれによって幸福度や自尊心を上下させるというものです。

■比較できないと不安になる

とすると、人と比較することで精神状態が左右されるならば、隔絶されたところで比較することなく活きたら幸せになれるのでしょうか?

ただ、これも冷静に考えてみると当てはまらないような気がします。

例えば、同僚たちと隔絶された場所で一人働いていたらどうでしょう?(他者と比較ができない状態)なんとなく不安になりませんか?

または、自分とはくらべものとならないようなハイパフォーマーの中で仕事をしたらどうでしょうか?(自分と似た他者と比較ができない状態)これも不安になりそうですよね。

この社会的比較論はその様な状況ではなく、自分と似たような他者と比較する事で自分自身を評価するという理論なのです。

また、この理論を提唱したフェスティンガーさんは、認知不協和理論を提唱した事でも有名ですね。

■ビジネスにおける社会的比較論の適用について

さて、本稿は「まんがで社会学」とかではないので、あくまで経営にどのように影響するかで考察を進めます。

■従業員のモチベーション

ここまでの説明でピンと来た方も多いと思いますが、従業員のモチベーションを大いに左右する要素になります。

例えば、組織内での評価はある程度似た属性(能力や経歴など)の同僚と比較して行っていくことが必要ですし、納得感を生み出しやすくなります。

あまりに上方比較を強いると(業績の良い人と比較させてしまうような処遇をすると)向上心が刺激される可能性はありますが、逆にモチベーションを低下させたり最悪の場合は離職につながったりもします。

また、下方比較になるような部署に配属すると安心材料になってメンタルは安定するかもしれませんが、努力の停滞を招く可能性があります。

つまり、どのような部署に配属するかの検討材料の一つとなりうるのですね。

■消費者心理の理解

消費者も社会的比較論からは逃れられません。消費者も見栄をはったり、マウンティングしたり、周囲にどう見られるかを意識した消費行動を取ります。

ここをうまく設計して、少し憧れられるような商品のポジションを取ったりすると、消費者からの支持を得やすくなったりします。

■社会的比較論:誰と比較するかのまとめ


比較先 どんな影響が出るの?
上方比較 向上心・劣等感・モチベ低下・憧れ
下方比較 安心・停滞・慢心・守りの姿勢
比較できない状態 不安・孤独・評価不能感


このように、誰と比較させるか、どう比較させるかの巧妙な設計は、ビジネスに貴重な示唆を与えてくれるのです。

参考関連用語
マズローの欲求階層

※本記事では、心理学の理論を経営・組織論の視点から応用的に解説しています。学術的な厳密さよりも、実務での活用に重点を置いています。

初出:2012/08/27
更新:2025/07/09
経済学
2025年7月7日

資産効果

資産効果_001
資産効果とは、持っている資産が値上がりすることによって、消費や投資が促される効果の事を言います。

例えば、あなたが100万円の株を持っていたとします。この時、株が値上がりして200万円になったとしたら、「資産が増えたから少し贅沢しようか。」となりませんか?

なるとしたら、それが資産効果です。

また、投資が促されると言う効果もあります。この投資が促される効果によって、

資産価格の値上がり→投資の増加→さらなる資産価格の値上がり

といった循環も生まれるのです。この循環によってどんどん景気は拡大していくのですね。これは、資産が値上がりしたから、更にリスクを取って投資をしていくというイメージの行動です。

この逆で、資産の値下がりが消費や投資を抑制する効果もあります。こちらはそのものズバリ、『逆資産効果』といいます。

■資産効果が発生しやすい状況

例えば、株価の上昇局面、不動産価格の上昇局面、仮想通貨(暗号通貨)の高騰局面など、どんどん自分の資産が増えるタイミングです。

そのようなタイミングでは、

資産が増える

資産効果

消費増大

景気拡大

企業業績上昇

株価などの資産価格上昇

といった形で良いスパイラルが回ります。

■ただし、資産効果が加熱しすぎると。。。

ただ、この資産効果が加熱しすぎると、いわゆるバブル状態となり、過剰消費や過剰投資の問題が生じてきます。また、厄介なインフレなどの問題も生じてきます。

過剰消費ぐらいならば環境に良くない・拝金主義的な不健全な文化が育まれる程度ですみますが(どっちも大問題ですね)、過剰投資はその後にも尾を引くので厄介です。

例えば、負債で資金調達して過剰投資した場合は、(割高な価格で購入してしまった資産を損切りできなければ)その負債の返済負担が長く続きます。

また、仮に現金で一括購入したとしても企業業績には減価償却費(減価償却についての解説はこちら)の増大や設備等の維持管理費用の増大といった点で長い期間ダメージが入り続けます。

バブル経済の崩壊後、我が国企業はこの悪影響に長く苦しみ、非常に長期にわたる景気悪化に苦しんで来たわけです。

■政府や中央銀行の役割

この資産効果が加熱した際、政府や中央銀行は景気の加熱を抑え持続的に経済発展できるようにソフトランディングさせるように動きます。

例えば、金融政策による段階的な引き締め(金利を徐々に上げる)を行い、資金供給を徐々に減らし、投機的な資金の流入を減らしていきます。

また、劇薬ですが不動産融資の規制(融資の自己資本比率規制や不動産評価額の制限)や株式の信用取引を制限するなどの動きもありえます。

■我が国はバブル経済をハードランディングさせてしまった

と、歴史のお勉強になってしまい恐縮ですが、バブル景気はプラザ合意の円高不況に対応するために大規模な金融緩和を実施したことにより、この資産効果のスパイラルが制御不能になってしまったことを発端としています。

そして、「これではまずい」ということで日銀は政策金利を急激に引き上げ(6%台へ急騰させた)、さらに、不動産融資への総量規制まで行ったので地価の下落が、以下のような逆資産効果を発生させてしまったのです。

不動産価格の下落

担保価値の既存

貸し渋り貸し剥がし(用語解説あり)

倒産

さらに時系列的には若干錯綜しますが、消費税が導入されたのもこの時期です。

以下あるべき姿と、我が国がバブルを崩壊させた時にやってしまったことをまとめます。
項目 ソフトランディング(あるべき姿) ハードランディング
(我が国がやってしまったこと)
金融政策 段階的に金利を引上で景気過熱を抑制 急激な利上で資産価格を急落させる
資産市場への対応 規制などの導入で、投資家心理を落ち着かせる 総量規制などを急激に導入し信用収縮を招く
政府・中央銀行のメッセージ 市場との対話し、過熱感を和らげる 「バブル退治」など強硬姿勢
経済への影響 資産価格を安定させ、持続的成長へ 景気後退、不良債権問題、長期停滞

■われわれ経済人が取る対応とは

と、資産効果はいっけんすると問事尽くめのように感じますが、加熱した際の悪影響や、加熱を冷ますための政府や日銀の対応いかんで大惨事を招く危険性すらあるのです。

そのため、資産効果が亢進し「今回はいままでと違う(何処まででも資産価格は上がる)」と周りが振る舞い始めたら、立ち止まって収穫の秋の後に訪れる冬に備える事も重要かもしれません。

なにより、現在の我が国を代表する任天堂やキーエンスといった企業はバブル景気に踊らされず、無理な設備投資や不動産登記などを行わなかったといった実例もあります。

われわれ経済人が冷静に利を見ることが結果として我が国の社会全体の安全弁になれるのですから。

※資産価格が下落することによる影響については、別記事「逆資産効果とは?」もご覧ください。

初出:2013/01/30
更新:2025/07/07

マーケティング
2025年6月19日

市場細分化戦略 | 誰に集中するかを選ぶ方法

市場細分化戦略_001
市場を分類する方法や細分化する変数の選び方は別記事で解説しています。本記事では分類した後、『誰に』集中するかについて考えてきます。



市場細分化戦略とはある基準によって細分化された、同質であるとみなされる集団に対してアプローチする戦略のことをいいます。

一言でいうと、みんなを相手にするのではなくある条件に合致するグループを相手にする戦略です。

これは単一市場に対して大量に単一製品を投入するようなマス・マーケティングでは消費者を満足させることが難しくなってきているためです。

例えば、日本全国老若男女すべての人に満足してもらうようなカップラーメンを作るとします。その場合、何か際立った特徴を打ち出すことはできるでしょうか?こってりし過ぎてもよくないし、あっさりし過ぎてもダメ。麺も太すぎず細すぎず、野菜の量も肉の量も万人受けする水準を目指す。

みんなが満足できるような製品を作ろうとすると、みんながなんとなく物足りない思いをしそうですよね。その結果魅力の乏しい製品になりがちだと思います。

その様な努力をするのではなく、市場細分化(セグメンテーション)を行い、細分化したある市場に経営資源を集中投入することが効率的であると考えられています。

そして、コトラーによればこの市場細分化の有効性は以下の要素によって決まってくると言われています。
  • 市場の測定可能性
その細分化した市場に対して行ったアプローチの効果を測定できるのか?という要素です。何をやっても反応を測定できないのであれば、その細分化が正しかったのかを判別することはできません。
  • 利益確保性
その細分化した市場で利益は確保できるのか?という要素です。例えばものすごくケチな人々みたいな市場を細分化して特定したとします。なんとなくこの市場では利益を生み出すのは難しそうですよね。
  • 市場への接近可能性
その細分化した市場にアプローチできるのか?という要素です。どんなに素晴らしい市場を細分化したとしても、そこにアプローチできないのであれば意味がありません。例えば、その市場は規制がかかっていて参入が不可能というのであればその分類は意味をなさないのです。
  • 差別化可能性
その細分化した市場にアプローチする際、差別化することができるのか?という要素です。せっかく市場を細分化したとしても、その市場に他社と同じものしか提供できないのであれば、その分類を行う有効性は低くなってしまいます。
  • 戦略の実行可能性
その細分化した市場にアプローチする戦略は実現可能か?という要素です。できない戦略を考えても仕方ありません。例えば革新的な製品を送り出すために接客時に細かく説明をして販売するとの戦略を立てたとします。しかし、経営資源が乏しく接客を行う人員を確保できないのであればこの戦略は絵に描いた餅になってしまいます。

このまんがではターゲットを絞り込んで新製品を開発したところ成功しています。

みんなに好かれるものはもちろん理想ですが、みんなに好かれるものを目指すとみんなが物足りないものになりがちです。そうではなく、少なくとも特定の層に好かれるものを提供していくことが大切なのです。

■誰に届けないか?も重要な観点です

このように絞り込む考え方をする際には、誰に届けるかに焦点が向きがちですが、誰に届けないかを割り切ることも重要です。

ここのいい意味の諦めができるかどうかが良い戦略とそうでない戦略を分けるカギとなります。

例えば、このマンガの「運動部の腹ペコ男子」にターゲットを絞るということは逆にいえば、そこまで沢山食べることができない少食の人に届けないという選択になりますから。

ただ、大手企業ならまだしも、経営資源に制約が大きい小規模なお店の場合は全員が満足するような戦略を取ることはできません。

ここで妥協して「なんとなく大盛り定食」等とすると、腹ペコ男子は満足しませんし、少食の人からすれば多すぎる微妙なお店担ってしまいます。

このように、思い切った絞り込みをすると『刺さる』戦略と成るのです。

■絞り込みが戦略の方向性を決めていきます

この「運動部の腹ペコ男子」市場に届けるとなると
・値段
・売り方、商品
・お客さんへの届け方(流通)
・お客さんへの伝え方(プロモーション)
といった大切なことも具体的に考えることができてきます。そのため、絞り込みは重要なのです。



合わせて読むと理解が深まる!『市場を分ける!それが成功の第一歩』そんな観点から
市場細分化(セグメンテーション)とは
市場細分化変数とは
市場細分化戦略<本記事>
といったシリーズもので書いてみました。合わせてご覧くださいませ。

初出:2012/03/16
更新:2025/06/19

マーケティング
2025年6月19日

市場細分化変数 | 市場細分化変数の4分類と最新トレンド(AI対応)

市場細分化変数_001
市場細分化変数とは市場細分化(セグメンテーション)を行う際に用いる変数の事です。分類すると言っても、何らかの基準がないと分類のしようがないですよね。この市場細分化変数はその分類のための基準となります。

この市場細分化変数には次のようなものがあります。
  • 地理的変数
国や地域などによる分類です。簡単に言うと関東と関西では好まれる味が異なるといった傾向を用いて分けてみようという事です。
  • 人口統計的変数(デモグラフィック変数)
性別、年齢、職業、所得などの個人に紐づく分類です。例えば、男性と女性では好まれるものはかなり明確に分かれると思います。また、2歳児と10歳の子どもではほしがるおもちゃは明確に分かれると思われます。
  • 心理的変数
ライフスタイルや価値観、購買動機に基づく分類です。例えば、海が好きでヨットに乗る人と、映画を見ることが好きな人の好みは明確に分かれそうですよね。
  • 行動変数
その製品の使用頻度や購買動機に基づく分類です。例えば、安かったから買った人とその製品を親子代々愛してきた人ではその製品に対する態度が異なってくると考えることができると思います。

このまんがでは明らかにされていませんが、何らかの市場細分化変数を用いて分類を行った結果運動部の腹ペコ男子をターゲットにするという結論に到達したようです。


実務面からの加筆:
幾つかの変数を挙げてみましたが、実務的にどう使っていくかを考えてみたいと思います。

■市場細分化変数(地理的変数)

これはなんといってもデータが取得しやすいというのが強みになります。最初に検討していくと示唆を与えてくれる内容になってきます。

ただ、これが決定的な内容に成ることはほとんどないため、考える際にはアイスブレイクで使うといった使い方になってきます。(幾つか思いつくままに挙げていくと、考えが加速していきますから。)

住んでいるところで好みが変わる。だから売るものの味付けを変える。といった観点は重要ではありますが、あんまり実務的ではないです。差別化の観点からはここの変数は逆張りするために使っても良いかもしれませんね。(例えば、関西に敢えて関東風の醤油が強力な物品を提供するなど)

■市場細分化変数(人口統計的変数)

個人を分類する変数ですから、客層を「見える」ようにする効果があります。所得層等を一定程度で分類すれば、生活に余裕がある層に向けるなど見え方が変わってきます。

ただ、これも多くの場合は決定的な差別化要因にはなりにくいです。また、分類した感がでるため、表面上の浅い検討に成る危険性もあります。

「フィットネスが好きなミドル世代の女性」などとターゲットを分類したくなりますが、本質的なニーズが「健康」であれば、心理的変数や行動変数で分類した方が本質的だったりします。

■市場細分化変数(心理的変数)

ライフスタイルや価値観を追いかけますので、より本質的な分類にはなります。

しかし、とても主観的でd測定することが難しいため、本当にそのような価値観を持っている人がどれだけいるのかといった市場規模の測定が難しいことが多いです。

■市場細分化変数(行動的変数)

購買履歴が残っていれば、その購買履歴を用いた分類もできます。ただ、お察しの通り新規顧客の獲得には極めて使いにくいと言った弱点があります。

■じゃあどうすればいいの?

全くの新規事業では仮説を積み上げるしかないのですが、既存の事業では最強の事例があります。

それは「お客様がどうしてうちの商品を使っているのか?」といった観点です。

この観点で見ていくと、行動変数にもとづいた無理のないターゲット像を作ることができたりします。

■市場細分化変数はあくまで市場を見るメガネ

今回の漫画では「運動部の腹ペコ男子」をターゲットにすると言っていますが、それは心理的変数と行動変数の組み合わせてなかなか妥当性があるように思われます。

しかし、市場細分化変数はあくまで市場をどのような目で見るかを分類するだけの切り口となりますので、マーケティングのSTPの

S:分類(事情細分化変数はここで使う)

T:ターゲッティング(分類した何処を狙う?)

P:ポジショニング

といったステップを踏んで考えていくことが重要です。その意味では、市場細分化に過剰にこだわらず先に進んで戦略上違和感があったら戻って考えるといったほうが実務的だったりします。

■AI時代の市場細分化変数の再定義

近年ではAIがデータ解析をうまくやってくれるため、従来の市場細分化変数の境界があやふやになりつつあります。

例えば、従来は考えられなかったような属性をSNS上の発言内容や購買履歴から特定することができる用になってきているのです。

年齢とか、性別、住んでいる場所、年収などの従来の市場細分化変数が荒く感じられるような潜在的なセグメントがあるかもしれないのです。

このようなAI活用と人間の洞察を組み合わせたセグメンテーション設計が今後のポイントとなって来ると考えられます。

ただし、事業計画を金融機関向けや補助金獲得のために作成した場合は、どういう根拠でセグメンテーションを分けたかを説明するという新たな仕事が生じます。(セグメンテーションαとβってだけを書いた事業計画だと、金融機関は稟議を通して融資するのが難しいでしょうからね。)


市場細分化(セグメンテーション)とは何か?」という基本的な内容については、以下の記事をご参照ください。


合わせて読むと理解が深まる!『市場を分ける!それが成功の第一歩』そんな観点から
市場細分化(セグメンテーション)とは
市場細分化変数とは<本記事>
市場細分化戦略とは
といったシリーズもので書いてみました。合わせてご覧くださいませ。


初出:2012/03/17
更新:2025/06/19


マーケティング
2025年6月19日

市場細分化(セグメンテーション)

市場細分化_001
市場細分化(セグメンテーション)とは、企業が市場や顧客をある基準によって細分化して分類することを言います。

この細分化の方法はいろいろ考えることが可能です。例えば、関東・関西では好まれる味付けが異なりますよね。そのため、カップうどんのような商品では関東と関西とでは味が異なってきます。

このように地理的な条件で分類を行う事や、性別・年齢のような人口統計的な条件で分類を行うことが可能となります。これらの分類の条件を市場細分化変数と言います。

この市場細分化(セグメンテーション)に対し、市場を細分化せずに単一市場に対して単一製品を投入するようなマーケティングの手法をマス・マーケティングと言います。

このマス・マーケティングとは、日本全国老若男女すべての人に満足してもらうようなカップラーメンを作るようなイメージとなります。

これに対して市場細分化(セグメンテーション)は若い男性向けにがっつりとした大盛りラーメンを提供するようなイメージとなります。

このように、分類した集団に対してアプローチを行う戦略を市場細分化戦略と言います。
 
このまんがでは、購買に来てくれる生徒さんを分類して新製品開発に役立てようとしているようです。

■代表的な市場細分化変数

市場細分化変数という上から辿れるリンクでも書いていますが、代表的には
・地理的変数
 何処に住んでいるかとかです。関東と関西では味の好みが違うことはよく知られていますよね?

・人口統計的変数
 年齢とか、職業・性別などの個人に紐づく分類です。男女差をことさらに強調する必要はありませんが、年齢等では明らかに好みが違ったりします。(未成年とシニア層では趣味趣向が違う傾向があります。)

・心理的変数
どんなライフスタイルを好むかと言った変数です。バイク乗りとか山屋さんなどのアウトドア派とインドア派はやはり好むものが違いますよね?

・行動的変数
購買歴などに基づく変数です。

と分類していきます。

■分類後の流れ

これらの変数で分類したとして、それを経営に生かさないとなんの意味もありません。そのため、

分類

ターゲットの設定

自社のポジショニングを決める

といった流れで戦略に落とし込んでいきます。

なお、ターゲットの選定には
・市場の測定可能性
・利益確保性
・市場への接近可能性
・差別化可能性
・戦略の実行可能性
といった観点でみていくと良いです。これは(市場細分化戦略という記事で詳しく説明しています)

■マンガの例で市場細分化を考えてみる

今回の漫画では生徒さんを分類したいと言っています。今回挙げた市場細分化の観点では、地理的には同質性が高いですし、年齢や職業は学生さんなのでほぼ一緒になっています。

とすると一案として、生徒さんを心理的変数で分類していく事が考えられます。

例えば、

運動部、健康志向、インドア派

などと分けられれば、

運動部を狙うなら「腹ペコさんへ沢山食べてもらう」といった展開が考えられますね。


記事の内容がかぶるのですが、市場細分化変数の記事には実務的にどのように考えればいいの?といった視点を加えてみました。こちらも合わせてご覧くださいませ。



合わせて読むと理解が深まる!『市場を分ける!それが成功の第一歩』そんな観点から
市場細分化(セグメンテーション)とは<本記事>
市場細分化変数とは
市場細分化戦略とは

といったシリーズもので書いてみました。合わせてご覧くださいませ。


初出:2012/03/15
更新:2025/06/19

財務・会計
2025年6月14日

自己資本

自己資本_001
自己資本とは株主に帰属する純資産のことを言います。資本金や、各種法定準備金、剰余金がこれにあたります。なんだか難しそうな説明ですが、簡単に言うと、自分のお金、つまり誰かに返さなくていいお金の事です。

株式会社では、主に株主から払い込まれた資金と、事業活動によって獲得した利益の内部留保分からなります。
BS

上記に示した、貸借対照表の純資産の部が自己資本にあたります。そして、この自己資本は負債のように返済することは不要です。そのため、長期安定的な資金源となるという事ができます。

このまんがでは、吹奏楽部の先生が販売クラブに出資しています。そして、この出資されたお金は自己資本にあたります。 

■お金の出どころで捉える

上の図の自己資本と負債の違いは何でしょうか?これは、お金の出どころを表しています。

負債は、「誰かから借りてきた」→つまり返済する義務がある

自己資本(純資産)は自前のお金→つまり返済する『義務がない』という切り口です。

■自前のお金の種類

この自前のお金ですが、事業を営んでいくと少しずつ増えていきます。(それが目的で事業をしていますからね)

そして、増えた時に最初に投資してもらったお金と増えた分を分けて考えていきます。

厳密にはもっと細かい分類もありますが、自己資本は

・資本金(自分たちが会社に払ったお金)
・利益剰余金(儲かったお金)

と分けていくことができます。

このマンガでは、先生が出してくれたお金は、返す必要がないお金です。なので、資本金としてこの貸借対照表に記載されてきます。なお、現物出資でお金を集めて会社を設立することも可能です(変態設立事項

■実務面からの加筆:

この自己資本は「返さなくて良いお金」といったことを捉えて、商売を始める際に出資(自己資本)で資金調達したがる人がたくさんいます。

しかし、実務的には「返さなくて良いお金」ではなく、『「返せない」≒「関係性を清算できない」お金』だという着眼点が必要です。

最終的には社長さん個人の価値観になりますが、私は創業の際に他人から出資を受けないほうが良いとアドバイスすることが多いです。

また、仮に出資を受けるとしたら、33%よりも低い比率、最悪でも49%までにしたほうが良いですとアドバイスします。

なぜならば、33%以上の株式を他人に握られると、株主は特別決議を阻止することができるため、その種の意思決定が自由にできなくなります。そこまでいかなくても、少しでも株式を持っている株主からは、適切でない意思決定の経営責任を追求されますし良いことはあまりないです。

そして、過半数を握られると、株主はいつでも社長の交代や取締役の解任が可能となり、経営権を獲得することができるようになるためです。(つまり社長を首にできる権利を与えることになります。)

たいてい、そこそこ上手く経営ができている間は、株主は何も言ってきません(言ってきても「配当してください」ぐらいです)が、会社が軌道に乗って大儲けの目が出てくるとあなたを首にして別の人間を社長にしようとか、良くてもお目付け役のNo2を送り込んできたりします。


出資を受けられるような事業計画ならば、たいていの場合は融資を受けられますので、融資で(負債で)資金調達をすることをオススメしています。

融資ならば返済は大変ですが、会社のコントロール権は社長が確保できますので。

初出:2012/04/16
更新:2025/06/14
店舗管理
2025年6月13日

商圏

商圏_001
商圏とはお店に来てくれる人が住んでいる範囲の事を言います。小売業側から見ると「お客様を集められる範囲」、消費者側から見ると「行く可能性があるお店の範囲」ということができます。

一口に商圏と言っても取り扱う商品によってその範囲は異なってきます。例えば一般的に最寄品を取り扱うようなスーパーやコンビニの商圏は小さく、買回品専門品を取り扱う百貨店や専門店の商圏は大きくなります。

食料品を買うためにわざわざ隣町まで出かけることは稀だと考えられますし、楽器などの専門品は大きな町に出て買い物に行く事もあると考えられます。

また、同じ最寄品であるコメとか水といった商品でもちょっとした買い物なら近くのコンビニでもいいですが、利用目的が大量買いだった場合は、郊外の大型店まで足を伸ばすことになります。


このまんがでは学食と売店の選択肢があったようですが、男の子は近くにある学食に行ってジュースを買ってきたようです。

今回のジュースのような最寄品は商圏が小さいため、基本的には近いお店に行くことになります。

■商圏って距離の概念なの?

距離と移動時間は非常に近いのですが、実際の消費者は直線距離よりも時間で考えることが多いです。

例えば、800メートル離れているお店とは考えずに、10分ぐらいかかるお店といった感覚です。

そのため、消費者が自転車に乗って入れば徒歩よりも同じ10分でも商圏の範囲は大きくなりますし(お店は駐輪場を用意するという配慮が必要です)、車で来店するなら10分でもそれなりの距離が商圏となります。(同様に駐車場の確保が必要です)

ここから、駐車場のない商店がなぜ不利になるのかということが見えてきます。昔ながらの商店で駐車場がないと、車での来店が見込みにくいため、商圏が狭くなるのです。

■だったら移動時間が短ければいいの?

プラスで、気持ちの問題もあります。例えば、ものすごい勢いで吠える怖い犬がいる道は子供の頃通るのが嫌じゃなかったですか?

とすると、その道は心理的に通りにくいため、移動時間以上に商圏の範囲は狭くなりがちです。

また、駐車場があっても停めにくい駐車場の場合、運転があまり得意でない人からするとやはり遠いお店≒行きにくいお店になりがちです。


実務面からの加筆:
商圏分析なんて大変だーって声が聞こえてきますが、今はとても便利な道具を国が用意してくれています。最初に本記事を書いた2011年から2025年になって世の中は本当に便利になっています。

jSTAT MAPというとても便利なサービスが無料で使えますので、ぜひ使ってみてください。これはスグレモノで、

・車で○分圏内に住んでいる人口や世帯数
・年齢層や世帯構成の分布
・自店舗からの同心円/等時間圏マップの作成

などがすぐに分かります。

↓リンクはこちらです
https://www.e-stat.go.jp/gis/gislp/

とても示唆に富んだ良いレポートを出すことができますので、ぜひ本記事をご覧になられてご商売をされている方は、自分のお店を分析してみてくださいませ。

レポートを眺めていると、誰に向けたご商売をするとよいかが見えてくるかもしれませんよ。

■オンライン販売と商圏

従来は商圏とは物理的な距離で定義されていました。お店に訪れるのが前提だったのである意味当然だとは思います。

しかし、現在ではEC(ネット販売)が普及しているので、距離概念があんまり役立たなくなりつつあります。

また、従来のお店でも様々なサービス(Uber Eats、出前館、楽天デリバリーなど)の宅配サービスがあるため、配送可能な範囲≒商圏となってきています。さらに、遠方からでもSNSやグーグルのビジネスプロフィールなどで来訪する事も、注文することもできるのです。

その意味から、来店できる商圏という従来の商圏に加えて、配送できる範囲などのオンライン商圏も意識しておくことが重要となってきます。

初出:2011/11/19
更新:2025/06/13
経営
2025年6月11日

持続的イノベーション

持続的イノベーション_001
持続的イノベーション(sustaining innovation)とは自社を支える主な顧客の持つニーズを満たすために、自社の製品やサービス、またそれらを生み出す業務プロセスについてより良いものを生み出すために行うイノベーションのことを言います。

持続的イノベーションの「持続的」という言葉から単なる改善を繰り返すだけのイメージを持たれる方がいるかもしれません。確かに、改善を繰り返すということも非常に重視されています。

しかし、イノベーションという言葉も使用されており、この持続的イノベーションは単なる改善の域にとどまらず自社を支える顧客のニーズに基づいた抜本的な技術革新をも含む事があります。

ただし、この持続的イノベーションはあくまで自社を支える顧客のニーズに基づいた改善や技術革新です。そのため、既存の技術ではなく全く新しい価値を生み出すような「破壊的イノベーション(Disruptive Innovation)」が生じた場合、新興企業に取って代わられてしまうといった現象が生じることがあります。このような現象をイノベーションのジレンマと呼んでいます。

このまんがでは製品を日々改良し、お客様の声に耳を傾け続け何度も抜本的な技術革新にも取り組んだと言っています。このような既存の顧客のニーズに基づいて行うようなイノベーションを持続的イノベーションといいます。

■持続的イノベーションの具体的なイメージ:日本車の改良とハイブリッド技術

例えば、改善活動を繰り返して現在の顧客ニーズを満たしていくイメージです。エンジンを使った車を究極に突き詰めていく日本の自動車などが挙げられます。

より良い燃費で、より良い乗り心地、より安全な車といった顧客の要望する大切なことをカイゼンで突き詰めていく日本の車作りがこのイメージに該当してきます。

また、この持続的イノベーションの文脈で、ハイブリット車という顧客の期待を遥かに超えてくる素晴らしい乗り物を作っていきました。ハイブリット車も既存の製品群の延長線上にあるイメージで、高度な技術の蓄積がそれを可能としています。

このような取り組みを通じて市場シェアを維持し、ブランドイメージの構築や規模の経済経験曲線効果での低コスト(販売価格が安いとは限りませんが)を享受することで競合が参入しにくくなる参入障壁を築くことができます。

■持続的イノベーションの対比として:EVが切り開く可能性

他方で、顧客が予期しないニーズがあるかもしれません。本当に顧客はエンジンで動く乗り物に乗りたいのでしょうか?

例えば、顧客は単に自動車という利便性がほしいだけだと考えれば、エンジンを使う乗り物といった切り口ではなく、モーターで動くEV車という切り口も考えられます。

この切り口は、既存のエンジンで動く車が蓄積してきた価値観や市場構造を根本的に変える可能性があります。精巧なエンジンを作る技術やエンジンから動力を得る前提で作られた車体設計などの先行者の蓄積に基づく参入障壁などをスキップできるかもしれないからです。

この切り口が真のイノベーションであれば、顧客の価値観や市場構造を根本的に引っくり返すことができるかもしれません。(2025年現在ではEV車の失速が目立ちますが。)

■相対的に変化するイノベーションの評価:2030年からの視点で振り返る

ひょっとしたら2030年には、移動手段の概念が根本的に変わっており、EV車自体も「あれは自動車という概念から生まれた持続的イノベーションだった」と振り返られるかもしれません。あくまで印象論ですが、EV車は自動車という体験の延長でしかないように思われます。

このように、持続的イノベーションと破壊的イノベーションは絶対的な分類ではなく、相対的な考えであるという点にも注意が必要です。

最初にこの記事を書いたときは2011年だったのですが、2025年現在、当時すごい革新的だった製品の幾つかはすでに旧製品の徒花的なものだったと理解できていますので。


みなさんは、今「破壊的イノベーション」だと思われている製品のうち、10年後に「持続的イノベーションだった」と評価されるものには何があると感じますか?

関連用語
インクリメンタルイノベーション 


初出:2011/11/04
更新:2025/06/11
経営
2025年6月5日

シナジー

シナジー_001
シナジーとは異なる経営資源を組み合わせることによって1+1が2以上になる効果の事を言います。

このような効果は経営資源間の相乗効果によりもたらされます。このシナジーの源泉には販売チャネルや生産設備の転用、技術や人材など組織に蓄積された知識・知恵の活用などが考えられます。

例えば、新製品を発売する場合を考えてみます。一から販売チャネルを構築する、生産設備を用意する場合には相当の投資を行う必要があります。

しかし、この時に既存事業の販売チャネルや生産設備を用いることができれば、費用を低減することができます。

そして、このことにより一から事業を立ち上げる場合に比べてより大きな利益を得ることができます。

具体的には、店舗網をすでに持っている薬局が関連事業として介護用品を取り扱うようなケースが考えられます。

この場合、店舗網をそのまま利用できること、既存事業の顧客が介護用品事業の顧客になってくれる可能性があること、薬局事業で培った信頼性などのブランドを活用できることなど有利な材料がたくさん出てきます。

このシナジー効果は上記のとおり範囲の経済に非常に近い考え方であるという事ができると思います。

このまんがでは一つのパートで練習するよりも複数のパートで一緒に練習する方が効果が上がると言っています。


実務面からの加筆:
シナジー、相乗効果とも言いますが、限られた経営資源を最大限に活かすためのキーワードであり、事業計画を考える際には重要視して書いていくことが大切です。

特に補助金獲得を目的とする場合、「補助金で導入する新たな設備が既存のシナジーを生む」(相乗効果の強調)が鉄板のストーリーとなります。

■シナジーが生まれるとは限らない

とはいえ、シナジーは生まれるとは限らないという身も蓋もない現実も覚えておいてほしいです。

例えば、組織が連携するときはシナジーが発生するとほとんどのケースで言いますが、組織文化が違うとシナジーは生まれず、単に経営資源が重複して非効率を生むだけだったりします。(アナジーとか負のシナジーといった言葉も作られているぐらい、ありふれた事象です)

単なる寄せ集めからはシナジーは発生しにくいといったことは、なんとなく感じると思います。

■シナジーが生まれるような設計が重要

経営資源に余裕がない中小企業などでは、シナジーが発生するように設計することがとても重要です。そのためには、

・コストが発生する経営資源の共有(設備や人など)をうまく共有する
・売上拡大へ顧客基盤や商品への信頼感をうまく共有する
・組織全体をうまく統合する(特にインセンティブの設計をうまく行う)

など、多岐にわたって意識的に設計することが重要です。

もちろん、具体的な状況が異なる中で万能な正解はありません。そのため、このような「うまくやる」としか一般論ではかけないです。

しかし、、「どの経営資源を、どう組み合わせればシナジーが出るか?」という視点を持つことがとても重要なのです。

初出:2011/12/28
更新:2025/06/05

経営
2019年1月27日

事業計画を作ることがなぜ必要なのか、事業計画策定支援のプロが挙げる5つの理由

事業計画

経営者の皆様。事業計画を作っていますか?いきなりこのように訊くと、「事業計画って何ですか?」といった反応が返ってくることが多くあります。

平成28年版の中小企業白書によると、中小企業の約47%が事業計画や収支計画などを作成したことがないので、事業計画は身近な存在ではないといえます。


確かに、計画などしなくても上手くいくケースもあります。また計画通り行かずに、途中で軌道修正したことが結果として成果に結びついたといった事例も多数存在しています。


しかし、事業計画を作成しないで経営をすることはとても危険な事です。また、事業計画があれば成長
が加速するといった局面も存在します。


そのようなことを踏まえ、なぜ事業計画が必要であるかをお伝えできればと思います。

理由1:事前判断の精度が良くなる

事業を実施すべきかしないべきか。その事業にどれだけの人モノ金といった経営資源を投入すべきか。

事業を始める際に、こういったことは事前に決めることになります。

何を売りとして商売をするのか。


どこで商売をするのか。


誰を顧客として商売をするのか。


どんな風に商売をするのか。


ちょっと思いつくだけでも、いくつかの応えるべき質問が出てきます。こういった内容に応えようとして調べていけば、ある程度の見通しがつくはずです。


onnanoko_bustup
行けるかしら?それとも無理かしら…

hiyoko
迷っていても仕方ないじゃない。とりあえず計画を立ててみたら?

onnanoko_bustup
絵っと計画を立てるためには、商圏について調べて、この業態だと客単価は…、お店の家賃は…

hiyoko
ほら、一人で迷っていても何も始まらないけど、事業計画を作ろうとしたらある程度見えてくるじゃない。

・事業実施の可否も判断できる


例えば、売上の上限がある程度開始時点でわかる業態があります。


飲食店などは、席数が決まれば回転数の上限もある程度決まりますし、客単価の上限もある程度見込めます。


このことは、売上の上限がある程度決まってしまうことを意味します。


売上は客数×客単価で算出されますので、客数の上限が席数×回転数で決まりますし、客単価もお店の業態であるていど見えます。


そして、お店の立地によって家賃などの固定費も決まりますし、食材費や人件費もある程度相場があるのでその事業が儲かるかどうかも見えてきます。


そのため計画の下振れも考慮して、『十分儲かる』状態まで計画を詰めて行くことが可能です。

この事前判断の段階でギリギリなんとかなるぐらいの計画の場合は、悪いことは言わないので、一度落ち着いて考えてみましょう。


とくに「自分の作る○○は絶品だから立地が悪くてもお客様が来るはず」というのは、リアル死亡フラグなので絶対にやめておきましょう。

理由2:危機回避の可能性が高まる

事業計画を作成し、それに沿って事業を行うと計画通りに行かないことが出てきます。


「それじゃだめじゃん。事業計画なんか意味ないじゃない。」と思うかもしれませんが、計画通りに行かない事が計画通りなのでそれでいいのです。

しかし、計画通りに行かない事には何らかの理由があるはずです。その理由を考えるきっかけになります。

onnanoko_bustup
計画通りにいかないわ。でも、計画通りにいかないことが当たり前だって先生が言っていたわね。

hiyoko
そうよ、でも計画通りにいかないのには何か原因があるんじゃない?もう一度計画を見直してみたら?

onnanoko_bustup
そうねぇ。何となく頑張りが足りないと思ったけど、毎日遅くまで頑張っているから、がむしゃらに頑張るんじゃなくって、やり方を修正しなきゃいけないのかもしれないわね。

neko
いずれにしても、軌道修正をしなきゃいけないことが分かったから、明日から考えていこうよ。


・頑張り不足という原因分析を避けられる


事業計画を持っていないと、利益が上がらないことの原因を頑張り不足に求めてしまうことがあります。


頑張るという言葉はとてもいい言葉ですが、事業は仕組みを構築することに他なりません。仕組みが良くないのに必死に頑張ってもおそらく報われないでしょう。


もちろん、「担当者が怠けまくっているっていうのは頑張り不足じゃないか」といった声も聞こえてくるかとはお思います。


しかし、怠けまくっているという現状はやはり怠けることができる、怠けてしまう仕組みが要因だと考えられます。


そのため、単に「怠けないでがんばれ」といった掛け声だけでは意味がなくなってしまいます。


・軌道修正の例


事業計画が明らかに実行できないような場合に、頑張りが足りないと原因分析してしまったら、あとは今やっていることを今よりも頑張るしかありません。


しかし、狙っていた客層が当初の想定よりも来店していない等といった事が分かれば、狙っていた客層に対して、よりプロモーションを強化する等の対策が打てます。


この対策をある程度の期間に繰り返すことができれば、漠然と「売上が上がらないけど、今頑張ればなんとかなるはず」とやるよりもうまくいくはずです。


問題の兆候が見えてきたら早めに対処するのが大切ですが、事業計画がないと問題の兆候が見えませんので怖いのです。

理由3:経営資源を集中することができる

ホースの出口を強く握ると水の勢いが増して、遠くまで飛ぶようになりますよね。これと一緒で、一定の目標に向かって企業の持つ経営資源を集中するとパフォーマンスが向上します。

onnanoko_bustup
あれもこれも…あー経営を始めるとやらなきゃならない事や、やりたいことがどんどん出てくるから大変よね。

neko
でも、計画があるから集中しなきゃならない事はわかるよね。

onnanoko_bustup
そうね、事前に事業計画を立てておかなかったら、あれもこれも手を付けちゃって全部中途半端になっちゃてたかもね。


「別に事業計画がなくても、目標があればいい」とおっしゃる方もいるのですが、漠然と「営業利益を10%増を狙う」として何をすればいいか判断ができるでしょうか?


それよりも、「販売数量を5%増加させる。そのためには既存顧客との関係深耕を図り、販売数量を○%増加させ…」と計画として落とし込んでいった方が行動が具体的ですよね。


その結果、どのような営業を実施するかなど細かい具体策につながるため、日々の行動を具体的に規定することが可能となります。


また、いつまでに〇〇を行うといった行動計画を事業計画にもりこんでおけば、その実施については日常の業務に加えて取り組んでいくことが可能です。


「つい忙しくって」といった言葉を聞くことが多いのですが、経営者の時間という貴重な経営資源を目
標達成のために投下するというのも事業計画の大切な役割なのです。


理由4:企業外部から経営資源を調達することができる

企業外部からの経営資源の調達というと資金調達が最初に来ると思います。しかし、事業計画はそれ以外の人やモノ、情報といった経営資源の調達にも役立つのです。


tanuki_2
融資のご相談ありがとうございます。結果は後程…

onnanoko_bustup
はー銀行さんに相談するのって緊張するわね。でも、前向きに検討してくれたみたいでよかったわ。

neko
オーナーさんが銀行に行っているときに、協力したいって人が来てましたよ。

onnanoko_bustup
あー前にネットで知り合った人なのよ。やりたいことがあるのって説明したらぜひ協力したいって言ってくれてね。

hiyoko
旗を掲げると、人が集まってくるのよね。


・お金の調達のため

企業が金融機関へ融資を申し込むときに、求められるのは決算書数期分と事業計画書となります。どうせ必要なものとなりますので、最初に作っておいた方がよいと考えられます。


また、他者から出資を受ける時にも必ず事業計画書は必要となります。金融機関の場合は、決算書の方を重視する傾向がありますが、出資を受ける場合は事業計画書がとても重要です。


というか、事業計画書以外にあなたの会社の将来性を証明するツールがないわけですから、気合を入れて作る必要があるのです。


この場合は、しっかりと儲かる理由を根拠をもち、理念を掲げて描く必要があります。


・人もの情報の調達のため

事業計画が明確ならば、自社に足りない人材や設備、ノウハウ等が明らかになります。

事業のビジョンと目的を明確に伝えることで、企業外部からサポートを得られるといった事は割とあります。こういった事がやりたいと明確に打ち出せていれば手伝いたいといった人が近づいてきてくれるイメージです。

理由5:撤退の判断のために

事業をやって一番難しい意思決定は撤退です。今まで必死になってやってきたことを諦めるわけですから、並大抵の判断ではありません。


また、経済的な致命傷を負って市場から退場するといった形の撤退は、だれも望みませんので(本人はもちろん、取引先や企業を取り巻く地域全体も望みません。)あらかじめ事業計画に撤退の時期も盛り込んでおくことが望ましいです。

onnanoko_bustup
この新事業はもう駄目ね…

neko_akire
残念ですが、これ以上がんばっても傷口を広げるばっかりですね…

onnanoko_bustup
でも危なかったわ。最初に撤退ラインを決めておかなかったら、たぶんまだいけるって考えていたわ。まだいけるって結論ありきで情報を集めれば、そういった情報はいくらでも集めることができるから。

neko_akire
そうですね。この損失はいたいですけど、幸いまだ致命傷ではないので、いつか取り戻すこともできますよ。

onnanoko_bustup
最初に事業計画を作っておいて本当によかったわ。



撤退の時期を明記しておくべき理由は以下のとおりです。


・追い詰められた時の判断力を信用しないで済むため


事業がギリギリの状況まで来てしまうと資金繰り等で文字通り忙殺されます。そうなると、考える時間や気力がなくなります。


ほとんど不眠不休で働いているときに、難しい判断を冷静に下せるでしょうか?


少なくとも、判断の精度は落ちると考えれらます。


・人は信じたいものしか見ないため

人は見たものを信じるわけではありません。信じたいものを見てしまうのです。


例えば、業績が明らかに悪くなってくると、「今は〇〇だから、もう少し頑張れば事態が好転する。」などと考えだします。そして、好転すると考えられる根拠を探し始めます。

しかし、冷静に考えて今までうまくいかなかったことが、同じことをやっていてうまくいく可能性は低いでしょう。


・事業を生き延びさせるための方法で傷を広げないため

また、無理に事業を生き延びさせるために、採算度外視で受注を取るケースも出てきます。

ほとんど利益が出ないけれども、資金繰りを回すために入金の早い案件に注力して、利益の取れる案件を断るなどといったことも行われます。


このような状況になると、いわゆる自転車操業に陥ってしまいますので、何のために事業をやっているかが分からない状況になってしまいます。


そして、仕入れなどに伴う未払金がたまっていくと、いよいよ止まれなくなってしまいます。

事業計画を作っておけば、もしここまでダメだったら撤退するという損切ポイントをあらかじめ決めておくことができます。


事前の想定なので机上の空論かもしれませんが、少なくともギリギリまで追い詰められて不眠不休で働いた後に下す判断よりは精度が高いはずです。


と、長々と書いてきましたが、結論は「事業計画マジ大事」ってことです。事業をするならほんとに必須です。


時間がないなら、日本政策金融公庫の創業融資のフォーマットだけでもいいので(A3で1枚分です。)埋めてみてください。


解説で出てきた用語・関連用語
組織論
2019年1月20日

社販 | 従業員にかなり安く売っても企業にとってはメリットがあるのです

社販_001
社販とは社内販売の略称で、企業の従業員向けに自社の商品やサービスを販売することを言います。

一般的には、市場価格よりも低価格で販売されるため、従業員がその商品やサービスが欲しいのならば福利厚生の役割を果たします。

(お歳暮とかの時期に、欲しくもない引き出物を大量に買わせるとか、自社製品の洋服を着るように強制的に(もしくは同調圧力を用いて半強制的に)買わせるのは福利厚生とは言えないと思いますが。)

■どうして市場価格よりも安くするの?

1.社販で価格を安くできる理由は(コスト面)

さて、なぜ企業がその従業員向けに商品を販売するのでしょうか?一般的には、市場での小売価格よりも安く販売するという事ですから社内販売は「採算度外視の福利厚生目的ですよね?」といった風に思われる方もいるかもしれませんね。

確かに、そういった面もあるかもしれません。しかし、流通経路を短縮して直販できますので、市価よりも低コストで販売する事ができます。

また、社内販売で販売数量を下支えできれば、単位当たりの費用が下がるという規模の経済が効いてきます。(変動費分よりも高く販売できれば、固定費が薄まるという効果が期待できます。)

また、累積販売数が増えれば、将来的には経験曲線効果も効いてきます。

このように、単に安く販売したとしても、企業側には一定のメリットがあるのです。

2.広告宣伝の側面
特にアパレル関係のお仕事では、従業員さんが自社ブランドの商品を着て接客にあたったりします。

「僕もその商品の色違い持ってますよー」といった接客です。でも接客をしっかりやってくれるようなお店って、ある程度いいお値段がするお店ですよね?

とすると、冷静に考えてみて、そんなことをしていたら従業員さんはお給料のほとんどを(場合によってはお給料以上)自社のブランドの商品を身につけることになります。

一方、求人広告などを見てみると、アパレルの販売のお仕事は安くはないにしても、めちゃくちゃ高給取りというわけではありません。

このからくりも社販を知っていれば説明できます。この場合は販売員さん自体がマネキンのように着こなしをアドバイスするために自社の商品を社内販売で購入しているのです。

言い方を変えれば、小売価格との差は広告宣伝費のようなのものなのですね。(だったら、原価割れで売ってあげればいいと思いますが、さすがに原価割れにはならないようです。)

onnanoko_bustup
社内販売制度を導入するわ。ウチの社販は仕入れ原価で売るわよ!

hiyoko
仕入れ原価で売ったら、損するんじゃないんですか?安売りは御法度だってオーナーさん自身も言っていたじゃないですか?

onnanoko_bustup
社内販売なら理由が明確だからブランド価値を壊すことはないと考えられるわ。福利厚生よ、福利厚生。あ、もちろん転売は禁止よ?もちろん買うわよね?

kitsune
あれですよね、仕入れすぎたから社内販売で原価で処分するんですよね?同調圧力をかけて買わせるつもりかも知れませんけど、僕らは喋るぬいぐるみってだけなので、お金持ってませんよ。


■社販で買えるモノと買えないモノ

上記のような広告宣伝の側面があるため、どうしても新規投入される商品が社販で購入できるモノとなります。

アパレルの場合は季節を先取りしますので、夏の盛りに秋物の服を購入することはできますが、必要に応じて夏物を購入すると言ったことは難しくなります。

ただし、福利厚生の側面もあるため、家族割引といった制度もあります。お洋服が好きな人にとっては、社内販売は実質的な購買力増加となりますのでお給料以上に得るものがあるかも知れませんね。


関連用語
カフェテリアプラン
BtoE 
経営
2019年1月12日

自己成就予言 | 自分でいった事がそのまま実現するという心理的な効果があるのです

自己成就予言_001
自己成就予言とは、予言されたことを実現するような行動を意識してあるいは無意識に取る事によって、予言通りの結果が生じるという現象のことを言います。

予言されていた状況が起こりそうだとみんなが考えることによって、そのような予言がなければ発生しなかったような事が起こるといったイメージです。

例えば、PPMで負け犬という事業部に位置付けられて人々がやる気を失って本当に負け犬になってしまうといった現象が生じると言われています。

または、ある新入社員を「彼は10年に一人の逸材だ」と言い続けることについても同じような効果があるかもしれません。

周囲もそういった目で彼を見るようになり、難易度の高い仕事をどんどん任せるようになるとします。言われている新入社員自身も、やる気を出してその仕事をどんどん成功させていくとします。

その結果、本当に「10年に一人の逸材」になるかもしれません。

人の心理にはこういった傾向があるため、人を評価する言動には気を付けないとならないのですね。
  • 企業を取り巻くマクロ環境に影響します
この自己成就予言ですが、経営には企業を取り巻くマクロ環境を通じて影響します。

例えば、影響力のあるメディア等が不景気だとあおり立てれば、消費者の財布のひもが固くなって本当に不景気になります。

また、安く商品を提供するお店がいいお店だといった空気感をずっと作っていたら、デフレ傾向のままでした。(デフレ脱却のためにリフレ政策をとっていたのですが、世間の空気感の方が強いらしく、いまいち効果を発揮していません。)

公務員がお給料をもらいすぎていてけしからんとみんなが批判したら、民間の給与もつられて下がってしまいました。

国税庁「民間給与実態統計調査」によると、2000年の平均年収が男女平均で461万円、15年後の2015年が420万円です。

このように予言は結構実現されるのです。
  • 個別企業も油断できない
製品ライフサイクル仮説といった、モノやサービス、事業の成長と衰退を生物に例えて説明する理論があります。

直感的に理解しやすいためか結構浸透しているのですが、この理論に基づく自己成就予言には注意が必要です。

例えば、「この事業はもう成熟していているから」といった説明が企業内で共通認識となると

成熟している→大きな成長は見込めない

といった風な予言となってしまいます。そして、実際に事業は大きく成長できないといった事が起こるのです。

しかし、本当に事業が成熟しているかどうかは誰にもわかりません。本当は、自己成就予言が効いて、無意識に営業活動や技術革新などにブレーキをかけていたことから成長が阻害されているのかもしれません。

例えば、経済産業省の「持続的成長への競争力とインセンディブ」という報告書によると我が国と米国・欧州の企業では、以下のように利益率に差がついています。もちろん規模の違いや重視する経営指標の違いもありますが、利益率に差がある事は厳然たる事実です。

カテゴリー ROE
日本・製造業4.6%
日本・非製造業 6.3%
米国・製造業 28.9%
米国・非製造業 17.6%
欧州・製造業 15.2%
欧州・非製造業 14.8%

出所:「持続的成長への競争力とインセンティブ ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクト (伊藤レポート) 平成26年8月 から抜粋

このような大差をつけられる理由の一つに、我が国の利益率はこんなもんだといった自己成就予言の罠があるのかもしれません。

解説で出てきた用語
カラーバス効果
リフレ
ROE

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経営
2018年12月19日

少数株主 | 大株主でも少数株主になることがあります

少数_001
少数株主とは、ある企業の子会社となっている企業の株主のうち、親会社以外の株主のことを言います。とはいえ、1株だけ持っている個人投資家のイメージではなく、ある程度の割合の株式を保有しており、一定の影響力を会社に対して及ぼすことができる株主のことを言います。

株式の過半数は親会社が持っていますので、事実上経営権は持っていませんが、それ以外の権利は(一応)保有しています。

場合によっては数十パーセントの株式を持つ場合もあり、この場合は株主総会の招集件や役員解任の訴えの提起、会社解散の訴えの提起(否決されると考えられますが)など少数株主権を行使することが可能です。

これらの権利を行使するためには一定の株式を保有することが必要となるため、1株だけ持っている株主にはそれらの権利がないのです。
  • とはいえ
とはいえ、1株しか持っていない企業であっても、自益権といって自己の利益を追求する権利は付与されています。


具体的には、配当を受ける権利や会社が解散した際に残った財産の分配を受ける権利です。

このほかにも物言う株主(アクティビスト)として、影響力を行使することも考えられます。

いずれにしても、このトップ画像のように、たとえ49%の株式を押さえていても、親会社がほかにあれば少数株主となってしまうのです。

■少数株主の保護

会社では大株主の意見が強くなります。このことから、少数株主は究極的には大株主に対して劣位になる存在です。

しかし、これをそのままにしていたら、大株主になれないなら誰も株式投資などしなくなってしまい、金融市場の発展が達成できません。

そのため、少数株主には法律上様々な保護が与えられています。例えば、会社のお金の使い方がおかしい、取締役が権利を濫用し正当に会社運営をしていないような場合、株主代表訴訟を行うことが可能です。

この権利は、会社に変わって少数株主が経営陣の不正行為や損害を与える行為に対して訴えることができる制度となります。

また、株式を一定数持っていれば、会社の会計帳簿を閲覧できたり、取締役の解任請求も可能です(可能だけど必ず要求が通るとは限りません)。これらの権利は株主個人にとっても重要ですが、社会全体にとっても企業統治(コーポレートガバナンス)を健全にすることを通じて良い影響を与えると考えられますね。

財務・会計
2017年11月8日

信用リスク | 相手がお金を返してくれなければ、どんな投資も大損になってしまいます

sinnyou
信用リスクとは取引先等が倒産などの原因でお金を払ってくれなくなるリスクです。取引相手の信用によるリスクなので信用リスクというイメージです。

一般事業者の場合は、上のような説明になりますが有価証券に投資しているような場合はいわゆるデフォルトリスクの事を指します。

と言っても話の筋はほとんど同じです。相手が何らかの原因でお金を返せなくなることから、株式投資の場合は相手企業の破たんに伴って株券が無価値になることを指しますし、社債などの債券投資の場合は相手が返済してくれなくなるといった事を指します。

いずれにしても、お金を貸した相手がお金を返してくれなくなるといったリスクを指す言葉です。
  • リスクはコントロールすることが大切です
このようなリスクはどのような企業と取引をしてもつきものですから、信用リスクをコントロールするために様々な手段を講じる必要があります。

例えば、取引先の業績が悪化傾向にあれば取引を絞っていくことや、支払いサイトを短くしてもらう事を検討する必要があります。

例えば、毎月100万円の取引を3カ月サイトでしていれば300万円ほどは常に売掛金という形で売上債権となっています。その取引を80万円に絞り込み、支払いサイトも2か月にすれば160万円に売上債権が減るので、万が一のことがあったとしても貸し倒れの金額は大幅に抑えることが可能です。

また、金融機関であれば、新規の貸し付けを行わずに通常の返済だけを受け入れれば貸付金は減っていきます

(逆に言うと、このようなことをされる危険性があるため、業績の悪化を隠そうとする企業が多いのです。)

また、証券投資の場合はある程度投資銘柄を分散させる事で信用リスクを分散させることが可能となります。
  • 国の制度でもリスクコントロールできる
また、国の制度で経営セーフティー共済(中小企業倒産防止共済制度)といった制度も用意されており、取引先が倒産した場合に、無担保無保証人で掛け金の最大で10倍まで借り入れることができるというものもあります。

とはいえ、貸倒損失が出るのは避けられませんので、この制度は緊急回避以上のものではありません。そのため、しっかりとした与信管理の方が相対的に重要なのです。

■取引先の信用を調べるための方法

では、この取引先に起因するリスク(カウンターパートリスク)をどのように考えていけばよいでしょうか?言い換えれば、取引先の信用度をどうやって調査、管理(与信管理)していけばいいかということです。

例えば、ニュースで倒産が報じられたりすれば信用リスクが顕在化した事がわかりますが、それでは手遅れです。(とはいえ、ネットでの口コミも重要な調査項目です)

コストを多少かけられるならば信用調査会社(帝国データバンクなど)に信用調査を依頼することも可能です。

また、商業登記などは誰でも見ることができますので、重要な取引先になりそうでしたら法務局で調べることをおすすめします。

そこまででない場合は、国税局の法人番号検索で登記している住所を見ることができますので、その住所にちゃんと建物があるのかどうかを見ることもできますし、社会保険の加入状況を調べることも役立ったりします。

■支払遅延の噂などへの対応

支払が遅れがちとか、社長と連絡を取りにくいなどと言った噂は、結構重要な噂になります。この種の噂が聞こえてきたら、取引額を縮小する、回収サイトの短縮を図るなどの対策を行うことが重要です。

また、何よりそのようなな企業に対しては、請求書の発行を確実に行い、支払が位置日でも遅れたらすぐに連絡を取ることが重要になってきます。

いずれにしても、どんなに売上を上げてもお金を回収でできなければ何の意味もありませんので、どうやって回収するかを常に考えておくことが重要になってくるのですね。

関連用語
クレジットスコアリング
抵当権と根抵当権
情報
2016年3月7日

システムリスク | リスクであるからには、その影響を見積もることができます

システムリスク
システムリスクとは、コンピュータシステムの停止や誤作動、コンピュータの不正使用などにより損失を被るリスクのことです。

何らかの原因で情報システムが誤作動を起こした場合や不正アクセスによって顧客データの紛失した場合などに、企業や個人が損失を被るリスクがこれに当たります。
 
例えば数年前、天災によってある銀行のシステムに障害が起こった際には、システムが復旧するまでに、他行への入金の遅れ、他行からの振り込みの遅れ、ATMの停止、二重振り込みなどの被害が起こり、それにより銀行や消費者が金銭的な損失を受けたことはもちろん、その銀行に対する信頼度も失われ、結果、頭取や執行役員が辞任するという事態になりました。
 
システムの予期せぬトラブルは企業にとって大きなダメージです。システムリスクを軽減させるには、あらゆる障害や災害を想定した上で、機器設備などを二重化し物理的に離れた場所に設置する、データのバックアップを行う、セキュリティシステムを厳格化するなどの対策が必要となります。

二重化しておけば、両方がいっぺんに故障しなければ動作が止まることがなくなるので、リスクを劇的に下げることができます。

例えば、稼働率が99.9%のシステムを二重化する場合、故障する確率は0.1%となります。二重化するということは、0.1%の事象が同時に発生しない限り(つまり二つのシステムがいっぺんに故障しない限り)システムの動作が止まることはないので

0.1%×0.1%で同時に止まる確率を計算することができます。すると同時に故障する確率は 0.0001%となりますので、極めて故障に強くなることが分かると思います。

■リスクと費用を天秤にかけて

このように二重化すればかなりのリスクを排除することが可能となります。ただし、経営資源は無尽蔵ではありませんので、メリハリを効かせて対応をしていくことになります。

例えば、絶対に止まってはいけないシステム(人命にかかわるシステムや止まると自社の存続が危うくなるような経済的な負担を強いられるシステムなど)はありとあらゆる手段を講じて止まることを防ぐ必要があります。

しかし、多少止まったところで、大勢に影響のないシステムといったものも存在します。そういった場合、そこまで費用をかけないといった判断もあり得るのです。

このように、リスクとそれを防ぐための費用を天秤にかけながら、意思決定をしていく必要があるのですね。

関連用語
インターネットバンキング

財務・会計
2015年10月28日

所要運転資金 | 普通に経営するためには運転資金としてお金が必要になります

所要運転資金
所要運転資金とは経常運転資金とも呼ばれ、企業が通常の営業活動を行っていくにあたって必要とされる資金の事を言います。

ここで、必要とされる資金といった通り、儲かるとか儲からないといった利益概念とは全く関係のなく、会社を存続させるための純粋な資金繰りの問題として把握する必要がある考え方です。

(これが不足するといわゆる資金ショートを起こしてしまいます。)

一般的に商品を仕入れて、販売し、それを回収して入金するまでには時間がかかります。また、かといって仕入れてスグにお金を払うわけでもありません。(こういった考え方を回収サイト支払サイトなどと表すこともあります。)

このように、通常に営業していてもお金の入金と支払いにはズレが出てきます。そして、そのズレを埋めるためにいくらお金が必要かを所要運転資金という概念で説明するのです。

■いくら必要なの?

と、通常に営業活動を行うにあたって資金が必要であると言いましたが、具体的にはいくら必要なのでしょうか?

一般的には入金と支払のズレを明らかにするため、以下の計算式を用います。

【所要運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務】

それではこの式を使って、具体的に見ていきましょう。

例えば、毎月平均的に100万円の売上を上げる企業があるとします。この企業は原価率50%で商品を仕入れており、仕入先には仕入の1カ月後に支払い、販売後2か月後に現金を回収します。

また、在庫として、月商の一か月分を常に保持しているとします。

その場合、必要な各要素は以下のように計算できます。

売上債権=100万円×2か月=200万円
(販売後、お金の回収に2か月かかります)

棚卸資産=100万円
(1カ月分の在庫を持つため)

仕入債務=50万円×1カ月
(1か月後に原価率50%で仕入れた商品の代金を支払います)

所要運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務

なので

所要運転資金=200万円+100万円-50万円=250万円

となります。

言い換えると、このようなサイクルを回すためには、250万円のお金を準備しておかないといけませんよといった考え方になります。


 
財務・会計
2015年10月21日

少額減価償却資産 | 少額なら全額その年の経費にしても良いよといった制度です

少額減価償却資産
少額減価償却資産とは、一年未満しか使えない資産や、単価が10万円未満の資産を指す言葉です。

なお、中小企業については上の10万円未満という要件が平成28年3月31日までに取得した資産については、30万円未満に引き上げられています。【平成27年4月1日現在】
 
さて、このような特例を設けるくらいですから、通常の固定資産との違いがあるはずです。

通常の固定資産の場合、減価償却といった手続きを経て、徐々にしか費用化することができません。

例えば、25万円の営業用の機械を購入したとしても、税務上それが5年使えると税法上で判断されているような場合、年間(12か月)で5万円しか損金(税務上の費用)にできません。

そのため、「えっ、利益を圧縮するために年度末に駆け込みで機械をかったけど、4,167円(250,000×0.2(償却率)÷12×1(ひと月分))しか損金にできないの?」といった事が起こり得るのです。

しかしながら、少額減価償却資産として扱われるような資産は購入した年度に『全額』損金とすることができます。

つまり、上の例では、25万円を全額損金にできるのです。

■この特例は制限なくできるの?

さて、このような特例を活用できれば、「じゃあ数千万単位の利益が出そうになったら、30万円未満の資産を沢山買えば利益を圧縮できそうですね。」と思う方もいると思います。

しかし、このような特例を際限なく認めていたら税収の確保が難しくなってしまいますので一定の歯止めがかかっています。

そのため、この特例を用いることができるのは、年間300万円を上限とするといったルールがあります。

どういう事かというと、26万円の固定資産ならば11ケまでならば286万円なので、全額購入した年の損金にできますが、12ケ購入すると累計額が312万円となり300万円を超えてしまいうといったルールです。

なお、通常の少額減価償却資産(一年未満しか使えない資産や、単価が10万円未満の資産)の場合、このような制限はありませんので、9万円の機械はいくら購入してもその年の損金とすることができます。

■経費を使うと節税になるってどういう事?

個別具体的な案件の相談はぜひ税理士さんにしてもらいたいのですが、一般論として経費と税金の関係を整理していきます。

仕事で使う器具備品はよく「経費」と言われますが、税法上も会計上もある程度の金額のものは一括で経費にしない(できない)というのは上で述べたとおりです。

また、結局お金を使うわけですから節税と言われてもピンっとこない方もいるかも知れません。

そこで一つ例を示してみます。事例を単純にするため、この企業は25万円だけ利益が出る見込みとして、上の例の25万円の営業用機械を購入する場合を考えてみます。

■少額減価償却資産制度を利用できなかった場合

例えば、上の例のように年末に駆け込みで買って4000円程度しか税務上の経費(損金)にならなかった場合は(減価償却の考え方がありますので)

今期の利益は

250,000円-4,000円=246,000円

税率を40%として考えると

98,400円が税金となります。

現金の流れで考えれば、

250,000円の機械を買って、98,400円の税金を支払う必要があるので348,400円のキャッシュアウトがある点に注意が必要です。

■少額減価償却資産制度を利用した場合

同じ例で考えると

今期の利益は

250,000円-250,000円=0円

税金は0円になります。

現金の流れで考えれば、

250,000円の機械を買って、税金は0円なのでキャッシュアウトは250,000円だけで済みます。

■(金利を無視すれば)長い目で見れば一緒になります

さて、この例から少額減価償却資産制度を用いた方が得になると思うかも知れませんが、少額減価償却資産制度を利用しなかった場合、複数年に亘って減価償却を行うことで、利益の圧縮の恩恵を受けられますので、長い目で見れば一緒にはなります。

ただし、必要な設備投資は行ったほうがその後の生産性はアップするため、一般論で言えば早期に費用かできる税制上の措置は得になってくるのです。

関連用語
一括償却資産

 
経営
2015年10月5日

純粋持株会社 | ○○ホールディングスといったかつては禁止されていた企業形態があります

純粋持株会社
純粋持株会社とは、みずからは本業となる事業を営まずに、他の会社を支配することを目的として営まれる会社のことを言います。
この純粋持株会社は○○ホールディングスといった企業のイメージで、自社では事業を行わずに、株式を持って他社を支配することを仕事としている感じです。


このような持株会社は、かつては禁止されていました。というのも、巨大な企業グループが生まれると、公正な競争が阻害されると考えられていたからです。(事業持株会社は従来から認められていました。)

戦前の財閥のような巨大企業グループが再び生まれないようにとの意図で、独占禁止法で禁止していたのです。

しかし、このような制限を加えることで様々な弊害が生じてきたため、解禁されたとの経緯があるのです。

■グループ経営

このような持株会社を立ち上げる事により、M&Aなどがやりやすくなるといったメリットがあります。

というのは、純粋持株会社が親会社とはなりますが、子会社間は並列の関係となるため、買収される方の企業の抵抗感が薄れますし(ある日、自社がライバル企業の傘下に入るよりも、共同で親会社としての純粋持株会社を立ち上げる方が心理的な抵抗感は少なくなりますよね)、あくまで別会社になるので、良くも悪くも旧会社の人事制度を温存できます。

また、こういった合併ができれば、範囲の経済規模の経済を獲得することにもつながりますしその結果、シナジーを獲得することもできます。

このように、純粋持株会社にはとても強力なメリットがあるのですね。
経営
2015年10月4日

事業持株会社 | ニュースでよく出てくる持株会社にも色々な種類があるのです

事業持株会社
事業持株会社とは、自らも本業となる事業を行っており、さらに、他の企業の株式を持って、他の企業を支配している企業のことを言います。

イメージとしては、親会社といった感じですね。

例えば、石川島播磨重工といった自ら事業を行っている大企業のような感じです。(自らも事業を運営していますし、IHI運搬機械などといった企業を支配しています。)このような企業は自らも事業を運営していますし、さらに持株会社として子会社の株式を持って支配しています。

また、自動車メーカーが子会社の部品メーカを支配する、商社が子会社としていろいろな事業を行っている企業を支配するといった形がこの事業持株会社に該当します。

あまり持株会社という言葉で連想できる形と、合致していませんが、このように、事業持株会社といった分類があるのです。

このような事業持株会社は、自社でやっていた事業を子会社として独立させたり、別会社を買収したりすることにより生まれます。

■事業を行わない持株会社もあります

さて、事業持株会社と言う用語がわざわざ用意されているという事は、事業を行わない持株会社もあるという事の裏返しです。

そして、自社は事業を行わないような持株会社を純粋持ち株会社と言います。

単に持株会社という場合には、こちらの純粋持株会社の形態を指す事が多いので注意が必要ですね。
経済学
2015年7月17日

信用財 | 判断ができないモノについては、信用するか否かが問われます

信用財
信用財とは、製品やサービスを利用した後であっても、その製品やサービスの品質が良いものであるか判断できない。ある意味、供給側を信用するしかないような財のことを言います。英語ではcredence goodsなどと表記されます。

例えばお医者さんの診療を考えてみたいと思います。前回皆様が利用したお医者さんの医療サービスはどうだったでしょうか?

「まあ、風邪がちゃんと治ったから良かったんじゃないの?」といったくらいにあやふやな判断しかできないと思われるのですがいかがでしょうか?本当に自信を持って判断することができるでしょうか?

また、いわゆる士業が提供するような法律や税務、企業コンサルサービスについても信用財となります。あなたの会社があるコンサルにお願いして業績を伸ばしたとして、果たしてそれが本当にそのコンサルの手腕によるものか、偶然なのか。それとも、コンサルのアドバイスは単なるきっかけに過ぎなかったのかは誰にもわからないですから。

このように、財を購入・利用したとしてもその本質を消費者が判別できない。根本的に提供者を信用するしかないといった財が世の中には存在するのです。

■口コミや第三者の保証で信用財の信用を担保する?

買い物をするときに口コミやレビューを見る方は多いと思います。これは信用財に対して、あらかじめ使ったことがある人の意見を参考にして不安を和らげるための方法になります。

また、安心マークとか、認証マークがついていればそれらのマークが付いていない場合より安心できると思います。

このように、第三者の評価や認証などは、利用したあとに「もっと良いアドバイスを受けられた可能性があったのでは?」と考えられるような分野については、こういった外部評価指標が参考になります。

完全な保証にはならないものの、比較する際の一つの要素として一定の機能をこういった認証や評価制度が持っています。

本来は、士業は一定の能力を持っているという国からの認証になりますので、経営相談はお近くの中小企業診断士へお願いしますね。(こういうのをポジショントークといいます。)

関連用語
探索財
経験財
マーケティング
2015年3月30日

純広告 | 純粋な広告と言っても、内容が純粋なわけではありません

純広告
純広告とは、特定の広告代理店等を経由せずに直接特定の媒体に掲載されるような広告のことを言います。

例えば、この『まんがで気軽に経営用語』が「もっとゴルフをやる人に見てもらいたいな」と考えたとします。(あくまで例ですよ)

その場合、ゴルフ関係の用語を書くのにプラスして、広告で「こんなサイトがあるよ」といった風に知らせていくという手が使えますよね?

その際に、広告会社に依頼して一斉に広告を配信するといった通常の広告と、特定の媒体に直接「実はこんな事をやっているサイトなんですが、広告の掲載をお願いできますか?」といった風に交渉し、広告を掲載するといった方法の二通りが考えられます。

一般的に、広告代理店に依頼すれば、クリック課金である、クリック保証型広告や、みられる回数を保証してくれるインプレッション保証型広告といった方法を採ることになるのですが、直接交渉の純広告はどのような方法であっても採る事ができます。(相対の交渉ですからね。)

そのため、月額いくらの月極といった料金体系を取る事も可能になるのです。

■純広告の効果測定は可能か

純広告はネット広告風に言えばリーチ保証をしてくれます。特定のメディアや媒体での露出を確保できるのが強みとなります。

しかし、ディスプレイ広告やリスティング広告のようにCTRやCVRを測定しにくいケースが多くなります。

このあたりは、ネット広告であれば特定のLPにアクセスが来るように設計すればある程度測定することが可能です。ただ、設計によってはそれも難しい場合もあるので、中長期的なブランディング効果を重視していくときに用いると良いでしょう。

特に、ブランドを知ってもらうことには意外なほど大きな効果があったりします。BtoB企業などは潜在顧客に(意思決定者も究極的には一消費者ですから、一般向けの広告を目にします)認知してもらうことに通じるのです。

■純広告の注意点など

純広告は、自分の出したい媒体に直接依頼をして広告を出すことができる仕組みです。そのため、掲載場所や掲載期間などを交渉することができます。

他方で、本質的に自由度が高いため広告効果の計測は困難になります。

広告を出す媒体によってはインプレッション数さえ提供されないため、効果測定が難しいだけでなく、最低限いつまで広告を出せばいいかなどの最低有効フリークエンシーも、これ以上出しても広告効果が飽和してしまっているという最高有効フリークエンシーもわからなかったりします。

その上さらに、広告費の基準もバラバラになっているので、経験が薄いと相場と全く関係のない価格で契約してしまうリスクもあります。

また、広告を出す媒体のコンテクストを理解していないと、読者に逆に悪い印象を与えてしまうリスクも存在しているのです。

これらのことから、純広告を用いる場合は、媒体のもつイメージ、読者の属性、交渉条件などにも気を使って自社の広告を位置づけていくことが重要なのです。

法務・支援施策
2015年2月2日

小規模事業者持続化補助金 | 長い名前ですが事業の3分の2、50万円まで補助金をだすという制度です

小規模事業者持続化補助金
『小規模事業者持続化補助金』とは持続化補助金とも呼ばれており、経営計画を立てそれに基づいて実施される取り組み(販路の開拓等、事業が持続するために必要とされる事業)に対して3分の2、上限50万円で補助金を出しましょうという事業です。

平成25年度の補正予算で始まり(実際には平成26年の2月27日から募集開始でした。年度が分かりにくいですね…)、平成27年の2月から再び募集する予定の補助金になります。

この記述を読んでピンときた方は、お近くの商工会・商工会議所、中小企業診断士にご相談ください。(中小企業診断士のくだりはポジショントークです。最終的にはお近くの商工会・商工会議所に提出することになります。)

さて、おそらくよく分からないと思いますので、思い切ってどんな制度であるかを意訳していきます。
  • 小規模事業者に
まず、『小規模事業者』とついているところに注意をしてください。すなわち、従業員数20人以下の会社(小売・卸売・サービス業は5人以下)が対象となっているのですね。

だから、「50万円をもらえるなら、ありがたいな。」などと言って、トヨタやソニーなどの大企業が申し込んだとしても対象にはならないのです。(まあ、申し込もうと思わないでしょうけどね)

ただ、中小企業として定義されるような会社であってもこの小規模事業者には該当しないケースはあり得ます。中小企業は業種によって異なりますが、従業員300名以下から50人以下と定義されていますので「ウチは中小企業だから、持続化補助金に当然申し込めるよね。」と言われても該当しない場合もあるのです。

(中小企業の定義には資本金の要件もあります。資本金100億円で従業員が50人の場合は、業種に寄らず中小企業ではありません。これは直感的に理解できますよね?)
  • 持続化、持続するために
次に、『持続化』とあるところに注目します。持続とあるからには、続けていく事に主眼を置いているという意味になります。

中小企業庁は『販路拡大に取り組む事業』と言っていますが、実際は事業を持続発展させるための取組に対して補助されると考えてもらって大丈夫です。

「事業を続けるためにはお客様に来てもらって売り上げを獲得しないとね☆」くらいに意訳して運用されているイメージですね。

そして、お客様を増やすための取り組みで良いので、「看板をなおす(野外広告とかですね)」「チラシを打つ」「新製品を開発する」といった分かりやすいものから「お店の中のトイレを直す(和式トイレだと膝の悪い高齢のお客様にとってはつらいですからね)」といった取り組みに対して補助を出して応援しましょうというものです。
  • 補助金って?
最後に『補助金』という言葉です。「補助金?返さなくてもいいお金だよね。」と思われた方、正解です。そうなんです、基本的にもらえるお金なのです。

とても有利ですよね。そのため、上手く条件に合致するのであれば是非申し込まれることをお勧めします。

但し、『補助金』という言葉には、他にも注意点があります。それは、「補助金支給が決まってから行った事業しか補助されない。」「基本的に精算払いになる」という事です。
 
これはどういう事かというと、補助金申請を出したとしても、正式に決まるまでその事業に着手してはならないという事です。

例えば、「看板を作りたいから補助金を申請しよう。」と考え、苦労して補助金の申請書を作ったとします。でも、正式に決定通知があるまでは看板を作ってはならないという事です。

そのため、補助金には応募から採択までのタイムラグがあるという事を知っておいた方が良いのです。(冷蔵庫が壊れたから補助金で買い換えようと考えても、採択されるまでの間、どうするかを考えなければならないのですね。)

また、精算払いという事にも注意が必要です。つまり、一旦は補助金が出る分についても立て替えて払っておく必要があるのですね。
  • 採択されるコツを書いちゃいます
さて、採用されるためのコツを、読者の皆様のために思い切って書いてしまいます。以下のような視点で採点されるのでそこを心がけて計画書を作ると非常に採択率が上がります。

まずは、前提条件として以下の点を押さえる必要があります。
補助事業を遂行するために必要な能力を有すること
小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組で
あること
そのうえで、次の点を押さえられれば加点されます。

①自社の経営状況分析の妥当性
 ◇自社の製品・サービスや自社の強みを適切に把握しているか。
②経営方針・目標と今後のプランの適切性
 ◇経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえたものとなっているか。
 ◇経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場の特性を踏まえているか。
③事業計画の有効性
 ◇事業計画は具体的で、実現可能性が高いものとなっているか。
 ◇事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。
 ◇事業計画に創意工夫の特徴があるか。
 ◇小規模事業者の活力を引き出すモデル事例となり、他の事業者の参考、励みになりえるか。
④積算の透明・適切性
 ◇事業費積算が明確で、事業実施に必要なものとなっているか。

 『小規模事業者持続化補助金 特設サイト内 募集要項より引用』https://www.jizokukahojokin.info/
さて、このように採点基準をかくと、「あれ、どこかの内部事情なのかな?」と思われた方もいるかもしれません。ただ、残念ですがこの情報は別に内部事情でも秘密を洩らしたわけでもありません。

このお話は、募集要項にしっかりと明記されているものになります。だから、ココを読んだからと言ってもすごーく有利になるという事はありません。(明記されている事なので引用の形式をとっています)

ただ、意外と募集要項などはしっかり読んでいる人が少ないものですので、補助金の利用を思い立った場合、しっかりと募集要項を読まれることをお勧めします。

また、繰り返しになりますが、お近くの商工会・商工会議所、中小企業診断士に相談してみるのが一番早いと思います。

あなたに説明してくれる人は、これらの募集要項はちゃんと読んでいるのでこの辺のポイントについては押さえて書類を一緒に書いてくれるはずですから。(読んでいますよね?)

なお、新しい募集要項が公表されましたら、募集期間についても追記します。 
法務・支援施策
2015年1月26日

授権資本 | 取締役会決議で発行可能な株式数です(定款で定められます)

授権資本
授権資本とは、定款に定める株式の範囲内ならば、会社は取締役会決議で株式を発行することができるという制度です。

このように説明すると「あれ?株式を発行すれば会社は自己資本が増えるから、会社にとってはいいことなんだよね?だったら別に定款で定める必要なんかあるのかな?」と思われる方がいるかもしれませんね。

しかし、定款であらかじめ発行できる株式の総数を定めておくという事はある種の利害関係者(ステークホルダー)にとっては非常に重要なことなのです。
  • 株式が自由に発行できた場合
さて、株式が自由に発行された場合に困る人は誰でしょうか?

債権者はどうでしょうか?この人たちは自己資本が充実すれば、債権を回収し損ねる可能性が減るので特に困りませんよね?それでは、従業員はどうでしょう?また、課税当局は?取引先は?この人たちにとっても特に影響はなさそうです。

このように、株式が自由に発行されたとしても、あまり影響はなさそうですが、困る人たちもいるのです。

それは、企業の株主さんです。この人たちは自分の持っている株の価値が薄まるという可能性があります。(希薄化といいます)

しかし、株主の保護に主眼を置いて、ワザワザ株式の発行の度に株主総会を開催しなければならないとなると、資金調達が迅速に行えなくなるといった弊害が出てきます。

そのため、授権株式制度というものを作り、資金調達を取締役会の決議で迅速に行えるようにしつつ、株主の利益を守るといった方策が採られているのです。

経済学
2015年1月5日

資本取引(経済) | 国際的な資本の流れを示す言葉です。同じ言葉で企業会計用語もあります。

資本取引(経済)
資本取引(経済)とは、外国との金融取引を示す言葉で、モノやサービスを媒介とせず、直接に資本のみが動くことを指します。

通常の貿易では、モノやサービスを売り買いすることによってその対価としてお金(資本)が動きます。しかし、資本取引の場合、こういったモノやサービスの対価としてお金を動かすのではなく、直接お金のやり取りをするという事です。

例えば、外国の人と株式や社債などの金融証券を売り買いしたりするものとなります。

この場合、別に財(モノ)やサービスの対価としてお金をやり取りしているわけでなく、単に資本をやり取りしているだけなので、資本の取引(資本取引)としているのですね。
 
また、株式や社債などをやり取りするだけでなく、金融派生商品を用いた取引や、現金の預金、貸付等も含まれます。これから成長が見込める国の企業の株式を購入する、高利回りが見込める債権を購入するといった投資行動をマクロでみると資本取引に分類されるのですね。

なお、このまんがにもあるように、資本取引という言葉は会計でも使います。それはコチラ(資本取引 企業会計)を参照してくださいね。

法務・支援施策
2014年12月17日

自益権 | 自分の利益を追求するという大切な株主の権利です

自益権
自益権とは、株式会社の株主の権利として、自分の利益を追求するための権利の事を言います。端的に言うと、『自』分の利『益』を受ける『権』利から自益権なのですね。


株式会社の株主はボランティアで出資しているわけではなく、自らの経済的な利益を追求するために、株式に投資しているわけですから、こういった権利が認められなければそもそも制度が成り立たないと考えられます。
  • 具体的には
さて、具体的に自益権とはどのような権利でしょうか?以下、見ていきたいと思います。

まずは、配当を受け取る権利が挙げられます。これは「利益配当請求権」と呼ばれ、会社が儲かったときにその分け前を得るための権利です。インカムゲインを受ける権利ですね。

また、「残余財産分配請求権」といったモノもあります。こちらは、企業が解散するような事態になった際に、すべての債務を弁済した後に残る資産の分配を受ける権利です。

とこのように書くと、純資産の額を株主みんなで分けるような印象となりますが(貸借対照表上の資産から負債を引いたモノが純資産(自己資本)です)、換金できない資産もあれば、含み損益もあるので残念ながら一致しません。

このような権利は、行使すると株主自らの利益となるので自益権と呼ばれるのですね。

また、このほかに、株主が行使することによって自分だけではなく株主全体が利益を得ると考えられる共益権というものもあります。

■自益権の行使にはルールがあります

さて、このような自分のための権利ですが、自由に好き勝手に使うことができるわけではないという点に注意が必要です。

例えば、株主の立場からすると「配当をもっと出してほしい」と主張することは可能ですが、自分だけに配当を出してもらうわけにはいきません(株主は平等に取り扱う必要があります)。そのため、株主総会での決議で配当金額を決めることとなります。

また、株主総会で決めれば配当を際限なく出していいのかという問題もあります。会社にお金を貸している債権者からするとどうでしょうか?貸しているお金が株主の権利だけを保護して、回収できなくなると困りますよね。

そして、大きく考えればそのような株主の行為がまかり通るようでは、誰も会社にお金を貸す人がいなくなってしまい、社会全体の経済が損なわれてしまいます。

そのため、会社法で決まっている分配可能額の範囲内でしか配当をすることができなくなっているのです。

このように、自益権は会社の存続を脅かさない範囲かつほかの株主と公平性を保った枠組みで制限付きで行使できる権利となります。
経営
2014年9月17日

資源ベース論 | 経営資源が企業の競争力を決めるのです

資源ベース論
資源ベース論とは、自社内の保有している経営資源の差が競争力の差であるという考え方のことを言います。つまり、「良いものを持っている方が強い!」という発想ですね。

このような考え方は、良い経営資源を獲得することが勝利につながるという事につながっているため、理解しやすいと思います。

すなわち、競争相手に勝つためには、良い人材を確保し、良い技術を獲得し、良いブランドを構築する事が大切である。日々の努力が重要であり、その結果、競争優位が得られるという考え方です。

例えば、企業広告をだして企業のイメージアップや知名度アップを図ることも経営資源の獲得に繋がりますし、様々な取り組みを行って経営資源を拡充していく必要があります。

強いブランド力を持っていればそれを持っていない企業よりも優位ですし、高い技術力があればそれが無い企業よりも優位に立つという「言われてみればそうだよね…」という風な考え方ですね。

これに対し、企業外部の環境に着目した考え方としてファイブフォースモデルがあります。 

■強い資源とはー持続的競争優位

資源ベース論では、強い経営資源を持っている事業が強いと考えます。ある意味当たり前ですが、では強い資源とは何でしょうか?

これはVRIO分析の枠組みで考えられるものとなります。

詳細は、リンクを参照してもらうとして、以下のような枠組みになります。

・価値があるか?(Value)
・希少性(Rarity)
・模倣が困難(Inimitability)
・組織的に活かせるか(Organization)

これらを満たす経営資源が強いと考えられます。

簡単な例を出すならば、有名キャラクターがあげられます。

それは、経済的価値があり(キャラクターがついているグッズは通常より高く売れます)、希少であり(キャラクターは基本的に一点ものです)、模倣が困難で(著作権や意匠、商標などで守られます)、組織化されています(キャラクターを活かす組織ができています)。といった強みがあります。

有名キャラクター(具体名はあげませんが)はこの枠組みで考えればとても強いものであるのが想像できると思います。

■その資源は形があるの?

この資源は、最初にキャラクターという目に見えるモノをあげましたが、目に見えるものであれば独自の器具備品なども経営資源となります。

また、これらとは逆に、目に見えない経営資源というものも考えられます。

組織に蓄積されたノウハウやブランドなどは目に見えない経営資源です。そして、目に見えないからこそ、模倣がとても難しくなります。老舗のブランドなんかは決して模倣できない種類の経営資源ですし、社長の持つ人脈や業界のネットワークなども模倣が困難だったりします。

また、この蓄積された技術などはコア・コンピタンスといって核心となる強みに昇華されるケースがあります。

例えば、エンジンを作るのがとても上手い会社は、模倣することが困難ですし、広い分野に応用する事ができる技術です。そしてその技術は継続的に企業の優位性の源泉となるのです。

関連用語
経済学
2014年7月16日

人口オーナス | 人口構成が経済の重荷になることもあります

人口オーナス
人口オーナスとは、人口構成が経済成長の重荷(onus:オーナス)になっている状態を指す言葉です。具体的には従属人口指数が高い状態、すなわち、子どもや高齢者などの働き手ではない人たちの比率が高い状態を指します。

イメージとしては、いわゆる現役世代の人が少なく、子どもや高齢者を少ない働き手で支える必要がある状態になります。

このような状態となると「社会を支える人たちが少ないから、働いている人が沢山社会保障費を負担してね」といった状態となり、働く世代の可処分所得が減少します。

年金制度に支払うお金や健康保険にかかるお金、社会保障のための財源と称した税金がどんどん上がっていくような状況ですから、同じだけ稼いでいても自分が使えるお金はどんどん減っていってしまいますよね。

そして、可処分所得が減ってしまえばモノやサービスは売れにくくなりますし、国全体で見れば、経済成長に役立つようなインフラ投資などに税収を振り分けることが難しくなってしまいます。

従属人口指数が高くなると、このような現象が発生すると考えられるため、経済成長の重荷になってしまいそうですよね。

そして、このように人口構成が経済成長の重荷になるような状態を人口ボーナスの逆、人口オーナスと呼ぶのです。

■人口オーナスを緩和するためには

このような人口オーナスは、働き手が少なく、支えないといけない人が多くなるという負担の大きな状況です。

ではこの負担を減らすためにはどうすればよいでしょうか?まずは、労働参加率の引き上げ、言い換えれば働き手を増やすことです。例えば介護や子育てで働くことが難しかった人が安心して働くことができることを目指すことが大切です。

介護をしながらでも働き続けることができる制度(例えばフルタイム勤務以外での時短勤務や週3日勤務を認める。これを国が制度として推進する)等を作ることで、安心して働きながら介護をすることが可能となります。

ちゃんと制度を整えることは、その制度を利用する人の為でもありますが、働き手を増やし社会を支えるという、社会全体でも大切なことなのです。

また、生産性向上も鍵となります。新しい技術を活用して一人あたりの働く力を高めることと言い換えることができます。

例えば、従来は1の力を出せていた人が1.5の力を出せるようになれば、1.5人分の働き手であるのと同じですからね。

このように、働く人数を増やす工夫と、一人ひとりの働く力を高める工夫。これらの工夫をしっかりとやっていくことが重要なのです。


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