参入阻止価格は、後発の同業企業が同じ市場に参入できないよう意識的に低く設定された商品や製品・サービスの価格を指します。
意図的にというところがポイントで、イノベーションの余地が少ない業種・業界で用いられることが多い価格政策となります。
- 先発企業にとっては
先発企業はすでにその商品・製品やサービスについて相当量を供給しているため、経験曲線効果によってコストが低減されています。(同じものなら累積でたくさん作っている企業の方がコストが安いという経験則)
また、これから参入してくる企業よりも生産設備等の規模が大きいのが普通ですから規模の経済も効きます。
そのため、先発企業がその優位性を生かすために、あえてもうけを少なくしてでも安く供給するといった価格戦略となります。
主な目的は、後発企業の参入を阻止して市場シェアを維持することがです。
- どのくらいの価格に設定するかの判断はむつかしい
顧客にとっては低価格であることがメリットとなり、商品やサービスを購入してもらう機会が増えます。
しかし、あまりにも安く設定しすぎると、利益を圧迫してしまい、赤字になることも考えられます。
そのため、この参入阻止価格をつける場合、採算ぎりぎりの価格設定になることが一般的だといわれています。なお、相手側のコスト構造が予想できるのなら、相手の採算ラインを下回るギリギリの線にできれば利益を最大化することができます。
- 根拠のない参入阻止価格は自分の首を絞めます
前述のような経済的効果(規模の経済・経験曲線効果)などをしっかりと織り込み、戦略的に参入阻止価格を設定するならば許容されます。また、あえて低価格をつけることで長期的に競争者が現れなかった場合の利潤が、短期的に高収益を上げる事よりも望ましいと判断できるのならば、こういった方策はありでしょう。
しかし、あまり計画性を持たずに実施した場合には、その製品群は低収益となってしまいますし、一般的には、一度下げた価格は再び上げることはむつかしいため、もしこのような価格政策を実行する場合にはよく考えて対応する必要があります。
なお、あえて価格を安くするという点ではぺネトレイティングプライスに似ていますが、目的が違います。
なお、あえて価格を安くするという点ではぺネトレイティングプライスに似ていますが、目的が違います。