まんがで気軽に経済用語

「知らないから動けない」をなくしたい。 中小企業診断士が、現場視点で経営用語をまんがでわかりやすく解説しています。 読むことで、生産性が上がり、心に余裕が生まれ、社会全体がちょっと良くなる。そんな循環を目指しています。

マーケティング
2025年9月30日

カニバリゼーション

カニバリゼーション_001
カニバリゼーション(cannibalization)とは、新商品が自社の既存の商品の売り上げを下げてしまうような、共食い現象のことを言います。

例えば、会計システムを主力としているような企業が売り上げの拡大をもくろみ、ある程度機能を制限した廉価版を販売したところ、既存商品のユーザが廉価版の商品に流れ、かえって全体の売り上げが低下するようなケ
ースがあります。

投入した新商品が既存の商品と同じようなターゲット顧客に同じようなモノを販売しようとしている場合に強くこの影響が出ると言われています。

差がよくわからない二つの製品があった場合、安価な方を選んでしまいますよね。それと同じことが起こるということです。

このまんがでは、1コマ目で職員をターゲットとしたお弁当の売り上げがとても良いため、2コマ目で学生さんへもちょっと安くして量を増やした同じような商品を販売していきたいと言っています。

発売した結果、売上数量が増えたのでしょうか、3コマ目でとても忙しそうにしています。ただし、客単価はとても下がったと言っており、結果として売上高は増えたかどうか不明です。場合によっては、安いものばかり売れてしまい、全体の売上高は下がっているかもしれないです。

4コマ目のように新しいお弁当が、元々あったお弁当の売上を食べてしまった、共食いのイメージがカニバリゼーションのイメージとなります。

■カニバリゼーションを防ぐ方法は

このような共食いですから、基本的にはマイナスになります。そして、このカニバリゼーションを防ぐことは、ビジネスにとってとても大切な考え方になります。(だって、味方が同士討ちしていたら勝負になりませんからね)

基本的には「似ている」商品やサービスを市場に投入することでカニバリゼーションは発生してしまいます。固く言えば新商品を既存商品と同一市場セグメントに投入するといった整理になります。


この事を逆に考えれば、「選ぶ理由」とか「魅力」をちょっとずらす事がカニバリゼーションを防ぐヒントとなります。

例えば、「大盛りの牛丼」であれば、ちょっと小さめのサイズを提供することで「小腹を満たしたり」重要な仕事の前に「満腹は避けたいけどお腹になにか入れておきたい」と言ったニーズに答えることができるかも知れません。

これは同じ牛丼という商品ですが、サイズを変えることで違う魅力をもたらすということができるという例です。

また、売るターゲットをずらすのも効果的です。例えば、学生向けとビジネスパーソン向けの商品として正確を明確にして売り出せれば同じような商品でも違った魅力を打ち出し、カニバリゼーションを防ぐことができるのです。

このターゲットずらしは、結構行われていて高級ラインと廉価場なラインを分けるなどというのを見たことがあるかたも多いと思います。アパレルなどでは「〇〇レーベル」とか「〇〇『ブランド名』」などブランド名を想起させる文言入れつつちょっと変えるといった事が行われています。

■逆にあえてカニバリゼーションを起こすケース

この他に、商売というのは面白いものであえてカニバリゼーションを起こして自社で顧客を取り合うという作戦もありえます。

例えば、家電やスマホはあえて旧機種と新機種を競合させて競わせるといったことがあります。当然旧機種の売上は新機種に相当部分取られますし、新機種の側も旧機種でいいと考える顧客を取り逃がします。

しかし、会社全体では市場シェアを維持することができたりするのです。

また、製品ライフサイクルで考えれば成熟期に入った後には、衰退が待っていると予測されますので、新たな製品をカニバリゼーションを恐れずに投入していくことが行われます。

そして、新旧製品を合わせて市場を確保していく事が行われます。

また、カニバリゼーションを恐れない作戦の一つの極端な例としてはコンビニエンスストアなどがやるドミナント戦略もあげられます。これは、既存店と新店舗が競合しても面的に商圏をおさえられればいいという割り切った考え方となっています。

初出:2011/09/28
更新:2025/09/30
マーケティング
2025年7月27日

価格閾値

価格閾値_001
価格閾値とはある財を購入する際に消費者が買ってみたいと思う最高価格と最低価格の事を言います。ここで閾値とは「いきち」(しきいち」でも可らしいです)と読み、境界となる値の事です。

高い方に閾値があるのはなんとなく理解できますが、低い方にも閾値があるのはちょっと意外ですよね?

■価格閾値の具体例

例えば、あなたが1万円くらいの腕時計をほしいと思ったとします。この時ほしいと思って調べた時計の価格が思っていた価格の20倍の20万円するとしたらどうしますか?ほしいと思わなくなりますよね。

逆に調べていた時計が100円だったら安っぽすぎていらないと感じると思います。もっと踏み込んで言ってしまえば、安すぎるため品質が信用できないですよね?

このように、消費者は価格帯の相場感をなんとなく持っており、欲しいと感じる価格帯には上限と下限があるのです。


スクリーンショット 2025-07-27 090439

■まんがの例と価格閾値

このまんがではメガネ君がPCをほしいと思っていたようで、店員さんに価格を確認しています。すると、最初はハイエンド機を提案されたらしく100万円もするPCだったようです。

これは彼の価格閾値の上限を超えていたようで、そんなに高いものはいらないと言いました。

その後、次は千円の処分品を提案されたようです。こちらは彼の価格閾値の下限を下回っていたため、メガネ君はどちらもいらないと感じたようです。このように、ある程度の範囲に入った価格でないと消費者は財を欲しいと思わなくなってしまいます。

価格にはシグナル効果(消費者が品質を厳密に判断できない場合は値段で判断する≒安すぎるのは怪しい)もあるので、妥当な判断だと思われます。(合わせて読みたい用語:価格のシグナル効果

■価格閾値が実務に活かされる場面

このような価格閾値は、企業が商品価格を設定するうえで重要なヒントとなります。

たとえば、おまんじゅう屋さんが新商品を発売する際、200円で売りたいと思っていたとしましょう。

しかし、消費者調査の結果「150円までは気軽に買えるが、それ以上だと迷う」という声が多ければ、その150円が価格閾値ということになります。

このような調査結果を踏まえ、実際には「148円」などの端数価格で販売されることもよくあります。これは、心理的に「ギリギリ安い」と感じてもらうためです。

また、価格閾値はブランド力や購買体験によっても変動します。高級ブランドであれば、むしろ「安すぎると不安」と感じられてしまうこともあり、最低価格の方が意識されるのです。

また、この例のように、ブランド品でなくとも、安すぎると不安となる心理は理解いただけると思います。

価格を考えるうえでは、単なるコストを積み上げ計算して算出するのも重要ですが、こうした心理的な価格帯の認識(閾値)を探ることが成功のカギとなります。

逆に言えば、上のおまんじゅうの例は、150円で売るために何をするかと考えていく必要があるのです。(ちょっと小さくしたり、包装を簡略化したり、場合によっては材料の質をちょっと落としたりと考えるのです。)

あわせて読みたい経営用語
値ごろ感
プライスレンジ
端数価格
心理的価格政策

初出:2012/05/12
更新:2025/07/27

財務・会計
2025年7月10日

回収サイト

回収サイト_001
回収サイトとは、取引先から資金を回収するために必要な期間の事を言います。

事業を営んでいると売上が上がったとしても、スグにお金を回収できないケースが発生するため、この回収サイトについて考えておく必要があるのです。

例えば、あなたが小売業をやっていて「おまんじゅう」を売ったとします。お金はどうなるでしょうか?通常はその場で受け取れますよね?

でも、あなたが卸売業をやっていて「おまんじゅう」を小売業に卸したとします。その場合、現金の回収条件は「二十日締めの翌月末払い」とか言われます。

これは、売上高を二十日に締めて(集計して)翌月末に支払ってもらうという事を意味しています。

つまり、今日卸した「おまんじゅう」の代金はスグには受け取れないわけなのですね。

いくらたくさん売り上げたからと言って、現金が回収できないのであれば、自分の支払に回すことができませんよね。

そのため、この回収サイトと支払サイトに気を付けないと現金が足りなくなってしまい、事業の継続が難しくなってしまうのです。(このような状態を資金ショートと言います。)

関連用語
黒字倒産 

■回収サイトが長いとどうなるの?

上で言っている通り、たとえ売上が順調に伸びたとしても「現金」が手元に入ってこないととても困ることが発生します。

仕入れの代金や、お給料、家賃などは現金が無いと払えませんよね?また、現金が手元に少なくても約束通り支払う必要もあります。

そのため、回収サイトが長いと資金繰りが悪化してしまうのです。

例えば、下の表を見てください。

日付 内容 支出 入金 残高
6月1日 初期残高 100円
6月10日 家賃の支払い 50円 50円
6月15日 仕入れ代金の支払い 40円 10円
6月20日 売上の回収 100円 110円
6月25日 給料の支払い 50円 60円

ここで6月20日に売上の回収ができなかったら大ピンチになることが分かると思います。(現金の残高がゼロを下回ったらそこで会社は終了です。)

このように、「そのうちお金が入ってくるから大丈夫だよー」と呑気に構えていると、とても大変なことが発生してしまうのです。

■支払いサイトとのズレに注意

上のように資金繰りはプールの残高をゼロ以下にしない事を考える仕事なのですが、以下のような支払いサイトと回収サイトだったらどうでしょうか?

・回収サイト(入金サイト) :60日
・支払いサイト      :40日

いっけんするとあんまり大変そうではなさそうですが、実はこれは大問題です。自社が支払う仕入のほうが、入金よりも先になるため、資金繰りがとても厳しくなります。

そのため、いわゆる運転資金の調達などを検討する必要が出てくるのです。

■回収サイト(入金サイト)を短くする方法

回収サイトを短くしましょうと、世の中の本には書いてありますし、私達みたいな支援者も簡単に指摘します。

しかし、「それができたら苦労はしないよ」といったのが実情だとは思います。

ただ、できませんでは本記事が提供できる価値はなくなってしまうので以下のようなアイディアもありますよと列記しておきます。

・与信管理の徹底
これは回収サイト云々ではないですが、いちばん大事なので敢えて書いておきます。どんなに売上が上がっても回収できないとどうにもなりませんので、与信管理の徹底はとても重要です。

また、一日でも支払いが遅れたら、直ぐに電話したり訪問してください。嫌がられるかもしれませんが、長い目で見ればあなたの事業がお金をしっかりと管理しているという評判に繋がりますのでメゲずに励行してください。

お金を滞納しがちな人は、沢山借りている人から払うわけではありません。「うるさい、面倒な人から順番に払っていくのですから。」

・業界団体として取り組む
支払いサイト短縮について業界団体として取り組んでいるケースが多くあります。一昔前はこのまんがのような180日手形すらまかり通っていたのですが、最近はそのようなことはなくなっています。

ただ、それでも回収サイトが慣習として長くかかるような取引先もまだいますので、機会を捉えて集団で交渉して行くと良いでしょう。

もちろん、下請法などで2024年11月1日以降は60日を超えるような支払いサイトは行政指導の対象になるという事も念頭に置いたうえで取り組むと良いです。(正論だけで交渉できないのが厳しいところですけどね)

・力関係を自社に傾ける
最後には面白くない正論を書かざるを得ないのですが、最終的には自社の製品やサービスが簡単には代替できない、あなたの会社から買うしか無いといった境地を目指していく必要があります。

そうなれば、回収サイトの短縮にも応じてくれる可能性は高まるでしょう。


この他に商社金融を活用するなどといった方法もあったりします。

■資金繰りについて(ファクタリングとABL)

手元資金が足りないイザとなった場合、売掛債権をもとに資金を得る方法として以下の2つがあります。

■ファクタリング(売掛債権の買い取り)

ファクタリングは売掛債権(未回収金)をファクタリング会社に買い取ってもらい現金化する方法です。

重要なのは、誰の信用力で資金を動かすかですが、ファクタリングの場合「あなたの取引先の信用力」が重要になります。(ファクタリング会社は売掛債権を買い取るのですから、取引先の信用力が回収可能性を左右します)

・3社間ファクタリング(取引先に通知されるタイプ)
 ファクタリング会社を恒常的に利用していることが取引先に知られると、資金繰りが厳しいと見られる危険性があります。

・2社間ファクタリング
 取引先に知られにくいため、取引先や外部への影響は限定的となります。ただし、手数料は高めになります。

■ABL(売掛債権担保融資)

ABLは売掛債権(未回収金)を担保に金融機関などから融資を受ける方法です。こちらの場合はあなたの会社の信用力が重要です。、(信用力を補完するため金融機関に売掛債権を担保として差し出すイメージ)

・ABLでは売掛債権が担保となるの、取引先には通知される事に留意が必要です。

・ただし、制度設計や契約形態により通知無しで運用される場合もあります。

いずれにしても、金融機関に相談してどのような取引なのかを理解してから対応するようにしましょう。

<ファクタリングとABLのまとめ>
項目 ファクタリング ABL(売掛債権担保融資)
内容 売掛債権を「売却」して資金を得る 売掛債権を「担保」にして融資を受ける
資金の出し手 ファクタリング会社 銀行・信用金庫など金融機関
重視される信用力 取引先(売掛先)の信用 自社(債務者)の信用
資金調達までのスピード 比較的早い(数日〜1週間) やや時間がかかる(審査・契約に時間)
通知の有無 3社間では通知あり/2社間では通知なし 原則通知あり(ただし契約によっては通知なしも可能)
手数料・金利 手数料制(やや高め) 金利制(低めのことが多い)
バランスシートへの影響 オフバランス(債権を売却するため) オンバランス(借入として計上される)
与信管理への影響 3社間では取引先に知られ信用低下リスクあり 通知が必要な場合は取引先に把握されることも
向いているケース 緊急性のある資金需要、創業間もない企業 中長期の資金需要、信用力のある企業


どちらの方法も売掛債権を元にお金を得る方法ですので、あなたが取得する売掛債権をどんな手段で売掛金を現金化しても気にしないという立場の企業も多くありますが、相手がどのように受け取るかも慎重に見極めて対応することをオススメします。

■むすびに

いずれにしても、回収サイトが長い状態を放置していると、いつか資金繰りに行き詰まる可能性が高まります。

回収のタイミング・支払のタイミング・そして信用の維持。この三者をバランスよく設計しておくことが、安定した経営の鍵なのです。

単に「お金が足りないから調達する」ではなく、「なぜ足りなくなるのか」「それを防ぐにはどうするか」を冷静に見つめていくことが大切なのです。


解説で出てきた用語
行政指導

初出:2013/03/14
更新:2025/07/10

経済学
2025年6月30日

外国為替資金証券

外国為替資金証券_001
外国為替資金証券とは、政府短期証券の一つで、為替介入などを目的として外国の通貨を購入する際に、その対価となる円を調達するために発行される証券です。外為証券とも呼ばれます。

「外国為替資金証券って何?」と聞かれてピンと来なくても、実は私たちの事業活動にも影響を与えている存在です。

この外国為替資金証券を発行して得た円で、外貨を購入し(外貨準備高が増える)、為替相場を円安に誘導するというのが、為替介入のイメージとなります。

このように、外国為替資金証券は円売り介入を行う際発行される証券で、外国為替資金特別会計法にもとづき発行されるのです。

■外国為替資金証券が発行される場合(円売り介入時)

と、かなりコアな金融寄りの論点となりますが、私達中小企業にとってはこの介入が行われる場合は円安に誘導することを目的として行われると理解することが重要です。

円安方向を目指すわけですから、輸出する財の価格は言質の消費者にとっては下がる方向になります。

(1ドルと70円が交換できたのを1ドルと140円を交換するような方向にするということですから。)

一例として、

東日本大震災前後には1ドルと70円を交換するような超円高になっていました。このときは、輸出業者は頑張って7000円の値段をつけても、ドルを使っている経済圏では100ドル払わないとこの商品を入手することができませんでした。(いろいろな費用は無視して説明します)

他方で、2025年現在の為替レートは140円程度で推移していますので、同じ7000円の商品はドルを使っている経済圏では50ドル支払えば手に入れることができます。

つまり、為替相場が動いただけで、日本の製品は半額になっている。つまり、海外の人からすると日本の製品が安くなり、価格競争力が強くなったということです。

他方で、

輸入業者からするととんでもないことが発生しています。

海外で100ドルのものを1ドル70円の時代に輸入してきたならば、7000円で日本の消費者に届けることができていました。しかし、現在の1ドル140円時代では、海外で100ドルのものは、14,000円もしてしまうのです。

■便利な介入ですが

このような介入ですから、自国にとって有利なタイミングで有利な方向に介入すれば皆が喜ぶと考えるかもしれません。しかし、このような強力な方策であることから、為替介入は国際的には「為替操作」と批判されるリスクがあります。

このように、外国為替資金証券はただの短期証券ではなく、「為替レートという我が国の信頼と競争力」にかかわる道具なのです。

我々中小企業の立場としては、自社に有利な方向に為替が動けば嬉しいですが、そのようなことは期待せず、環境に適応するように事業を運営していくことが重要なのです。

■どうすればいいの?:公的支援機関の活用

為替レートに限らず、事業環境が大きく変動しているときはチャンスであるとともにピンチであったりもします。

そのような際は、お近くの商工会や商工会議所、よろず支援拠点などの公的な支援機関に相談してみるのも一案となります。

専門家がたくさんいますし、商工会や商工会議所は会員にならなくても相談に乗ってくれますので(とはいえ何度も活用するなら会員になった方がより安心です。なによりマル経融資という特権的な融資制度を活用できる可能性がありますので)相談してみるのも一つの手です。

初出:2013/06/04
更新:2025/06/30


経営
2019年1月10日

貸しはがし | 融資を引き上げるという禁じ手ですが、景気が悪くなると横行するかもしれません

貸しはがし_001
貸しはがしとは、金融機関が融資を行っている資金を回収にかかる事を言います。

貸し出しを渋る、貸し渋りよりも一歩進んで、貸し出ししているお金を無理に回収するというニュアンスです。

例えば、貸し出しの期限が残っているにもかかわらず、残金を無理やり返済させるといった行為です。

この貸しはがしは、結構ひどい感じがしますよね。というか、このような行為をされた企業にとっては命取りになりかねない、非常に悪質な行為です。
  • 金融機関側の都合
金融機関側も別に慈善事業ではないため、自社を守るためにこのような行為に及ぶことは当然考えられます。

しかし、貸しはがしが致命傷となって企業の倒産を誘発すれば、さらなる景気悪化を招く可能性もありますし、連鎖倒産が発生する可能性もあります。

このように、貸しはがしとは社会全体に大きな悪影響を与える行為です。
  • 期限の利益で借り手は守られる
融資を受けた場合、本来ならば、しっかりと返済をしていれば期限の利益があるため、一括返済を求められることはありません。

ただし、一度でも返済が遅れると期限の利益が喪失するといった契約となっているのが一般的ですので、一括返済を求められても本来は文句を言うことはできません。

まずは、契約書上で期限の利益が喪失する原因を把握しておき、それに抵触しないようにするのが身を守るための一つの方策です。

と、法律で守られてはいるのですが、実際に期限前に一括返済を求められたりすることが横行していました。

とはいえ、法的には応じる義務のない内容なので、銀行が何を言ってきても不当な要求だと突っぱねることはできたのです。

  • 貸し剥がしが横行した時代背景
バブル崩壊後の経済危機の時代、金融機関も追い詰められていました。

金融機関は国際業務を行うために自己資本比率を一定に保つ必要があったのですが、不良債権(要するに返ってこないと見做された債権)がたくさんあって、その部分も考えると自己資本比率が一定部分を割り込んでしまう危険性があったのです。

金融業の健全化を目的として国が金融検査マニュアルを運用していたのですが、取引先の財務状況によっては、貸しているお金を不良債権として損金処理しなければならないと言った規定がありました。

そこで登場したのが、貸し渋りと貸し剥がしです。

例えば、全額を損金としなければならないとされた企業に1億円貸している場合、1億円は貸している限りずっと自己資本から差し引く必要が出てしまいます。

しかし、1千万円でも回収して、後は潰してしまえば少なくとも1千万円は自己資本に算入することができます。

このような事から、貸し剥がしをするインセンティブが金融機関にはあったのです。

・不景気の兆候が見えたら気をつける
といった貸し剥がしですが、今は一応過去の事となっています。しかし、不景気の兆候が見えてきた場合、また貸し剥がしが再燃するかもしれません。

そのときに備え、企業の経営者は

1.適正な利益を確保する事業を経営すること

2.過度に借入金に依存しない事業を構築すること

3.条件が有利なときに借り入れを起こすなどして、現金・預金を手元に持っておくこと

4.資金が必要な局面を理解すること

を心がける必要があります。特に3.の資金が必要な局面ですが、売上増加の局面でも運転資金として資金需要が増えると言った事実を抑えておくだけでも大分立ち回りが変わります。

解説に出てきた用語
期限の利益
運転資金
マーケティング
2019年1月6日

カラーバス効果 | 気にしている物事は、実際よりも目に入りやすくなる傾向です

カラーバス効果
カラーバス効果とは、気にしている事柄が目に入りやすくなる心理的な効果の事を言います。

例えば「経営マンガ」といったキーワードなどは読者の皆様にとってはあまり反応しないと思いますが、経営マンガの中の人にとっては最重要キーワードなので、仮に電車の中刷り広告などにそのような言葉が入っていたら必ずと言っていいほど目に入ると思います。
 
そして、2か月ほどの間に2誌ほどの雑誌が経営マンガというキーワードを使って中刷り広告を出していれば、「むむ、経営マンガが最近は流行っているのかな。」などといった風に判断しかねません。

また、自転車が趣味の人がいるとします。特にそのような趣味のない人にとっては、それほど自転車は目に入りませんが(今日、どんな自転車を見ましたか?)、自転車が趣味の人にとっては多種多様な自転車が世の中にあふれているように感じるはずです。

このように、自分の意識を向けている事柄のj兵法は無意識に集めやすくなるといった心理的な効果がカラーバス効果なのです。

やや、経営用語からは外れて、自己啓発用語的になりますが、そのような心理的な効果が人には備わっているので、意識を向ける対象には注意をする必要があるのです。

もし、ストレスにあふれた状況に置かれているのなら、リラックスできるような物事へ意識を向けると、ストレスが緩和されるかもしれませんよ。

■経営用語的には

例えば、消費者がせっかく購入した商品に不満足を覚えていたとします。このような場合、実際に購入したという行為と、不満足を覚えているといった自分の中で矛盾する心理状態となります。(このような状態を認知不協和と言います。)

このような時に、人は自分の行為を正当化するために、購入した商品について、購入すべきだった理由を探し始めます。(残念な意思決定だったことを認めても、認知不協和は解消できますが、多くの人は、自己の意見を正当化するための材料を探します。)

そして、探し出すとすぐに色々な評判が見つかるはずです。そして、探し出して色々な評判が目に入るような心理効果をカラーバス効果で説明できるのです。
 
  • 中小企業の経営に役立てるためには
では、このカラーバス効果を中小企業の経営に役立てるためにはどのように活用したら良いでしょうか。

・経営に関する情報収集のために
例えば、社長や上級管理職が経営のことを意識するといった方法が考えられます。

カラーバス効果は、気にしている物事が目に入りやすくなるという心理効果ですので、経営についてなんとなくでも気にしていれば「アンテナを張っている状態」になるわけです。

そうなれば経営に関する情報は、日常生活の中でも入手することが可能となります。

・従業員の心構えとして
また、組織として従業員に相手の良い面に目を向けるようにと教える事も考えられます。

相手の良い面について目を向けるようにしていれば、自然と相手の良い面が目に飛び込んできます。

(良いか悪いかは物事の裏表です。のんびりと書類をチェックする人がいても、良いと思えばミスの内容に心がけていると捉えることができます。)

このように従業員の心構えとしてカラーバス効果を応用すれば、安価に従業員の満足度を高めることが可能となります。

なんと言っても仕事での不満のうち人間関係の不満はとても大きな部分を占める訳ですから。


経営
2018年12月25日

カーブアウト

カーブアウト_001
カーブアウトとは、自社の事業やコアとなる技術を切り出して、外部からの経営資源の提供を受けたうえで、ベンチャー企業を立ち上げる戦略の事です。英語ではcarveoutと表記します。

このカーブアウトとよく似た言葉にスピンオフという言葉がありますが、スピンオフは外部の経営資源を利用しない、カーブアウトの場合は外部の経営資源を利用するといった違いがあります。

単純にスピンオフする場合と比較して、外部の経営資源を利用するため成長が加速される(事を目指す)といった狙いがあるのですね。
  • スピンオフと同じメリット
さて、ではなぜワザワザ分社化する必要があるのでしょうか?「どうせ出資するなら、最初から自社の内部で事業を行えば、規模の経済範囲の経済が働くからもっと効率がよいのでは?」といった考え方もありうると思います。

でも、大きな企業ではなかなか迅速な意思決定ができないという欠点があります。大きな船は、なかなか方向転換が難しいのです。(参照:規模の不経済

この点、小さな企業は、意思決定を素早く行えることができるため、効率的に新事業を行っていくことができるのです。
  • スピンオフにはないメリット
カーブアウトは、親会社以外から経営資源を提供してもらえるため、親会社の影響力を抑えることができます。その為、スピンオフよりも機動的に経営を行う事ができるのです。(会社を立ち上げた人にとってもうれしい事ですよね。)

また、親会社側も自社だけで支援するよりも、素早く、低コストでベンチャー企業を育成することができるといったメリットがあります。

関連用語
スピンアウト  

  • 非主流の技術や組織が活きる
選択と集中という言葉があるとおり、企業は自らの強みに着目して経営を行った方が企業価値を高めることができる傾向があります。


しかし、そうなってくるとせっかく培ってきた本流の強み以外の強みをどうするかといった問題が生じます。

そのような際に、カーブアウトという手法を用い自社から出資を行い別会社として企業を立ち上げるといった方策を取ることができます。

非主流の技術・組織に所属している人たちにとっても、無理に自社にとどまり続けるよりも、思い切った投資などを行って機動的に経営を行う方が企業価値が高まる可能性が出てきます。

さらに、企業外部からも投資や人材の受け入れを行うことで成長が加速することが見込めるのです。
  • 元の企業にとっても良いことがある
このようなカーブアウトで切り離した企業が大きくなれば元の企業にとっても大きな収益を得る可能性が出てきます。

そのまま企業を保有してその果実を得続けてもいいですし、株式を売却するといった方法も考えることができます。

また、事業ポートフォリオの最適化にもつながりますので長期的に見て企業価値を高めることにもつながります。
この背景には、製品ライフサイクル(プロダクトライフサイクル)の短縮化などが上げられます。

せっかく開発した製品であっても、従来よりも安定して稼ぐことができる期間が短くなっているため、有望な新技術は非主流であるといっても素早く製品化して投資を回収していく必要があります。

そのためには、比較的身軽な組織にして、大胆な投資の意思決定などが求められるのですが、親会社にとどまったままではなかなか大胆な方策をとることが難しくなります。

その点、別会社としてしまえば、自らの裁量で大胆に投資の意思決定を行うこともできるためスピード感のある経営をすることが可能です。また、企業外部から経営資源を調達することにもつながりますので、単に自社から切り離したというよりも素早い成長が見込めるのです。
  • とはいえ
と、とても良い方策のように思えますが、当然デメリットがあります。

このマンガのように、働いている人にとっては強制的に親会社から切り離されてしまうように感じる場合があります。出向ならまだしも、転籍となるとその企業で働く魅力を感じなくなってしまい、離職につながる危険性もあります。

誰もが挑戦と成長を望んでいるわけではなく、仕事の安定は職業選択にあたってとても大きな要素ですので、しっかりと対象となる従業員の意見を聞く必要があります。

また、外部から経営資源を調達するということは、外部へ自社のノウハウが流出すること表裏一体です。そのあたりにも注意して運用する必要があるでしょう。
経営
2018年12月23日

カウンターパーティー

カウンターパーティー_001
カウンターパーティーとは、相対で取引を行う場合の相手方(特に金融取引の相手方)のことを言います。(この相対(「あいたい」と読みます)で取引を行うとは、金融市場を通さずに直接やり取りをするという意味です。)

通常、取引を行おうと思っても相手がいないと取引は成立しませんよね。この相対取引の相手をカウンターパーティーというのです。

さて、金融市場を通してのやり取りの場合、契約した取引が相手方の都合で正常に完了しないという事を、気にする必要はあまりありません。

しかし、相対で取引をしている場合、相手方の都合(決済が終わる前に、相手方が破たんしてしまうとか)で取引が正常に完了しないケースもあり得えるのです。(このようなリスクをカウンターパーティリスクと言います。)
  • 信用できる相手とだけ付き合うのが重要
金融投資をどんなにうまくやったとしても、取引相手側の都合で取引がうまくいかずに損失を被ってしまっては元も子もありません。

その意味で、カウンターパーティーはとても重要であり、相対取引をする場合には業者と直接やりとりをすることになるので、相手方が信用できるかどうかが重要となります。

FX(外国為替証拠金取引)も取引所を通さない場合は、カウンターパーティーについては相手方の業者について本当に信用できる相手なのかを見極める必要が出てきます。
  • 仮想通貨(暗号通貨)においては
仮想通貨(暗号通貨)においてカウンターパーティーという用語が聞かれることがあります。この場合は、取引の相手方という意味ではなく、プラットフォームの名前になります。

このカウンターパーティーというプラットフォームははビットコインのブロックチェーンを利用したものであり、仮想通貨を発行したい人が、自分のトークンを発行できるようになっているという仕組みになります。

そして、ビットコインのブロックチェーンを利用することから、ビットコインの持つ制約もそのまま受け継ぎます。
財務・会計
2018年12月20日

外部資金と内部資金 | 外から調達するか、自分で稼ぐかが分ける決め手です

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外部資金とは、企業外部から調達した資金の総称のことです。この外部資金に対して内部資金という言葉があり、こちらは、企業の内部から調達した資金のことを言います。

他方、自己資本他人資本という言い方がありますが、これらの言葉は調達源泉の区分を指しており、負債など他人から調達した資金を他人資本、株式の発行など返済が不要である資金を自己資本といいます。
  • 外部資金は企業外部から
この外部資金は企業外部から調達した資金ですので、社債などの直接金融や銀行からの借入金といった間接金融、買掛金などの企業間信用といったものが該当します。

さらに、株式の発行もこの外部資金には含まれますので、外部資金=他人資本ということはできません。払込資本なども分類的には外部資金になります。

  • 内部資金は企業内部から
他方、内部資金は企業の内部から生み出される資金となります。その意味から、内部資金とは返済の必要がない資金ですよという説明がされることが多いのですが、株式の発行も返済の必要がない資金ですので正確な説明ではありません。

そのため、言葉の通りイメージしてもらい、企業外部から調達してきた資金が外部資金、企業内部の蓄積(現金が出ていかない費用である減価償却費や利益の内部留保など)を内部資金と考えます。

利益の蓄積といった意味で獲得資本などもこの内部資金に分類されますので、定義を覚えると言うよりも、何が該当するかを見ていく方が覚えやすいかもしれませんね。
情報
2017年12月31日

仮想通貨 | ビットコインなどの仮想通貨が何であるかと、話題のマイニングを簡単に始める方法

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仮想通貨とは、インターネット上で物やサービスの対価として用いる事ができるモノです。暗号通貨などと呼ばれることもあります。この仮想通貨は取引所を通じて通常の円やドル、ユーロなどの通貨に交換することができるため、利用が広がっています。

匿名で海外送金が簡単にできるといったメリットも挙げられていますがこれらのメリットは、当局にとってはあまり歓迎できないものですから、この種のメリットは何らかの規制を受けるかもしれません。

2017年に話題になったビットコイン(bitcoin)もこの仮想通貨の一種です。
  • 誰かが集中管理しているわけではない
さて、通常の通貨は、地域の中央銀行がコントロールを行っています。もちろん、兌換通貨ではないので、金(きん)の裏付けはありませんが、政府が価値の裏付けになっているため極めて高い信用性を誇ります。

また、金融の考え方では、その地域の国債等で運用する利率をリスクフリーレートとしてリスクを一切取らない場合のお金の価格としています。

これに対し、仮想通貨は誰かがコントロールしているわけではないため、誰もその価値を保証していません。みんなが「この仮想通貨には価値がある」と見なすことで価値が生じるといった通貨の本質部分だけで価値が成立しているモノであるという事ができます。
  • 投資対象としてはどうか
さて、この仮想通貨は2017年に非常に価格が高騰しました。そのことや値動きの激しさにひかれて投資もしくは投機しようと考えている方もいると思います。

本サイトは経営用語集ですから、儲けたいなら事業で儲ければいいというのが基本スタンスです。しかし、せっかく仮想通貨の記事を書くので投資としてどのように考えるのかについて触れてみたいと思います。
  • リスクが大きいので
もし仮想通貨を投資対象の一つとして考えるのならば金融資産の10%程度がいいのではないかと考えます。

というのは、もし仮に仮想通貨が10倍になれば金融資産全体は2倍になりますし、ゼロになったとしても、金融資産全体の10%の損失ならば耐えられる範囲だと考えられます。

(通常の金融商品の場合は、ゼロになるリスクというのは信用リスクだけですが、仮想通貨については各国の政府が仮想通貨を非合法にするリスクや、取引所自体のカウンターパーティリスクもありますので、通常の金融商品と比較すればとてもハイリスクになります)

金融資産の投資で避けるべきは投資が続けられなくなるゲームオーバーリスクです。そのため、値動きの激しい金融商品だけに集中投資するといった方法は避ける必要があるのです。

例えば、経済が2%ずつ成長し、金融資産もそのペースで価格が上がるとすると、36年ほどで価値が2倍になります。(72の法則)そのことからも、息の長い投資を続けることが重要なのです。

また、一か八かの投機をしていると、普通の方はどうしてもそちらに注意が行ってしまい、通常の仕事に身が入らなくなるといった悪影響も出てきます。

その意味からも、仮に仮想通貨に投資するとしても金融資産全体の10%以内にする方がいいと考えます。

但し、仮想通貨はバブルであるとする論がありますが、バブルだから投資比率を高くするなと言っているわけでないという事に注意が必要です。

そもそも、今の状態が歴史的な文脈の中でどうであるかは未来になってみないとわかりません。本当に実需があってまだまだ価格が上がるのかもしれませんし、本当にバブルなのかもしれません。

また仮にバブルだったとしても、買った価格よりも高く売り抜けられれば問題ないと考える人もいるかもしれないですので、最終的には何を言っても後付けの説明になってしまうのです。(予言者を気取るつもりはないですしね。参考:大馬鹿理論
  • マイニング
それでも仮想通貨に資産を投じてみたいと考える方は、マイニングでちょっとだけやってみることをお勧めします。

マイニングと言っても鉱山から仮想通貨を発掘するのではなく、コンピュータの計算リソースを貸すことで仮想通貨をその対価としてもらうといった考え方になります。

さて、どうしてコンピュータの計算リソースをあちこちから借りる必要があるのでしょうか?それは、仮想通貨の動きに係る記録を正確にしないといけないのですが、その記録を正確に保っておくのに莫大な計算量が必要だからです。

と、難しいことを書いていますが始めるのは簡単です。幾つかのソフトを入れておけば自動的に(本当に少額)の仮想通貨がマイニングできます。

とはいえ、電気代等を考えると完全に赤字の人がほとんどだと思いますので、PCの作業のついでに余ったリソースを貸しだしてちょっとお金をもらうぐらいの感じでいるといいと思います。

(私のPCでは、数か月でジュース1本買えるぐらいの仮想通貨が手に入る計算です)
  • 簡単なやり方
何でも試してみるのが事業の運営をする人には大切な資質だと思いますので。簡単なやり方を解説しておきます。

スマホでもできるので、ちょっとだけ試してみるのもいいかもしれませんね。

やり方は非常に簡単です。当時の画面を残しておきますので参考にしてみてくださいね。

<2017年当時の画面説明です。今やりたい方は、各自お調べになってください。>

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その後、メールアドレスとパスワードを入れて(パスワードはこういったサイトでは使いまわさないように、ちょっと複雑なやつを新しく考えて使うといいですね。)登録して、必要なツールをダウンロードしてマイニング開始です。

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そうすると、ソフトが一番効率の高い仮想通貨をマイニングしてくれますので、気が付いたら仮想通貨が(ほんの少しだけど)溜まっていたなんて経験ができます。

※セキュリティーソフトによってはウイルス扱いされますので、自己責任でインストールされたフォルダを除外するなどの対応が必要です。嫌だと思ったら、その直感は非常にセキュリティ面で有利な考え方なので中止することをお勧めします。

それに、計算リソースを外部に提供するので、セキュリティーソフト会社の見解は正しいと思います。
  • ツルハシビジネス
最後に、皮肉な経営用語を紹介して本稿を締めたいと思います。それはツルハシビジネスです。

今回の仮想通貨の高騰の陰でマイニング用のツールの売れ行きがよくなったり、仮想通貨周りの情報発信をしている人がいろんな収入を得ていたりします。

こういうのは典型的なツルハシビジネスになっているので、ビジネスの発想法の一つとして覚えておいてくださいね。
経済学
2015年8月15日

買い手市場 | 買い手の立場が強くなる状態を示す言葉です

買い手市場
買い手市場とは、市場で取引されている売り物が、需要に対して相対的に過剰なため、買い手側にとって有利な状況になっていることを示す言葉です。

売り手市場に対応する言葉ですが、あえて書いて市場であると指摘される事は少ないと考えられます。(というのは、現代では財は需要と比較して潤沢に提供されているため、基本的には買い手市場であるためです。)

このような状況の場合、古典的な経済学的説明では、財の供給者が「こんなんじゃ採算が合わないから撤退するよ。」と考え、最終的には需要と供給が均衡し、買い手市場は解消されると説明されるのですが、イマイチその通りには動いていないと思われます。

買い手市場であなたがモノを買おうとしている場合を考えてみます。この場合、あなたにとって欲しいものがあったとしても他の人からも購入することができるといった状況になります。

すると、「確かにそれは欲しいけど、別にあなたから買わなくても…」と言う事ができてしまうんですね。その結果「では10%値引きをします」といった売り手側からの譲歩を引き出せる余地があるのです。

このように、買い手市場は、買い手側にとっては有利な状況ですが、売り手側にとっては不利な状況という事ができます。
  • 人事用語としての買い手市場
さて、この買い手市場は人材の採用現場では良く使われます。採用市場には、景気の良しあしには関係なく基本的に一定の人たちが供給されます。景気が悪いからと言ってほとんどの人は学校の卒業を待ったり、卒業を早めたりはしませんからね。(人に対して、供給なんて言うとちょっと嫌な感じですけどね。)

しかし一方で、人材の需要側の企業は景気動向次第で大きく需要が変動します。そのため、ほとんど毎年のように「今年は買い手市場だ」とか「今年は売り手市場だ」といった風に言っているのです。
財務・会計
2015年4月8日

為替リスク | 変動するモノを扱う場合リスク(不確実性)はつきものです

為替リスク
為替リスクとは為替レートの変動に伴う不確実性のことを言います。

例えばあなたの会社が、1ドルで何かを購入する契約を結んだとします。この時の為替レートは1ドル100円だったとして、「1ドルが原価、つまり100円の原価のモノだから、130円で売れれば30円が儲かるな…」という風に想定していたとします。

さて、このような契約を結び実際にお金を払う段になった時に、為替レートが変化しているような事を為替リスクと称するのです。

この場合、1ドルが80円にまで円高水準になっていれば、あなたの会社は80円で仕入れて130円で販売できたわけですから当初の想定よりも20円ほど多く利益を獲得できています。(この20円分が為替リスクなんですね)

しかし、1ドルが130円まで円安水準になっているような場合、あなたの会社は130円で仕入れて130円で販売する事になるので利益は無くなってしまいます。(当初の想定より30円ほど利益が少なくなっています。この30円分が為替リスクです。)

このように、通常の意味合いでのリスクというと損失方向のみを考えるのですが、為替リスクというと変動の幅、つまり得する可能性もあるという事を意味するのです。
  • とはいえ
とはいえ、このような為替リスクを放置していたら輸出入取引といった海外と行う取引は儲かるかどうか分からない一か八かの取引になってしまいます。

それでは困るので、商品を販売すると同時に外貨を購入・売却しておく(または、その時点の為替レートで取引できるような約束をしておく)といった事が行われています。これらはオプション取引や先物取引などを活用することで実現することができるのです。

この種の取引はもともと投資家が投資目的(投機目的)で行われていたのではなく、実際の取引に役立つように考え出されたものになるのですね。

(こんな風に書くとちょっと投機目的で使っている人は良くないといったニュアンスが出てしまいますが、投機目的で取引をしている人も、必要性があって使っている人の取引が成立しやすくなるといった価値を市場に提供していますので、大切な人たちなんですよ。)

■企業の為替リスク管理

さて、このような為替リスクですが企業では外国との取引で損がないように様々な工夫を行います。

その一つが、「現在の為替レートで取引を行う約束」という方法です。こういった方法を「フォワード契約(為替予約)」といい、現在の為替レートで将来の決済レートをあらかじめ固定する方法になります。

これは将来の為替変動によって自社が有利になる可能性を捨てる代わりに、逆に自社が不利になる危険性を潰すと言った発想になります。(こういった種類の取引に投機目的の投資家が応じる事で、企業が為替ヘッジを利用できるという面から、投機家も経済に参加している大切な人たちです。)

この他には、輸出入の通貨を揃えて、その通貨が高くなっても安くなっても影響を少なくするナチュラルヘッジや、逆に複数通貨に分散して決済することで全体の通貨が一方方向に動く可能性が低いことを利用したヘッジ方法なども考えられます。

いずれにしても、会社の財務部門としてこれらのリスク管理はとても重要なお仕事であり、海外に展開している企業では必須の取り組みだったりするのです。

関連用語
Jカーブ効果
法務・支援施策
2015年2月9日

価格カルテル | 仕組みと例をまんがで解説 | 独占禁止法でわざわざ禁止する理由

価格カルテル
価格カルテルとは、複数の企業が価格を維持する事や引き上げる事を決めて、不当に利益を得ることを言います。

このような取り決めがないような状態では、(自由な競争が行われていた場合)価格はそれぞれの企業が競争した結果で決定していきます。その結果、競争が行われれば適正な価格になるのです。

端的に言えば、競争が行われれば安くなるのですね。

また、価格が下がれば一般にそのモノの需要が増えますので、売上額自体は一概に減るとは言えません。(売上=価格×販売数量ですからね。)

しかし、価格を維持した方が利益が多くなるといったケースも存在します。

このような場合においては、企業は利益を最大化するために当事者間で話し合いを行い、価格を維持したり引き上げたりすることを望む場合があります。「安売り競争に陥らないように」とか「せっかくだから値上げして儲けよう」といった話し合いを望むのですね。

しかしながら、このような話し合いがなされると、消費者の立場に立った場合には不当に高いものを購入させられるといった事につながってしまいます。

これでは良くないですよね?

しかも、消費者が損した分だけ、そのままモノやサービスの供給者側が得するのなら、それはまだマシなのです。良し悪しを別とすれば、経済全体ではプラスマイナスゼロですからね。

しかし、価格カルテルによって本来よりも値段が高まることによって、本来ならば消費者がモノやサービスを購入ることによって得られるはずだった利益を無駄にしてしまいます。

その結果、経済全体で見た時に損失が発生してしまうのです。こういうのをまんがで出てきた死荷重という言葉で示すのです。その為、このような価格カルテルは独占禁止法で禁止されているのですね。(違反するときついお仕置きがありますよ。)

但し、現在では、消費税の価格転嫁対策の一環として、消費税を価格転嫁する、表示を統一するといったカルテルについては独占禁止法の対象外にするといった制度が定められています。

■価格カルテルがなぜ発生するのか

悪いことだとはみんな知っています。しかしではどうして企業は価格カルテルをしてしまうのでしょうか?

この価格カルテルは市場の失敗の典型例で、死荷重という生産者も消費者もどちらも得をしない社会前提の損出が発生します。

しかし、価格カルテルが発生する事が強く予期されるならば、自分がそれに乗り遅れると損をしてしまうという考えが発生してしまいます。

みんなが価格を維持している時、自社だけ抜け駆けをすると確かに儲かるかもしれませんが、何らかの報復をされる危険性があったり、真剣な価格競争はそれだけ大変だったりします。

これに対して、価格カルテル状態に安住すれば、自社がすごく得をすることもない代わりに、競争で消耗することもなく、何となく業界全体で適正以上の利潤を得られる状況になってきます。

そのため、何となくの価格カルテルというものが発生してしまう危険性が常にあるのです。なので、公正取引委員会が厳しく監視をするといった市場を正常に保つために政府部門が一生懸命仕事をしているのですね。

関連用語
管理価格
経営
2015年1月1日

株式持ち合い | 株式をお互いに持ち合えば、面倒な事を言う株主の影響力を排除できます

株式持ち合い
株式持ち合いとは、株式会社が相互にそれぞれの株式を保有しあっている事を言います。(互いに)株式を持ち合うから株式持ち合いと言うのですね。

そして、事象としては、株式を互いに持ち合っているだけなのですが、この株式を持ち合う事によって様々な効果が表れます。

お互いに株式を持ち合っているので、相互に安定株主を確保できる、取引関係の強化(資本提携と呼ばれることもあります)といった事が図れるという利点があります。

特に、安定株主としては重要で、企業の敵対的買収(敵対的TOBなど)への対抗策や、経営陣にとって都合の悪い株主提案等を否決することにつながってくるのです。

(自分がうるさい事を言うと、株式を持ち合っている相手もうるさい事を言ってくるので黙っていようという発想です。)

但し、株式を持ち合っている状態で、相手先企業の業績が悪化すると、株価の値下がりの影響を受けますし、株式の流動性も低くなってしまいます。

また、株主からのチェック機能が効きにくくなるため(うるさい事を言う株主が少なくなるため)非効率な経営が温存され、長期的に企業価値が損なわれる可能性があるという可能性もあります。

さらに、一般的には株式持ち合いの株式は、収益性がそれほど高くないので、収益率を引き下げ、自社のROAROEに対して悪影響を与える可能性が高いといった問題もあります。
 
株式持ち合いで安定株主対策をしていたと思いきや、そこをアクティビストに指摘される可能性もあるのですね。(一般の株主にとっては、経営陣の都合で収益率が下がっている状況は望ましくないですからね。)
法務・支援施策
2014年12月22日

株主提案権 | 良い意見を提案して企業価値が上がれば株主みんなが幸せになるのです

株主提案権
株主提案権とは、株主が共益権として持っている権利で、一定の事項について株主総会の議題にする事について請求することができる権利のことを言います。

株主が、株主総会の議題を提案できるという事から、株主提案権というのです。端的に権利の内容を示した良い名前ですね。

さて、株主提案権ですが、どのような株主であっても行使することが出来るわけではありません。

例えば佐藤さんが、大きな会社の商号に自分の名前を入れて売名行為を図ろうと考えて「○○自動車は○○自動車佐藤にすべきです」などと提案しようとしたとします。

しかし、このような提案に一つ一つ対応していたらきりがないので、株主提案権を行使するためには条件が課せられています。

すなわち、総株主の議決権の1%以上を持っているか、300個以上の議決権を持っている場合(100株が単元株の場合、30,000株を持っている場合)にのみ株主提案は可能です。

また、急に言われても困るので(株主総会当日に言われても困りますよね?)株主総会の8週間前までに提案は行わなければならないともされています。
  • 現実にこの株主提案権は使われております
さて、「株式会社に提案するなんて本当にできるの?」と思われる方もいるかもしれませんが、実際にこの株主提案権は活用されています。

例えば、企業価値を向上させる為にアクティビストと呼ばれる株主集団が経営に関与するために用いたり、配当金の増額を迫るために増配要求をしたりといった使われ方です。

また、上の例のように商号の変更を迫るといった事も実際に行われています。興味のある方は調べてみると良いかもしれませんね。

もっともこういった要求は定款の変更が必要なので、成立するハードルはかなり高いハズですが…

まんがに出てきた言葉
取締役
キャピタルゲイン
法務・支援施策
2014年12月12日

間接責任 | 間接的に責任を取るという事は気分が楽なものです

間接責任
間接責任とは、債務について債権者に対して直接の弁済義務を負わないような責任形態のことを言います。

例えば、Aさんがある会社の株主で、更にその会社の取締役をやっていたとします。しかし、この会社は不況のあおりを受けて、B社からの債務を返済する前に倒産してしまいました。

この場合において、AさんがB社から直接債務を取り立てられないというのが間接責任となります。

Aさんは株式会社の株主ですので出資金をあきらめるだけで責任を果たした事になるのですね。(これを有限責任と言います。株式会社の場合有限間接責任なのですね。)

なお、こういったケースでB社から直接債務を取り立てられるような形態を直接責任と言います。もし仮にAさんの会社が株式会社ではなく合名会社だったりした場合、B社への負債はすべて弁済しなければなりませんし、(無限責任と言います)直接的にB社から取り立てられることになります。(これを直接無限責任と言います。) 

■間接責任のメリットとデメリット

間接責任は有限責任制度と合わせて投資家のリスクを出資額に限定することに役立ちます。その結果によって株式会社制度の基盤となっています。

株式会社制度によって資金調達が円滑になるのでとても効果的な発明だったりするのです。例えば、1万の出資をしたばあい、間接責任+有限責任であれば出資の1万円を放棄するだけで責任を果たしたことになります。

と、説明がどうしても間接責任+有限責任になってしまっているのは理由があります。理屈で言えば、以下のように間接責任、直接責任という軸と有限責任、無限責任という軸の4パターンが考えられます。

責任のとりかた\責任範囲 有限責任 無限責任
直接責任 直接有限責任
(ほぼ存在しない/契約上の特約例のみ)
直接無限責任
(合名会社の社員、合資会社の無限責任社員など)
間接責任 間接有限責任
(株式会社の株主、合同会社の社員など)
★今回の記事です
間接無限責任
(実務上は存在しないと考えられる。)

頭の体操として、4つの事例は考えることはできるのですが、実務的には直接無限責任と、間接有限責任が制度的には使われているのです。

経営
2014年8月19日

金のなる木 | いかにも儲かりそうな、それでいて実際儲かる事業のことを言います

金のなる木
金のなる木とはPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)における考え方の一つで、市場シェアが高く、市場自体の成長率が低い製品群のことを言います。英語ではcash cowと表記されます。英語にしろ日本語にしろいかにも儲かりそうなネーミングですね。
 
さて、金のなる木に位置付けられる事業ですから、やはり非常に現金をたくさん生み出してくれます。簡単に言うと儲かる事業という事です。

でも、どうしてそんなに儲かるのでしょうか?
  • 儲かる秘密
金のなる木は、市場シェアが高く、また市場自体の成長率が低いという位置づけにあります。というと「なんだか市場があまり成長していないと儲からなさそうな雰囲気がるけれども…」と思う人もいるかもしれませんね。

でも、市場があまり成長していないという事が大きく儲かるために大切なことなのです。
 
というのは、市場シェアが大きいと、経験曲線効果などが効いていて、競合他社よりも安く製品を提供できるようになっていくのです。(大きく儲かる)そして、市場の成長率が低いため、特にあまり新規の投資をしなくても市場シェアを維持することが出来るのです。(あまりお金を使わなくて済む)

つまり、大きく儲かるにもかかわらず、あまりお金を使わなくて済むので、結果としてお金が残るというわけです。

そしてこのような事業に位置付けられるところで上がった収益を、花形問題児に投資して次の金のなる木を育てましょうというのがPPMの基本的な考え方なのです。

関連用語
負け犬
経営
2014年8月1日

カスタマーインティマシー | 顧客との親密さが競争優位の源泉です

カスタマーインティマシ―
カスタマーインティマシーとは顧客との親密さを示す言葉です。英語ではCustomer Intimacyと表記します。

さて、「顧客と親密な関係」と言いますが、企業が顧客と親密な関係になると具体的にどのような利点が生まれるのでしょうか?単に『険悪な関係よりも親密な関係の方がいいよ』という一般論の話なのでしょうか?

もちろん、違いますよね。顧客と親密な関係ならば経済的な利点があるのでワザワザこのような言葉が生まれたのです。

例えば、親密な関係の顧客なら競合他社でモノやサービスを購入するのではなく、自社で購入することが期待できます。(参考:ストアロイヤルティ顧客ロイヤルティ

また、顧客が顧客である期間にわたって獲得できる収益も大きくなります。(参考:ライフタイムバリュー

このように顧客と親密な関係を築くことは企業の収益を改善させる助けになるという考え方なのですね。

■カスタマーインティマシーを高める方法って?

お客さんと仲良くなると、長くお客様でいてくれるし、長くお客さんでいてくれると説明では書きましたが、では肝心の仲良くなる方法について考えていきます。

個人事業主などでは社長や店長がちゃんとフレンドリーに接していればある程度実現できると考えられますが、ちょっと大きな会社では仕組みを作っておかないと上手く回りません。

お客さんが「困っていること」や「こんな商品がほしいよ」と言った貴重な情報は会社全体で共有できないと、仕入れに反映したりすることができません。そのため、お客様の購買履歴を蓄積する仕組みを作ったり、獲得した情報を全社で共有する仕組みを作る必要があります。

また、何よりもお客様は「特別扱いしてほしい、自分を理解してほしい」という願望を抱えています。そのため、常連さんになったら特別割引クーポンを用意したり、「あなたが好きだと思いましたから、仕入れておきましたよ」みたいな声掛けをできれば非常に効果が高まってきます。

小規模事業者さんが明日からできる工夫としては、ノートを用意しておいてよく来るお客さんとの会話をメモしておくと良いでしょう。会話の中で得た情報を接客に活かしていくことがお客様との親密さを高めることにつながるのです。

■カスタマーインティマシーの効果をどう測る?

企業とお客様の親密度を高くする方法を考えてきましたが、親密度を高くすることができても、それを測定できないと組織的に役立たせることは難しくなってしまいます。

「お客様と仲が良いですよ」と主張してもあんまり意味がありませんからね。カスタマーインティマシーを高める目的は、お客様が沢山自社を利用してもらうようにすることでしたから、ここに測定にヒントがあったりします。

では、具体的にお客様とどれくらい親密かをどうやって測定するとよいでしょうか?

例えば
  • お客さんが何度来てくれたか(再来店率)
  • 前と比べて買ってくれる量や頻度が増えたか(購買頻度)
  • 顧客生涯価値が増えたか(LTVライフタイムバリュー:ただしこれは事後的にわかることです)
と言った事が測定できる指標になり得ます。このような指標を測定するために、ポイントカードを作ったり、顧客管理アプリを導入するとよいでしょう。

なお、小規模事業者さんにおいては、手書きノートで管理しても十分な効果を挙げることができるでしょう。

■カスタマーインティマシーはどんな戦略の一部なのか

会社が厳しい環境を戦い抜くためにどのような方向性を考えていけばいいでしょうか?様々な考え方がありますが、カスタマーインティマシーがどのように位置づけられているかを見ていきます。
効率性や低価格、提供のスピードを強みにする、大手スーパーやコンビニなどが得意とする方向です。
  • プロダクトリーダーシップ
核心的で優れた製品によって市場をリードする戦略。最新のスマホなど、商品力そのもので戦う方向です。
  • カスタマーインティマシー
今回の説明のように、顧客ごとに最適化した価値提供で、『関係性』で戦う戦略

このような3つの軸を考え、そのどれか一つを集中して鍛えていくという戦略です。この意味でカスタマーインティマシーは関係性に着目した戦略となってくるのです。

経営
2014年7月22日

価格転嫁 | 責任は転嫁すべきではありませんが、価格は転嫁されなければなりません

価格転嫁
価格転嫁とは原材料の値上げや税率の上昇などを、販売する価格に反映させ負担させることを言います。

非常に簡単な例としては「100円で販売していたアンパンだけど、小麦粉の仕入れ価格がアンパン一つあたりで5円値上がりしたから、105円で販売するね」とか「消費税率が3%分上昇したから、従来100円で販売していたアンパンを103円で売るね。」といったイメージです。

また、小売業でなくとも「鉄鉱石の価格が上昇したから、鉄の価格を上げるね」といった事も価格転嫁の例となります。

いずれにしても、原材料などの値上がり分を、販売価格に転嫁させる事を『価格転嫁』と呼ぶのです。
  • 価格転嫁ができないと…
さて、価格転嫁ができないとどうなるでしょうか?仕入れ値が上がって売値が下がるんだから粗利益が、そして最終的には利益が減少しますよね。そのため、事業者は原材料価格などが上昇した場合、速やかに販売価格に転嫁したいと考えるのです。

しかし、小規模事業者などでは必ずしも価格に転嫁できるとは限りません。例えば規模の大きな小売業者と取引をしている、あまり規模の大きくない豆腐製造業者を考えてみたいと思います。

このような製造業者が値上げを切り出したとしても「大豆の価格が上がったからってウチへの納品価格に転嫁させてほしいって?だったら他で買うからいいよ。」などと言われてしまえば従来の価格のまま販売するしかなくなってしまいますよね。

このように、小規模事業者などは価格転嫁が非常に難しいため、原材料価格の上昇や消費税率の上昇などが発生すると、自社の収益が圧迫され、適正な利潤を確保することが難しくなるといった問題があるのです。
生産管理
2014年6月27日

稼働分析 | 作業の無駄を見つけるために、稼働状況を把握して改善するのです

稼働分析
本記事では、IE(インダストリアル・エンジニアリング)の代表的手法の一つである「稼働分析」について解説します。作業分析や時間研究との違い、どのように生産性向上に結びつくかを具体例で整理することで理解を深めていきます。

<用語解説>
稼働分析とは、人や設備の稼働状況を調査・分析し、生産性向上に役立たせる取り組みのことを言います。

何にどれだけの時間をかけているかを調査し、その比率を見る事で改善に役立てるといったイメージです。

この稼働分析の目的はあくまで生産性の向上となります。そしてこの生産性の向上という大目標を達成するために以下のような事をやっていきます。

1.人や設備が稼働していない時間を減らす

2.もっと詳しく分析して、重点的に改善すべき部分を明らかにする

3.作業の標準時間の設定をしていく

■意外と無駄な時間がある?

稼働分析をしてみると、人や設備が正常に稼働していると思っても、実際に調査・分析してみると意外と稼働していない時間があったりします。

いわゆる手待ち時間のほかにも、人が移動している時間であったり、設備が段取り作業などで停止している時間などがあり、稼働していない時間というのは意外にたくさんあるモノなのです。

こういった稼働していない時間は基本的に付加価値を生みませんので、なるべく削減していくのが望ましいと言えるのです。

■稼働分析をする際の時間分類

稼働分析をということは、稼働しているかどうかをまずは把握する必要があります。

そのために、まずは以下の3種類に分けて分類してきます。

1.価値時間
付加価値を生んでいる作業を行っている時間です。直接加工している時間などが該当します。


2.付随時間(準備時間)
直接付加価値を生んでいませんが、付加価値を生むための準備などをする時間です。段取替えの時間などが該当します。

例えば、なるべく段取替えを内段取りではなく外段取りにすれば機械を止めずに済みますので、付随作業の時間を減らすことができます。


3.無駄な時間
付加価値を生んでいない、明らかに無駄な時間というのもあります。例えば、手待ち時間。前工程の加工が遅れていてぼーっとしている時間や、材料が届かない時間などが該当します。

また、冷静に工程を観察すると意味のない作業が紛れ込んでいる可能性もあります。例えば、Aという材料を不必要に動かしていたり、作業上必要ないのに、場所を動かしているなどです。

また、典型的な無駄な時間としては探すといった作業です。探している時間は価値を生じていませんので削減する必要があります。


この時間に分類されるような活動は、どうにかして削減する必要があります。例えば、必要な道具や材料を整頓しておけば、探すと言った作業はなくせます。そして削減できれば、その分だけ生産性が改善します。


onnanoko_bustup
忙しいよー忙しいよー

kitsune
どうしたんですか?走り回っちゃって?

onnanoko_bustup
忙しいから忙しいのよ。売り場を走り回って、あちらこちらから商品を集めて、配達しないといけないから…

kitsune
ファンシーショップで出前なんて聞いたことがありませんが…でも、どうして売り場を何度も往復しているんですか?

onnanoko_bustup
はっ!たしかに、よくある注文の商品をレジのそばに置いておけば改善するかも知れないわね。

■定義が重要です

さて、この稼働分析をする際には分類をしていくと上で書きましたが、どのような作業がどの類型に分類されるかを最初に決め得ておく必要があります。


何が価値時価にあたり、何が無駄な時間なのかを明確にしておかないと、稼働分析をするたびに結果が変わってしまい、どれだけ改善したかを把握することができなくなります。

このようにしっかりと定義して置かないと、価値時間(稼働時間)と無駄な時間等(非稼働時間)がどのくらいの割合なのかが分かりませんので、改善ができません。また改善後の効果測定もできません

そのため、稼働分析を行う際には定義が重要となるのですね。

■作業分析・時間研究との違い

稼働分析は、作業全体の流れを観察する点で時間研究(作業単位の計測)と異なります。

また、個人や設備の稼働率を定量的に捉える点で、作業分析(作業の内容や順序を記録)よりもマクロな視点になります。

■稼働分析は製造業だけではない

この考え方は、製造業の専売特許ではありません。特に飲食店など加工の要素がある業態の場合は業務に無駄がないかどうかを考えることは、事業の改善につながります。

調査手法


解説で出てきた用語・関連用語
内段取り
手待ち時間
付加価値
生産性

経営
2014年3月19日

株主代表訴訟 | 株主が経営者を訴えて経営責任を追及できます

株主代表訴訟
株主代表訴訟とは、取締役が会社に損害を与えたような場合、株主が会社に代わって取締役の責任を追及するために起こす損害賠償請求の事を言います。

例えばあなたが持っている財産の大きな部分を投資していた会社があったとします。そして、その会社の経営陣が明らかに変な経営判断を行って会社に大きな損害が出たとします。

このような場合、あなたはどう考えるでしょうか?「株式投資にリスクはつきものさ」といった風に損失が出ても仕方ないと考えられるでしょうか?「訴えてやる」なんて言いたくなりますよね。
  • いきなり訴えられません
と、訴えたいなと考えても物事には順番があります。まず、役員さんを訴えるべきなのは監査役となります。監査役は会社を代表して取締役を訴えるという事です。このように監査役にはちゃんと経営陣の不正や判断ミスを正すことができる権限が与えられているんですね。

でも、「監査役っていたって役員が連れてきた人だし、そんな訴えるなんて期待できないよ…」と嘆く声も聞こえてきそうです。その場合は、株主は監査役に対して不正や判断ミスを行って会社に損害を与えた取締役を訴えるように請求することができます。

そしてその請求した後60日を経過しても監査役が訴えなかった場合、いよいよ直接株主が取締役を訴えることができるのです。
  • 訴えたらどうなるの?
「よし取締役を訴えて、自分が被った損害をそのまま補填させるぞ!」と考える人もいるかもしれませんが、訴えられた取締役が全面的に損害を賠償する事になっても株主個人には賠償されません。あくまで、会社に対して損害の賠償を行うというわけです。

関連用語
経済学
2014年3月11日

価格の下方硬直性 | 値段が下がらないという供給側にとってはうれしい現象があります

価格の下方硬直性
価格の下方硬直性とは、市場で形成される価格が需給を反映せずに下がりにくくなるという現象を指す言葉です。

自由に競争している市場で、財が特に差別化されていないような場合であれば、価格は需要と供給によって決定されていきます。これは、みんなが欲しがっているけど、供給が足りないものの価格は上がり、需要と比較して供給が多いようなモノの価格は下がるという分かりやすい決定方法です。

そして、このような価格決定のメカニズムが資源の効率的な配分を実現するとされています。いわゆる『神の見えざる手』というやつですね。

逆に言うと、自社の作っている商品やサービスが「どこのモノを購入しても同じ」という状態になってしまうと、需要と供給のみで価格が決定する世界で戦う事となり、企業としては苦しくなってしまいます。

これを避けるために、企業は必死になって差別化できるような製品やサービスを作り出しているのです。自社しか供給できないようなモノであれば、価格競争をする必要がありませんからね。(このように差別化要素がなくなってしまうような事をコモディティ化と言います。)
  • あまり変わらないけど価格が下がらない場合もあります
でも、世の中には差別化の有無にかかわらず価格がなかなか下がらないようなモノが存在します。どう考えても供給は十分で、どこの供給元のモノを使っても同じようなモノなのに、価格がいつまでも下がらないといったケースです。

例えば、携帯電話の通信料などは、価格がほとんど下がらないですよね?でも、A社もD社もS社もそのほかの会社であっても、携帯電話に必要な通信という機能面では、ほとんど遜色ないと思います。

つまりどこの会社を選んでも極端に差がないハズなのです。それなのに、価格が下がっていきませんよね?

このように、供給元が数社という限られた状況では、価格は必ずしも需要と供給によって決定しません。このような現象を価格の下方硬直性と呼ぶのです。
経済学
2014年1月6日

完全雇用 | 現行の賃金水準で働くことを望む人が全員働ける状況のことを言います

完全雇用
完全雇用とは、働く意思や能力のある人が、現行の賃金水準で全員が雇用されているという状況のことを言います。

なんだか働きたい人はみんな働けているといったイメージの言葉ですよね。でも、完全雇用が達成されたとしても必ずしも失業率は0%とはならない事に注意が必要です。

「えっ、完全雇用ってことは完全に雇用されているんですよね?」って思われる人もいるかもしれませんが、完全雇用とは、『働く意思や能力のある人』が『現行の賃金水準』で『雇用されている』という事です。

そのため、「イヤイヤ、自分はもう少し景気が良くなって、賃金水準がアップしてから働くよ。」なんて人達がいても、完全雇用には変わりがありません。(この種の人たちは雇用される事を選ぶことができるにもかかわらず自発的に失業しているわけですから自発的失業と呼ばれる状態です。)

また、労働力への需要が十分あったとしても、その労働力の需要があることを知らないといったケースも考えられます。

イメージとしては、「隣の事業所で君の希望の条件での求人があったよ。あれ、知らなかった?だったら早速応募した方がいいよ。」といった感じですね。(こちらは摩擦的失業と言われる状態です。)

このように、必ずしも全員が働いているわけではないので失業率≠0%であるという事には注意が必要です。

但し、雇用の需要が不足しているために、現行の賃金水準では働きたくとも働けないといった非自発的失業といった状態に置かれる人たちは、この完全雇用の状態では存在しないという状況のことを言います。
財務・会計
2013年11月21日

獲得資本 | 資本も獲得することができるのです

獲得資本
獲得資本とは、企業が本来の活動によって生み出した利益からなる自己資本の増加分事を指します。

例えば、期首に総資産1000万円、負債600万円、純資産400万円の企業があったとします。
その企業は会計期間を通じて努力した結果、期末には総資産1100万円、負債600万円、純資産500万円となったとします。

このような際に、純資産の増加分100万円が獲得資本のイメージとなります。

具体的な勘定科目としては、利益準備金やその他利益剰余金などがあげられます。

となんだか難しめに書いていますが、簡単に言うと、文字通り、事業を行った結果本業で獲得してきた資本金といった感じですね。

■他の自己資本との違いは

自己資本は会社を営むための「元手」ですが、簿記をちょっとかじった方は資本の掲載されている「純資産の部」は色々と記載が別れていることに気がつくと思います。

このように、わざわざ分けて書くからには違いがあるのです。

まずは出資者から直接払い込まれた資本である「払込資本」があります。これは出資者が出資してくれたお金にあたり文字通りの意味で元手となります。

また、資産の評価替えで生じる「評価替資本」といったものも存在します。

そして、本業を頑張った利益の蓄積で形成されるのが今回のテーマである「獲得資本」になります。

獲得資本は本業の頑張りで蓄積されるものなので企業活動の成果の歴史が詰まっていると言うことも可能です。無味乾燥な貸借対照表かも知れませんが、よく眺めてみると、資本金と一言で言っても色々な性質があることが見えてくるのです。

関連用語 
受贈資本
マーケティング
2013年11月4日

快楽的消費 | 消費活動そのものに楽しみを見出す事があるのです

快楽的消費
快楽的消費とは、消費する事自体が目的となっているような消費活動のことを言います。
 
消費活動というと、何かの必要があって家具であったり、クルマ、雑貨類を購入するといった事を思い浮かべることが多いと思います。

例えば、箸を買うのは、ご飯を食べるためであり、車を買うのも移動手段を得るためという事が主目的であるという事です。

このことは、消費財を購入するにしろ、耐久消費財を購入するにしろ、消費そのものを目的としているのではなく、そのモノから得られる便益が大切なのであると言った感じの考え方になります。便利さとかを買うといったイメージですね。

しかし、果たして本当にそれだけしょうか?そういう考え方では、映画を見るであったり、スポーツ観戦して贔屓のチームを応援するといった行動を説明できるのでしょうか?

こういった疑問に対して、「決して実用性だけではなく、イメージとか感情も重要だよ。消費自体が目的となり、消費すること自体で便益を得られるような消費も考えられるよ。」という考え方が生まれてきました…と、なんだか難しく書きましたが、簡単に言うと「『楽しみとしての消費』もあるのではないの?」という事です。

例えば、映画を見るのも、スポーツ観戦をするのも、楽しいからそうするのです。また、別に使いもしないような雑貨を購入するのも買う事が楽しいから購入するのです。

このように、消費自体を楽しむという事を快楽的消費と呼ぶのです。
財務・会計
2013年10月26日

貨幣性資産 | お金に近い資産といったイメージです

貨幣性資産
貨幣性資産とは現金や預金、売掛金などといったように、現金などの貨幣そのものや、回収できる額が決まっているような資産のことを言います。

この貨幣性資産とは、棚卸資産等の費用性資産に対する言葉で、このほかには、売ればすぐに現金化できるような一時保有の有価証券も貨幣性資産として挙げられます。
  • 会社を運営していく中での貨幣性資産
さて、この貨幣性資産は会社を運営していく中でどのような時に発生するのでしょうか?モノを仕入れて販売し、現金を回収するという営業循環の中で考えてみたいと思います。(流動資産固定資産等を判定するための正常営業循環基準でいう所の営業循環で説明をします。)
 
まず、商品を仕入れてきます。この時、現金という資産を使って棚卸資産(商品)という資産を購入することになります。

そして、棚卸資産(商品)が販売されると、現金で代金を受け取れば現金という資産に、「後払いでお願いしますね。」となれば、売掛金という資産になります。

営業循環の中で考えると、売れるかどうかわからない棚卸資産(商品ですね)は費用性資産になり、他方、既に売れて後はお金を回収するだけの売掛金や現金そのものを貨幣性資産というのです。

もちろん、売掛金や受取手形などは回収できる額が決まっていると言いますが、貸し倒れが発生する場合もあります。

また、棚卸資産は、売れるかどうかわからないから費用性資産なのではなく、いずれ費用として計上されるから費用性資産なのですが、それはコチラの説明を確認してみてくださいね。(費用性資産
財務・会計
2013年9月8日

貸倒引当金 | とりっぱぐれるのが分かっているのなら、その原因が発生した時の費用にしましょう

貸倒引当金
貸倒引当金とは、売掛金や貸付金、受取手形などの債権が将来貸倒れることに備えて見積もった費用の事を言います。

でも、どうしてこういった引当金をワザワザ計上する必要があるのでしょうか?

「実際に取引先に問題が発生して回収できなくなった場合(貸倒れた場合)は分かるけど、そうでないのに費用にするのってどうなの?」といった声も聞こえてきそうですよね。
 
でも、こういった風に考えてみたらどうなるでしょうか?

まず、広く取引を行おうと考えた際には、なにがなんでも現金商売というわけにはいきません。(もちろん「現金決済のみでお願いします」と頼むことはできますが、そうすると取引獲得の機会は確実に少なくなってしまいます。)

その為、『現金取引』ではなく『掛取引』を認めるという事は、取引先に対して信用を供与し販売促進を図っているとみることも可能です。

その場合、貸し倒れに伴う損失は売上に対応する『費用』になりますよね?(こういう考え方を費用収益対応の原則と言います。)
  • いつの費用?
さて、この貸倒は経験上一定の割合で発生することは避けられないと言われています。では、実際に発生した貸倒はいつの費用とするのがより合理的でしょうか?

例えば、今期の末日に残っている100万円の売掛金のうち、経験上2万円程度は貸倒れるとわかっているような場合、この貸倒損失はいつの費用とするのが合理的なのでしょうか?
 
どうも、実際に貸し倒れが発生するであろう来季の費用にするより、今期の費用にする方が合理的な感じがしますよね?(今期の販売促進を行うために支払いを待っているお金が回収できなくなるわけですからね。)

とすると、決算時に貸倒れの発生額を見積もって、あらかじめ今期の費用にしておくという会計処理は合理的であると考えることができるのです。

その為、決算書を見ていると貸倒引当金なる費用が毎期末に発生するのです。(税法で認められた費用(損金にできる)という面も大きいのですが。)
店舗管理
2013年9月7日

過剰包装 | 包装でもなんでも、過ぎたるはなお及ばざるがごとしなのです。

過剰包装
過剰包装とは、本来必要である水準を超えて過剰に包装をすることを言います。

例えば、楽しみにしていた新製品を買って来た際に、「ビニール袋から出して、箱にかかっているビニールをはがして、包装紙をはがして、箱から出して、うち箱から出して、発泡スチロールの保護材をとって、内側のビニールをはがして」といった風に、非常に多くの包装資材で包装されているようなイメージです。

製品に傷がつかないのはいいことなのですが、これでは少し過剰な気がしませんか?そして、過剰な包装はゴミを多量に排出してしまう為環境負荷が高いといった問題があるのです。
  • 過剰包装を生む理由
さて、どうしてワザワザコストをかけてまで過剰な包装を行うのでしょうか?

箱も、ビニール袋もただではないですよね?お金をかけて、すぐに捨てられてしまうもので過剰に包装する。なんだかとっても不合理な感じがしませんか?

でも、実際に丁寧な包装を実施することによって消費者に訴求できるといった面があります。

また、包装について適切に設計していないような場合(包装まで考えた商品ではない場合)には、物流の途中段階で破損する事が起こりやすくなるので、そういった問題を防ぐために過剰包装になりやすいと言われています。

このように、残念なことですが。過剰に包装するという事には一定の効果があり、その結果、環境問題が叫ばれていても過剰包装という問題は残り続けているのです。

■過剰包装対策について

過剰包装はゴミを生み出すので良くないというのは言うまでもないことです。しかし、マーケティング的にはやはりきれいな包装は価値が大きなものです。

そのため、必要な包装は維持しつつ包装の簡易化やリサイクル素材の採用などが進められています。

特に我が国ではレジ袋が有料化され、エコバックを使うことが推奨されたり、ギフトボックスが紙だけでできていたり工夫されているのです。

また、3R(リデュース、リユース、リサイクル)が推進されており、過剰包装だけでなく環境に優しい施策が推進されています。

この過剰包装は企業側からしてもコストアップにつながるため、うまく削減できればコスト削減にもつながったりするため、簡易な包装でお客様が満足できるような仕組みを考えていくことが重要なのです。



経営
2013年7月22日

間接部門 | 表にはあまり出てきませんが、後ろから支えるとっても大切な仕事です

間接部門_001
間接部門とは、直接部門に対する言葉で、売上を後ろから支えるような(間接的に支えるような)部門のことを言います。

この間接部門には、経理部とか人事部、総務部とかが該当します。これらの部門は企業が事業を運営するためには大切な部門ですが、基本的にはこれらの部門が直接売り上げを上げるわけではないのです。

例えば、経理部が企業の外からお金を稼いで来るという事は少し考えにくいですよね?(あったとしても営業部などに比べると少ない割合になると思います。)

このように、直接お金を稼がない部門であるという事ができるのですね。
  • じゃあ、間接部門はおまけなの? 
と、このように書いていると「間接部門はお金を稼いでいこないし、やる必要があるから、やっているだけなんだね」と言う風に思われる方がいるかもしれません。

しかし、上述の経理部が適切な会計処理を行ったり、管理会計のデータを作成したりしている場合(簡単に言うとちゃんと仕事をしている場合)、直接部門である営業部や生産活動を行っている工場を側面から強力に支援していると言えます。

例えば「この製品を作るのにどれだけの原価がかかったか分からないよ…」みたいな状態で、「生産活動に対して改善してください」なんて言われても非常に困ってしまいますよね。

このように、測定できない状況では生産活動についてほとんど改善が望めないので非常に大切な活動であると考えられます。

また、人事部についても、自社の大切な経営資源である人材を配置するといった大切な役割があります。

と、そこまで大きく捉えなくとも、直接部門が自分の仕事に集中できるように事務処理などを代わりに行うという事も重要な仕事です。

営業に行った人が、かかった経費を帳簿に付けると言われて、「あれ、この経費って交際費?それとも…」なんてやっていたら効率が悪いですよね?

このようなことを避けるために、間接部門が一手に業務を引き受けるというわけです。
経営
2013年6月17日

価格破壊 | 従来の価格体系を破壊するような攻撃的な値付けの事ですね

価格破壊_001
価格破壊とは、従来の価格体系を破壊するような価格低下が起こるような現象のことを言います。

例えば、缶ジュースなら大体120円といったなんとなくの相場観ってあると思います。(こういった相場観に従って値段を付ける方法を慣習価格と言います。)

しかし、革新的な小売業はそのような価格体系自体に疑問を持ちます。「本当にこの値段じゃないと売ることができないのだろうか?」と。

そのような疑問から、価格体系自体を破壊するような価格低下をもたらすような革新的な業態が発生したりします。

昔の話では、ダイエーが当時の革新的な小売業形態を生み出して価格破壊を引き起こしました。この流れで松下電器産業(今のパナソニックですね)といわゆる三十年戦争を繰り広げたのです。(安売りこそ正義と考えるダイエーと適正な利潤を確保すべきとする松下が争ったんですね。)

今でも、ディスカウントストアといった業態が登場したり、ITの発達によって無駄なコストを省けるようになったりしたため、価格破壊が起こっていたりします。

■価格破壊のメリットとデメリット

消費者にとって価格破壊は低価格で商品を手に入れることができるというメリットがあります。昔はPCやテレビとかはとても高かったですよね。でも今は割と手に入れるのが、なんとかなる価格だったりします。

また、お店にとっても一気に市場シェアを握れるという大きなメリットがあります。

他方で、製品を作っているメーカからすれば利益水準が圧迫されたり、お店自体にとっても利益率が低下して、頑張って売ってもあまり儲からないという事態が発生します。

■長期的デメリット

と、一般的にはこのように考えられますが、価格破壊の名のもとに過度な価格競争が長期化した場合には、そもそもその商品を作っても儲からない。そのため、その商品の製造から手を引くといった判断をする企業が生じかねません。

また、製造から手を引かないにしても、新たな研究開発を凍結するといった意思決定が行われる可能性があります。

その結果、市場の持続可能性を損なってしまい、消費者も、メーカーも、小売店も皆が損する可能性があるのです。


なお、この価格破壊を価格統制として人工的に行うとこのような弊害が生まれやすくなります。例えば、ジェネリック医薬品の価格は事実上統制価格となっています。

そうすると、社会的な意義はあることを製造業者は認識はしていたとしても、どうしても適正な水準の利潤を確保できない薬については製造数量を絞る、または、製造事態を取りやめる経営判断をする必要があるところまで追い込まれる可能性があります。

その結果、必要なおくすりが手に入らなくなると言った問題も生じてしまうのです。

■生成AI、サブスク時代の価格破壊

近年ではAIやサブスクリプションの普及で価格破壊の意味も変わりつつあります。

単なる値下げは、企業側の適正利潤を削って成し遂げていた面がありましたが、近年では限界費用(追加で一単位供給するためにかかる費用)が非常に低いフリーミアムみたいなビジネスモデルも登場しています。

例えば、AIツールは従来だと非常に高価なサービスであったと考えられますが、できることと比較して極めて低廉な価格で提供されています。

また、音楽配信や動画配信なども、従来のいわゆる『円盤:記録メディア』の場合は数千円するのが普通でしたが、近年ではサブスクリプションモデルとして極めて安く利用できるようになっています。

このように所有から利用に価値の軸が変わることで製品単価の考え方自体が再定義されています。

この意味で、従来の価格体系が破壊され、新たな価格体系が作られる時代に来ているのです。
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