まんがで気軽に経済用語

「知らないから動けない」をなくしたい。 中小企業診断士が、現場視点で経営用語をまんがでわかりやすく解説しています。 読むことで、生産性が上がり、心に余裕が生まれ、社会全体がちょっと良くなる。そんな循環を目指しています。

マーケティング

マーケティング
2025年7月17日

非価格競争

非価格競争_001
非価格競争とは、価格以外の要素で企業間が競争を行う事です。簡単に言うと、値下げ以外で競合他社に対抗する事を言います。それは、「他社とは違うなる『何か』」を持つことです。

■競争といえば価格競争ですが、それには問題が多い

みなさんは競争と聞いてどんな方法が思い浮かぶでしょうか?いくつかの方法を挙げていただくと、おそらく価格競争(値下げ)といった方法が、挙げた中に入っていると思います。

この価格競争は一般的に行われている方法ですが、価格競争を行うと収益の低下をもたらしたり、製品のイメージの低下をもたらしたりと、企業にとっては望ましい方法とは言えません。

■値下げに頼らずに行う『非価格競争』

この価格競争とは逆に、価格以外で競争を行うというアプローチを非価格競争と言います。では値下げに頼らず製品を売っていく方法ってどんなことが考えられるでしょうか?

例えば、販売している製品に新たな付加価値をつける、販売する市場を更に細分化(市場細分化戦略)する、新たなサービスの提供やブランドの構築などを行うといった方法が考えられると思います。

それでは具体的な例を考えていきたいと思います。今回は、塩という商品を考えてみます。

通常、塩という商品は、どこの製品を購入しても大差がないため価格競争が行われる事となります。(コモディティ化しているため)

しかし、「○○の塩」や、「ドコソコの岩塩」などといったようにブランド化できれば直接的な価格競争に巻き込まれることは少なくなります。また、塩の専門家が料理の種類ごとに望ましい塩を提案してくれるといったサービスを提供するといった事も考えられます。

更に、〇〇さんが作ったお塩とか、〇〇という土地で作ったお塩など、商品にストーリー性をもたせることも考えられます。例えば「文豪が愛した〇〇という土地で昔から塩を作っていました。これは、彼が愛した味なのです」などと謳っていくことも可能だったりします。

いずれにしても、この差別化するという視点が非価格競争なのですね。そして、この価格以外の面で競争を行うといった方法は簡単に模倣できないといった長所もあります。

このまんがでは、学食と購買が価格競争を繰り広げていました。しかし、その限界を感じた学食側が非価格競争を行っています。

具体的には提供する製品の品質を向上させて、価格競争ではない部分で勝負しようとしています。 


<価格競争と非価格競争について簡単に対比表を作ってみましたので御覧ください>
比較項目 価格競争 非価格競争
競争軸 価格(値下げ) サービス・品質・ブランド・体験など
利益率 低くなりがち 確保しやすい
競争の土俵 他社と同じ 自社独自(コノの設定がポイント)
差別化のしやすさ 難しい(価格しか違わない) 高い(組み合わせ自由)
持続可能性 低い(限界あり) 高い(工夫次第)
代表例 スーパーの特売、格安スマホ スターバックス、地域限定ブランド

■その他の非価格競争の例

「うちの商品は別に特別じゃないからなぁ・・・」と考える方も多いと思いますが、この他にも非価格競争に持ち込む方法は沢山あります。

以下幾つか挙げてみますのでピンと来るのがあれば、自社だったらどうするかを考えてみると良いでしょう。
  • サービス品質向上
接客丁寧、アフターフォロー万全など付加価値の提供の仕方があります。当社から購入すれば、「電球一つから取り付けますよ」といったのも考え方ですよね。

短期的にはペイしないかもしれませんが、長期的に見ればやすい家電量販店と違う土俵で戦うことができたりします。
  • 市場のさらなる細分化
さらなる細かい市場を狙うという発想です。宿でも、学生さんの合宿専用宿>音楽系の団体専用宿と狭めていけば考え方が変わってきます。

音楽系専用ならば、音出しができる環境があれば良いため、「うちは田舎で何にもないから・・・」が「うちは思う存分音を出せますよ!」に変わるかもしれません。この場合は、最寄りの公共交通機関から送迎をしたり、譜面台や椅子を用意するぐらいで実現可能ですので、嘆いているよりも試してみるほうが生産的です。

踏み込むならば、声楽系(コーラスとか合唱、グリーなど)の人向けに「喉にいい食事を出す」などとやっても面白いかもしれませんね。

  • ストーリーの付与
上で挙げた「文豪が愛した」なんていうのも、地域の偉人・有名人の知名度を借りることができますし、素朴にあなたの創業時の思いをストーリーとして書き出してみるとなにか生まれてくるかもしれません。

neko_negane
今日も近所のパン屋さん、30円引きにしていますよ!先週は20円引きだったのにだんだん安くなって来て大変ですよね。。。

onnanoko_bustup
あらあら、価格競争を続けているのね

kitsune
隣町のパン屋さんは、文豪が愛したチーズパンってパンを売っていましたよ。こっちは特に値段は下げていないですよ。

onnanoko_bustup
あら、非価格競争なのね。物語で差別化していく戦い方を始めたわけね。

kitsune
お値段だけで勝負をしないってことなんですね

onnanoko_bustup_2
そうよ、戦う土俵をずらすことが重要なのよね。そしてずらした土俵は自社が勝てる所であるのも大切よ。ほら、あのお店のチーズって絶品だったじゃない。

■パン屋さんの非価格競争の例
このサイト、パン屋さん好きですね。別にkeieimangaがパン屋さんに関係しているわけではないのですけど、なんとなく説明しやすいんですよね。

さて、パン屋さんの例ですが「価格競争」や「品質競争」を始めたら泥沼です。

山崎パンとか第一パンなど大手製造メーカーのパンはものすごく品質がいいですし、知名度も抜群です。それに価格も基本的にはあの値段で街のベーカリーが売っていたら商売が成り立ちにくいぐらい安いはずです。

このパン屋さんと戦うためには「非価格競争」として敢えて生産性を犠牲にして「地元の森で取れた天然酵母」とか、「地元の農家さんと連携した季節限定の惣菜パン(朝どれのアスパラが挟んであるよ)」 とか「高齢者の方向けに、食べごたえがあるけど食べやすい。単に柔らかいだけではないパン」などを作っていくことが重要です。

後は、ご当地のキャラクターが愛した「〇〇パン」とかの切り口もあります。

いずれにしても、価格で勝負しないことがとても重要になってくるのです。

初出:2012/06/16
更新:2025/07/17

マーケティング
2025年7月14日

プライスリーダー | 業界リーダーは市場の秩序を作り出します

プライスリーダー_001
プライスリーダーとは、業界全体の価格設定に影響を与えることができる業界リーダーのことを言います。簡単に言うと、価格支配力を持った企業という事です。

プライスリーダーは市場シェアが二位以下の戦略を出方を見ながら戦略を考えることが可能です。なぜならは市場で最大の経営資源を持っているからです。

そして、プライスリーダー以外の競合他社はプライスリーダーの定めた価格を基礎として、自社の価格を設定する事となります。(プライステイカーといいます)

■プライスリーダーとプライステイカー

この業界全体に影響力をプライスリーダーに対してその他大勢の企業をプライステイカー(価格受容者)といいます。

ざっくりとこの2つを表にまとめてみました。
項目 プライスリーダー プライステイカー
価格決定権 自社で価格を決定する 市場価格を受け入れる
市場での立場 業界のリーダー企業 フォロワー(追随者)企業
競争戦略 価格を維持・安定させることで主導権を維持 リーダーの価格を前提に自社の利益を確保
影響力 業界全体の価格形成に影響を与える 価格にはほとんど影響を与えない
典型的な業界構造 寡占市場 完全競争市場
代表例 トヨタ、ユニクロ、Amazon(カテゴリによる) 中小規模の同業他社

これらの代表例と比較して、中小規模の同業他社が価格決定する力がないことは明らかです。自社が適正な利潤を取ろうとしてある程度の高値をつけても、プライスリーダーが決めた価格帯から逸脱して高額だったならば、殆ど売れずに市場から退場させられるのが想像されますよね。

■プライスリーダーは自ら値下げはしない

このような市場全体の構造から、プライスリーダーが自ら値下げをすることは無い(少なくても戦略定石としてはあまり考えにくい)といえます。

例えばプライスリーダーが値下げした場合、ほかの競合他社はその値下げに追随せざるを得なくなってしまいます。
スクリーンショット 2025-07-14 213747
<この図は、プライスリーダーが価格を決定し、競合が追随する流れを示しています。競合が値下げしてもリーダーは動かないという力関係がポイントです。>


逆に、プライスリーダー以外の競合他社(プライステイカー)が値段を下げたとしても、プライスリーダーは追随する必要はありません。なぜならば、プライスリーダーは市場シェアを十分に握っており、その結果として最も低コストで製品を供給できるだけの経営資源を持っている可能性が高いからです。

そのため、競合他社が非常に無理をしてせってした価格に付き合わなくとも、相手の息切れを待つことが可能です。

また、仮に競合他社が市場シェアを侵食して来たとしても、十分な余力を持って対処することができるため、慌てて追従する必要がないからです。

このように、業界のリーダーはあえて価格競争を行わないという選択肢が一般的なのです。(リーダーの戦略定石

■市場シェアを取りすぎないという選択もありうる

この背景には、最適な市場シェアを維持することの方が市場シェアを単純に最大化するよりも利益につながるといった冷静な判断があります。

例えば、市場シェアを過剰に取るために魅力的ではない市場に進出するのではなく、美味しいところだけ確保したシェアを維持できればそれでいいのです。

そのため、価格を維持するといった発想にがあるのです。

このようにプライスリーダーは業界全体の価格設定に主導権を持てる立場であるということができます。

この意味でプライスリーダーが存在する市場においては、商品の価格が下がりにくいという傾向が出てきます。

この価格の下方硬直性は 商品やサービスの供給元が少ない場合だけでなく プライスリーダーが存在する場合も生じるのです。

■仮にプライスリーダーが値下げをする場合

このような場合もプライスリーダーの立場はとても有利です。

例えば、あなたの会社が業界の中でプライスリーダーでなかったとします。その時、プライスリーダーがさらなる市場シェア拡大を目指して衝撃的な水準の値下げを断行したとしたら、その値下げに追従しないわけにはいかなくなります。

たとえそれが、あなたの会社にとって適正な利潤を到底確保できる水準でなくてもです。

このようにプライスリーダーはほぼ一方的な力を行使することができるのです。

■プライスリーダーはその市場で最強の企業です

上記のことは、プライスリーダーは通常、その市場内で最大の企業であるということが背景となります。

そのため、規模が大きいことによる低コスト(規模の経済)や累積生産数が多いことによる低コスト(経験曲線の効果)を享受しています。

簡単に言うとプライスリーダーは競合よりも安く物を作れるんですね。そして、そのような企業が価格設定の主導権を持って、価格を維持している場合、2位以下の競合他社は何とかしないとジリ貧になってしまいます。

このまんがでは2コマ目ではリーダーの言う事に、その他の人たちは追従せざるおえない事を示しており、3コマ目では逆にその他の人たちの行動にリーダーは付き合う必要がない事を示しています。

まあ、通常はこのまんがのように振る舞ったら感じ悪いですよね。

解説で出てきた用語・関連用語
市場シェア
価格の下方硬直性
プライステイカー
プライスメーカー


参考記事
プライスリーダーに対抗するためのに:競争地位の4類型

■プライスリーダーに対抗するために(中小企業の戦略)

多くの読者は中小企業側の立場で本記事を読まれると思いますので、プライスリーダーへ対抗する方向性を示して本記事を締めたいと思います。

その方向性は、プライスリーダーと正面から戦わない・相手にしないということです。

例えば、
  • 地域密着のサービス(迅速な対応、地域柄に合わせた柔軟なカスタマイズ)
  • 専門性の高さや、ニッチ市場を深堀りする
  • ブランドストーリーなどナラティブな文脈で理念追求したり共感を形成する
  • アフターサービスなど保証の手厚さで戦う
といった大手企業と直接戦わないことです。これは中小企業側の戦略の定石と言ってもよく、「山崎パンや第一パンとパンの値段や品質で勝負しないでください」とお伝えしているところです。

中小・小規模事業者さんはパンを作るなら、独自の酵母を使うとか、この街で取れた酵母を使うとか、あなたの会社が適正な利潤を確保して存続できる値段を正当化できるストーリーや差別化要因を作り上げることが重要なのです。

初出:2012/05/17
更新:2025/07/14



マーケティング
2025年7月13日

ジャラパゴス | 独自の進化をすると言っても、世の中の流れも見ておかないと取り残されます

ジャラパゴス
ジャラパゴスとは、日本独自仕様で進化を遂げ、日本国内では競争力を持つが、世界的には競争力を持っていないような製品やサービスを指す言葉です。

この言葉は、日本(ジャパン)とガラパゴスの2語を組み合わせた造語で、世界の潮流を無視し、日本独自仕様で進化を遂げた製品やサービスが、その特殊な進化ゆえに世界的には需要が著しく少なくなってしまうとの現象を指した言葉です。

(ガラパゴス諸島の生物のように、外界から隔絶された環境で独自に進化を遂げたといったイメージです。)

例えば、スマートフォンが生まれる前の携帯電話などを思い浮かべていただければと思います。

この種の携帯電話は日本のユーザの求めるニーズを満たす、非常に高性能な製品でした。

しかし、世界的には日本独自に進化した方向性とは異なる仕様が求められており、日本の優れた携帯電話であったとしてもあまり世界的には競争力を持てずにいました。

そして、スマートフォンといった黒船がやってきた時、ジャラパゴス化していた国内の携帯電話は総崩れといった状況を迎えてしまったのです。

このように、顧客が求めるモノを作るという顧客志向とか、ニーズ志向などというキーワードで示される方向で頑張っていたけれども、独自仕様が強すぎてジャラパゴス化してしまったというのは皮肉ですね。

■ジャラパゴスあれこれ

幾つか挙げてみると、
・おサイフケータイのFelica
・地デジとかのテレビ
・家電のごちゃごちゃしたインターフェース
などなど

いや、技術は優れている場合も多いんですよ。むしろ世界標準のデファクトスタンダード(普及したから事実上の標準になったもの)とかデジュールスタンダード(ちゃんと標準を決めたもの)よりも優れているケースも多くあるのですが、どうしても普及率という意味で我が国市場に閉じ込められてしまったのです。

(皆が使うと技術的優位性云々とは異なった切り口のネットワーク外部性(皆が同じものを使うからこそ価値が生まれるという考えかた)という効果が働き始めるのです。)

■ジャラパゴスが許されるほど独自性と内需が分厚かったが・・・

我が国市場はとても大きく、内需だけで完結するだけの規模がありました。我が国で覇権をとれば、それだけで食べていけるわけです。また、英語圏と言語が断絶しているので我が国独自の市場が温存されたといった構造もあります。

このように、我が国独自で進化してもいいじゃないかと考えることもできなくはないのですが(そういったマーケティング戦略上のポジショニングは十分に正当化されます)、世界に打って出る事が難しくなりますし、調達コストも高止まりします。

また、海外からいわゆる黒船(上の例でスマホですね)がやってきた際に、一気に駆逐される危険性も存在するのです。

■今もジャラパゴスは発生しうるの?

筆者は、システムで決裁するとハンコ画像を押してくれるといった機能を見たことがあります。また、2025年現在FAXが現役だったりする姿も見たことがあります。

でも、我が国独自のニーズに対応する仕組みって刺さるんですよね。だから、腹をくくってジャラパゴスを狙うのも中小企業の戦略としては十分にあり得るのです。

初出:2013/09/27
更新:2025/07/13


マーケティング
2025年6月29日

後発優位

後発優位_001
後発優位とは、既にある市場に参入する事で既に参入している競合に対するメリットを言います。

既にある市場ですから、確実にそこに顧客がいるという事ができますし、社内調整(稟議制度などを利用)もやりやすいと思われます。

新しい市場へ参入した場合、先発優位を得ることはできますが、確実に売れるかどうかは誰も保証してくれないのです。(売れると思って製品を作ってみたけど、誰もそんなものを欲しがっていなかったという事もあり得ますよね。)

さて、後発優位とはどのようなことでしょうか。以下、説明をしていきます。
  • 広告宣伝費用を節約できる
全く新しい製品を世に送り出した場合、それが「どのように消費者の生活を便利にするのか?」といった点をアピールしていかなければなりません。

しかし、既存の市場に参入する場合には、そういった事に費用をかける必要はなく、「競合と比較してウチの方がいいよ(便利だよ)」とアピールするだけで大丈夫です。
  • リスクを避けられる
先発企業が事業を行っているという事は、そこには顧客がいる事の証明になります。そのため、新市場に参入してみたが、顧客がいなかったというリスクを避けることができます。

関連用語
ファーストムーバーズアドバンテージ
セカンドムーバーズアドバンテージ

■君は退職代行業を知っているか?

筆者はこの後発優位で極めて強い優位性を発揮した業態があると考えます。

それは、「退職代行業」です。

少し前はそんなニーズが存在するなんて誰も考えつかない業種でした。そして、そのようなニーズを初期にこの市場へ参入した先発企業が、「そもそも退職代行とは何なのか?」といった啓発活動から始めていき、退職代行は「退職交渉なのか(法律的に交渉できるの?)、意思表示(代理なの?)なのか?」など様々な法律的な論点もクリアーしていって定着させる必要がありました。

このような、利用者側の法的懸念や倫理的な疑問にも対応しつつ、サービスの意義を社会に伝えていく必要があり、それをやり遂げたのです。

しかし、後からこの市場に参入した企業は、「退職代行」という言葉自体が広く認知された後だったため、その説明に広告費を割く必要がほとんどなくなりました。

加えて、先行企業が築いた価格帯や対応内容などの「業界標準」に乗ることで、比較的スムーズに顧客獲得ができるという後発優位を享受できたのです。

さらに、先行企業が法的トラブルや炎上などの失敗を経験していれば、それを教訓に「信頼性」「弁護士監修」場合によっては「労働組合としての交渉」などの付加価値を訴求しやすくなります。このように、後発企業は先行企業のノウハウや失敗事例を参考にしながら、より洗練されたサービス提供が可能となったのです。

■実務面からの追記(競合が参入してきますのでその対応が重要です)

実務的には、大企業でないあなたが考えた画期的なビジネスには必ず競合が参入していきます。

そのため、(知的財産権:特許権や実用新案)などを使って法的に参入ができなくする、(知的財産権:商標権)を確保して他社が類似の名称で参入できなくするといったことが行われます。

また、この他にもロビー活動を行って法規制をしてしまうとかいろいろな手法が存在はしています。

なお、参入障壁のセオリーとして規模の経済を追求し、多大な投資をしないと参入できないようにするなどがありますが、自分の会社よりも経営資源が乏しい企業に対しては有効ですが、自社よりも大きな企業に対しては難しい参入障壁の作り方になります。

■簡単にできる参入障壁

特許を取ったり許認可が必要な業種であると法規制してもらうなどはかなり強い参入障壁ですが、そこまでできなくても、心理的な障壁(スイッチングコストを高める)ことやブランド価値を高める、信頼感を高める(弁護士監修とかの明記)、非常に多い実績を作るなどで参入障壁を築くことは可能です。

少なくとも、何らかの参入障壁を作らないと、お城のない戦国大名のように脆弱な立場になってしまうので、意識して参入障壁を作っていく必要があります。

なお、逆にあなたが新規参入して後発優位を取ろうと考えた場合、相手はこれらの参入障壁というなの城を築いていますから、何処から攻めるか、自社が先発企業と比較して勝っている部分はどこかを冷静に見極めることが重要です。

関連用語
参入障壁

初出:2013/03/17
更新:2025/06/29

マーケティング
2025年6月19日

市場細分化戦略 | 誰に集中するかを選ぶ方法

市場細分化戦略_001
市場を分類する方法や細分化する変数の選び方は別記事で解説しています。本記事では分類した後、『誰に』集中するかについて考えてきます。



市場細分化戦略とはある基準によって細分化された、同質であるとみなされる集団に対してアプローチする戦略のことをいいます。

一言でいうと、みんなを相手にするのではなくある条件に合致するグループを相手にする戦略です。

これは単一市場に対して大量に単一製品を投入するようなマス・マーケティングでは消費者を満足させることが難しくなってきているためです。

例えば、日本全国老若男女すべての人に満足してもらうようなカップラーメンを作るとします。その場合、何か際立った特徴を打ち出すことはできるでしょうか?こってりし過ぎてもよくないし、あっさりし過ぎてもダメ。麺も太すぎず細すぎず、野菜の量も肉の量も万人受けする水準を目指す。

みんなが満足できるような製品を作ろうとすると、みんながなんとなく物足りない思いをしそうですよね。その結果魅力の乏しい製品になりがちだと思います。

その様な努力をするのではなく、市場細分化(セグメンテーション)を行い、細分化したある市場に経営資源を集中投入することが効率的であると考えられています。

そして、コトラーによればこの市場細分化の有効性は以下の要素によって決まってくると言われています。
  • 市場の測定可能性
その細分化した市場に対して行ったアプローチの効果を測定できるのか?という要素です。何をやっても反応を測定できないのであれば、その細分化が正しかったのかを判別することはできません。
  • 利益確保性
その細分化した市場で利益は確保できるのか?という要素です。例えばものすごくケチな人々みたいな市場を細分化して特定したとします。なんとなくこの市場では利益を生み出すのは難しそうですよね。
  • 市場への接近可能性
その細分化した市場にアプローチできるのか?という要素です。どんなに素晴らしい市場を細分化したとしても、そこにアプローチできないのであれば意味がありません。例えば、その市場は規制がかかっていて参入が不可能というのであればその分類は意味をなさないのです。
  • 差別化可能性
その細分化した市場にアプローチする際、差別化することができるのか?という要素です。せっかく市場を細分化したとしても、その市場に他社と同じものしか提供できないのであれば、その分類を行う有効性は低くなってしまいます。
  • 戦略の実行可能性
その細分化した市場にアプローチする戦略は実現可能か?という要素です。できない戦略を考えても仕方ありません。例えば革新的な製品を送り出すために接客時に細かく説明をして販売するとの戦略を立てたとします。しかし、経営資源が乏しく接客を行う人員を確保できないのであればこの戦略は絵に描いた餅になってしまいます。

このまんがではターゲットを絞り込んで新製品を開発したところ成功しています。

みんなに好かれるものはもちろん理想ですが、みんなに好かれるものを目指すとみんなが物足りないものになりがちです。そうではなく、少なくとも特定の層に好かれるものを提供していくことが大切なのです。

■誰に届けないか?も重要な観点です

このように絞り込む考え方をする際には、誰に届けるかに焦点が向きがちですが、誰に届けないかを割り切ることも重要です。

ここのいい意味の諦めができるかどうかが良い戦略とそうでない戦略を分けるカギとなります。

例えば、このマンガの「運動部の腹ペコ男子」にターゲットを絞るということは逆にいえば、そこまで沢山食べることができない少食の人に届けないという選択になりますから。

ただ、大手企業ならまだしも、経営資源に制約が大きい小規模なお店の場合は全員が満足するような戦略を取ることはできません。

ここで妥協して「なんとなく大盛り定食」等とすると、腹ペコ男子は満足しませんし、少食の人からすれば多すぎる微妙なお店担ってしまいます。

このように、思い切った絞り込みをすると『刺さる』戦略と成るのです。

■絞り込みが戦略の方向性を決めていきます

この「運動部の腹ペコ男子」市場に届けるとなると
・値段
・売り方、商品
・お客さんへの届け方(流通)
・お客さんへの伝え方(プロモーション)
といった大切なことも具体的に考えることができてきます。そのため、絞り込みは重要なのです。



合わせて読むと理解が深まる!『市場を分ける!それが成功の第一歩』そんな観点から
市場細分化(セグメンテーション)とは
市場細分化変数とは
市場細分化戦略<本記事>
といったシリーズもので書いてみました。合わせてご覧くださいませ。

初出:2012/03/16
更新:2025/06/19

マーケティング
2025年6月19日

市場細分化変数

市場細分化変数_001
市場細分化変数とは市場細分化(セグメンテーション)を行う際に用いる変数の事です。分類すると言っても、何らかの基準がないと分類のしようがないですよね。この市場細分化変数はその分類のための基準となります。

この市場細分化変数には次のようなものがあります。
  • 地理的変数
国や地域などによる分類です。簡単に言うと関東と関西では好まれる味が異なるといった傾向を用いて分けてみようという事です。
  • 人口統計的変数(デモグラフィック変数)
性別、年齢、職業、所得などの個人に紐づく分類です。例えば、男性と女性では好まれるものはかなり明確に分かれると思います。また、2歳児と10歳の子どもではほしがるおもちゃは明確に分かれると思われます。
  • 心理的変数
ライフスタイルや価値観、購買動機に基づく分類です。例えば、海が好きでヨットに乗る人と、映画を見ることが好きな人の好みは明確に分かれそうですよね。
  • 行動変数
その製品の使用頻度や購買動機に基づく分類です。例えば、安かったから買った人とその製品を親子代々愛してきた人ではその製品に対する態度が異なってくると考えることができると思います。

このまんがでは明らかにされていませんが、何らかの市場細分化変数を用いて分類を行った結果運動部の腹ペコ男子をターゲットにするという結論に到達したようです。


実務面からの加筆:
幾つかの変数を挙げてみましたが、実務的にどう使っていくかを考えてみたいと思います。

■市場細分化変数(地理的変数)

これはなんといってもデータが取得しやすいというのが強みになります。最初に検討していくと示唆を与えてくれる内容になってきます。

ただ、これが決定的な内容に成ることはほとんどないため、考える際にはアイスブレイクで使うといった使い方になってきます。(幾つか思いつくままに挙げていくと、考えが加速していきますから。)

住んでいるところで好みが変わる。だから売るものの味付けを変える。といった観点は重要ではありますが、あんまり実務的ではないです。差別化の観点からはここの変数は逆張りするために使っても良いかもしれませんね。(例えば、関西に敢えて関東風の醤油が強力な物品を提供するなど)

■市場細分化変数(人口統計的変数)

個人を分類する変数ですから、客層を「見える」ようにする効果があります。所得層等を一定程度で分類すれば、生活に余裕がある層に向けるなど見え方が変わってきます。

ただ、これも多くの場合は決定的な差別化要因にはなりにくいです。また、分類した感がでるため、表面上の浅い検討に成る危険性もあります。

「フィットネスが好きなミドル世代の女性」などとターゲットを分類したくなりますが、本質的なニーズが「健康」であれば、心理的変数や行動変数で分類した方が本質的だったりします。

■市場細分化変数(心理的変数)

ライフスタイルや価値観を追いかけますので、より本質的な分類にはなります。

しかし、とても主観的でd測定することが難しいため、本当にそのような価値観を持っている人がどれだけいるのかといった市場規模の測定が難しいことが多いです。

■市場細分化変数(行動的変数)

購買履歴が残っていれば、その購買履歴を用いた分類もできます。ただ、お察しの通り新規顧客の獲得には極めて使いにくいと言った弱点があります。

■じゃあどうすればいいの?

全くの新規事業では仮説を積み上げるしかないのですが、既存の事業では最強の事例があります。

それは「お客様がどうしてうちの商品を使っているのか?」といった観点です。

この観点で見ていくと、行動変数にもとづいた無理のないターゲット像を作ることができたりします。

■市場細分化変数はあくまで市場を見るメガネ

今回の漫画では「運動部の腹ペコ男子」をターゲットにすると言っていますが、それは心理的変数と行動変数の組み合わせてなかなか妥当性があるように思われます。

しかし、市場細分化変数はあくまで市場をどのような目で見るかを分類するだけの切り口となりますので、マーケティングのSTPの

S:分類(事情細分化変数はここで使う)

T:ターゲッティング(分類した何処を狙う?)

P:ポジショニング

といったステップを踏んで考えていくことが重要です。その意味では、市場細分化に過剰にこだわらず先に進んで戦略上違和感があったら戻って考えるといったほうが実務的だったりします。


市場細分化(セグメンテーション)とは何か?」という基本的な内容については、以下の記事をご参照ください。


合わせて読むと理解が深まる!『市場を分ける!それが成功の第一歩』そんな観点から
市場細分化(セグメンテーション)とは
市場細分化変数とは<本記事>
市場細分化戦略とは
といったシリーズもので書いてみました。合わせてご覧くださいませ。


初出:2012/03/17
更新:2025/06/19


マーケティング
2025年6月19日

市場細分化(セグメンテーション)

市場細分化_001
市場細分化(セグメンテーション)とは、企業が市場や顧客をある基準によって細分化して分類することを言います。

この細分化の方法はいろいろ考えることが可能です。例えば、関東・関西では好まれる味付けが異なりますよね。そのため、カップうどんのような商品では関東と関西とでは味が異なってきます。

このように地理的な条件で分類を行う事や、性別・年齢のような人口統計的な条件で分類を行うことが可能となります。これらの分類の条件を市場細分化変数と言います。

この市場細分化(セグメンテーション)に対し、市場を細分化せずに単一市場に対して単一製品を投入するようなマーケティングの手法をマス・マーケティングと言います。

このマス・マーケティングとは、日本全国老若男女すべての人に満足してもらうようなカップラーメンを作るようなイメージとなります。

これに対して市場細分化(セグメンテーション)は若い男性向けにがっつりとした大盛りラーメンを提供するようなイメージとなります。

このように、分類した集団に対してアプローチを行う戦略を市場細分化戦略と言います。
 
このまんがでは、購買に来てくれる生徒さんを分類して新製品開発に役立てようとしているようです。

■代表的な市場細分化変数

市場細分化変数という上から辿れるリンクでも書いていますが、代表的には
・地理的変数
 何処に住んでいるかとかです。関東と関西では味の好みが違うことはよく知られていますよね?

・人口統計的変数
 年齢とか、職業・性別などの個人に紐づく分類です。男女差をことさらに強調する必要はありませんが、年齢等では明らかに好みが違ったりします。(未成年とシニア層では趣味趣向が違う傾向があります。)

・心理的変数
どんなライフスタイルを好むかと言った変数です。バイク乗りとか山屋さんなどのアウトドア派とインドア派はやはり好むものが違いますよね?

・行動的変数
購買歴などに基づく変数です。

と分類していきます。

■分類後の流れ

これらの変数で分類したとして、それを経営に生かさないとなんの意味もありません。そのため、

分類

ターゲットの設定

自社のポジショニングを決める

といった流れで戦略に落とし込んでいきます。

なお、ターゲットの選定には
・市場の測定可能性
・利益確保性
・市場への接近可能性
・差別化可能性
・戦略の実行可能性
といった観点でみていくと良いです。これは(市場細分化戦略という記事で詳しく説明しています)

■マンガの例で市場細分化を考えてみる

今回の漫画では生徒さんを分類したいと言っています。今回挙げた市場細分化の観点では、地理的には同質性が高いですし、年齢や職業は学生さんなのでほぼ一緒になっています。

とすると一案として、生徒さんを心理的変数で分類していく事が考えられます。

例えば、

運動部、健康志向、インドア派

などと分けられれば、

運動部を狙うなら「腹ペコさんへ沢山食べてもらう」といった展開が考えられますね。


記事の内容がかぶるのですが、市場細分化変数の記事には実務的にどのように考えればいいの?といった視点を加えてみました。こちらも合わせてご覧くださいませ。



合わせて読むと理解が深まる!『市場を分ける!それが成功の第一歩』そんな観点から
市場細分化(セグメンテーション)とは<本記事>
市場細分化変数とは
市場細分化戦略とは

といったシリーズもので書いてみました。合わせてご覧くださいませ。


初出:2012/03/15
更新:2025/06/19

マーケティング
2025年6月7日

生産志向

生産志向_001
生産志向とは
生産志向製品志向販売指向マーケティング志向社会志向といったマーケティング・コンセプトの一つで、「作れば売れる!」という考え方です。このコンセプトでは、生産力こそが価値の源泉となっています。

この生産志向という考え方は需要が供給を上回っている場合に有効です。例えば、食糧が欠乏しているような場合の食糧や、日本の高度成長時代のような場合には有効な考え方でした。

現代でも、生産コストが高いが市場拡大中の製品には当てはまるケースがあります。たとえば、太陽光発電パネルなどは当てはまるかもしれません。生産力を拡大し、安価に製品を提供できればそれは一つの価値となります。

このまんがでは、2コマ目でおなかのすいた学生さんたちが詰めかけています。それを受けて3コマ目で作れば作るほど売れると言っています。

しかし、このような考え方はひとたび需要が満たされれば
1コマ目、4コマ目のようにいきづまってしまいます。  

この生産志向の発想としてはコストリーダーシップを取りに行くといった感覚になりますので、経営資源がとても多い、いわゆる大企業なら勝ち目がある路線だとも言えます。

もちろん、この考え方が悪いわけではないのですが、漫然と対応すると激しい競争に巻き込まれがちという面に注意が必要です。

簡単に整理すると、いわゆるマーケティング志向と対極にある考え方で、我が国における大きな流れは以下のように推移してきたということを覚えておくとよいですね。

生産志向

販売志向

マーケティング志向


実務面からの加筆:
生産志向が一概にだめとは言えない点に注意が必要です。極めて強力な個性を持つ製品やサービスはマーケティング志向からは生まれにくいという現実にも目を向けると良いでしょう。

そのため、革新的な製品やサービスは顕在化したニーズに基づかずに開発されることもあるという点は押さえておく必要があります。

しかし、それを言い訳にして「うちの製品は世界水準だから売れるはず」といった思い込みで窮境に陥る事業も後を絶たないのが現実です。

「製品の品質がいい」と「売れる」は相関関係はあるかもしれませんが、因果関係はありませんので、良いものを作れ売れるといった思い込みは危険ですね。

■生産志向がハマっているケース

伝統工芸品など技術面の障壁が極めて高く需要は大いにあるけれども供給が追いついていないような市場についてはこの生産志向がハマってきます。

例えば、極めて趣味性の高い商品を取り扱ったりすると、このような生産志向の考えが行きてくるような市場に当たるケースもあります。

あなたや知り合いの趣味で、ニッチな良いものを提供している企業を思い浮かべてください。その人達はこの生産志向がハマる世界に生きているのかもしれませんよ。


初出:2011/09/14
更新:2025/06/07

マーケティング
2025年6月2日

1次データ

1次データ_001
1次データとは、何らかの目的に沿って独自に調査したデータの事を言います。

例えば、○○町の商圏について調べたいと考えたとき、アンケート調査を実施するとか、交通量を直接調査するなど、「○○町の商圏について調べたい」という目的に沿って調べたデータのことを言うのです。

このような1次データは、自社が主体的に調査の方法や対象を選択できるので、目的に沿ったデータを入手することができるというのが強みです。

上の例では、直接○○町の商圏の調査をするために様々な調査をしますので、調査方法が目的に沿っていれば非常に有益な情報を入手できるのです。

しかし、既にある2次データを利用することに比べ、直接調査するがゆえに、費用や時間がかかるといった問題もあります。


実務面からの加筆:
中小企業の中でも小規模事業者に近い規模の企業は1次データの取得にあんまりこだわらなくても良いと考えます。

アンケート調査等は設計がとても難しく、一定程度の専門的な知見が必要です。

それよりも、記事でリンクを張っています2次データを集めて「にらめっこ」する方が現実的です。

例えば「Jstat map」などを使えば、お店の周囲にどの年齢層の人が何世帯ぐらい住んでいるのか、また、お店からの移動時間(直線距離じゃなくて時間です!)で何世帯住んでいるかがわかったりします。

keieimangaとしては、まずはこうした公的機関が作った二次データを活用するところから始めることをおすすめします。

初出:2013/03/27
更新:2025/06/02

マーケティング
2019年11月12日

USP | 単なるセールスポイントや差別化でなく、独自性が重要です

USP_001
USP(Unique Selling Proposition)とは、独自の売りもの、競合と比較して自社の独自の売りものであり、自社サービスを顧客が選ぶための回答といった考え方です。

ユニークすなわち独自のものとまで言っているので非常に強いコンセプトです。
  • キャッチコピーや単なる差別化要因とは違います

さて似たような考え方で差別化要因というものが挙げられます。

自社の商品を競合他社と比較しながらわざわざ選ぶということです。そのため、差別化要因という似たような考え方であると思うかも知れません。

また広告上の売り文句であると考え、キャッチフレーズと混同する可能性もあります。

しかし USP はこの差別化要因やキャッチフレーズよりももっと強い考え方です。

そもそもユニークという言葉には唯一のという意味がありますので、非常にとんがった考え方となります。

  • USPの3つの要素
この考え方を端的に示す3つの要素があります。

・顧客への提案である事
・独自の提案である事
・強力な提案である事

この家の独自の提案であるということが重要です。

この独自のというのは競合他社が同様の提案をすることができないといった意味を持っています。このように非常に強い考え方なのです。

  • 独自の提案とは何か

さてこの独自の提案とはお客様があなたから購入する理由となります。

これは単に高くても買いたいと思わせるレベルでは足りず、この商品だからこのサービスだから買いたいと考えさせる水準まで高める必要があります。

例えば発売当初の iPhone などはそういったものを備えていたのかもしれません。

  • USPは見いだせるのか?
さて中小企業の経営実務において USPを維持することは可能でしょうか。

答えはもちろん可能です。

この USPは企業の活動において全ての段階で見出すことが可能です。

原料の調達から加工、マーケティング営業販売といった一連の行動において競合他社が真似をできない価値を提供できれば USPとなりえます。

例えば、○○市で採れた完全無農薬で育てた野菜だけを使い、アレルギーを持った人でも美味しく食べられる料理を提供するお店などは非常にユニークな存在です。

この場合原材料の調達と野菜だけで美味しいものを作るという加工のノウハウに独自性があります。

  • 実務的にはどうか

ただし、実務的には無理にこの USB を追求することはないと考えます。

なぜならば、模倣が困難であるというユニークさと、市場を無視した自己満足の開発は紙一重だからです。

例えば革新的なサービス業を何かやろうと考えた時に、色々なアイディアは出てくると思います。

しかしそのアイデアが現在競合他社がどこもやっていないということは、アイデアはユニークだからではなく誰もやらないキワモノサービスであるからかもしれません。

もちろん事業を作っていく中でユニークさを見出せるならばそれに越したことありませんか、ユニークさがないからといって優れた事業ではないということではありません。

マーケティング
2019年11月5日

ライフタイムバリュー(lifetime value:LTV) | 顧客生涯価値を高めることが商売のコツです

ライフタイムバリュー_001
ライフタイムバリュー(lifetime value:LTV)とは顧客生涯価値と訳され、顧客がその取引を始めてから終わるまでの期間を通じてもたらす利益の事です。

自社の製品やサービスに対し、顧客が高いロイヤルティを感じれば、長期にわたって(時には文字通り生涯にわたって)リピート購入が期待できます。
 
何度もリピート購入して頂ければ、企業にとって非常に多額の収益をもたらすことにつながります。
 
  • 長く顧客であり続けてもらうと利益が向上します
 
さてどうしてこのLTVが大切なのでしょうか。単にリピート購入を目的としている方でしょうか。
 
それは新規顧客の獲得が難しいからです。 難しいだけではなく多額の費用がかかってしまいます。
 
例えば、新規の顧客と取引を開始するためには、広告宣伝に費用をかけたりといろいろな費用が発生しますよね。
 
しかし、既存のお客さんならばそういった費用は最小限に抑えることが可能となります。
 
そのことから新規顧客を獲得するよりも、既存顧客に反復して購入してもらう方が利益につながりやすいという考え方があります。

読者の皆さんも、好きなお店に通ったり、好きなブランドの商品をいつも買っていたりしませんか?
 
このように、一旦ファンになってくれたお客様は何度も何度も反復して購入してくれるという考え方がライフタイムバリュー(lifetime value:LTV)の考え方です。
 
一説によると1:5の法則と呼ばれるものがあり、新しいお客様を獲得するコストはお客様をつなぎとめておくコストの5倍かかるという法則があります。
 
このような法則を鑑みると、やみくもに新規顧客を追いかけるという方法は経済的にあまり合理的な行動ではありません。
 
そして、この考え方に沿うならば、個々の取引での収益を最大化するのではなく、顧客と長期的にみて良い関係を築くことが重視されます。まじめにコツコツと顧客との関係を築くというイメージですね。
 
このまんがではメガネ君が雨の日も風の日も、日差しの強い日も学食に通っています。このように、常連さんをしっかりと作っていくことが大切なのです。

  • 具体的にライフタイムバリューをどのように活用するか
さてこのLTVという考え方を具体的にどのように活用するのが良いのでしょうか?

まず考えられるのは、顧客獲得にかける費用の目安を得るために活用することです。

例えば、LTVが5000円と見込まれるのであれば、顧客獲得にかける費用は5000円以下でないと最終的には赤字になってしまいます。

一人の顧客からもたらされる利益が、5000円であると見込まれるならば、その顧客を獲得するための費用は5000円以下でなければならないという考え方です。

と、このように考えればそんなに特殊な考え方ではないと理解していただけると思います。

  • ライフタイムバリュー(LTV)はどうやって計算するの?

このライフタイムバリューは顧客が取引を始めてから終わるまでの期間を通じてもたらす利益という定義です。

そこで、次のような計算式を考えることができます。

LTV=顧客からもたらされる収益×購買頻度(年何回買ってくれるか)×顧客の継続年数

ここで、顧客からもたらされる収益とはいろんな考え方がありますか、 単純に粗利益で考えていきます。

すると

LTV=(購入単価×粗利益)×購買頻度×顧客の継続年数

となります。

  • 具体例
では具体的に LTVを計算してみたいと思います。

粗利益率30%で平均購入単価が1000円の釣具屋さんのネットショップを考えて見ます。

このお店では、一度顧客になるとおおむね年4回リピート購入をしてくれる傾向があります。

また一人のお客様は、大体5年間お客様で続けてくれます。

このことからライフタイムバリューを計算すると

LTV=(1,000×30%)×4回×5年=6,000円

となります。

このようなケースで、一人の顧客獲得のために6000円以上の広報費をかけてしまえば赤字になるということが明確になります。

最も、このライフタイムバリューという考え方は長期にわたっての考え方になります。 そのためLTVがプラスだからといって短期的な費用をかけすぎてしまうと、資金繰りの面で問題が発生してしまいます。


onnanoko_bustup
ライフタイムバリューと広報費を比較してプラスになるなら強気でどんどん広報費を掛けられるね。

onnanoko_bustup
って、同業の人がマーケティングの本を読んで学んだらしいのよ。

neko_akire
たしかに、そんな風に思えますけど、本当ですか?

onnanoko_bustup
で、そのお店のお客様はLTVが5万円なので広報費に3万円掛けて頑張ってお客様を確保したのよね。

neko
だったら、たくさん儲かったんですか?あ、でも将来の100円と今日の100円は価値が違うって考え方もあるし…

onnanoko_bustup_2
ううん、そんな複雑なことを考えなくても結果良くなかったの。短期的に広報費を掛けすぎて資金ショートをしてしまったのよね。

マーケティング
2019年11月4日

プライスポイント | 売れ筋の価格ラインをプライスポイントと言うのです

プライスポイント
プライスポイントとは最も売れているプライスラインの事を言います。英語ではprice pointと表記されます。

さて、価格帯の幅はプライスゾーンといい、その中で一定の価格をプライスラインと言います。

これらの関係を図で示すと
プライス説明

といった感じです。

さて、この4本のプライスラインの中で、下から二番目の価格帯が一番売れるとすると、その価格帯をプライスポイントというのです。

簡単に言うと、売れ筋の価格帯といったイメージの言葉ですね。

  • プライスポイントを明確にコントロールする事が大切です

この説明からはプライスポイントが事後的に決まるような印象を受けると思います 。


プライスラインの中で一番の売れ筋がプライスポイントということですから、結果として一番売れたプライスラインがプライスポイントとなるといった印象を受けます。


プライスポイントは自動的に決めるものではなく、 戦略的に決めていく必要があります。


もっと言えば、 売れ筋としたいプライスラインに対して集中的に品揃えをする事で、意図的にプライスポイントを決めていくことができるのです。


 そしてプライスポイントを決めた後に、その上下のプライスラインに商品を配置していくのです。


  • なぜプライスポイントを明確にする必要があるか


お店に買い物に行く時には、大抵の場合予算が決まっていると考えられます。


そしてその予算に基づいて、どこのお店に買いに行くかを決めるというのが消費者の考え方となります。


このような消費者の考え方があるので、プライスポイントを明確にしておいてうちのお店はだいたいこれぐらいの商品を取り扱っていますよというメッセージを発信する必要があるのです。


大体いくらぐらいかかるのかわからないようなお店には、怖くてなかなか行けないと思います。


このようなことを避けるためにプライスポイントを明確にしておく必要があるのです。


そしてこのプライスポイントを明確にすることを徹底しているような業態も存在します。例えば1プライスで品揃えをしているお店や、2 PRICEで品揃えをしているお店などは、 皆さんも思い浮かべることができるのではないでしょうか。


こいたお店には、いくらの予算で買い物をすればいいのかが明確になりますので目的があれば行きやすいと思います。




neko
ウチの売れ筋価格っていくらなんだっけ?

onnanoko_bustup
ウチは980円よ。980円で買い物できるような商品を意図的にたくさん品揃えしているわ。

neko_akire
でも1,480円の商品もあったような?

onnanoko_bustup
そうよ、一番売りたい額の、プライスポイントは980円。後は、1,480円と580円のプライスラインを基本にしているわ。

neko
これならお客様がいくら持ってウチに来ればいいかが明確だからいいですね♪

onnanoko_bustup
お客様がお買い物しやすいお店を作るのには、価格戦略も重要なのよ。


関連用語
アイテム
SKU
プライスレンジ
マーケティング
2019年3月11日

ワンストップサービス | 一カ所で必要な物が揃うのです

ワンストップサービス_001
ワンストップサービスとは、いくつかの分野のサービスを一回で済ますことができる状態を言います。文字通り、ワンストップ(一回止まるだけ)で全部完了するイメージです。

一つの事業者が一カ所で様々なサービスを提供するといったイメージですね。
 

■ワンストップサービスでお客様を囲い込むというメリット

このような、利便性を強調することによってお客様を囲い込むような効果が期待できます。これは、顧客側にとっては便利になるというメリットがあります。

そして、顧客側が便利になるということは、企業側にとっては顧客の囲い込みができるといった事がいえます。

例えば、コンビニに行って、お金を銀行からおろし、住民票を取って、夕飯の買い物もすると言うように、コンビニという場所に行くだけで必要なものやサービス、手続きを全て行えるような事をワンストップサービスと言います。

このような場合、消費者にとってはコンビニに行くだけで必要な事がほとんど揃うので、コンビニにいく動機が生まれるのです。

また、一つの金融機関で、保険も、預金も、投資信託もすべて販売しているような場合もワンストップサービスという事ができますね。

この場合も、顧客にとっては金融機関に行くだけで金融関係の必要が一度ですむので便利なのです。そして便利なので、その金融機関は他の金融機関よりも顧客を引きつけることができる要因となるのです。

neko
ウチのお店に来るお客さんって、この後あちこちに出かけているみたいなんですよ。どうにかもっと便利にできないのですかね。

onnanoko_bustup
そうねぇ。役場にお願いして住民票でも発行できるようにしようかしら。後は、生鮮三品を取り扱って晩ご飯のおかずも用意できるようにしようかしら?

hiyoko
ワンストップサービスってわけですわね。でも、生鮮三品なんかおいたらコンセプトがぶれるから危ないと思うわよ。

客数と客単価を掛け合わせて計算することができます。

そして、このワンストップサービスは、一人のお客様へ多数のサービスを提供する事で客単価を上げる事ができるのです。

上の例で出てきた金融機関が保険や預金、投資信託を販売する場合、それぞれのサービスで収益を得る機会が生まれます。

その結果、客数は一定であっても客単価を高める事が可能です。そして、客単価を高める事で、結果として売上を増やすことが可能なのです。

このまんがでは学食に行けば全てが揃うようにサービスを設計しています。このようなサービスをワンストップサービスと言います。

解説で出てきた用語・関連用語
マーケティング
2019年3月10日

屋外広告 | 屋外に看板を出すので継続的に効果を発揮してくれます

屋外広告_001
野外広告とは、屋外に掲示する広告のことを言います。不特定多数のいわゆる通行人を対象とする広告です。

街を歩いている時によく目にする、看板や広告塔、アドバルーンなどといったモノがこの屋外広告と呼ばれるものです。また、郊外を電車などで走っている時に田畑に立っている大きな広告もこの屋外広告です。

このように、文字通り屋外にある広告を屋外広告と呼びます。

■屋外広告の特徴


屋外広告は、繰り返し目にするので印象に残りやすいですし、広告がターゲットとする対象に合わせてピンポイントで広告を出すことができるのでうまく使えば非常に効果的です。(例えば、地理的に近くにあるお店の広告を出すことになるので無駄が少ないです)

また、比較的広告のコストも安くすることができるのも大きなメリットですね。 

ただ、屋外に広告を出すため、街の美観や安全面などにも影響するのでしっかりと法律で規制されている分野です。

そして法律のみならず、待ってによっては例えば京都のように自治体の条例によって法律以上に強い規制がかけられてる場合もあります。 

このような、ルールを熟知した上でしっかりと良い広告を打っていくことは屋外広告には求められるのです。 

onnanoko_bustup
うちの店もぜひ広告を打とうと思うんだけど何かいい方法ないかな。

neko
新聞広告がいいかも。地域の人に広く知ってもらえるし。後は折込チラシかな。こっちのだともっと細かく地域を狙って宣伝できるから。

onnanoko_bustup
でもチラシ系だと一回しか宣伝できないから、大きな看板を駅前に立てるとかはどうかな。


■主な屋外広告

屋外広告と言うと主に大きな看板などをイメージする方が多いと思います。しかしこの屋外広告とは、屋外に掲示する広告であるため特に看板に限ったものではありません。

例えば大きなディスプレイをピルなどに設置し、通行人に映像として見てると言ったことも行われています。

関東圏の方にとっては、渋谷のスクランブル交差点の大型ディスプレイなどがお馴染みかもしれません。

また繁華街などでは、大型トラックの荷台に企業広告が書いてあって、繁華街を走り回るなどといったことも行われています。

電信柱に掲示されている広告などもこの屋外広告の一種です。またイメージは着きにくいかもしれませんが、飲食店などの暖簾もこの屋外広告であるとされています。

関連法令
野外広告物法

関連用語
マーケティング
2019年2月25日

マス・マーケティング | もっとも効率の良いマーケティング手法ですが機能させるためには莫大な経営資源が必要です

マス・マーケティング_001
マス・マーケティングとは一つの製品を世間一般(一つの市場)に対して大量に作り、大量に流通させ、あらゆる買い手に対して画一的な方法で展開するマーケティングの事です。

■お客様は誰?誰かではない、みんなです

この場合お客様としてもし仮に想定するのであれば、その市場全体で一般的なお客様を想定する形になります。

現在のマーケティングにおいては、市場をセグメント分けして、その分けたセグメントの中の特定の市場をターゲットにして、ポジショニングを明確にして対応します。

しかしそのような面倒なことせずとも売れるのであれば、市場全体をターゲットとした方が潜在顧客が多いですしカスタマイズする手間もかかりません。

経済が成長している時代などはこのマスマーケティングが主流でした。現代においても大手清涼飲料水メーカーなどはこのマスマーケティングの手法で大きな成果をあげています。

■商品と価格、流通の考え方は?

マスマーケティングは単一製品を大量に流通(生産)させ、規模の経済の効果を享受し、最低のコストと価格を達成し、最大の市場シェアを獲得する方法論です。

全ての消費者を対象として商売を行い、市場を細かく分けるのではないので非常に大量の潜在顧客を抱えることになります。

そのため、うまく売れれば非常に多くの顧客に対して販売してこととなります。 そしてお客様が多いということですので、うまくやれれば非常に売上が多く上がります。

■プロモーションのやり方はどうするの?

マスマーケティングは単一製品を単一市場に対して投入するために、テレビやラジオなどのマス媒体を活用し、市場全体へ対するプロモーションを行ったりします。

とにかく、多くの人にリーチすることを目的としています。そして取り扱うアイテム数が少量になりますので、結果として少量のアイテムに対して多数の数の広告が届くことになりますので非常に効率がいいのです。

ただ効率の良さと効果の高さは別の考え方になりますので、マスマーケティングが有効でない市場においてますマーケティングを行っても効果は出ません。

neko
大量に広告を出して、大量に作って安くして、このサイクルが回るとすごく儲かるし、安く手に入るので消費者にとってもメリットがあるよね。

onnanoko_bustup
確かにそうだけどねー。私たちみたいなファンシーショップ業態はやっぱり個別に細かくみずを拾って行かないといけないのかもね。

neko
そうですね。全国展開した可愛い人形ってあるけれども、そんなに多くはないからね。

■マスマーケティングのメリット

もしマスマーケティングのメリットをあげるのならば、上で指摘したように 効率的に非常に多くの消費者顧客候補に対して売り込みをかけることができる。

また商品自体も絞り込まれたラインナップになるため、規模の経済が簡単に追求できる。その結果低コストで大量の売上を上げることができるといった点が挙げられます。

■マスマーケティングのデメリット

しかしマスマーケティングは現在において限られた企業しか利用していません。 なぜかと言うと市場が非常に細分化されており、単一の商品を市場全体に対して売り込むといった方法論自体が陳腐化しつつあるからです。

例えば、飲料水などはみんなが飲んでいてもいいでしょうか、みんなが同じ服を着ていたらどんなにかっこいい洋服でも、どんなに可愛い洋服でも、それは決して素敵なものではありません。

このように物が溢れている時代においてマスマーケティングという手法自体が、陳腐化しつつあるのです。 そのためマスマーケティングのデメリットとして、そもそも手法自体が陳腐化しつつあると言ったことが指摘されます。

■マスマーケティングの先に

とはいえ、マスマーケティングは完全陳腐化したわけではありません。

一部の製品は従来のマスマーケティングで効果を上げているといったケースもあります。 しかし一般的にはマスマーケティングでなくもっと細分化されたマーケティング手法を取るべきであるとされています。

特に経営資源が乏しい企業においては、市場全体で戦うのは難しい。けれども限定された自分の得意な分野であれば十分に戦えるといってことが起こり得ますので、もっと細分化されたマーケティング活動を行っていく形になります。

このまんがでは、新発売のアイスクリームが話題になっています。話題になるように相当量の広告宣伝が行われていることが暗示されています。

また、どこのお店に行っても山積みになっているという状態から大量に流通されていることもわかります。 このように、単一市場に対して大量に単一製品を投入することをマス・マーケティングと言います。

解説で出てきた用語・関連用語
規模の経済
市場シェア
マーケティング
2019年2月20日

バスケット分析 | 買い物カゴの中身を分析して一緒に買われやすいものを発見します

バスケット分析
バスケット分析とは、買い物かごの中に入っているモノ(つまり一緒に購入されるようなモノ)を分析するといったアプローチです。

文字通り、バスケット((買い物)カゴ)を分析すると言った意味合いの言葉なのですね。

■買い物かごを分析して何がわかるの?

さて、買い物かごを分析して何がわかるのでしょうか?「うちの買い物かごを分析されても特売品しか買っていないことぐらいしかわからないよ…」と言う人もいるかもしれませんが、たくさんの情報を集めて分析することによって思いもよらぬ事がわかったりするのです。(こういう特売品しか買わないような人をチェリーピッカーと呼びます。)

例えば、常連である田中さんは来店すると『麻素材のシャツ』と『うちわ』を購入するとします。しかし、決して『化繊が入ったシャツ』と『うちわ』は一緒に購入しないといった事がわかったとします。また、佐藤さんや斉藤さんをはじめとして多くの人にも同様の傾向があったとします。

この事がわかっていた場合、『麻素材フェアー』をする際にはさりげなく『うちわ』を近くに陳列しておいたら売れそうですよね?または、機会ロスを防ぐため、『うちわ』の在庫は『麻素材フェアー』中は多めに持っておく必要があるという意思決定ができそうですよね。

逆に『化学繊維フェア』(こんなイベントは考えにくいですが)をやる際には『うちわ』についてはあまりたくさん在庫を持っても仕方なさそうです。

こういった風に、顧客の買い物かごの中身を分析することによって売れる組み合わせを見つけるというのが基本的な考え方になります。

■データの鉱山を掘るのです


さて、このバスケット分析を実施することで、よく言われるような『紙おむつとビール』といった売れる組み合わせを発見することができます。

そして、現在では一昔前では考えられなかったくらい多くのデータを扱って分析することができるようになっています。

その結果、日々の売り上げデータをどんどん蓄積していき、コンピュータを利用して大量のデータの関連性を探るといった事を行う事が可能となってきています。(こういう考え方をデータマイニングと呼びます。)

kitsune
買い物かごを分析するっていうけど、有名な話があるよね 。

neko
紙おむつとビールね。確かに後付の理由としては休日に紙おむつを買いに来るお父さんが一緒にビールを買うっていうことだけど、なかなか気がつかないよね。

kitsune
ただ紙おむつとビールを一緒に買う傾向が強いと言われても、それが意思決定にうまく使えるかどうかは別の話だよね。売り場的に紙おむつの隣にビールがあったらなんか微妙だし。

onnanoko_bustup
そうよね、分かったことをどう生かすかが重要なのよね。

■どこまでやるか

さてこのようなバスケット分析ですが細ければ細かいほどいいということではありません。

上の例で麻素材と家はぐらいの大きさであれば、ある程度のサンプル数が取れますがこれを麻素材の S サイズの白、や麻素材 S サイズ3色セット、などとやってしまうと(この粒感をSKU単位といいます)細かすぎて有効な知見が得られないかもしれません。

ということかというとある程度の量が売れていないとその購買傾向が見れないからです。

例えば麻素材のシャツを100人が買ってそのうち50人がうちわを買ったとすれば、この二つの商品に非常に関連があると考えられます。

しかし一人しか買わない商品でたまたまその人が何かを買った場合。例えば麻素材のシャツを買った人が一人しかいなくてたまたまその人がゴム手袋を買った場合、この二つの商品に関連性があると考えるのはノイズがあると思います。

このようにバスケット分析についてはどの粒感であるかという視点も大事になります。一般的にある程度の販売数量が出る粒缶でやっていく必要があるのです。

解説で出てきた用語・関連用語
SKU

マーケティング
2019年1月8日

プライスライン | 設定された価格帯の中で幾つかの価格を決めるのです

プライスライン
プライスラインとは、取り扱っている商品品種ごとの売価の事を言います。英語では

例えば、『お財布』を取り扱っているお店があったとします。このお財布の価格の下限が3,000円で上限が10,000円だったとします。(この場合プライスゾーンは3,000円から10,000円になります。)

さて、このようなお店ではどういった価格で財布を取り扱っていくのが一般的だと思いますか?

例えば、「仕入れ値に一定の利益率を付加した価格にするから、一個一個違うよ。」というお店が考えられますよね?このようなお店では、「あ、その商品は3,200円ね、そっちのは5,400円だよ」といった風に商品ごとにバラバラの価格を付けていきます。

一方、厳密には仕入れ価格は違うけど、3,000円、5,000円、8,000円、10,000円の4種類の価格にするよ」という風に考えるような考え方もあり得ます。

このような考え方を採る場合に、3,000円とか5,000円の価格帯の事をプライスラインというのです。
  • 仕入れ値よりも優先されます
よく、小売業の粗利率は30%ぐらいと言われます。

これは、逆に言うと仕入れ値に30%の利益を乗せて販売する事を意味します。例えば、10,000円で仕入れてきたならば、30%の利益を乗せて13,000円で販売するといった感じです。

しかし、このようにやってしまうと、上で挙げた例のように価格がバラバラになってしまい価格面でわかりやすいお店にはなりません。

このようなことを避けるために、プライスラインの中は粗利率をあまり考えずに、価格設定をしていきます。そのため、プライスラインの中には利益がたくさん取れる商品もあれば、逆に利益がほとんど取れないような商品も存在します。

ただし、でたらめに値段をつけるわけではなく、全体としては適正な利益を確保するような値付けの方法を目指すこととなります。
  • 業務の効率にもつながる
このプライスラインですが、比較的少ない値付けだけとなりますので業務の効率化につながります。

そのため、手間が削減できお店全体の総コストは削減することができます。
  • お客様も選びやすい
また、お客様も選びやすくなると言った利点があります。

どの商品を手に取っても、ある程度価格が決まっているならば選びやすいですよね。例えば、回転寿司のお店などはお皿の色でプライスラインを明示していますので選びやすいのです。

そして、選びやすいことから「もう一品」という行動が誘発でき、最終的な客単価が上がってくるのです。

また、このプライスラインを徹底すれば1980円か2980円で買えるお店といった形で訴求ができますので、プロモーション的にも有利になります。

なお、こういった少し安くするような価格付けを端数価格と言います。


関連用語・説明で出てきた用語
アイテム
SKU
プライスポイント  
端数価格
客単価
マーケティング
2019年1月7日

プッシュ戦略 | プッシュと言っても押し売りではありません

プッシュ戦略_001
プッシュ戦略とは、製造業者側が自社の製品やサービスを取り扱ってくれている卸売業者や小売業者に対して様々な支援を行う、もしくは消費者に直接的に働きかける事によって販売促進を図る戦略です。

言葉は悪いですが、流通の下流へ対して押し込む(プッシュする)というイメージで捉えていただければと思います。(リベートや各種アローワンス(陳列アローワンス広告アローワンスなど)も駆使します)

例えば、卸売業者や小売業者に対しては、人的販売を行う、いろいろなインセンティブを提供する、販売を支援するために販売応援員を派遣するといった方策を駆使して製品やサービスを取り扱ってもらうというイメージですね。

消費者側からの需要で小売業者や卸売業者が取り扱わせてほしいというようなプル戦略とは異なり、何とかして、消費者に対して販売していこうというイメージです。

このようなプッシュ戦略は、製品ライフサイクルの導入期にあたり、消費者に十分に認知されていないような製品や、コモディティ化が進んで差別化が困難な製品を販売する際に有効であると言われています。
  • 最初はなんとしても消費者へ押し込むのです
どんな優れた商品でも最初は知名度がありません。そのため、最初の販売に伯郎するのですが、このような際に積極的に用いられるのがプッシュ戦略です。

とにかく消費者に使ってもらわない事には、フィードバックも得られませんし口コミもあり得ません。

「うちの商品は優れているから、口コミで売っていく」などという人もいますが、すでにお客様がついているならまだしも、これから販売するような商品の場合は、最初はなんとしてでも売上を作る必要があります。

プッシュという語感から、なんとなく押し売りのようなイメージがありますが、決してそんなことはありません。

「むしろ、素晴らしい商品あらばしっかりと売り込んで紹介する事のほうがお客様のためになるのです」ぐらいのガッツを持って売り込みをして行きましょう。
  • プル戦略も併用する事が大切
なお、プッシュ戦略と対比されることが多いプル戦略ですが、プッシュ戦略とプル戦略は相互排他的な関係にはありません。

言い換えると、どっちも同時にやっていいのです。むしろ、プル戦略で顧客候補の興味を広く喚起し、具体的に興味を持った顧客候補にしっかりとプッシュ戦略で売り込んでお客様にしていくと行った事が重要なのです。
  • プッシュ戦略はコストがかかる
さて、このようなプッシュ戦略ですが、売上を上げようとすればするほどコストがかかるといった弱点があります。

そのため、コストを多少かけてでも売上を作っていくのが重要な局面ではプッシュ戦略に軸足を置き、評判が確立できたら、プル戦略に軸足を移すといった考え方でトータルのコスト負担を抑えながら対応することが重要でしょう。

マーケティング
2019年1月7日

ドミナント戦略 | 集中出店をして競争を有利に導く方法です

ドミナント戦略_001
ドミナント戦略とは、一定の限定した地域内に集中的に出店する事を言います。英語ではdominantと表記されます。

このドミナント戦略を一言で説明すると、集中的に出店をするという事です。例えば、「ある駅を降りたら、北口にも南口にも同じお店がある。さらに隣の駅や駅から少し距離のある住宅地の中にもお店がある」といった感じですね。

自分たちのお店で、この地区を埋め尽くすという感じです。
  • そんなに集中したら…
さて、集中的な出店って聞いてどのようなことをイメージするでしょうか?自店が互いに競合してカニバリゼーション(共食い)のような事をおこすかもしれないですよね。

おそらく、自店間で顧客を奪い合うという面はあると思います。

また、集中して出店しているわけですから、その商圏に何か想定外の事が発生すると根こそぎダメージを受けてしまうという事が挙げられます。

例えば、 大きなバイパスができて交通量が一気に減少したような場合、集中出店しているお店すべてがダメージを受けます。また、地域に大きな災害が発生したような場合にも非常に大きなダメージを受けてしまいます。

でも、このドミナント戦略にはこのデメリットを補うような大きなメリットがあるのです。
  • ドミナント戦略のメリットって
集中出店している場所では、どこへ行っても自分たちのお店があるという状況になります。

すると、物流の効率化といった効果が出てきます。これは、一つのエリアに沢山の自分たちのお店があれば、余計な移動を行わずに商品を配送できるといった効果です。

また、地域内での市場シェアが高まります。ポイントカードとかの施策を行っても効率的に行う事が可能となり、顧客を自分たちのお店で囲い込むことも可能となります。

さらに、広告宣伝も非常に効率的に行うことができます。自分たちのお店がある範囲に絞って集中的に広告宣伝を行えばいいわけですから、広い範囲に広告宣伝を行うよりも効率的なのです。

もう一つ指摘できるメリットとして、競合店の出店を未然に防止する事ができるといった面があります。既存の店が集中的に出店している地域には中々出店してシェアを奪うのが難しそうですよね?そのように競合が考えるという事は、心理的な参入障壁が高まるという事です。

このように、集中しているが故のメリットというものも確実のあるのです。 
  • ドミナント戦略に対抗するためには
さて、ドミナント戦略の利点はわかりましたが、中小企業はこれにどのように対抗していけば良いのでしょうか?

こういった集中出店戦略に対して正面から対抗できるだけの経営資源のある企業はそれほど多くないですし、仮に経営資源があったとしても真っ向から迎え撃つ事はおすすめできません。

行き着く先は血で血を洗うレッドオーシャンになってしまいますので。

この場合、中小企業は自分の土俵で勝つことを考えていくことが王道になります。
  • 具体的には
例えば、地元で長く酒屋さんを営んでいる中小企業があったとします。あるとき、大手コンビニチェーンが自店の周りに数店舗出店してきたとします。

このときにどのように対抗すべきでしょうか。相手より安くするとか相手よりも利便性を高くするべきでしょうか?

おそらく、相手の仕入れ値は自社の仕入れ値よりもずっと安いはずですし、利便性も24時間開店し続ける相手にかなうはずもありません。

そのため、自社の顧客層にとっての利便性を高める方向に進む必要があるのです。

例えば、居酒屋などに酒屋さんならではのお酒を卸す、珍しいワインを取り扱う、特別な日用の特別なお酒を接客販売して売るなどいくつかの手が考えられます。

客層で、販売方法で、商品で大手コンビニよりも勝っている点はないでしょうか?こういったことを考えて、棲み分けをしていくのです。

関連用語、説明で出てきた言葉
レッドオーシャンランチェスター戦略


似た言葉
ドミナントデザイン 

ストーリーで解説経営用語
第2話 集中出店は効果的?効果が大きくなればリスクも大きくなります
 
マーケティング
2019年1月7日

ティザー広告 | じらして興味を引くという広告の手法です!

ティザー広告
ティザー広告とは、あえて断片的かつ重要な要素の公開を伏せることによって広告を見る人の注意を引こうとする広告手法の一つです。

このティザーとはじらすといった意味の言葉で、広告を見る人をじらすといったイメージの言葉だという事を押さえていただければ、なんとなくこのティザー広告の意味するところが理解できると思います。

まあ、簡単に言うと「エッ、どういう事?よく分からないなぁ…(ちょっと知りたいなぁ)」という心理を利用するような広告手法なのですね。

  • 具体的には
さて、ティザー広告の具体例をちょっとやってみたいと思います。

「突然ですが、『まんがで気軽に経営用語』ゲーム化か!?」
ティザー
大容量256KB、手に汗握るサスペンス。お見逃しなく!(ゲーム業界震撼!)

なんて情報を小出しにして出して期待感をあおるという手法です。

あ、念のため書いておきますが、『まんがで気軽に経営用語』は別にゲーム化される予定はありませんのでよろしくお願いしますね。
  • 中小企業の実務に応用するためには
さて、このティザー広告ですがどのように実務に応用したら良いでしょうか?「単にじらせばいいのなら、必要事項を書かない広告を作ればいいのでは?」と思われた方はちょっと待ってください。

日常のチラシなどで単純にこのティザー広告をやってしまうと、情報量が足りていない書き漏らしをした広告になってしまうのでせっかくの広告宣伝が無駄になってしまいます。

そのため、しっかりと狙いを持って実施する必要があります。

・少しずつ盛り上げていく
このティザー広告は情報をすべて出さないといった事ができるので、公表する順番をコントロールすることで期待値を盛り上げていくことができます。

一度興味をつかんでしまえば、定期的に情報を更新して、興味を維持ししっかりと記憶させることができます。

話題になれば、広告が通常届く以上の範囲まで届く可能性もあり、上手くはまれば非常に効果の高い手法です。

・とはいえ難しい手法です
と、なんだか良さそうな事を書きました、○月○日解禁なんて手法の広告は、よっぽど期待している映画やアーティストの作品ならまだしも、一般の商品でやられたらうっとうしいと感じませんか。

必要なので情報を探しに行ったら、特に興味もない商品の情報が見つかったが、○月○日解禁と書いてあって詳細がわからなかったら、なんかモヤモヤしますよね?

代わりが効く商品でそれをやっても微妙なところがあるのです。

また、この広告手法は事前に期待値を上げてしまうので、消費者に提供する商品やサービスはかなりクオリティーが高くないと不満を招く危険性があります。

そのため、利用する際には難しい手法である事を理解して対応する必要があります。

マーケティング
2019年1月6日

先発優位 | 先行者利益ともいい、先んずれば人を制するという格言は正しいのです

先発優位_001
先発優位とは、新市場に先に参入する事や新製品を世に出す事によって、後追い的に参入してくる競合に対して発生する優位性の事を言います。先行者利益とも言います。

新市場への参入や新製品の投入を行う場合、どこかの企業が上手くいくのかを見た後に参入した方が安心ですよね。それに、前例があれば稟議書などを用いての社内調整(稟議制度などを利用)もやりやすいと思います。

このように、後発だとリスクを抑えることが可能となります。しかし、リスクを取って新しい市場や新製品を果敢にチャレンジすると以下のようなメリットがあるのです。
  • 価格の選択が可能
最初に利幅を大きくとるのか(スキミングプライス)、市場シェアを確保するために低価格で販売する(ペネトレイティングプライス)のいずれかを選択することができます。
  • 製造数量を積み上げることができる
一般的に、累積生産量が多いほど(たくさん作った実績があるほど)製造コストが下がると言われています。(経験曲線効果)
  • 業界標準を狙える
新市場や新製品の標準(事実上の標準であるデファクトスタンダードもしくは公的な標準であるデジュールスタンダード)を狙う事ができます。
  • 先発優位の具体例
先発優位(先行者利益)がどうして狙えるかというと、一般的には経験曲線効果で説明されます。

単純に言うと、累計生産数が増えれば増えるほど(企業内の様々なプロセスが効率化して)総コストが下がる。

つまり、低コストで提供することができるというわけです。

このことから、先んじて取り組めば累積生産量は素早く増えるため、先行者利益が狙えるという理屈になります。

例えば、イチゴ大福がまだ一般的に売られていない地域でイチゴ大福を製造販売する場合を考えます。この場合、売れ行きが良ければ競合他社が模倣してきますが、模倣して販売されるまで1年かかったとします。

この1年の間に、製造方法のノウハウの確立や仕入れ先との関係性の確立、廃棄ロスが出ない原材料仕入れノウハウの確立など、実際に生産することによってコスト低減のノウハウがたまってきます。

そして、このコスト削減のノウハウを活用して1年後に競合他社を迎え撃つ事ができるというわけです。

また、消費者の心理に参入障壁を築けるといった点も見逃せません。人は慣れ親しんだ行動を変えるのを嫌がります。

このことは別に不合理ではなく、切り替えをするためには新しいやり方を覚えたりするためのコストがかかるのです。

そのため、一度先行して商品やサービスを市場に投入してしまえば、利用者にとっては切り替えコストが発生するため、

特に生産財の場合はこの傾向が強く、特別な理由がなければ同等品であっても別のモノを使いたくないといった気持ちは理解いただけると思います。


関連用語・この説明で出てきた他の用語
後発優位
ファーストムーバーズアドバンテージ
セカンドムーバーズアドバンテージ 
廃棄ロス


マーケティング
2019年1月6日

クリティカルマス | ある点を超えると一気に普及が加速するポイントがあります

クリティカルマス_001
クリティカルマスとは、ある製品やサービスの普及が加速するポイントの普及率の事を言います。普及の弾みがつくポイントであるという事もできます。

通常、新しい商品やサービスは、最も革新的な価値観を持っている層に受け入れられます。(イノベーター)。その後、新し物好きな人々が利用していきます。(アーリーアダプター)この人々は所属しているコミュニティー内でオピニオンリーダー的な存在であることが多く、この人々の採用をきっかけに、普及に弾みがつくケースが多いのです。

通常、イノベーターとアーリーアダプターが採用した段階で普及率16%となり、大体この水準がクリティカルマスであるとされています。

この普及率を超えたとき、市場内での認知度が高まるであったり、ネットワーク外部性が効いてきて、その製品やサービスの価値が高まるといった事が起こるのでしょう。そして、そのようなことから普及に弾みがつくと考えられます。

このまんがではコンサルの先生がクリティカルマスについて説明をしています。それを受けて、「あんみつご飯定食」もある程度以上普及したら、爆発的に流行るはずと元気づけられたようです。客観的には難しいと思いますが、流行るといいですね。 
  • 実務的には
さてこのクリティカルマスの考え方ですが、実務的にはどのように使っていけば良いのでしょうか。

・市場の分析のために使う
まず考えられるのは、そのまま素直に市場についての分析をする際に使えます。

例えば、ある商品が開発されて、大体16%近い普及率まで来れば一気に市場が拡大すると言うことができます。

もし、先行者利益を狙いに行く戦略を考えているのならば、普及率16%以上の商品はもはや先行者利益を狙える対象とはならないと判断できますので(爆発的な普及期に入ると、市場占有率の維持のために規模の拡大、つまり投資を求められます。)その分野に参入しないといった意思決定が可能です。

逆に、市場の拡大に合わせて関連商品を販売する(例えば、スマートフォンのケースを販売するなどの商売)ならば大いに算入する価値が出てきます。

・目標の設定のために使う
または、16%というのは経験則ですが概ね普及率が16%まで来れば導入が加速するということがわかっています。

これを利用して16%を当面の目標として掲げるという事が考えられます。

例えば、自社内の企業文化の変革を狙う際に闇雲に全員に新しい企業文化の変革を働きかけるのではなく、コアとなる16%程度の人に集中的に働きかけていくといった事が考えられます。

このクリティカルマスの理論が正しければ、その後は一気に企業文化の変革が進みますので全員に向けた漠然としたメッセージではなく、少数の人に向けた強いメッセージを送ると行った事が考えられるのです。

関連用語
イノベーター
アーリーアダプター
アーリーマジョリティ
レイトマジョリティ
ラガード
先発優位(先行者利益)
マーケティング
2019年1月6日

カラーバス効果 | 気にしている物事は、実際よりも目に入りやすくなる傾向です

カラーバス効果
カラーバス効果とは、気にしている事柄が目に入りやすくなる心理的な効果の事を言います。

例えば「経営マンガ」といったキーワードなどは読者の皆様にとってはあまり反応しないと思いますが、経営マンガの中の人にとっては最重要キーワードなので、仮に電車の中刷り広告などにそのような言葉が入っていたら必ずと言っていいほど目に入ると思います。
 
そして、2か月ほどの間に2誌ほどの雑誌が経営マンガというキーワードを使って中刷り広告を出していれば、「むむ、経営マンガが最近は流行っているのかな。」などといった風に判断しかねません。

また、自転車が趣味の人がいるとします。特にそのような趣味のない人にとっては、それほど自転車は目に入りませんが(今日、どんな自転車を見ましたか?)、自転車が趣味の人にとっては多種多様な自転車が世の中にあふれているように感じるはずです。

このように、自分の意識を向けている事柄のj兵法は無意識に集めやすくなるといった心理的な効果がカラーバス効果なのです。

やや、経営用語からは外れて、自己啓発用語的になりますが、そのような心理的な効果が人には備わっているので、意識を向ける対象には注意をする必要があるのです。

もし、ストレスにあふれた状況に置かれているのなら、リラックスできるような物事へ意識を向けると、ストレスが緩和されるかもしれませんよ。

■経営用語的には

例えば、消費者がせっかく購入した商品に不満足を覚えていたとします。このような場合、実際に購入したという行為と、不満足を覚えているといった自分の中で矛盾する心理状態となります。(このような状態を認知不協和と言います。)

このような時に、人は自分の行為を正当化するために、購入した商品について、購入すべきだった理由を探し始めます。(残念な意思決定だったことを認めても、認知不協和は解消できますが、多くの人は、自己の意見を正当化するための材料を探します。)

そして、探し出すとすぐに色々な評判が見つかるはずです。そして、探し出して色々な評判が目に入るような心理効果をカラーバス効果で説明できるのです。
 
  • 中小企業の経営に役立てるためには
では、このカラーバス効果を中小企業の経営に役立てるためにはどのように活用したら良いでしょうか。

・経営に関する情報収集のために
例えば、社長や上級管理職が経営のことを意識するといった方法が考えられます。

カラーバス効果は、気にしている物事が目に入りやすくなるという心理効果ですので、経営についてなんとなくでも気にしていれば「アンテナを張っている状態」になるわけです。

そうなれば経営に関する情報は、日常生活の中でも入手することが可能となります。

・従業員の心構えとして
また、組織として従業員に相手の良い面に目を向けるようにと教える事も考えられます。

相手の良い面について目を向けるようにしていれば、自然と相手の良い面が目に飛び込んできます。

(良いか悪いかは物事の裏表です。のんびりと書類をチェックする人がいても、良いと思えばミスの内容に心がけていると捉えることができます。)

このように従業員の心構えとしてカラーバス効果を応用すれば、安価に従業員の満足度を高めることが可能となります。

なんと言っても仕事での不満のうち人間関係の不満はとても大きな部分を占める訳ですから。


マーケティング
2019年1月5日

アドホック調査 | 一度限りの調査でもわかることは非常に多いのです

アドホック調査_001
アドホック調査とは、調査の企画・実施・集計・報告といった調査活動を一回限りで行う事を言います。英語ではad-hoc researchと表記されます。

調査を実施する時に「調査したい内容を特定し(仮説を立てて)、どのような項目を調査すればいいのか(仮説を検証するための情報の収集)」を、企画していくといった感じですね。

イメージとしては特定の問題への対処を行おうと考えたときに、どのような対処方法を採るかの意思決定を支援するような個別の調査といった感じです。

例えば、商店街(近隣型商店街とかですね)にある店舗が新商品を開発するために「消費者の嗜好を調査して、この街を訪れる人たちに好まれる商品を作りたいな。」と考えて一回限りで実施する調査がアドホック調査となります。

「商店街に来る人は比較的若い子育て世代が多いから、食品に求めるのは、安心できて量が…」みたいなことを考え、それを検証するための質問を考えていくといった感じですね。

このような調査を実施すると、貴重な一次データを入手することができるので非常に価値のある調査となります。

・仮説が重要
このアドホック調査は、事前に仮説を立てておくことが重要です。例えば、この地域の顧客層は価格で訴求するよりも、特典を付けた方が喜ばれるといった仮説を立てたとします。

その仮説を検証するためにどのような方法がとれるでしょうか。

一つは、実際にやってみるという事です。ただ、実際にやるためにはコストもかかりますし場合によっては大きな経営戦略の変更を伴うため、既存の得意先の離反を招いてしまう危険性があります。

そのため、実際にやるのではなくアドホック調査で仮説検証をするといった事が考えられるのです。

このアドホック調査は調査の方法ではありませんので実際の調査自体は、電話インタビューを行う、グループインタビューを行う、郵送で調査をするなど様々な方法が考えられます。

同一の母集団に対して継続的に調査を行うパネル調査と違い、仮説の検証を行うための調査ですので、立てた仮説を最もよく検証できる方法をゼロベースで考えて対応することができるのです。

関連用語
2016年12月22日

考慮集合 | 買ってもいいと思われる商品の中から実際に購入されます

考慮集合
考慮集合とは、消費者が買っても良いと思う商品やサービス群のことです。この考慮集合に含まれるためには消費者がその商品やサービスを知っているだけではだめで、「(場合によっては)買ってもいい」と考えるような商品です。

つまり、買ってもいいと『考慮する』(余地がある)(商品群の集まり)『集合』なのです。

  • 商品を買ってもらうためには、知ってもらうだけではダメです

商品やサービスを消費者が購入するためには、まずその商品やサービスを知っていないとダメです。(知らないものは買えませんからね)

しかし、知っているだけでは不足しており、消費者に、それを買っても良いと考えてもらわなければなりません。

こういった購入する商品やサービスの候補となるモノが考慮集合に入ってきます。一般にその商品がブランドとして高く認知されていればいるほど、考慮集合に含まれる可能性が高くなります。
  • 実際に購買に結び付くためには
さて、消費者がモノやサービスを購入する過程で、商品やサービスが必要だと理解し、情報の探索、代替案の評価、購買決定といったように進んでいきます。

このうち、代替案の評価には、認知集合、想起集合、考慮集合という3つの段階があります。

認知集合は消費者が名前を聞かれれば分かる商品やサービス群のことです。つまり(知っているもの)『認知しているもの』の(集まり)『集合』ですね。

想起集合は消費者が購買行動の前に思い出す商品やサービス群を指しています。これは、(思い出すもの)『想起するもの』の集まりです。

そして、考慮集合は3段階のうち、最も購買決定に近い位置になります。

潜在的に知っているモノの中から、購買にあたって思い起こすモノ。そして、実際に購入してもいいかなと考慮するモノといった順に商品やサービスが絞り込まれて行くのです。

関連用語
マインドシェア
 
マーケティング
2015年9月7日

レ点ビジネス | 漢文のレ点は日本人の知恵の結晶ですが、レ点ビジネスは不誠実さが漂っています

レ点ビジネス
レ点ビジネスとは、本来不要なはずのオプションを当初無料とのうたい文句で契約させるビジネスモデルのことを言います。

このように説明すると「当初無料だったら問題ないじゃない」と考える方もいるかもしれませんが、割と不誠実なビジネスモデルだったりします。

よく、携帯電話を契約に行くと「ココにチェックを付けてもらえればもっと割り引けますよ?ひと月は無料なので、契約後二三日たったら解約してくださいね。」などといった営業を受けた人も多いと思います。このような本来不要なオプションを(一定期間無料だからと言って)契約させるイメージです。
  • 退蔵益
話は変わりますが、退蔵益といった言葉をご存知でしょうか?金券などを購入した人は経験則として、全部使わない(つまり発行した金券はすべて戻ってこない)といった事から言われている言葉です。

どういう事かというと、例えば、当初100万円分の金券を発行したとして、期限までに実際に回収した金券が99万円だった場合、差額の1万円については、そのまま企業の利益となるという事です。(とても美味しい話ですよね?こういった利益を退蔵益と呼ぶのです。)

このような退蔵益を見越したビジネスモデルを退蔵益ビジネスなどと呼びます。

そして、このように、自ら購入した金券であっても、机の奥にしまいこんでしまったり、忘れてしまったりして使わない人がいるという事はレ点ビジネスを考える上でも重要なのです。 
  • 同じ考え方です
上述のように、人は自ら購入した金券であっても、利用することを忘れる場合があります。また、本来不要なはずのオプションであっても、同様に解約忘れが一定の頻度で発生します。(膨大な数の人を扱えば、かなり正確にどの程度が解約忘れになるかを想定できるはずです。)

一つ一つは月々数百円のオプションですから、働いている人などにとっては「いちいち解約するのも面倒だな」と思わせておいて、そのオプションの存在自体も忘れてしまうような場合があるので、解約忘れが出がちなのです。

但し、そうはいっても月300円の利用料の不要なオプションであっても、年間にすると3,600円になるので解約忘れをすると結構な痛手になります。

逆に、このようなビジネスモデルを構築している側にとっては相手のミスを待てば良いだけなので非常に美味しいビジネスモデルであると考えられます。

個人的には相手のミスに付け込んでお金儲けをするようなビジネスはちょっとやりたくないですが、儲かる仕組みであることは間違いないと思います。

もっとも、新規顧客ばかりを厚遇し、既存顧客をないがしろにしたり(参考:ドコモのMNPの割引き上限回数設定から考える、既存顧客を大切にするという商売のセオリー)このようなレ点ビジネスを繰り広げたりしていると、既存の大手キャリアはどこかで手痛いしっぺ返しを食らいそうですが…

マーケティング
2015年9月4日

コンテクストマーケティング | 前後の文脈を考慮してどんどん売り込むのです

コンテクストマーケティング
コンテクストマーケティングとは顧客が置かれている状況に適応したマーケティングを行うと言った言葉です。コンテクストとはcontextと表記され、英語では状況とか、前後関係といった事を意味するものです。

この言葉にマーケティングという言葉を付加し、コンテクストを把握理解した上でのマーケティングといった感じの言葉になっているのですね。

■難しく考えなくとも

さて、なんだか難しげな言葉ですが、言っている事は割と単純な内容です。要するに前後関係を考えて、消費者がどのような状況であるかについて想像力を働かせましょうといった考え方です。

消費者が何かを欲しがるタイミングで、すかさずその何かを提案できれば売れ行きは伸びそうですよね?

消費者は、いつもいつも何かが欲しいわけではなく、前後の行動や状況によって様々なニーズが生まれては消えています。

例えば、蒸し暑い日に、アイスクリームをうまく販売できたら良く売れそうですよね?(もっというと、アイスクリームではなく、シャーベットとかの方が売れそうです。)

しかし、消費者がアイスクリームを購入する前に、冷たいジュースを飲んでいたとしたらどうでしょうか?

アイスクリームの需要は減退してそうですよね?

このようなコンテクストを意識したマーケティング方法がコンテクストマーケティングです。

■タイミングが大切

タイミングが大切であるという事から、何かを購入した直後とかに「ご一緒に○○もいかがですか」といった宣伝がなされることがあります。

こういったのを自動的にやってくれるモノをレコメンドエンジンと言いますが、考え方によっては、コンテクストを考慮したマーケティング手法ですよね。

同じモノであっても唐突に勧められるよりも、関連するものを購入した直後とかの方が「じゃあついでに買っておくか」となりそうです。

このように、前後関係や文脈に合致したモノを提案していきましょうというのがコンテクストマーケティングなのです。

kitsune
お買い上げありがとうございまーす

neko
あのお客さんキツネ君を買ってくれたから今度は付属品の小判を勧めようよ。

onnanoko_bustup_2
あら、だめよ。付属品が欲しくなってそうなタイミングを見計らって勧めないと、押し売り感がでちゃうから。



■いつ実施するかもコンテクストの重要なところです

例えば、地域で共通の知人がいて、こちらはよく知っているけれども(知人の息子さんみたいなイメージですね)、向こうはあまり良くしらないような時に、親しげに個人情報を活用した営業提案をしたらどうでしょうか?

このような場合は不信感が生じてしまいますよね。

でも逆に関係性を培っていれば時機を得た適切な提案に結びつきます。そのような提案をすれば信頼感にも結びつきますしロイヤルティの向上も図れます。

この世にコンテクストマーケティングいつやるかというのもコンテクストに依存するのです 。

■情報共有が重要です

顧客にとってはあくまで組織とお話をしています。繰り返し何度も同じような説明を求められたりした場合、やはり大切にされてるとは感じません。

このことから組織内で適切な情報共有をするような仕組みを作っていく必要があります 。ただ顧客が組織ではなくあなた個人に話してくれたような内容は、あなた個人の胸に留めておかないと信頼感が損なわれてしまいます。

いずれにしても相手のコンテクスト(文脈)を考えて対応するのがコンテクストマーケティングなのです。

解説で出てきた用語・関連用語
マーケティング
2015年6月25日

トレンド | ブームよりも長い流行です

トレンド
トレンドとは流れの事を意味する言葉で、流行の中でも長いスパンにわたって続くようなモノを指す言葉です。ブームファッドのように短期的なものではなく、傾向とか流れといった意味合いなのです。趨勢といったとても強い言葉に訳されることもあります。

例えば、地球環境にやさしいモノであったりサービスは長い期間にわたって求め続けられています。これは時代の趨勢であり、短期的に環境にやさしくない商品がもてはやされたとしても、長期的に見ればより環境にやさしいものが求められるようになってきています。

このように、長期的にみた流れをトレンドというのです。
  • 流行の期間で分けると
さて、このトレンドに似た言葉でファッド、ブームといった言葉があります。

ブームは聞いたことが多いと思いますが、ファッドはあまり聞きなれないですよね?この機会に大まかな違いを押さえてしまいましょう。

まず、ファッドですがこれは、ごく短期間の流行の事を言います。例えば、学校で『ネリケシ』が1学期の途中から流行ったけど、2学期には誰も持っていないとか、お笑い芸人さんのギャグが数週間だけ流行ったといったイメージです。

これに対してブームはファッドよりも長いスパンの流行となります。例えば、お笑い芸人さんで言うならば一世を風靡したギャグとかそんな感じです。ヨーグルトダイエットがブームになっているとか蕎麦ブームといった感じで、3か月以上続くけれども1年は続かないといったイメージになります。

そして、トレンドはこれよりも長く続く流行で、流行というよりも時代の流れといった感じになるのです。

マーケティング
2015年6月16日

ブーム | 定番になれなかった流行を後から振り返ってブームと呼びます

ブーム
ブームとはboomと表記され、急に熱狂的に盛んになる事を示す言葉です。にわか景気などともよばれます。

流行りを指す言葉には短期間の流行から長期的な流行まで順番に


ブーム

トレンド

といった風に言われます。

ファッドは本当に一過性の流行で、ブームはそれよりも長く1年ぐらいは続くことがあるモノをブームと呼びます。

しかし、流行り廃りは世の常と言いますか、流行は去るのが宿命です。しかし、その流行がファッドになるのか、ブームになるのか、それとも比較的長期間のトレンドになるのかは誰にも分からないのが現実です。

その為「よーしこれは息の長いトレンドになりそうだから生産設備を増強して…」と考えていたらあっという間に流行が終わり、後に残ったのは過剰な生産能力(とそれにかかる莫大な費用負担)だけだったといった事もあり得ます。

逆に、ブームはすぐ終わるからと乗らずにいたら、大流行になり、ブームに乗っていたら得られたであろう売上を逃すといった機会ロスが発生する場合もあります。

予測が難しいから
 
マーケティング
2015年3月30日

純広告 | 純粋な広告と言っても、内容が純粋なわけではありません

純広告
純広告とは、特定の広告代理店等を経由せずに直接特定の媒体に掲載されるような広告のことを言います。

例えば、この『まんがで気軽に経営用語』が「もっとゴルフをやる人に見てもらいたいな」と考えたとします。(あくまで例ですよ)

その場合、ゴルフ関係の用語を書くのにプラスして、広告で「こんなサイトがあるよ」といった風に知らせていくという手が使えますよね?

その際に、広告会社に依頼して一斉に広告を配信するといった通常の広告と、特定の媒体に直接「実はこんな事をやっているサイトなんですが、広告の掲載をお願いできますか?」といった風に交渉し、広告を掲載するといった方法の二通りが考えられます。

一般的に、広告代理店に依頼すれば、クリック課金である、クリック保証型広告や、みられる回数を保証してくれるインプレッション保証型広告といった方法を採ることになるのですが、直接交渉の純広告はどのような方法であっても採る事ができます。(相対の交渉ですからね。)

そのため、月額いくらの月極といった料金体系を取る事も可能になるのです。
サイト紹介
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