まんがで気軽に経済用語

「知らないから動けない」をなくしたい。 中小企業診断士が、現場視点で経営用語をまんがでわかりやすく解説しています。 読むことで、生産性が上がり、心に余裕が生まれ、社会全体がちょっと良くなる。そんな循環を目指しています。

法務・支援施策

法務・支援施策
2025年8月2日

育児休業

育児休業_001
育児休業(育休)とは、原則として1歳未満の子を育てる労働者が取得できる制度です。雇用保険に加入しているパート・契約社員・正社員などが対象で、男女問わず取得可能です。

原則として子が1歳になるまで取得できますが、保育園に入れない等の事情があれば1歳6か月、最長で2歳まで延長することもできます。

さらに、2022年10月の法改正により、「出生時育児休業(パパ育休)」が創設されました。これは、子の出生後8週間以内に最大4週間まで分割取得できる制度で、男性育休の取得促進が図られています。

この制度は男女問わず利用することができます。だから、父親が育児休業を取得するといった事ももちろん可能ですし、夫婦そろって育児休業といった事も可能です。
<2025年8月に記述修正 参考:厚生労働省育児休業制度特設サイト

■当時のお話

ここまでの説明で、「あれ?うちの子が小さいときは育児休業の制度自体はあったけど、自分は対象外で取得することができなかった…」と思われた方もいるかもしれません。

それは、以前は家族に子供を養育できる人がいたら育児休業を認めない旨の労使協定を結んで、育児休業の申請を拒むことができたためだと思われます。(経営側に有利な、素敵な労使協定ですね。素朴な疑問ですが、労働者側から進んでこのような労使協定を結ぶインセンティブって、何があるのでしょう?)

なお、現在ではそのような協定を結ぶことはできなくなっています。

そして、男性の育休取得もある意味当たり前になりつつあります。社会全体で子どもを育てる大勢に少しずつ変わってきていますよね。

■育児休業の現状

現在では、育児休業の取得率も徐々に上がってきています。本稿を最初に書いた2012年当時は育児休業にはちょっと特別感がありましたが、厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」によると、
  • 女性の育児休業取得率:84.1%
  • 男性の育児休業取得率:30.1%
という結果が出ています。
(参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-r05.html)

この数字を見ると、女性の取得率は高い水準を維持していますが、男性の取得率は未だ3割程度です。ただし、「予定していたが取れなかった」などの回答も一定数あり、制度は整っていても実態は伴っていないという職場も少なくないことがうかがえます。

■育児休業と収入

もちろん、ただ休めますと言われても、収入の心配があればなかなか休めませんよね。そこで、育児休業基本給付金という制度を用意して、収入面の心配をなくするといった配慮もなされています。

この給付金は雇用保険から出る給付金になります。そのため、育児休業中は会社側にとっては賃金支払いの負担はありません。

■まんがと育児休業について

このまんがのように、育児休業を取る事によって、従業員の視野が広がるという面もありますので、無負担で従業員の教育訓練をしていると捉えることもできるかもしれません。(少し強引ですが。)

そして、そのように捉えるのであれば、従業員が積極的に育児休業を取得できるように支援する事は、福利厚生の一環ではなく、会社の競争力の源泉へ投資していると考えることが可能かもしれませんね。

とあえて男性育休の例で2012年当時は書いていました。その時点より前では「意識の高い企業」や「従業員思いの制度」として語られていた育児休業ですが、2025年現在では「制度として整っていて当然」な基本的条件(衛生要因)に変化しつつあります。取得できない職場は、選ばれない時代に入ったのです。(参考:動機付け要因・衛生要因

育児休業の申し出に対応できないような労務管理体制では、今後従業員の確保はおぼつかなくなると考えられます。

■男性の育児休業(パパ育休)の義務化と動き

一番上で記載しましたが、2022年4月には改正育児・介護休業法が施行され、「出生時育児休業(いわゆるパパ育休)」が新設されました。

この制度では、子どもの出生後8週間以内に最大4週間まで分割して取得できる制度です。

企業にも制度の周知・相談体制の整備が義務化され、今後ますます育児休業は「当然の権利」として社会に定着していくと考えられます。

■企業が対応すべき3つの視点

このように育児休業はあたりまえに活用されていく制度となりつつありますし、国はソレを目指しています。

そのような流れの中、育児休業を気持ちよく取れないというだけで従業員の定着が厳しくなると言ったことも実際に起こりつつあります。

そのような流れに対応するため、以下のような切り口で生産性を向上して育児休業を取る方が居る前提での強靭な組織構築を図っていくとよいでしょう。以下、3つの観点を挙げます。

■業務設計の見直しなど

ナレッジマネジメントなど企業内に蓄積られた知恵を暗黙知として属人化させずに企業全体の知恵に変えていく方向性があります。また、基本ですがECRSの原則に従って余計な業務の見直しを常に進めることも重要でしょう。

当然、業務マニュアルの整備なども合わせて進めていくとよいですね。

■DX化

これも文字にすると当たり前過ぎて陳腐ですが、上記業務設計の見直しにはDX化がとても有効です。

ただ、各自の思いつきでRPAなどを作らせると『野良システム(誰も管理していなく、担当者が異動するとブラックボックスになる)』が蔓延しますので、何らかのルール化(例えばRPAを使うなら〇〇というフォーマットに、目的と利用するデータ、集中力する結果、改訂履歴を明記する)をしておくことが大切です

■組織文化の醸成

そして何よりも組織文化として育児休業を取ることを尊重し、育樹休業する人が出ることを業務改善のチャンスだと捉えるような企業風土を育てていくことが大切だったりします。

関連用語
ハローワーク

初出:2012/11/11
更新:2025/08/02

法務・支援施策
2025年6月27日

有限会社

有限会社_001
有限会社とは、会社の形態の一つです。日本においては過去に設立することができた会社形態ですが、2006年の会社法施行によって新設はできなくなりました。(現在存在している有限会社を特例として存続させることは可能です。(特例有限会社))

この有限会社は(有)などと略して表記されることもあります。

新たに設立することはできませんが、当時は小規模企業に適合する会社形態としてこの有限会社があったとされています。

■なぜ小規模企業に有限会社が多かったか?

それは、資本金の額が300万以上で設立することができ(株式会社は1,000万円以上が必要でした)また、社員の数は50名以下に限られており(ここでいう社員とは従業員ではなく出資者の事です。)、持ち分の譲渡を自由に行う事はできなかったのです。

更に、取締役が一人いれば設立することが可能であったといった事などから小規模企業向けであるということができると思います。

■責任が有限という意味です

さて、この有限会社の有限とは、期限が有限でそのうち解散しなければならないといった意味ではなく、責任が有限であるといった意味です。(有限責任

有限責任を簡単に説明すると、出資者は出資した金額以上の責任を負わなくともよいとするものです。

このまんがでは会社の設立について言っています。このまんがのように、資本金額が少なくても設立できるといった利点から小規模事業を営む会社は有限会社を設立する傾向がありました。

また、このまんがの最終コマで言っているように、有限会社を新設することはできないので、有限会社とついている会社はある程度古くから営業している会社であるという事もできます。

関連用語
無限責任

■実務的な視点

有限会社を作ることができた当時、有限会社は株式会社の資本金1000万円よりも低い、資本金300万円で設立することができたため、比較的小さな会社がこの有限会社という形態を選択していました。

今日では合同会社(LLC)と株式会社の選択で比較的カンタンに作ることができる合同会社が好まれるような違いがあったのです。

(本稿では詳しく説明しませんが合同会社は登録免許税が安かったり、トータルの費用がおおよそ半分ぐらいで設立することができたり、役員の選定などに自由度が大きかったりするのです。)

今日では株式会社は1円の資本金から作ることができるのでそんな感覚はないのですが、当時は会社を作るのはけっこう大変だったのです。

■社歴がある、資本金もある、だから有限会社は今見ると信頼感がある

このように、今日の株式会社は最低資本金の制限もないですし、社歴が長い保証はありません。

また、会社の設立は割と簡単にできますので、会社≒信用ができるといった図式はもはや成り立たないのです。

そのため、会社名だけで判断するならば合同会社や株式会社よりも、当時の厳格な基準で設立されたことが確実である有限会社のほうが信頼できるような気がする逆転現象すら発生しているのです。

■【実務視点】取引先の確認には法人番号検索が便利です

読者の皆様は取引先名を聞いたら、ちゃんと存在することを国税局の法人番号検索で確認しているとよいと考えますよ。

https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/

初出:2012/08/21
更新:2025/06/27



法務・支援施策
2025年6月17日

優越的地位の濫用

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優越的地位の濫用とは、取引を行う上で力関係が強い方が弱い方に対して不利益を与える事を言います。文字通り、優越的地位(力が強い事)を濫用するといったイメージです。

例えば、大手小売チェーンが商品の供給者に対して非常に優越的な地位を持つことは想像できると思います。

この大手小売りチェーンが、「棚卸を手伝わないと購入を取りやめる」とか「売れ行きの悪かった商品を無理やり返品させろ」、「消費者に割引販売を行った商品の仕入れ代金を支払う際に、割引額を支払代金から差し引きたい」などの要求してきたらどうでしょうか?

商品の供給者はこのような要求を断れるでしょうか。なかなか難しいですよね。

そのため、優越的地位の濫用は行ってはならないとされています。現在では、公正取引委員会は独占禁止法を根拠に、課徴金(罰金のイメージですね)の納付を命じることができます。

■よくある濫用行為の類型(5つ)

取引関係ができると自ずと力関係の差が出てきます。そのさい、どのような行為がこの優越的地位の濫用に該当するかを知っておくことは有用です。

よく挙げられる類型は以下のとおりですが、優越的地位の濫用という言葉にピッタリの、力の強い側が弱い側に押し付けるイメージが掴めると思います。

1 不当な返品(売れ残り商品など)

2 無償での役務提供要求(棚卸し・陳列など)

3 一方的な代金減額(割引分の負担を供給者に強制)

4 支払遅延(資金繰りへの悪影響)

5 協賛金・広告費の負担強要

■優越的地位の濫用が発生しがちな取引関係

上記のような不当な要求が以下のような関係性で生じがちだと言われています。

例えば、『大手流通⇔中小メーカー』、『フランチャイズ本部⇔加盟店』、『出版社⇔著者・フリー編集者』、『ECモール運営会社⇔出店者』などです。

これもイメージ通りだと思いますが、このような取引関係を構築する場合の防御策も示します。

■守る側のポイント1:契約書が生命線

一度このような力関係ができてしまうとなかなか脱することが難しいですが、しっかりと「明文化された契約≒契約書の整備」を行うことで契約外の要求に対抗することが可能となってきます。

例えば、あるメーカーが大きな小売業に納品した際、「陳列はオタクがやってくれるんですよね?」と契約にないことを言われたときに、契約書を明確にしていれば対抗しやすくなります(対抗できるとは言っていません)

■守る側のポイント2:雇われ人の心理をつく

大抵の場合、大きな企業側の交渉相手はいわゆる雇われ人です。そのため、交渉相手の組織人としては極めて強い立場にいても、個人としては不適切な言動を行う事ができないという弱い立場にもあります。

ですので、あまりに理不尽な要求をしてくるようでしたら、組織としての要求であるか?をやんわりと聞いてみるとトーンダウンする可能性もあります。

■守る側のポイント3:組織リスクをほのめかす

組織ぐるみで理不尽な要求をしてくると、公正取引委員会がやっている「優越Gメン」といった組織もありますし、公表されたりすると組織自体の評判が著しく悪くなるリスクがあります。

結構大きなダメージになるため、このような公表は避けたいと考える組織がほとんどのはずです。

もちろん、このような伝家の宝刀を抜くのは現実的には難しいですが、交渉材料としてありうるということは覚えておくとよいです。

■攻めすぎた場合のリスク(購買担当側への注意喚起)

逆に購買担当側で優越的地位を濫用しようとしている場合、相手先はこのようなカードを切ってくる可能性もありますので注意が必要です。

あなたの交渉相手も立派なビジネスパーソンですし、あまり理不尽な要求をすると、あなたのキャリアを破壊する事も辞さない反撃をしてくる可能性もあります。

上に挙げたような反撃を直接上長にやられるとかなり厳しいですよね?特にあなたの要求が相手側に議事録等としてメモが残っていたりして、その上で公正取引委員会に告発などされると窮地に立たされる危険性があります。

ですから、相手を尊重した取引を行う必要があるのです。

■長期的には商品力・交渉力がカギになります

長期的には、力関係は「取引の継続性・取引量の依存度」、「取引の代替先を見つける困難性」などで生じてきますので商品力を磨いて、力関係を自社に有利な方にかたむけていく努力が重要です。

関連用語
争議権(雇用主の優越的地位への対抗手段)

初出:2012/09/11
更新:2025/06/17
法務・支援施策
2019年1月19日

行政指導 | 強制力はありませんが、みんなが従う事で効果が生じています

行政指導_001
行政指導とは、行政機関が誰か特定の人に対して、何かをする事(作為)や、しない事(不作為)を処分に該当しない形式で求める事です。

この行政指導は指導や勧告、助言といった形で行われます。但し、処分に該当しないため強制力はありません。

あくまで市民や団体などが自発的に行政機関に協力するからこそ、この行政指導が効果を発揮するのです。

行政指導って言葉は聞く機会が多いと思いますが、建前上は強制力がないって知っていましたか?

■強制力がないってどういうこと?

行政指導には、強制力がないといわれてもいまいちピンときませんよね?指導する以上、何らかの強制力が伴うと感じるのが通常の感覚だと思います。

しかし、行政指導には本当に強制力がないため、従わなくとも良いですし、(自発的に)したがってもよいのです。

■穴を掘る場合


『庭に穴を掘ろう!』と思った人が、役所に相談に行った場合に、行政の担当者に「庭に穴を掘るなんて止めた方が良いですよ。」と行政指導された場合を考えてみます。(この説明においては、庭に穴を掘るという行為が法律的には何にも問題がないと仮定します。)

この場合、役所の人の発言に強制力はありません。(つまり『庭に穴を掘る』という行為を、やめなければいけないという義務はありません。)

但し、そうはいっても庭に穴など掘ると落ちる危険がありますし、穴を掘っている間に事故があるかも知れません。

だから、行政側は止めて欲しいので指導とか勧告とか助言という形で「庭に穴を掘らないで」という風に言っているのです。

そのため、行政指導を受けた人が任意に協力をする(この場合は言われた人が、『庭に穴を掘らない』事に決める)事が期待されているのです。

そして、この行政指導は処分ではないため(強制力がないため)強制してはならないし、逆に処分ではないため(強制力がないため)法律の根拠がなくても行えるといった形になるのです。

・任意に協力する人が多い

どうでしょうか?強制でなく、任意の協力を求めているだけという言い方、ピンときましたか? そして、行政の担当者に言われたら、強制ではないと知っていたとしても「でも強制じゃないと言ってもお上に逆らうと色んな不利益が…」とか、「この程度の内容なら角を立てても仕方ないし…」と感じる人が多いのです。

また、少なくとも行政でその仕事をしている人なら、庭に穴を掘ることに対する知見も持っているでしょうから、行政指導に信憑性もあるのです。

そのため、強制力を持たないという建前の行政指導ですが、多くの人や団体は行政指導の通り、することやしないことを決めるため効果を発揮するのです。

また、この行政指導は、企業に対しても行われます。そして、企業側も上で挙げたように考えるため、従う場合が多く、行政の考えたとおりにある程度は誘導されていくのです。

■法令の隙間を埋める


我が国は法令上の根拠があって初めて行政機関が動くことができると言った仕組みになっています。 しかし、通常は法令の制定よりも世の中の動きの方が早いため、隙間が生まれます。

そして、その隙間で無秩序が発生しないように行政指導が行われているのです。
tanuki_2
…ということでお願いしますね。

kitsune
なんか役場の人が来ていましたけど、なんかやっちゃいました?ちゃんと消防法などにも準拠してお店をやっているはずなんですけど。

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街作りのことでお店の営業方法で協力して欲しいって行ってきたのよ、さすが、役場の人は街全体を見ているから的確な行政指導だったわ。もちろん強制力がないのは知っているけど、別に従わない理由もないし、従うわよ。

■任意とは言っても 

そして、行政指導は任意とは言いつつもある程度は強制させる仕組みも備えています。例えば、行政指導に従わなかったことを公表するなど、企業のレピュテーションリスクに対する危機管理を刺激することが行われます。

と、なんとなく、不透明ですよね?

その通りで、この不透明さは一昔前、外国から市場参入を妨げていると非難されていました。

もっとも、「行政指導に従わない」と言われたらしつこく指導を続けてはいけないとされていますし、行政指導にもかかわらずあたかも強制力を持っているような表現をしてはなりません。

さらに、行政指導の内容や趣旨、責任者は誰なのかを明確に示すことも要求されています。これは求めれば特段に支障がない場合は書面で交付することがルールとなっています。

このように、なるべく不透明にならないように運用されているのです。

解説で出てきた用語・関連用語
インターネットサーフデイ
レピュテーションリスク

法令
行政手続法
法務・支援施策
2018年12月23日

大店立地法 | 時代の流れですが、中心市街地衰退の一因となった法律です

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大店立地法とは、大規模店舗出店に関する法律のことで、大店法(大規模小売店舗法)に代わり2000年に施行された法律です。

大店法は中小小売業の保護育成を意図して大型店について出店が難しくなるように意図されていたのですが、大店立地法は目的を大規模店舗の出店に伴う周辺の環境(自然環境と言うよりも住環境等です)への影響を意識したものとなっています。

街作りの観点から地元住民、自治体が大型店の出店を考えるとありますが、出店の規制がされているわけではなく、基本的には出店ができるようになっています。

また、店舗周辺の中小小売り事業者の事業活動の機会の適正な確保といった観点から、店舗周辺の生活環境の保持を重視するとなっているため、中小小売業にとっては基本的には自分達を守ってくれていた法令が弱くなったと捉えることもできます。
  • 自由競争
歴史の流れで言うと、ある程度中小小売業を保護育成していた昭和の大店法時代から、自由競争を強く指向した平成の大店立地法時代にうつったと考えることもできます。

もちろん、中小小売業は街の重要な要素である事から、その意味では大店立地法でも配慮はされているのでしょうが、そこまで重要視されている訳ではないといえます。

この結果、中心市街地や地方部の小規模な小売業がうまくいかなくなり買い物弱者といった新たな社会問題を生み出していると言うこともできます。

筆者は中小企業診断士なので、中小企業寄りのスタンスで記事を書いています。こう言った、自らの立ち位置に有利な言説を述べることをポジショントークといいますので、ご参考にしてください。

■自治体や住民の役割

大店立地法になり、かつての大店法のようにお店を出しにくくなるルールは緩和されました。その代わりに出店時に地域住民が困らないようにするといった配慮が求められるようになっています。

近所に大規模ショッピングセンターが出来たらどうでしょうか?便利になっていいと考える人も多いと思いますが、休日等に深刻な交通渋滞を招いたり、深夜に騒音がしたり、治安がちょっと悪くなったりしたや嫌ですよね。

このようなことを地域住民や自治体がチェックしていくのです。言い換えれば、国が規制の権限を持っていたのを、地方自治体へ権限を分散させたということができます。

住民説明会を開催し、地域住民の声を反映させるといった仕組みになっているのです。

しかし、多くの場合は自治体側の論理としては地域経済の活性化を優先し(ショッピングセンターがある町って住みやすくて住民も便利になりますし、税金も入ってきそうですよね。)近隣の住民の生活環境への懸念や地域で商売を営んでいる中小小売業の声はあんまり届かないといった指摘もあるのです。



法務・支援施策
2018年12月21日

抵当権と根抵当権 | よく似た言葉ですが意味は異なります


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抵当権は特定の債務を担保する権利のことを言います。他方、根抵当権は、設定された範囲内で債権を担保するために設定される抵当権のことを言います。

抵当権は特定の債務を担保しますので、その債務がなくなると同時に消滅します。

一方、根抵当権は継続する取引全体を極度額の範囲内で担保する抵当権ですから、特定の債務がなくなっても抵当権は消滅しません。
  • 単純化して考えると
と、こんな説明ではわかりにくいですよね。

わかりにくいので正確性はある程度犠牲にして思いっきり単純化して説明します。

例えば、ある人にお金を貸すときに「この人は返してくれないかもしれないな」と思ったときに、土地を担保にしてもらうことができます。

この担保とは、お金が返ってこなかった場合に、土地を取り上げる権利のことをいいます。

ただ、お金が無事に返ってきたら担保を取り続ける必要はないわけですから、設定した抵当権は消滅します。

これが抵当権のイメージです。

お金を借りる側の立場に立つと、「お金が返せなかったら土地を取り上げてもらっていいですよ。」といった約束をすることで、信用が不足しているにもかかわらずお金を借りることができるわけです。

ただし、お金を返したのにいつまでもそのような抵当権と行った権利を設定しておくのは不合理なので、お金を返したら抵当権は消滅するといったモノなのです。

一方、根抵当権はたくさんの取引をするときに便利に使えるモノです。取引のたびに毎回抵当権を設定していたら非常に面倒で煩雑な事務作業が発生しますので、根抵当権を設定することで○○万円までは一括して抵当権として担保しますよとした方が便利です。


言い換えればクレジットカードの限度額のようなモノで、極度額の範囲であれば債務を保証するということができるのです。
法務・支援施策
2018年12月20日

争議権 | 適法に行使されれば労働者のとても強い武器となります

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争議権とは、労働3権の一つで、労働者側が使用者との関係において自分の主張を通すために争議行為を行う権利のことを言います。

通常、営業を妨害する目的で様々な行動を起こした場合、営業妨害として法律で罰せられますが、争議権に基づいてストライキなどを行っても、免責されます。

一般的には使用者側の方が力関係が上ですので、単に話しあっても労働者側の主張を通すことはなかなか難しいのですが、要求を受け入れられなければストライキを起こすなどと圧力を加えることで主張を通すことを狙うことができます。

ストライキを起こされて売上が何日も入ってこない状況に陥るぐらいならば、相手の言い分を聞いたほうが良いと考えるかもしれません。

このように、対話に応じ手くれない相手に圧力を加えることで対話を促す効果が期待できるのです。

他方、これらの行為が罪に問われるのであれば相手に圧力を加えるどころではありません。そのため、権利を保護する観点から争議権が認められているのです。なお、この争議権は日本国憲法でも定められている大きな権利となります。

このマンガでも、みんなで団結されると話し合いに応じざるを得ないと行っているとおり、団結して権利を行使すると、使用者側にたいして強い力を発揮することが可能なのです。

■争議権とルール

ストライキなどは極めて強い力を持っていて、憲法でも保証された権利ですが、無制限に実施していいわけでではありません。

例えば、会社にダメージを与えることが目的になってしまうと(しばしば手段と目的は逆になりがちです)、犯罪行為だとされる危険性があります。特に、暴力行為等が伴えば損害賠償や刑事責任まで問われる可能性があります。

また何より、会社が甚大なダメージを受けることで事業の継続が不可能になってしまえば、処遇の改善以前に雇用自体が危険になってしまいますから。

正当な権利行使だからこそ、法律で保護されているという点を理解し、制度に組み込まれた正当な権利行使・交渉の武器であるということを押さえながら活用することが重要なのです。
法務・支援施策
2017年11月7日

経営革新 | 経営革新についてのまとめと、メリットを整理してみた

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経営革新とは、法律で定められた革新的な事業活動を計画している中小企業を支援する枠組みの事です。そして、そのための計画を経営革新計画と言い、一定の制約条件を満たして策定した経営革新計画を都道府県知事に承認してもらうといった手続きとなります。
  • 事業の類型
この経営革新は革新という言葉がわざわざついていることから、ある程度の革新的な事業であることが前提となっています。

ただし、単純に革新的な事業をやってくださいと言われても、何をすればいいか全く手掛かりがありませんし、都道府県の担当者も判断基準がないと承認手続きをすることができません。

そのため、以下の4つの類型が示されてます。具体的には、
  1. 新商品の開発又は生産
  2. 新役務の開発又は提供
  3. 商品の新たな生産又は販売の方式の導入
  4. 役務の新たな提供の方式の導入その他新たな事業活動
といった類型の中から「新たな取り組み」として取り組むべき内容を選んで、計画書にまとめるといった形になります。

逆に言うと、新たな取り組みでない改善を積み上げるような計画は経営革新計画の承認を受けることが難しいので注意が必要です。

例えば、製造工程を最適化して生産性を抜本的に改善するといった計画では、上記の4類型に当てはまらないので、なかなかこの経営革新計画の承認を受けるのが難しいのです。(こういった取り組みは、経営革新に関係なく取り組むべきですが。)
  • どの程度革新的ならいいの?
また、上の4類型には「新たな」とか「新」といった言葉がついています。しかし、世界初の発明ならいざ知らず、商売において大抵の物事は誰かがすでにやっています。

逆に言えば、だれも取り組んでいないような新製品や新役務は収益性が著しく低いために誰も取り組んでいないとも考えられるわけで、世界初といった枕詞が付くような事業というのはほとんど存在しません。

とすると、誰も経営革新計画の承認など受けられなくなってしまいます。そのため、経営革新計画にもある程度の基準が定められています。

具体的には、同一地域で相当程度普及しているものは対象外(逆に言うと地域であまり普及していないことは対象となる)といったイメージです。

都道府県によって運用は若干異なりますが(かなり異なると言う声も聞いたことがありますが…)、地域初といった事業であればおおむね対象とはなってきます。
  • 数値目標
さてここまでの説明で、「地域初の取り組みだから経営革新計画の承認を受けて…」と思った方。もうしばらくお待ち下さい。

というのは、新しい取り組みであれば何でもよいというわけではないのです。企業は存続し続けることが社会的な責任であるため、一定程度の収益力向上が経営革新計画の策定では求められます。(ゴーイングコンサーン

具体的には、かつては

付加価値額の向上(毎年伸び率が3%以上)、経常利益の向上(毎年伸び率が1%以上)

といった指標が求められていました。

2025年現在では

付加価値額もしくは一人あたりの付加価値額の向上(毎年伸び率が3%以上)
かつ
給与支給総額の増加(毎年の伸び率が1.5%以上)

となっています。

例えば、5か年計画の目標であれば、付加価値額は3%×5年で15%の伸びが、給与支給総額は1.5%×5年で7.5%の伸びが求められます。

特に、企業規模が大きな場合、いかに革新的な計画であっても一部門の計画となるため、この数値を超えるような計画を書くのは難しくなってきます。

(そのため、計画値では既存事業にシナジーがあるとか、もっともらしい理屈をつけて計画を作ってしまうこともあるようです。)
  • 計画の承認までに
さて、経営革新計画を作成したら窓口に相談し、必要書類を整えて申請手続きを行う必要があります。

この申請手続きは都道府県によって若干異なりますので、経営革新計画の承認を受けたいと考えた段階で事前に相談しておくとよいでしょう。

但し、少なくとも都道府県庁へ書類を提出に行く必要はあるため時間的なコストが発生することは事前に認識しておく必要があります。(参考:機会原価
  • 特典はあるの?
さて、このようなハードルを越えるわけですから気になるのは特典の有無です。もちろん、事業計画の策定自体に価値があるという意見には同意しますが、費用対効果は冷静に見極めなければなりません。

制度としては、政府系金融機関が低利融資をしてくれることや信用保証といった事が挙げられてます。

しかし、残念ながらこれらの制度は決め手にはならないと考えられます。もちろん補助金制度を用意している都道府県においては補助金制度は大きな要素になりますが、すべての都道府県が経営革新の承認後に補助金を用意しているわけではありません。

色々な意見があるかもしれませんが個人的には本制度の一番の特典は、都道府県知事の名前で事業計画が承認されているという事実と、それに伴う露出の強化だと考えています。(参考:パブリシティ

法務・支援施策
2016年3月14日

遺言信託 | (いごんしんたく)信託会社という組織に依頼をすることで確実に

遺言信託
遺言信託とは、遺言の執行者を信託銀行に指定し、相続が生じた段階で、その信託銀行が遺言の通りに財産の分割等を行うサービスです。

サービスですので、遺言の記載通りに財産の分割をするだけではなく、それに関係する各種手続きまで行う形になります。
 
例えば、近い将来相続人になるであろう者が障害を抱えていたり、幼少であったりなどの理由で管理能力に乏しい場合に、遺言者が信託銀行に相続財産を委託することを考えたとします(誰かに管理を委託すれば安心ですからね)。

この場合、その財産の管理・運用を行って貰うことで、自分の死後も相続人の安定した生活を確保することができるのです。

被相続人の立場からすると、非常に幼い相続人にそのまま財産を相続させるよりも、しっかりとした組織がバックアップしてくれたほうが安心できますよね?
 
このように、遺言信託のメリットは、信託会社という組織に依頼することが挙げられます。

組織に依頼することになるので、遺言書の管理や執行が数十年先になっても比較的安心であること(弁護士に依頼するとその弁護士が途中で亡くなる可能性があります)や、資産運用や税金対策などについて専門的アドバイスが受けられることなどが挙げられます。

もちろん、遺言はこのようなサービスを利用しなくても、有効です。しかし、せっかく遺言を残したとしても、所定の様式に沿っておらず、無効となってしまったり、不明瞭なことが書いてあったがために被相続人の遺志が伝わらないことがあります。

遺志が伝わらないくらいなら良いのですが、相続が争族になってしまっては大変です。そのため、こういったサービスを利用したり、最低限、公正証書として遺言を残しておきたいものです。

なお、財産を相続する人(生きている人)を相続人、財産を相続させる人(なくなった方)を被相続人といいます。

■遺言信託の費用と注意点

遺言信託はこのようにとても安心できる仕組みですが、当然費用もかかります。信託報酬や執行手数料など契約時に数十万円がかかり、その後執行時に遺産総額の数%程度かかります。

このように、信託銀行などに依頼すると手数料や管理費用などもかかりますので、どのサービスを使うか、自分の希望をどうやって実現させるかをよく考えておく必要があります。

なお、遺言信託があっても相続時に単純承認(全部引き継ぐ)、限定承認(プラスの財産の範囲で引き継ぐ)、相続放棄の選択肢を制約する事にはなりません。

遺言信託があっても多額の借金がないとは保証されないため、相続人は選択する事ができるのですね。

例えば、父の莫大な財産を信託銀行が管理してくれていたが、それ以上の借金もあったなんてことも起こり得るのです。

この意味から遺言信託は被相続人の意思を残す仕組みでありますが、相続人(引き継ぐ人)はその意志には拘束されるものではないのです。
法務・支援施策
2015年9月13日

悪意(法律用語) | この手の用語をしたり顔で話すのは学生あるあるですよね

悪意(法律用語)
悪意(法律用語)とは一般的な善悪とは関係なく、単に一定の事実について知っていることを示す言葉です。この言葉の対義語は善意となります。


この悪意と善意は一般的な言葉遣いと異なり、知っている事や知らないことのみを示しています。

道義的な善悪とは無関係ですので、『善意の第三者』みたいな人が出てきでも、良い人とは限らないので注意が必要です。
  • 悪意の場合
さて、このような悪意と善意ですが、ワザワザ法律的に知っているか知らないかを区別している以上、そこに何らかの差異を見出しています。

例えば、無権代理といった考え方が民法にはあります。

難しい言葉ですが、端的に言えば『勝手に』代理をしてしまうという事で、本人からすれば知らないところで何かをされてしまうといった事です。

もちろん、このような事がまかり用るようでは誰も安心して生活できませんから、無権代理の法律的効果は本人には帰属しません。

しかし、無権代理であっても本人が追認(あとで認めれば)その法律的効果は、時間をさかのぼって無権代理行為がなされた時点で成立します。

と、色々難しげなお話をしましたが、この無権代理の相手方になったときに受けられる保護が変わってくるのです。

無権代理で行われた行為について、相手方が善意(つまり知らない)の場合、本人が追認するまでの間、相手方の人は取り消しをすることができます。

しかし、無権代理で行われた行為について、相手方が悪意(つまり約束をした人が代理人でない事を知っていた)の場合、本人が追認するまでの間であっても、相手方の人は取り消し権を行使できません。

知っているのなら保護する必要は無いといった発想なのですね。

関連用語
善意(法律用語) 
法務・支援施策
2015年9月10日

善意(法律用語) | 法律家は性善説を採るべしといった意味ではありません

善意(法律用語)
善意(法律用語)とは一般的な意味の良し悪しとは関係なく、単に一定の事実について知らないことを指す言葉です。この善意の対義語は悪意です。(通常の言葉遣いとおなじ言葉が対義語なのが面白いですね。)

そのため、『善意の第三者』などといった法律用語が出てくるような場合でも、その人が善人であるかどうかは全く関係ない言葉なのです。

例えば、人類史上まれにみる極悪人であっても、一定の出来事について知らなければ『善意の第三者』になりえますし、聖人のような人であっても、ある物事に対して知っていれば『悪意』なのです。
  • 善意だと
さて、このような一般的な言葉遣いと異なる用語ですが、善意と悪意(要するに知っているか知らないか)を分ける意味はなんでしょうか?

これは、知らないで(善意)やってしまった事は保護に値するけれども、知っているにもかかわらず(悪意)やったことに関しては、知っていてあえてやっているんだから保護は弱くても良いよねといった発想に基づいています。

例えば、心裡留保といった考え方があります。難しい言葉ですが、要するに意思表示した人が『冗談』で行った意思表示の事です。冗談で、「このおやつ食べてもいいよ」(本人には、食べさせるつもりがない)といったようなケースですね。

この時、この意思表示の相手方が善意(つまり冗談であることを知らなかった場合)、おやつをもらう事ができます。法律的には冗談を言った人を保護する必要性が無いためです。

しかし、この意思表示の相手方が悪意(冗談であることを知っていた)場合、おやつはもらえません。(意思表示した人の意思表示はお互いに冗談と知っているのだから無効です。)

このように、善意であるか悪意であるかによて法律的な効果に違いが出る場合があるので大切な区別なのです。
ストーリー
2015年9月9日

相続が発生した時に覚えておきたい3つの選択肢(知らなければ、大損するかもしれませんよ?)

kitsune
困ったなぁ…

kitsune
困ったなぁ…(ちらっ)

panda
あのお店美味しいよね。

kuma
そうだね、雰囲気が良いよね。

kitsune
困ったな!!!!(ちらっ)

hiyoko
でもさー、むしろ駅前のお店の方が…

kitsune
シクシク、無視しないでよ…

hiyoko
ごめんごめん、でも、面倒なおはなしなんでしょう?

kitsune
確かに大変なお話なんだけど、無視することはないよね?

kuma
まあいいや、話してごらんよ。

kitsune_odoroki
実は、実家から手紙が来て、衝撃的なことが書かれていたんだよ…

neko_akire
実家ってどこだ?

hiyoko
決まってるじゃない、岐阜の縫製工場よ。

neko
ああ、彼は日本製なんだね…

kitsune_odoroki
僕の実家がどことか、そんな事はいいから。

kitsune
で、話を戻すけど、実家から手紙が届いたんだよ。

hiyoko
なんて手紙が届いたの?

kitsune
なんだか、実家で相続が発生しそうってことらしいんだよね。

onnanoko
相続!?それはつまり、財産が沢山あるってことよね?

onnanoko
うまく引き継げれば、上京して丸の内のオフィスビルで…

kitsune
事業をやっているらしいから、確かにいろいろ引き継がなきゃならなくなりそうらしいんだけど、

kitsune_odoroki
でも、かりに財産が沢山あったとしても、オーナーさんには関係ない話だよね?

onnanoko
イヤイヤ、大家と言えば親も同然…

neko_akire
(大家って位置づけなんだ…)

onnanoko
ふふふ、まあいいわ。でも、素直に相続するっていうのでいいのよね?

kitsune
それが、どうもイマイチ違うみたいでして…

onnanoko
どういう事?

kitsune
確かに財産は多いみたいなんですが、事業をやっているので負債も多いらしいんです。

onnanoko
そんなの簡単よ。財産だけ引き継げばそれでいいじゃない!

hiyoko
それができれば苦労はしませんよね…

onnanoko
まあ、今のは冗談だけど、財産がプラスだったら相続して、マイナスだったら相続しないって考えればいいんじゃないの?

panda
相続しないってこともできるの?

onnanoko
そうよ!マイナスの財産があまりに多いなら、相続を放棄することも可能なのよ!

onnanoko
だから、子孫に迷惑をかけるからと遠慮するのではなく、

onnanoko
思い切った勝負に打って出る人生もありじゃないかなと思うのよね。

hiyoko
そういった考え方もありますね。

hiyoko
で、話を戻すけど、今の言葉を伝えればいいんじゃないの?

kuma
そうだよう、財産を調べて、プラスなら相続、マイナスなら相続放棄。とっても簡単なお話だよね。

kitsune_odoroki
ただ、お話はそう単純じゃないんだよね。

kitsune
どうやら、相続するにしても、財産と負債がはっきりしないらしいんですよ。

panda
え?ちゃんと把握していないって?

panda
だったら、一か八かで相続してみればいいじゃない。

kuma
そうだね、一か八かだね。

tanuki
割とみんなは他人事です。

kitsune
でもさ…

neko_akire
だって、分からないんだったら仕方ないじゃない。

neko_akire
一か八かに賭けるしかないよ。

onnanoko
そういえばうまい方法があったわよ。

onnanoko
プラスの財産の範囲内で借金を引き受ければいいんじゃないのかな?

panda
えっと、そんな都合の良い話があるわけないじゃないですか?

kuma
そうだよう。やっぱり一か八かで相続するしかないと思うよお。

kitsune_odoroki
ちょっと待ってください。その方法について教えてもらえますか?

onnanoko
相続には単純承認相続放棄があるのは知っているわよね?

kitsune
はい。さっき話していた内容ですよね。

onnanoko
それに加えて限定承認といった相続方法があるのよ!

kitsune_odoroki
おお、それは知らなかったです。

onnanoko
だから、その方法をご実家に伝えるといいと思うのよ。

kitsune
ありがとうございます。

tanuki_2
その日の夜…

onnanoko
いやぁ、キツネ君のご実家は…なのね

onnanoko
しっかりメモっておきゃなきゃね。

onnanoko
でも、お客さんが来なくて暇だったから毎日テレビを見ていた知識が役に立ったわね。

onnanoko
あとで、アドバイス料として請求書を送ろうかしら。

tanuki_2
と、そんな事を日誌に書きながら夜は更けていきます。

■相続発生時に使える3つの方法について

今回の寸劇は相続時に使える3つの方法について書いてみました。単純承認と相続放棄は有名ですが、限定承認は結構マイナーなのではないでしょうか?

補足で書いておくと、限定承認は財産を調べたり色々やることが多いのと、3ヶ月いないという期限もキツめなので専門家の支援を受けることがおすすめです。

事業をやっていた人からの相続ならば、税理士先生などと取引があると思いますので、まずはその税理士先生にご相談をしてみるといいでしょう。

そうでない場合で心配ならば、法テラスなどに相談してみて、どうすればいいかの法律的な選択肢を集めてみるといいかもしれません。

我々国民を守ってくれる法律が我が国には多いのですが、その法律を使うためには専門家の支援が必要だったりしますので。

記事一覧はこちらです↓
ストーリーで解説経営用語
 
法務・支援施策
2015年2月9日

価格カルテル | 仕組みと例をまんがで解説 | 独占禁止法でわざわざ禁止する理由

価格カルテル
価格カルテルとは、複数の企業が価格を維持する事や引き上げる事を決めて、不当に利益を得ることを言います。

このような取り決めがないような状態では、(自由な競争が行われていた場合)価格はそれぞれの企業が競争した結果で決定していきます。その結果、競争が行われれば適正な価格になるのです。

端的に言えば、競争が行われれば安くなるのですね。

また、価格が下がれば一般にそのモノの需要が増えますので、売上額自体は一概に減るとは言えません。(売上=価格×販売数量ですからね。)

しかし、価格を維持した方が利益が多くなるといったケースも存在します。

このような場合においては、企業は利益を最大化するために当事者間で話し合いを行い、価格を維持したり引き上げたりすることを望む場合があります。「安売り競争に陥らないように」とか「せっかくだから値上げして儲けよう」といった話し合いを望むのですね。

しかしながら、このような話し合いがなされると、消費者の立場に立った場合には不当に高いものを購入させられるといった事につながってしまいます。

これでは良くないですよね?

しかも、消費者が損した分だけ、そのままモノやサービスの供給者側が得するのなら、それはまだマシなのです。良し悪しを別とすれば、経済全体ではプラスマイナスゼロですからね。

しかし、価格カルテルによって本来よりも値段が高まることによって、本来ならば消費者がモノやサービスを購入ることによって得られるはずだった利益を無駄にしてしまいます。

その結果、経済全体で見た時に損失が発生してしまうのです。こういうのをまんがで出てきた死荷重という言葉で示すのです。その為、このような価格カルテルは独占禁止法で禁止されているのですね。(違反するときついお仕置きがありますよ。)

但し、現在では、消費税の価格転嫁対策の一環として、消費税を価格転嫁する、表示を統一するといったカルテルについては独占禁止法の対象外にするといった制度が定められています。

■価格カルテルがなぜ発生するのか

悪いことだとはみんな知っています。しかしではどうして企業は価格カルテルをしてしまうのでしょうか?

この価格カルテルは市場の失敗の典型例で、死荷重という生産者も消費者もどちらも得をしない社会前提の損出が発生します。

しかし、価格カルテルが発生する事が強く予期されるならば、自分がそれに乗り遅れると損をしてしまうという考えが発生してしまいます。

みんなが価格を維持している時、自社だけ抜け駆けをすると確かに儲かるかもしれませんが、何らかの報復をされる危険性があったり、真剣な価格競争はそれだけ大変だったりします。

これに対して、価格カルテル状態に安住すれば、自社がすごく得をすることもない代わりに、競争で消耗することもなく、何となく業界全体で適正以上の利潤を得られる状況になってきます。

そのため、何となくの価格カルテルというものが発生してしまう危険性が常にあるのです。なので、公正取引委員会が厳しく監視をするといった市場を正常に保つために政府部門が一生懸命仕事をしているのですね。

関連用語
管理価格
法務・支援施策
2015年2月2日

小規模事業者持続化補助金 | 長い名前ですが事業の3分の2、50万円まで補助金をだすという制度です

小規模事業者持続化補助金
『小規模事業者持続化補助金』とは持続化補助金とも呼ばれており、経営計画を立てそれに基づいて実施される取り組み(販路の開拓等、事業が持続するために必要とされる事業)に対して3分の2、上限50万円で補助金を出しましょうという事業です。

平成25年度の補正予算で始まり(実際には平成26年の2月27日から募集開始でした。年度が分かりにくいですね…)、平成27年の2月から再び募集する予定の補助金になります。

この記述を読んでピンときた方は、お近くの商工会・商工会議所、中小企業診断士にご相談ください。(中小企業診断士のくだりはポジショントークです。最終的にはお近くの商工会・商工会議所に提出することになります。)

さて、おそらくよく分からないと思いますので、思い切ってどんな制度であるかを意訳していきます。
  • 小規模事業者に
まず、『小規模事業者』とついているところに注意をしてください。すなわち、従業員数20人以下の会社(小売・卸売・サービス業は5人以下)が対象となっているのですね。

だから、「50万円をもらえるなら、ありがたいな。」などと言って、トヨタやソニーなどの大企業が申し込んだとしても対象にはならないのです。(まあ、申し込もうと思わないでしょうけどね)

ただ、中小企業として定義されるような会社であってもこの小規模事業者には該当しないケースはあり得ます。中小企業は業種によって異なりますが、従業員300名以下から50人以下と定義されていますので「ウチは中小企業だから、持続化補助金に当然申し込めるよね。」と言われても該当しない場合もあるのです。

(中小企業の定義には資本金の要件もあります。資本金100億円で従業員が50人の場合は、業種に寄らず中小企業ではありません。これは直感的に理解できますよね?)
  • 持続化、持続するために
次に、『持続化』とあるところに注目します。持続とあるからには、続けていく事に主眼を置いているという意味になります。

中小企業庁は『販路拡大に取り組む事業』と言っていますが、実際は事業を持続発展させるための取組に対して補助されると考えてもらって大丈夫です。

「事業を続けるためにはお客様に来てもらって売り上げを獲得しないとね☆」くらいに意訳して運用されているイメージですね。

そして、お客様を増やすための取り組みで良いので、「看板をなおす(野外広告とかですね)」「チラシを打つ」「新製品を開発する」といった分かりやすいものから「お店の中のトイレを直す(和式トイレだと膝の悪い高齢のお客様にとってはつらいですからね)」といった取り組みに対して補助を出して応援しましょうというものです。
  • 補助金って?
最後に『補助金』という言葉です。「補助金?返さなくてもいいお金だよね。」と思われた方、正解です。そうなんです、基本的にもらえるお金なのです。

とても有利ですよね。そのため、上手く条件に合致するのであれば是非申し込まれることをお勧めします。

但し、『補助金』という言葉には、他にも注意点があります。それは、「補助金支給が決まってから行った事業しか補助されない。」「基本的に精算払いになる」という事です。
 
これはどういう事かというと、補助金申請を出したとしても、正式に決まるまでその事業に着手してはならないという事です。

例えば、「看板を作りたいから補助金を申請しよう。」と考え、苦労して補助金の申請書を作ったとします。でも、正式に決定通知があるまでは看板を作ってはならないという事です。

そのため、補助金には応募から採択までのタイムラグがあるという事を知っておいた方が良いのです。(冷蔵庫が壊れたから補助金で買い換えようと考えても、採択されるまでの間、どうするかを考えなければならないのですね。)

また、精算払いという事にも注意が必要です。つまり、一旦は補助金が出る分についても立て替えて払っておく必要があるのですね。
  • 採択されるコツを書いちゃいます
さて、採用されるためのコツを、読者の皆様のために思い切って書いてしまいます。以下のような視点で採点されるのでそこを心がけて計画書を作ると非常に採択率が上がります。

まずは、前提条件として以下の点を押さえる必要があります。
補助事業を遂行するために必要な能力を有すること
小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組で
あること
そのうえで、次の点を押さえられれば加点されます。

①自社の経営状況分析の妥当性
 ◇自社の製品・サービスや自社の強みを適切に把握しているか。
②経営方針・目標と今後のプランの適切性
 ◇経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえたものとなっているか。
 ◇経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場の特性を踏まえているか。
③事業計画の有効性
 ◇事業計画は具体的で、実現可能性が高いものとなっているか。
 ◇事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。
 ◇事業計画に創意工夫の特徴があるか。
 ◇小規模事業者の活力を引き出すモデル事例となり、他の事業者の参考、励みになりえるか。
④積算の透明・適切性
 ◇事業費積算が明確で、事業実施に必要なものとなっているか。

 『小規模事業者持続化補助金 特設サイト内 募集要項より引用』https://www.jizokukahojokin.info/
さて、このように採点基準をかくと、「あれ、どこかの内部事情なのかな?」と思われた方もいるかもしれません。ただ、残念ですがこの情報は別に内部事情でも秘密を洩らしたわけでもありません。

このお話は、募集要項にしっかりと明記されているものになります。だから、ココを読んだからと言ってもすごーく有利になるという事はありません。(明記されている事なので引用の形式をとっています)

ただ、意外と募集要項などはしっかり読んでいる人が少ないものですので、補助金の利用を思い立った場合、しっかりと募集要項を読まれることをお勧めします。

また、繰り返しになりますが、お近くの商工会・商工会議所、中小企業診断士に相談してみるのが一番早いと思います。

あなたに説明してくれる人は、これらの募集要項はちゃんと読んでいるのでこの辺のポイントについては押さえて書類を一緒に書いてくれるはずですから。(読んでいますよね?)

なお、新しい募集要項が公表されましたら、募集期間についても追記します。 
法務・支援施策
2015年1月30日

根保証 | あなたがサインしようとしている契約書があなたの人生を暗転させるかもしれません

根保証
根保証とは、特定の債務だけではなく、継続的に発生する債務を限度額と期間を定めて保証するという約束になります。

(無期限で無制限に保証するといった包括根保証という制度は2004年に廃止されましたので、限定根保証の説明を書いています。これから根保証の説明をしていきますが、さすがに無期限、無制限に債務を保証するというのは酷すぎると皆さんも感じると思います。)
 
簡単に言い換えると、極度額○○円までは将来にわたって保証します。だから追加で融資されたとしても、極度額までは支払いますという事です。コワイデスネ…
さて、「絶対になってはいけないよ」と年長者から諭される保証人という約束ですが、これは、保証した債務が無くなれば一緒にその保証契約もなくなるものです。(これを難しい言葉で附従性と言います。)

具体的は、「100万円の債務を保証してください」と頼まれて保証人となったとしても、借りた人が100万円の債務を返し終わればそれで保証契約は終わりとなるわけです。

また、この場合、最悪でも100万円を返せば保証人としての義務は果たしたことになるので、通常の保証人の場合、保証する額が自分にとって致命傷にならない額ならば保証人になってもいいと考えられます。

(もっとも、どこまで保証することができるのかについての線引きは難しいですし、次から断りにくくなるといった事もあるので、先人の言うとおり、「保証人にはならない」とするのが賢明だとは思います。)
  • 通常の保証人とは根本的に異なります(悪い方に)
さて、通常の保証人について見てきましたが根保証を受け入れてしまった場合、このような常識は通用しません。というか、理解に苦しむほど保証人にとって酷な条件が付きつけられてしまうのです。

まず、根保証をする場合、極度額と期間というものが決められます。これは、この範囲内ならば債務を保証しますという意味です。

「ん?」と思われた方は鋭いですね。そうです、『具体的な●●という債務を保証する』という一般の保証人とは根本的に異なる契約形態なのです。条件としてはもっと酷で『いつからいつまでは、極度額までの債務を保証する』という契約になるのです。
  • 具体的には?
具体的に説明すると、上の例で「100万円の債務を保証します」という契約を結んだとしても、それが根保証の契約で、極度額が1,000万円だった場合、あなたが保証したのは100万円ではなく、1,000万円の枠になります。

そのため、保証を頼んだ人がいつの間にか1,000万円借りていて、その債務を払えなくなった場合、あなたに1,000万円の返済義務が生じるのです。

どうでしょう?厳しいですよね?「保証人でだまされたって言うけれども、いくら保証するかわかっているハズなんだから…」と思う方もいるかもしれません。

確かに、根保証でなければ、その通りなのですが、(よく読まなかった契約書に)根保証と書いてあったら思ってもみない額の債務を保証しなければならなくなるかもしれないのです。
  • 制度を運用する側(主に金融機関)の言い分は
さて、どう考えてもひどいやり口ですが、金融機関側にも一応言い分があります。それは、「毎回保証人契約をもらっていたら煩雑ですからね…」という事です。

通常の保証人の場合、債務を返済し終わったら保証契約は終わりになります。その為、再度お金を借りようと考えた場合、再び保証人に印鑑を押してもらう必要が出てくるのです。

そのような煩雑さを避けるため、『根保証』として、「極度額までは保証しますね」といった旨の契約をもらっておけばお互い楽ですよね?といった言い分なのです。

また、お金を借りる側にとっても、毎回ハンコを押してもらわなくて済むというのは非常に楽なのでそんなに悪くないと考えられます。

とすると、保証人だけが一人負けになる制度という事もできますね。 
  • 繰り返します
さて、本サイトは経営用語集なのですが、保証契約についてだけは客観的な立場ではなくみなさんに警鐘を鳴らす立場で書かせたいただきます。

というのは、当サイトは学生さんも良く読んでくれているので、この辺の致命傷になりかねない落とし穴については知っておいてほしいからなのです。残念ながら「知らなかった」では済まされないのが現実の世界ですからね。

(まんがで気軽に経営用語の中の人の、親しい人もこの根保証にやられてひどい目に遭いました。立派な銀行さんからの融資を保証したつもりだったのですが、根保証の契約だったのです。もちろんしっかりと契約書に目を通せば防げることだったとは思いますが、一体どれだけの人が契約書をしっかりと読んでいるでしょうか?)

金融機関も商売でお金を貸しています。そのため、基本的にはお金を貸したいんですね。そして、信用保証協会に債務の保証を頼んだり、不動産を担保にしたりと基本的に金融機関がリスクを負わないですむような仕組みは沢山あります。

また、国は経済を活性化させるために、無担保・無保証人でお金を貸すといった制度も色々用意しています。(マル経融資などですね)

しかし、これらの方策が使えない場合、保証人を探すようにお金を借りたいと思っていっる人に依頼するのです。

身も蓋もない言い方をすると、金融機関は、危なっかしくて貸せないような人や企業にお金を貸す場合に、人質として保証人を差し出すように要求しているのです。

あなたは、人質になるほどの恩義をその人に感じていますか?また、最悪の場合、自分の身代金がいくらになるか?(最大いくらの債務を保証するか)についてわかっていますか?

分かっていて保証人になるのならば、止めません。しかし、分かっていないなら一旦立ち止まって考えるべきです。そして、自分で判断することが難しければ(根保証と通常の保証の区別なんて普通はつきませんからね)専門家を頼ってみるべきだと思います。


普段はこのような事は書きませんが、本記事に限っては若い皆さんに読んでいただきたいと思っています。もし よろしければ共有していただけると嬉しいです。

商売をしていると保証人になって負った負債を返すのにいくら売り上げ増が必要かを姉妹サイトで解説してみました。
保証人にはなるなと良く言われますが、何がいけないのかを解説します
 
法務・支援施策
2015年1月26日

授権資本 | 取締役会決議で発行可能な株式数です(定款で定められます)

授権資本
授権資本とは、定款に定める株式の範囲内ならば、会社は取締役会決議で株式を発行することができるという制度です。

このように説明すると「あれ?株式を発行すれば会社は自己資本が増えるから、会社にとってはいいことなんだよね?だったら別に定款で定める必要なんかあるのかな?」と思われる方がいるかもしれませんね。

しかし、定款であらかじめ発行できる株式の総数を定めておくという事はある種の利害関係者(ステークホルダー)にとっては非常に重要なことなのです。
  • 株式が自由に発行できた場合
さて、株式が自由に発行された場合に困る人は誰でしょうか?

債権者はどうでしょうか?この人たちは自己資本が充実すれば、債権を回収し損ねる可能性が減るので特に困りませんよね?それでは、従業員はどうでしょう?また、課税当局は?取引先は?この人たちにとっても特に影響はなさそうです。

このように、株式が自由に発行されたとしても、あまり影響はなさそうですが、困る人たちもいるのです。

それは、企業の株主さんです。この人たちは自分の持っている株の価値が薄まるという可能性があります。(希薄化といいます)

しかし、株主の保護に主眼を置いて、ワザワザ株式の発行の度に株主総会を開催しなければならないとなると、資金調達が迅速に行えなくなるといった弊害が出てきます。

そのため、授権株式制度というものを作り、資金調達を取締役会の決議で迅速に行えるようにしつつ、株主の利益を守るといった方策が採られているのです。

法務・支援施策
2015年1月23日

TPP | 太平洋を取り巻く国々で自由貿易圏を作りましょうという発想です

tpp_001
TPPとは簡単に言うと太平洋に面する国々が集まって、モノやサービス、投資などがもっと自由に行えるようなルールを作り、また関税の撤廃などを行っていきましょうという条約のことを言います。TPPを言い換えれば、太平洋に面する国々が(環太平洋)、自由に貿易して一大経済圏を作り上げるために(戦略的経済連携)行うために結ぶ約束事(協定)のことですね。

このTPPを日本語で言うと、環太平洋戦略的経済連携協定。英語で表記するとTrans-Pacific Partnershipとなります。この英語名を略してTPPなのですね。
  • 関税の撤廃だけではありません
さて、TPPの話が出ると、「だって関税を撤廃するんでしょ?だったら国内の農業が…」といった事が言われることが多いと思います。

確かに、自由貿易圏を構築するために関税の撤廃が原則となっています。(もちろん少数の例外は認められます)

しかし、このTPPは関税の撤廃だけを目的としているわけではなく、投資やサービスの貿易についてのルール、環境基準や労働についての約束事についてもルール化されていくのです。

そしてその結果として、輸出額が増大し(本当だと思いますか?)日本経済にとって様々なメリットをもたらすことができると言われています。

一応、経済学的には関税があると不効率が発生して(例えば、関税が無ければ購入できるはずだった人が、関税分モノの値段が上がって購入をあきらめるといった不効率です)全体的には富が減少するとされています。

但しTPPへ参加する国にも、「食料は自国で確保しなければならない」とか「我が国は製造業が担っているんだ」「あの国がもっとウチの作物を買ってくれれば…」といった、色んな価値観・思惑がありますから「関税を撤廃することによって富が増える。ばんざーい」とは簡単にはいかないのです。

関連用語
内国民待遇
法務・支援施策
2014年12月22日

株主提案権 | 良い意見を提案して企業価値が上がれば株主みんなが幸せになるのです

株主提案権
株主提案権とは、株主が共益権として持っている権利で、一定の事項について株主総会の議題にする事について請求することができる権利のことを言います。

株主が、株主総会の議題を提案できるという事から、株主提案権というのです。端的に権利の内容を示した良い名前ですね。

さて、株主提案権ですが、どのような株主であっても行使することが出来るわけではありません。

例えば佐藤さんが、大きな会社の商号に自分の名前を入れて売名行為を図ろうと考えて「○○自動車は○○自動車佐藤にすべきです」などと提案しようとしたとします。

しかし、このような提案に一つ一つ対応していたらきりがないので、株主提案権を行使するためには条件が課せられています。

すなわち、総株主の議決権の1%以上を持っているか、300個以上の議決権を持っている場合(100株が単元株の場合、30,000株を持っている場合)にのみ株主提案は可能です。

また、急に言われても困るので(株主総会当日に言われても困りますよね?)株主総会の8週間前までに提案は行わなければならないともされています。
  • 現実にこの株主提案権は使われております
さて、「株式会社に提案するなんて本当にできるの?」と思われる方もいるかもしれませんが、実際にこの株主提案権は活用されています。

例えば、企業価値を向上させる為にアクティビストと呼ばれる株主集団が経営に関与するために用いたり、配当金の増額を迫るために増配要求をしたりといった使われ方です。

また、上の例のように商号の変更を迫るといった事も実際に行われています。興味のある方は調べてみると良いかもしれませんね。

もっともこういった要求は定款の変更が必要なので、成立するハードルはかなり高いハズですが…

まんがに出てきた言葉
取締役
キャピタルゲイン
法務・支援施策
2014年12月18日

共益権 | 自分が権利を行使することは皆のためになるのです(ゼロサムゲームではないのです)

共益権
共益権とは、株式会社の株主の権利として権利を行使した結果、株主全体の利益となるような権利のことを言います。

『共』通の利『益』となる『権』利、だから共益権といったイメージです。

さて、自らの権利を行使することが、共通の利益となる権利とはなんでしょうか?そういった者があると思いますか?それとも、「そんなことあるわけないよ。誰かの利益は誰かの損失だよ」といったゼロサムゲームの方が正しく思えますか?

と、答えの出にくいお話は止めにして、共益権の話に戻ります。
  • 具体例
共益権とは、権利を行使することが株主全体の利益につながるという事です。このことから、議決権を行使する事や、株主提案を行う権利が該当するとされています。

企業が上手く経営されれば株主は結果として株式の値上がり益からキャピタルゲインを得たり、配当金でのインカムゲインを得られるといった発想なのですね。

なんだかアクティビストみたいな考え方であるという事もできますね。

■共益権とコーポレートガバナンス

共益権は株主全体の利益を守る仕組みです。その意味で(共益)権なのです。例えば、会社が正しく運営されていなければ株主の利益が守られません。そのため、株主がコーポレートガバナンスを改善させるための監視の目となりえるのです。

株主は議決権を持っていますので、役員に対して解任するとか次選任しないといったあ圧力をかけることができます。

この事が、会社の役員へ対して緊張感を与えることにつながるのです。また、近年では株主によるガバナンス機能の発揮が注目されています。

不祥事があった際、自浄作用が働かないような組織の場合は株主から圧力をかけて運営を正常化させることに繋がるのです。

また、株主には役員へ対して株主代表訴訟というムチを振るってしっかりと経営してもらうと言ったこともおこわれます。会社が誰のものかという議論は難しい議論になりますが、会社の損失は株主の損失ですので、役員の不味い意思決定で会社が損失を受けたら株主代表訴訟を起こして、弁償させることも可能なのです。

関連用語
自益権
法務・支援施策
2014年12月17日

自益権 | 自分の利益を追求するという大切な株主の権利です

自益権
自益権とは、株式会社の株主の権利として、自分の利益を追求するための権利の事を言います。端的に言うと、『自』分の利『益』を受ける『権』利から自益権なのですね。


株式会社の株主はボランティアで出資しているわけではなく、自らの経済的な利益を追求するために、株式に投資しているわけですから、こういった権利が認められなければそもそも制度が成り立たないと考えられます。
  • 具体的には
さて、具体的に自益権とはどのような権利でしょうか?以下、見ていきたいと思います。

まずは、配当を受け取る権利が挙げられます。これは「利益配当請求権」と呼ばれ、会社が儲かったときにその分け前を得るための権利です。インカムゲインを受ける権利ですね。

また、「残余財産分配請求権」といったモノもあります。こちらは、企業が解散するような事態になった際に、すべての債務を弁済した後に残る資産の分配を受ける権利です。

とこのように書くと、純資産の額を株主みんなで分けるような印象となりますが(貸借対照表上の資産から負債を引いたモノが純資産(自己資本)です)、換金できない資産もあれば、含み損益もあるので残念ながら一致しません。

このような権利は、行使すると株主自らの利益となるので自益権と呼ばれるのですね。

また、このほかに、株主が行使することによって自分だけではなく株主全体が利益を得ると考えられる共益権というものもあります。

■自益権の行使にはルールがあります

さて、このような自分のための権利ですが、自由に好き勝手に使うことができるわけではないという点に注意が必要です。

例えば、株主の立場からすると「配当をもっと出してほしい」と主張することは可能ですが、自分だけに配当を出してもらうわけにはいきません(株主は平等に取り扱う必要があります)。そのため、株主総会での決議で配当金額を決めることとなります。

また、株主総会で決めれば配当を際限なく出していいのかという問題もあります。会社にお金を貸している債権者からするとどうでしょうか?貸しているお金が株主の権利だけを保護して、回収できなくなると困りますよね。

そして、大きく考えればそのような株主の行為がまかり通るようでは、誰も会社にお金を貸す人がいなくなってしまい、社会全体の経済が損なわれてしまいます。

そのため、会社法で決まっている分配可能額の範囲内でしか配当をすることができなくなっているのです。

このように、自益権は会社の存続を脅かさない範囲かつほかの株主と公平性を保った枠組みで制限付きで行使できる権利となります。
法務・支援施策
2014年12月15日

直接責任 | 直接責任を取らなければならない場合があるのです

直接責任
直接責任とは、債務について債権者に対して直接の弁済義務があるような責任形態のことを言います。

出資金を放棄するだけで責任を果たすことができ、債権者が直接取り立てに来ないような株式会社の株主は、直接取り立てに来ないという点を指して間接責任と呼ばれます。(出資金の放棄だけで済むという点からは有限責任と呼ばれます。)

これに対して、直接債権者が取り立てに来るようなケースも想定されます。例えば、合名会社の社員(出資者)となっていたようなケースでは、無限責任が問われ、出資金をあきらめるだけでは足りず、自腹を切ってでも債権者に弁済することが必要とされます。

この際、債権者に直接支払わなければなりませんので、直接責任と呼ばれるのです。

なお、このまんがで言っている、合資会社の場合、有限責任社員は直接有限責任といった責任の形態となります。ちょっと違和感があるかもしれませんが、 責任の範囲に制限があるが直接責任であるといった形ですね。

また、持分会社には、合名会社、合資会社、合同会社といった形態があります。

■有限・間接責任が主流です

現在ではあまり直接責任というケースは多くありません。株式会社への出資など、多くの方が経験する経済活動では有限・間接責任となります。仮に出資した会社が潰れても、出資金を諦めるだけで特に誰かから取り立てを受けると行ったことはありません。

しかし、かつては、債権者を保護する観点から事業を営む際は、経営者だけでなく出資者も責任を負うことがありました。

少額の資金を出し合って事業の上手い仲間に経営してもらうけど、責任も負うよといった感じです。精度が未整備な時代に事業を行いたいなら、やはり人的信用が一番だったわけです。

この場合、今の株式会社のように、経営に失敗しても出資金を放棄するだけで許してもらうといった価値ではなく、債権者を強く保護し、経営に失敗したら直接的に出資者も責任を負うとされていたのです。

お金を貸す側からすれば、出資者に直接取り立てにいけますから、非常に強い権利ですよね。そのため安心しておカネを貸すことが出来たのです。

そして、この仕組みが歴史的経緯によって一部残り、合名会社・合資会社といった形で直接責任が残ったのです。
法務・支援施策
2014年12月12日

間接責任 | 間接的に責任を取るという事は気分が楽なものです

間接責任
間接責任とは、債務について債権者に対して直接の弁済義務を負わないような責任形態のことを言います。

例えば、Aさんがある会社の株主で、更にその会社の取締役をやっていたとします。しかし、この会社は不況のあおりを受けて、B社からの債務を返済する前に倒産してしまいました。

この場合において、AさんがB社から直接債務を取り立てられないというのが間接責任となります。

Aさんは株式会社の株主ですので出資金をあきらめるだけで責任を果たした事になるのですね。(これを有限責任と言います。株式会社の場合有限間接責任なのですね。)

なお、こういったケースでB社から直接債務を取り立てられるような形態を直接責任と言います。もし仮にAさんの会社が株式会社ではなく合名会社だったりした場合、B社への負債はすべて弁済しなければなりませんし、(無限責任と言います)直接的にB社から取り立てられることになります。(これを直接無限責任と言います。) 

■間接責任のメリットとデメリット

間接責任は有限責任制度と合わせて投資家のリスクを出資額に限定することに役立ちます。その結果によって株式会社制度の基盤となっています。

株式会社制度によって資金調達が円滑になるのでとても効果的な発明だったりするのです。例えば、1万の出資をしたばあい、間接責任+有限責任であれば出資の1万円を放棄するだけで責任を果たしたことになります。

と、説明がどうしても間接責任+有限責任になってしまっているのは理由があります。理屈で言えば、以下のように間接責任、直接責任という軸と有限責任、無限責任という軸の4パターンが考えられます。

責任のとりかた\責任範囲 有限責任 無限責任
直接責任 直接有限責任
(ほぼ存在しない/契約上の特約例のみ)
直接無限責任
(合名会社の社員、合資会社の無限責任社員など)
間接責任 間接有限責任
(株式会社の株主、合同会社の社員など)
★今回の記事です
間接無限責任
(実務上は存在しないと考えられる。)

頭の体操として、4つの事例は考えることはできるのですが、実務的には直接無限責任と、間接有限責任が制度的には使われているのです。

法務・支援施策
2014年12月9日

変態設立事項 | 通常の会社設立ではない方法です

変態設立事項
変態設立事項とは、株式会社の財産に大きく影響を与えるような設立事項のことを言います。

例えば、現物出資として、土地や棚卸資産が出資されるような場合。また、会社が設立される事を条件として財産を譲り受ける契約をする。発起人が報酬を受けたり設立費用について特別の定めがあるような場合がこの変態設立事項に当たります。定款に書いておく必要がありますが、このようなことも可能なのですね。

通常、株式会社が設立される場合、現金で出資されるため、出資金が500万円と言われれば500万円であると考えることができるのですが、変態設立事項の場合本当に出資されたお金があるかどうかが不明となるのです。

というのは、棚卸資産500万円分ですよと言われても、それが本当に500万円の価値があるかどうかわかりませんし、会社が設立されても本当に財産を譲り受けることが出来るかどうか分からないからです。

このような、変態設立事項を何の制限なく認めてしまうと、金銭で出資した株主と不公平になってしまいます。

極端な例を出すと、あなたが500万円出資した会社に対して、別の出資者が売り物にもならないような腐ったアンパンを「500万円分出資します」などと言って現物出資し、あなたと同じ権利を主張したらどうでしょうか?

明らかに不公平ですよね?

このような不公平が生じないように、変態設立事項については検査役の選任を裁判所に申し立てる必要が出てくるのです。

必ず検査役が必要なの?

とはいえ、専門家の証明を受けていたり、少額の場合はこのような手続きをする必要がないとされています。

具体的には、財産の価額が500万円を超えない時や、市場性のある有価証券で出資されていて、その時価を超えない金額であるとされた場合です。

また、弁護士さんや公認会計士、税理士さんのいずれか(不動産の場合不動産鑑定士さん)の証明を受けた場合にも検査役の証明は不要となります。
法務・支援施策
2014年11月25日

合同会社 | 株式会社に比べて自由度の高い会社形態です

合同会社
合同会社(LLC)とは、合資会社合名会社といった持分会社の種類の一つで、有限責任社員だけで構成される会社のことを言います。(ここでいう社員は従業員ではなく、出資者といったイメージです。)

この種の会社以外に、現行の制度では株式会社の設立が認められています。

さて、この合同会社は持分会社でありながら、合資会社や合名会社のように無限責任社員を置かなくても良いといった特徴があります。

また、株式会社は株主が会社を所有し、経営陣(取締役執行役)が会社を経営するといった風に所有と経営が分離しています。(もちろん、オーナー社長といった場合も多いのですが。)

しかし、合同会社のような持分会社は、少人数の者が共同して事業を営む際に便利な企業形態として制度がつくられているため、原則として所有と経営は分離されていません。

そのため、この合同会社では出資者である社員がそのまま業務を執行するとされています。つまり、出資者が経営をするという風に決められているんですね。
  • 定款で会社の運営を決めます
株式会社においても定款は非常に大きな位置を占めますが、合同会社は定款がすべてと言っても過言ではありません。

すなわち、株式会社では出資した比率がそのまま発言権の強さや利益の配分比率につながりますが、合同会社では自由に設計することができるのです。

例えば、貴重なノウハウを持っている人とお金を出す人。実際の事業運営に当たっては貢献度が半々であると思われるようなケースであっても、株式会社では出資者(お金を出す人)の方が多くの利益配分を受ける権利を持つことになります。

しかし、合同会社では定款で決めることによって、それらの比率を調整することができるのです。

また、定款の作成や変更は全社員が一致して決める必要がある為、後から沢山出資した人が「やっぱり利益配分は…」と言っても、ノウハウを持っている人の側が拒否することができるのです。

このように、定款で会社の運営を決められる点が合同会社の大きな特徴となっているのです。

■合同会社のデメリットと注意点

合同会社は耳痛に決められる事が多い会社ですが、何でもできるわけではありません。

柔軟で低コストで運営できるのが強みですが、外部からの資金調達面や信用面では不利になったりします。

株式を発行できないため、増資による資金調達ができないといった制約があります。

また実務的な問題としては、合同会社が気軽に設立できるがゆえにイマイチ信用度が高まらないと言った傾向があります。(これは感じ方ですが、人がどう感じるかって意外と重要な点です)

さらに全社員一致の法則(出資者が一致する必要がある)といったルールが有るため、意見が対立した際には意思決定が停滞する危険性もあります。(このあたりが、イマイチ信用度が高まらない理由です)

原則として出資額にかかわらず議決権は同じですから、意見が対立したら何も決められずに時間だけが過ぎていくと言った状況に陥る可能性もあるのです。

関連用語・責任形態について
直接責任
間接責任
 
法務・支援施策
2014年6月6日

質権 | 手元にあるから、とりっぱぐれがないのです

質権
質権とは、債権の担保として債務者の品物を手許に置き、もし弁済されない場合に、この品物を使って優先的に弁済を受ける事ができる担保物件のことを言います。

はい、何のことを言っているのか、よく分からないですね。(経営マンガの中の人も法律を勉強した際、こういった難解な言葉遣いに苦労させられました。)

そこで思い切って単純化して説明をしてみます。

例えば、AさんがBさんに10万円を貸したとします。Bさんは少しお金を返すのが苦手な人だった場合、Aさんとしては本当にお金を返してくれるかちょっと不安ですよね?

そのため、Aさんは、Bさんがちゃんとお金を返してくれるまで、Bさんから時計を預かったとします。

このような時に、Aさんは質権という権利に基づいてBさんから時計を預かっているというわけなのです。そして、Bさんに対して「ちゃんと返してくれないと時計を処分してお金を回収するよ」という無言の圧力を加えて返済を促しているのです。
  • 他の人よりも優先されます
さて、この質権はモノを実際に占有する(つまり手元に置いておくという事です)という特徴のほかに、もう一つの特徴があります。

それは、債務が弁済されないとき(お金が返ってこない時)にはその手元に置いてあるモノから優先的に弁済を受けることができるという事です。

はい、また何を言っているか分からない説明ですね。そこで、こちらも単純化した例で説明してみます。

先ほどのAさんはBさんから結局お金を返してもらえませんでした。しかも、BさんはCさんから90万円の借金をしている事が判明しました。

AさんがBさんから時計をあずかっていない場合、Bさんからは全額が返ってこない可能性があります。Bさんが10万円持っていたとしても、それをAさんだけに返すわけにはいきませんよね。

でも、Aさんは時計を預かっているので、その時計を処分したお金で自分の貸しているお金を優先して回収していいのです。
法務・支援施策
2013年10月28日

債務免除 | 債務を免除する側も慈善事業ではないので利点を計算しています 

債務免除
債務免除とは、債権者側が債務を免除する旨の意思表示を行い、債務を一方的に消滅させる行為のことを言います。

債権を持っている側からすると、債権放棄に当たります。

債務免除ですから、債務を免除される側にとってはいいことであるという事ができると思います。

例えば、あなたの借りている住宅ローンや車のローンを、銀行側から急に「債務を免除しますので今後支払わなくて結構です」なんて言ってきたら、かなりうれしいですよね。(ブラックリストうんぬんは抜きにしてですよ。)

このように、債務を免除される側からすればかなりうれしい事なのです。
  • 慈善事業なの?
さて、債務を免除される側はそれでいいかもしれませんが、ワザワザ債務を免除する方はどうしてそのようなことをするのでしょうか?

企業の社会的責任(CSR)というやつで、債務に苦しんでいる企業や人を救いたいといった感じでしょうか?

いえいえ、別に慈善事業をやっているわけではないので、何のメリットもないのに債務を免除するような事は無いハズです。というか、経営陣が株主に無断で勝手にそんなことをしたら問題ですからね。(こういうのをエージェンシー問題と言います。)

その為、債務を免除するという行動にも冷静な計算が働いているのです。
  • 債務を免除する理由
まず一つ考えられる理由は、どうやっても回収する見込みがないような債権であるという事です。

「でも、いつか返してもらえるかもしれないから、債務免除などせず、債権を持っておけば?」と考える人もいるかもしれませんが、それは損になることがあります。それに、そういう意思決定の仕方はサンクコストに囚われた意思決定であるかもしれないのです。

例えば、100万円の債務免除を行い、それが損金として認められれば、100万円×税率分の節税につながります。

回収できない債権を放棄(債務免除)した場合、それを損金とする余地があるという事ですね。(場合によっては寄付金扱いされて、損金にならないというケースもありますが。)
 
次に、債務を免除した方が回収可能額が増えるというケースがあります。

例えば、あなたは、100万円の債権を持っているとします。でもそれを無理に取り立てようとしたら、確実に取引先は倒産し、どんなに多く見積もっても、5万円しか回収できないとします。

でも、50万円分の債務を免除すれば取引先の倒産は避けられ、50万円の回収ができるとします。

そういった場合なら、債務を免除する方が得になりますよね。

こういった風に債務免除をする側にとっても一方的なマイナスだけではないのです。
法務・支援施策
2013年10月25日

定款 | 組織の基本的なルールを書いておく、いわば組織のルールブックです

定款
定款とは、会社や様々な社団法人といった組織の基本的なルールのことを言い、組織の目的とか、組織の名前といった非常に重要な事項がこの定款の中で定められます。(定款は『ていかん』と読みます。)

そして、非常に重要な事項が定められるものであるため、定款の変更には社団法人であっても、財団法人であっても通常よりも重い要件が必要となってきます。

例えば、株式会社の定款の変更には株主総会での特別決議が必要であるように、そう簡単に変更することができないのです。
  • どんな内容でもいいの?
さて、定款には組織における重要な事項が定められるものですから、「何の決まりもなく自由に作っていいよ」という風にはいきません。

そのため、法律では『絶対に』定款に記載しておかなければならない事項といった事も定められています。

逆にいうと、絶対に定款に記載しておかなければならないことが書いていないような定款は(絶対記載事項が無い定款は)無効となります。

例えば、組織の名称(商号)は絶対記載事項ですので、名称(商号)が記載されていないような定款は、定款自体が無効というわけです。

また、「書いても書かなくてもいいよ」といった相対的記載事項というものも定められていて、こちらは書いていなかったら効果を発揮しないといったモノです。

例えば、株式会社における取締役の任期についての事項といった決まりがこの相対的記載事項となります。(これを利用して買収防衛策とする場合もあります。参考:期差任期制度

関連用語
変態設立事項
法務・支援施策
2013年10月11日

市場化テスト | 公共財を民間の力を活用して提供するのです

市場化テスト
市場化テストとは、公共財の提供を従来の行政だけではなく、競争原理を取り入れるため、民間業者と競争をさせて、品質面・コスト面で優れている方が提供するという仕組みのことを言います。

「競争がない状況では、どうしても現状に甘えてしまい、高コスト低品質のモノしか提供されない。そのため、競争原理を取り入れる」といった発想の方策です。

とはいえ、公共財はその性質上、市場に任せて置いたら供給されないか、供給されたとしても著しく量が少ないといったケースが多くなります。

(みんなが同時に使えるような『道』とか『街灯』といったような財なので、供給するのはいいのですが、お金の回収が困難なんですね。)
  • 民間に供給の責任を任せるわけではありません。
さて、公共財については上記のように完全に民間に任せていたら、供給量が著しく少なくなってしまうといったモノです。

その為、市場化テストと言っても供給の責任まで民間に任せるわけではありません。

あくまで供給の責任は官(行政等)が負っていて、その供給の仕方に民間との競争原理を持ち込もうという発想なのです。

例えば、公民館の窓口業務を民間との競争の結果、より安いコストを提案してきた○○社に任せます、といった事なのですね。

■市場化テストのメリットと課題

市場化テストには良いところと、微妙なところの両方があります。

まず、良いところとしては、市場原理に任せることで競争原理が働き、「より安く」「より早く」サービスを提供することができる可能性があるというところです。

道の清掃などを民間事業者に任せることで、より効率高く、より品質よく業務を行えると言ったことが発生するのです。

他方で、コスト削減要求が行き過ぎれば当然のように品質が下がります。QCDの議論を持ち出すまでもなく、安くすれば時間がかかるか、品質が悪くなるというのが一般的な原則になります。

そして、品質などをしっかりと判定できないならばコストを削減要求は再現なく強まります。その結果、しっかりした事業者への外注ではなく、最低の品質の業者への外注となってしまう可能性があります。

このやすければ良いと言うのは結構な罠で、地方の行政機関等は地域最大の需要家であるケースも多くあるのですが、そこが安ければ良いといった購買行動をしてしまうと、その地域には最低の品質のサービスを提供する事業所しか残らなくなってしまう危険性すらあるのです。(どうして残るかと言うと、他の地域に進出できるだけの品質も維持できない事業者になってしまいがちだからです。)

法務・支援施策
2013年10月8日

エンジェル | 個人投資家の力で経済を活性化させるのです!

エンジェル
エンジェルとは、創業まもないなベンチャー企業に対して自らの資金を投入したり、経営への助言を行うような個人投資家の事を言います。

創業間もないベンチャー企業は特に信用力や経営のノウハウといった経営資源に乏しいため、こういったエンジェルの存在は非常に貴重なものとなります。

例えば、信用力に乏しいため「うーん、オタクにはお金を貸すことはできませんね…」といった感じで負債(他人資本)を利用できないような企業にとって、「君の事業に投資するよ!」といった感じの個人投資家の存在はありがたいものだと思います。

このような、個人投資家が多くなれば、創業も増え経済も活性化するというと考えられます。

そのため、多くの国ではエンジェルに対して税制上の優遇措置を設けています。優遇税制をワザワザ作るくらいですから、非常に大切なものであると考えられているのですね。

■エンジェル投資家のメリットとリスク

エンジェル投資家は企業の成長とともに株式の大きな評価益が得られることや社会的意義のあるスタートアップを支援することができることです。

そのため、応援したいという気持ちが重要になるのですね。

また、エンジェル投資家自体の自己実現(知識や人脈を活かして若い企業を支援する)やネットワーク拡大にも繋がります(「あの事業を支援していたのは〇〇さんなんですね」といった評判の確立)ので、お金以外・お金以上のものも得られるのです。

他方で、リスクとしては「海のものとも山のものとも知れない」事業に投資するわけですからリスクがとても高くなります。ベンチャーキャピタルの投資案件になるような大きな案件(多数の人が関わっているわけではない)でないことも多く、リスク許容度が非常に高く無いとなかなか難しい分野です。

■エンジェル投資家から投資を受けるメリットと注意点

エンジェル投資家からの投資を受ければ、何よりも返済の必要がないお金が手に入ります。これは事業を進めるうえで大きなアドバンテージとなってきます。

また、投資家は自分の投資をちゃんと回収したいという意向を持っていますから取引先を紹介してくれたり様座ざまな事業面でのアドバイスをくれます。通常はアプローチすることが難しいような企業やキーパーソンにアクセスすることができるとうのは非常に大きな利点となります。

さらに、企業が成長しはじめた段階で、企業の管理をすることができる人を連れてきてくれたりします。

■管理者を連れてこられることのリスク

エンジェル投資は創業初期での数百万円から数千万円規模の投資が多いです。この段階で株式の過半数を渡さないといけないような投資を受けないようにするのが肝心です。

数百万円の投資を受けて、株式の過半数を渡す必要があるならば、そのような投資を受けることはあまりお薦めはできません。

また、仮にそうする必要がどうしてもあるならば、契約で経営権を奪われないようにすることや、複数の投資家を受け入れて誰か一人の議決権が過半数を占めることが内容に注意する必要があります。

エクイティファイナンス(資本でお金を調達すること)は返さなくていいお金を調達できるのではなく、返せないお金を受け入れる(手を切れないお金)を調達することなのですから。

■エンジェルとベンチャーキャピタル

エンジェル投資家とベンチャーキャピタル(VC)はどちらも出資をしてくれる人です。

しかし、目的や出資規模、意思決定速度に違いがあります。

エンジェルは自らの資金を投じる人になります。投資額は100万円単位から大きくて数千万単位となることが多く、経営者との信頼関係、事業の理念などを重視します。

これに対してベンチャーキャピタル(VC)は事業として投資するイメージになりますので数千万円から時として数億円単位の投資を行います。

そして、事業ですので、出口(EXITといいます)として最終的な投資資金+利益の回収を目的としています。

どちらがいいかは事業の目的次第ですが、株式上場などをゴールとして想定しているならば、ベンチャーキャピタル(VC)からの出資も視野に入ってくるでしょう。
法務・支援施策
2013年9月22日

社外取締役 | 社内事情に詳しくない人を取締役にすることに意味があるのです

社外取締役
社外取締役とは、取締役のうち現在や過去において、当該企業やその子会社で働いていない人(役員さんとかでもない人)のことを言います。

会社法的には『社外取締役(しゃがいとりしまりやく)とは、株式会社の取締役であって、現在及び過去において、当該株式会社またはその子会社の代表取締役・業務執行取締役もしくは執行役または支配人その他の使用人ではないものをいう(会社法2条15号)』と定義されています。

なんだか難しげな話ですが、簡単に言うと、企業の外部から来た人が取締役をやるので『社外』取締役という事です。
  • 『社内』から来た取締役
さて、どうしてワザワザ『社外取締役』などという用語があるのでしょうか?

それは、取締役には社内の人材を活用するケースが多いからです。社内の人材であれば、社内事情に通じていますし、社内に蓄積されたノウハウを使う事もカンタンにできます。

また、従業員が役員になって経営に関与できるという事は年功序列の究極の姿ですし、「自分もいつか役員になってこの会社を変えてやる!」なんて希望があると、企業で長年一生懸命働く強烈なインセンティブにもなりえます。
  • 『社内』取締役のデメリットと『社外』取締役のメリット
さて、このように色々なメリットがある『社内』取締役ですが、逆に言うと、企業内部からの人材であるという事がマイナスに働くこともあります。

例えば、客観的にみると、どうやっても復活するような余地がない部署であっても、「あそこの部署は不採算部署だけど、お世話になった人たちも多いし、あの人たちなら何とか立て直せるだろう(希望)」といった意思決定がなされる可能性があります。

そして、『社外』取締役ならこういった『しがらみ』は少ないと考えられるため、より客観的な意思決定が行われる可能性が高いのです。

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