まんがで気軽に経済用語

「知らないから動けない」をなくしたい。 中小企業診断士が、現場視点で経営用語をまんがでわかりやすく解説しています。 読むことで、生産性が上がり、心に余裕が生まれ、社会全体がちょっと良くなる。そんな循環を目指しています。

経営

経営
2018年12月25日

タイムマシン経営 | 時間をさかのぼるというビジネスの必勝法があります

タイムマシン経営
タイムマシン経営とは、遠隔地で成功したビジネスモデルを地元に持ち込んでくるといった経営手法のことを言います。

既に成功している先進的な事例を持ち込むわけですから、圧倒的に有利な状況を構築できるというわけです。

一昔前では地方都市に東京で流行っているビジネスモデルを持ち込んで設けたといった話を聴くケースも多かったですし、ちょっと前にはアメリカで流行っている先進的なWebサービスを日本国内にローカライズして持ち込むといった事が盛んにおこなわれていました。

このことを指してソフトバンクの孫正義社長はタイムマシンで未来からやってきて商売をするようなモノだとして、タイムマシン経営と読んでいるのです。

■時差はまだ存在している

近年ではWebサービスの分野で『時差』は縮小していると言われています。

アメリカで流行っているサービスを国内に持ち込むといったビジネスモデルは言葉の壁という参入障壁があったため強力に機能していた時代がありました。

しかし、クラウドソーシングでの翻訳サービスや技術革新による機械翻訳精度の向上などで言葉の壁がだんだん取り払われてきている今日においては、「そんなに日本で流行るなら、自分たちも日本に進出してみるか」といった意思決定が比較的簡単にできるようになったため、この種の分野でのタイムマシン経営は成り立ちにくくなってきていると言われています。

しかし、この種のビジネスの必勝法は未だ輝きを失っていません。

日本のビジネスモデルを新興国に持ち込むとか、都会のビジネスモデルを地方に持ち込むといった手段はいまだに健在です。また、人口減に直面した地方でうまく行くビジネスモデルがあればそれは都市部における未来の姿なので、地方のビジネスモデルを都市部に導入するといったタイムマシン経営も成り立つはずです。
  • どんなタイムマシンがあるの
さて、通常考えつくタイムマシンはアメリカなどや都会で上手くいったことを日本や地方にもちこむといった方法でしょう。

しかし、逆もあり得ます。よく課題先進国などと言いますが、あれは別に強がって言っている訳ではありません。課題が先んじて明確となっており、その解決策を試したことがあればそれもタイムマシンとなります。

例えば、高齢化がとても進んだ地域の対応策は、都会にとってはタイムマシンとなり得ます。

また、外国人労働者の受け入れを拡大すると政府の方針が示されていますので、すでに外国人の方がたくさん住んでいる地域は課題の先進地域です。

その地域で、外国人の方が日本に住むにあたって困ることを解決できているのならば、そのノウハウは極めて有益なビジネスチャンスを生み出すと考えることができます。これもタイムマシンとなり得ます。

このほかにも、あなたの生まれ育った街では当たり前だったことが、都会や地方としてこれから発生するようであれば、そのビジネスモデルはタイムマシンとなります。

あなたならではのタイムマシンをぜひ見つけてみてください。
 
経営
2018年12月25日

カーブアウト

カーブアウト_001
カーブアウトとは、自社の事業やコアとなる技術を切り出して、外部からの経営資源の提供を受けたうえで、ベンチャー企業を立ち上げる戦略の事です。英語ではcarveoutと表記します。

このカーブアウトとよく似た言葉にスピンオフという言葉がありますが、スピンオフは外部の経営資源を利用しない、カーブアウトの場合は外部の経営資源を利用するといった違いがあります。

単純にスピンオフする場合と比較して、外部の経営資源を利用するため成長が加速される(事を目指す)といった狙いがあるのですね。
  • スピンオフと同じメリット
さて、ではなぜワザワザ分社化する必要があるのでしょうか?「どうせ出資するなら、最初から自社の内部で事業を行えば、規模の経済範囲の経済が働くからもっと効率がよいのでは?」といった考え方もありうると思います。

でも、大きな企業ではなかなか迅速な意思決定ができないという欠点があります。大きな船は、なかなか方向転換が難しいのです。(参照:規模の不経済

この点、小さな企業は、意思決定を素早く行えることができるため、効率的に新事業を行っていくことができるのです。
  • スピンオフにはないメリット
カーブアウトは、親会社以外から経営資源を提供してもらえるため、親会社の影響力を抑えることができます。その為、スピンオフよりも機動的に経営を行う事ができるのです。(会社を立ち上げた人にとってもうれしい事ですよね。)

また、親会社側も自社だけで支援するよりも、素早く、低コストでベンチャー企業を育成することができるといったメリットがあります。

関連用語
スピンアウト  

  • 非主流の技術や組織が活きる
選択と集中という言葉があるとおり、企業は自らの強みに着目して経営を行った方が企業価値を高めることができる傾向があります。


しかし、そうなってくるとせっかく培ってきた本流の強み以外の強みをどうするかといった問題が生じます。

そのような際に、カーブアウトという手法を用い自社から出資を行い別会社として企業を立ち上げるといった方策を取ることができます。

非主流の技術・組織に所属している人たちにとっても、無理に自社にとどまり続けるよりも、思い切った投資などを行って機動的に経営を行う方が企業価値が高まる可能性が出てきます。

さらに、企業外部からも投資や人材の受け入れを行うことで成長が加速することが見込めるのです。
  • 元の企業にとっても良いことがある
このようなカーブアウトで切り離した企業が大きくなれば元の企業にとっても大きな収益を得る可能性が出てきます。

そのまま企業を保有してその果実を得続けてもいいですし、株式を売却するといった方法も考えることができます。

また、事業ポートフォリオの最適化にもつながりますので長期的に見て企業価値を高めることにもつながります。
この背景には、製品ライフサイクル(プロダクトライフサイクル)の短縮化などが上げられます。

せっかく開発した製品であっても、従来よりも安定して稼ぐことができる期間が短くなっているため、有望な新技術は非主流であるといっても素早く製品化して投資を回収していく必要があります。

そのためには、比較的身軽な組織にして、大胆な投資の意思決定などが求められるのですが、親会社にとどまったままではなかなか大胆な方策をとることが難しくなります。

その点、別会社としてしまえば、自らの裁量で大胆に投資の意思決定を行うこともできるためスピード感のある経営をすることが可能です。また、企業外部から経営資源を調達することにもつながりますので、単に自社から切り離したというよりも素早い成長が見込めるのです。
  • とはいえ
と、とても良い方策のように思えますが、当然デメリットがあります。

このマンガのように、働いている人にとっては強制的に親会社から切り離されてしまうように感じる場合があります。出向ならまだしも、転籍となるとその企業で働く魅力を感じなくなってしまい、離職につながる危険性もあります。

誰もが挑戦と成長を望んでいるわけではなく、仕事の安定は職業選択にあたってとても大きな要素ですので、しっかりと対象となる従業員の意見を聞く必要があります。

また、外部から経営資源を調達するということは、外部へ自社のノウハウが流出すること表裏一体です。そのあたりにも注意して運用する必要があるでしょう。
経営
2018年12月25日

金融持株会社 | 金融関係の持株会社には特別な名前がついています

金融持株会社
金融持株会社とは純粋持株会社の中で、子会社が金融事業を行っている企業のことを指す言葉です。この種の持株会社は純粋持株会社が我が国で解禁された後もしばらくは禁止されていました。

このような持株会社の形態は現在は解禁されていますが、2015年現在、金融持株会社は一定の業種しか企業を支配することは認められていません。

そのため、金融持株会社である○○銀行ホールディングスといった企業が、一般の○△製麺や○×自動車を傘下に置くことは認められていないのです。

■証券会社や保険会社等を傘下に収める金融グループ

そのため、現在の金融持株会社は、証券会社や保険会社(損害保険会社や生命保険会社)等を傘下に収めている金融グループの親会社となっています。

このように色々な制度の中運用されている会社形態なのですね。

なお、持株会社についてはマンガに埋め込んだ通り、下図のように整理することができます。

 持株会社体系図

持株会社は、事業持株会社と純粋持株会社に分類され(持株会社自体が事業を営んでいるか否かの分類なので必ず二分されます、純粋持株会社の中で特に子会社が金融事業を営んでいる場合、金融持株会社となります。)
  • 目的は
持ち株会社が設立される目的は、グループ内の他社を支配することを目的としています。そして、子会社が金融事業を行っている企業を金融持ち株会社といい、銀行業と証券業の相互参入を目的として考えられていました。

銀行業等の金融業は、ほかの業態への進出が禁じられており、例えば銀行が証券業を営むなどはできません。

とはいえ、銀行と証券、保険業などはとても親和性が高く国際的な競争を考えた際には金融グループを構築するほうが効率が良く経営を行うことができます。そのため、金融持ち株会社の設立が認められるまでは、特定の企業(例えば銀行など)が母体となって、子会社として証券会社や保険会社を設立していました。

しかし、親子会社の関係があると、利益相反の恐れもありますし、効率的な経営が難しくなると言った問題も生じていました。親子会社の関係というのは働く人にとってはやはり難しく、例えば子会社の方が業績が良くとも、子会社の待遇の方を良くするなどを行うのは難しかったりします。

それだけでなく、親子会社形式の場合は、親会社の経営悪化が子会社側に波及するなどの問題や、親子会社が上場すると少数株主の利益が侵害される恐れや、親子会社間での利益相反の恐れも生じます。

このような難しい問題を避けるため、金融持ち株会社を便宜的に親会社として、そこに銀行業や証券業、保険業をぶら下げるといった方法をとって効率的な経営をすることを狙いとしています。
 
経営
2018年12月24日

規模の経済

kibo_001
規模の経済とは同じ製品や事業では、生産量や営業量の大きい方が、単位当たりのコストが低くなる事を言います。但し、一概に規模が大きければよいという物ではなく、規模が大きくなりすぎると規模の不経済が生じるとされています。

これに似た概念としてこちらの経験曲線という考え方があります。こちらは累積生産量と単位当たりのコストに着目しているのに対し、規模の経済は一定時点での生産規模と単位当たりのコストに着目しています。また、規模の不経済は経験曲線の考え方では生じないとされています。

さて、なぜ規模の経済という現象が生じるかといいますと、

1.製品単位当たりの固定費が薄まるため。
 機械等の減価償却は一つ作ってもたくさん作っても同じであるため、たくさん作った方が製品単位当たりで負担すべき固定費が少なくなります。

2.効率的な生産規模が存在するため。
 鉄鋼業の高炉など、ある設備を導入すれば単位当たりのコストを下げられるような設備が存在しますが、小さな規模の企業では導入が難しい設備があるケースがあります。
 身近な所では学校などに置いてある輪転機でプリントを印刷するととても効率的に印刷できるのですが、コピー機だと同じプリントでも時間がかかる(人件費というコストの発生)ようなケースです。

3.労働力の専門化
 規模拡大によって、投入される労働が専門化され能率が向上する。専門的な仕事をする方が効率は上がるというケースです。

というような要因が考えられます。

さて、まんがでも指摘しているように、カスタネットのように小学校に入学する新一年生がみんな買うような楽器と、クラベス(拍子木みたいな楽器です)では一般的にはカスタネットの方が安い(もちろん高級品も存在ますが)というような現象が生じます。 

関連用語
範囲の経済

経営どうが「規模の経済
  • 中小企業においての規模の経済とは
さて、中小企業において規模の経済をガンガン活かした戦略の策定は基本的には難しいとされています。

これは、経営資源が相対的に乏しい中小企業が大企業を相手にして規模の経済性を発揮できるかといったことを考えて見れば納得できると思います。

しかし、規模の経済とは、たくさん作ればその分固定費が薄まって効率が良くなるといったのが基本的なコンセプトですので中小企業でも、小規模事業者でもその考え方を活用することができます。

例えば、工場の稼働に余裕があるならば、多少安くとも受注してしまうという意思決定の背景にも規模の経済の考え方があります。

具体的には、貢献利益がマイナスにならない限り安くしても受注すべきと言うのが規模の経済を活用した考え方となります。そして、工場長や、会計担当者は数字としては多少安屈してでも受注した方がいいといった考えを述べることとなります。

一方、経営全体を見た際には、価格を引き下げてでも受注すべきかどうかは既存の顧客とからの値引き要請の危険性、工場の稼働率向上による将来のよりよい条件での取引受注可能性の放棄(100個しか作れない工場で90個作ってしまっている場合、追加の受注をすることができません)など、決断が必要な問題でもあります。

この規模の経済の追求を図で示したのがスケールカーブとなります。どのように規模の経済が効いてくるかを明示することが出来たりしますので、考える際に参考になります。
経営
2018年12月24日

経験曲線

keikenkyokusen_001
経験曲線とは、累計生産量の増加とともに製品一単位当たりのコストが逓減(ていげん:次第に減る)するという経験則です。

BCGは、製造コストばかりでなく、管理、販売、マーケティングなども含んだ総コストにもこの現象が当てはまり、1つの製品の累積生産量が2倍になるにつれ、総コストが一定のしかも予測可能な率で低減する事を実証研究によって発見している。それによると、累積生産量が倍増するごとに、総コストは20%から30%ぐらいずつ下がっていくという事が明らかにされている。
(注)

これは、まんがにあるように、

1.習熟効果
 習熟によって労働者の能率が向上します。

2.職務の専門化
 職務が専門化され、作業方法が改善される事によって能率が向上します。

3.生産設備の能率向上
 当初の生産設備から改善が行われ能率が向上します。

4.標準化
 製品が標準化されていく事によって能率が向上します。

などの要因が複合しこのような経験曲線効果が得られるのです。

そして、この経験曲線効果からから導かれるシナリオは、

低価格で需要を喚起

競争相手に対して相対的シェアを高める

累積生産量の差を拡大

費用面での優位性拡大

高い利益の獲得

という事になります。

もうひとつ製品ライフ・サイクル理論と合わせてPPMという理論が導かれるのですが、こちらは後日解説いたします。また、このような効果があるため、先発優位という考え方が存在するのです。

(注)大月博司・高橋正泰・山口善昭(2001).経営学―理論と体系― 同文館

  • 経験曲線効果の活用

さて、この経験曲線ですが中小企業の経営に具体的にどのように役立つのでしょうか?経験曲線効果を享受するために、低価格にして素早く累積生産量を増やすと行った戦略を実行すれば良いのでしょうか?


ここでYesと考えた方は少し立ち止まって考えてみてください。一般的に経営資源が相対的に乏しい中小企業は安売りをすることはセオリー違反であるとされています。


それがなぜかというと、一度下げた価格を上げることは実務上とても難しく、安易な値下げは文字通り命取りになりかねないからです。


また、仮に先行して生産を行い、経験曲線効果で優位性を確立していても、大企業が規模の経済を活用して一気に製造をするとコスト優位性が消失してしまいます。


そのため、経験曲線効果だけを見越して新製品を安く販売するといった行動はあまりおすすめできないのです。

  • 条件を見極める

しかし、競争相手が同規模の企業であれば十分に経験曲線効果を享受することが可能です。


また、中小企業であれば採算が合うが、大企業が容易に参入してこない分野といったものも存在しています。


例えば、極めてニッチで市場規模が数億円程度の分野には、大企業はなかなか参入することが難しいということができます。


このような分野では競合よりも市場シェアを大きく確保し、累積生産量を伸ばしていき、経験曲線効果を享受しながらコスト優位性を確立していくことが重要になります。

  • 逆に

このことは逆に、すでに圧倒的なシェアを確立している競争相手がある分野への新規参入が難しいことも示唆します。


同様の規模の競争相手の場合、活用できる経営資源にも大差がないため、その競争相手が存在している分野では、経験曲線効果が決定的に重要である可能性があります。


技術的に参入可能であったとしても、競合企業は相当な累積生産量を誇っており、新規参入の自社では太刀打ちができないぐらいの低コストで生産をしているかもしれません。


競争相手にとって自社が脅威だとみなされた場合は、自社が新規参入した途端に大幅に価格を引き下げてきて全く採算が合わない状態にされる可能性すら存在しています。


そのため、もし競合企業がすでに存在している分野に新規参入をする場合は、真っ向から対抗するのではなく、別の価値を顧客に提案するなどの工夫が必要となるのです。

経営
2018年12月23日

カウンターパーティー

カウンターパーティー_001
カウンターパーティーとは、相対で取引を行う場合の相手方(特に金融取引の相手方)のことを言います。(この相対(「あいたい」と読みます)で取引を行うとは、金融市場を通さずに直接やり取りをするという意味です。)

通常、取引を行おうと思っても相手がいないと取引は成立しませんよね。この相対取引の相手をカウンターパーティーというのです。

さて、金融市場を通してのやり取りの場合、契約した取引が相手方の都合で正常に完了しないという事を、気にする必要はあまりありません。

しかし、相対で取引をしている場合、相手方の都合(決済が終わる前に、相手方が破たんしてしまうとか)で取引が正常に完了しないケースもあり得えるのです。(このようなリスクをカウンターパーティリスクと言います。)
  • 信用できる相手とだけ付き合うのが重要
金融投資をどんなにうまくやったとしても、取引相手側の都合で取引がうまくいかずに損失を被ってしまっては元も子もありません。

その意味で、カウンターパーティーはとても重要であり、相対取引をする場合には業者と直接やりとりをすることになるので、相手方が信用できるかどうかが重要となります。

FX(外国為替証拠金取引)も取引所を通さない場合は、カウンターパーティーについては相手方の業者について本当に信用できる相手なのかを見極める必要が出てきます。
  • 仮想通貨(暗号通貨)においては
仮想通貨(暗号通貨)においてカウンターパーティーという用語が聞かれることがあります。この場合は、取引の相手方という意味ではなく、プラットフォームの名前になります。

このカウンターパーティーというプラットフォームははビットコインのブロックチェーンを利用したものであり、仮想通貨を発行したい人が、自分のトークンを発行できるようになっているという仕組みになります。

そして、ビットコインのブロックチェーンを利用することから、ビットコインの持つ制約もそのまま受け継ぎます。
経営
2018年12月19日

ディストレスト | 破綻に直面していても全く希望がないわけではありません

1_001
ディストレストとは、財務面が芳しくなく、財務危機に陥っている企業の債務のことをいいます。投資する側や取引する側からは、財務危機に陥っている企業の債権であると言うこともできます。

このディストレストは英語表記ではdistressed(困窮などと訳されます)ですから、かなり効きの度合いが強いと考えることができます。

このような企業の債権は、持っていたとしても債務不履行などで返済がされない可能性があり、回収できない危険性があります。

この場合、せっかく債権を持っていても現金化できず損失を受けることとなってしまいます。

そのような場合、ゼロになるぐらいなら少しでも回収できれば良いと、債権を持っている側は考えます。

そのため、投資家としてはかなり安く、バーゲン価格で債権を購入することができるのです。(もちろん、いくら安いバーゲン価格で債権を購入しても破綻してしまったら回収できません。)
  • 積極的に関与する
このままでは(ほぼ)回収できない企業の債権であっても回収する方法があります。

それは、積極的に関与し経営を再建することです。もし仮に経営の再建に成功すればかなりの収益を得ることができます。

しかし、経営の再建は一朝一夕には行きません。そのため、かなり長期間にわたる関与が必要となります。
  • 通常のジャンク債との違い
通常の潰れかけの再建は、ジャンク債あるいはハイイールド債とも呼ばれ一般投資家でも購入するケースがあります。

こちらは、いくら財務面が芳しくないといってもそれなりの確率で債務が履行されますので、多数の企業に投資をすれば平均的に儲けることができます。

例えば、10回の1回は回収できないと考えられていても、平均して儲けることができる利回りで債権を購入するコトができれば投資対象となり得ます。

とはいえ、投資家は収益機会を狙っていますので、非常においしい条件というのはほぼあり得ません。

逆に言えば、このようなジャンク債への投資家であっても投資をすることが難しいディストレストには大きな収益機会がある可能性があります。

■ディストレスト投資と再建

ディストレスト債権への投資は再建が必要なケースが多いため、いわゆる再建ファンドがプレーヤーとなります。

債権を安く買って、経営人の刷新、資産売却、事業再編などを通じ本業に経営資源を集中させるなどを行い、企業価値を向上させます。

上手く行けば、取得した債権は価値が大幅に向上して高いリターンを獲得することができます。ただし、失敗してしまえばどれだけのリソースを注ぎ込んでもゼロになってしまいます。

このようにハイリスク・ハイリターンな投資ですが、単に投資するだけでなく経営改善のためのノウハウや実行力を注ぎ込んで行くことが可能なため、やりがいがあり社会的意義も大きな事業となります。

この意味で、ただの投資家というよりも、再建請負人みたいな立ち位置の人が入り込んでいくのです。

関連用語
DPO(ディスカウントペイオフ)

経営
2018年12月19日

少数株主 | 大株主でも少数株主になることがあります

少数_001
少数株主とは、ある企業の子会社となっている企業の株主のうち、親会社以外の株主のことを言います。とはいえ、1株だけ持っている個人投資家のイメージではなく、ある程度の割合の株式を保有しており、一定の影響力を会社に対して及ぼすことができる株主のことを言います。

株式の過半数は親会社が持っていますので、事実上経営権は持っていませんが、それ以外の権利は(一応)保有しています。

場合によっては数十パーセントの株式を持つ場合もあり、この場合は株主総会の招集件や役員解任の訴えの提起、会社解散の訴えの提起(否決されると考えられますが)など少数株主権を行使することが可能です。

これらの権利を行使するためには一定の株式を保有することが必要となるため、1株だけ持っている株主にはそれらの権利がないのです。
  • とはいえ
とはいえ、1株しか持っていない企業であっても、自益権といって自己の利益を追求する権利は付与されています。


具体的には、配当を受ける権利や会社が解散した際に残った財産の分配を受ける権利です。

このほかにも物言う株主(アクティビスト)として、影響力を行使することも考えられます。

いずれにしても、このトップ画像のように、たとえ49%の株式を押さえていても、親会社がほかにあれば少数株主となってしまうのです。

■少数株主の保護

会社では大株主の意見が強くなります。このことから、少数株主は究極的には大株主に対して劣位になる存在です。

しかし、これをそのままにしていたら、大株主になれないなら誰も株式投資などしなくなってしまい、金融市場の発展が達成できません。

そのため、少数株主には法律上様々な保護が与えられています。例えば、会社のお金の使い方がおかしい、取締役が権利を濫用し正当に会社運営をしていないような場合、株主代表訴訟を行うことが可能です。

この権利は、会社に変わって少数株主が経営陣の不正行為や損害を与える行為に対して訴えることができる制度となります。

また、株式を一定数持っていれば、会社の会計帳簿を閲覧できたり、取締役の解任請求も可能です(可能だけど必ず要求が通るとは限りません)。これらの権利は株主個人にとっても重要ですが、社会全体にとっても企業統治(コーポレートガバナンス)を健全にすることを通じて良い影響を与えると考えられますね。

経営
2018年12月19日

二段階買収 | 過半数を確保してしまえばこちらのモノです

360_001 (2)
二段階買収とは、はじめの買収の段階ですべての株式を買い付けることができなかった時に、再度買収を実施し残りの株式を取得することを言います。

上場企業を対象にした場合には、株式の公開買い付け(TOB)等を実施した後に、すべての株式を取得することを目的に、株式交換等の手法を用いて残りの株式を入手します。

多くの場合、最初の買収の段階でかなりの株式数を入手することができるため、2段階目の買収は最初の買収に応じなかった株主にとってあまり有利でない条件となります。
  • 定款変更と合わせ技で
通常の買収の場合、相手方が売却に応じなければそれまでなのですが、会社の憲法である定款を変更して、残りの株式を取得する方法があります。

このような手法をスクイーズアウトといいますが、二段階買収の場合はこのような手法を用いて残りの株主から株式を取得します。
  • 上場廃止を狙う
ではどうしてすべての株式を取得する必要があるのでしょうか?経営権さえ握れればそれでいいと考える方も多いと思います。

また、株式会社の一つのゴールとして株式市場への上場が上げられます。上場企業はなんと言っても信用が得られるので、事業展開にとって有利に働くケースが多くあります。

しかし、確かに信用も得られますが、外部の株主に対する説明責任が生じたりと経営の自由度は小さくなります。

このようなことを嫌い、経営陣が自社を買収するMBOなどが行われることがあります。一般にオーナー企業の方が経営の自由度は大きくなるため、あえて上場しないという選択肢もあり得るのです。

また、企業を買収した場合も、完全子会社にしないと自由に経営が難しくなりますので少数株主を排除して完全子会社にすることを狙いに、二段階買収をすることもあるのです。

なお、少数株主といっても過半数を占めている親会社以外の株主のことを言うので、場合によっては数十パーセントの株式を持っている場合もあるので注意が必要です。

■二段階買収における株主の立場とは

二段階買収においては最初のTOBに応じなかった少数株主がスクイーズアウトなどの手法で強制的に持ち株を処分させられることがあります。

正当な手続きですから、なかなか文句を言うことが難しいのですが一般的には最初の条件よりも悪くなることが多いです。たとえば初回の条件は一株1000円で買い取りオファーをしてくれたのに、2回目の条件は一株900円だったりします。

これは買収側からするとすでに買収は完了し多数派を占めていることから、残りの株主の追い出しには厳し目な条件を出すことができるという背景に基づきます。

もちろん、規制当局は少数株主の権利保護を重視しますが、1回目のTOBで提案したようなプレミアムをあえて乗せるインセンティブは働かないため、正当な価格が1回目のTOBよりも安くなると言ったことが起こりがちです。

経営
2017年12月12日

ロイヤルティ | (ほぼ)同音異義語ですが、経営用語的には使い分けないといけません

ロイヤルティ

ロイヤルティとは忠誠心のことを言います。そしてこの忠誠心は経営用語的には店舗やブランド、製品などに対して顧客が発揮してくれる忠誠心のことを言います。(なお本稿では2つの意味を解説します。)

忠誠心ですから、このロイヤルティが高ければ多少の価格や品質、納期に差があっても自社の製品を使ってもらうことができるというとてもありがたいものです。

また、このロイヤルティを人事分野で使う場合は、文字通り組織へ対する忠誠心を示す言葉です。

歴史ものを扱っているゲームで忠誠心が高い部下は裏切りにくいといった事を示すあのパラメータをイメージしてもらうと感覚がつかめると思います。

◆あれ、そういう意味だっけ?

このロイヤルティは英語表記ではloyaltyとなります。

なお、フランチャイズ等で本部に支払うロイアルティは、royaltyと表記され、ちょっと行動しやすい言葉になっています。

おそらく、ロイヤルティというとこちらの方が有名かもしれません。本部にロイアルティを支払っている等の言葉を聞いたことがあると思いますので。

これは、日本語ではrとlの区別がないのでほぼ同音になっており、ロイヤルティとロイアルティの表記も便宜的なものです。

そのため、同音異義語と割り切って文脈で区別するぐらいで考えていた方がいいかもしれません。

◆権利の対価の方は
さて、権利の対価で支払う方のロイヤルティは、特許権や商標権などの知的財産権に基づいて支払う形になります。

例えば、特許を実施する権利を与えられた側が、ロイヤルティとして支払う、商標権を使用することを許可された側がロイヤルティとして支払うといったイメージです。

そして、この意味でつかわれるロイヤルティはパテント料とかライセンス料とも言われます。同じような言葉があってややこしいですね。(厳密には異なるのですが、一般的な使い方としては同じような意味で使われています)

◆受け取る側に回るならどちらも高めることが大切
このロイヤルティですが、受ける側であればどちらも高めていくことが大切です。

忠誠心であれば高めることで顧客がほかのお店や製品に流出することが回避できますし、従業員であれば転職してしまう事を防ぐことができます。

また、権利使用料であれば、より価値の高い知的財産権を持ち、より価値の高い使い方をしてもらうことで受け取るロイヤルティを増やすことができます。



経営
2017年11月20日

エスクロー | ワザワザ第三者を間に入れて取引をすることに意義があるのです

4_001 (3)
エスクローとは、売り手と買い手が第三者を入れて安全に決済を行う仕組みのです。

本記事ではエスクローの意味や必要性、ネット取引や不動産売買で使われる理由をわかりやすく説明します。

■エスクローの仕組み

エスクローの仕組みとしては、第三者(主として金融機関)に買い手がお金を預け、売り手が債務を履行するなど条件を満たした場合に、売り手側に買い手側から預かったお金を送金するといった形になります。

この仕組みを使うことで、代金未払や商品未着、詐欺などのリスクを減らすことができます。

もちろん、エスクロー業者となる第三者は金融機関だけでなく、民間の事業者がこのようなサービスを実施する事も可能です。

と、わざわざ第三者を介して決済をするなんて、手数料も余計に取られそうですし、その第三者が信用できるかどうかの調査も必要になって来そうです。そのため、そんな面倒なことをせずに当事者同士で決済をしてしまえばいいと思いませんか?

しかし、この第三者を通すという事が冒頭でふれたように詐欺防止などに生きてくる局面もあるのです。

■エスクローは取引相手が信用できない場合に生きてくる

信用できない相手となんて取引をしなければいいじゃないかというツッコミが聞こえてきそうですが、相対的に信用できない相手との取引というのは存在します。(参考:カウンターパーティーリスク

例えば、売り手の立場からすると、取引先へ対して納品したものの、相手が支払う前に倒産してしまうリスクがあります。

また、買い手の立場からすると、取引先から求められて支払ったものの、相手が納品前に倒産してしまう危険性があります。

これらの取引については、与信管理を徹底的にやるといった対応策がないわけではないのですが、どうしても限界があります。また、そのほかにも、取引の性質上そもそも相手を特的できないといったケースもあり得ます。

■プラットフォーム運用者がエスクロー業者となるケースも多いです

例えば、ネット上などでのCtoC取引取引の場合、相手が信用できる人なのかそもそもわからないといった事が生じます。

そのような場合、CtoC取引のプラットフォームを運用する企業がその状態を放っておくと、

相手が信用できない


取引をするのが怖い


取引を止めよう

となってしまうので何らかの方策が必要です。レモン市場ならまだしも、市場自体が成り立たなくなる危険性があるのですね。

その場合、(得体のしれない取引先よりは相対的に信用できる)プラットフォームの提供業者が間に入って、エスクロー機能を提供して、取引を促すといった事が行われます。

この場合、買い手は一旦お金をエスクロー業者に預けるため、売り手は確実な代金回収が保証できますし、買い手側はもし品物が届かなかったら取引をキャンセルしてお金を取り戻すことができるので取引に係るリスクを大幅に下げることができるのです。

このようなエスクローの仕組みは、投資資金リスクを減らし一定条件を満たせば確実にリクープできる仕組みをもたらすことが可能となります。

■ネット取引以外でのエスクロー

エスクローの例としてネット取引を上げましたが、大型取引でも用いられる方法論になります。不動産の売買やクラウドファウンディングなんかがその例ですね。

例えば、不動産の売買などをやったことがある方(中古住宅を住宅ローンを活用して買ったことがある方など)は覚えているかも知れませんが、現金を売主さんへ渡した記憶は無いですよね?

おそらく、金融機関での決済と司法書士先生の登記対応が同時になるように行われていたはずです。移転登記(そして金融機関の担保の登記も同時に行われます)が確認された段階で初めて売り手にお金が支払われるような流れです。

このような取引を行うことで極めて高額な買い物でも、詐欺や二重譲渡等といったリスク(普通の人にとっては許容できないリスク)を避ける仕組みになっているのです。

また、クラウドファウンディングなどでも、プロジェクトが一定条件を満たさないとお金が送金されないような仕組みになっていて、「集まった資金が少額過ぎて事実上プロジェクトが実施できないような場合は、支払われない→プロジェクトが行われない」と言った流れがエスクロー口座を活用して実現されています。

■エスクローのデメリット

便利な仕組みですと説明してきましたが、エスクローにもデメリットがあります。

まず、間に入った会社に手数料を支払う必要があります。これは上で触れたような機能を提供している対価(安心代と言い換えられますね)になります。

さらに、エスクローを提供する会社が信用できるかどうかというリスクもあります。エスクロー会社が取引途中で倒産してしまったり、お金を持ち逃げするリスクも存在します。

また、現在ではシステムで対応することが多いため、システム障害なども発生する可能性があります。

そのため、大型取引では信頼できる金融機関や信託銀行、法律専門家など信用力の高い主体に関与してもらう事もあるのです。

経営
2017年11月16日

黄金株 | 拒否権には黄金のような価値があります

4_001 (2)
黄金株とは、種類株の内、株主総会または取締役会の決議について拒否権が付与されている株式のことを言います。(会社法108条1項8号)この種の株式は、定款に記載することが必要となりますので、買収防衛策として用いる場合には、あらかじめ株主総会の特別決議を経て定款に記載しておく必要があります。
  • 拒否権とは
黄金株とだけ説明されるこの種の種類株ですが、法律の条文では

株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社(第478条第6項に規定する清算人会設置会社をいう。以下この条において同じ。)にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの

と謳われています。

イマイチよくわかりにくいと思いますので思い切って意訳すると

定款に記載されている事項は『株主総会で決議』+『当該種類株(黄金株)の種類株主総会の決議』が必要である。


株主総会か種類株主総会どちらかで拒否されたら、実施できない。


事実上の拒否権となる。

といった感じです。
  • 例えば
例えば、あらかじめ定款に取締役選任は黄金株を保有している株主の種類株主総会が必要であるとしておけば、黄金株を保有している株主は事実上の拒否権を持つことができます。

このことから、企業買収の防衛策として用いることができるとされているのです。

これは仮に、普通株式を100%買収されたとしても、黄金株さえ確保しておけば、黄金株を保有している株主の種類株主総会で否決できるため、取締役選任を拒否することができるという事です。

このような種類株式の発行は株主間の平等といった原則に反しますが、敵対的買収については非常に強力な対抗策となります。

そのため、現経営者にとって非常に都合の良い制度となっています。
経営
2017年11月10日

バックエンドピル | 買収価格を高くして、買収を割に合わなくさせる防衛策です



3_001
バックエンドピルとは敵対的買収に対抗するための方策の一つで、ある一定の条件を満たした際に、既存の株主に対して持ち株を現金や債券などに交換できるようにする権利を与えることを言います。その結果買収者にとっての買収コストを高めることができ、抑止効果を狙うことができるのです。Back-end pillと表記します。

■ポイズンピルとバックエンドピルの違い

いわゆるポイズンピルの一種ですが、ポイズンピルを用いることができない場合に、このバックエンドピルの活用が検討されます。

ポイズンピルは既存株主に時価より低い一定価格での新株予約権を与えるという、とても強力な買収な買収抑止効果を発揮しますが、その性質上、新株式を発行する余地がない場合には使うことができません。(参考:授権資本

ポイズンピルを使うことはできないが、敵対的買収から企業を防衛したいと考える場合に、このバックエンドピルの活用が検討されるのです。

<ポイズンピルとの違いの簡易まとめ>

比較項目 バックエンドピル ポイズンピル
発動条件 買収者が株式を取得したとき 買収者が株式を取得したとき
効果 買収コストを高める 持株比率の希薄化(経済的打撃)
制限 授権資本が枯渇していても使用可 授権資本の範囲内でないと不可
既存株主に与えるもの 金銭的リターン 新株予約権


■買収コストが上がる

敵対的な買収者は基本的には買収から何らかの形で利益を得ることを目的としています。その利益は、買収したのちに企業をバラバラに解体して売却することで実現することであるかもしれませんし、買収後に経営をテコ入れし、企業価値を高めることかもしれません。

その他にも、買収者の既存の事業とのシナジーを発揮して利益を上げる事かもしれません。

しかし、いずれの方策で利益を狙うにしても、買収価格以上の利益を上げることが必要となります。そして、買収価格が上がれば、得られる利益の額が同じでも買収案件の魅力は変わってきます。

例えば、1億円の利益を得られる企業買収を5千万円で実施する事ができるならば、その投資は前向きに検討されると考えられます。しかし同じ1億円の利益を得られる企業買収をしようとしたとき、相手側がバックエンドピルを活用して9千万円のコストがかかるようにしていたらどうでしょうか?

確かに利益は得られそうですが、買収に伴うリスクも存在する中で1千万円の利益を狙いに行くために買収をするかどうかは前者よりも慎重に検討することが必要となってきます。

このように、バックエンドピルは買収へ対しての抑止力を発揮する方策なのです。

■バックエンドピルの導入について

日本企業では一般的ではないものの、昨今の不安定な経営環境において導入検討例や類似の防衛策が議論される場面も増えています。


とくにアクティビストの動きが活発な上場企業では、株主還元と経営の安定の両立が求められる場面で選択肢となります。

■会社はだれのもの?

さて、このバックエンドピルは名目上株主の投資を保護するという大義名分があります。いっけんすると「株主保護」を大義名分にしていますが、実質的には経営者の保身策になりかねないリスクもはらんでいます。

例えば、敵対的な買収者が企業を買収した場合には経営が改善され企業価値が高まる見込みが高い場合はどうでしょうか?

その場合、株主にとってバックエンドピルでいくばくかのお金をもらい(抑止力ですから実際に発動されるケースは少ないでしょう)現状の相対的に経営能力が劣っている経営者に経営を任せ続ける事が正当化できるでしょうか?

言い換えれば、現経営陣の保身のためにこのような方策を用いることが株主の利益につながるでしょうか?明確な答えは出ませんが、買収防衛策には株主の本来的な利益と逆行する場合があると言った、疑問が投げかけられるのです。

■その他の買収防衛策

ホワイトナイト:有効的な第三者に買収を(多くの場合経営陣が)依頼
クラウンジュエル:重要事業の切り離し。(自爆型の防衛策)
パックマンディフェンス:逆に買収をかける方策

買収防衛策は株主の利益という大義名分と現経営陣の保身という本音がぶつかり合う領域です。中小企業や非上場企業でこのような施策を考えることはあまりありませんが、このようなことも考えられると知っておく価値はあるでしょう。



経営
2017年11月9日

与信 | 誰にどれだけまで貸せるかを管理することはとても大切な事です

yoshin
与信とは、信(用)を与(える)と書くとおり、信用を与える行為です。そして、企業などの組織間で言うところの信用とは一言でいえばお金を貸すことなので、与信とはお金の貸し付けや売上債権の枠を与えることを指す言葉です。

お金の貸し付けの場合、100万円の貸し付けならば100万円分のお金を貸すので、とても分かりやすいのですが、売上後にすぐにお金を払わなくていいとする掛取引もお金の貸し付けの一形態です。

そのため、与信枠がある企業は現金取引ではなく、一定の時期をくぎってまとめて後払いをするような掛取引が認められます。
  • 管理が大切です
さて、このような与信ですが、本質的にはお金を貸すことと同義ですので、その枠を管理することがとても大切です。

せっかく売り上げたとしても、現金が回収できるまでは安心できませんので、信用リスクがある様な取引先については一旦認めた与信枠であっても削減してくようなことが行われる必要があります。

大きな方向性としては、しっかりと信用できるような経営が安定しているような企業については与信枠を拡大しながら取引自体も拡大していく必要があります。

一方、経営の先行きに疑問符が付くような企業に対しては、取引自体の大きさはともかくとして与信枠は削減していく必要があります。

取引自体の大きさはそのままに与信枠を削減するとは、具体的には現金取引の比率を増やしたり支払いサイトを短縮したりする方向になっていきます。(相手が応じるかどうかはわかりませんが)

また、担保を取ることができれば、仮に貸し倒れたとしてもその担保の価値分は回収できますので、交渉していく価値はあるでしょう。(現金担保なら価値が分かりますが、不動産や有価証券の場合は評価額の算定が難しいのである程度割り引いて考える必要があります。)

もっとも、かなり信用が棄損している時点になってから、担保の差し入れを要請することとなるため、実際には担保を取ることは難しいかもしれません。

参考
抵当権と根抵当権
質権

経営
2017年1月23日

参入阻止価格 | あえて収益を減らしてでも安くするという価格設定もアリです

1_001-min

参入阻止価格は、後発の同業企業が同じ市場に参入できないよう意識的に低く設定された商品や製品・サービスの価格を指します。

意図的にというところがポイントで、イノベーションの余地が少ない業種・業界で用いられることが多い価格政策となります。
  • 先発企業にとっては
先発企業はすでにその商品・製品やサービスについて相当量を供給しているため、経験曲線効果によってコストが低減されています。(同じものなら累積でたくさん作っている企業の方がコストが安いという経験則)

また、これから参入してくる企業よりも生産設備等の規模が大きいのが普通ですから規模の経済も効きます。

そのため、先発企業がその優位性を生かすために、あえてもうけを少なくしてでも安く供給するといった価格戦略となります。

主な目的は、後発企業の参入を阻止して市場シェアを維持することがです。
  • どのくらいの価格に設定するかの判断はむつかしい
顧客にとっては低価格であることがメリットとなり、商品やサービスを購入してもらう機会が増えます。

しかし、あまりにも安く設定しすぎると、利益を圧迫してしまい、赤字になることも考えられます。

そのため、この参入阻止価格をつける場合、採算ぎりぎりの価格設定になることが一般的だといわれています。なお、相手側のコスト構造が予想できるのなら、相手の採算ラインを下回るギリギリの線にできれば利益を最大化することができます。 
  • 根拠のない参入阻止価格は自分の首を絞めます
前述のような経済的効果(規模の経済・経験曲線効果)などをしっかりと織り込み、戦略的に参入阻止価格を設定するならば許容されます。また、あえて低価格をつけることで長期的に競争者が現れなかった場合の利潤が、短期的に高収益を上げる事よりも望ましいと判断できるのならば、こういった方策はありでしょう。

しかし、あまり計画性を持たずに実施した場合には、その製品群は低収益となってしまいますし、一般的には、一度下げた価格は再び上げることはむつかしいため、もしこのような価格政策を実行する場合にはよく考えて対応する必要があります。

なお、あえて価格を安くするという点ではぺネトレイティングプライスに似ていますが、目的が違います。 
経営
2016年3月11日

決済リスク | 確実にお金を払ってもらえるとは限らないリスクです

決済リスク
決済リスクとは、資金の決済が予定通りに行われないリスクの総称です。そのお金本当に回収できますか?と言い換えられるリスクです。

どんなに売上を上げても、どんなに利益を上げても、取引相手からお金を回収できなければ意味がありませんよね?

そのため、しっかりと資金が決済できるまでが取引なのです。「遠足はうちに帰るまでが遠足です」なんて校長先生がよく言いますが、「取引は現金を回収するまでが取引」なのです。

■決済リスクは何で生じるか

決済リスクの代表的なモノは以下の通りです。
1.売買相手方の破綻などによって決済が不履行となる信用リスクなど、取引相手に由来するカウンターパーティリスク


2.売買相手方から予定された証券や代金を受け取ることができず決済が不履行となる流動性リスク

3.一つの決済不履行が他の決済にも影響し、結果決済システム全体あるいは金融システム全体を麻痺させるシステミックリスクなどが該当します。

現代社会においては各企業・金融機関は多数の相手と取引を行っていることが多く、そのため一箇所で起きた支払不能等が瞬く間に他に波及する危険性もあります。

■具体例です


例えばA社がB社に商品を売り、代金は来月受け取るという契約を結んだとします。

このときA社はB社から代金を回収するまでの間「B社が倒産し、代金を回収出来なくなるリスク」「代金の受け取りが1週間遅れてしまうリスク」「B社から代金が回収できないことで資金不足になり、他社に代金を支払えなくなってしまうリスク」など決済に伴う様々なリスクを背負うことになります。

これらを総称して決済リスクというのです。

■決済リスクを小さくするために

決済リスクを小さくするためには、保険をかける、第三者を介して決済をするエスクローをかませる、与信管理を厳密にするなどの方法があります。

しかし、いずれにしても決済リスクをゼロにすることは難しいため、費用対効果を見極めつつ、リスク回避の方策を考えて行く必要があります。

このリスク管理の意味から、たくさん買ってくれるからと言って、従来取引関係のなかったよく知らない業者に、現金取引以外で多額の商品を売ってはいけないのです。

neko
海外の業者からすごい引き合いが来ましたよー。なんと、ウチの年商の半分を一回の取引で売って欲しいとのことです。

onnanoko_bustup
すごいわね。で、取引条件は?

neko
商品が届いてから6ヶ月後に振り込むと言うことですよ。

onnanoko_bustup
うーん、その海外の業者って信用できるのかしら?お金が回収できなかったらウチは潰れちゃうわよ?

neko
そうかー、お金を回収するまでが取引でしたよね。
 

解説で出てきた用語・関連用語
信用リスク
流動性リスク
カウンターパーティリスク
エスクロー
経営
2016年3月6日

サービスリカバリー | 適切な対応が大切です

サービスリカバリー
サービスリカバリーとは、サービスの失敗に対する対応のことです。

組織がサービスの提供に失敗したことで失った顧客の信頼を回復させるために行う活動のことを指し、顧客のクレームや製品の欠陥が発生した際、それに対して素早い謝罪や原因調査、保証を行うなどの活動が該当します。
 
例えば、ある小型冷蔵庫から発火事故が起こったとします。

調査の結果、その発火事故が『庫内にある冷却器に大量の霜が付いたことで、温度調節をする部品の内部に水が入り、発火した』ということが分かった場合、メーカーは不具合が発生したことに対するお詫びや、発火の原因、そして発火を防ぐため、原因となる部品を無料で改良したものに交換することなどを、テレビや広告を通じて消費者に呼びかけるという活動を行います。これがサービスリカバリーです。
 
優れたサービスリカバリーは、一度不満経験を持った顧客の好感度を以前よりも高め、その結果、再購買確率を高めることに繋がるとされており、企業にとって戦略的にも重要な位置づけを占めるべきと言われています。

■適切な対応が大切です

サービスリカバリーを適切に行わなかったときには、その企業が築き上げてきた目に見えない信頼を損なってしまうことにつながります。

今日では、悪い評判は非常に素早く伝播しますので、対応を誤ると命取りになる可能性すらあります。(組織自体の評判を損なうリスクをレピュテーションリスクといいます。)

しかし、適切な対応を行うことができれば、サービスを失敗したことによって不満を持っていたお客様が当社の熱烈なファンになってくれるといった可能性もあります。

上で述べたように、問題を起こしてしまった顧客に対して、その問題を帳消しにできるような適切な対応を行えれば、むしろ「あの会社は、問題が起こっても適切に対応してくれる。むしろ、安心な会社なんだ」といった形にファンを増やす事にもつながります。

そのため、適切な対応が大切なのですね。


経営
2015年12月28日

スクイーズアウト | 少数株主を締め出して経営を楽にする方法です

スクイーズアウト

スクイーズアウトとは、企業買収などで少数株主を排除して、対象となる企業を完全子会社化する事を言います。英語ではsqueeze outと表記されます。

スクイーズアウトと言った言葉が締め出すといった意味であることから、合併の際に(少数株主を)締め出すといったイメージとなります。

■どうして完全子会社にするの?


さて、株式の過半数を保持していれば、取締役の選任が行えるので、会社の経営権が手に入ります。また、株式の3分の2以上を保持していれば特別決議が行えるので、定款の変更や事業の譲渡等が行えます。

そのため、ワザワザ完全子会社にしなくとも良いと考えられるかもしれません。

しかし、完全子会社化しておけば、株主を管理するコストも削減できますし、株主総会の招集手続きを省略することも可能となります。(持ち回り決議が可能となりますので)

また、親会社と子会社で利益相反が発生した場合、通常は子会社側が不利になるような経営判断がなされます。

しかし、少数株主が子会社側に残っている場合、少数株主の権利に配慮する必要が出てくるため、そのような思い切った経営判断が難しくなります。

企業をわざわざ子会社化したと言うことは、企業グループ全体での最適化を図ると言った目的があり、子会社の都合に配慮することで最適化が難しくなるのであれば本末転倒です。

そのため、少数株主を排除しておく必要があるのです。



■相手が売らなければそれまで?



とはいえ、株式ですから相手が売却に応じなければどうにもならないのでは?と考える方もいるかもしれません。

「どんなに高額の買い取り希望を出しても、相手が売ってくれなかったらそれまで」ですよね?
しかし、そんな事を言っていたらスクイーズアウトはかなり難しくなるため、方法が用意されています。


■定款を変更して

まず、親会社は多数の株式を持っていることが想定されますので、定款変更が可能となります。

そして、定款変更ができるのならば、種類株の発行と全部取得条項付き種類株式方式を組み合わせて、少数株主が持っている株式を金銭を交付することによって取得する事ができるのです。

(もちろん定款変更には特別決議が必要なので議決権の3分の2以上を押さえていないとこの手法は採れません)
  • 中小企業の事業承継の際にも
このスクイーズアウトは事業承継の際にも経営者に経営権を集中させる目的で実施されます。

以前はあえて親族に株式を分散させる事が多く、株式を分散させた人の睨みがきいているうちは安定株主として機能していました。

しかし、事業承継が発生して後継者の代になった途端に株主としての権利を主張してくる(法律的には全く問題のない行為なのですが、実務上経営の安定が脅かされます)といったことが発生しています。

また、株式を相続した人や従業員に株式を持たせていたのがそのままになっているなど利害関係者が増えてくると、株主の管理も大変になりますので、事業承継を契機に経営者に株式を集中させる事が行われています。

特に、近年の事業承継では親族内での事業承継だけでなく、親族以外の人が引き継ぐことも多くなっているため、経営権の集中は重要となってきます。

解説で出てきた用語・関連用語
定款
二段階買収
安定株主
経営
2015年10月16日

サードパーティ | 第三者を指す言葉で、ある製品の周辺機器等を開発するメーカさんとかが該当します

サードパーティ
サードパーティとは、第三者を指す言葉です。とはいえ法律用語といったニュアンスではなく、IT技術用語として使われるケースが多くなります。

例えば、PCのOSを販売している会社があり、それを購入する人がいるとします。こういった人たちを当事者と捉え、それに対して、自社のソフトウエアや製品を第三者的に供給する人をサードパーティと呼ぶのです。この使い方では、当事者に対しての第三者的な意味でサードパーティと呼ばれるのですね。

その意味で、別に数を数えているわけではないので、基本的にはファーストパーティやセカンドパーティなどといった人たちは出てきません。

(ごくまれに製品の供給者をファーストパーティ、顧客をセカンドパーティと呼ぶ場合もあります。)

また、フォースパーティもフィフスパーティも一般的な用語としては出てこないのです。(企業名として絶対ないとは言いませんが、一般的な経営用語的にはそのような言葉はあまり用いられません)

■当事者でない人たち

さて、ある製品やサービスの供給者と顧客が当事者であると捉えた場合に、その当事者以外をサードパーティーと呼びます。

そのため、IT業界以外でも、物流関係ではサードパーティロジスティクスなどといった用語も生まれています。

こちらの言葉は、物流業務に強みを持っている企業に、自社の物流を任せ、自社は自社の強みに集中するといった経営の方向を指す言葉です。3PLなどとも略されますが、基本的には、サードパーティを第三者といったニュアンスで使っている感じになります。

このように、サードパーティというとなんだか難しそうな言葉ですが、当事者以外をサードパーティと言うと覚えておけば大丈夫です。
 
経営
2015年10月13日

中間持株会社

中間持株会社
中間持株会社とは、親会社(持株会社)の傘下で複数の企業を支配するといった持株会社のことを指します。この種の持株会社は親会社ではない持ち株会社くらいのとらえ方がしっくりくると思います。

例えば、中間持株会社が事業持株会社になるケースもあります。このような場合、親会社があって、中間に中間持株会社がグループ経営のうち、一定の分野について自社も事業を経営しながら、傘下の子会社(親会社からすると孫会社)を支配するイメージです。

■具体例は?

このような事業持株会社が中間持株会社となる例として、ソニーの音楽部門を束ねるソニー・ミュージックエンタテインメント社などがあげられます。

また、中間持株会社を純粋持株会社として設立し、ある一定の事業グループを束ねて支配させるようなケースもあります。こちらの例は、小田急電鉄の箱根関係の事業を統括する小田急箱根ホールディングスなどとなります。

■あまりメジャーな分類ではありません

事業持株会社、純粋持株会社金融持株会社などといった分類と比較して、あまり言及されることがない分類ですが、(この分類がよくつかわれるのなら、中間持株会社でない持株会社について、特別な名前が与えられているはずです。)こういった分類も存在しているのです。

■中間持株会社のメリットとデメリット

さて、このような中間持株会社ですが、メリットとデメリットを整理してみます。

  • 中間持株会社のメリット
・特定の事業領域を独立して管理することができる。
・親会社からの統制と現場に近い柔軟な意思決定の両立をすることができる
・グループ再編や分社化との相性がいい
  • 中間持株会社のデメリット
・グループ構造が複雑化する
・ステークホルダーからみた経営の透明性が低下する場合がある

いずれも、中間も近く会社の構造に起因するメリットとデメリットになっていますね。

■中間持株会社が設立される背景は?重要でない暫定的なもの?

中間持株会社は、グループ内の再編などにおいて「ある程度自律的な組織」を作る必要がある際に、登場します。

例えば、海外の子会社グループを一元管理したい場合やMAの際に移行措置として中間に設けるイメージです。

このように、意図して設計すれば企業当地に役立つものとなります。「中間」という言葉のイメージから、「サブ的」な印象を与えがちですが、むしろ各事業部門の中核を担う事も多いです。

具体例として上げればセブン&アイHLDGS.がプレスリリースで以下のように周知しました。
当社は、2024 年 10 月 10 日付の経営会議において、当社の完全子会社として、当社グループの食品スーパーマ ーケット事業および専門店・その他事業(以下、「SST 事業グループ」といいます。)を統括する中間持株会社(以下、 「本中間持株会社」といいます。)の設立(以下、「本中間持株会社設立」といいます。)を決議いたしましたので、お知らせいたします。

中略

2. 本中間持株会社の範囲
 本中間持株会社の資本傘下に再編を予定する当社の関係会社の範囲は、以下 7 社の SST 事業グループ主要会社を含む、SST 事業グループに帰属する当社の連結子会社 24 社および持分法適用会社 7 社の計 31 社(以下、「SST 事業グループ対象会社」といいます。)を予定しております(以下、本中間持株会社設立を含め総称
して「本組織再編」といいます。)。
(1) 株式会社イトーヨーカ堂
(2) 株式会社ヨークベニマル
(3) 株式会社ロフト
(4) 株式会社赤ちゃん本舗
(5) 株式会社セブン&アイ・フードシステムズ
(6) 株式会社セブン&アイ・クリエイトリンク
(7) 株式会社シェルガーデン
出典:セブン&アイHLDGS. 2024年10月10日 『中間持株会社設立に関するお知らせ 』


この陣容を見れば、決して中間持株会社が中間的なものではなく、グループ戦略の中核を担うものであることが見て取れると思います。

経営
2015年10月9日

決済 | 取引を終了する事を指す言葉を決済と言いますが、同音異義語があるので文脈で判断しましょう

決済
決済とは、代金の支払いを行い、一連の取引を終了させることを指す言葉です。物やサービスを購入し、最終的にお金を支払うことを「決済する」と表現します。

物やサービスの取引がわかりやすいのですが、債券や株式を購入した際にも決済は行われます。この場合、最終的に現物株や債券などの権利を引き渡し、引き渡しを受ける側がお金を支払う事で決済とされます。

このような場合、一連の取引がお金の支払いと権利の引き渡しで終了するため、決済となるのです。

なお、同音異義語に、決裁という言葉があります。こちらは、物事を決めることを指すので、「社内のけっさいが…」などと取引先の担当者がいったのならば、社内で決めてもらわないといけないといった意味になります。(決裁の意味でつかわれています。)

また、「社内でこの件をけっさいするけっさいが下りた」などという場合には「社内でこの件の代金を支払う(決済)の意思決定(決裁)が行われた」といった意味になります。
 
同じ読みですが、意味が違うので誤変換に注意したい言葉ですね。(まんがで使用例を書いていますので、漢字に注意して読んでみてください。)

■決済手段の多様化

決済と言っても今は色々あります。伝統的な決済手段では、現金や振込、小切手などですね。現在は小口決済においてキャッシュレスが浸透しており、クレジットカード、デビッドカードや電子マネー、QRコード決済などが存在しています。

2022年の調査ではキャッシュレス決済比率は30%を優に超えてきており、政府はもっと普及を目指しています。

お金そのものを出さずに決済できるので消費者にとっては便利だという点と、事業者側も決済手数料はかかるものの、現金管理コストの削減という利点を享受することが出来ます。

また、キャッスレス決済の場合消費者が使う金額が高くなりがちであると言われているので(消費者が完全にキャッスレス決済になれるとこのような傾向はなくなるのかも知れませんが)現状においては多様な決済手段を整えることは、収益の拡大にも役立っています。

経営
2015年10月5日

純粋持株会社 | ○○ホールディングスといったかつては禁止されていた企業形態があります

純粋持株会社
純粋持株会社とは、みずからは本業となる事業を営まずに、他の会社を支配することを目的として営まれる会社のことを言います。
この純粋持株会社は○○ホールディングスといった企業のイメージで、自社では事業を行わずに、株式を持って他社を支配することを仕事としている感じです。


このような持株会社は、かつては禁止されていました。というのも、巨大な企業グループが生まれると、公正な競争が阻害されると考えられていたからです。(事業持株会社は従来から認められていました。)

戦前の財閥のような巨大企業グループが再び生まれないようにとの意図で、独占禁止法で禁止していたのです。

しかし、このような制限を加えることで様々な弊害が生じてきたため、解禁されたとの経緯があるのです。

■グループ経営

このような持株会社を立ち上げる事により、M&Aなどがやりやすくなるといったメリットがあります。

というのは、純粋持株会社が親会社とはなりますが、子会社間は並列の関係となるため、買収される方の企業の抵抗感が薄れますし(ある日、自社がライバル企業の傘下に入るよりも、共同で親会社としての純粋持株会社を立ち上げる方が心理的な抵抗感は少なくなりますよね)、あくまで別会社になるので、良くも悪くも旧会社の人事制度を温存できます。

また、こういった合併ができれば、範囲の経済規模の経済を獲得することにもつながりますしその結果、シナジーを獲得することもできます。

このように、純粋持株会社にはとても強力なメリットがあるのですね。
経営
2015年10月4日

事業持株会社 | ニュースでよく出てくる持株会社にも色々な種類があるのです

事業持株会社
事業持株会社とは、自らも本業となる事業を行っており、さらに、他の企業の株式を持って、他の企業を支配している企業のことを言います。

イメージとしては、親会社といった感じですね。

例えば、石川島播磨重工といった自ら事業を行っている大企業のような感じです。(自らも事業を運営していますし、IHI運搬機械などといった企業を支配しています。)このような企業は自らも事業を運営していますし、さらに持株会社として子会社の株式を持って支配しています。

また、自動車メーカーが子会社の部品メーカを支配する、商社が子会社としていろいろな事業を行っている企業を支配するといった形がこの事業持株会社に該当します。

あまり持株会社という言葉で連想できる形と、合致していませんが、このように、事業持株会社といった分類があるのです。

このような事業持株会社は、自社でやっていた事業を子会社として独立させたり、別会社を買収したりすることにより生まれます。

■事業を行わない持株会社もあります

さて、事業持株会社と言う用語がわざわざ用意されているという事は、事業を行わない持株会社もあるという事の裏返しです。

そして、自社は事業を行わないような持株会社を純粋持ち株会社と言います。

単に持株会社という場合には、こちらの純粋持株会社の形態を指す事が多いので注意が必要ですね。
経営
2015年9月28日

デコンストラクション | 『脱構築』と言われても何のことか分からないですよね。

デコンストラクション
デコンストラクションとは、経営を取り巻く既存の構造を別の視点から見ることによって、新しい事業構造を作り出すことを言います。

例えば、経営を取り巻く既存の構造としてお店を持っている企業があるとします。そのお店は、先代が仕入れたよく分からない商品が多量に残っていて、不良在庫に苦しめられているようなケースです。

このような場合、経営を取り巻く既存の構造ではその企業にとっては在庫コストが多量にかかっているわけですから、マイナスです。

しかしこのような経営を取り巻く構造を別の視点から見て、「確かに死筋だけど、よく見たら面白い商品が沢山ある。だったら、これを従来の商圏にとらわれないで、インターネットで販売するとよいのではないか。」と考えてECサイトを構築するようなイメージです。

もともと、『脱構築』(『デ』が否定の意味で、『コンストラクション』が構築だから、そのままですね)と表記される哲学用語だったものが転じて経営用語となった例です。

(このような言葉を使わなくても、無意識に実践している企業が多そうですね。)

■現在の経営での活用

デコンストラクション的な発想は現在の企業においても重要となります。例えば従来型の小売業は店舗が絶対の大前提として考えられていたかも知れませんが、別にお店がなくてもいいよね?といった発想の転換でネット専業の小売業というビジネスが生まれてきました。

また、ネットショップだと在庫を大量に持ってロングテールをといった考えが主流だったかも知れませんが現在のAmazonは在庫すら抱えずに出店者と購入者を結びつけるプラットフォームの展開といったビジネスモデルでも成功を収めています。

また、紙の書籍が売れないという悩みに対して、電子書籍にして世界中に販売するという発送もありえますし、物をみんなが所有したいと考えているだろうという前提を壊して、シェアリングサービスなどの新しい事業モデルもあります。

このように、事業環境の大きな変化に対して柔軟な戦略を考えることがデコンストラクションの本質だったりするのです。


 
経営
2015年8月27日

持株会社 | 事業持株会社は実はそんなに珍しくない形態です

持株会社
持株会社とは、株式会社の株式を投資目的ではなく、その会社を支配する目的で持っている会社のことを言います。

株式を持っていると株主総会での議決権を得ることができます。そして、その議決権の過半数を持っていれば、一般的な事項についての普通決議ならば自らの思い通りにできますし、議決権の三分の二以上の株式を持っていれば重要な事項について決議する特別決議を自らの意志だけで行う事ができます。

※特別決議では、定款の変更や、事業譲渡なども行えます。

このように株式を持っていれば相手の会社に対して議決権を行使できるのですが、その議決権の行使によって、相手の会社を支配する事ができます。

例えば、普通決議が自らの意志のみで行える過半数の株式を押さえれば、取締役の選任が自由にできます。そして、取締役を自由に選任できるという事は、会社を支配することができるという事です。

  • 持ち株会社にも種類があります。
このように、相手の会社を支配することを目的として株式を持つのが持ち株会社ですが、この持ち株会社には種類があります。

それは、事業持株会社と金融持株会社、純粋持株会社です。

事業持株会社は、自らも事業を実施します。事業を営む企業が子会社を持っているようなイメージとなります。

例えば自動車メーカーが子会社として部品メーカーを支配するといった場合、親会社の自動車メーカーが持株会社となります。

あまり持株会社といった言葉の響きが似合わない感じがしますね。
金融持株会社は、支配する子会社が金融系の企業のみである場合が該当します。大きな銀行や証券会社を○○ホールディングスといった企業が支配しているような感じです。

巨大金融グループといったイメージで、この金融持株会社は持株会社といった響きがしてきますね。
純粋持株会社とは、持株会社自体は事業を行わず、企業を支配することを主な事業としているような会社のことを指します。
  • 持株会社のメリットは
企業グループ全体がある程度同じ方向を向いていた方が、より強力な力を発揮できるといった事はなんとなく理解できると思います。

範囲の経済を追求し、グループ内でシナジーを求めるといった感じでしょう。

また、規模の追求を一社でやらずに、あえて別企業とする事で、グループ内の特定の企業が大規模な損失を発生させても、通常はグループ内他社には波及しませんし、グループ内の企業は経営的に独立しているので、経営責任が明確になるといった利点があります。
  • 持ち株会社のデメリットは
これらのメリットに対し、グループ会社で事業をやる場合には、グループ会社間の連携が一社で運営する場合と比較して取りにくいですし、同じような事業をグループ内の他社がやっていることにより、グループ内で競合してしまうといった問題点もあります。
経営
2015年8月25日

アグリビジネス | 古くて新しいなんて陳腐な言葉を添えたくなる領域です

アグリビジネス
アグリビジネス(agribusiness)とは、農業関連産業を示す言葉です。アグリカルチャー(agriculture:農業の意)+ビジネス(business:商売の意)を組み合わせた言葉と思っておけば覚えやすいと思います。

と、なんだか気取った言葉ですが、農業関連産業ですから、農薬や肥料。鍬や鎌、コンバインといった農機具、種や苗といった種苗。農産物の流通(八百屋さんや青果市場、直売所)や加工(落花生屋さんとかですね)などが含まれる言葉です。

数百年前までなら、いちいちアグリビジネスと総称せずとも、かなり多くの産業がこのアグリビジネスだったと捉えることができます。

社会科の事業で習った大規模なプランテーションもアグリビジネスと言えますし、近年では、バイオテクノロジーの領域も、農業関連産業といった切り口では含まれてきます。(遺伝子組み換え作物などは完全にこの領域ですね。)また、新しい分野では植物工場といったキーワードもアグリビジネスの中に含まれます。 

このように、非常に古くから存在する領域でありつつも、やはりそうはいっても農業は非常に重要な産業分野なので注目を集めつつ有る領域であるという事ができるのです。

陳腐な言葉を使うならば「アグリビジネスは、古くて新しい領域なのです。」という事ができるのですね。

■アグリビジネスと持続可能性

最近のアグリビジネスは、単に作物を沢山効率的に育てるという切り口だけでなくあ、環境負荷が小さいといった方法が重視されます。

例えば、農薬を使いすぎない、水を使いすぎない植物工場と言った切り口です。こういった自然環境を守りながら農業を続けていくという工夫は長い目で見た人類の生存にもかかってくる重要な領域です。

と、大きな話をしましたが、ビジネスとしてコストを余計に掛けてでもそれらに取り組む価値があります。それは、環境負荷が低い農法で栽培した食物は通常の農作物と比較して高く売れる可能性があるからです。

いわゆる差別化要因となるため、しっかりとPRしていくことも重要です。知られていないところで価値の高いことに取り組むのは美徳ですが、本当に知られていないならば経済的価値を生み出さないわけですから。

■アグリビジネスと六次産業

農業関連の用語でもビジネス寄りの2つの用語を簡単に比較してみます。

項目 六次産業化 アグリビジネス
定義 農業(1次)+加工(2次)+流通・販売(3次)を組み合わせる取り組み
合わせて6(1+2+3)なのですね
農業に関連する産業全般を示す広い概念
目的 農家や地域主導で付加価値を高めて収益性を向上させる 農業関連産業全体の仕組みや市場を捉える
対象 主に生産者や地域事業者の活動 農機具・肥料・流通・加工・バイオ技術など幅広い産業
スケール 地域や個別事業レベル 国内外の産業・市場全体
政策との関係 日本の農業振興策として強調される 国際的な経済用語として広く使用される


経営
2015年4月30日

レスポンシビリティ | 仕事をしようとする際には責任はつきものです

レスポンシビリティ
レスポンシビリティとは一般的には責任と訳される言葉です。企業では非常に重視されている概念です。(この言葉を使わないにしても、責任は重視される考え方ですよね。)これを英語で表記するとresponsibilityとなります。

さて、組織で働いていると、仕事を依頼したり、逆に仕事を依頼される事が出てくると思います。

そして、その仕事を相手が受託した段階で、仕事を完遂するという責任(レスポンシビリティ)が発生するのです。

難しい言い方をあえてしましたが、「誰か、このパンを3丁目の田中さん宅に配送してくれないか?」との問いに、あなたが「わかりました、私が対応します」と仕事を受けた段階で、あなたには3丁目の田中さん宅にパンを配送する責任が生じるわけです。

そして、その責任を果たすことが当然の事として期待されてくるのです。
  • 責任と説明責任
さて、このレスポンシビリティによく似た言葉でアカウンタビリティといった言葉があります。こちらは説明責任と訳される言葉で、単に責任を果たすだけではなく、それを説明するという責任もあるんだよといった概念です。

上の例では、3丁目の田中さん宅に配送するにしても、どのような経路で配送するのか、しっかりと安全性に配慮して運転をしているのかといった風に、配送するといった責任を果たす事に加え、その業務が適切である旨の説明をする事が求められるのです。

■個人責任と組織の責任

このレスポンシビリティは個人単位で発生するだけでなく、組織全体についても発生します。

個人は与えられた業務を遂行していく責任を持ちますが、組織はその結果についての責任を社会全体体に対して負います。

例えば、とある製品を企業が開発したとします。そして企業は製品仕様から製造ラインを構築し、従業員各位に製造を指示したとします。

その場合、従業員個人は指示された仕様で製品を作る責任があります。

他方で組織は、製品対して責任を負います。言い換えれば、製品に製造上の瑕疵があった場合、組織が責任を負います。これの考え方がコーポレートレスポンシビリティとなります。

なお、従業員個人に対して責任を問えるかは指示通りに製造したかどうかが重要です。指示通り製造していなければ、個人責任として懲戒の対象にすることは可能かも知れません。

しかし、企業側は欠陥品が出回らないようにするための適切な検査体制を整えていなかった、指示を徹底する事ができなかったという点から非難を免れることは困難です。

また、CSR(企業の社会的責任)という言葉を類義語で上げますが、こちらは組織のレスポンシビリティを拡張した考え方で、社会的な責任も果たすことが重要ですよという考え方となります。
経営
2015年2月10日

移動障壁 | 違う戦略を採るのは簡単ではないのです。成功していると特にです

移動障壁
移動障壁とは、ある特定の戦略を採っている企業が、別の戦略を採る事へ対する難易度を示す言葉です。

同一業界内で別の戦略グループに対しての移動の難易度を移動障壁といいます。文字通り、別の戦略に移動する時の壁といったイメージです。

一般的に企業は、現在の戦略において最適化されています。そしてこの最適化の度合いが高くなればなるほど、移動障壁は高くなります。 

簡単に言えば、高級店は高級店を営むための仕組みを整えているのです。それなので、単価の低いものを大量に売りさばくような商売に適合するような経営資源を持ち合わせていません。そのためそこには移動障壁があるのです。

■移動障壁を小売業の例から考えます

例えば、小売業という事業を考えてみたいと思います。

■1.戦略の変更には移動障壁がつきものです

一口に小売業と言っても、高級品を扱うお店、低価格品を扱うお店。若い人向けのお店、シニア向けのお店など、様々な切り口が考えられますよね。

そして切り口が違えば、当然売り方や仕入れ方その他の戦略的なものは変わってきます。その結果、同じ小売業という大きなくくりであっても業態が異なれば移動障壁があるのです。

それでは、ある特定の領域で成功した企業が別の領域で事業をしようとしたらどうでしょうか?

具体的には、シニア向けの低価格品を扱うお店が若い人向けの高級品を扱いたいと考えたとします。どうでしょうか?

■2.ビジネスの進め方が違うことが移動障壁となります

この場合、接客方法は従来のシニア向けで大丈夫でしょうか?低価格品を売るような陳列方法で大丈夫でしょうか?若い人が好む商品を仕入れる事は従来の仕入れルートで可能でしょうか?
 
ちょっと考えるだけでも色々問題がありそうですよね?

そして、このように、従来の戦略的なポジションから別の戦略的なポジションに移ろうとする際に生じる問題、障壁を移動障壁というのです。

この時期は、どのようなビジネスを行うかといった、商売の根幹によって違いが出ています。

■移動障壁にもいろいろあります

このように異なる戦略グループに移動しようと思うと移動障壁があることはわかりました。 そしてこの移動障壁には色々なことが考えられます。

■1.流通経路など商売の構造に由来する移動障壁

例えば小売業だけやっているような商売が、垂直統合を狙っていき、製造まで行うことを考えたとします。

やり方としては非常にシナジーがあるのですが、言葉で言うのは簡単ですが製造業と小売業は商売の構造が違うのでなかなか簡単にはいきません。

また、例えば工場が高級品を作っているのであれば、高級品にふさわしい流通経路を持っているはずです。この流通経路を変えて、ディスカウントストアで売ると言ったことはなかなか難しいでしょう。

逆に、単価の低い商品を作っている工場が、百貨店で販売するというのもなかなか難しいのです。

このように流通経路などの構造を変えることには移動障壁があるのです。

■2.企業内部の組織に由来する移動障壁

また、同じ小売業という中でも品揃えの面で浅く広く品揃えするような商売と、狭く深く品揃えするような商売では全く違った状態となります。

どちらが良いということではなく、商売のやり方が違うのでなかなか別のやり方を行うことは難しいのです。

■3.企業の持つイメージに由来する移動障壁

企業にはそれぞれ固有のイメージがあります。例えばシニア向けに上質な商品を販売しているお店、若者向けに比較的低価格の商品を販売しているお店などです。

こういったお店が、自社の持つイメージと異なる商売をやる場合に、お客様がイメージの違いに戸惑ってしまうなどの移動障壁があるのです。

■共通で使える資源もあります

但し、上の例でも、資金という経営資源には色がついていないので活用することが可能です。また、経理や総務といった間接部門のリソースもそのまま利用することができると考えられます。

さらに、既に持っている配送網や販売管理等のシステムも活用できると考えられます。(こういった考え方を範囲の経済と言います)

このように、別の戦略を採ろうとした際には、確かに移動障壁といった壁はありますが、逆に一から始めるよりも有利に働くような要素もたくさんあるのです。

また、低価格路線から高価格路線に舵を切る行為はアップスケール化という言葉があるように、移動障壁があると言っても割と一般的な戦略となっています。

解説で出てきた用語・関連用語
経営
2015年1月15日

アカウンタビリティ | 説明責任というもっとも基本的でとても大切な責任があります

アカウンタビリティ
アカウンタビリティとは、説明責任のことを指す言葉で、利害関係者(ステークホルダー)に対して自らの行動を説明させる責任のことを指す言葉です。そして、企業にとってのその説明は主に財務会計といった形を取って行われます。

このアカウンタビリティは、アカウンティング(会計)とレスポンシビリティ(責任)という2つの言葉かあら生まれた言葉となりますので、会計的に、利害関係者にたいして説明する責任といったニュアンスがありました。

■どうして説明しないといけないの

今日の株式会社は、活動範囲が広範にわたっており、またその額も多額になっています。そして、その結果、企業を取り巻く環境に対して与える影響は非常に大きくなっています。


そのため、「会社?会社は株主のモノだから株主にだけ説明しておけばいいんだよね?」といった風にはいえません。

なぜかというと、利害関係を持つ人は広範にわたるためそれらすべての人に対して責任責任(アカウンタビリティ)が生じるためです。

そのため、「お金を借りている債権者にだけはちゃんと説明しないとね…」、「税務署の人が来たら大変だから適正に申告をしよう」といった風に、株主以外の利害関係者にも説明責任を負っているのです。

この例のほかにも、取引先や、顧客、消費者、従業員、事業所の存在する地域の住民といった風に、考えていくと利害関係者は非常に広範囲に存在することになります。

■説明する責任があります

さて、そういった様々な利害関係者に対して、企業が誠実であるために、できることはなんでしょうか?

株主に還元すべく、余剰資金はすべて配当することでしょうか?でもそうすると、債権者は借金の回収が難しくなりそうですよね?

では、従業人に還元するために、ギリギリまで労働分配率を高めますか?でも、そうすると、株主へ対する利益の分配は減少しますし、会社にお金が無くなると、債権者の権利も害されますよね?

このように、金銭面の配分では、どこか特定の集団に対して為になる事をやったとしても、なかなかすべての利害関係者に報いることは難しいのです。

しかし、すべての利害関係者に対して同時に為になる事もあります。それは正確な情報を適宜開示し、対外的に経営陣が責任を果たしているかを知らせる事です。

その結果、利害関係者はその企業に対して判断材料を得ることができるのです。

■不透明だと…

さて、株主と経営陣の間には、経営陣の方が会社についての多くの情報を持っているといった、情報の非対称性が存在しています。株主にとっては経営陣が自らの信頼を裏切るかもしれないといった、エージェンシー問題が存在しているのです。

その対応策として、歴史的に株主は経営陣に情報開示、とくに財務情報の開示を求めてきたのです。(この辺の知恵が財務会計という領域に結実しているのですね。)

そして、今日では経営の透明性を高める必要性が叫ばれている関係もあり、株主のみではなく、様々な利害関係者(ステークホルダー)に対して情報開示を進んで行うようになっているのです。

そして、このような情報開示を行う責任をアカウンタビリティと表現するのです。

■アカウンタビリティは拡張されています

当初は、財務会計の情報開示の側面が強く出ていたこのアカウンタビリティという言葉ですが、近年ではステークホルダーに対して説明責任を負うと言った側面が強くなっています。

アカウンタビリティの対象が地域住民や顧客、従業員まで拡張されてくると「お宅の財務会計の情報はわかったけど、でこの問題について何をどうしてくれるの?」といった疑問が生じてきます。

言い換えれば、あなたの住んでいる地域に工場があり、騒音問題を引き起こしているときに、財務諸表を提供されても何の説明にもならないということです。

このことから、会計情報以外の情報の開示もアカウンタビリティに含まれています。

ただし、情報を開示しただけではアカウンタビリティを果たしたとみなされなくなっている点注意が必要です。

■責任の側面

どういうことかというと、アカウンタビリティは説明責任だけでなく、実行する責任まで問われ出しているためです。

例えば、上の例で工場の騒音問題で「これこれこういう理由で、騒音が出ています。」と説明すれば『説明責任』としてのアカウンタビリティは果たしています。

しかし、アカウンタビリティ自体は果たしていないと考えられます。どういうことかというと、実行(この場合は改善する)責任を怠っているからです。

そのため、アカウンタビリティを果たすためには、騒音が出ている理由を説明した上で、改善する責任まで果たす必要があるのです。

■結果に責任を持つことまでがアカウンタビリティだが

この意味で、今日のアカウンタビリティは結果責任まで内包した言葉になっています。

しかし、この方向に進みすぎると説明するためのコストばかりかかってしまい、製品やサービスを利用する人と提供者が受け取るべき経済的利益を圧迫してしまいます。

もちろんアカウンタビリティが重要である事は論を待ちません。しかし、バランスを逸脱した説明責任、実行責任を社会が求めるならば、その対価も社会が支払う必要が出てきてしまうのです。

■アカウンタビリティとコンプライアンスやガバナンスとの関係

企業倫理を支える言葉として、アカウンタビリティの他にコンプライアンスやガバナンスと言った言葉も一緒に語られることがあります。

アカウンタビリティは前述の通り「説明する事」であると理解していただければですが、コンプライアンスは「法令遵守や遵法」、ガバナンスは「統治や監督機能」と言った理解になります。

つまり、3本柱としては
・アカウンタビリティ(説明責任)
・コンプライアンス(法令遵守)
・ガバナンス(統治)
などと、言ったものとなります。どうでしょうか、割と隙のない構成になっていますよね。

不祥事を例に説明すると
・不祥事が発生した理由を説明するのがアカウンタビリティ
・不祥事が発生しないように正しく事業を運営するのがコンプライアンス
・不祥事が発生しないように取締役などが監督するのがガバナンスです

どれも似ていて、どれも大切ですが受け持ち範囲が少しずつ違うのですね。

関連用語
コーポレートガバナンス
経営
2015年1月4日

経営方針 | 経営理念と具体的な経営計画の間をつなぐ重要な考え方です

経営方針
経営方針とは、経営理念を実現させるために、どのように行動するかの方針の事です。イメージとしては、企業がどうあるべきかの哲学的な概念である経営理念に対し、その経営理念を実現するために具体的にどのような方向を目指すかといったモノになります。

そして、この経営方針に従って長期経営計画中期経営計画短期経営計画に落とし込んでいきます。

まさに、経営の方針なのですね。

例えば、あるパン屋さんを考えてみたいと思います。このパン屋さんの経営理念が「地域の健康に貢献する」とあるのであれば、経営理念である「地域の健康に貢献する」ために、自社がどのような方向に向かうのかを考える必要があるのです。

何といっても、経営理念だけが漠然としてあったとしても、これをどのように事業活動に結び付けていけばいいのかが分からないですからね。

そこで、経営方針として、経営理念をもう少し具体的にしていくのです。今回の例では「今後、地域で採れる自然の素材を活用していく」といった方向性を決定し、具体的な経営計画に落とし込んでいくこととします。

例えばこの経営方針を元に、「今年は、地元の農家さんの勉強会に参加する」とか「今年は前年比で5%ほど収益性を向上させ、そのお金を原資に研究開発を行う」といった感じの具体的な行動計画を立てていくのです。

こういった意味から、経営理念を元にどのようなアクションにつなげていくかを考えて、言葉にしていくのが経営方針という事ができるのですね。

関連用語
経営計画
サイト紹介
まんがで気軽に経営用語を学んじゃおう。難しい・なじみのない経営用語でも、まんがなら簡単に親しめます。
まんがで気軽に経営用語について
TOP絵一覧

📘 noteでも発信中

経営支援の現場から、
言葉のリアルをお届けしています。

▶ noteを見る
索引
あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行
わ行
英字 A B C D E
F G H I J
K L M N O
P Q R S T
U V W X Y
Z
数字 1 2 3 4 5
6 7 8 9 0
ライブドアさんから
badge
リンクについて

このブログはリンクフリーです。
以下のバナーもご自由にお使いください。

まんがで気軽に経営用語バナー
ランダム
  • ライブドアブログ