
今年もやってきたよ…

なにが?

ココは、町はずれのファンシーショップ。80年代の香りが今なお残るちょっと時代に取り残されたお店です。

ファンシーショップという業態。結構昔の業態かなぁと思いきや、最近でも割とあるみたいです。

とはいえ、このお店は、新しい感じではなく、それなりに年季の入ったお店になります。

実はね…

毎年この時期に恐ろしい事が行われるんだよ…

それはそれは恐ろしいイベントで…

どういう事?

それは…

そこまでよ!秘密を新人にばらすそうなんて、そうは問屋が卸さないわ!

ひよこねえさん!?

ふふふ。私に黙って秘密をばらすなんていけない子ねェ…

(僕って新人だったっけ?)

うわぁ…勘弁してくださいよ…

いいわ。私の故郷、岐阜の…

飛騨牛ですか?

だめよ。私たちは『ぬいぐるみ』なんだからお肉なんて食べたらホラーでしょ?

確かにホラーですね…

やっぱりかわいい感じでイチゴとかね。

で、恐ろしいイベントって何なんですか?

あら、みんなもうイベントのお話をしているのかしら?

そうよ、ミンナにとっても見逃せないイベントになるわよね。

あ、オーナーさん。

どんなイベントなんですか?

ふふふ、それはね…赤札市よ。

あ、赤札市だってー!?

で、赤札ってなぁに?

あら、お約束の反応ありがとうね。

赤札市っていうのはね、いわゆる特売品を処分価格で売るセールの事よ。

まあ、出血大サービスってところから赤札って言われているって説もあるけど、目立つように赤い値札を付けたって説の方を私は推すわ。

でも、そんなに値下げしちゃったら大赤字になっちゃいますよね?

そうですね。赤字は困るんじゃないんですか?

いいのよ。というか、定期的に赤字覚悟でも在庫は入れ替えないといけないの。

(在庫を入れ替えるって表現が怖いんだよね…)

まず、お店が続いていくためには現金が大切という事は分かるわよね?

そうね。黒字倒産という言葉もあるように、どれだけ儲かっていても現金が尽きたらそこでおしまいよね。

で、在庫を持っているという事は、現金という観点から見たらどうなるかしら?

えっと、在庫は現金で仕入れてくるものだから…

現金にとってはマイナスだね。

なんで?なんで現金にとってマイナスなの?

えっと、例えば100万円の元手があるお店で、100万円分の商品を仕入れたとするじゃない?

そうすると、それが売れるまで手元には現金がなくなるよね?

うーん…

じゃあたとえば、そのお店の仕入れた商品のうち、半分、つまり50万円分がずっと売れなかったらどうなるかしら?

えっと、残りの50万円で商売をするしかなくなる…のかなぁ?

そうよ。

それにね、現金だって誰かから借りてきたり、他の運用をしたら得られるような収益を犠牲にして調達しているわけだから、コストがかかっているのよ。

元手にもコストがかかるなんて、資本主義的よねぇ。

だから、たとえ赤字になったとしても在庫処分をする価値は有るのよ。

で、今年の赤札市はどうするんですか?

ふふふ、この日のために投げ売り価格で売っていたバッタのぬいぐるみを大量に仕入れてきたのよ。

バッタですか?イマイチかわいくないし、それに在庫処分にならないのでは?

あら、バッタじゃなくってイナゴだったかしら?

ぬいぐるみとしての造詣が雑だからイナゴかバッタかの区別がつきませんね…

でも、売り切れないんじゃないのかしら?

大丈夫よ、チラシをしっかりと配布して宣伝をしたから。

なんだか本末転倒な感じもしますが、在庫処分は必要があってなされているのです。
今回出てきた言葉
赤札
黒字倒産
資本コスト
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