ねえねえ、きいてくれるかしら?
売上を画期的に伸ばす方法を考えたのよ。
ココは、町はずれのファンシーショップ。80年代の香りが今なお残るちょっと時代に取り残されたお店です。
ファンシーショップという業態。結構昔の業態かなぁと思いきや、最近でも割とあるみたいです。
とはいえ、このお店は、新しい感じではなく、それなりに年季の入ったお店になります。
今日は、オーナーさんの思い付きからお話が始まります。
…でね、取引条件を変えるって手があるらしいのよ。
えっとそのお話は、どこで聞いてきたんですか?
あら、『できるショップオーナー研究セミナー』よ?
なんか、取ってつけたようなセミナー名ですね…
セミナー名なんて別にいいのよ。ちゃんと成果さえ上がれば例えば「hogehogeセミナー」とかでもね
確かにそうですが、hogehogeとか、ちょっとIT屋さんっぽくないですか?
そういえばそうね(にっこり)
和やかな雰囲気の中、取引条件の変更を試してみることに決まりました。
ふふふ、ざっとこんなもんよ。
取引条件の変更で売上急上昇。現金払いじゃなくって後払いを認めるだけで財布のひもが緩くなるのね。
このままいけばマスコミにも取り上げられて、一躍時の人となった私は、丸の内のキラキラ光るオフィスビルで、
仕事の出来る私は世界的な企業のCEOに。そして、素敵な執事に囲まれて(はぁと)
あらあら、オーナーさんは今日も平常運転ねェ…
でも、取引条件の変更で売り上げは上がったけれども…
どうしたんですか?姐さん。浮かない顔をして?
あら、姐さんなんて照れるわね…
でも照れている場合じゃないのよ。今期はたぶん大赤字になっちゃうのよ!
なんだってー!
でも、売り上げが凄く上がったってオーナーさんは言っていたよ?
それなのに、大赤字なんて変じゃないの?
だよね、ああ見えてオーナーさんはしっかりしているから決して赤字では販売しないはずだし?
そうそう、結構がめついんだよね…
あーら、誰ががめついですって?そういう事を言う子はフリーマーケットがよんでいるわよ?
うわぁ…勘弁してくださいよ…
まあ、フリーマーケットは冗談よ。かわいい皆をそんな投げ売り価格で売るわけないじゃない。
値下げするのは簡単だけど、一度値下げすると相場が下がっちゃうからね。
で、今期は大赤字とか言っていたけど、根拠はあるのよね?もちろん、根拠もない誹謗中傷じゃぁ無いわよね?
オーナーさん怖い…
ありますわ。まずは、資金繰りの問題ですわ。
そうね、確かに後払いを認めたから、資金繰りはタイトになったわ。というか正直借り入れを起こしましたよ。
でも、資金繰りと利益の概念は関係ないわよね?
なんだかんだ言ってお店のオーナーさんです。結構ちゃんと利益と資金繰りは別の概念であることを押さえています。
まあ、「まんがで気軽に経営用語」を愛読しているからね…
こういうのをポジショントークと言います。経営マンガの中の人が書いていますから、ちょいちょい宣伝していきます。
で、話を戻すけど、資金繰りと利益は別概念だから、それで大赤字なんて言われちゃうと困っちゃうわ。
でも、金利を支払わないといけないですわ。その分利益は圧迫されるハズ。
あーら、この超低金利時代に金利なんてわずかなものですわ。だから金利を考慮しても全然黒字のハズですわ。
おいおい、だんだん緩い世界観が壊れてきたぞ…
経営の話になるとあの二人って熱くなるんだよね…
では、貸し倒れについてはどうかしら?
あ、そういえば…
そうですわよね?すごく貸し倒れが今期は想定されますわよね?
という事は?
今期の費用として貸倒引当金を沢山積む必要が…
で、貸倒引当金は費用だから、赤字ですわよね?
でも、ちょっと待って。まだ発生していない費用だからそれで赤字って言われても納得できないわ。
それに、貸し倒れが仮に発生するとしてもそれは来期以降の話だから、どうして根気が大赤字になるのよ?
そういえばそうだね。なんか変だよね?
その辺を詳しく教えてもらえます?姐さん?
まず、どうして今期になって売掛金が沢山発生したのかしら?
うーん、よく分からないけど、今期の販促のためかなぁ。
そうね。そうしたら、その今期の販促のためにやった事なんだから、その売掛金が貸倒れた費用は?
…今期の費用として計上するのが適当ね…
という事は、沢山、貸倒引当金を積まないといけないから…今期は赤字になる可能性があるのね…
それじゃあ困るという事で、オーナーさんは売掛金の回収に走り回ったそうです。
今回出てきた用語
貸倒引当金
ポジショントーク
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ストーリーで解説経営用語
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まぁそんな細かいことどうでも良いか
わかるし