増加運転資金
増加運転資金とは、必要な運転資金が増加したことに伴い、調達してくることが必要となった運転資金の事を指します。

例えば、売上高の増加は一般的に望ましい事ではありますが、必要な運転資金も増加します。

また、売上高が一定であっても、取引条件が自社にとって不利に(売上債権の回収が遅くなるとか、仕入債務の支払いが早くなる)なれば必要な運転資金も増えます。

さらに、在庫管理がうまく行っておらず、在庫水準が増えても運転資金は増えてしまいます。

このように、一言で必要とする運転資金が増えたと言っても様々な原因が考えられるのです。

■売上が増えると

それでは売り上げの増加によって必要な運転資金がどれだけ増えるかを見ていきたいと思います。

今回は、従来50万円の売上高を上げている企業が200万円の売上を上げることができるようになったとします。

取引に関わるもろもろの条件としては、売価の半額での仕入を行い、仕入先には1か月後に支払う。また、販売後2か月後に現金を回収するとします。

また、機会ロスを防ぐために在庫として、月商の一か月分を常に保持するとします。

この場合の運転資金は、売上高が50万円の時には

所要運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務

なので、

売上債権=50万円×2か月=100万円
(販売後、お金の回収に2か月かかります)

棚卸資産=50万円
(1カ月分の在庫を持つため)

仕入債務=25万円×1カ月
(1か月後に原価率50%で仕入れた商品の代金を支払います)

となり

所要運転資金=100万円+50万円-25万円=125万円

となります。

つまり、50万円の売り上げを常に上げようと考えたとき、この会社は125万円を運転資金として持っていないといけないという事です。

このような条件の下、売上が200万円、つまり4倍になったとします。

この場合の所要運転資金は

売上債権=200万円×2か月=400万円
(販売後、お金の回収に2か月かかります)

棚卸資産=200万円
(1カ月分の在庫を持つため)

仕入債務=100万円×1カ月
(1か月後に原価率50%で仕入れた商品の代金を支払います)

となり

所要運転資金=400万円+200万円-100万円=500万円

となります。150万円の売上増によって、125万円でよかった運転資金が、500万円必要になったのですね。

この場合、375万円をどこかで調達してこないと、売り上げの急増によって資金ショートを起こす可能性が出てきてしまうのです。

(売上高の増加によって必要な運転資金が急増するので、急成長した企業が急に倒産するといった事が発生するのです。)
事業を営むのに必要な情報
姉妹サイトとして開業や創業、事業経営に大切な情報をコンサル目線でまとめてみました。