おみこし型経営
おみこし型経営とは、日本的経営の特徴の一つであり、トップマネジメントミドルマネジメントが支えながら(というか担ぎながら)経営を行っていくといった言葉です。

自分の統括する職能を管理するのがミドル層の役割ですので、「人事は任せておけ!」とか「製造は自分に訊いてください。」といった人たちの集まりが、トップを担いで経営をするといったイメージとなります。

そのため、ミドル層自体には、企業全般を見通すような権限が与えられていません。

企業全般を見通すような権限を持っていない人たちが集まって、経営をするわけですから、近視眼的になりがちですし、部門ごとの部分最適になりがちです。

また、責任の所在があいまいになりがちです。(会社に問題が発生した場合に原因を特定しようとしても、製造部だけが悪いとかそんなケースは稀です。)
  • トップマネジメントは
このような状況になっていたとしても、おみこし型経営となっている場合、トップマネジメントは株主から送り込まれた代理人といった色合いよりも、従業員の代表といった色合いが強いため、リーダーシップを発揮して、方向性を決定するような力に欠けています。
 
そのため、この『おみこし型経営』とは、みんなで決めてだれも責任を取らない(権限と責任が一致していないので、誰に責任をとらせても望ましくない:権限責任一致の原則)といった(かつての)日本的経営の陥りがちだった悪い体質を表す言葉なのです。

■おみこし型経営が生まれた背景と改善策

「和を以て貴しとなす」とずっと昔に偉い人が言ったように、我が国では仲良く決めることが重視されてきました。

また、学校教育などでもリーダーシップを過剰に発揮するようなスタイルはあんまり好まれず、クラスの文化祭の出し物なんかは「みんなで決めてくださいね」と言った形でのボトムアップでの合意形成を重視して訓練されていました。

経済史の観点から掘り下げれば、高度成長期(1950年代中頃から1970年代前半まで※)に終身雇用・年功序列・合意形成重視といった観点から生まれた現象でした。稟議制度や非公式な根回しとの親和性も高く、様々な部署が協調して物事を進めるスタイルの一つの帰結としてリーダーもミドルマネジメントが担ぎ上げるといったスタイルが生まれたのです。

もちろん、その当時の経営環境においては一定の合理性もあったのだとは考えますが、経営環境の変化が激しくなった昨今では、世の中の動きに置いていかれるリスクも大きい経営スタイルです。

■改善策はあるの?

さて、このおみこし型経営ですが、権限と責任を明確にする事で改善する事が可能です。トップマネジメントはトップマネジメントとしての権限を行使し責任を取るように、会社全体の方向転換を行うのです。

そのようにすれば、現場の声を聞くという従来のスタイルの優位点と、迅速な意思決定を両立することができます。

ミドルマネジメントがトップに対して、事実とそれに裏付けられた意見を上げる。トップは上がった事実と意見を元に決断を下すことが重要なのです。(決断の際におみこし型経営だと過剰に社内政治が発生するので組織の資源を浪費しがちです。)


※高度成長期は2025年現在からすると半世紀も前のことで、経済史に属する事柄です。それを経営用語の説明で引き合いに出しているのですから、失われた30年というのはいかに長くて大きかったかが、しのばれますね。