インターカラー
インターカラーとはInternational Study Commission for Colorの事です。はい、何のことかよく分かりませんね。では日本語に訳してみます。日本語訳では『国際流行色委員会』と訳されることが多いのですが国際的な流行色の委員会といった意味合いの言葉です。
 
これでも何のことかわからないですね。「普通の人は国際的に流行している色を調査研究する委員会?」と考えると思いますが、そんなに生易しい組織ではありません。

このインタカラーは一応、2年後に流行る色を予測して発表する事を目的としている組織ですが、なぜかその予測は的中します。というか、実質的に2年後の流行色を方向付けている機関なのです。
  • 自己成就予言?予測が正確なの?
さて、人間社会では自己成就予言といった現象が発生します。例えば、PPMなどで負け犬に位置づけられた事業部が本当に負け犬化してしまい、業績が散々なものになる。10年に一度の逸材と呼ばれ続けた人が本当に大成するといった現象です。

それでは、インターカラーの2年後の流行色もその類のモノなのでしょうか?再来年は『若草色』が大流行すると言い続けていたがために本当に流行したといった感じなのでしょうか?

それとも、様々な国籍の専門家の人たちが集まって検討するため、非常に正確な予測ができているのでしょうか?

そのいずれもハズレです。答えは、インターカラーが選定した再来年の流行色の方向を元に具体的な流行を作り出すべく世界的にタッグを組んで動くといった感じです。

つまり悪い言葉で言えば自作自演に近い感じなのでインターカラーが発表した予測は的中するのですね。

■流行色決定の仕組みと業界への影響

インターカラーが選定した方向性は、以下のようにどんどん川下に降りていきます。

トレンドカラーの決定→テキスタイルへの反映→メーカー・ブランドなどでのトレンドカラーに基づいた展開→今年は〇〇色が流行っていますという報道

どうでしょうか?流行色は決して予測ではなく、国際的なサプライチェーンの都合で合意形成されて作り出されているものなのです。

とはいえ、いきなり流行色をでっち上げるのではなく、人々の心理(コロナで傷ついた心を落ち着かせるために何となく淡い色が流行った(流行らせた)など)に基づいて、一定程度の必然性を未来の気分として決めていくものなのです。

例えば、景気後退期には落ち着いたトーンの色やいわゆるアースカラーが選ばれることが多いですし、技術革新が進んでいる次期にはメタリック系やブルー系などが選ばれたりします。

とはいえ、計画的陳腐化などあまり良くないキーワードも思い浮かぶように、アパレル産業は意外と環境負荷の高い産業だったりします。



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