
タコ配とは、タコ配当の略で、タコがお腹が減った際に自分の足を食べてお腹を満たすように、本来は自分で持っていなければならない純資産(自己資本)を食いつぶして無理をして配当を行うといった行為を表す言葉です。
■配当金は利益の配分です
例えば、赤字になっていた場合、配当金はあくまで儲けの分け前といった位置づけであるため、本来は配当を出さないという選択肢もあるのです。
しかし、「配当を出しておかなければ株価の下落を招くかもしれない」とか、「配当が出せないと経営責任を追及されるかもしれない」といった理由によって、赤字で会社の体力が減っているにもかかわらず、更に配当という形で会社の経済的資源を流出させるような意思決定が行われる事があります。
このような姿を指して、前述のタコのようだという事でタコ配と呼ばれているのです。
■タコ配の例
例えば、大塚家具という上場企業において、株主からの賛同を得て経営権を確保するために配当を大幅に増加させたという例があります。
その後、いろいろあって大赤字に転落したにもかかわらず、大幅に増加させた配当金の水準をそのままにして手元にある現金預金の水準を大幅に低下させたことがありました。
そもそも大塚家具の現預金がここまで細った一因には配当の大盤振る舞いがあったことを見逃してはならない。お家騒動でプロキシファイト(委任状争奪戦)が行われた際、久美子氏は株主から賛同を得るため大幅増配を約束した。15年12月期、大塚家具はそれまでの倍増となる年80円配を実施。必要な原資は14億円超にも上った。不可解なのは、大赤字に陥った16年12月期も80円配を継続、さらに赤字幅が拡大し現預金の枯渇さえ心配され始めた前期も減配とはいえ年40円配を実施した点だ。大塚家具のビジネスモデル大崩壊で、銀行が備え始めた「Xデー」 マネー現代 2018/6/13
■タコは足を食べないらしいですよ?
さて、タコが本当に自分の足を食べるかどうかについては知りませんし、特にその話題を突き詰めようとも思いません。(当サイトはまんがで気軽にタコの生態ではありませんからね。)
しかし、自らの身を削って配当をするという行為についてこのように、かなり強烈な例えを使って示しているのです。
なお、負債(他人資本)と純資産(自己資本)は単に会社が現金をどのように調達しているかを示す言葉です。
タコ配をするために「会社の資産を売り払って現金化して云々」といった解説がなされる場合があるのですが、それはこの『タコ配』という言葉とは特に関係のない話となります。
タコ配をするために「会社の資産を売り払って現金化して云々」といった解説がなされる場合があるのですが、それはこの『タコ配』という言葉とは特に関係のない話となります。
つまり、タコ配をするためには、最終的には現金を払い出すことになりますが、その現金の調達源泉はなんであっても構わないのです。
金庫にしまってあった現金であっても、建物を売り払っても、場合によっては銀行から借りてきても良いのです。
金庫にしまってあった現金であっても、建物を売り払っても、場合によっては銀行から借りてきても良いのです。
このタコ配という言葉で問題にされるのは、配当が儲けの分け前として行われるのではなく、過年度に蓄積された内部留保、すなわち利益剰余金等の剰余金が減るという事なのです。
そのため、会社にある金庫から現金を出してきて配当金を支払ったとしてもタコ配になる可能性もありますし、十分に利益が出ている会社ならば、配当をするために土地や建物を売り払ったとしても、通常の配当である場合もあるのです。
現金とその調達源泉を分けて記録するという簿記のお話が理解できればこの辺のカラクリを理解できると思うのですが、この辺を分かって話ができる人は少ないというのが現状です。
なお、会社法では債権者を保護するために分配可能額を上回るタコ配を禁じています。債権者も株主と同じ重要なステークホルダーですから、株主が企業が破綻するのを覚悟の上で際限なくタコ配をしてしまうと非常に問題です。
そのため、配当として分配できる金額は会社法上で制限が加えられているのです。タコの足を食べるぐらいならいいとして、タコの体までは食べてはいけないと言うことですね。
そのため、配当として分配できる金額は会社法上で制限が加えられているのです。タコの足を食べるぐらいならいいとして、タコの体までは食べてはいけないと言うことですね。
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