DPO(ディスカウントペイオフ)とは金融機関等が持っている債権の取り立てが困難であるような場合に、金融機関が元金よりも低い金額で第三者に売却をし、その後、買い取ってもらった債務者が第三者からその債権を買い取るなどして、残りの債権をあきらめてもらうといったモノです。
なんだか、債務者(借りている人)だけが得をしてそうな一連の取引ですね。しかし、このような方法を採ることによってみんながそれぞれ少しずつ得るものがあったりします。
誰かが損をするだけなら、あまり継続的に行われたりしませんからね。
- 債務者(借り手)のメリット
さて、債務者のメリットは非常に分かりやすいと思います。やってもらう事は実質的に借金の棒引きですからね。
つまり借りていたお金を返さなくても良くなるわけですから、仮に本業が十分な利益を上げていれば、一気に事業の再建も見えてくるというわけです。
もっとも、棒引きされた分の債務はそのまま利益となってしまうので、十分な現金を持っていたり、累積赤字を抱えていたりしないと、今度は税金の支払いで大変な事になってしまいます。利益と現金の出入りは違いますからこういった点には注意が必要です。(参考:黒字倒産)
もっとも、棒引きされた分の債務はそのまま利益となってしまうので、十分な現金を持っていたり、累積赤字を抱えていたりしないと、今度は税金の支払いで大変な事になってしまいます。利益と現金の出入りは違いますからこういった点には注意が必要です。(参考:黒字倒産)
- 第三者(サービサーや専門のファンド)のメリット
それでは、これらの第三者はどうでしょうか?こういった第三者は金融機関から債権を安い金額で譲渡してもらい、それを少しでも上回る金額が回収できれば利益になります。
例えば、金融機関から1億円の債権を1,000万円で買い取って、債権者から1,200万円回収できればそれだけで利益を得ています。
この例だと200万円分の利益を得ていますね。そして、この場合、1億円の債権の残りの部分にこだわらなくても十分な利益を得ていると判断できれば、残りの部分については放棄してしまっても良くなります。
というか、もともとの債権全額を回収しようとすると、非常な困難が予想されるので(問題なく回収できるなら、金融機関も1億円の債権を1,000万円で売ったりしませんからね)むしろ全額を回収することを考えない方が合理的なのかもしれません。
この例だと200万円分の利益を得ていますね。そして、この場合、1億円の債権の残りの部分にこだわらなくても十分な利益を得ていると判断できれば、残りの部分については放棄してしまっても良くなります。
というか、もともとの債権全額を回収しようとすると、非常な困難が予想されるので(問題なく回収できるなら、金融機関も1億円の債権を1,000万円で売ったりしませんからね)むしろ全額を回収することを考えない方が合理的なのかもしれません。
- 債権者(貸し手)のメリット
さて、このような制度の説明をしていて、一番わかりにくいのは貸し手側のメリットです。「結局、貸していたお金の回収を放棄するんだよね?だったら損なのでは?」と思われる方も多いと思います。
しかし、しっかりと債権者側にもメリットがあるのです。分かりにくいですが、債権を放棄できるという事自体がメリットになってきます。
これは、金融機関はそう簡単には債権放棄をするわけにはいかないという点を考えていただくことから始まります。
というのは、隣のお店からは全額回収したにもかかわらず、あなたのお店の債権だけ放棄するというわけには基本的にはいかないですよね?さらに、金融機関にも株主がいますので、株主の利益に反するような行為を勝手に行ったとなると、経営陣に説明責任が出てきてしまいます。
というのは、隣のお店からは全額回収したにもかかわらず、あなたのお店の債権だけ放棄するというわけには基本的にはいかないですよね?さらに、金融機関にも株主がいますので、株主の利益に反するような行為を勝手に行ったとなると、経営陣に説明責任が出てきてしまいます。
このように、金融機関が債権を放棄しようとすると色々と大変なのです。
しかし、金融機関が債権を放棄したいと考えるような状況というのもあるのです。例えば、無理に回収した場合、お金を貸している企業が倒産してしまうとしたらどうでしょうか?この企業は本業でしっかりと利益を上げているので、債権のうちの一部を放棄できれば立ち直ることが見込めるといった条件も付けてみます。
このような場合では、例えば債権のうち一部を放棄して企業を再生した上で残金を取り立てる方が合理的ですよね。
また、どうしても取れないような債権をいつまでも持っておくのではなく、損金扱いにして税金を減らしたいと考えるような場合もあります。
債権の放棄は必ずしも金融機関にとって不利であるとは言えないのです。その為、ディスカウントペイオフのような事を行うような場合、当事者にはそれなりの思惑があり、それなりの利益を引き出すことになるのです。
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