アカウンタビリティ
アカウンタビリティとは、説明責任のことを指す言葉で、利害関係者(ステークホルダー)に対して自らの行動を説明させる責任のことを指す言葉です。そして、企業にとってのその説明は主に財務会計といった形を取って行われます。

このアカウンタビリティは、アカウンティング(会計)とレスポンシビリティ(責任)という2つの言葉かあら生まれた言葉となりますので、会計的に、利害関係者にたいして説明する責任といったニュアンスがありました。

■どうして説明しないといけないの

今日の株式会社は、活動範囲が広範にわたっており、またその額も多額になっています。そして、その結果、企業を取り巻く環境に対して与える影響は非常に大きくなっています。


そのため、「会社?会社は株主のモノだから株主にだけ説明しておけばいいんだよね?」といった風にはいえません。

なぜかというと、利害関係を持つ人は広範にわたるためそれらすべての人に対して責任責任(アカウンタビリティ)が生じるためです。

そのため、「お金を借りている債権者にだけはちゃんと説明しないとね…」、「税務署の人が来たら大変だから適正に申告をしよう」といった風に、株主以外の利害関係者にも説明責任を負っているのです。

この例のほかにも、取引先や、顧客、消費者、従業員、事業所の存在する地域の住民といった風に、考えていくと利害関係者は非常に広範囲に存在することになります。

■説明する責任があります

さて、そういった様々な利害関係者に対して、企業が誠実であるために、できることはなんでしょうか?

株主に還元すべく、余剰資金はすべて配当することでしょうか?でもそうすると、債権者は借金の回収が難しくなりそうですよね?

では、従業人に還元するために、ギリギリまで労働分配率を高めますか?でも、そうすると、株主へ対する利益の分配は減少しますし、会社にお金が無くなると、債権者の権利も害されますよね?

このように、金銭面の配分では、どこか特定の集団に対して為になる事をやったとしても、なかなかすべての利害関係者に報いることは難しいのです。

しかし、すべての利害関係者に対して同時に為になる事もあります。それは正確な情報を適宜開示し、対外的に経営陣が責任を果たしているかを知らせる事です。

その結果、利害関係者はその企業に対して判断材料を得ることができるのです。

■不透明だと…

さて、株主と経営陣の間には、経営陣の方が会社についての多くの情報を持っているといった、情報の非対称性が存在しています。株主にとっては経営陣が自らの信頼を裏切るかもしれないといった、エージェンシー問題が存在しているのです。

その対応策として、歴史的に株主は経営陣に情報開示、とくに財務情報の開示を求めてきたのです。(この辺の知恵が財務会計という領域に結実しているのですね。)

そして、今日では経営の透明性を高める必要性が叫ばれている関係もあり、株主のみではなく、様々な利害関係者(ステークホルダー)に対して情報開示を進んで行うようになっているのです。

そして、このような情報開示を行う責任をアカウンタビリティと表現するのです。

■アカウンタビリティは拡張されています

当初は、財務会計の情報開示の側面が強く出ていたこのアカウンタビリティという言葉ですが、近年ではステークホルダーに対して説明責任を負うと言った側面が強くなっています。

アカウンタビリティの対象が地域住民や顧客、従業員まで拡張されてくると「お宅の財務会計の情報はわかったけど、でこの問題について何をどうしてくれるの?」といった疑問が生じてきます。

言い換えれば、あなたの住んでいる地域に工場があり、騒音問題を引き起こしているときに、財務諸表を提供されても何の説明にもならないということです。

このことから、会計情報以外の情報の開示もアカウンタビリティに含まれています。

ただし、情報を開示しただけではアカウンタビリティを果たしたとみなされなくなっている点注意が必要です。

■責任の側面

どういうことかというと、アカウンタビリティは説明責任だけでなく、実行する責任まで問われ出しているためです。

例えば、上の例で工場の騒音問題で「これこれこういう理由で、騒音が出ています。」と説明すれば『説明責任』としてのアカウンタビリティは果たしています。

しかし、アカウンタビリティ自体は果たしていないと考えられます。どういうことかというと、実行(この場合は改善する)責任を怠っているからです。

そのため、アカウンタビリティを果たすためには、騒音が出ている理由を説明した上で、改善する責任まで果たす必要があるのです。

■結果に責任を持つことまでがアカウンタビリティだが

この意味で、今日のアカウンタビリティは結果責任まで内包した言葉になっています。

しかし、この方向に進みすぎると説明するためのコストばかりかかってしまい、製品やサービスを利用する人と提供者が受け取るべき経済的利益を圧迫してしまいます。

もちろんアカウンタビリティが重要である事は論を待ちません。しかし、バランスを逸脱した説明責任、実行責任を社会が求めるならば、その対価も社会が支払う必要が出てきてしまうのです。

■アカウンタビリティとコンプライアンスやガバナンスとの関係

企業倫理を支える言葉として、アカウンタビリティの他にコンプライアンスやガバナンスと言った言葉も一緒に語られることがあります。

アカウンタビリティは前述の通り「説明する事」であると理解していただければですが、コンプライアンスは「法令遵守や遵法」、ガバナンスは「統治や監督機能」と言った理解になります。

つまり、3本柱としては
・アカウンタビリティ(説明責任)
・コンプライアンス(法令遵守)
・ガバナンス(統治)
などと、言ったものとなります。どうでしょうか、割と隙のない構成になっていますよね。

不祥事を例に説明すると
・不祥事が発生した理由を説明するのがアカウンタビリティ
・不祥事が発生しないように正しく事業を運営するのがコンプライアンス
・不祥事が発生しないように取締役などが監督するのがガバナンスです

どれも似ていて、どれも大切ですが受け持ち範囲が少しずつ違うのですね。

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コーポレートガバナンス