財務会計とは、主に企業外部の利害関係者に対して報告を行うための手法です。報告のための手段、外部向けの会計といった風に理解すれば大丈夫だと思います。英語ではfinancial accountingと表記されます。
と、ここで外部向けと強調して書いたのには理由があります。それは、外部向けの会計に対して、企業内部のための会計という考え方がある為です。
そして、この企業内部向けの会計を(企業)管理に役立つ会計という意味合いから、管理会計と呼びます。
- どうして外部に報告するの?
さて、財務会計ですが、先ほど企業外部のための会計といった風に言いました。それではどうして企業外部にワザワザ報告をしなければならないのでしょうか?
この疑問に答えるため、企業を運営するために何が必要かを考えてみましょう。
まず、企業を運営するためにはお金が必要です。そしてそのお金は、他人から調達、自己資金いずれの場合でも別の誰かのモノです。
また、企業が儲けるためには社会全体のインフラを利用しているわけですから、その対価として税金を支払う必要もあります。
このように、企業を様々な人たちが利害関係を持って取り巻いているのです。(こういった人たちをステークホルダーと呼びます。)
そして、そのステークホルダーに対して情報提供を行う事。経営者自身が責任を果たしている事を報告することが必要となってくるのです。
- 細かいルールがあります
さて、外部に伝達する事が財務会計では大切だと書きました。それでは、外部に伝達するときに大切なことはなんでしょうか?
正確なことですか?適宜報告される事ですか?誰が見てもわかる事ですか?これらの事はどれも大切ですよね。ただ、いずれにしても、一定のルールに則って報告されていないことにはこれらの要件を満たすことはできなさそうですよね。
そのため、財務会計は管理会計と比較して細かいルールに則った対応が必要となるのです。
- 情報提供が機能しないと
例えば、あなたが会社に対してお金を貸して運用したいと考えているとして、このまんがのようなルールに則っていないあやふやな報告書が出てきたらどうでしょうか?ちょっと、リスクが高そうに感じますよね?
そして、リスクが高い借り手には通常よりも高い金利を付けないと、とてもじゃないけど貴重な資金を投じることはできません。
その結果、真面目にやっていて、リスクの低いと考えられる企業も、(報告の方式が整備されていないがために)リスクが高いとみなされて高い金利を要求されてしまいます。
その結果、本来低利で借りられたはずの企業も高い金利に苦しむこととなるため、その市場から負債(他人資本)としての資金調達を諦めるといった結果になります。
しかし、リスクの高い企業にとっては、いずれにしてもその市場からの資金調達は必要となるため、市場には質の悪い企業があふれかえってしまうのです。
このような事を逆選択といい、情報が適切に提供されないなどの情報の非対称性があると発生すると言われています。(アカロフのレモン市場とも言います。)
財務会計のルールがしっかりと整備されていないとこういった大きな問題が発生するのですね。
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