グロースキャピタル戦略
グロースキャピタル戦略とは、企業がリスクマネーを運用する投資ファンドなどを利用し、M&Aを実施して企業価値を向上させていく戦略のことを言います。英語ではGrowth Capitalと表記します。

企業は、リスクマネーを活用することによって事業拡大を図ることができ、投資ファンドは投資機会を得ることによって収益の獲得を目指すといった、いわゆる利害関係が一致する方策となります。

投資ファンドは、自ファンドが提供した資金を活用によって向上した被投資会社の株式などを市場で売却することで投資を回収し、また、キャピタルゲインを得ることを目的として投資を実施するのです。

■グロースキャピタル戦略のメリットと注意点

このようなグロースキャピタル戦略はリスクマネーを活用することができるため、事業拡大やM&Aのスピードをどんどん加速することが可能となることです。

自己資本の範囲や金融機関からの融資では到底実現することが難しいペースでの成長が可能となります。例えば、新しい事業分野へ進出したい時、お金が貯まるまで待つという堅実な戦略は非常に強いのですが、時間がかかります。このときに、投資家から資金を調達すればドンドン挑戦していくことができるのです。

他方で、投資家の行動原理は利益の追求です。そのため、上手くいかないと一気に資金を引き上げられてしまいます。また、短期的な成果を求められるといったリスクもあります。中長期的なビジョンをしっかりと持っていないと、経営理念に基づいた、自社が成し遂げたい理想ではなく、短期的な収益獲得装置に陥ってしまいます。

ソレに何より、成長が早いことが生むリスクにも注意が必要です。自社の組織体制は本当に急激な成長に耐えられる体制となっていますか?また、そもそも社長であるあなた自身が成長に耐えられますか?

十分な権限を部下に移譲するとともに、必要なコントロールはしっかりと行う。そんな難しい舵取りを求められるため、創業期や自社の資金で成長する時期とは異なる能力や立ち回りが要求されます。

優劣ではないですが、戦うステージが変わるので違ったステージでも対応していくことが求められるのです。

■グロースキャピタルと他の投資形態との違い

グロースキャピタル戦略は、既存の企業がもっと規模を拡大することを狙う際に用いられる戦略です。

拡大期に用いられる戦略で、お店が3店舗ある企業が10店舗に増やすために投資家から資金を出資してもらって調達するようなイメージになります。

■ベンチャーキャピタル(VC)やバイアウトファンド(PE)の違い

企業のライフサイクルの創業期や成長期に資金を出してくれる投資家として、ベンチャーキャピタルも思い浮かぶかもしれませんが、こちらは未だ形になっていない段階で応援する投資家になります。

これに対してグロースキャピタルはすでに一定の事業基盤を持っていて、それをさらに拡大したいという段階に出資するものとなります。そのため、経営権は通例では現経営者が握り続けることとなります。(順調な段階での資金調達で経営権を手放すようなことは基本的には発生しないですし)

この他には、成熟企業を買収するようなバイアウトファンドというものもあり、こちらは再生を意図するため経営権が奪われることも多くなります。

このように、グロースキャピタルは今まさに成長する企業へ対する資金提供と言ったイメージとなります。

■実務的な留意点

なお、外部からの出資による資金調達には十分注意が必要です。出資は返さなくていい資金だと思っている社長がいますが、「返『すことができない』」資金です。

つまり経営者の都合で手を切ることができなくなる重い意思決定となります。事業がうまく行って「さあこれからだ」というときに株主から取締役を送り込まれたらたまらないですよね?

でも受け入れた出資比率によっては十分にあり得るシナリオですから、出資を受ける際は十分に考えてくださいね。