プロダクトイノベーション
プロダクトイノベーションとは革新的な製品を生み出す事をいいます。英語ではproduct innovationと表記されます。直訳してプロダクト(製品)のイノベーション(革新)といったイメージで捉えておくといいと思います。

さて、革新的な製品を作り上げるというのはどのようなイメージになるでしょうか?改善という言葉ではなく革新という強い言葉を使うぐらいですから、既存の製品やサービスにはない画期的なものであるはずです。

例えば、ポケットベルから携帯電話、携帯電話からスマートフォンといった風に、既存のモノやサービスとは異なるモノを作りだすようなイメージですね。

このプロダクトイノベーションが発生すると、消費者に届く製品やサービスが根本的に変わりますので、世の中に大きな影響を与えます。

これは、スマートフォンが存在していなかった頃の生活と、今の生活がどれだけ変わったかを考えてみれば理解できると思います。
  • 従来にない製品を生み出すイノベーションとは
このプロダクトイノベーションは従来には存在しなかった製品を作り出すことです。そして、従来には存在しなかった製品とは全く新しい製品を最先端の技術を活用して作り上げることのことのように思われます。

しかし、プロダクトイノベーションは別に最先端の技術が必要なモノだけではありません。以下、プロダクトイノベーションの類型について見ていきます。

1.技術型・新規型全く新しい技術を背景に製品を作り出すイメージです。このタイプがプロダクトイノベーションとして想像しやすい類型だと考えられます。

2.組み合わせ型技術自体は存在していたのですが、それを組み合わせることで新しい製品をうみすことができます。

そして、このタイプのイノベーションを生み出すために、企業は他社と連携をしたりしていきます。
このタイプもプロダクトイノベーションのイメージに沿うと考えられます。

3.顧客ニーズ型顧客のニーズに沿った商品を開発したら、プロダクトイノベーションとなったイメージです。

例えば、飲料を缶に詰めてどこでも飲めるようにした缶ジュースは、従来お店で買っていた飲料を気軽に飲めるようにしました。

また、従来はお茶は自宅で煎れて飲むものだったのですが、缶入りの緑茶やウーロン茶などが登場して外出先で気軽に飲めるようになりました。

一見するとそんなに最新技術が使われているわけではないのですが、顧客にとっては革新的に便利になっているのです。
  • プロダクトイノベーションでは最終製品やサービスが変わる
プロダクトイノベーションでは、消費者や顧客に届く製品やサービス自体が変わります。

類似の言葉であるプロセスイノベーションでは製品サービスはそのままに、企業内部のプロセスがかわるだけなのですが、ここが大きな違いとなります。

こちらは抜本的な生産性の向上に結び付くような、製造工程の革新や、物流の革新等のことを言います。 但し、こちらのイノベーションの結果、消費者の手元に革新的な製品やサービスが届くという事はありません。そのため、あくまで企業内部の革新であると言われています。

プロダクトイノベーションとプロセスイノベーションは、消費者の手元に革新的な製品が来るか否かで区別することができるのですね。

なお、プロダクトイノベーションにともなってプロセスイノベーションも発生する事があります。

新しい製品を効率的に作るために、従来の業務プロセスを改革すると言ったことが存在するためです。
  • 損益計算書の売上に効いてくる
また、このプロダクトイノベーションは、損益計算書上の売上を向上させる方向で効いてきます。

プロセスイノベーションが費用を削減して利益率を改善させる方向に効いてくるのと対照的ですね。
  • プロダクトイノベーション後の対応
このプロダクトイノベーションを発生させた後には、大きく分けて2通りの選択肢があります。

1.研究開発費の回収を急ぐ一つ目は、革新的な製品である事から比較的高額の価格をつけて早急に研

究開発費を回収するといった方法です。スキミングプライシングと呼ばれる考え方です。
比較的市場が小さい、もしくは製品ライフサイクルが短いと判断されるような場合はこの方法がとられます。

2.市場シェアの獲得を目指すもう一つは、なるべく安く提供して市場シェアを一気におさえる方法です。

比較的市場規模が大きい、もしくは製品ライフサイクルが長いと判断できるような場合は、この方法がとられます。

そして、作り続けているうちに製造原価が下がってきますので(経験曲線効果や規模の経済が効いてくる)、長期的に見て十分に儲けることができる可能性のある方法です。

解説で出てきた用語・関連用語
プロセスイノベーション
技術提携
スキミングプライス
市場浸透価格
製品ライフサイクル
市場シェア
経験曲線
規模の経済
物流



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