V字カーブ
V字カーブとは事業の収益性と売上高(事業規模)の関係が、ちょうどVの字を書くようになるという経験則のことを指します。

と、ちょっとこれでは分かりにくいですね。そこで下のグラフを見てください。
V字カーブ【図】
このグラフでは、売上高の小さな企業の収益性は高く描かれており、また売上高の大きな企業の収益性も高くなっています。

しかし、売上高が中くらいの企業は収益性が低くなっており、ちょうどV字を書くようなグラフになっていますよね。このような経験則からV字カーブという言葉が発生したのです。
  • どうしてこんなことが起こるの?
さて「そういう経験則があるのは分かったけど、なぜそんなことが発生するの?」といった疑問を持たれる方もいるかもしれません。

そこで、規模が小さな事業と大きな事業の持つ有利な点を挙げてみたいと思います。(中規模の事業の場合どちらの利点も持ちにくくなるため収益性が劣るケースが多くなります。)
  • 小規模事業の場合
まず、小規模事業の場合、比較的大きな企業が参入できないような市場のニッチを狙う事が可能です。

例えば、『海運業界に就職したい、留年した学生さん』をターゲットとした就活セミナーなど、『就活対策』という大きな市場の中で『海運業界、留年した学生さん』というニッチを狙いに行く戦略です。

また、小規模事業の場合、従業員への教育訓練のコストも小さくなりますし、事業を管理するためのコストも小さくすることができます。

このような結果、小規模事業の場合は売上高の割にしっかりとした収益を得られるのです。
  • 規模の大きな事業の場合
さて、これに対して規模の大きな事業の場合はどうでしょうか?この場合、単純に規模の経済が効いてきます。また、多角化しているケースも多いでしょうから、範囲の経済も狙えます。さらに、累積生産数量が大きくなれば経験曲線効果も狙えます。

簡単に言うと、同じモノなら安く提供することが出来るようになるのですね。

また、十分に市場シェアの大きな企業ならば、リーダーとして振る舞う事も出来るのでこの面でも有利となります。
  • 中規模企業の場合
さて、中規模企業の場合どうなるでしょうか?市場のニッチを狙いに行くには企業規模が大きすぎて、かといって市場シェアを確保してリーダーとして振る舞うには企業規模が小さいといった状況に陥りそうですよね。

また、事業の管理コストも小規模企業と比較して多くかかりそうです。しかし物流センターを持つまでに至らない場合、物流のコストは大規模企業と比べて抑えることが難しいといった状況です。

このように、中規模企業の場合収益性を確保することが中々難しいという経験則をグラフにしたのが『V字カーブ』なのです。
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