人口ボーナス
人口ボーナスとは人口構成が経済成長にとって都合の良い状態のことを言います。具体的には、従属人口指数が低い、すなわち、子どもや高齢者などの働き手ではない人たちの比率が低い状態を指します。

いわゆる現役世代が多く、子どもや高齢者を支える人たちが多ければ「社会を支える人たちが多いから、一人あたりの負担は少なくて済むよね。」といった状態となるため、働く世代の可処分所得が増加します。

すると、働く世代が使えるお金が増えるわけですからモノやサービスの売れ行きも良くなります。この結果、経済成長に結びつきやすくなるという事が言えるのです。

また、社会を支えるために使われる教育や医療、年金制度に必要とされる費用も少なくなります。(年少者が少なければ教育のための費用が、高齢者が少なければ医療費や年金支給額が少なくなりますよね。)

この結果、国全体では税収をインフラ投資などに振り向けることができるため、この面でも経済成長に有利となります。

このように、人口構成が経済成長に都合の良いような状態を、ボーナスに例えて『人口ボーナス』と呼ぶのです。

もっとも、経済成長は人口構成のみではなく、技術水準の向上や、知恵や知識の蓄積による生産性の向上といった要因でももたらされます。

そのため人口ボーナスがすべてではないという点に注意が必要です。

■人口ボーナスはいつ発生するの?

さて、このボーナスという言葉が示す通り人口ボーナスは特別な状態です。硬い言葉でいうと「従属人口指数が低下する局面」、言い換えれば、働き手が多く子どもやお年寄りが少ない時期に発生するものです。

我が国日本では、1960年代から90年代ぐらいがその時期で「高度経済成長」や「バブル経済」など、我が国がドンドン成長して社会を非常に多い働き手がドンドン押し上げていったというイメージです。

丁度、いまの東南アジアの国々(インドやベトナム、インドネシアなど)がこの人口ボーナス期にあるのです。

■人口ボーナスの終わりに発生する問題

人口ボーナス期が終了したあとは、今の我が国のように、少子高齢化による社会保障料(年金や健康保険など)の急増などにともなう、可処分所得の減少が経済にダメージを与えます。

我が国は1990年代以降はいわゆる人口オーナス(人口ボーナスの逆)期に該当し、労働力人口が経済成長の成約となっています。

このような状況においては、生産性向上に真剣に取り組むことが重要です。(というか、それしか活路が無い状況です。)

ただし、現在の先進諸国は人口ボーナス期を終えた、ほぼ同じ条件ですから我が国だけが特別に不利というわけではありません。そのため、生産性向上が本当に重要になるのです・

■経済成長は人口ボーナスだけが要因ではない

もちろん、人口が多いだけが我が国の高度経済成長の要因ではありません。経済成長には「労働投入量」「資本蓄積」「技術進歩」といった要素が必要で、高度経済成長期はこの3つが噛み合っていたため、素晴らしい発展を遂げることができました。

しかし、現状でも「資本蓄積」や「技術進歩」のエンジンは行きていますので、我が国の発展のためには出来ないことを嘆くのではなく、今できる「資本蓄積」と「技術進歩」を追求していく必要があるのです。

なにより、スマホやAI、大規模な工作機械などがあれば、少ない人数で従来よりも大きな仕事をすることが可能なのですから。

■人口ボーナスと賃金・消費の関係

人口ボーナス期には、生産年齢人口の増大によって労働供給量が増大します。その結果実質GDPを力強く押し上げるのですが、同時に賃金上昇圧力も高まります。

そして、賃金上昇は所得の増大をもたらし、消費支出の拡大につながります。さらに、消費が増大すれば企業側は設備投資を行ったりしますので乗数効果を発揮するのです。

何となく難しく書いてみましたが、単純にいえば、経済的には良い循環が回るのでどんどん経済が発展するということです。

実際に我が国でも1960年代は毎年給料が上がり、三種の神器と呼ばれた家電が飛ぶように売れていったのです。

統計でも可処分所得が毎年増大していった事がわかっています。

このように、人口ボーナスは労働供給が多くなるだけでなく、

労働供給増大

所得増

消費像

投資増

といった循環が発生するため、極めて力強い経済発展のエンジンとなるのです。