
本記事では付加価値についての基本的な考え方だけでなく、経営革新計画などの行政が行う支援制度での活用方法まで解説します
<用語解説>
付加価値とは、企業などが活動した結果、生み出された価値のことを言います。言い換えると、外から買ってきたモノやサービスに、自社が活動することによって付け加えられた価値のことを言います。英語ではadded valueと表記されます。付け加えられた価値といった意味ですね。
<用語解説>
付加価値とは、企業などが活動した結果、生み出された価値のことを言います。言い換えると、外から買ってきたモノやサービスに、自社が活動することによって付け加えられた価値のことを言います。英語ではadded valueと表記されます。付け加えられた価値といった意味ですね。
■付加価値(付け加えられた価値)って?
さて、製造業を例にして、企業が活動したことによって付け加えられた価値について考えていきたいと思います。モノを作る訳ですから理解しやすいと思います。
あるパン工場が小麦粉と勤勉な従業員の努力でパンを作っています。また、少しだけ外注もしているとします。
そして、このパン工場は一年間の活動の結果、200万円の売上を上げたとします。この際、小麦粉を50万円、外注費を10万円、人件費を50万円、減価償却費を50万円が発生したとします。(期首期末とも在庫は無かったし、作るそばから売れたものとします。)
すると、次のような経営成績となったわけですね。
売上高 200万円
売上原価 110万円
売上総利益 90万円
販売費及び一般管理費 50万円
営業利益 40万円
経常利益 40万円
税引前当時純利益 40万円
法人税等 16万円
当期純利益 24万円
(製造原価)
材料費 50万円
労務費 50万円
経費 10万円
※在庫が無く作るそばから売れたので、製造原価=売上原価となっています。
では、この数字をもとにパン工場が生み出した付加価値について考えてみましょう。
■付加価値イコール最終的な利益の24万円ではありません
まずは、利益の額を考えてみましょう。この金額はなんとなく付加価値と言ってもよさそうな気がしますよね?
企業が活動した結果生み出された価値ですから、最終的な利益はぴったりとくるような気がします。
企業が活動した結果生み出された価値ですから、最終的な利益はぴったりとくるような気がします。
しかし、そう考えるならば、従業員さんのお給料はどこから出たのでしょうか?
付加価値とは、『外から買ってきたモノやサービスに、自社が活動することによって付け加えられた価値』の事ですから、従業員さんのお給料も引いている最終的な利益では少なそうですよね?
付加価値とは、『外から買ってきたモノやサービスに、自社が活動することによって付け加えられた価値』の事ですから、従業員さんのお給料も引いている最終的な利益では少なそうですよね?
■付加価値の計算は差し引いて考えよう(中小企業庁方式)
それでは、従業員さんのお給料も含めて付加価値を計算するためにはどうしたらよいでしょうか?それは、売上高から外から買ってきた費用を差し引いてみればよいのです。
上の例では、
付加価値=売上高-(材料費+外注費)
で計算しますので、
付加価値=200万円-(50万円+10万円)=140万円
となります。この企業が活動した結果、140万円の付加価値が生まれ、そのうち50万円を従業員に分配したと考えるのですね。
■付加価値の計算は積み上げてもいいよ(日銀方式)
さて、同じことを売上高から差し引くのではなく、積み上げ計算でも求めることができます。こちらは以下のような計算式となります。
付加価値=経常利益+人件費+金融費用+賃借料+租税公課+減価償却費
付加価値=40万円+50万円+0+0+0+50万円=140万円
となります。こちらの方だと、明示的に人件費を足していますね。
そして、その価値は、人件費として従業員や、金利として銀行へ、賃借料や税金としてそれぞれのステークホルダーに分配されたというわけです。
企業が活動するということは、世の中に今まではなかった価値を生み出して色んなところに分配しているということを意味するのです。
地域内で生み出す価値が大きければ行政も喜びますよね?■計算方式は異なっていても同じ値になる
このようにどちらの方式でも140万円になりました。このパン工場が活動したことで世の中に140万円の価値を追加して分配したということになるのです。そして、その価値は、人件費として従業員や、金利として銀行へ、賃借料や税金としてそれぞれのステークホルダーに分配されたというわけです。
企業が活動するということは、世の中に今まではなかった価値を生み出して色んなところに分配しているということを意味するのです。
■付加価値を高めることを行政も求めている
そして、付加価値✕行政といえば、何と言っても「経営革新計画の承認」が経営支援の華です。経営革新計画は補助金等のご褒美があるわけではないので、純粋な経営支援として実施する感じです。
この経営革新計画の承認を目指す際にはこの付加価値の伸びを設定していく必要があります。
もちろん、経営革新の承認を受けた場合の
ものづくり補助金の加点になると効果が喧伝されたこともありましたが、補助金は筋が良い計画であれば無理に加点を狙わなくても普通に採択されますので。
ただ、経営革新の承認は都道府県のお墨付きを得ることには繋がりますので、積極的に営業推進を行おうとした場合、都道府県から一定の信用を与えられるのは強みです。
■経営革新の実際(余談です)
厄介なことに都道府県ごとに運用ルールも微妙に異なっていて、関東の某県ではめちゃくちゃ認定されるのに、他の件ではほとんど認定されないなんてことも起こっています。専門職として差し支えがあるので何処とは書きませんが、気になる方は各県の実績を検索してみてくださいませ。都道府県ごとに結構承認件数の差があることがわかります。
とはいえ、認定基準が著しく違うと言った感じではなく、単に都道府県側の受け入れキャパの差≒担当者とのアポの取りやすさの差であるような気がします。
■付加価値を高める経営革新の目指す所
経営革新計画の承認を受けるためには、【経営の相当程度の向上】のために、毎年3%以上の付加価値額(もしくは一人あたりの付加価値額)の伸び率を計画に盛り込む必要があります。これが3年計画の場合は9%、5年計画の場合は15%と言った形で、結構なハードルになります。
また、給与支給総額の伸び率として、毎年1.5%の伸びが必要で、3年計画の場合は4.5%、5年計画の場合7.5%の伸び率が必要です。
本記事は経営革新の記事ではないのでここまでにしますが、従業員を減らして一人あたりの付加価値を増やすなんて計画を立てても、行政はいい顔をしませんので念の為覚えていてくださいませ。
■狙う制度の定義に従いましょう
と、経営革新計画を例に書いてきましたが、制度ごとに計算方法を明示している場合があります。その場合は、制度ごとに示された計算方法で付加価値を計算し、目標の達成を狙っていきましょう。なお、本当に革新的な計画を考えるときには、計画上の付加価値額の伸び率がとんでもないことになる場合があります。
特に小規模な事業者さんにとってはあり得る話しです。
例えば、付加価値を10億円生み出している企業が15%増大を狙うのはすごく大変ですが、この記事のように生み出している付加価値が140万円の事業であれば、この取組の結果付加価値が300万円になるみたいなことはよくあります。
この場合付加価値の伸びが100%を超えてくるので腰が引けてしまうかもしれませんが、自信と根拠を持って、どうしてこの付加価値に成るのかを明示することが重要です。
初出:2014/06/03
更新:2025/06/24












