中所得国の罠
中所得国の罠とはある国の経済が発展していわゆる中所得国水準になったものの、そこで停滞してしまい高所得国水準にたどり着けない状況を指す言葉です。英語ではmiddle income trapなどと表記されます。

所得水準が低い国が、自国の低廉な労働力や天然資源を活用して急激に経済発展を実現し、その結果中所得国の仲間入りするという事はいろんな国で起こっています。しかし、その経済発展の勢いを持続させ、そのまま高所得国水準まで至る国は少ないのが現状です。
 
というのも、低廉な労働力を活用して製造拠点として発展していたとしても、ある一定のところで労働コストの低い人材の供給は枯渇し、賃金水準は上昇に転じます。(参考:ルイスの転換点

その結果、中所得国水準までたどり着いた国はいつまでも低廉な労働力に頼ることはできなくなります。(国民の生活水準は向上するので良い事なのですが、低い賃金水準という強みは失われていきます。)

このような状況に陥った時に、自国の賃金水準の低さが主な優位性であった場合、なかなか従来のようなペースの経済発展を持続させることは難しくなります。(投資をしてくれていた企業などが「もっと人件費の安い国でモノを作ればいいや…」といった風に考えてしまいますからね。)

この中所得国の罠から抜け出すためには、人件費が高くとも、内需が大きいとか、先進的な技術を開発しているといった、持続的に経済発展するような仕組みを作っていく必要があるのです。

■中所得国の罠を脱する教育の役割

このように中所得国の罠を抜けるためには、ものを作るだけでは足りません。部品を安く大量に作ることができても、得られる付加価値はその製品自体を企画・開発することができる企業には全く及ばないのです。

例えば、スマホの部品をたくさん作ることが出来ても、自分たちで新しいスマホを企画・開発することができる企業と比較すれば、全く得られる付加価値は異なってきます。

このように、中所得国の罠を脱するためには安価な労働力を武器にするのではなく、高度な技能を持つ労働者層を育成することが重要です。

そのような分厚い労働者層が生まれてくると次は技術革新、イノベーションが生まれてくるのです。シンガポールや韓国は充実した教育制度と研究開発投資で中所得の罠を突破したということができるのです。