株主代表訴訟
株主代表訴訟とは、取締役が会社に損害を与えたような場合、株主が会社に代わって取締役の責任を追及するために起こす損害賠償請求の事を言います。

例えばあなたが持っている財産の大きな部分を投資していた会社があったとします。そして、その会社の経営陣が明らかに変な経営判断を行って会社に大きな損害が出たとします。

このような場合、あなたはどう考えるでしょうか?「株式投資にリスクはつきものさ」といった風に損失が出ても仕方ないと考えられるでしょうか?「訴えてやる」なんて言いたくなりますよね。
  • いきなり訴えられません
と、訴えたいなと考えても物事には順番があります。まず、役員さんを訴えるべきなのは監査役となります。監査役は会社を代表して取締役を訴えるという事です。このように監査役にはちゃんと経営陣の不正や判断ミスを正すことができる権限が与えられているんですね。

でも、「監査役っていたって役員が連れてきた人だし、そんな訴えるなんて期待できないよ…」と嘆く声も聞こえてきそうです。その場合は、株主は監査役に対して不正や判断ミスを行って会社に損害を与えた取締役を訴えるように請求することができます。

そしてその請求した後60日を経過しても監査役が訴えなかった場合、いよいよ直接株主が取締役を訴えることができるのです。
  • 訴えたらどうなるの?
「よし取締役を訴えて、自分が被った損害をそのまま補填させるぞ!」と考える人もいるかもしれませんが、訴えられた取締役が全面的に損害を賠償する事になっても株主個人には賠償されません。あくまで、会社に対して損害の賠償を行うというわけです。

■株主代表訴訟は市場全体の信頼を守る役割もある

株主代表訴訟は、会社に損害を与えた役員へ責任を追及する制度ですが、その役割は個別企業だけにとどまりません。

もし経営者が不正を行っても責任を問われない市場であれば、投資家は企業が公表する情報を信用できなくなります。

その結果、「どの会社も信用できない」と考えられ、健全な企業まで正しく評価されなくなるおそれがあります。

このように、情報の信頼性が低下して市場全体の品質が悪化する現象は、経済学ではレモン市場と呼ばれています。株主代表訴訟は、このような状況を防ぎ、市場への信頼を維持する企業統治(コーポレート・ガバナンス)の仕組みの一つとも考えられるのです。


関連用語