価格の下方硬直性とは、市場で形成される価格が需給を反映せずに下がりにくくなるという現象を指す言葉です。
自由に競争している市場で、財が特に差別化されていないような場合であれば、価格は需要と供給によって決定されていきます。これは、みんなが欲しがっているけど、供給が足りないものの価格は上がり、需要と比較して供給が多いようなモノの価格は下がるという分かりやすい決定方法です。
そして、このような価格決定のメカニズムが資源の効率的な配分を実現するとされています。いわゆる『神の見えざる手』というやつですね。
逆に言うと、自社の作っている商品やサービスが「どこのモノを購入しても同じ」という状態になってしまうと、需要と供給のみで価格が決定する世界で戦う事となり、企業としては苦しくなってしまいます。
これを避けるために、企業は必死になって差別化できるような製品やサービスを作り出しているのです。自社しか供給できないようなモノであれば、価格競争をする必要がありませんからね。(このように差別化要素がなくなってしまうような事をコモディティ化と言います。)
- あまり変わらないけど価格が下がらない場合もあります
でも、世の中には差別化の有無にかかわらず価格がなかなか下がらないようなモノが存在します。どう考えても供給は十分で、どこの供給元のモノを使っても同じようなモノなのに、価格がいつまでも下がらないといったケースです。
例えば、携帯電話の通信料などは、価格がほとんど下がらないですよね?でも、A社もD社もS社もそのほかの会社であっても、携帯電話に必要な通信という機能面では、ほとんど遜色ないと思います。
つまりどこの会社を選んでも極端に差がないハズなのです。それなのに、価格が下がっていきませんよね?
このように、供給元が数社という限られた状況では、価格は必ずしも需要と供給によって決定しません。このような現象を価格の下方硬直性と呼ぶのです。
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