インサイダーアウトサイダー理論
インサイダー・アウトサイダー理論とは、賃金の下方硬直性を説明するための一つの理論です。英語ではinsider outsider theoryと表記されます。

このインサイダー・アウトサイダー理論では、労働市場に参加する人たちを二通りに分けています。

一つは、既に雇用されている人たち(こちらは企業の中の人なのでインサイダーと呼びます)そして、もう一つのグループは現在雇用されておらず失業状態の人たち(こちらはインサイダーに対して、企業の外にいるのでアウトサイダーと呼ばれています)です。

さて、労働市場をこのように二通りの集団に分けて考えると何が言えるでしょうか?

それは、労働市場に参加している人たちは決して一枚岩ではないという事です。

例えば、あなたが現在企業内に雇用されているとします。そしてあなた達は正当な権利として十分に団結しており、経営側に対して賃金のベースアップや雇用の維持を交渉することができるとします。

このような条件において、景気が悪化し賃金水準が現行のままでは、新規雇用が抑えられ失業が発生する事が見込まれるとします。

さて、このような時にあなた達は経営側に「このままでは失業者が沢山出てしまうため、我々の定期昇給やベースアップを凍結してでも新規雇用を増やしてください。」などと交渉するでしょうか?

普通に考えると、そのような事はあり得ないですよね?
  • 労働組合の強い国だけのお話ではありません
さて、このような理論は、労働組合の力が我が国と比較して強い、欧州のような国々の失業率の高さを説明するために考えられた理論です。

すなわち、「労働市場では、労働者側にこのような利害の不一致が生じ、その結果、賃金の下方硬直性が生じる。その結果、賃金が不景気にもかかわらず下がらないため、相対的に労働力の価格が高くなる。そのため、労働力に対する需要が喚起されず非自発的失業が発生する。」といった感じです。

これに対して「ふーん、じゃあ我が国は労働組合の組織率も年々低下しているから、このような事は当てはまらないよね?」と言えるでしょうか?

でも、このインサイダーとアウトサイダーを正規雇用の人と非正規雇用の人に置き換えれば同じような事が言えると思います。 
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