見切り販売とは、いったん決めた売価を様々な理由で引き下げて安く販売し、売り切る事を狙う事のを言います。
■もうすぐ売れなくなるのがわかっているなら安くして売ります
例えば、スーパーのお惣菜コーナーなどで消費期限が迫っているコロッケを半額にして販売すると言ったことが行われます。
この場合は、物理的に食用できなくなる危険性があるため、まだ食品としての価値があるうちに安くしてでも売ろうといった発想です。
また、ヒーローものの子供向け番組の放送がそろそろ終わりそうな場合に、食玩を半額にして販売するといった事が行われます。
これはおもちゃ屋さんとかでも行われますね。こちらは、商品としての物理的な価値は残っていますが、商品として陳腐化してしまうため価値が残っているうちに売ってしまうといった発想です。
こういった場合は、「どうせ捨てるくらいなら(廃棄ロスが出るくらいなら)安くても…」といった発想なのでわかりやすいですよね?
■売れない商品は見切り販売で処分します
また、商品としてはまだまだ長い間販売できるとしても、売れ行きが思いのほか芳しくなかったような場合には、見切り販売が行われることがあります。
「せっかく仕入れたもので、まだまだ売ることができるようなモノを安く売るなんてもったいないよ…」と考える方もいるかもしれませんが、こういった、売れない商品(こういうのを死筋と言います)が陳列棚にずっと存在しているといろいろなマイナスがあるのです。
例えば、売れそうにないものがたくさん並んでいるようなお店では、「あのお店、欲しいものが並んでいないよ…」といった風にお店自体の魅力度も下がります。また、本来なら、売れない商品が並んでいる場所で売れるはずの売上を逃している(機会ロスと言います)といった考え方もあります。
こういったお店側の行動を見切り販売というのです。
はあ、たくさん仕入れたけどぜんぜん売れないわ。
悲しいけど、見切り販売で現金化しちゃいましょう。棚を塞いでおくと損ですし、お金を眠らせていることになりますから。
そうねぇ。思い切って9割引きで処分しちゃおうかしら。見切り販売って株とかで言うところの損切りよね。
■少し多めに仕入れます
ただ、上手く商売をやっているお店で会っても見切り販売は発生することがあります。というのは、機会ロスを避けるために少し多めに仕入れるからです。
例えば、21時まで営業しているお店が19時の段階でパンが売り切れたなどというケースを考えて見ます。
この場合に喜んでいるようでは小売業としてはあまり上手くありません。というのは、19時から21時までの2時間はお客様にとっては欲しいものが買えないお店で、魅力が損なわれてしまっているからです。
また、商品があれば売れたはずの売上も諦めることになっているので、あまり商売としては良くないのです。
このような事を避けるために、少しだけ商品は多めに仕入れるのです。
そして、売り切れなかった部分については廃棄ロスを避けるために見切り販売として安くしてでも売り切るといった事が行われます。
完璧な需要予測は不可能なので、商品が売り切れになるぐらいだったら、見切り販売を行ってでもそのリスクを避けたいと考えるのです。
■コンビニでは見切り販売をあまりしません
さて、見切り販売をめったにしない業態があります。それはコンビニエンスストアです。これは本部の指導が行き届いていて、在庫管理の精度が高いと言った事が一つの理由です。
見切り販売を常態化すると、見切り販売だけを目当てにするお客様が集まってくるので、仕事量が増えますが、儲からないと言ったことが発生してしまいます。そのため見切り販売をあまりしないように、在庫管理をしているのです。
また、もう一つの理由は本部が見切り販売をしないように指導しているといった事も挙げられます。ただ、見切り販売の妨害は独占禁止法で禁じられている優越的地位の濫用とされているため、見切り販売の妨害はないようです。
解説で出てきた用語・関連用語
優越的地位の濫用関連法令
独占禁止法(19条)
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