コンカレントエンジニアリングとは、製品を開発していく中で全体的な納期を短縮とコストの削減をするために、様々な業務を同時進行させるという手法の事です。
この手法では、短納期化、全体的なコスト削減、業務プロセスの改善などを目的としています
■一般的な製品開発の考え方では
コンカレントエンジニアリングではなく、同時並行的に業務をしない場合「研究開発をして、設計を行って、そのうえで製造に取り掛かる為に材料の調達について考えて、そして、流通の経路を考えて…」と言った風に、一つづつ課題を解決していくような業務の流れになりそうですよね?(そうしないと、途中で設計が変わった場合などに、「あの○○という原料はいらなくなったけど代わりに○△という原料を調達しなきゃ…」という風になってしまいますからね。)
でも、このようにやっていたら、全体の納期は各業務の納期の総和になってしまいます。(研究開発1か月、設計1か月だったらそれだけで2か月かかるという事です。)
確かに、設計が終わらないと製造ができない。製造が終わらないと、販売の方法が考えられないといった事は理にかなっているように思われますが、しかし本当にこのような方法しかないのでしょうか?
■納期が短縮される
コンカレントエンジニアリングの考え方では、例えば、研究開発の途中で設計を同時にスタートさせ、2か月かかるモノを全体で1.5か月に短縮するといった発想になるのです。例えば、新しい製品を量産するまでの流れを簡単に考えてみます。
従来の開発工程 | 研究開発→ | 設計→ | 試作→ | 生産技術開発→ | 製造 |
コンカレントエンジニアリング | 研究開発→ | ||||
試作→ | |||||
生産技術開発→ | |||||
製造 |
■納期が短縮できるだけでない
さて、このように納期の短縮に目が行きがちですが、コンカレントエンジニアリングの効果はそれだけではありません。例えば、製造やアフターサービスについても同時並行的に考えていくという事から、「製造のしやすい○○といった方式を取り入れてください」とか、「アフターサービスをする上で、あらかじめ□○といった機能を盛り込んでおいてください」といった議論が生まれます。
最初から、後工程のことを考えて設計がされていれば、後工程が楽になりますから、結果として大きなコスト削減につながります。
また、後工程が持っている知見を生かして設計することになるため、衆知を集めて単なる改善を超えた素晴らしい製品が開発される可能性も存在します。(プロダクトイノベーションが生じる可能性があります)
で、最初からみんなを巻き込んでやったんだー。へー。で「ひよこβ」の開発が早くできたと…えー、思いもよらない改善があったですって?へー
また、岐阜の実家とお電話?
で、最初からみんなを巻き込んでやったんだー。へー。で「ひよこβ」の開発が早くできたと…えー、思いもよらない改善があったですって?へー
それで、早く開発できて、思いもよらない改善があったって言ってたのね。
■コンカレントエンジニアリングのデメリット
このようにメリットが強調される手法ですが、当然デメリットも存在します。例えば、特定の工程(部門)にしわ寄せが集中すると言ったことが発生します。 これは、工程(部門)の能力で負担が集中すると言ったイメージではなく、社内の交渉力・政治力で負担が集中しがちになるといった意味合いです。
また、交渉力・政治力の影響を除くと、より消費者や顧客に近い下流工程にしわ寄せが行きがちです。そして、このしわ寄せはコストの増加や納期の長期化と言った形で現れてきます。
■上手く運用するために必要なことは
コンカレントエンジニアリングを上手く運用するためには、全体を把握してコントロールできるような、全体最適を図れるような人材の配置が必要です。
また、製品が設計されて消費者・顧客に届くまで、どのような工程があるのかについて理解を深めることも重要です。
さらに、コンカレントエンジニアリング自部門の理屈ではなく、企業全体・組織全体で最適となる方向性を追求する必要があり、その方向性を一人一人が把握していれば強力な改善が見込めます。
その為、上手く運用できれば、非常に効果的な考え方となっているのです。
解説で出てきた用語・関連用語
プロダクトイノベーション
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