フレーミング効果
本記事では、行動経済学や心理学などでよく知られている「フレーミング効果」について解説します。同じ情報をどのように伝えるかで人間の判断が変わるという効果の仕組みと具体例を紹介します。

<用語解説>
フレーミング効果とは、物事の表現方法によって見る印象が変わってしまい、結果として意思決定に影響を及ぼすといった心理的な効果のことを言います。同じ内容であっても、表現の仕方で受け取る印象が大きく変わることがあり、それが結果として人の判断や行動に影響を与えるのです。

■フレーミング効果の例

例えば、以下のような表現があったとします。

A:この手術をすると1%の確率で失敗して亡くなる可能性があります。
B:この手術は99%成功する手術です。

A:不良品発生率が2倍になってしまった
B:不良品発生率が1%から2%になった。

どうでしょうか?冷静に判断すると、どちらも同じことを言っていますよね。でも受ける印象は大きく異なると思います。

このように、情報の与え方や表現方法によって印象が大きく異なるというのがこのフレーミング効果なのです。そして、印象の差は意思決定に影響を及ぼすことがあるのです。 

■日常やビジネスにおけるフレーミング効果の例(理解を深めよう)

営業トークで、
A:「この商品は10人中9人が満足しています」
B:「10人中1人は満足していません」
と同じことをいった場合はどうでしょうか?Aのほうがポジティブな印象を与えますよね?

逆に、Bは不安を感じる人が多くなります。

と、応用編ですが、相手に不安を感じさせる事が重要なビジネスの場合(ちゃんと保守しないと大変なことになりますよ、だからうちの保守契約を・・・)とやる場合は、Bの言い方をすることが重要です。


また、ニュースや政治の表現でも

A:「社会保険料の負担増により○○が改善されます」
B:「社会負担負担増で、国民の負担が○○円増えます」

ではどうでしょうか?受け取り方が真逆になりますよね。

そして、真逆に受け取られることから、政治家の先生はAの表現を好みますし、マスコミ関係はBの表現を好んで用います。

■フレーミング効果を知っておくことのメリット

このちょっとした言い方の違いの効果を理解しておくことで、以下のような場面で役立ちます。

  • 他人に説得力のある説明をしたいとき

  • ネガティブ情報をポジティブに言い換えたいとき

  • 広告やマーケティングで印象操作を行いたいとき

  • 詐欺的な誘導に引っかからないよう自己防衛したいとき

いずれも同じことを言っているだけですが印象が異なるので意思決定に影響を与えてしまうのです。

もっとも、実際には、本当のことを敢えて言わなかったりと他にもいろいろなテクニックが駆使されますので注意深く身を守ってください。

■アンカリング効果との違い

フレーミング効果の本質は「表現方法による印象の違い」です。これと似た言葉にアンカリング効果という言葉もありますが、アンカリング効果は「最初に提示された数字などの情報が基準となる」という心理効果です。

どちらも、判断に影響を与えますが表現で影響を与えるのか、数値などで影響を与えるのかという違いがあります。

■ まとめ

フレーミング効果は、日常会話・ビジネス・広告・ニュースなどあらゆる場面で使われており、人の判断に大きな影響を与える力を持っています。また、アナタもおそらく意識しなくともこのような使い分けをしているはずです。

このように、表現を少し変えるだけで印象ががらりと変わるこの効果を、正しく理解し、活用・対処できるようになれば、より賢い選択ができるようになるでしょう。