
オフバランスとは、事業に活用しているけれど、貸借対照表(バランスシート)に計上されない資産や負債等の事を言います。
貸借対照表(バランスシート)に乗ってこないからオフバランスなのですね。逆に通常の貸借対照表に乗ってくる取引はオンバランスといいます。
なお簿外資産とか簿外負債とかと言うと違法になりますので気をつけてください。
■どうしてオフバランスにするの?
貸借対照表に記載されない資産や負債があるという事にはいくつかの利点があります。
例えば、収益性を測る指標について考えてみます。もしこういった指標で経営陣の経営成績を測っているとしたら、オフバランスにする大きな利点が出てきます。
例えば、100万円の総資本で10万円の利益を上げたらROAは10%ですよね?
でも、20万円分の資産を貸借対照表に記載しなくてすめば80万円の総資本で10万円の利益を上げたことになるのでROAは12.5%となります。(詳しい計算式はコチラをご覧ください:ROAとは)
このようにオフバランスを上手く使うことで外部からの評価を高めることが可能となります。
この外部の評価というのは馬鹿にしたものではなく、外部からの評価が高まればエクイティファイナンスで資金の調達も簡単となりますしてとデットファイナンスも有利となります。
このほかには、オフバランス化の過程で資産を所有する事をやめる事となるため、資産の価格変動から生じるリスクを避けることができるといった利点もあります。
■あれ、おかしくない?
さて、貸借対照表に記載されない資産や負債があるという事はどういう事でしょうか?「貸借対照表には一定時点の財政状態がすべて記載されるはず?」ですよね?
でも、逆に言うと自社のモノでない物品については貸借対照表に載ってこないですよね?
自分のモノでない、土地や備品を貸借対照表に計上したら、せっかく作っている貸借対照表の意味が無くなってしまいますからね?それなので別にオフバランスのものがあっても、おかしくはないのです。
自社のモノではないけど事業に使う資産って?
例えば、コピー機を考えてみます。あなたの会社ではコピー機が欲しいのでしょうか?それとも、コピー機を使いたいのでしょうか?
多くの場合、所有する事ではなく利用することが目的ですよね?
それならば、自社で購入する(資産になります)のではなく、借りてくるという発想はどうでしょう?(この場合利用料が費用となりますが、資産にはなりません。)
素朴な形でのオフバランスの発想はこういった感じです。
また、不動産などを担保に供している場合も重要な取引ですが貸借対照表上はオフバランスとなります。この場合は一般的には注記という形で対応されます。
但し、あまりオフバランスが横行すると、利害関係者(ステークホルダー)の判断を誤らせる危険性が出てくるため、オフバランスとして処理できる範囲は縮小されていく傾向にあります。

不動産って使いたいだけですよね 。

そうだよ、だからオフバランスしてしまうのよ。持っていても持っていなくても同じように使えるなら、それでいいからね。
■オフバランスにする方法
■1.リースを活用する方法
さてリースなどのお話が出てきましたが自社で持っている不動産などの資産をオフバランスする方法もあります 。
例えば不動産を売却してしまいその後リースして借りるケースを考えます 。この場合利用してるだけですので貸借対照表には載せる必要はなくなります。
ただ貸借対照表に載せる必要はなくなりますが利用自体は従来どおりできます。そのため貸借対照表に現れる資産や負債の圧縮をすることができます(これがオフバランスですね )
こういったオフバランスを実現する方法をセールスアンドリースバックと言います
■2.証券化を活用する方法
不動産と特定目的会社に移してしまいバランスシートから外します。その後それらの資産を担保にして証券を発行し資金調達までするという方法です。
このような方法は非常に典型的なオフバランス処理ですが、そのような処理が横行すると貸借対照表が実態を表しているとは言えなくなるため、オフバランス処理の方法論は縮小されていく傾向にあります。
ただしこのように不動産とオフバランスする場合、単に貸借対照表をスリムにできるだけでなく将来の不動産等の価格変動を会計から切り離すことができるため、その面からも有利となります。
解説で出てきた用語・関連用語
貸借対照表
ROA
ステークホルダー
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